JP2019018175A - 複合体、複合体の製造方法、吸着材、および液体の清浄化方法 - Google Patents

複合体、複合体の製造方法、吸着材、および液体の清浄化方法 Download PDF

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Abstract

【課題】液体処理用の吸着材として使用可能であり、取扱い性に優れた複合体を提供する。【解決手段】液体清浄化用の吸着材として用いられる複合体であって、当該複合体は、金属有機構造体と、繊維とを含み、金属有機構造体が、繊維の表面に担持され、繊維が、合成有機繊維または無機繊維である、複合体。【選択図】なし

Description

本発明は、複合体、複合体の製造方法、吸着材、および液体の清浄化方法に関する。詳細には、液体清浄化用の吸着材として使用される複合体、この複合体の製造方法、この複合体を含む吸着材、およびこの吸着材を使用して液体を清浄化する方法に関する。
中心金属とこれに配位する多座有機配位子からなる金属有機構造体(MOF:Metal−Organic Framework)は、中心金属と有機配位子とからなる金属錯体が集積されて形成された多孔性の三次元構造体である。金属有機構造体が有する細孔は、ゼオライトや活性炭等の他の多孔性材料に比べて、細孔径や細孔内空間を容易に設計できること、均一な細孔径の細孔を有することから、金属有機構造体はガスを吸着または吸蔵する吸着体として使用されている。
金属有機構造体をガスの吸着体として使用する技術として、たとえば、特許文献1では、セルロースナノファイバーと金属有機構造体とからなる複合体が提案されている。特許文献1では、セルロースナノファイバーに、カルボキシル基またはカルボキシレート基等の酸基を導入し、この酸基を、金属有機構造体の担持接点として使用し、セルロースナノファイバーに金属有機構造体が担持された複合体を得ている。特許文献1では、膜状に成形した複合体を、特定の混合ガスを分離するためのガス分離材として使用している。
特開2016−52620号公報
しかし、セルロースは水等の液体により膨潤する性質を有するため、これを含む複合体はガス処理用の吸着材としての使用に限られていた。
本発明者らは、液体処理用の吸着材として使用可能であり、取扱い性に優れた複合体を見出し、本発明の完成に至った。
本発明によれば、液体清浄化用の吸着材として用いられる複合体であって、当該複合体は、金属有機構造体と、繊維とを含み、前記金属有機構造体が、前記繊維の表面に担持され、前記繊維が、合成有機繊維または無機繊維である、複合体が提供される。
また、本発明によれば、上記複合体を製造する方法であって、水溶媒と、有機配位子とを混合して第一の混合物を得る工程、前記第一の混合物に、合成有機繊維または無機繊維を混合して、第二の混合物を得る工程、前記第二の混合物に、金属イオンを混合して、前記合成有機繊維または前記無機繊維の表面上で、前記有機配位子と前記金属イオンとからなる金属有機構造体を形成する工程、を含む複合体の製造方法が提供される。
またさらに、本発明によれば、上記複合体を含む、吸着剤が提供される。
またさらに、本発明によれば、対象物質を含む液体と、上記吸着材とを接触させ、前記液体に含まれる前記対象物質を選択的に前記吸着材に吸着させて、前記液体から除去する工程を含む、液体の清浄化方法が提供される。
本発明によれば、液体の清浄化のための吸着材として使用可能であり、取扱い性に優れた複合体、当該複合体の製造方法、当該複合体を含む吸着材、当該吸着剤を使用する液体の清浄化方法が提供される。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態の複合体は、金属有機構造体と、繊維とを含み、金属有機構造体が、繊維の表面に担持されており、繊維は、合成有機繊維または無機繊維である。本実施形態の複合体は、液体清浄化用の吸着材として用いられる。
本実施形態において、吸着体である金属有機構造体を担持する支持体として合成有機繊維または無機繊維が使用される。これらの繊維は水や有機溶媒の作用により膨潤しないため、本実施形態の複合体は、液体と接触させて使用する用途に適用することができ、液体の清浄化処理で使用するための吸着材として使用することができる。
本実施形態の複合体において、金属有機構造体は繊維の表面に担持されている。ここで、本明細書中で用いられる用語「担持」とは、金属有機構造体が繊維に固定されているか、または繊維により金属有機構造体の移動が抑制された状態をいい、金属有機構造体が繊維に接触または付着した状態、または金属有機構造体が繊維に直接または媒体を介して結合した状態をいう。ここで、結合とは、共有結合やイオン結合等の化学的結合、ファンデルワールス結合や疎水結合等の物理的結合のどちらであってもよい。
液体の清浄化工程は、通常、処理される液体を吸着材に接触させて、液体中の対象物質を吸着材に吸着させることにより実施される。このような液体の清浄化処理においては、液体と吸着材とを接触させた後、この吸着材と液体とを分離する必要があるが、金属有機構造体の微粉が液体中に分散すると、その回収が必要となり、結果として液体清浄化工程がより煩雑となる。また、吸着材をカラムに充填して使用する場合、金属有機構造体の微粉が遊離すると、カラム流路を閉塞したり、カラム入口とカラム出口における圧力損失が生じる場合がある。本実施形態の複合体は、金属有機構造体が繊維の表面に担持されているため、金属有機構造体の遊離による上記不都合の発生がなく、取扱い性に優れる。
本実施形態の複合体に用いられる繊維は、非共有電子対を有する官能基を有することが好ましい。このような官能基としては、例えば、アミド基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、メチレンジオキシ基、フェノキシ基、カルボキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、アセトキシ基、ベンゾイロキシ基、アセチル基、プロピオニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、マロニル基、ベンゾイル基、ヒドロキシ基、ヒドロペルオキシ基、オキシ基、エポキシ基、ジオキシ基、カルボニル基、メルカプト基、チオ基、スルホ基、スルフィニル基、スルホニル基、スルホアミノ基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、ニトロソ基、イミダゾール基、アミノ基、ウレイド基、メチルアミノ基、イミノ基、ジアゾ基、アゾ基、アジド基、ジアゾアミノ基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、およびイオド基等が挙げられるがこれらに限定されない。繊維は、これらの官能基を1種有していてもよいし、複数を組み合わせて有していてもよい。繊維が上記官能基を有する場合、官能基の非共有電子対と金属有機構造体の金属イオンとの相互作用が生じるため、繊維と金属有機構造体との密着性が高まる。そのため、金属有機構造体が繊維に強固に結合された複合体が得られる。なお、用いる合成有機繊維または無機繊維がこのような官能基を有していない場合、当該分野で公知の処理方法により、上記官能基を導入することができる。
本実施形態の複合体に用いられる繊維は、合成有機繊維または無機繊維である。合成有機繊維としては、全芳香族ポリアミド(アラミド)、全芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステルアミド、全芳香族ポリエーテル、全芳香族ポリカーボネート、全芳香族ポリアゾメチン、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリ(パラ−フェニレンベンゾビスチアゾール)(PBZT)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(パラ−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)(PBO)、高密度ポリエチレン、高密度ポリプロピレン、ポリスチレン、脂肪族ポリアミド、ポリビニルクロリド、ナイロン、レーヨン(セルロースアセテート)、アクリル、アクリロニトリル、ホモポリマー、ハロゲン化モノマーとのコポリマー、スチレンコポリマー、ならびにポリプロピレンと低密度ポリエチレンとの混合物、および高密度ポリエチレンとポリスチレンとの混合物からなる繊維が挙げられるが、これらに限定されない。
無機繊維としては、金属繊維、セラミック繊維、ガラス繊維、および炭素繊維が挙げられ、これらは、上記官能基を有するように、カップリング剤処理、酸化処理、コーティング処理などがなされていることが好ましい。
本実施形態の複合体に用いる繊維は、平均繊維長が、0.1μm以上であり、平均繊維径が1nm以上であることが好ましい。なお、繊維の平均繊維長および平均繊維径は、走査型または透過型電子顕微鏡像により、あるいは原子間力顕微鏡像により求めることができる。
本実施形態の複合体において、吸着体として用いられる金属有機構造体は、当該分野で公知の種々の金属有機構造体を用いることができる。金属有機構造体は、金属イオンと有機配位子との反応により得られる。本実施形態に用いる金属有機構造体は、吸着対象物質等の目的の構造設計に応じて適宜選択することができる。中でも、本実施形態において、金属有機構造体は、ゼオライト様イミダゾレート構造体であることが好ましい。
本実施形態の複合体に用いられる金属有機構造体は、ゼオライト様イミダゾレート構造体であることが好ましい。中でも、亜鉛イオンまたはコバルトイオンとイミダゾール化合物とから形成されるゼオライト様イミダゾレート構造体が、その製造容易性から好ましく用いられる。
金属イオンが亜鉛イオンである態様において、用いられる有機配位子はイミダゾール化合物であることが好ましい。イミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、イミダゾール−2−カルボアルデヒド、5−アザベンゾイミダゾール、4−アザベンゾイミダゾール等が挙げられるがこれらに限定されない。中でも、2−メチルイミダゾールまたはイミダゾール−2−カルボアルデヒドが好ましく用いられる。
金属イオンがコバルトイオンである態様において、用いられる有機配位子はイミダゾール化合物であることが好ましい。イミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、イミダゾール−2−カルボアルデヒド、5−アザベンゾイミダゾール、4−アザベンゾイミダゾール等が挙げられるがこれらに限定されない。中でも、2−メチルイミダゾールが好ましく用いられる。
本実施形態の複合体に用いられる金属有機構造体は、好ましくは、平均粒径が、10nm以上1000nm以下であり、より好ましくは、20nm以上500nm以下である。また、金属有機構造体は、粒度分布が単分散性に近く、粒度分布の広さの指標である「d90/d10」の値が、好ましくは、1.0以上3.0以下であり、より好ましくは、1.0以上2.0以下である。また、「d90/d50」の値が、好ましくは、1.0以上3.0以下であり、より好ましくは、1.0以上2.0以下である。金属有機構造体は、上記範囲の粒径および分散性を有することにより、特定の物質を選択的に吸着する吸着体としての用途に好適に用いることができる。
本実施形態の複合体において、金属有機構造体は、繊維100質量%に対して、40質量%以上250質量%以下の量であり、好ましくは、60質量%以上150質量%以下の量であり、より好ましくは、100質量%以上150質量%以下の量である。上記範囲であることにより、金属有機構造体は繊維の表面に、金属有機構造体が凝集することなく担持される。
本実施形態の複合体において、金属有機構造体の「比表面積/外表面積」の値は、5.0以上であることが好ましい。ここで、「比表面積」とは、金属有機構造体の窒素吸着法により求められるBET比表面積であり、金属有機構造体の単位重量当たりの結晶内および外部の面積の総和を表す。「外表面積」は、窒素吸着のt−plot解析により求められる外表面積である。外表面積は、金属有機構造体の単位重量当たりの結晶外部の面積を表す。
金属有機構造体が繊維に担持されていない金属有機構造体と繊維の混合物と、金属有機構造体が繊維の表面に担持されている金属有機構造体と繊維の複合体とを比較すると、比表面積は両者の場合でほぼ同じ値となるが、外表面積は、前者より後者の場合が小さい値となる。これは、金属有機構造体が繊維に担持されることによりその外表面が繊維で被覆されることによる。本実施形態では、「比表面積/外表面積」の値を、金属有機構造体が繊維の表面に担持されていることの指標として用い、当該値が5.0以上であれば、金属有機構造体の吸着体としての作用が妨げられることなく、金属有機構造体が繊維の表面に担持されているとみなす。
本実施形態において、BET比表面積を求めるために用いられる窒素吸着法は、予め100℃で予備乾燥した試料をガラス製のセルに入れ、200℃で24時間真空脱気し、77Kの温度にて少量ずつ窒素ガスを導入し、平衡圧と吸着量を測定することにより実施される。外表面積は、この測定法で得られる吸着等温線を用いて、t−plot解析を行うことにより求められる。t−plot解析は、t−曲線、すなわち吸着膜の厚さtを相対圧P/P0に対してプロットした標準等温線を用いる(Lippens,de Boerによるt−plot法)。具体的には下記の式(1)によって表される。
t=(V/Vm)σ (1)
上記式中のtは吸着膜の厚さを表し、V/Vmは吸着膜中の平均吸着層数を表し、σは単分子層の厚さを表す。
吸着量Vをtにプロットしたものがt−plotであり、細孔の孔径に対応するt値で折れた直線が得られる。高圧側、即ち、t値の大きい方の直線の傾きから、試料の外表面積が得られる。
本実施形態では、窒素吸着法による測定、BET比表面積の解析、およびt−plotによる外表面積の解析は、市販の吸着測定装置であるマイクロトラック・ベル株式会社のBELSORP−MAX IIを用いて行なわれる。
一実施形態において、複合体は、水溶媒中で、金属有機構造体の原料となる有機配位子および金属イオンと、繊維とを混合することにより、または金属有機構造体と繊維とを混合することにより得られる。
複合体を、前述の方法、すなわち、水溶媒中で、金属有機構造体の原料となる有機配位子および金属イオンならびに繊維を混合することにより得る場合、得られた反応混合物中には、金属有機構造体と繊維とからなる複合体、繊維に担持されていない金属有機構造体、金属有機構造体を担持していない繊維、ならびに未反応の有機配位子と金属イオンとからなる非結晶物(アモルファス)が存在する。ここで簡便性のため、反応混合物中に存在する上記成分をそれぞれ、複合体中の金属有機構造体(成分A)、複合体中の繊維(成分B)、繊維に担持されていない金属有機構造体(成分C)、金属有機構造体を担持していない繊維(成分D)、および非結晶物(成分E)と記載する。
本実施形態において、上述の金属有機構造体の「比表面積/外表面積」における、「比表面積」は、成分Aの比表面積と成分Cの比表面積の合計であり、「外表面積」は、成分Aの外表面積と成分Cの外表面積の合計である。
本実施形態において、金属有機構造体が繊維に担持されている程度を評価する指標として、以下の式で表される担持効率を使用することができる。
担持効率=1−(ろ過固形分の外表面積)/(合成溶液中のMOF原料重量比率×MOF粒子単体の外表面積+合成溶液中の仕込み繊維重量比率×繊維単体の外表面積)
ここで、「ろ過固形分の外表面積」の「ろ過固形分」とは、成分A+成分B+成分C+成分D+成分Eである。「合成溶液中のMOF原料重量比率」とは、(成分A+成分C+成分E)/(成分A+成分B+成分C+成分D+成分E)の重量比率である。「MOF粒子単体の外表面積」とは、成分Cの外表面積である。「合成溶液中の仕込み繊維重量比率」とは、(成分B+成分D)/(成分A+成分B+成分C+成分D+成分E)の重量比率である。「繊維単体の外表面積」とは、成分Dの外表面積である。
一実施形態において、担持効率が、0.5以上であれば、金属有機構造体の吸着能力が低下することなく、液体との接触に用いる吸着材として問題なく使用できる程度に金属有機構造体が繊維の表面に担持しているとみなすことができる。担持効率は、好ましくは、0.6以上である。
本実施形態において、十分に結晶成長した金属有機構造体が繊維に担持されていることの指標として、以下の式で表される結晶性指標を使用することができる。
結晶性指標=(ろ過固形分の比表面積)/(合成溶液中のMOF原料重量比率×MOF粒子単体の比表面積+合成溶液中の仕込み繊維重量比率×繊維単体の比表面積)
ここで、上記式と同様の用語は同様の意味を指す。
一実施形態において、結晶性指標が、0.7以上、好ましくは、0.8以上であれば、優れた結晶性の金属有機構造体が、繊維の表面に形成されているとみなすことができる。
一実施形態において、複合体は、水溶媒と有機配位子とを混合して第一の混合物を得る工程、第一の混合物に、合成有機繊維または無機繊維を混合して、第二の混合物を得る工程、および第二の混合物に、金属イオンを混合して、合成有機繊維または無機繊維の表面上で、有機配位子と金属イオンとからなる金属有機構造体を形成する工程により作製される。
繊維を含む第二の混合物に混合された金属イオンは、繊維の表面に担持される。好ましい実施形態において、繊維は非共有結合電子対を有する官能基を有し、金属イオンは当該官能基に結合する。繊維の表面に結合された金属イオンを足場にして有機配位子が配位することにより、繊維の表面上に金属有機構造体が形成される。好ましい実施形態において、金属有機構造体の形成は、界面活性剤の存在下で行われる。界面活性剤は、第一の混合物を作製する際に、有機配位子と共に水溶媒中に混合されることが好ましい。界面活性剤を使用することにより、小粒径の金属イオン構造体が高収率で生成される。そのため、良好な結晶性の金属有機構造体が繊維の表面に担持される。
本実施形態の複合体の製造に用いられる界面活性剤として、非イオン性界面活性剤またはイオン性界面活性剤のいずれも用いることができる。イオン性界面活性剤としては、公知のカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、および両性界面活性剤を用いることができる。カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩等が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩、モノアルキル硫酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、モノアルキルリン酸塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルカルボキシベタイン等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアリールエーテル、ポリオキシアルキレンアラキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド等が例示される。中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアラルキルエーテルを用いることが好ましい。これらの界面活性剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、少量用いた場合であっても小粒径の金属有機構造体が得られることから、非イオン性界面活性剤を用いることが好ましい。
上記のポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、式(1)で表される化合物を用いることが好ましい。
2m+1−O−(CHCHO)H (1)
ここで、式(1)において、mは、2〜20の整数であり、nは、2〜60の整数である。
好ましくは、式(1)において、mは、4〜20の整数であり、nは、5〜50の整数である。
上記のポリオキシエチレンアラルキルエーテルとしては、式(2)で表される化合物を用いることが好ましい。
2m−1−O−(CHCHO)H (2)
ここで、式(3)において、mは、2〜20の整数であり、nは、2〜60の整数である。
好ましくは、式(3)において、mは、4〜20の整数であり、nは、5〜50の整数である。
上記のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルとしては、式(3)で表される化合物を用いることが好ましい。
R−O−(CHCHO)H (3)
ここで、式(3)において、Rは、置換または非置換の芳香族基であり、nは、2〜60の整数である。
好ましくは、式(3)において、Rは、フェニル基、または炭素数1〜20の直鎖または分枝鎖のアルキル基を有するフェニル基であり、nは、5〜50の整数である。
上述の非イオン性界面活性剤は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上述の非イオン性界面活性剤を用いることにより、小粒径であるとともに、その粒径分布が単分散性である金属有機構造体が生成し得る。
一実施形態において、用いられる非イオン性界面活性剤のHLB(Hydrophile−Lipophile Balance)値は、5以上20以下であることが好ましく、8以上19以下であることがより好ましい。上記範囲のHLB値を有する非イオン性界面活性剤を用いることにより、小粒径であるとともに、その粒径分布が単分散性である金属有機構造体が生成し得る。
ここで、HLB値は、界面活性剤の分野で使用される親水性−疎水性バランスであり、本実施形態においては、下記の川上式を用いる。
HLB=7+11.7×log(M/M
ここで、Mは、親水基の分子量を表し、Mは疎水基の分子量を表す。
本実施形態の方法において、用いる有機配位子の量は、金属イオン1モルに対して、20モル以上100モル以下であってもよく、20モル以上80モル以下であってもよい。上述のように、界面活性剤の存在下で金属イオンと有機配位子とを反応させることにより、金属イオンに対して大過剰の有機配位子を用いることなく、小粒径の金属有機構造体を高収率で得ることができる。
本実施形態の金属有機構造体の製造方法において、用いる界面活性剤の量は、金属イオン1モルに対して、0.005モル以上1モル以下である。上記範囲で界面活性剤を用いることにより、小粒径であるとともに、その粒径分布が単分散性の金属有機構造体を得ることができる。
金属イオンは、金属塩の形態で使用できる。金属塩としては、金属硝酸塩、金属硫酸塩、金属塩化物、金属臭化物、金属ヨウ化物、金属フッ化物、金属炭酸塩、金属蟻酸塩、金属リン酸塩、金属硫化物および金属水酸化物等が挙げられるが、これらに限定されない。
上記方法により得られる金属有機構造体は、小粒径であり、平均粒径が、10nm以上1000nm以下であり、好ましくは、20nm以上500nm以下である。また、金属有機構造体は、その粒径分布が単分散性であり、d90/d10の値が、1.0以上3.0以下であり、好ましくは1.0以上2.0以下である。また、d90/d50の値が、1.0以上3.0以下であり、好ましくは1.0以上2.0以下である。
本実施形態の複合体の製造方法は、水溶媒中で複合体が形成された後、水溶媒を除去、乾燥する工程を含んでもよい。
本実施形態の複合体は、液体の清浄化のための吸着材として使用される。吸着材として使用する場合、複合体をカラムに充填して用いてもよいし、複合体をフィルムの形態に成形してフィルターカートリッジに装着して用いてもよい。
本実施形態において液体の清浄化は、吸着対象の物質を含む液体と、吸着材とを接触させ、対象物質を吸着材に選択的に吸着させて、液体から対象物質を除去することにより実施される。吸着材と液体との接触は、例えば、本実施形態の複合体を液体に投入することにより、または複合体を備えるカラムまたはフィルターカートリッジに液体を通液することにより行われる。
一実施形態において、清浄化される液体は、排水等の水溶液、または有機廃液等の有機溶媒である。吸着対象の物質は、用いる金属有機構造体の種類により異なるが、例えば、金属有機構造体として、ZIF−8またはZIF−67を使用する場合、含酸素有機化合物または芳香族化合物、特に、含酸素六員環化合物またはフェノール性水酸基を有する芳香族化合物、たとえば、1,4−ジオキサン、テトラヒドロピラン、フェノール、ベンゼンおよびトルエンを選択的に吸着することができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。
以下、実施例を参照して本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。
(実施例1)
(複合体1の製造)
以下の方法により、ZIF−8とアラミドフィブリルとからなる複合体1を作製した。複合体1において、金属有機構造体:繊維=38:62(原料重量比率)である。
まずイオン交換水103.9gに、有機配位子としての2−メチルイミダゾール4.82gと、界面活性剤としてのポリオキシエチレン(15)オレイルエーテル0.027gを混合して、25℃で30分間撹拌し、第一の混合物を得た。この第一の混合物に、アラミドフィブリル(水分80%)2.50gを混合し、30分間撹拌し、第二の混合物を得た。この第二の混合物に、硝酸亜鉛六水和物0.40gをイオン交換水15.0gに溶解した亜鉛イオン溶液を滴下し、24時間撹拌した。得られた溶液を濾過し、固形分を回収し、エタノール200mlで3回洗浄し、100℃で乾燥して、複合体1を0.80g得た。
ポリオキシエチレン(15)オレイルエーテル:
18=C17−O−(CHCHO)15H(HLB値:12.0)
(実施例2)
(複合体2の製造)
以下の方法により、ZIF−8とアラミドフィブリルとからなる複合体2を作製した。複合体2において、金属有機構造体:繊維=50:50(原料重量比率)である。
まずイオン交換水163.4gに、有機配位子としての2−メチルイミダゾール7.23gと、界面活性剤としてのポリオキシエチレン(15)オレイルエーテル0.041gを混合して、25℃で30分間撹拌し、第一の混合物を得た。この第一の混合物に、アラミドフィブリル(水分80%)2.50gを混合し、30分間撹拌し、第二の混合物を得た。この第二の混合物に、硝酸亜鉛六水和物0.65gをイオン交換水15.0gに溶解した亜鉛イオン溶液を滴下し、24時間撹拌した。得られた溶液を濾過し、固形分を回収し、エタノール200mlで3回洗浄し、100℃で乾燥して、複合体2を1.00g得た。
(実施例3)
(複合体3の製造)
以下の方法により、ZIF−8とアラミドフィブリルとからなる複合体3を作製した。複合体3において、金属有機構造体:繊維=58:42(原料重量比率)である。
まずイオン交換水252.6gに、有機配位子としての2−メチルイミダゾール10.84gと、界面活性剤としてのポリオキシエチレン(15)オレイルエーテル0.061gを混合して、25℃で30分間撹拌し、第一の混合物を得た。この第一の混合物に、アラミドフィブリル(水分80%)2.50gを混合し、30分間撹拌し、第二の混合物を得た。この第二の混合物に、硝酸亜鉛六水和物0.89gをイオン交換水15.0gに溶解した亜鉛イオン溶液を滴下し、24時間撹拌した。得られた溶液を濾過し、固形分を回収し、エタノール200mlで3回洗浄し、100℃で乾燥して、複合体3を1.18g得た。
(実施例4)
(複合体4の製造)
以下の方法により、ZIF−8とアラミドフィブリルとからなる複合体4を作製した。複合体4において、金属有機構造体:繊維68:32(原料重量比率)である。
まずイオン交換水401.3gに、有機配位子としての2−メチルイミダゾール16.86gと、界面活性剤としてのポリオキシエチレン(15)オレイルエーテル0.095gを混合して、25℃で30分間撹拌し、第一の混合物を得た。この第一の混合物に、アラミドフィブリル(水分80%)2.50gを混合し、30分間撹拌し、第二の混合物を得た。この第二の混合物に、硝酸亜鉛六水和物1.39gをイオン交換水15.0gに溶解した亜鉛イオン溶液を滴下し、24時間撹拌した。得られた溶液を濾過し、固形分を回収し、エタノール300mlで3回洗浄し、100℃で乾燥して、複合体4を1.56g得た。
(実施例5)MOF:MF=78:22(原料重量比率)
(複合体5の製造)
以下の方法により、ZIF−8とアラミドフィブリルとからなる複合体5を作製した。複合体5において、金属有機構造体:繊維=78:22(原料重量比率)である。
まずイオン交換水698.6gに、有機配位子としての2−メチルイミダゾール28.90gと、界面活性剤としてのポリオキシエチレン(15)オレイルエーテル0.163gを混合して、25℃で30分間撹拌し、第一の混合物を得た。この第一の混合物に、アラミドフィブリル(水分80%)2.50gを混合し、30分間撹拌し、第二の混合物を得た。この第二の混合物に、硝酸亜鉛六水和物2.38gをイオン交換水15.0gに溶解した亜鉛イオン溶液を滴下し、24時間撹拌した。得られた溶液を濾過し、固形分を回収し、エタノール400mlで3回洗浄し、100℃で乾燥して、担持されなかったZIF−8粒子を含む複合体5を2.32g得た。
(実施例6)
比較例1の方法で作製したZIF−8粒子0.5gと、比較例3の方法で回収したアラミドフィブリル(水分0%)0.5gを物理混合し、混合物を作製した。
(比較例1)
アラミドフィブリルを用いないこと以外は実施例1と同様にして、ZIF−8粒子を作製した。
(比較例2)
アラミドフィブリル(水分80%)2.50gを100℃で3時間乾燥後、アラミドフィブリル(水分0%)0.50gとして回収した。
(比表面積および外表面積の測定)
実施例および比較例で得られた材料のBET比表面積および外表面積を、窒素吸着法により測定した。得られた値から、「比表面積/外表面積」を算出した。結果を以下の表1に示す。
(結晶性の評価)
実施例および比較例で得られた材料について、結晶性を評価した。
実施例1−5について、上述の複合体の製造方法において濾過して得られた固形分の比表面積(ろ過固形分の比表面積)を窒素吸着法により測定した。また金属有機繊維構造体の材料として用いた金属イオンおよび有機配位子ならびに繊維の量から、合成溶液中のMOFの重量、MOF粒子単体の単位重量あたりの比表面積、合成溶液中の繊維重量比率、および繊維単体の比表面積の各値を算出した。その後、以下の式により、結晶性指標を求めた。
結晶性指標=(ろ過固形分の比表面積)/(合成溶液中のMOFの重量×MOF粒子単体の単位重量あたりの比表面積+合成溶液中の繊維重量比率×繊維単体の比表面積)
実施例6および比較例1〜2について、得られた材料の比表面積を窒素吸着法により算出した。
(担持効率の評価)
実施例および比較例で得られた材料について、担持効率を評価した。
実施例1−5について、上述の複合体の製造方法において濾過して得られた固形分の外表面積(ろ過固形分の外表面積)を窒素吸着法により測定した。また金属有機繊維構造体の材料として用いた金属イオンおよび有機配位子ならびに繊維の量から、合成溶液中のMOF原料重量比率、MOF粒子単体の外表面積、合成溶液中の仕込み繊維重量比率および繊維単体の外表面積の各値を算出した。その後、以下の式により、担持効率を求めた。
担持効率=1−(ろ過固形分の外表面積)/(合成溶液中のMOF原料重量比率×MOF粒子単体の外表面積+合成溶液中の仕込み繊維重量比率×繊維単体の外表面積)
実施例6および比較例1〜2について、得られた材料の外表面積を窒素吸着法により算出した。
結果を以下の表1に示す。
Figure 2019018175
(実施例1)
(吸着性評価及び透水性評価)
以下の方法により、実施例1の複合体1について吸着性能を評価した。
まず0.2質量%の1,4−ジオキサン水溶液250mlに、複合体1を2.63g(ZIF−8分1.0g相当)投入し、40℃で24時間撹拌した。その後、水溶液中の1,4−ジオキサン濃度を分析することで、複合体1に対する1,4−ジオキサンの平衡吸着量(mg-ジオキサン/g−複合体)を算出した。さらに、複合体1中のZIF−8の単位重量当たりの平衡吸着量(mg−ジオキサン/g−ZIF−8)を算出した。
引き続き、この複合体1の吸着材としての透水性を評価した。吸着性評価後の複合体1が均一分散された水溶液を、予めエタノールで膨潤させたPTFEフィルター(直径47mm、細孔サイズ0.2μm)をセットした減圧ろ過装置にて、出口側を5kPaに減圧することで、複合体1と水溶液の分離を行い、透水完了までに要した時間と平均透水速度を計測した。結果を以下の表2に示す。
(実施例2)
(吸着性評価及び透水性評価)
以下の方法により、実施例2の複合体2について吸着性能を評価した。
まず0.2質量%の1,4−ジオキサン水溶液250mlに、複合体2を2.0g(ZIF−8分1.0g相当)投入し、40℃で24時間撹拌した。その後、水溶液中の1,4−ジオキサン濃度を分析することで、複合体2に対する1,4−ジオキサンの平衡吸着量(mg-ジオキサン/g−複合体)を算出した。さらに、複合体2中のZIF−8の単位重量当たりの平衡吸着量(mg−ジオキサン/g−ZIF−8)を算出した。
引き続き、吸着材としての透水性を評価した。吸着性評価後の複合体2が均一分散された水溶液を、予めエタノールで膨潤させたPTFEフィルター(直径47mm、細孔サイズ0.2μm)をセットした減圧ろ過装置にて、出口側を5kPaに減圧することで、複合体と水溶液の分離を行い、透水完了までに要した時間と平均透水速度を計測した。結果を以下の表2に示す。
(実施例3)
(吸着性評価及び透水性評価)
以下の方法により、実施例3の複合体3について吸着性能を評価した。
まず0.2質量%の1,4−ジオキサン水溶液250mlに、複合体3を1.72g(ZIF−8分1.0g相当)投入し、40℃で24時間撹拌した。その後、水溶液中の1,4−ジオキサン濃度を分析することで、複合体3に対する1,4−ジオキサンの平衡吸着量(mg-ジオキサン/g−複合体)を算出した。さらに、複合体3中のZIF−8の単位重量当たりの平衡吸着量(mg−ジオキサン/g−ZIF−8)を算出した。
引き続き、吸着材としての透水性を評価した。吸着性評価後の複合体3が均一分散された水溶液を、予めエタノールで膨潤させたPTFEフィルター(直径47mm、細孔サイズ0.2μm)をセットした減圧ろ過装置にて、出口側を5kPaに減圧することで、複合体と水溶液の分離を行い、透水完了までに要した時間と平均透水速度を計測した。結果を以下の表2に示す。
(実施例4)
(吸着性評価及び透水性評価)
以下の方法により、実施例4の複合体4について吸着性能を評価した。
まず0.2質量%の1,4−ジオキサン水溶液250mlに、複合体4を1.47g(ZIF−8分1.0g相当)投入し、40℃で24時間撹拌した。その後、水溶液中の1,4−ジオキサン濃度を分析することで、複合体4に対する1,4−ジオキサンの平衡吸着量(mg-ジオキサン/g−複合体)を算出した。さらに、複合体4中のZIF−8の単位重量当たりの平衡吸着量(mg−ジオキサン/g−ZIF−8)を算出した。
引き続き、吸着材としての透水性を評価した。吸着性評価後の複合体4が均一分散された水溶液を、予めエタノールで膨潤させたPTFEフィルター(直径47mm、細孔サイズ0.2μm)をセットした減圧ろ過装置にて、出口側を5kPaに減圧することで、複合体4と水溶液の分離を行い、透水完了までに要した時間と平均透水速度を計測した。結果を以下の表2に示す。
(実施例5)
(吸着性評価及び透水性評価)
以下の方法により、実施例5の複合体5について吸着性能を評価した。
まず0.2質量%の1,4−ジオキサン水溶液250mlに、複合体5を1.28g(ZIF−8分1.0g相当)投入し、40℃で24時間撹拌した。その後、水溶液中の1,4−ジオキサン濃度を分析することで、複合体5に対する1,4−ジオキサンの平衡吸着量(mg-ジオキサン/g−複合体)を算出した。さらに、複合体1中のZIF−8の単位重量当たりの平衡吸着量(mg−ジオキサン/g−ZIF−8)を算出した。
引き続き、吸着材としての透水性を評価した。吸着性評価後の複合体5が均一分散された水溶液を、予めエタノールで膨潤させたPTFEフィルター(直径47mm、細孔サイズ0.2μm)をセットした減圧ろ過装置にて、出口側を5kPaに減圧することで、複合体と水溶液の分離を行い、透水完了までに要した時間と平均透水速度を計測した。結果を以下の表2に示す。
(実施例6)
(吸着性評価及び透水性評価)
以下の方法により、実施例6の材料について吸着性能を評価した。
まず0.2質量%の1,4−ジオキサン水溶液250mlに、実施例6において物理混合して得た材料を2.0g(ZIF−8分1.0g相当)投入し、40℃で24時間撹拌した。その後、水溶液中の1,4−ジオキサン濃度を分析することで、この材料対する1,4−ジオキサンの平衡吸着量(mg-ジオキサン/g−複合体)を算出した。さらに、材料中のZIF−8の単位重量当たりの平衡吸着量(mg−ジオキサン/g−ZIF−8)を算出した。
引き続き、吸着材としての透水性を評価した。吸着性評価後の実施例6の材料が均一分散された水溶液を、予めエタノールで膨潤させたPTFEフィルター(直径47mm、細孔サイズ0.2μm)をセットした減圧ろ過装置にて、出口側を5kPaに減圧することで、この材料と水溶液の分離を行い、透水完了までに要した時間と平均透水速度を計測した。結果を以下の表2に示す。
(比較例1)
(吸着性評価及び透水性評価)
以下の方法により、比較例1の粒子について吸着性能を評価した。
まず0.2質量%の1,4−ジオキサン水溶液250mlに、比較例1の粒子を1.0g投入し、40℃で24時間撹拌した。その後、水溶液中の1,4−ジオキサン濃度を分析することで、粒子に対する1,4−ジオキサンの平衡吸着量(mg-ジオキサン/g−複合体)を算出した。比較例1は、繊維を含まないため、ZIF−8の単位重量当たりの平衡吸着量(mg−ジオキサン/g−ZIF−8)は、上記値と同じとなる。
引き続き、吸着材としての透水性を評価した。吸着性評価後の比較例1の粒子が均一分散された水溶液を、予めエタノールで膨潤させたPTFEフィルター(直径47mm、細孔サイズ0.2μm)をセットした減圧ろ過装置にて、出口側を5kPaに減圧することで、複合体と水溶液の分離を行い、透水完了までに要した時間と平均透水速度を計測した。比較例1の粒子を用いて透水した場合、粒子がフィルター上に堆積して、フィルターの通水経路が閉塞されたため(フィルター目詰まり)、透水速度を測定することができなかった。以下の表2に示す。
(比較例2)
(吸着性評価及び透水性評価)
以下の方法により、比較例2の繊維について吸着性能を評価した。
まず0.2質量%の1,4−ジオキサン水溶液250mlに、比較例2の繊維を1.0g投入し、40℃で24時間撹拌した。その後、水溶液中の1,4−ジオキサン濃度を分析することで、繊維に対する1,4−ジオキサンの平衡吸着量を算出した。
引き続き、吸着材としての透水性を評価した。吸着性評価後の比較例2の粒子が均一分散された水溶液を、予めエタノールで膨潤させたPTFEフィルター(直径47mm、細孔サイズ0.2μm)をセットした減圧ろ過装置にて、出口側を5kPaに減圧することで、複合体と水溶液の分離を行い、透水完了までに要した時間と平均透水速度を計測した。結果を以下の表2に示す。
Figure 2019018175
実施例1−5の複合体および実施例6の材料は、水と接触させて使用する吸着材の用途に問題なく使用することができた。また、吸着体としての性能は、繊維に担持させていない場合とほぼ同程度であった。一方、比較例1のように金属有機構造体のみを用いた場合、フィルターが目詰まりして液体処理の吸着材として用いるには不便であった。

Claims (14)

  1. 液体清浄化用の吸着材として用いられる複合体であって、
    当該複合体は、金属有機構造体と、繊維とを含み、
    前記金属有機構造体が、前記繊維の表面に担持され、
    前記繊維が、合成有機繊維または無機繊維である、複合体。
  2. 前記合成有機繊維または前記無機繊維が、非共有電子対を有する官能基を有する、請求項1に記載の複合体。
  3. 前記非共有電子対を有する官能基が、アミド基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、メチレンジオキシ基、フェノキシ基、カルボキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、アセトキシ基、ベンゾイロキシ基、アセチル基、プロピオニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、マロニル基、ベンゾイル基、ヒドロキシ基、ヒドロペルオキシ基、オキシ基、エポキシ基、ジオキシ基、カルボニル基、メルカプト基、チオ基、スルホ基、スルフィニル基、スルホニル基、スルホアミノ基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、ニトロソ基、イミダゾール基、アミノ基、ウレイド基、メチルアミノ基、イミノ基、ジアゾ基、アゾ基、アジド基、ジアゾアミノ基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、およびイオド基からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項2に記載の複合体。
  4. 前記金属有機構造体が、ゼオライト様イミダゾレート構造体である、請求項1乃至3のいずれかに記載の複合体。
  5. 前記ゼオライト様イミダゾレート構造体が、亜鉛またはコバルトと、イミダゾール化合物とからなる、請求項4に記載の複合体。
  6. 前記イミダゾール化合物が、2−メチルイミダゾール、イミダゾール−2−カルボアルデヒド、5−アザベンゾイミダゾール、または4−アザベンゾイミダゾールである、請求項5に記載の複合体。
  7. 前記金属有機構造体の、比表面積/外表面積の値が、5.0以上であり、
    ここで、前記比表面積は、窒素ガス吸着法にて測定され、BET法に基づいて得られるBET比表面積であり、前記外表面積は、窒素吸着のt−plot解析で得られる外表面積である、
    請求項1乃至6のいずれか一項に記載の複合体。
  8. 前記金属有機構造体が、10nm以上1000nm以下の平均粒子径を有する、請求項1に記載の複合体。
  9. 前記金属有機構造体が、前記繊維100質量%に対して、40質量%以上250質量%以下の量である、請求項1に記載の複合体。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の複合体を製造する方法であって、
    水溶媒と、有機配位子とを混合して第一の混合物を得る工程、
    前記第一の混合物に、合成有機繊維または無機繊維を混合して、第二の混合物を得る工程、
    前記第二の混合物に、金属イオンを混合して、前記合成有機繊維または前記無機繊維の表面上で、前記有機配位子と前記金属イオンとからなる金属有機構造体を形成する工程、を含む複合体の製造方法。
  11. 前記第一の混合物を得る工程が、界面活性剤をさらに混合する工程を含む、請求項10に記載の複合体の製造方法。
  12. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の複合体を含む、吸着材。
  13. 対象物質を含む液体と、請求項12に記載の吸着材とを接触させ、前記液体に含まれる前記対象物質を選択的に前記吸着材に吸着させて、前記液体から除去する工程を含む、液体の清浄化方法。
  14. 前記液体が、水溶液または有機溶液である、請求項13に記載の液体の清浄化方法。
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