JP5182661B2 - 固形油及び固形油の製造方法 - Google Patents
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Description
1.部分アセチル化シクロデキストリンと油組成物とから形成される、固形油。
2.部分アセチル化シクロデキストリンが、部分アセチル化α−シクロデキストリン又は部分アセチル化β−シクロデキストリンである、上記1に記載の固形油。
3.油組成物が、絶縁油、機械油、食用油、熱媒体、潤滑油、可塑剤、溶剤、塗料及びインキ及びこれらの混合物を含む、上記1または2に記載の固形油。
4.部分アセチル化シクロデキストリンと油組成物とを混合し、加熱して該部分アセチル化シクロデキストリンを溶解させ、次いで冷却することを特徴とする、固形油の製造方法。
5.部分アセチル化シクロデキストリンが、部分アセチル化α−シクロデキストリン又は部分アセチル化β−シクロデキストリンである、上記4に記載の固形油の製造方法。
6.油組成物が、絶縁油、機械油、食用油、熱媒体、潤滑油、可塑剤、溶剤、塗料及びインキ及びこれらの混合物を含む、上記4または5に記載の固形油の製造方法。
7.部分アセチル化シクロデキストリンを少なくとも1種含む、油組成物固形化剤。
本明細書において油組成物とは、一般的な油(絶縁油、機械油、食用油、熱媒体、潤滑油、可塑剤)に、1以上の他の成分が溶解した混合物であっても良いことを意味するものである。すなわち、油は一般に良性有機溶媒であって、あらゆる成分を溶解可能であるので、各種有機物や無機物、及び溶剤などの複数の成分が溶解した組成物の形で存在することが多い。特に使用後の油には種々の成分が溶解しうる。したがって本明細書では、純粋の油を含め、混合物の形態の油をも総称して「油組成物」と呼ぶものとする。すなわち、塗料やインキのような、油成分と溶剤ならびに顔料等の混合物も本発明における油組成物である。
シクロデキストリンは、市販のα−、β−及びγ−シクロデキストリンを使用することができるが、部分アセチル化シクロデキストリン製造の目的のためには、α−シクロデキストリン又はβ−シクロデキストリンを用いることが好ましい。部分アセチル化シクロデキストリンは、完全アセチル化シクロデキストリンを用いて部分的に加水分解することにより得ることができる。部分アセチル化シクロデキストリンは、例えば以下の方法により製造する:
完全アセチル化シクロデキストリンを有機溶媒(例えばジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等)に溶解させ、アセチル基分解剤(例えばn−ブチルアミン、ベンジルアミン等の有機アミン類)を加える。適宜加熱撹拌し、溶媒を留去すると、種々のアセチル化率を有する部分アセチル化シクロデキストリンの混合物が得られる。この混合物を例えばカラムクロマトグラフィー等を用いて分離することにより、特定のアセチル化率を有する部分アセチル化シクロデキストリンを得る。
完全アセチル化シクロデキストリンとして、完全アセチル化α−シクロデキストリン、完全アセチル化β−シクロデキストリン、完全アセチル化γ−シクロデキストリンのいずれを用いることも可能である。しかしながら本発明の固形油を製造する目的のためには、α−又はβ−シクロデキストリンタイプが好ましい。γ−シクロデキストリンタイプ(8個のシクロデキストリンが互いに結合し環を形成したもの)のものであると、疎水性空孔部サイズが大きく、油組成物が吸着されにくいためである。しかし固形油を形成させる油組成物の種類によってはγ−シクロデキストリンタイプのものを用いることもあり得る。
冷却管、温度計、オイルバスを備えた200 mL の3口フラスコに、完全アセチル化α-シクロデキストリン (SIGMA-ALDLICH CORPORATION)10 g(5.8 mmol) 及び1,4‐ジオキサン (和光純薬工業(株))70 mL を加えて撹拌し完全に溶解させた。次いでn‐ブチルアミン (和光純薬工業(株))1.2 mL(12 mmol) を加えて、反応溶液を70 ℃まで加熱しながら48時間攪拌した。反応溶液を室温まで冷却後、減圧下にて溶媒を留去して、種々のアセチル化率の部分アセチル化α−シクロデキストリン混合物を得た。この混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (シリカゲルオープンカラム、展開液:クロロホルム / メタノール=100 / 0 ~ 20 / 80) により各部分アセチル化α‐CDを分離した。
[合成例2]部分アセチル化β−シクロデキストリンの合成
冷却管、温度計、オイルバスを備えた200 mL の3口フラスコに、完全アセチル化β-シクロデキストリン (東京化成工業(株))10 g(5.0 mmol) 及び1,4‐ジオキサン (和光純薬工業(株))70 mL を加えて撹拌し完全に溶解させた。次いでn‐ブチルアミン (和光純薬工業(株))3.5 mL(35 mmol) を加えて、反応溶液を60 ℃まで加熱しながら16時間攪拌した。反応溶液を室温まで冷却後、減圧下にて溶媒を留去して、種々のアセチル化率の部分アセチル化β−シクロデキストリン混合物を得た。この混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (シリカゲルオープンカラム、展開液:クロロホルム / メタノール=100 / 0 ~ 20 / 80) により各部分アセチル化β‐CDを分離した。
[実施例1]部分アセチル化(アセチル化率94%)α−シクロデキストリンによる固形トルエンの製造
合成例1で調製した部分アセチル化α−CD(アセチル化率94%)1.0gを10mLサンプル管に入れ、トルエン(和光純薬工業(株))2.5mLを加えた。サンプル管ごと水浴にて加熱し、60℃にて振とうすると、部分アセチル化α−CDがトルエンに溶解した。サンプル管を水浴から引き揚げ、そのまま室温まで放冷すると、ゲル化したトルエンが得られた。
[実施例2]部分アセチル化(アセチル化率94%)α−シクロデキストリンによる固形o−キシレンの製造
合成例1で調製した部分アセチル化α−CD(アセチル化率94%)1.0gを10mLサンプル管に入れ、o−キシレン(和光純薬工業(株))2.0mLを加えた。サンプル管ごと水浴にて加熱し、60℃にて振とうすると、部分アセチル化α−CDがo−キシレンに溶解した。サンプル管を水浴から引き揚げ、そのまま室温まで放冷すると、ゲル化したo−キシレンが得られた。
[実施例3]部分アセチル化(アセチル化率83%)α−シクロデキストリンによる固形トルエンの製造
合成例1で調製した部分アセチル化α−CD(アセチル化率83%)0.50gを10mLサンプル管に入れ、トルエン(和光純薬工業(株))2.25mLを加えた。サンプル管ごと水浴にて加熱し、60℃にて振とうすると、部分アセチル化α−CDがトルエンに溶解した。サンプル管を水浴から引き揚げ、そのまま室温まで放冷すると、ゲル化したトルエンが得られた。
[実施例4]部分アセチル化(アセチル化率83%)α−シクロデキストリンによる固形o−キシレンの製造
合成例1で調製した部分アセチル化α−CD(アセチル化率83%)0.50gを10mLサンプル管に入れ、o−キシレン(和光純薬工業(株))2.0mLを加えた。サンプル管ごと水浴にて加熱し、60℃にて振とうすると、部分アセチル化α−CDがo−キシレンに溶解した。サンプル管を水浴から引き揚げ、そのまま室温まで放冷すると、ゲル化したo−キシレンが得られた。
[実施例5]部分アセチル化(アセチル化率86%)β−シクロデキストリンによる固形トルエンの製造
合成例2で調製した部分アセチル化β−CD(アセチル化率86%)1.0gを10mLサンプル管に入れ、トルエン(和光純薬工業(株))2.0mLを加えた。サンプル管ごと水浴にて加熱し、60℃にて振とうすると、部分アセチル化β−CDがトルエンに溶解した。サンプル管を水浴から引き揚げ、そのまま室温まで放冷すると、ゲル化したトルエンが得られた。
[実施例6]部分アセチル化(アセチル化率81%)β−シクロデキストリンによる固形o−キシレンの製造
合成例2で調製した部分アセチル化β−CD(アセチル化率81%)0.50gを10mLサンプル管に入れ、o−キシレン(和光純薬工業(株))1.2mLを加えた。サンプル管ごと水浴にて加熱し、60℃にて振とうすると、部分アセチル化α−CDがo−キシレンに溶解した。サンプル管を水浴から引き揚げ、そのまま室温まで放冷すると、ゲル化したo−キシレンが得られた。
[比較実施例1]部分アセチル化(アセチル化率67%)β−シクロデキストリンによる固形トルエンの製造
合成例2で調製した部分アセチル化β−CD(アセチル化率67%)1.0g以上を10mLサンプル管に入れ、トルエン(和光純薬工業(株))2.0mLを加えた。サンプル管ごと水浴にて加熱し、60℃にて振とうすると、部分アセチル化α−CDがo−キシレンに溶解した。サンプル管を水浴から引き揚げ、そのまま室温まで放冷したが、ゲル化したトルエンは得られなかった。
上記と同様の実験を繰り返し、各種溶剤をゲル化するのに必要な部分アセチル化シクロデキストリンの最小濃度(最小ゲル化濃度:g/L、部分アセチル化CD/溶剤)を見積もった:
Claims (7)
- 部分アセチル化シクロデキストリンと油組成物とを重量比で0.1:1〜1:1の割合で混合して形成される、ゲル状固形油。
- 部分アセチル化シクロデキストリンが、部分アセチル化α−シクロデキストリン又は部分アセチル化β−シクロデキストリンである、請求項1に記載の固形油。
- 油組成物が、絶縁油、機械油、食用油、熱媒体、潤滑油、可塑剤、溶剤、塗料及びインキ及びこれらの混合物を含む、請求項1または2に記載の固形油。
- 部分アセチル化シクロデキストリンと油組成物とを重量比で0.1:1〜1:1の割合で混合し、加熱して該部分アセチル化シクロデキストリンを溶解させ、次いで冷却することを特徴とする、ゲル状固形油の製造方法。
- 部分アセチル化シクロデキストリンが、部分アセチル化α−シクロデキストリン又は部分アセチル化β−シクロデキストリンである、請求項4に記載の固形油の製造方法。
- 油組成物が、絶縁油、機械油、食用油、熱媒体、潤滑油、可塑剤、溶剤、塗料及びインキ及びこれらの混合物を含む、請求項4または5に記載の固形油の製造方法。
- 部分アセチル化シクロデキストリンを少なくとも1種含み、部分アセチル化シクロデキストリンの重量に対して1〜10倍の油組成物をゲル状に固形化する、油組成物固形化剤。
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