JP7020833B2 - 成形体及びその製造方法 - Google Patents
成形体及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7020833B2 JP7020833B2 JP2017181212A JP2017181212A JP7020833B2 JP 7020833 B2 JP7020833 B2 JP 7020833B2 JP 2017181212 A JP2017181212 A JP 2017181212A JP 2017181212 A JP2017181212 A JP 2017181212A JP 7020833 B2 JP7020833 B2 JP 7020833B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- resin
- mof
- metal
- molded product
- composite material
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
Description
例えば、硝酸亜鉛6水和物とテレフタル酸(1,4-ベンゼンジカルボン酸、あるいはH2BDCとも称される。)とを、加圧及び加熱して反応させるか、三級アミンを触媒として反応させると、組成式Zn4O(BDC)3で表される構造体が得られる。BDCは、1,4-ベンゼンジカルボキシレートを示す。この構造体は、前述の組成式の構造が3次元的に連続して連なった構造体であり、MOF-5という名称で呼ばれることがある。
MOFは、構造中の金属を触媒として用いることも可能である。MOFは、空孔内に種々の材料を内包することにより、磁性材料、イオン伝導性材料、センサ、光学材料等の多彩な用途に用いることも可能である。MOFの構造、機能、応用分野等は、多くの総説により報告されている(例えば非特許文献2)。
〔1〕金属有機構造体と、SP値が15~25(MPa)1/2である樹脂とを含む複合材料からなる表面を有し、
前記複合材料からなる表面に前記金属有機構造体が露出しており、
下記式(1)により求められる、表面に露出している金属有機構造体比率が5~98%である、成形体。
表面に露出している金属有機構造体比率=(A/B)×100 ・・・(1)
ただし、Aは、X線光電子分光法により測定される、前記複合材料からなる表面における前記金属有機構造体由来の金属原子の量(atm%)を示し、
Bは、前記金属有機構造体における金属原子の量(atm%)を示す。
〔2〕前記複合材料からなる表面に凹凸構造を有する〔1〕の成形体。
〔3〕前記凹凸構造が規則的周期構造を含む〔2〕の成形体。
〔4〕前記樹脂の前記金属有機構造体に対する質量比が2/98~90/10である〔1〕~〔3〕のいずれかの成形体。
〔5〕前記金属有機構造体が結晶構造を有し、前記結晶構造の大きさの中央値が10nm~500μmである〔1〕~〔4〕のいずれかの成形体。
〔6〕前記結晶構造の大きさの中央値が50nm~100μmである〔5〕の成形体。
〔7〕前記結晶構造の大きさの中央値が500nm~20μmである〔6〕の成形体。
〔8〕金属有機構造体と、SP値が15~25(MPa)1/2である樹脂とを含む複合材料からなる表面を有する一次成形体を製造し、
前記一次成形体の前記複合材料からなる表面に物理処理を施し、前記金属有機構造体を露出させる、成形体の製造方法。
〔9〕前記物理処理が、コロナ処理、プラズマ処理、及び火炎処理からなる群から選ばれる少なくとも1種である〔8〕の成形体の製造方法。
〔10〕前記一次成形体の前記複合材料からなる表面に、前記物理処理を施す前又は後に、凹凸構造を形成する〔8〕又は〔9〕の成形体の製造方法。
本発明の成形体(以下、「本成形体」とも記す。)は、MOFと、SP値が15~25(MPa)1/2である樹脂とを含む複合材料からなる表面(以下、「複合材料面」とも記す。)を有する。複合材料については後で詳しく説明する。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
(i)複合材料からなる成形体。
(ii)複合材料以外の材料からなる基材と、基材上に設けられた複合材料からなる層(以下、「複合材料層」とも記す。)とを有する成形体(積層体)。
上記(ii)の成形体において、基材の材質としては、特に限定されず、例えば樹脂、金属、セラミック、ガラス、木材、紙類、布類等が挙げられる。
上記(ii)の成形体は、基材と複合材料層との間に他の層を更に有していてもよい。
本成形体が、表面積の少ないバルク状形態である場合や、シート状形態またはフィルム状形態であっても柔軟性等の特性が必要な場合には、複合材料以外の材料からなる基材に、複合材料層を設けてもよい。
図2は、本成形体の他の例を示す模式断面図である。この例の成形体2は、基材3と、基材3の両面それぞれに積層された複合材料層4とを含む積層シートである。成形体2の第1面2a及びその反対側の第2面2bはそれぞれ複合材料面である。基材3の厚さは、特に制限されないが、例えば柔軟シートの例として挙げれば10μm~30mmであってよい。複合材料層4の厚さは、成形体が必要とする表面機能、基材の柔軟性などの機械的特性、複合材料層の基材追従性や密着性などを勘案して決められるため、一概に言えないが、例えば一例として挙げれば1μm~1mmであってよい。
なお、図1~図2における寸法比は、説明の便宜上、実際のものとは異なったものである。成形体2において、複合材料層4は基材3の片面のみに積層されていてもよい。
表面露出MOF比率は、複合材料面のうち、MOFが露出している部分が占める割合を示す指標である。表面露出MOF比率が上記下限値以上であれば、MOFの多孔質性に由来する機能(吸着機能等。以下、「MOF機能」とも記す。)が充分に発現する。表面露出MOF比率が上記上限値以下であれば、MOFの破損や脱落が生じにくく、MOF機能の耐久性が優れる。
MOF比率は、10~90%が好ましく、15~80%がより好ましく、46~80%がさらに好ましい。
ただし、Aは、X線光電子分光法(以下、「XPS」とも記す。)により測定される複合材料面におけるMOF由来の金属原子の量(atm%)を示し、
Bは、MOFにおける金属原子の量(atm%)を示す。
MOFにおける金属原子の量Bは、MOFを構成する、リチウム以上の原子量を有する原子の全原子量(100atm%)に対する比率である。金属原子の量Bは、MOFの組成式から算出される。
複合材料が複数のMOFを含む場合、Bの値は、各MOFの質量を重みとして、各MOFの金属原子の量を加重平均した値とする。
表面露出MOF比率は、複合材料におけるMOFと樹脂との質量比、複合材料面に施す物理処理の条件等によって調整できる。
なお、走査型電子顕微鏡(SEM)に付属のエネルギー分散型X線分析(EDX)装置により複合材料面の元素分析を行うことで、表面露出MOF比率を簡易に確認することができる。EDXによる値は、必ずしも上記式(1)による値とは一致しないが、上記式(1)による値と同様の傾向を示す。例えばEDXによる値が大きいほど、上記式(1)による値も大きい傾向がある。
凹凸構造としては、例えば、複数の凸部又は凹部が分散配置された形状、複数の凸条又は溝が平行に配置された形状(いわゆるラインアンドスペース)、うねり形状等が挙げられる。凸部又は凸部の形状としては、例えば円柱状、多角柱状、半球状、円錐状、多角錐状等が挙げられる。
一つは表面積の増大である。成形体中のMOFは、成形体の表面に位置しているものがより機能を発揮する。表面積を増大させることで、表面に位置するMOFが増え、成形体中のMOFをより活用することができる。
もう一つの効果は、成形体の表面に気体や液体等の乱流を生じさせることである。MOF機能としては、気体や液体の吸着、貯蔵、分離等がある。吸着、貯蔵、分離等の対象となる気体や液体が成形体の表面を通過する際、成形体の表面が平面であると、気体や液体がそのまま流れていくため、成形体表面付近での気体や液体の濃度が低下しやすい可能性がある。表面に凹凸構造があれば、そこで気体や液体の乱流を生じ、表面付近の気体や液体が撹拌される。これにより、成形体表面で、吸着、貯蔵、分離等の対象となる気体や液体の濃度が低下せず、効果的な機能発現を行うことができる。
一方で、平面に対して極端に表面積が大きくなると、凹凸構造が壊れやすくなる。具体的な上限は樹脂の物性によるため一概に言えないが、例えば、表面積を平面に対して10倍超にするような、高さ方向のアスペクト比(高さ/幅)の大きいラインアンドスペースを表面に形成すると、凹凸構造は不安定かつ脆弱化しやすい。したがって、凹凸構造の表面積は、上面視で同じ大きさの平面の表面積の10倍以下が好ましい。
凹凸構造は、気体や液体の流れを複合材料面全面に行き渡らせやすい点で、規則的周期構造を含むことが好ましい。規則的周期構造は、製造しやすいという面からも好ましい。
規則的周期構造では、同じ大きさの複数の構造(凸部、凹部、凸条、溝等)が一定のピッチで、複合材料面の面内の一定の方向に配列している。複数の構造の配列方向は1方向でもよく2方向以上でもよい。
規則的周期構造を構成する複数の構造の大きさは、対象とする気体や液体に応じて選定される。成形性の点では、配列方向における幅(凸部又は凹部の直径、凸条又は溝の幅等)は、20nm~1mmの範囲内が妥当である。高さ方向のアスペクト比は、耐久性の点から、10以下が好ましい。ピッチは、例えば20nm~5mmとすることができる。
MOFとしては、MOFの定義に従ったものであれば特に制限は無い。MOFは、金属原子(金属イオンであってもよい。)と、2以上の配位性官能基を有する有機配位子とが連続的に結合している構造体である。MOFは、典型的には、内部に複数の空孔を有する多孔質体である。MOFは、空孔内に何らかの機能性分子を包接していてもよい。
MOFの金属原料としては、特に、Zn2+、Cu2+、Ni2+、Co2+等の金属イオンを有する錯体や金属含有二次構造単位(SBU)が好適である。
有機配位子としては、典型的には、2以上の配位性官能基が、剛直構造を有する骨格(例えば芳香族環、不飽和結合等)に置換したものが用いられる。
以下に本発明で好適に用いることができる有機配位子を例示する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
1,3,5-トリス(4-カルボキシフェニル)ベンゼン(BTB)、1,4-ベンゼンジカルボン酸(BDC)、2,5-ジヒドロキシ-1,4-ベンゼンジカルボン酸(DOBDC)、シクロブチル-1,4-ベンゼンジカルボン酸(CB BDC)、2-アミノ-1,4-ベンゼンジカルボン酸(H2N BDC)、テトラヒドロピレン-2,7-ジカルボン酸(HPDC)、テルフェニルジカルボン酸(TPDC)、2,6-ナフタレンジカルボン酸(2,6-NDC)、ピレン-2,7-ジカルボン酸(PDC)、ビフェニルジカルボン酸(BPDC)、フェニール化合物を有する任意のジカルボン酸、3,3’,5,5’-ビフェニルテトラカルボン酸、イミダゾール、ベンズイミダゾール、2-ニトロイミダゾール、シクロベンズイミダゾール、イミダゾール-2-カルボキシアルデヒド、4-シアノイミダゾール、6-メチルベンズイミダゾール、6-ブロモベンズイミダゾール等。
Zn4O(1,3,5-ベンゼントリベンゾエート)2で表されるMOF-177;IRMOF-Iとしても知られる、Zn4O(1,4-ベンゼンジカルボキシレート)3で表されるMOF-5;Mg2(2,5-ジヒドロキシ-1,4-ベンゼンジカルボキシレート)で表されるMOF-74(Mg);Zn2(2,5-ジヒドロキシ-1,4-ベンゼンジカルボキシレート)で表されるMOF-74(Zn);Cu2(3,3’,5,5’-ビフェニルテトラカルボキシレート)で表されるMOF-505;Zn4O(シクロブチル-1,4-ベンゼンジカルボキシレート)で表されるIRMOF-6;Zn4O(2-アミノ-1,4-ベンゼンジカルボキシレート)3で表されるIRMOF-3;Zn4O(テルフェニルジカルボキシレート)3又はZn4O(テトラヒドロピレン-2,7-ジカルボキシレート)3で表されるIRMOF-11;Zn4O(テトラヒドロピレン-2,7-ジカルボキシレート)3で表されるIRMOF-8;Zn(ベンズイミダゾレート)(2-ニトロイミダゾレート)で表されるZIF-68;Zn(シクロベンズイミダゾレート)(2-ニトロイミダゾレート)で表されるZIF-69;Zn(ベンズイミダゾレート)2で表されるZIF-7;Co(ベンズイミダゾレート)2で表されるZIF-9;Zn2(ベンズイミダゾレート)で表されるZIF-11;Zn(イミダゾレート-2-カルボキシアルデヒド)2で表されるZIF-90;Zn(4-シアノイミダゾレート)(2-ニトロイミダゾレート)でZIF-82;Zn(イミダゾレート)(2-ニトロイミダゾレート)で表されるZIF-70;Zn(6-メチルベンズイミダゾレート)(2-ニトロイミダゾレート)で表されるZIF-79;及びZn(6-ブロモベンズイミダゾレート)(2-ニトロイミダゾレート)で表されるZIF-81等。
結晶構造の大きさは、中央値として、10nm~500μmが好ましく、50nm~100μmがより好ましく、500nm~20μmが更に好ましい。結晶構造の大きさの中央値が上記範囲内であると、MOF機能と複合体としての物理的、機械的物性とを両立できる。
結晶構造の大きさの中央値が10nm未満である場合、結晶構造を構成するMOF構造単位は概ね3以下であると考えられ、樹脂中に複合された状態で表面積比が大きすぎ、空孔が活用されない可能性がある。一方、結晶構造の大きさの中央値が500μm超である場合、樹脂との物性(例えば弾性率や熱膨張率)の違いを反映して、樹脂とMOFとの界面が剥離し、結果として複合材料の欠陥部位となる可能性がある。そのため、樹脂中のMOFの結晶構造の大きさが小さすぎるとMOFの機能が制限され、大きすぎると複合材料としての強度や耐久性が不十分になるおそれがある。
走査型電子顕微鏡又は光学顕微鏡を用いて、成形体表面(複合材料面)の画像を得る。このときの倍率は、画像中に存在する結晶(MOF)の数が100~200個になる倍率とする。得られた画像中に存在する全ての結晶の最大径を測定し、それらの中央値(最小値と最大値との平均値)を算出し、その値をMOFの結晶構造の大きさの中央値とする。
樹脂のSP値は15~25(MPa)1/2であり、16~23(MPa)1/2が好ましい。
SP値とは、材料凝集力の平方根であり、材料の組成や構造により固有の数値となる。材料の凝集力は、分散、極性、水素結合の成分からなる。このうち、分散力は、分子の種類による差は比較的小さい。一方、極性及び水素結合は、分子が有する官能基により大きく異なる。一般に極性が大きな分子は、分子間の極性相互作用が大きくなり、SP値は大きな値となる。水素結合可能な分子は、水素結合により凝集力が大きくなり、結果としてSP値は大きな値を取る。
SP値が上記範囲内であると、MOFと樹脂とが適度に相互作用し、複合材料や成形体の製造中、あるいは製造後にストレスがかかっても、MOFと樹脂との界面が容易に剥がれたりせず、また、必要以上の相互作用がないため、MOFの多孔質体としての機能等を充分に活用できる。
SP値が15(MPa)1/2未満の樹脂の例としては、ポリテトラフルオロエチレン等のパーフルオロ樹脂、ジメチルシロキサン等の疎水性シリコーン樹脂が挙げられる。
SP値が25(MPa)1/2超の樹脂の例としては、ポリビニルアルコール、フェノール樹脂等の水酸基含有樹脂、ポリシアノアクリレート、ポリジニトリルフマレート等のシアノ基含有樹脂、ポリビニルアミン等の1級又は2級アミノ基含有樹脂が挙げられる。
樹脂の例としては、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂の分子量は、成形可能な範囲であればよく、例えば5千~100万であってよい。硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等が挙げられる。なお、樹脂が硬化性樹脂の場合、樹脂のSP値は、硬化後の硬化性樹脂のSP値である。
樹脂は、主鎖が炭素原子から構成される樹脂でもよく、主鎖に炭素原子以外の原子を含む樹脂(ポリエーテル樹脂、シリコーン樹脂等)でもよい。
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン等のポリオレフィン樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、ポリ(メタ)アクリル酸ヘキシル等のポリ(メタ)アクリレート樹脂;ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール等のポリビニルエステル樹脂;ポリビニルフェニルエーテル等のポリビニルエーテル樹脂;ポリ塩化ビニル等のポリビニルハライド樹脂;ポリスチレン、ポリメチルスチレン等のポリスチレン樹脂;ポリジメチルマレイン酸、ポリジメチルフマル酸等のポリビニルエステル樹脂;ナイロン66等のポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;セルロース、酢酸セルロース等のセルロース樹脂;アルキッド樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリ乳酸;ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリオキシアルキレン樹脂;ポリカーボネート樹脂;エポキシ樹脂;フラン樹脂;主鎖芳香族系高機能高分子;ベンゾオキサジン樹脂等。これらの共重合体や複合体、混合体等も用いることができる。
2種以上の樹脂を併用する場合、2種以上の樹脂全体でのSP値が15~25(MPa)1/2の範囲内であれば、単独でのSP値が15(MPa)1/2未満又は25(MPa)1/2超の樹脂が含まれていてもよい。
複合材料は、上述のMOFと樹脂とを含む。複合材料は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、他の成分を更に含んでいてもよい。
樹脂のMOFに対する質量比(樹脂/MOF)は、2/98~90/10が好ましく、5/95~70/30がより好ましく、10/90~50/50が更に好ましい。樹脂/MOFが2/98以上であると、樹脂によるMOFをつなぎとめる、いわゆるバインダとしての機能が充分に発揮され、複合材料面への物理的な接触や衝撃、複合材料面の変形等によるMOFの破損や脱落が生じにくい。また、複合材料の成形性が優れる。樹脂/MOFが90/10以下であると、MOFの絶対量が充分に多く、またMOFが樹脂に取り囲まれにくいため、MOF機能が発現しやすい。
MOFと樹脂との合計の含有量は、例えば複合材料の総質量に対し、30~100質量%であってよい。
なお、これら添加剤は、MOFの機能を妨げないものを用いることが好ましい。従って、予めMOFと添加剤との反応性や相互作用を評価してから使用することが好ましい。
また、一般的に、増量剤や強化剤等の目的で無機微粒子を樹脂に加えること場合が多い。しかし、MOFと樹脂との複合において、MOF以外の無機微粒子の添加は、MOFの添加量に影響するため、MOF機能への影響を十分に勘案して添加量を決定することが好ましい。
本発明の成形体の製造方法は、複合材料面を有する一次成形体を製造する工程(成形工程)と、一次成形体の複合材料面に物理処理を施し、MOFを露出させる工程(表面物理処理工程)とを有する。
本発明の成形体の製造方法は、必要に応じて、表面物理処理工程の前又は後に、一次成形体の複合材料面に凹凸構造を形成する工程(表面付形工程)をさらに含むことができる。表面物理処理工程の後に表面付形工程を行う場合、表面付形工程の後に再度、表面物理処理工程を行ってもよい。
一次成形体を製造する方法としては、例えば、MOFと樹脂とを複合し、成形する方法が挙げられる。MOFと樹脂とを複合する方法としては、公知の無機添加剤と樹脂との複合方法を用いてよい。
最も一般的な複合方法は、樹脂が溶媒に溶解した樹脂溶液にMOF結晶を加える方法である。この場合、一次成形体は以下のようにして製造できる。
分散液を得る際、MOF結晶が必要以上に壊れるような撹拌方法は好ましくない。超音波ホモジナイザー、ボールミル等、強い物理力や剪断力を発生する撹拌手段は、MOFの強度を勘案して使用する。
ここで、基材への分散液の塗布方法は特に限定されず、公知の塗布方法を用いてよい。例えば平面やフィルムへの塗布はロールコーター、バーコーター、凸版印刷、凹版印刷等を用いることができる。バルクや成形体への塗布は噴霧、インクジェット、ディップコート、静電塗工等の方法を用いることができる。
また、溶媒を揮発させる方法は特に限定されず、熱による乾燥、減圧による乾燥、風乾等、公知の乾燥方法を用いてよい。
これにより、樹脂中にMOFが分散した複合材料成形体(シート等)が形成される。基材に塗布して複合材料成形体を得た場合、基材と複合材料成形体との積層体をそのまま一次成形体としてもよく、複合材料成形体を基材から剥離して一次成形体としてもよい。
混練方法は特に限定されない。例えば、ニーダー、ロールプレス等の公知の混練装置を用いることができる。成形装置中の混練装置をそのまま使用してもよい。この場合、必要に応じて滑剤などを用いてもよい。
成形方法も特に限定されない。例えばプレス成形、射出成形、押し出し成形等、熱可塑性樹脂の成形方法として公知の成形方法を用いることができる。
この方法では、MOFに熱と剪断力が加わるため、MOFがそのストレスに耐えるか事前に検討しておくことが好ましい。
溶液法は、金属類(金属錯体あるいは金属含有二次構造体)の溶液と、有機配位子の溶液とを、必要に応じて触媒の存在下で、混合する方法である。
このとき、金属類の溶液の溶媒と、有機配位子の溶液の溶媒とが混和しにくい場合は、界面でMOF合成反応が起こる。この際、反応系を静置すると、界面に比較的大きなMOF結晶が成長する可能性がある。
金属類の溶液の溶媒と、有機配位子の溶液の溶媒とがが混和しやすい場合、あるいはそれらの溶媒が同じ溶媒である場合は、反応は随所で起こるため、細かい結晶または多結晶体が得られる。
水熱法は、金属類と有機配位子とを溶媒に溶解した溶液を耐圧容器に封入し、溶媒の沸点以上に加熱することで高温高圧下、反応させる方法である。反応性の低いものを反応させるときに好適に用いられる。
上述の材料(金属類、有機配位子等)を用い、これらの合成方法で合成すると、用いた材料に応じて種々のMOFが合成される。金属類や有機配位子の選択及び組み合わせ、あるいは複数の金属類や有機配位子の併用により、高い設計自由度でMOFが合成される。
MOFと重合性単量体(又は架橋性材料)等の混合は、重合性単量体(又は架橋性材料)の粘度等にもよるが、上述した樹脂溶液とMOFの混合と同様の方法で行うことができる。重合(または架橋)は、開始剤の存在下で行ってもよい。硬化性樹脂が液状である場合には、溶媒の使用は省略してもよい。
例えば、スチレンモノマー中にMOFを分散させ、スチレンをラジカル重合させる。これにより、ポリスチレン中にMOFが分散した複合材料が得られる。ポリスチレンは熱可塑性であるため、重合後、熱プレス等により、所望の形状に成形することができる。
あるいは、硬化前のエポキシ樹脂(例えばビスフェノールAジグリシジルエーテルとメチルヘキサヒドロ無水フタル酸との混合物)にMOFを分散させ、塗布や注型により所望の形態とした後、加熱硬化することで複合材料成形体(一次成形体)が得られる。ここでは熱硬化性のエポキシ樹脂を例に挙げたが、光硬化性の材料(例えば多官能アクリレート等)も用いることができる。
樹脂として、有機配位子構造を持つ樹脂(例えばテレフタル酸のポリエーテル)を用いてもよい。この場合、有機配位子を別途配合しなくてもよい。
このように樹脂溶液中でMOFを合成すると、大きなストレスをかけずに樹脂とMOFとを複合化できる。そのため、特に脆いMOFを樹脂と複合する場合にこの方法を好適に用いることができる。
この方法では、反応しなかった金属類や有機配位子が複合材料成形体中に残る場合がある。そのため、これら未反応物を溶媒抽出法等で複合材料成形体から取り除くか、複合材料成形体中に残留しても問題が無いことを確認することが好ましい。
この方法では、樹脂とMOFとを同時あるいは順次合成する。この方法を用いると、ストレスなしに高分散複合材料が得られる。一方で、この方法では、重合反応(又は架橋反応)へのMOF原料の影響、逆に、MOF合成反応への重合性単量体(又は架橋性材料)や開始剤の影響を勘案する必要があるため、複合する系には制限がある。また、複合材料成形体からの残留単量体やMOF未反応原料の除去や影響を勘案する必要がある。
表面物理処理工程では、一次成形体の複合材料面に物理処理を施す。
樹脂による複合効果(可撓性、耐久性、成形性、基材との密着性、凝集性等)を発揮させるためには、ある程度の量の樹脂が必要となる。この場合、MOFの一部は樹脂中に埋もれてしまうことになる。この場合、MOF機能は充分に発揮されない。
一次成形体の複合材料面を物理処理し、表層の樹脂被膜を取り除くことで、埋もれていたMOFが表面に露出し、複合材料面の表面露出MOF比率が増大する。その結果、MOF機能が充分に発揮されるようになる。例えば、物理処理を行うことで、ガス吸着機能が大きく向上する。
MOFを露出させるためには、MOF上に存在する樹脂薄膜を除去するだけでよいため、比較的温和な物理処理が好ましい。このような物理処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理等が挙げられる。これらの処理は、成形体に致命的なダメージを与えず、表面の活性化のみを行うために好適に用いることができる。
ただし、物理処理はこれらの方法に限定されず、サンドブラストのような物理的な表面粗化法、アーク放電のような強い電気ストレスを加える方法等も、目的に応じて使用できる。
具体的な処理条件の設定は、実際に成形体の処理を行い、確認しながら実施することか好ましい。
表面付形工程では、一次成形体の複合材料面に凹凸構造を形成する。
凹凸構造の形成方法に特に制限はなく、一般的な手法を用いることができる。例えば、表面に凹凸構造を有する型を加熱下で複合材料面に押し当てて凹凸構造を転写する方法、複合材料面をレーザー切削加工する方法等が挙げられる。一次成形体を注型により製造する場合、その型に予め凹凸構造を形成しておいてもよい。
ピッチが1μm未満の微細凹凸構造を形成する場合、ナノインプリント技術を用いることが好ましい。ナノインプリント技術は、大きく分類すると、加熱して型を押しつける熱ナノインプリント技術、透明な型に光硬化性樹脂を注型して固める光ナノインプリント、シリコーンのような離型性良好な凸版に対象となる成形体を付着させ、必要な部分にプリントするマイクロコンタクトプリントなどがあり、いずれの方法も本発明に好適に用いることができる。
なお、実施例で使用される化合物、溶媒等は全て市販品(断りのない限り、和光純薬工業(株)社製)を用いた。「室温」は23±5℃の温度である。
実施例中のSP値はPolymer Handbook(第四版、1999年、VII/675頁)から引用した。
表面露出MOF比率及びBET比表面積の測定方法は以下のとおりである。MOFの結晶構造の大きさの中心値は、SEMを用い、上述の測定方法により測定した。
XPS装置(Kratos社製)を用い、以下の条件で、成形体(積層体又はシート)の概中央部分を10mm角、厚み5mm以内に切断し、測定サンプルとした。切断した複合材料面のうち、中央付近1×2mmの範囲を測定対象面とし、測定対象面の金属原子(Zn又はZr)の量A(atm%)を測定した。この値と、成形体に用いたMOFの金属原子(Zn又はZr)の量B(atm%)から、前記式(1)により表面露出MOF比率(%)を算出した。
XPS測定条件:X線源AlKα(モノクロ)を用い、ワイドスペクトルと、想定される元素のナロースペクトルを測定、これらの結果よりatm%を算出。
成形体の吸着性能の指標として、BET比表面積を測定した。BET比表面積は、窒素を吸着ガスとし、BET法により測定される比表面積である。測定は、BET比表面積計(島津製作所製)を用いて行った。
テレフタル酸5.7gをジメチルホルムアミド(以下、「DMF」とも記す。)400mLに溶解し、この溶液に官能基等量のトリエチルアミン(8.5mL)を加え、10分間室温にて撹拌し、テレフタル酸-トリエチルアミン溶液を得た。別途、硝酸亜鉛6水和物23.1gを500mLのDMFに加え溶解し、硝酸亜鉛溶液を得た。テレフタル酸-トリエチルアミン溶液に硝酸亜鉛溶液を、撹拌しながら室温にて15分かけて滴下し、滴下終了後、室温にて更に2.5時間撹拌を継続し、反応液を得た。反応液中の沈殿を濾取し、再度DMF250mLに分散し、1夜、室温にて撹拌を継続した。次いで、沈殿を再度濾取し、クロロホルム(安定剤不含)350mLに分散し、更に1日、室温にて撹拌する洗浄処理を行った。クロロホルムによる洗浄処理を更に3回繰り返した。クロロホルム中の沈殿を、デカンテーション後、遠心分離機(2500rpm、3分)で沈降させ、得られた沈殿を室温にて減圧乾燥(オイルポンプ使用)し、更に120℃にて6時間乾燥し、MOF-5(Zn原子の量B:9.3atm%)の粉末5.25gを得た。MOF-5の構造は、粉末X線散乱装置(島津製作所製)にて確認した。得られたMOF-5を走査型電子顕微鏡(日本電子製)にて観察したところ、結晶構造の大きさの中心値は2.5μmであった。
2,5-ジヒドロキシテレフタル酸2.4gをDMF200mLに溶解し、フタル酸溶液を得た。別途、硝酸亜鉛6水和物9.3gをDMF200mLに溶解し、亜鉛溶液を得た。亜鉛溶液にフタル酸溶液を、撹拌しながら室温にて10分かけて滴下し、滴下終了後、室温にて更に20時間撹拌を継続し、反応液を得た。反応液中の結晶を遠心分離機(合成例1と同条件)にて沈降させた。得られた結晶を、DMF200mLで3回洗浄し、続いてメタノール200mLで3回洗浄し、メタノール200mL中に再度分散させ、1夜、室温にて撹拌した。メタノール中の結晶を遠心分離機で分離し、得られた結晶を、室温にて8時間減圧乾燥し、次いで110℃にて12時間乾燥し、次いで260℃にて12時間乾燥して、MOF-74(Zn)(Zn原子の量B:12.5atm%)の粉末2.9gを得た。MOF-74の構造は、粉末X線散乱装置にて確認した。結晶構造の大きさの中心値は8.5μmであった。
4塩化ジルコニウム10.6g、テレフタル酸6.8gをDMF1000mLに室温にて溶解した。この溶液を窒素雰囲気下120℃にて24時間加熱撹拌し、反応液を得た。反応液を室温まで冷却し、反応液中の沈殿を濾取し、合成例1のMOF-5と同様に、DMFとクロロホルムにて洗浄、乾燥し、UiO-66(Zr原子の量B:0.70atm%)の粉末3.4gを得た。UiO-66の構造は粉末X線散乱装置にて確認した。結晶構造の大きさの中心値は0.8μmであった。
ポリアクリル酸エチル(Sigma-Aldrich社製、SP値19.2(MPa)1/2)1gをテトラヒドロフラン(以下、「THF」とも記す。)20mLに溶かした。ここにMOF-74(Zn)の粉末2gを加え、自公転型撹拌脱泡装置(シンキー社製)にて分散させ、分散液を得た。
上記分散液を、100μm厚の表面親水化ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」とも記す。)フィルム(帝人製)の第1面に、アプリケータ(テスター産業製)にて厚み100μmで塗布した。室温にて2時間乾燥後、80℃オーブンに入れ、3時間乾燥した。これにより、表面親水化PETフィルム上に6μm厚の白濁したMOF含有フィルムが得られた。次いで、上記表面親水化PETフィルムの第1面とは反対側の第2面に、上記と同様にしてMOF含有フィルムを形成し、表面親水化PETフィルムの両側にMOF含有フィルムが積層した積層体を得た。この積層体のBET比表面積は620m2/gで、表面露出MOF比率は45%であった。
この積層体の両面をそれぞれ、コロナ処理装置にて処理(コロナ処理)したところ、BET比表面積は880m2/g、表面露出MOF比率は65%となった。
更に、この積層体の両面それぞれに、ピッチ20μm、深さ10μmのラインアンドスペース構造を表面に有する金属ロールを押し当て、120℃で表面付形し、その後、再度コロナ処理したところ、BET比表面積は1030m2/g、表面露出MOF比率は69%となった。
ポリエチレン(Sigma-Aldrich社製、SP値16.2(MPa)1/2)1gとUiO-66の粉末2gを、加熱卓上ニーダー(井本製作所製)に入れ、220℃にて30分加熱混練した。得られた白濁樹脂複合体を卓上プレス(井本製作所製)にて240℃プレスし、100μm厚のシートを得た。このシートのBET比表面積は320m2/g、表面露出MOF比率は30%であった。
このシートを真空プラズマ装置に入れ、両面それぞれにアルゴンプラズマを照射(アルゴンプラズマ処理)したところ、BET比表面積は520m2/g、表面露出MOF比率は49%となった。
更に、このシートの両面それぞれに、実施例1で用いた金属ロールを押し当て、240℃で表面付形し、その後、再度アルゴンプラズマ処理したところ、BET比表面積は630m2/g、表面露出MOF比率は55%となった。
エピコート828(Sigma-Aldrich社製)1g及びメチルヘキサヒドロフタル酸無水物1gに、MOF-5の粉末3gを加え、DMFの5mLを更に加え、自公転式撹拌脱泡装置にて混練し、混合物を得た。
この混合物を、アプリケータを用い、30μm厚にて100μm厚ポリイミドフィルム(DuPont社製)に塗布し、80℃で3時間、180℃で2時間、及び220℃で1時間加熱した。これにより、ポリイミドフィルム上に、エポキシ樹脂(エピコート828のメチルヘキサヒドロフタル酸無水物による硬化物、SP値22.2(MPa)1/2)とMOF-5とを含むシートが得られた。
得られたシートをポリイミドフィルムから剥がしたところ、18umの濁った淡褐色の硬い単独シートとなった。このシートのBET比表面積は1200m2/g、表面露出MOF比率は27%であった。
このシートの両面をそれぞれ火炎処理装置にて処理(火炎処理)したところ、BET比表面積は1480m2/g、表面露出MOF比率は33%となった。
なお、このシートに、実施例1で用いた金属ロールで表面付形しようとしたところ、シートが破損した。そこで、別途、上記と同様にしてシートを作製し、火炎処理した後、シートの両面それぞれに、レーザー切削加工により、50μm幅、5μm厚のラインアンドスペース構造を形成する加飾処理を行った。その結果、シートのBET比表面積は1650m2/g、表面露出MOF比率は34%となった。
本成形体は、MOF機能及びその耐久性に優れており、分子吸着、貯蔵、分離のほか、医薬や香料の徐放、磁性材料、イオン伝導性材料、センサ、光学材料等への展開が可能である。
1a,2a 第1面(複合材料からなる表面)
1b,2b 第2面(複合材料からなる面)
2 成形体
3 基材
4 複合材料層
Claims (13)
- 金属有機構造体と、SP値が15~25(MPa)1/2である樹脂とを含み、前記樹脂が、ポリオレフィン樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリビニルエステル樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリビニルハライド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、アルキッド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ乳酸、ポリオキシアルキレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、並びにこれらの共重合体、複合体及び混合体からなる群から選択される1種以上であり、前記樹脂中に前記金属有機構造体が分散した複合材料からなる表面を有し、
前記複合材料からなる表面に前記金属有機構造体が露出しており、
下記式(1)により求められる、表面に露出している金属有機構造体比率が5~98%であり、
前記複合材料からなる表面に凹凸構造を有し、
前記凹凸構造が、上面視で当該凹凸構造と同じ大きさの平面に対して1.2倍以上10倍以下の表面積を持つ、成形体。
表面に露出している金属有機構造体比率=(A/B)×100 ・・・(1)
ただし、Aは、X線光電子分光法により測定される、前記複合材料からなる表面における前記金属有機構造体由来の金属原子の量(atm%)を示し、
Bは、前記金属有機構造体における金属原子の量(atm%)を示す。 - 前記凹凸構造が規則的周期構造を含む請求項1に記載の成形体。
- 前記樹脂の前記金属有機構造体に対する質量比が2/98~90/10である請求項1又は2に記載の成形体。
- 前記樹脂の前記金属有機構造体に対する質量比が10/90~50/50である請求項3に記載の成形体。
- 前記金属有機構造体が結晶構造を有し、前記結晶構造の大きさの中央値が10nm~500μmである請求項1~4のいずれか一項に記載の成形体。
- 前記結晶構造の大きさの中央値が50nm~100μmである請求項5に記載の成形体。
- 前記結晶構造の大きさの中央値が500nm~20μmである請求項6に記載の成形体。
- 金属有機構造体と、SP値が15~25(MPa)1/2である樹脂とを含み、前記樹脂が、ポリオレフィン樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリビニルエステル樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリビニルハライド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、アルキッド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ乳酸、ポリオキシアルキレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、並びにこれらの共重合体、複合体及び混合体からなる群から選択される1種以上であり、前記樹脂中に前記金属有機構造体が分散した複合材料からなる表面を有する一次成形体を製造し、
前記一次成形体の前記複合材料からなる表面に物理処理を施し、前記金属有機構造体を露出させる、成形体の製造方法。 - 前記物理処理が、コロナ処理、プラズマ処理、及び火炎処理からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項8に記載の成形体の製造方法。
- 前記一次成形体の前記複合材料からなる表面に、前記物理処理を施す前又は後に、凹凸構造を形成する請求項8又は9に記載の成形体の製造方法。
- 前記凹凸構造が、上面視で当該凹凸構造と同じ大きさの平面に対して1.2倍以上10倍以下の表面積を持つ、請求項10に記載の成形体の製造方法。
- 前記樹脂の前記金属有機構造体に対する質量比が2/98~90/10である請求項8~11のいずれか一項に記載の成形体の製造方法。
- 前記樹脂の前記金属有機構造体に対する質量比が10/90~50/50である請求項12に記載の成形体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017181212A JP7020833B2 (ja) | 2017-09-21 | 2017-09-21 | 成形体及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017181212A JP7020833B2 (ja) | 2017-09-21 | 2017-09-21 | 成形体及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019056055A JP2019056055A (ja) | 2019-04-11 |
JP7020833B2 true JP7020833B2 (ja) | 2022-02-16 |
Family
ID=66107075
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017181212A Active JP7020833B2 (ja) | 2017-09-21 | 2017-09-21 | 成形体及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7020833B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7150305B2 (ja) * | 2018-06-20 | 2022-10-11 | 株式会社ニックス | 機能徐放性組成物及び成形体 |
WO2024048308A1 (ja) * | 2022-09-01 | 2024-03-07 | 日産化学株式会社 | 金属有機構造体分散液の製造方法、金属有機構造体分散液及び金属有機構造体分散液を含む金属有機構造体組成物 |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014036935A (ja) | 2012-08-17 | 2014-02-27 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 複合多孔質体及びその製造法 |
CN105435652A (zh) | 2015-11-24 | 2016-03-30 | 山东师范大学 | 一种金属有机框架-聚氨酯交联膜及其制备方法与应用 |
JP2016052620A (ja) | 2014-09-03 | 2016-04-14 | 日本製紙株式会社 | 金属−有機構造体とセルロースナノファイバーとの複合体 |
JP2017501862A (ja) | 2013-12-16 | 2017-01-19 | サビック グローバル テクノロジーズ ビー.ブイ. | 処理済み混合マトリックス高分子膜 |
WO2017152240A1 (en) | 2016-03-11 | 2017-09-14 | Commonwealth Scientific And Industrial Research Organisation | Polymeric agents and compositions for inhibiting corrosion |
JP2019018175A (ja) | 2017-07-20 | 2019-02-07 | 住友ベークライト株式会社 | 複合体、複合体の製造方法、吸着材、および液体の清浄化方法 |
-
2017
- 2017-09-21 JP JP2017181212A patent/JP7020833B2/ja active Active
Patent Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014036935A (ja) | 2012-08-17 | 2014-02-27 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 複合多孔質体及びその製造法 |
JP2017501862A (ja) | 2013-12-16 | 2017-01-19 | サビック グローバル テクノロジーズ ビー.ブイ. | 処理済み混合マトリックス高分子膜 |
JP2016052620A (ja) | 2014-09-03 | 2016-04-14 | 日本製紙株式会社 | 金属−有機構造体とセルロースナノファイバーとの複合体 |
CN105435652A (zh) | 2015-11-24 | 2016-03-30 | 山东师范大学 | 一种金属有机框架-聚氨酯交联膜及其制备方法与应用 |
WO2017152240A1 (en) | 2016-03-11 | 2017-09-14 | Commonwealth Scientific And Industrial Research Organisation | Polymeric agents and compositions for inhibiting corrosion |
JP2019018175A (ja) | 2017-07-20 | 2019-02-07 | 住友ベークライト株式会社 | 複合体、複合体の製造方法、吸着材、および液体の清浄化方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2019056055A (ja) | 2019-04-11 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Liu et al. | Self-healing hyper-cross-linked metal–organic polyhedra (HCMOPs) membranes with antimicrobial activity and highly selective separation properties | |
Zou et al. | A mussel-inspired polydopamine-filled cellulose aerogel for solar-enabled water remediation | |
JP7377106B2 (ja) | 組成物、成形体の製造方法及び成形体 | |
Liu et al. | Layered double hydroxide functionalized textile for effective oil/water separation and selective oil adsorption | |
Zhu et al. | Alginate hydrogel: a shapeable and versatile platform for in situ preparation of metal–organic framework–polymer composites | |
Cao et al. | Dually prewetted underwater superoleophobic and under oil superhydrophobic fabric for successive separation of light oil/water/heavy oil three-phase mixtures | |
CN1273638C (zh) | 制造金属片的方法 | |
Sparks et al. | Superhydrophobic hybrid inorganic–organic thiol-ene surfaces fabricated via spray-deposition and photopolymerization | |
Wen et al. | Recent advances in the fabrication of superhydrophobic surfaces | |
JP7020833B2 (ja) | 成形体及びその製造方法 | |
Manabe et al. | Chitin nanofibers extracted from crab shells in broadband visible antireflection coatings with controlling layer-by-layer deposition and the application for durable antifog surfaces | |
KR20140117352A (ko) | 화합물, 금속 산화물 입자 및 그것들의 제조방법과 용도 | |
Lee et al. | Ion-exchange reactions and photothermal patterning of monolayer assembled polyacrylate-layered double hydroxide nanocomposites on solid substrates | |
Guadagno et al. | Protection of graphene supported ROMP catalyst through polymeric globular shell in self-healing materials | |
Liang et al. | Superhydrophilic Modification of Polyvinylidene Fluoride Membrane via a Highly Compatible Covalent Organic Framework–COOH/Dopamine-Integrated Hierarchical Assembly Strategy for Oil–Water Separation | |
Zhang et al. | In situ assembly of polyamide/Fe (BTC) nanocomposite reverse osmosis membrane assisted by Fe3+–polyphenolic complex for desalination | |
US20090297830A1 (en) | Process for incorporating metal nanoparticles in a polymeric article | |
Zhang et al. | Preparation of porous urushiol-based polybenzoxazine films with chemical resistance by breath figures method | |
Wang et al. | Nanoporous gyroid-structured epoxy from block copolymer templates for high protein adsorbability | |
JPS62148532A (ja) | ガスバリア性透明プラスチツクフイルム及びその製造方法 | |
Gao et al. | Polymer Langmuir-Blodgett film of organic-inorganic (Fe2O3) composite microgel | |
Su et al. | Metal–Organic Frameworks with a Bioinspired Porous Polymer Coating for Sieving Separation | |
JP2010070640A (ja) | 加水分解性ケイ素化合物、加水分解性ケイ素化合物の製造方法、加水分解性ケイ素化合物の縮合物、樹脂添加剤、無機表面改質剤、膜形成剤、及び、樹脂組成物 | |
Inoue et al. | Organic derivatives of layered inorganics having the second stage structure | |
JP6500089B2 (ja) | 帯電防止シートならびにそれを含む包装材および電子デバイス |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20200615 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20210421 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210427 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210624 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20211012 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20211213 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20220111 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20220203 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 7020833 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |