本発明の一実施形態について図1〜図15を用いて説明する。ここでは本実施形態に係る各部の左右方向を、パチンコ機1の前面視、すなわち遊技者からパチンコ機1を見たときのパチンコ機の左右方向(図面の左右方向と一致)として説明する。
図1に示すように、パチンコ機1は、遊技場の島設備に設置される長方形状の機枠2と、機枠2に対し扉状に開閉可能に取り付けられた前面枠3と、前面枠3に対し開閉可能に取り付けられたガラス扉4と、ガラス扉4の下方において前面枠3に扉状に開閉可能に設けられた前面ボード5とを備えている。前面枠3の内側には、遊技盤10(図2に示した)が嵌め込まれていて、ガラス扉4の中央にはその遊技盤10上の遊技領域全体を透過して見えるようガラス窓4aが設けられている。前面ボード5には、遊技球を収容する受皿6と、遊技球の発射および発射強度を指令する発射ハンドル7が設けられている。
図2に示すように遊技盤10の略中央には、遊技盤10を前後方向に貫通した開口部11が形成されている。パチンコ機1の前方から開口部11を通じて見える遊技盤10の後方には、液晶表示装置から成り図柄を表示する表示部12が設けられている。その表示部12と遊技盤10の間の領域内である表示部12の前方には、図4に示す機械式演出部20に備えられた両引き戸型の1対の扉21A,21Bが位置する。つまり、パチンコ機1の演出装置は表示部12と機械式演出部20とを有し、機械式演出部20に備えられた1対の扉21A,21Bの開閉によって、表示部12を遊技者に見せたり覆い隠したりする演出を行うものである(図7〜図9参照)。
機械式演出部20全体は遊技盤10の後方に位置する。この機械式演出部20は、図5に示すように、パチンコ機1の背面側に取り付けられる基板24を有する。この基板24は中央に開口部24aが形成された板枠状の部材であって、パチンコ機1の盤面(遊技盤10の前面)に対して略平行な方向に広がって位置する。前出の1対の扉21A,21Bは、その基板24の前方において、基板24と略平行に広がって位置する。その1対の扉21A,21Bの後方には、円環状の第1リング部材30が位置する。この第1リング部材30の後方で第1リング部材30と同軸上には、円環状の第2リング部材34が位置する。遊技者は1対の扉21A,21Bが開いたときに、第1リング部材30の内側と第2リング部材34の内側と基板24の内側とを通じて表示部12を見ることになる。
図4に示すように、第1リング部材30の上方、右斜め下方および左斜め下方の3個所には回転ガイド部60が設けられている。この回転ガイド部60は、基板24に固着されたローラカバー部材61と、このローラカバー部材61内において基板24に略直交する方向(前後方向)に延びた軸棒63(図11,図11bに示した)と、パチンコ機1の前後方向に並んで軸棒63が串刺し状に挿通された回転自在な第1ガイドローラ63と第2ガイドローラ64(図11,図11bに示した)とを有する。第1ガイドローラ63は第2ガイドローラ64の前側に位置する。第1ガイドローラ63および第2ガイドローラ64は、ローラカバー部材61から第1リング部材30および第2リング部材34に向かって突出している。なお、図11,図11bにおいて、左下方の回転ガイド部60の第1ガイドローラ63を描かないことにより第2ガイドローラ64を示した。
第1ガイドローラ63の外周面には、この第1ガイドローラ63の軸棒63周りの円を描いた規制溝(図示してない)が形成されている。そして、3つの第1ガイドローラ63の規制溝のすべてに第1リング部材30の周縁部が挿入されている。3つの第1ガイドローラ63は、第1リング部材30を、基板24の広がり方向と平行な方向への移動と前後方向への移動とを規制した状態で、基板24に対して回転自在に支持する回転支持手段を構成している。図11bにおける63aは第1ガイドローラ63の規制溝の底部である。
第2ガイドローラ64の外周面にも、第1ガイドローラ63と同様の規制溝(図示してない)が形成されている。そして、3つの第2ガイドローラ64の規制溝のすべてに第2リング部材34の周縁部が挿入されている。つまり、3つの第2ガイドローラ64は、第2リング部材34を、基板24の広がり方向と平行な方向への移動と前後方向への移動とを規制した状態で、基板24に対して回転自在に支持する回転支持手段を構成している。図11〜図13における64aは第2ガイドローラ64の規制溝の底部である。
第1リング部材30を回転駆動したり停止状態に保持したりすることが可能な第1駆動手段ついて説明する。
図11aに示すように、第1リング部材30および第2リング部材34の右上方には第1電動モータ40が設けられている。この第1電動モータ40において出力軸40aは円筒状のモータハウジング40bから前方向に突出している。第1電動モータ40の出力軸40aはモータハウジング40bに内蔵された減速ギア機構(図示してない)から延びたものであるため、モータハウジング40bに対して偏心して位置する。モータハウジング40bから出力軸40aはモータハウジング40bに対して偏心して位置する。出力軸40aには第1駆動ギア41が回転不能に取り付けられている。第1リング部材30にはこの第1リング部材30と同軸に第1従動ギア42(図6参照)が設けられて、この第1従動ギア42と第1駆動ギア41とが噛み合っている。第1電動モータ40は、図4に示すように、基板24に取り付けられた取付部材43によって覆われている。また、第1駆動ギア41は第1駆動ギアカバー部材44により覆われている。この第1駆動ギアカバー部材44は取付部材43を介して基板24に取り付けられている。第1電動モータ40、第1駆動ギア41および第1従動ギア42が、第1リング部材30を回転駆動したり停止状態に保持したりすることが可能な第1駆動手段を構成している。
第2リング部材34を回転駆動したり停止状態に保持したりすることが可能な第2駆動手段について説明する。
図11aに示すように、第1リング部材30および第2リング部材34の左上方には、第2電動モータ50が設けられている。この第2電動モータ50において出力軸50aは、円筒状のモータハウジング50bから後方向に突出している。第2電動モータ50の出力軸50aもモータハウジング50bに内蔵された減速ギア機構(図示してない)から延びたものであるため、モータハウジング50bに対して偏心して位置する。出力軸50aには第2駆動ギア51が回転不能に取り付けられている。第2リング部材34にはこの第2リング部材34と同軸に第2従動ギア52(図6参照)が設けられていて、この第2従動ギア52は第2駆動ギア51と噛み合っている。図5に示すように、第2駆動ギア51は第2駆動ギアカバー部材54により覆われている。この第2駆動ギアカバー部材54は基板24に取り付けられている。第2電動モータ50はモータハウジング50bを露出させた状態で第2駆動ギアカバー部材54を介して基板24に取り付けられている。第2電動モータ50、第2駆動ギア51および第2従動ギア52が、第2リング部材34を回転駆動したり停止状態に保持したりすることが可能な第2駆動手段を構成している。
なお、第1駆動手段および第2駆動手段は、第1駆動手段における第1電動モータ40の出力軸40aと、第2駆動手段における第2電動モータ50の出力軸50aとが同速度で回転すると、第1リング部材30と第2リング部材34が同速度で回転するよう設定されている。
第1リング部材30、第2リング部材34および1対の扉21A,21Bの3者間に介在した図7等で示す伝動手段70について説明する。
1対の扉21A,21Bのうち、右側に位置した扉21Aは平板状の右扉本体22Aと平板状の右目隠し板23Aとから構成されていて、左側に位置した扉21Bは平板状の左扉本体22Bと平板状の左目隠し板23Bとから構成されている。
図7に示すように、伝動手段70は、右扉本体22Aの上部に左右方向に延びて設けられた第1ラック80Aと、第1ラック80Aよりも上方に位置し左扉本体22Bの上部に左右方向に延びて設けられた第2ラック80Bとを有する。第1ラック80Aは右扉本体22Aよりも上方に位置し、この第1ラック80Aの歯スジは前後方向に延びて上を向いている。第2ラック80Bは左扉本体22Bよりも上方に位置し、この第2ラック80Bの歯スジも第1ラック80Aと同様に前後方向に延びて上を向いている。また、第1ラック80Aは右扉本体22Aよりも後方に突出して位置している。第2ラック80Bは左扉本体22Bよりも後方に突出して位置している。図5,図6に示すように、第1ラック80Aは第2ラック80Bよりも後方に位置する。右扉本体22Aの下部および左扉本体22Bの下部のそれぞれにも、上部と同様に第1ラック80Aおよび第2ラック80Bのそれぞれが、上部側の第1ラック80Aおよび第2ラック80Bとは上下逆向きの姿勢で設けられている。
図7〜図9に示すように、第1リング部材30の前面の上部には、板部81が設けられている。この板部81には後方向の奥行きを有して左右方向に延びた第1ガイド溝82Aが設けられている。上側の第1ラック80Aの背面の上部には後方向に突起した第1ガイド突起(図示してない)が設けられて、第1ガイド溝82Aに挿入されている。第1リング部材30の前面の下部にも上部と同様に板部81が設けられて、この板部81に第1ガイド溝82Aが設けられている。そして、下側の第1ラック80Aの背面にも第1ガイド突起が設けられている。第1ガイド溝82Aと第1ガイド突起とによって、第1ラック80Aおよび右扉本体22Aは左右方向の移動を許容された状態で上下方向の移動を規制されていて、第1ラック80Aの開方向(右方向)への移動の限界位置、すなわち右扉本体22Aの全開位置は図9に示す位置に規定されている。
第1リング部材30の上部の板部81において、第1ガイド溝82Aの下方には、後方向の奥行きを有して第1ガイド溝82Aの延び方向と平行方向な方向に延びた第2ガイド溝82Bが設けられている。上側の第2ラック80Bの背面には、後方向に突起した第2ガイド突起(図示してない)が設けられて、第2ガイド溝82Bに挿入されている。第1リング部材30の下部の板部81にも第2ガイド溝82Bが設けられている。そして、下側の第1ラック80Aの背面にも第2ガイド突起が設けられている。第2ガイド溝82Bと第2ガイド突起とによって、第2ラック80Bおよび左扉本体22Bは左右方向の移動を許容された状態で上下方向の移動を規制されていて、第2ラック80Bの開方向(左方向)への移動の限界位置、すなわち左扉本体22Bの全開位置は図9に示す位置に規定されている。なお、1対の扉21A,21Bの全開状態において、第1リング部材30の左右方向の中心から右扉本体22Aの左縁部までの距離と、第1リング部材30の中心から左扉本体22Bの右縁部までの距離は同じになるよう、第1ガイド溝82Aおよび第1ガイド突起と第2ガイド溝82Bおよび第2ガイド突起の寸法関係が設定されている。
図5に示すように、伝動手段70はさらに、第2リング部材34にこの第2リング部材34と同軸に設けられた内歯車から成る第1ギア71と、この第1ギア71に噛み合った第2ギア72(平歯車)と、第1リング部材30を挟んで第2ギア72と対向して位置する第3ギア73(平歯車)と、第1リング部材30を前後方向に貫通して位置し第2ギア72と第3ギア73を連結する回転軸77(図11,図11aに示した)とを有する。回転軸77は第2リング部材34に前後方向に貫通して設けられた円筒部78に回転自在に挿通されている。この円筒部78から後方向に突出した回転軸77の後端部には、第2ギア72が回転不能に設けられている。第2ギア72側とは反対側の回転軸77の端部、すなわち円筒部78から前方向に突出した回転軸77の前端部には、第3ギア73が回転軸77に回転不能に設けられている。つまり、第1ギア71(第2リング部材34)と第2ギア72とが相対的に移動すると、第2ギア72、第3ギア73および回転軸77は円筒部78に対して一体的に回転するようになっている。
伝動手段70はさらに、第1リング部材30の前方において第1ラック80Aおよび第2ラック80Bの一方、例えば第2ラック80Bと第3ギア73に噛み合った第4ギア74(平歯車)と、第3ギア73と噛み合った第5ギア75(平歯車)と、第1ラック80Aおよび第2ラック80Bの他方、すなわち第1ラック80Aと第5ギア75に噛み合った第6ギア76(平歯車)とを有する。なお、第1ラック80Aおよび第2ラック80Bの一方が第1ラック80Aであって、他方が第2ラック80Bであってもよい。
図4と図7を比較して分かるように、第1リング部材30の上部には、上部カバー部材83が取り付けられていて、この上部カバー部材83によって第3ギア73、第4ギア74、第5ギア75および第6ギア76は覆われている。その上部カバー部材83には、前後方向に延びた2つの支軸が回転不能に設けられていて、第4ギア74および第6ギア76のそれぞれは、それらの支軸のそれぞれ回りに回転自在になっている。また、第1リング部材30の板部81には前後方向に延びた支軸79が設けられていて、この支軸79周りに第5ギア75が回転自在となっている。
伝動手段70は、機械式演出部20の下部にも設けられている。その下部側の伝動手段70については、図11,図11bに示すように、第1ラック80A、第2ラック80Bおよび第1ギア71(内歯車)を図示し、これら以外の構成要素の図示を省略した。機械式演出部20の下部にも上部カバー部材83と同様の下部カバー部材84が取り付けられて、下部側の伝達手段70における第3ギア73、第4ギア74、第5ギア75および第6ギア76が覆われている。
上部カバー部材83の背面の右半分の領域および下部カバー部材84の背面の右半分の領域のそれぞれには、後方に突出し左右方向に延びて第1ラック80Aの前面に対抗して位置する右扉規制部(図示してない)が形成されている。これらの右扉規制部は第1ラック80Aと右扉本体22Aとが第1リング部材30から前方向に離れることを規制している。同様に、上部カバー部材83の背面の左半分の領域および下部カバー部材84の背面の左半分の領域のそれぞれには、右扉規制部と同様に、後方に突出し左右方向に延びて第2ラック80Bの前面に対抗して位置する左扉規制部(図示してない)が設けられている。これらの左扉規制部は第2ラック80Bと左扉本体22Bとが第1リング部材30から前方向に離れることを規制している。
伝動手段70は、第1リング部材30と第2リング部材34との間に相対的な回転運動が生じたとき、その相対的な回転運動を1対の扉21A,21Bの開動作または閉動作に変換するものである。
また、第1駆動手段、第2駆動手段および伝動手段は、1対の扉21A,21Bを回転駆動する回転駆動手段を構成している。
右目隠し板23Aおよび左目隠し板23Bについて説明する。
図4に示すように、1対の扉21A,21Bの閉状態では、前面視において第1リング部材30、上部カバー部材83および下部カバー部材84に囲まれて形成された開口部は、右扉本体22A、左扉本体22B、右目隠し板23Aおよび左目隠し板23Bの全体によって覆われている。この状態では、図11に示すように、右目隠し板23Aの左縁部は右扉本体22Aの右縁部に後方から重なって位置し、左目隠し板23Bの右縁部は左扉本体22Bの左縁部に後方から重なって位置する。
図7〜図9に示すように、第1リング部材30の前面の上部および下部には、前方向に突出し左右方向に架け渡された2条のレール部31が設けられている。第1リング部材30の前面における右中央部には、レール部31と同寸法だけ前方向に突出して左右方向に延びた2条の右背面規制部32Aが設けられている。右目隠し板23Aの背面は2条のレール部31と2条の右背面規制部32Aに接して位置し、これによって右目隠し板23Aは後方向への移動が規制されている。
第1リング部材30の前面における左中央部にも、右背面規制部32Aと同様の左背面規制部32Bが2条設けられている。左目隠し板23Bの背面は2条のレール部31と2条の左背面規制部32Bに接して位置し、これによって左目隠し板23Bは後方向への移動が規制されている。
右目隠し板23Aの上縁部および下縁部には、前方向に突出し左右方向に延びたスペーサ部23Aa(上縁部のもののみ図示した)が設けられている。右目隠し板23Aはそのスペーサ部23Aaにおいて右扉本体22Aに接して位置する。これによって、右扉本体22Aの背面と右目隠し板23Aの前面との間の略全域に、スペーサ部23Aaの突出寸法分の間隔を有する隙間が形成されている。
右扉本体22Aの背面には、後方向に突出して左右方向に延びた2条の右上下動規制部22Aaが設けられている。これら2条の右上下動規制部22Aaは右目隠し板23Aの2条のスペーサ部23Aaに内側から係合している。これによって右目隠し板23Aの左右方向の移動すなわち開閉動作が許容された状態で、右目隠し板23Aの上下方向の移動が規制されている。
左目隠し板23Bの上縁部および下縁部にも、右目隠し板23Aのスペーサ部23Aaと同様のスペーサ部23Baが設けられて、左目隠し板23Bはそのスペーサ部23Baにおいて左扉本体22Bに接して位置する。これによって、左扉本体22Bの背面と左目隠し板23Bの前面との間の略全域にスペーサ部23Baの突出寸法分の間隔を有する隙間が形成されている。
左扉本体22Bの背面には、後方向に突出して左右方向に延びた2条の左上下動規制部22Baが設けられている。これら2条の左上下動規制部22Baは左目隠し板23Bの2条のスペーサ部23Baに外側から係合している。これによって左目隠し板23Bの左右方向の移動すなわち開閉動作が許容された状態で、左目隠し板23Bの上下方向の移動が規制されている。
右目隠し板23Aは右扉本体22Aの開方向(右方向)にバネ(図示してない)により常時付勢されている。左目隠し板23Bは左扉本体22Bの開方向(左方向)に前出のバネとは別のバネ(図示してない)により常時付勢されている。
右扉本体22Aの右縁部付近の背面には、後方向に突起した右本体側係合部22Abが2つ、上下方向に並んで設けられている。右目隠し板23Aの左縁部付近の前面には、前方向に突起した右目隠し側係合部23Abが2つ、上下方向に並んで設けられている。右扉本体22Aが図11に示す閉状態に保持されたとき、2つの右目隠し側係合部23Abのそれぞれは、右目隠し板23Aが前出のバネにより開方向に付勢されていることにより、2つの右本体側係合部22Abのそれぞれに左方から引っ掛かった状態に保持されるようになっている。
左扉本体22Bの左縁部付近の背面にも、右本体側係合部22Abと同様の左本体側係合部22Bbが上下方向に並んで設けられている。左目隠し板23Bの右縁部付近の前面にも、右目隠し側係合部23Abと同様の左目隠し側係合部23Bbが2つ、上下方向に並んで設けられている。左扉本体22Bが図11に示す閉状態に保持されたとき、これら2つの左目隠し側係合部23BbBのそれぞれは、左目隠し板23Bが前出の別のバネにより開く方向に付勢されていることにより、左本体側係合部22Bbのそれぞれに右方から引っ掛かった状態に保持されるようになっている。
図12に示すように、第1リング部材30の前面における右中央部には、前方向に突起した右ストッパ33Aが設けられている。右目隠し板23Aの背面における中央部付近には、後方向に突起した係止部23Acが設けられている。右目隠し板23Aの閉状態から開方向への移動距離が所定距離に達したとき、係止部23Acは左方から右ストッパ33Aに当接し、これによって、右目隠し板23Aのそれ以上の移動が阻止されることになる。つまり、右ストッパ33Aと係止部23Acとによって右目隠し板23Aの全開位置が規定されている。
第1リング部材30の前面における左中央部および左目隠し板23Bの背面における中央部付近のそれぞれにも、右ストッパ33Aおよび係止部23Acと同様の左ストッパ33Bおよび係止部23Bcのそれぞれが設けられて、左目隠し板23Bの全開位置が規定されている。
機械式演出部20の動作について、(1)1対の扉21A,21Bの開閉のみの動作、(2)1対の扉21A,21Bの回転のみの動作、(3)回転しながらの1対の扉21A,21Bの開閉動作、の順に説明する。
(1) 1対の扉21A,21Bの開閉のみの動作について説明する。
1対の扉21A,21Bの開動作の際、第1電動モータ40が励磁されて出力軸40aが停止状態に保持される。第1電動モータ40の出力軸40aと第1リング部材30との間は第1駆動ギア41と第1従動ギア42を介して伝動自在であるので、第1リング部材30も出力軸40aとともに停止状態に保持される。
この第1リング部材30の停止状態が保持されたまま、第2電動モータ50の出力軸50aが時計回り(右回り)に回転する。この出力軸50aの回転は第2駆動ギア51と第2従動ギア52を介して第2リング部材34に伝達され、これにより第2リング部材34とともにこの第2リング部材34に設けられた第1ギア71(内歯車)が反時計回りに回転する。この第1ギア71の回転は第2ギア72に伝達され、これによって第2ギア72と第3ギア73が一体的に反時計回りに回転する。第3ギア73の回転は第4ギア74に伝達されるとともに、第5ギア75を介して第6ギア76に伝達される。
そして、第4ギア74に伝達された回転は第4ギア74を時計回りに回転させ、この回転が第2ラック80Bに伝達されることによって、第2ラック80Bとともに左扉本体22Bが第1リング部材30に対し左方向(開方向)に移動する。また、第6ギア76に伝達された回転は第6ギア76を反時計回りに回転させ、この回転が第1ラック80Aに伝達されることによって、第1ラック80Aとともに右扉本体22Aは第1リング部材30に対し右方向(開方向)に移動する。このようにして右扉本体22Aと左扉本体22Bとが同時に開動作を行う。
右扉本体22Aが右方向(開方向)に移動している間、右扉本体22Aとともに右本体側係合部22Abも右方向の移動を続ける。この間、右目隠し板23Aの右目隠し側係合部23Abは右本体側係合部22Abの右方向の移動分だけ右方向への移動を許容される。右目隠し板23Aはバネにより右方向(開方向)に常時付勢されているので、右目隠し側係合部23Abの右方向への移動の許容に伴い、右扉本体22Aの右方向への移動に追従する。
そして、右目隠し板23Aは、図12に示すように、係止部23Acが第1リング部材30の右ストッパ33Aに左方から当接することによって、バネによる右方向(開方向)の付勢に抗して右方向への移動を阻止され、それ以上開かない全開状態となる。一方、右扉本体22Aは右目隠し板23Aが全開状態となって停止した後にも右方向への移動を続けることが可能であり、第1ラック80Aの背面に設けられた第1ガイド突起(図示してない)が第1ガイド溝82Aの右端に達したときに、第1ラック80Aとともに右扉本体22Aの右方向への移動が阻止され、それ以上は開かない全開状態となる。
左扉本体22B側においても右扉本体22A側と同様に、左扉本体22Bが左方向(開方向)に移動している間、左扉本体22Bとともに左本体側係合部22Bbも左方向の移動を続ける。この間、左目隠し板23Bの左目隠し側係合部23Bbは左本体側係合部22Bbの左方向の移動分だけ左方向への移動を許容される。左目隠し板23Bはバネにより左方向(開方向)に常時付勢されているので、左目隠し側係合部23Bbの左方向への移動の許容に伴い、左扉本体22Bの左方向への移動に追従する。
そして、左目隠し板23Bは、図12に示すように、係止部23Bcが第2リング部材34の左ストッパ33Bに右方から当接することによって、バネによる右方向(開方向)の付勢に抗して右方向への移動を阻止され、それ以上開かない全開状態となる。一方、左扉本体22Bは左目隠し板23Bが全開状態となって停止した後にも左方向への移動を続けることが可能であり、第2ラック80Bの背面に設けられた第2ガイド突起(図示してない)が第2ガイド溝82Bの左端に達したときに、第2ラック80Bとともに左扉本体22Bの左方向への移動が阻止され、それ以上は開かない全開状態となる。
全開した1対の扉21A,21Bの閉動作は、第2電動モータ50の出力軸50aが逆回転(反時計回りの回転)し、第1ギア71〜第6ギア76、第1ラック80A、第2ラック80Bの動作が開動作時と逆向きになることによって行われる。
(2) 1対の扉21A,21Bの回転のみの動作について説明する。
第1電動モータ40の出力軸40aと第2電動モータ50の出力軸50aとが両方とも時計回りに同速度で回転すると、第1リング部材30は出力軸40aから第1駆動ギア41と第1従動ギア42とを介して回転を伝達され、第2リング部材34は出力軸50aから第2駆動ギア51と第2従動ギア52とを介して回転を伝達され、これら第1リング部材30および第2リング部材34はともに反時計回りに同速度で回転する。このとき、1対の扉21A,21Bは第1リング部材30とともに、そのときの状態が維持されたまま、すなわち閉状態、全開状態または半開状態が維持されたまま、反時計回りに回転する。
第1電動モータ40の出力軸40aと第2電動モータ50の出力軸50aとが両方反時計回りに回転すると、1対の扉21A,21Bは時計回りに回転する。
(3) 回転しながらの1対の扉21A,21Bの開閉動作について説明する。
回転しながらの1対の扉21A,21Bが開動作を行う際、第1電動モータ40の出力軸40aが第2電動モータ50の出力軸50aよりも高速で反時計回りに回転する。例えば、第1電動モータ40のみ反時計回りに回転し、第2電動モータ50は励磁されて出力軸50aが停止状態に保持される。
第2電動モータ50の出力軸50aと第2リング部材34との間は第2駆動ギア51と第2従動ギア52を介して伝動自在であるので、第2リング部材34が停止状態に保持されると、第2リング部材34も出力軸50aとともに停止状態に保持される。
第2リング部材34の停止状態において、第1電動モータ40の出力軸40aが反時計回りに回転すると、この出力軸40aの回転は第1駆動ギア41と第1従動ギア42とを介して第1リング部材30に伝達され、これにより第1リング部材30が時計回りに回転し、この第1リング部材30とともに1対の扉21A,21Bも時計回りに回転する。
1対の扉21A,21Bの回転中、第1リング部材30の時計回りの回転に伴い、第1リング部材30に設けられた第2ギア72は、第2リング部材34に設けられた第1ギア71上を反時計回りに回転しながら移動する。この第2ギア72とともに第3ギア73も反時計回りに回転すし、この第3ギア73の回転は第4ギア74に伝達されるとともに、第5ギア75を介して第6ギア76に伝達される。
そして、第4ギア74に伝達された回転は第4ギア74を時計回りに回転させ、この回転が第2ラック80Bに伝達されることによって、第2ラック80Bとともに左扉本体22Bが第1リング部材30に対し左方向(開方向)に移動する。また、第6ギア76に伝達された回転は第6ギア76を反時計回りに回転させ、この回転が第1ラック80Aに伝達されることによって、第1ラック80Aとともに右扉本体22Aは第1リング部材30に対し右方向(開方向)に移動する。このように右扉本体22Aおよび左扉本体22Bが開動作を行うと、「(1)」で述べたように右目隠し板23Aおよび左目隠し板23Bのそれぞれは右扉本体22Aおよび左扉本体22Bのそれぞれに追従し開動作を行う。
時計回りに回転しながら開いた1対の扉21A,21Bは、第2リング部材34が停止状態に保持されたまま、第1電動モータ40の出力軸40aが時計回りに回転することによって、反時計回りに回転しながら閉動作を行う。
なお、第2電動モータ50の出力軸50aが停止状態に保持されていない場合でも、第1電動モータ40の出力軸40aよりも遅い速度で回転すれば、すなわち、第1リング部材30と第2リング部材34の両方が回転しても第1リング部材30の回転速度が第2リング部材34よりも相対的に速ければ、1対の扉21A,21Bの開動作または閉動作が行われる。
この場合、第2リング部材34と第1リング部材30との間の回転速度の差が小さいほど、1対の扉21A,21Bの回転角度の変化量に対して、1対の扉21A,21Bの開動作量または閉動作量は小さくなる。つまり、第2リング部材34と第1リング部材30との間の回転速度の差を調節することによって、1対の扉21A,21Bが閉状態から全開状態になるまでの、または全開状態から閉状態になるまでの1対の扉21A,21Bの回転角度を変更することができる。
パチンコ機1の演出装置における表示部12と機械式演出部20との制御系の構成について説明する。
図2に示す始動入賞口200には、遊技球の入賞を検知して検知信号を出力する始動入賞検知センサ201が設けられている。その検知信号は主制御装置100(メイン基板)に入力されるようになっている。
主制御装置100はCPU、ROMおよびRAMを有し、そのROMに記憶されたコンピュータプログラムに基づき動作するものであり、パチンコ機1の背面に設けられている。この主制御装置100は、始動入賞検知センサ201からの検知信号を入力したかどうかを判定する始動口入賞判定手段101として機能するよう設定されている。また、その始動口入賞判定手段101により遊技球が入賞したと判定されたときに、特賞(通常大当り、確変大当りなど)を予め設定された複数種類の特賞のうちから抽選し、かつ、その抽選結果を告知する際の演出パターンの指令の抽選を、予め設定された複数種類の指令のうちから抽選する抽選手段102としても機能するよう設定されている。さらに、抽選手段102により決定された演出パターンの指令を図柄制御装置110(サブ基板)および扉制御装置120(サブ基板)に与える演出パターン指令手段103として機能するようにも設定されている。
図柄制御装置110はCPU、ROMおよびRAMを有し、そのROMに記憶されたコンピュータプログラムに基づき動作して、表示部12をVDP114(ビデオ・ディスプレイ・プロセッサ)を介して制御するものである。この図柄制御装置110もパチンコ機1の背面に設けられている。
この図柄制御装置110は、予め設定された複数種類の図柄変動パターンを記憶しておく図柄変動パターン記憶手段111として機能するよう設定されている。また、主制御装置100(演出パターン指令手段)からの指令に基づき、図柄変動パターン記憶手段111に記憶された複数種類の図柄変動パターンのうちから1つのパターンを選択する図柄変動パターン選択手段112としても機能するようにも設定されている。さらに、その図柄変動パターン選択手段112により選択された図柄変動パターンに基づきVDP114を介した表示部12の制御を行う表示制御手段113として機能するようにも設定されている。
扉制御装置120はCPU、ROMおよびRAMを有し、そのROMに記憶されたコンピュータプログラムに基づき動作して、第1電動モータ40を駆動するための第1駆動回路124と、第2電動モータ50を駆動するための第2駆動回路125とを制御するものである。この扉制御装置120もパチンコ機1の背面に設けられている。
この扉制御装置120は、第1電動モータ40および第2電動モータ50に対し予め設定された複数種類の制御パターン、すなわち1対の扉21A,21Bの回転と開閉との少なくとも一方から構成されるパターン(以下「扉動作パターン」という)を記憶しておく扉動作パターン記憶手段121として機能するように設定されている。また、主制御装置100(演出パターン指令手段103)からの指令に基づき、扉動作パターン記憶手段121に記憶された複数種類の扉動作パターンのうちから1つのパターンを選択する扉動作パターン選択手段122としても機能するようにも設定されている。さらに、その扉動作パターン選択手段122により選択された扉動作パターンに基づき第1駆動回路124と第2駆動回路125の両方の制御を行うモータ制御手段123(1対の扉21A,21Bの開閉を制御する開閉制御手段、および、前出の回転駆動手段を制御する回転制御手段を兼ねる手段)として機能するようにも設定されている。
扉制御装置120(回転制御手段)による第1電動モータ40および第2電動モータ50(回転駆動手段)の制御と、図柄制御装置(表示制御手段113)による表示部12の制御とは、すなわち扉動作パターンと図柄変動パターンは、回転により変化する1対の扉21A,21Bの姿勢と図柄の姿勢とを関連させるよう設定されている。この設定により例えば次の「(A)」〜「(D)」の演出が行われる。
(A) 通常大当りの演出の一例について説明する。
遊技の開始時、1対の扉21A,21Bは閉状態であり、1対の扉21A,21Bの開閉方向はパチンコ機1の上下方向に直交した状態であるとする。この状態で始動入賞口200に遊技球が入賞して始動入賞検知センサ201からの主制御装置100に検知信号が入力される。これを契機に、主制御装置100は始動口入賞判定手段101としての機能により、遊技球が入賞したと判定する。次に、主制御装置100は抽選手段102としての機能により、特賞の抽選と演出パターンの指令の抽選とを行う。次に、主制御装置100は演出パターン指令手段103としての機能により、演出パターンの指令を図柄制御装置110および扉制御装置120に与える。
演出パターンの指令を与えられた図柄制御装置110は、図柄変動パターン選択手段112としての機能により、その演出パターンの指令に基づき、図柄変動パターン記憶手段111として記憶してある複数種類の図柄変動パターンのうちから第1図柄変動パターンを選択する。また、演出パターンの指令を与えられた扉制御装置120は、扉動作パターン選択手段122としての機能により、その演出パターンの指令に基づき、扉動作パターン記憶手段121として記憶してある複数種類の扉動作パターンのうちから第1扉動作パターンを選択する。このようにして選択される図柄変動パターンと扉動作パターンは、予め対応付けられた種類同士である。
そして、図柄制御装置110は表示制御手段113としての機能により、第1図柄変動パターンに基づきVDP114を介して表示部12の制御を開始し、これにより第1図柄変動パターンの図柄変動表示を表示部12が開始する。これと略同時に、扉制御装置120がモータ制御手段としての機能により、第1扉動作パターンに基づき第1駆動回路124の制御と第2駆動回路125の制御とを開始し、これにより第1扉動作パターンの動作を機械式演出部20が開始する。
第1図柄変動パターンは、まず横一列に並んだ3つの数字から成る図柄(3連図柄)の上下方向をパチンコ機1の上下方向に一致させた状態で、その図柄を第1特定時間だけ変動させ、次に停止図柄として通常大当り図柄を表示する、という演出を規定したものである。また、第1扉動作パターンは、まず1対の扉21A,21Bを閉状態で第1図柄変動パターンにおける第1特定時間の1/2の時間を掛けて特定回数だけ回転させ、次に1対の扉21A,21Bを1回転しながら全開させて停止させ、そのまま全開状態に保持する、という流れの演出を規定したものである。
これら第1図柄変動パターンおよび第1扉動作パターンのそれぞれに基づく表示部12および1対の扉21A,21Bのそれぞれの制御が並行することにより、遊技者に見える演出は次のようになる。
まず、1対の扉21A,21Bは閉状態で特定回数だけ回転する。次に1対の扉21A,21Bは1回転しながら開動作し全開する。開動作開始から全開状態になる前までの半開状態では、1対の扉21A,21Bの間から変動図柄が覗き見える。その1回転が終了するとき、1対の扉21A,21Bはその開閉方向をパチンコ機1の上下方向に直交させた姿勢を成し、全開して停止する。全開状態の1対の扉21A,21Bを通じて変動図柄の全体が見えるようになる。その変動図柄の上下方向はパチンコ機1の上下方向に一致している。変動図柄の表示が終了すると、図15(a)に示すように、停止図柄としての通常大当り図柄301は、パチンコ機1の上下方向に1対の扉21A,21Bの開閉方向が直交した状態において、その通常大当り図柄301の上下方向が1対の扉21A,21Bの開閉方向と直交した状態で、表示部12に表示される。
(B) 通常大当りから確変大当りに移行する演出の一例について説明する。
「(A)」で説明したようにして主制御装置100が演出パターンの指令を図柄制御装置110および扉制御装置120に与えると、図柄制御装置110は、図柄変動パターン選択手段112としての機能により、その演出パターンの指令に基づき、図柄変動パターン記憶手段111として記憶してある複数種類の図柄変動パターンのうちから第2図柄変動パターンを選択する。演出パターンの指令を与えられた扉制御装置120は、扉動作パターン選択手段122としての機能により、その演出パターンの指令に基づき、扉動作パターン記憶手段121として記憶してある複数種類の扉動作パターンのうちから第2扉動作パターンを選択する。
第2図柄変動パターンは、第1図柄変動パターンと同じことを行って通常大当り図柄を表示した後、その通常大当り図柄を第2特定時間だけ表示させ続け、次に確変昇格演出として変動図柄の上側をパチンコ機1の左斜め上方に向けた状態で図柄を変動させ、最後に停止図柄として確変図柄を表示させる、という流れの演出を規定したものである。また、第2扉動作パターンは、第1扉動作パターンと同じことを行った後、第2図柄変動パターンにおける第2特定時間と同じ特定時間を掛けて1対の扉21A,21Bを1回転させながら閉じるとともに特定回数だけ回転させ、次に第2特定時間の経過時に1対の扉21A,21Bの上側をパチンコ機1の左斜め上方に向け、次に1対の扉21A,21Bを1回転させながら全開させ、そのまま全開状態に保持する、という流れの演出を規定したものである。
これら第2図柄変動パターンおよび第2扉動作パターンのそれぞれに基づく表示部12および1対の扉21A,21Bのそれぞれの制御が並行することにより、遊技者に見える演出は次のようになる。
まず、第1図柄変動パターンおよび第1扉動作パターンの場合と同じ演出が行われ、図15(a)に示す状態となる。次に、その状態のまま1対の扉21A,21Bは1回転しながら閉動作して完全に閉じる。次に、1対の扉21A,21Bは閉状態で特定回数だけ回転する。回転終了後、1対の扉21A,21Bはこの1対の扉21A,21Bの上側がパチンコ機1の左斜め上方を向いた状態で停止する。次に1対の扉21A,21Bの開動作が1回転しながら全開する。開動作開始から全開状態となる前までの半開状態では、1対の扉21A,21Bの間から確変昇格演出としての変動図柄が覗き見える。この変動図柄の上側はパチンコ機1の左斜め上方を向いた状態である。1対の扉21A,21Bが全開すると、確変昇格演出としての変動図柄の全体が見えるようになる。図柄変動の表示が終了すると、図15(b)に示すように、停止図柄としての確変図柄302は、1対の扉21A,21Bの上側がパチンコ機1の左斜め上方を向いた状態において、その確変図柄302の上下方向が1対の扉21A,21Bの開閉方向に直交した状態で、表示部12に表示される。
(C) ハズレの演出の一例について説明する。
「(A)」で説明したようにして主制御装置100が演出パターンの指令を図柄制御装置110および扉制御装置120に与えると、図柄制御装置110は、図柄変動パターン選択手段112としての機能により、その演出パターンの指令に基づき、図柄変動パターン記憶手段111として記憶してある複数種類の図柄変動パターンのうちから第3図柄変動パターンを選択する。演出パターンの指令を与えられた扉制御装置120は、扉動作パターン選択手段122としての機能により、その演出パターンの指令に基づき、扉動作パターン記憶手段121として記憶してある複数種類の扉動作パターンのうちから第3扉動作パターンを選択する。
第3図柄変動パターンは、図柄の上側をパチンコ機1の右斜め上方向に向けた状態で図柄を第3特定時間だけ変動させ、その後停止図柄としてハズレ図柄を表示する、というものである。また、第3扉動作パターンは、まず1対の扉21A,21Bを閉状態で第3図柄変動パターンにおける第3特定時間の1/2の時間を掛けて特定回数だけ回転させ、次に1対の扉21A,21Bの上側をパチンコ機1の右斜め上方に向けた状態で回転を停止させ、次に1対の扉21A,21Bを全開させてそのまま全開状態に保持する、というものである。
これら第3図柄変動パターンおよび第3扉動作パターンのそれぞれに基づく表示部12および1対の扉21A,21Bのそれぞれの制御が並行することにより、遊技者に見える演出は次のようになる。
まず、1対の扉21A,21Bが閉状態で特定回数だけ回転する。次に1対の扉21A,21Bはこの1対の扉21A,21Bの上側をパチンコ機1の右斜め上方に向けて停止する。次に1対の扉21A,21Bが開動作して全開する。開動作開始から全開する前までの半開状態では、1対の扉21A,21Bの間から変動図柄が覗き見える。1対の扉21A,21Bが全開すると、変動図柄の全体が見えるようになる。変動図柄の表示が終了すると、図15(c)に示すように、停止図柄としてのハズレ図柄303は、1対の扉21A,21Bの上側がパチンコ機1の右斜め上方を向いた状態において、そのハズレ図柄303の上下方向が1対の扉21A,21Bの開閉方向に一致した状態で、表示部12に表示される。
本実施形態に係る遊技機の演出装置によれば次の効果を得られる。
本実施形態に係る遊技機の演出装置においては、扉制御装置120(モータ制御手段)が第1電動モータ40および第2電動モータ50を制御して第1リング部材30と第2リング部材34との間に相対的な回転運動を生じさせ、伝動手段70がその相対的な回転運動を1対の扉21A,21Bの開動作または閉動作に変換する。つまり、1対の扉21A,21Bの駆動源となる電動モータを、回転体である第1リング部材30や第2リング部材34に搭載させることなく、第1リング部材30の駆動源である第1電動モータ40と第2リング部材34の駆動源である第2電動モータ50とを1対の扉21A,21Bの駆動源として利用しているため、回転体に電動モータを搭載させた場合のように、1対の扉21A,21Bの回転をハーネスに影響させないようにすることができる。したがって、表示部12の前方で1対の扉21A,21Bを回転させる演出を、耐久性が確保しやすい構成で実現できる。これにより、演出を複雑化して演出の面白みを向上させることができる。
なお、前述の実施形態に係る演出装置は、回転により姿勢が変化する1対の扉の姿勢と図柄の姿勢とを関連させることとして、図柄の上下方向と1対の扉の開閉方向とを一致させたり直交させたりすることを、図柄の姿勢も1対の扉の姿勢も変化していない状態で行ったが、本発明における演出のパターンはそれらの関連のさせ方に限定されるものではなく、回転中の1対の扉の姿勢と、1対の扉と同軸周りに回転中の図柄とを関連させてもよい。つまり、図柄と1対の扉とを同方向に回転したり、互いに逆方向に回転したりするものであってもよい。
また、回転停止状態の1対の扉の姿勢に図柄の回転方向を関連させてもよい。例えば、1対の扉の上側がパチンコ機の左斜め上方を向いた状態では、図柄を左回りに回転させ、1対の扉の上側がパチンコ機の右斜め上方を向いた状態では右回りに図柄を回転させる、というものでもよい。
前述の実施形態に係る演出装置は、図柄の変動を1対の扉を全開させて遊技者に見せる演出を行うものであったが、本発明における演出のパターンはそれ限定されるものではなく、図柄の上下方向を1対の扉の直交方向に一致させ、かつ、1対の扉を半開させて3つの図柄のうち中図柄のみを見せた状態で、図柄と1対の扉とを同期させて同方向に回転させたり、互いに逆方向に回転させたりするものであってもよい。
前述の実施形態に係る演出装置はパチンコ機に採用されたものであるが、本発明はパチンコ機への採用に限定されるものではなく、上部に表示部を備えた回胴式遊技機(スロットマシン)に採用されてもよい。