JP5180905B2 - 回路遮断器 - Google Patents
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この場合、ミストリップが発生し正確に電流を遮断できない場合がある。この問題を避けるためには、高い加工精度や組立精度が必要となるが、そうすると高コストになるという別問題が発生する。
回路の過電流を検出したとき、係止部のラッチと開閉機構部のレバーの先端部の係止を解いて開閉機構部に回路を開放させる引き外し機構部とを備えた回路遮断器において、
ラッチは回路が閉状態の時にレバーの先端部を係止する揺動部材を有し、揺動部材は、レバーに正対するラッチの表面上に、ラッチの可動方向と垂直方向に揺動可能に一点で保持されていることを特徴とするものである。
以下、本発明の回路遮断器の実施の形態1を図に基づいて説明する。
図1は本発明の回路遮断器の実施の形態1における斜視図、図2は図1の回路遮断器をII−II線で切った断面図である。
トグルリンク15は絶縁ホルダ4に連結された下リンクとレバー13及び回転軸15bにより下リンクに連結された上リンクからなる。
メインバネ16は上リンクと下リンクの回転軸15bとハンドル22を固定するハンドルアーム23との間に張架されている。
バイメタル17は可動接触子3に接続された可とうより線25と外部端子26との間の電路に設けられ、電路の通電電流に応じた発熱により変形する。
電磁装置18は可動接触子3に接続された可とうより線25と外部端子26との間の電路に設けられ、電路の通電電流が所定値を超えたとき、通電電流に応じた磁気力により作動する。
開閉接点20は固定接触子2及び可動接触子3の一端に設けられた接点である。
カケガネ11、ラッチ12及びレバー13等は回転軸11a、12a、15a、15b、19aにより鉄板製フレームに回動自在に軸支されている。
過電流の通電時には、バイメタル17又は電磁装置18がトリップバー19を回転させてカケガネ11とラッチ12の係合を外し、ラッチ12はレバー13の係止を外し、メインバネ16の蓄勢力が開閉接点20を開離させて電流遮断を行う。回路遮断器のトリップ動作後は、リセット動作によりカケガネ11、ラッチ12、レバー13の係合、係止を復帰して開閉接点20を閉じることにより、再度の電流遮断に備えられるように構成されている。
そして、回転軸11a、12a、15a、15b、19aの軸受部や、カケガネ11、ラッチ12、レバー13、トグルリンク15における摺動部には、各部品間の摺動における摩擦を小さくし円滑に動作させるために、グリースや油などの潤滑剤が塗布されている。
図3(b)は図3(a)の係止状態をa−a方向から見た図である。説明のためレバー13の本体は省略している。
ラッチ12は回転軸12aにより回転可能に支持されている。また、レバー13も図示を省略した回転軸により回転可能に支持されている。電流遮断時には、ラッチ12は矢印A方向に回転し、レバー13の先端部13aの係止を解放することでレバー13が矢印B方向に回転する。
図に示すピン122は、かしめピンを用いている。
また、揺動部材121とレバー13の先端部13aの接触部分周辺には、オイルやグリースといった液体潤滑剤が塗布されている。この潤滑剤は遮断動作あるいは、再係止動作時に揺動部材121と先端部13aが互い摺動する際に、摩擦係数を低減し、円滑な動作を行う目的で塗布されるものである。
すなわち、ラッチ12およびレバー13のそれぞれの相対位置を決める部分の加工精度や組み立て精度の誤差によって生じうるものである。
あるいは、揺動部材121、もしくは、レバー13のどちらか一方であってもよい。固体潤滑剤を被膜した場合、液体潤滑剤で生じやすい劣化あるいは蒸発、飛散による経年的な劣化、すなわち、潤滑性の低下を防止し、長期間にわたって安定した潤滑性能を維持できる。また、液体潤滑剤と固体潤滑剤の両方を用いてもよい。この場合、液体潤滑剤の低摩擦性と固体潤滑剤の経年的な潤滑性能の安定性の両方を得られる。
上記実施例では、ピン122にかしめピンを用いているが、これに限るものではなく、揺動部材121が揺動できる状態でラッチ12に平行に保持可能なものであれば、ラッチ12に対してネジ留めされるボルト状のものであってもよい。
本発明の回路遮断器の実施の形態2を図に基づいて、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
断面円弧形状をなしていることの効果を図5により説明する。図5は、ラッチ12と先端部13aが角度Θ2だけ傾いて接触している状態を示している。このような状態は、たとえば、先端部13aの曲げ加工誤差やレバー13の回転支持部位置の加工誤差などにより生じる。また、反対にラッチ12の回転軸12aの位置の加工誤差などによっても生じる。このような状態であっても、揺動部材221の下端が断面円弧形状をなしていてエッジ部がない形状であれば、先端部13aとの接触が線接触状態となる。したがって、遮断動作時に塗布した潤滑剤が適正に効果を発揮し、ラッチ12とレバー先端部13aの摺動を円滑に行う効果が得られる。
また、上記のような場合でなくとも、ラッチ12とカケガネ11の係合が解放されるとき、ラッチ12は回転軸12aを中心として矢印Aの方向に回転するので、微妙にではあるが、揺動部材221が先端部3aと接触する部分もラッチ12の回転に従ってずれることになる。このような場合でも、均一な接触を確保できる利点がある。
本発明の回路遮断器の実施の形態3を図に基づいて、実施の形態2と異なる部分を中心に説明する。
図6(a)、(b)は本発明の回路遮断器の実施の形態3におけるラッチとレバーの構成を示す図である。
実施の形態3における回路遮断器の基本構造は実施の形態2とほぼ同じである。
この実施の形態では、実施の形態2に比べて、揺動部材321が若干上下方向に大きくなっていて、揺動部材321にはピン122が上下に2個取り付けてある。
上下の各ピン122はいずれも、実施の形態2で使用したピンと同じ物であるが、下側のピン122は揺動部材321がラッチ212の表面から離れないように適切に保持するためのものとして機能する。
ラッチ212からレバー13の係止を解放するときには、レバー先端部13aと揺動部材321の下部に大きな接圧がかかっているので、揺動部材321の下部には係止の解放と同時にレバー13側に引き込まれる大きな力がかかる。この力は揺動部材321をテコのアームとしてピン122にもかかる。
ピン122を2本取り付けることにより、この力による揺動部材321のガタつきを押さえ、揺動部材321の安定した揺動を確保し、揺動部材321およびピン122の耐久性も向上できる。
4 絶縁ホルダ、11 カケガネ、11a,12a,15a,15b,19a 回転軸、12,212 ラッチ、13 レバー、13a レバー先端部、15 トグルリンク、
16 メインバネ、17 バイメタル、18 電磁装置、19 トリップバー、
20 開閉接点、22 ハンドル、23 ハンドルアーム、25 可とうより線、
26 外部端子、121,221,321 揺動部材、122 ピン、
P1,P2 ピン穴。
Claims (4)
- 絶縁ケースと、この絶縁ケースに収納され、回路を開閉する開閉機構部と、前記開閉機構部を係止して前記回路の閉状態を保持する係止部と、
前記回路の過電流を検出したとき、前記係止部のラッチと前記開閉機構部のレバーの先端部の係止を解いて前記開閉機構部に回路を開放させる引き外し機構部とを備えた回路遮断器において、
前記ラッチは前記回路が閉状態の時に前記レバーの前記先端部を係止する揺動部材を有し、
前記揺動部材は、前記レバーに正対する前記ラッチの表面上に、前記ラッチの可動方向と垂直方向に揺動可能に一点で保持されていることを特徴とする回路遮断器。 - 前記揺動部材は、前記レバーの先端部が係止されるとき接触する端部の、揺動方向に垂直に切断した断面形状が円弧状であることを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器。
- 前記ラッチは、前記一点を中心とする円弧状の貫通孔を有し、
前記揺動部材は前記貫通孔に通した保持具で揺動可能に保持されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回路遮断器。 - 前記係止部の潤滑剤として有機系樹脂を結合剤とする二硫化モリブデンを含有する固体潤滑剤を使用することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回路遮断器。
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