JP5182940B2 - 被覆電線の接合構造 - Google Patents
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被覆電線31の端部を導通可能に接続する場合、端部の被覆材31bの被覆剥きを行い、芯線31aを露出させてから電線端末部材32を圧着し、次いで絶縁キャップ33を被せて絶縁する方法か、或いは芯線31aを露出させてから抵抗溶接により接続部34を形成した後、絶縁キャップ33を被せて絶縁する方法の何れかが採用されていた。
しかし、前記何れの接続方法も、被覆材31bの被覆剥きという手間のかかる工程が必要であるうえに、別部材としての絶縁キャップ33が必要であり、これを被せる工程も必要であった。これらは、全てコストアップの一因になる。
即ち、一対の樹脂チップ41,41は同一構造であり、その接合面41aに被覆電線31を交差状に挟み込む。一対の樹脂チップ41には、略90°間隔で4箇所の電線導出穴部42が形成され、ここで交差状に差し込まれる被服電線31を位置決めするようになっている。
そして、上側に配置された樹脂チップ41の上部には不図示の超音波ホーンが設置され、下側に配置された樹脂チップ41の下部には不図示のアンビルが設置される。
(1) 芯線を被覆材により覆った複数の電線を一対の樹脂チップの接合面に挟み込み、接合された前記一対の樹脂チップを外側から超音波加振して前記被覆材を溶融させることにより、前記芯線を導通接続させるとともに、前記一対の樹脂チップを相互に溶着させて前記複数の芯線の接続部分を密封する被覆電線の接合構造であって、
前記一対の樹脂チップの各接合面には、
前記複数の電線の各端部を被覆状態のまま位置決めする端部位置決め部と、
前記電線の半径よりも大きい半径の断面半円形状であり前記複数の電線のそれぞれを被覆状態のまま収容して所望間隔で整列させる複数の電線整列溝と、
前記電線整列溝間に形成された溶着用リブと、
が設けられ、
一方の前記樹脂チップに設けられた前記端部位置決め部に前記複数の電線の端部を位置決めし、且つ前記電線整列溝により整列させた状態で、他方の前記樹脂チップを重ね合わせ、超音波加振することで前記電線と前記樹脂チップとが一体化され、
前記溶着用リブは、溶着完了時に前記樹脂チップの端縁において前記電線の周囲に空隙が形成される高さ及び長さに形成されていることを特徴とする被覆電線の接合構造。
(2) 前記端部位置決め部は、前記複数の電線の端部を一括して収容し得る凹部に形成されていることを特徴とする上記(1)に記載の被覆電線の接合構造。
(3) 前記電線整列溝は、前記一対の樹脂チップの周縁部に電線径及び本数に応じて形成された溝であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の被覆電線の接合構造。
(4) 前記電線整列溝は、前記一対の樹脂チップの周縁部に、前記端部位置決め部を中心として放射状に配列されていることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の被覆電線の接合構造。
(5) 前記溶着用リブは、前記樹脂チップの端縁から離間して設けられていることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の被覆電線の接合構造。
溶着時に、溶融した溶着用リブは、電線の周囲に流れ込み、電線整列溝内で遊嵌状態であった電線の遊嵌が解消され、電線は一対の樹脂チップに保持される。
樹脂チップの端縁では、電線の周囲に空隙が形成されるように溶着されるので、端縁では溶着が行われず、電線の被覆が溶融することがなく、外部との絶縁性が確保される。
また、電線の周囲に空隙が形成されるので、配索状態での電線の全方位のわずかな動きを許容することができる。
更に、電線の被覆材が電線整列溝によって位置ずれすることなく収容されるので、所定間隔で一対の樹脂チップと一体化される。
また、溶着用リブが電線整列溝間で溶融することにより、溶融物が電線の周囲で固まり、電線が確実に固定され、しかも溶着部においては電線と一対の樹脂チップとの間に隙間が形成されず、塵や異物が入ることがない。
また、樹脂チップの端縁では電線の周囲に空隙が形成されるように溶着されるので、端縁では溶着が行われず、電線の被覆が溶融せず、外部との絶縁性が確保される。
また、電線の周囲に空隙が形成されることで、配索状態における電線の全方位のわずかな動きを許容することができる。
一対の樹脂チップ2は、略同一構造に形成されているので、そのうちの一方について接合面2aの構造を説明する。樹脂チップ2の接合面2aの外周部には、上から見て広幅の第1縁部3aと、第1縁部3aに対し狭い幅の第2縁部3bが一体に形成されている。
そして、第1縁部3a及び第2縁部3bに囲まれるようにして中空部4が形成され、この中空部4の略中央部に端部位置決め部5が形成されている。端部位置決め部5は、図2に示すように複数の電線11の端部を被覆状態のまま位置決めするためのものであって、断面半円状の凹部5aの大きさは電線11の本数や線径に応じて決定される。
要するに、端部位置決め部5は、電線11を収容するとともに、端部が外部に外れない形状及び空間であればよく、この観点から本実施形態のように基本的な形状として凹状が好ましい。なお、電線11は、図3に示すように芯線11aを被覆材11bで覆ったものである。
ここで、他方の樹脂チップ2には、端部位置決め部5に対応する部分に、端部位置決め部5に代えて、凹部5a内に入り込む溶着用凸部(図示せず)が形成されている。一対の樹脂チップ2の構成は、この点のみで異なっている。
各電線整列溝6の近傍には、5個の溶着用リブ7が形成されている。各溶着用リブ7は、後述する溶着時に電線11の被覆材11bと溶融して、一対の樹脂チップ2と電線11とを一体化するものであり、その高さ及び長さは溶着完了時に樹脂チップ2の端面3cの近傍の電線11の周囲に間隙を形成し得るように設定される。
なお、端面3cと溶着用リブ5との間隔Dも、電線11の周囲に前記間隙ができるように設定される。
前記一対の樹脂チップ2と電線11とは、下記のようにして組み付けられる。
図2に示したように、前記一対の樹脂チップ2の何れか一方について、端部位置決め部5上に複数の電線11の端部を重ねて収容する。この際、各電線11の被覆材11bを剥く必要はなく、従来例のような被覆剥き作業は不要である。
次に、各電線11を横一列に形成された各電線整列溝6内に順次埋め込むようにして整列・保持させる。ここまでの作業により、一方の樹脂チップ2上に、図2に示したように各電線11の端部が端部位置決め部5上に位置決めされるとともに、各電線整列溝6によって電線11が所定位置に整列・保持されるようになる。
続いて、図3に想像線で示すように他方の樹脂チップ2を被せることにより、電線11が一対の樹脂チップ2の接合面間に挟み込まれることになる。
前記溶着に際しては、接合された樹脂チップ2の下側に不図示のアンビルを位置決めし、上側に不図示の超音波ホーンを位置決めする。そして、接合された樹脂チップ2の外側から、超音波ホーンを駆動して縦振動を発振させる。この結果、一対の樹脂チップ2及び電線11が加圧及び加振される。
更に加圧及び加振を継続することにより、樹脂チップ2の溶着用リブ7が溶融して両樹脂チップ2の接合面同士が溶着される。
ここで、前記のように溶着用リブ7の高さ及び端面3cとの間隔Dが設定されているので、電線整列溝6の間隔D分が全て溶融されるのではなく、端面3c近傍に溶融されない部分が残る。従って、加圧及び加振により図4に示すように被覆電線の接合が完了した状態で、端面3c近傍にあっては図5に示すように電線11と一対の樹脂チップ2との間に隙間Gが形成される。したがって、配索状態における電線11の全方位のわずかな動きを許容することができる。
更に、電線11の被覆材11bが電線整列溝6において一対の樹脂チップ2と溶融するので、確実に固定され、電線11が引き抜かれることがなく、位置ずれすることもない。
更に、溶着用リブ6を設け間隔Dを設定することにより、一対の樹脂チップ2の端面近傍において一対の樹脂チップ2との間に隙間が形成され、電線11の引き回し自由度が向上する。
更に、樹脂チップ2の端面近傍以外では、電線11と樹脂チップ2との間に隙間がないので、樹脂チップ2の内部に塵や異物が入ることがない。
例えば、電線整列溝6の断面径は、電線11により変更されるものであり、線径の細い電線、太い電線に対応して形成される。従って、線径の異なる複数の電線を端子接続することもできる。
また、前記一対の樹脂チップの平面形状については、円形、楕円形、四角形等に変更できる。
尚、リブ7の間隔を電線11の外径と略同等に設計すれば、リブ7間で電線11を保持することができるので、電線整列溝6を形成しなくてもよい。
2 一対の樹脂チップ
3a 第1縁部
3b 第2縁部
3c 端面
4 中空部
5 端部位置決め部
5a 円弧状空間
6 電線整列溝
7 溶着用リブ
11 電線
11a 芯線
11b 被覆材
D 間隔
G 隙間
Claims (5)
- 芯線を被覆材により覆った複数の電線を一対の樹脂チップの接合面に挟み込み、接合された前記一対の樹脂チップを外側から超音波加振して前記被覆材を溶融させることにより、前記芯線を導通接続させるとともに、前記一対の樹脂チップを相互に溶着させて前記複数の芯線の接続部分を密封する被覆電線の接合構造であって、
前記一対の樹脂チップの各接合面には、
前記複数の電線の各端部を被覆状態のまま位置決めする端部位置決め部と、
前記電線の半径よりも大きい半径の断面半円形状であり前記複数の電線のそれぞれを被覆状態のまま収容して所望間隔で整列させる複数の電線整列溝と、
前記電線整列溝間に形成された溶着用リブと、
が設けられ、
一方の前記樹脂チップに設けられた前記端部位置決め部に前記複数の電線の端部を位置決めし、且つ前記電線整列溝により整列させた状態で、他方の前記樹脂チップを重ね合わせ、超音波加振することで前記電線と前記樹脂チップとが一体化され、
前記溶着用リブは、溶着完了時に前記樹脂チップの端縁において前記電線の周囲に空隙が形成される高さ及び長さに形成されていることを特徴とする被覆電線の接合構造。 - 前記端部位置決め部は、前記複数の電線の端部を一括して収容し得る凹部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の被覆電線の接合構造。
- 前記電線整列溝は、前記一対の樹脂チップの周縁部に電線径及び本数に応じて形成された溝であることを特徴とする請求項1又は2に記載の被覆電線の接合構造。
- 前記電線整列溝は、前記一対の樹脂チップの周縁部に、前記端部位置決め部を中心として放射状に配列されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の被覆電線の接合構造。
- 前記溶着用リブは、前記樹脂チップの端縁から離間して設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の被覆電線の接合構造。
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