JP5180744B2 - 微細セルロースエステル繊維 - Google Patents

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本発明は耐熱性を向上させ、かつ樹脂との密着性が改善された微細セルロースエステル繊維に関する。
近年、技術の進展に伴い、使用される用途に応じて樹脂に対してより高度な特性が要求されるようになってきた。このような要求特性を満たす技術の一つとして、熱可塑性樹脂に層状化合物、ナノフィラーをナノスケールで分散させた組成物、所謂ナノコンポジットが最近注目されている。ナノコンポジットを形成することにより、高耐熱化、高弾性化、難燃化、ガスバリア性能の向上等、様々な特性の向上が実現している(例えば非特許文献1)。ナノコンポジットを形成するためには、層状化合物をナノスケールで分散させる必要があり、様々な方法が試みられている。
ナノフィラーとしてはカーボンナノファイバーなどの繊維状ファイバー、層状珪酸塩などの層状化合物を用いた材料開発が盛んに行われている。特に生物由来のフィラーとしてミクロフィブリル化セルロースは軽くて強度が高く(ガラス繊維が密度2.5g/cm、弾性率が約70GPaであるのに対して、セルロースは1.5g/cm、弾性率が120GPa)、さらには生分解性も高いためパソコン、携帯電話等の家電製品の筐体、文房具等の事務機器、スポーツ用品、輸送機器、建築材料など幅広い分野への応用が期待されている。このようなミクロフィブリル化セルロースの機械的特性を、既に幅広く利用されている樹脂の分野に活用することが試みられている。例えば、樹脂の物性、機能等の向上、新たな物性、機能等の付与を目的として、樹脂にミクロフィブリル化セルロースを混合、複合等することが試みられている。特に、環境負荷の観点から生分解性樹脂が注目されており、この生分解性樹脂とミクロフィブリル化セルロースを混合、複合することが試みられている。
またミクロフィブリル化セルロースは、セルロース系繊維をリファイナー、ホモジナイザー等により磨砕ないし叩解することにより製造できることが知られている(例えば特許文献1参照)。しかしこのようなプロセスではエネルギーコストが高く、かつミクロフィブリルセルロースが凝集しやすいといった問題があった。さらにミクロフィブリル化セルロースを樹脂中に分散させることが非常に困難であり、均一な複合樹脂を得ることが難しかった。
さらに汎用的に入手可能な植物系の精製セルロース(木材パルプやリンターパルプ等)を元のミクロフィブリルまでダウンサイジングする技術として、特許文献2には、高圧ホモジナイザーと呼ばれる、極めて高い圧力でフィブリル状物質を高度に微細化できる装置を用いることによりセルロースのナノファイバーが得られることが開示されている。しかしながら、該方法では、高圧ホモジナイザーによる処理時に多大なエネルギーを要し、コスト的に不利であると同時に、得られる微細化繊維の繊維径にも分布が存在し、一般的な処理条件下では微細化の程度も不完全であり、1μm以上の太い繊維も若干残ることが多い。
一方、特許文献3においては微細セルロース繊維が開示されている。
この繊維は水中において良分散したナノファイバーで、かつ天然セルロースの結晶構造であるセルロースI型結晶構造が、酢酸セルロースのような通常の再生セルロースでは、セルロースII型結晶構造に転化してしまい強度の低下が起こるのに対して、特許文献3の微細セルロース繊維では化学反応処理後でも維持されていることが報告されている。
更に、該微細セルロース繊維は前述のミクロフィブリルセルロースの基本骨格となっている幅4nm程度の高強度ナノファイバーである。このナノファイバーは水中での凝集が抑制されているだけでなく、低エネルギーで製造する事が可能になっている。このようにして得られた微細セルロースは数nmから数10nmの繊維径を有するナノファイバーの分散体であることも特許文献3によって報告されている。
しかしながら、上記の微細セルロースは親水性繊維であるため樹脂に添加すると凝集しやすく、微細セルロースと樹脂との界面強度が弱いといった問題点があった。なお、該微細セルロースを、公知のセルロース誘導体、例えば酢酸セルロースなどに転化して疎水性(親油性)を付与しても、前記のとおりセルロースI型結晶構造がII型結晶構造に転化してしまって強度が低下し、問題の解決にはならない。さらに製造された微細セルロースの耐熱性は低く用途が限られるといった問題もあった。
特公昭50−38720号公報 特開昭56−100801号公報 特開2008−1728号公報 中条澄著、「ナノコンポジットの世界」、工業調査会、2000年8月
本発明は耐熱性が良好で、かつ樹脂との密着性が改善された微細セルロースエステル繊維を提供する。
本発明者らは、前記の課題を鑑みて鋭意検討を行った結果、分子中にエステル化されたウロン酸残基を有し、かつセルロースI型結晶構造を有する微細セルロースエステル繊維によって前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。本発明の要旨を以下に示す。
(1) 分子中にエステル化されたウロン酸残基を有し、かつセルロースI型結晶構造を有する微細セルロースエステル繊維。
(2) エステル基とアルデヒド基を合計で0.1〜2.2mmol/g(微細セルロースエステル繊維の質量あたり)有する上記(1)記載の微細セルロースエステル繊維。
(3) 以下の(A)〜(C)の工程よりなる、上記(1)または(2)記載の微細セルロースエステル繊維の製造方法。
(A) 天然セルロースに、酸化触媒としてN−オキシル化合物、および共酸化剤を作用させ、該天然セルロースのグルコース残基のC6位のヒドロキシ基を触媒酸化して得られる反応物繊維を、更に溶媒中に分散させることにより、微細セルロース繊維の分散液を製造する工程。
(B) 微細セルロース繊維を有機オニウム化合物にて処理する工程。
(C) オニウム化合物にて処理された該微細セルロース繊維にアルキル化剤を反応させてエステル化を行う工程。
本発明の微細セルロースエステル繊維は、耐熱性や樹脂との密着性が良好でナノコンポジットの形成に好適であり、家電製品の筐体等への幅広い分野へ応用できる。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の微細セルロースエステル繊維は、その分子中にエステル化されたウロン酸残基を有する。ウロン残基とは、下記式(1)に例示するような、ピラノース環中、6位炭素のみが酸化されカルボキシ基に変換した構造を有する繰り返し単位のことを指す。
Figure 0005180744
そして、本発明の微細セルロースエステル繊維が有する、エステル化されたウロン酸残基とは、下記式(2)に示す繰り返し単位のことを指す。
Figure 0005180744
(ただし、上記式(2)において、Rは炭素数1〜50、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜18のアルキル基である。)
本発明の微細セルロースエステル繊維は、天然セルロースと同じI型結晶構造を有する。
本発明の微細セルロースエステル繊維は、エステル基とアルデヒド基を合計で0.1〜2.2mmol/g(微細セルロースエステル繊維の質量あたり)有することが好ましく、0.5〜1.5mmol/g有すると更に好ましい。
次に、本発明における微細セルロースの製造法を示す。本発明の微細セルロースエステル繊維は以下に示す(A)〜(C)の工程よりなる。
(A) 天然セルロースに、酸化触媒としてN−オキシル化合物、および共酸化剤を作用させ、該天然セルロースのグルコース残基のC6位のヒドロキシ基を触媒酸化して得られる反応物繊維を、更に溶媒中に分散させることにより、微細セルロース繊維の分散液を製造する工程。
(B) 微細セルロース繊維を有機オニウム化合物にて処理する工程。
(C) オニウム化合物にて処理された該微細セルロース繊維にアルキル化剤を反応させてエステル化を行う工程。
工程(A)は、特開2008−1728号公報に開示されているとおり、天然セルロースを原料とし、水中においてN−オキシル化合物を酸化触媒とし、共酸化剤を作用させることにより該天然セルロースを酸化して反応物繊維を得る酸化反応処理、不純物を除去して水を含浸させた反応物繊維を得る精製処理、および水を含浸させた反応物繊維を溶媒に分散させる分散処理、の3つの処理段階に細分される。以下、各処理について説明する。
まず、酸化反応処理では、水中に天然セルロースを分散させた分散液を調製する。ここで、天然セルロースは、植物,動物,バクテリア産生ゲル等のセルロースの生合成系から単離した精製セルロースを意味する。より具体的には、針葉樹系パルプ、広葉樹系パルプ、コットンリンターやコットンリントのような綿系パルプ、麦わらパルプやバガスパルプ等の非木材系パルプ、BC(バクテリアセルロース)、ホヤから単離されるセルロース、海草から単離されるセルロースなどを挙げることができるが、これに限定されるものではない。好ましくは、天然セルロースに叩解等の表面積を高める処理を施すと、反応効率を高めることができ、生産性を高めることができる。さらに、天然セルロースとして、単離、精製の後、ネバードライで保存していたものを使用するとミクロフィブリルの集束体が膨潤し易い状態であるため、やはり反応効率を高め、微細化処理後の数平均繊維径を小さくすることができ、好ましい。
反応における天然セルロースの分散媒は水であり、反応水溶液中の天然セルロース濃度は、試薬の十分な拡散が可能な濃度であれば任意であるが、通常、反応水溶液の質量に対して約5%以下である。
また、セルロースの酸化触媒として使用可能なN−オキシル化合物は数多く報告されている(「Cellulose」Vol.10、2003年、第335〜341ページにおけるI. Shibata及びA. Isogaiによる「TEMPO誘導体を用いたセルロースの触媒酸化:酸化生成物のHPSEC及びNMR分析」と題する記事)が、特にTEMPO、4−アセトアミド−TEMPO、4−カルボキシ−TEMPO、及び4−フォスフォノオキシ−TEMPOは水中常温での反応速度において好ましい。これらN−オキシル化合物の添加は触媒量で十分であり、好ましくは0.1〜4mmol/L、さらに好ましくは0.2〜2mmol/Lの範囲で反応水溶液に添加する。
共酸化剤として、次亜ハロゲン酸またはその塩、亜ハロゲン酸またはその塩、過ハロゲン酸またはその塩、過酸化水素、および過有機酸などが本発明において使用可能であるが、好ましくはアルカリ金属次亜ハロゲン酸塩、たとえば、次亜塩素酸ナトリウムや次亜臭素酸ナトリウムである。次亜塩素酸ナトリウムを使用する場合、臭化アルカリ金属、たとえば臭化ナトリウムの存在下で反応を進めることが反応速度において好ましい。この臭化アルカリ金属の添加量は、N−オキシル化合物に対して約1〜40倍モル量、好ましくは約10〜20倍モル量である。
反応水溶液のpHは約8〜11の範囲で維持されることが好ましい。水溶液の温度は約4〜40度において任意であるが、反応は室温で行うことが可能であり、特に温度の制御は必要としない。
本発明の微細セルロースエステル繊維を得るために、微細セルロース繊維(反応物繊維)の段階で必要なカルボキシ基量は天然セルロース種により異なり、カルボキシ基量が多いほど、微細化処理後の最大繊維径、及び数平均繊維径は小さくなる。たとえば、木材系パルプおよび綿系パルプでは0.2〜2.2mmol/g、BCやホヤからの抽出セルロースでは0.1〜0.8mmol/gの範囲でカルボキシ基が導入されて微細化は進む。従って、酸化の程度を共酸化剤の添加量と反応時間により制御し、天然セルロース種に応じた酸化条件を最適化することで、目的とするカルボキシ基量を得ることが好ましい。一般に共酸化剤の添加量は、天然セルロース1gに対して約0.5〜8mmolの範囲で選択することが好ましく、反応は約5〜120分、長くとも240分以内に完了する。
本発明において用いる反応物繊維においては、その最大繊維径が1000nm以下かつ数平均繊維径が2〜150nmのものが好ましく、最大繊維径が500nm以下かつ数平均繊維径が2〜100nmであるものがより好ましく、最大繊維径が30nm以下かつ数平均繊維径が2〜10nmであるものが更に好ましい。このように、該反応物繊維は非常に微細であり、以下、該反応物繊維を微細セルロースと称することがある。
精製処理に於いては、未反応の次亜塩素酸や各種副生成物等の反応スラリー中に含まれる反応物繊維と水以外の化合物を系外へ除去するが、反応物繊維は通常、この段階ではナノファイバー単位までばらばらに分散しているわけではないため、通常の精製法、すなわち水洗とろ過を繰り返すことで高純度(99質量%以上)の反応物繊維と水の分散体とする。該精製処理における精製方法は遠心脱水を利用する方法(例えば、連続式デカンダー)のように、上述した目的を達成できる装置であればどんな装置を利用しても構わない。こうして得られる反応物繊維の水分散体は絞った状態で固形分(セルロース)濃度としておよそ10質量%〜50質量%の範囲にある。この後の処理で、ナノファイバーへ分散させることを考慮すると、50質量%よりも高い固形分濃度とすると、分散に極めて高いエネルギーが必要となることから好ましくない。
さらに、本発明では、上述した精製処理にて得られる水を含浸した反応物繊維(水分散体)を溶媒中に分散させ分散処理を施すことにより、本発明の微細セルロースエステル繊維の中間体として好ましい、微細セルロース繊維の分散体を提供することができる。
ここで、分散媒としての溶媒は通常は水が好ましいが、水以外にも目的に応じて水に可溶するアルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール、グリセリン等)、エーテル類(エチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)やN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキサイド等を使用してもよい。また、これらの混合物も好適に使用できる。さらに、上述した反応物繊維の分散体を溶媒によって希釈、分散する際には、少しずつ溶媒を加えて分散していく、段階的な分散を試みると効率的にナノファイバーレベルの繊維の分散体を得ることができることがある。操作上の問題から、分散処理後の状態は粘性のある分散液あるいはゲル状の状態となるように分散条件を選ぶとよい。
次に、分散処理で使用する分散機としては、種々なものを使用することができる。具体例を示せば、反応物繊維における反応の進行度(アルデヒド基やカルボキシ基への変換量)にも依存するが、好適に反応が進行する条件下では、スクリュー型ミキサー、パドルミキサー、ディスパー型ミキサー、タービン型ミキサー等の工業生産機としての汎用の分散機で十分に本発明の微細セルロース繊維の分散体を得ることができる。
しかし、高速回転下でのホモミキサー、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、超音波分散処理、ビーター、ディスク型レファイナー、コニカル型レファイナー、ダブルディスク型レファイナー、およびグラインダーのようなより強力で叩解能力のある装置を使用することにより、より効率的かつ高度なダウンサイジングが可能となる。さらに、これらの装置を使用することにより、アルデヒド基やカルボキシ基の量が比較的小さい場合(例えば、アルデヒド基やカルボキシ基のセルロースに対する総和量として、0.1〜0.5mmol/g)にも高度に微細化され、本発明の微細セルロースエステル繊維を得るのに好適な分散体を提供できる。
さらに工程(B)についてはさらに親水性である該微細セルロース繊維を疎水化(親油化)処理する工程である。疎水化(親油化)する方法として、N−オキシル化合物(TEMPO等)酸化により生じたカルボキシアニオンと反応させるために有機アンモニウム、有機ホスホニウムのようなオニウム構造を有する有機オニウム化合物を加えることにより容易に疎水化(親油化)できる。
有機オニウム化合物としては、下記式(3)で示される有機オニウムイオンを有するものを好ましく挙げることができる。
Figure 0005180744
(式中、Mは窒素原子またはリン原子を表し、R、R、RおよびRは炭化水素基またはヘテロ原子を含む炭化水素基を表す。R、R、RおよびRの炭素数の合計は4〜120である。R、R、RおよびRは互いに連結して環を形成してもよい。)
、R、RおよびRが炭化水素基である場合の例として、アルキル基、アラルキル基、芳香族基を挙げることができる。アルキル基としては、炭素数1〜18のアルキル基が好ましく、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、およびn−オクタデシルを例示することができる。
アラルキル基としては、炭素数7〜20のアラルキル基が好ましく、例としてはベンジル基、o−トルイルメチル基、m−トルイルメチル基、p−トルイルメチル基、2−フェニルエチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基などが挙げられる。また、芳香族基としては、炭素数6〜20の芳香族基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、ベンジル基、トシル基などを例示することができる。R〜Rは、それらの熱安定性に影響を及ぼさないメチル、エチル、弗素、塩素などのような置換基を有してもよい。
ヘテロ原子を含む炭化水素基の例としては、炭素数1〜30のヒドロキシ置換炭化水素基、アルコキシ置換炭化水素基、およびフェノキシ置換炭化水素基が挙げられ、好適には、以下のような置換基およびその異性体を例示することができる。(ここで下記式中、aおよびbは1以上29以下の整数であり、置換基中での炭素数が30以下になる整数である。また、cは1以上15以下の整数、dは1以上14以下の整数である。)
[ヒドロキシ置換炭化水素基]:
Figure 0005180744
[アルコキシ置換炭化水素基]:
Figure 0005180744
[フェノキシ置換炭化水素基]:
Figure 0005180744
[フタルイミド置換炭化水素基]:
Figure 0005180744
[ポリ(オキシアルキレン)基]:
Figure 0005180744
さらにR、R、R及びRが環を形成する場合にはピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、ジメチルピリジン、ヒドロキシピリジン、ジメチルアミノピリジン等のピリジン誘導体、イミダゾール、メチルイミダゾール、ジメチルイミダゾール、エチルイミダゾール、ベンズイミダゾール等のイミダゾール誘導体、ピラゾール、メチルピラゾール、ジメチルピラゾール、エチルピラゾール、ベンズピラゾール等のピラゾール誘導体からなる有機オニウムイオンを挙げることができる。
前記式(3)中のMが窒素原子である場合の具体例としては、各種のテトラアルキルアンモニウムを好適なものとして挙げられるがその他にも、例えば、N,N′−ジメチルイミダゾリニウム、N−エチル−N′−メチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム、1−エチル−3,4−ジメチルイミダゾリニウム、2−エチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム、4−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム、1,2−ジエチル−3−メチルイミダゾリニウム、1,3−ジエチル−2−メチルイミダゾリニウム、1,3−ジエチル−4−メチルイミダゾリニウム、1,2−ジエチル−3−メチルイミダゾリニウム、1,4−ジエチル−3−メチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリエチルイミダゾリニウム、1,3,4−トリエチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1−エチル−2,3,4−トリメチルイミダゾリニウム、1−エチル−2,3,5−トリメチルイミダゾリニウム、1−エチル−3,4,5−トリメチルイミダゾリニウム、2−エチル−1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム、4−エチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、4−エチル−1,3,5−トリメチルイミダゾリニウム、1,2−ジエチル−3,4−ジメチルイミダゾリニウム、1,2−ジエチル−3,5−ジメチルイミダゾリニウム、1,3−ジエチル−2,4−ジメチルイミダゾリニウム、1,3−ジエチル−2,5−ジメチルイミダゾリニウム、1,4−ジエチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム、1,5−ジエチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム、1,5−ジエチル−3,4−ジメチルイミダゾリニウム、2,3−ジエチル−1,4−ジメチルイミダゾリニウム、2,3−ジエチル−1,5−ジメチルイミダゾリニウム、2,4−ジエチル−1,5−ジメチルイミダゾリニウム、2,5−ジエチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム、3,4−ジエチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、3,4−ジエチル−1,5−ジメチルイミダゾリニウム、3,5−ジエチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、3,5−ジエチル−1,4−ジメチルイミダゾリニウム、4,5−ジエチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリエチル−4−メチルイミダゾリニウム、1,3,4−トリエチル−2−メチルイミダゾリニウム、1,3,4−トリエチル−5−メチルイミダゾリニウム、2,3,4−トリエチル−1−メチルイミダゾリニウム、2,3,5−トリエチル−1−メチルイミダゾリニウム、3,4,5−トリエチル−1−メチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラエチルイミダゾリニウム、1,3,4,5−テトラエチルイミダゾリニウム等の各種イミダゾリニウム、などのアンモニウムイオンが挙げられるが、合成の容易さ、コスト面から特にテトラアルキルアンモニウムイオンが更に好ましい。具体例としてはドデシルトリメチルアンモニム、テトラデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム、オレイルトリメチルアンモニウム、ジドデシルジメチルアンモニウム、ジテトラデシルジメチルアンモニウム、ジヘキサデシルジメチルアンモニウム、ジオクタデシルジメチルアンモニウム、ジオレイルジメチルアンモニウム、ドデシルジメチルベンジルアンモニム、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウム、ヘキサデシルジメチルベンジルアンモニウム、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、オレイルジメチルベンジル、ヒドロキシポリオキシエチレンドデシルジメチルアンモニウム、ヒドロキシポリオキシエチレンテトラデシルジメチルアンモニウム、ヒドロキシポリオキシエチレンヘキサデシルジメチルアンモニウム、ヒドロキシポリオキシエチレンオクタデシルジメチルアンモニウム、ヒドロキシポリオキシエチレンオレイルジメチルアンモニウム、ジヒドロキシポリオキシエチレンドデシルメチルアンモニウム、ジヒドロキシポリオキシエチレンテトラデシルメチルアンモニウム、ジヒドロキシポリオキシエチレンヘキサデシルメチルアンモニウム、ジヒドロキシポリオキシエチレンオクタデシルメチルアンモニウム、ジヒドロキシポリオキシエチレンオレイルメチルアンモニウムが例示される。これらは単独で、又は組み合わせて用いることができる。
さらに前記式(3)中のMがP原子、つまり有機オニウムが有機ホスホニウムイオンである場合の具体例としてはテトラエチルホスホニウム、トリエチルベンジルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、テトラオクチルホスホニウム、トリメチルデシルホスホニウム、トリメチルドデシルホスホニウム、トリメチルヘキサデシルホスホニウム、トリメチルオクタデシルホスホニウム、トリブチルメチルホスホニウム、トリブチルドデシルホスホニウム、トリブチルオクタデシルホスホニウム、トリオクチルエチルホスフォニウム、トリブチルヘキサデシルホスフォニウム、メチルトリフェニルホスホニウム、エチルトリフェニルホスホニウム、ジフェニルジオクチルホスホニウム、トリフェニルオクタデシルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウム、トリブチルアリルホスフォニウムなどが挙げられる。
これらの有機ホスホニウムイオンは、単独でも組み合わせても用いることができる。
以上述べた有機オニウムの中で、耐熱性の点から好ましいのは前記式(3)中のMがリン原子である有機オニウム、つまりホスホニウムイオンである。
また、前記の有機オニウムと対を成す陰イオン成分としては、塩素イオンや臭素イオンなどのハロゲンイオン、硫酸水素イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロフォスフェイトイオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ヒドロキシイオンなどが好ましいものとして挙げられるが、特に好ましいものはハロゲンイオンである。
有機オニウム化合物で処理する方法としては分散処理で得られた微細セルロース繊維の分散体に有機オニウム化合物を含む溶液を添加することによって容易に行うことができる。より具体的には分散処理で生じた微細セルロース繊維表面のカルボン酸アルカリ金属と上記有機オニウムイオンとのイオン交換を行うことで製造される。例えば、カチオン交換前の微細セルロース繊維を水に分散させた液と有機オニウム化合物の溶液を混合攪拌した後、生じた疎水化(親油化)セルロースをろ過、遠心分離等の方法により媒体と分離し洗浄する。
有機オニウム処理に好ましい濃度としては、微細セルロース繊維濃度として0.01〜10%質量で、溶解した有機オニウム化合物と反応させることが好ましい。0.01質量%よりも濃度が低い場合には、溶液全体の量が多くなり過ぎ、取り扱う上で好ましくない場合がある。10質量%を超える場合には分散液の粘度が高くなりすぎるため、有機オニウム化合物と接触させることによる陽イオン交換が低下することがある。微細セルロースとしては、0.05〜5質量%がさらに好ましく、0.2〜2質量%がより好ましい。反応時の温度としては、分散液が攪拌するのに充分低い粘度を有すればよく、例えば、水の場合には、概略20〜100℃程度で有機オニウム処理を行うことが好ましい。こうして得られた修飾後の有機オニウム化合物処理微細セルロース(以下、微細修飾セルロースと称することがある)は反応終了後、未反応の有機ホスホニウムイオンを取り除くため十分に洗浄することが好ましい。 洗浄方法としては特に限定するものではないが、例えば有機溶媒等の有機ホスホニウム化合物の良溶媒にて洗浄することが挙げられる。
なお、本工程における処理の効果は、主に、微細セルロース繊維表面のカルボキシ基が塩を形成しているアルカリ金属カチオン(酸化反応処理で用いた共酸化剤に由来する)が、有機オニウムによってイオン交換されることによるものと考えられる。これは、有機オニウム処理によって得られた微細修飾セルロース繊維がNMP、DMSOなどの有機溶媒に分散し容易に沈殿を生じない事からも明らかである。
本発明の製造方法においては、有機オニウム処理による陽イオン交換率(下記式にて定義)は60〜100%である。陽イオン交換率が60%以上であることが分散性の点で有利であり、65〜100%であることがさらに好ましく、70〜100%であることがより好ましい。
陽イオン交換率(%)=1−(A/B)
ここで、A:イオン交換後の微細セルロース中のアルカリ金属量[質量ppm]
B:イオン交換前の微細セルロース中のアルカリ金属量[質量ppm]
次に工程(C)は該オニウム化合物処理をした微細修飾セルロースを有機溶媒などに分散させエステル化する工程である。
エステル化に使用する溶媒としては特に限定はしないが、オニウム化合物処理した微細セルロースの溶媒への分散性の他、エステル交換反応を阻害しないといった面を考慮して決められる。酢酸エチル、酢酸n−ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類、通常はアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の脂肪族又は芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドなどのような極性溶媒を用いる事ができる。オニウム化合物がアルキルオニウム化合物の場合にはジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドに分散しやすいので好適に用いる事ができる。これらの溶剤は単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。
エステル化反応の溶媒の使用量は、添加する微細セルロースの量、反応試薬の添加量などの諸条件に応じて適宜変更可能であり、通常は微細セルロース濃度が0.01〜50質量%、好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは1.0〜10質量%となるように溶媒を添加する。
エステル化反応の反応温度は、溶媒の沸点、オニウム化合物処理した微細セルロース繊維(微細修飾セルロース)の安定性により適宜変更され、通常は反応温度については概ね室温から200℃の範囲で実施する事ができる。例えば反応温度が100℃以上の高い温度で行う場合には耐熱性の点からアルキルホスホニウム化合物で処理した微細セルロースが好ましく用いられる。好ましくは50℃〜150℃、最も好ましくは70℃〜120℃の範囲である。かかる重合反応に用いる反応容器は特に限定されない。
また反応時間としては、0.1〜30時間が好ましく、特に1〜20時間とするのが好適である。
該オニウム化合物処理をした微細セルロースは有機溶媒に添加した後、ホモジナイザーなどのせん断が印加できる装置にて分散処理を施す事が好ましい。その後にハロゲン化アルキルを添加して該エステル化反応を実施する事ができる。
エステル化反応で用いるアルキル化剤としては、ハロゲン化アルキル、アルキル硫酸エステル(ジメチル硫酸、ジエチル硫酸など)、アルキルトシラート(p−トルエンスルホン酸メチルなど)、アルキルメシラート(メタンスルホン酸メチルなど)、アルキルトリフラート(トリフルオロメタンスルホン酸メチルなど)等が挙げられるが、価格等の点でハロゲン化アルキルが好ましい。ハロゲン化アルキルの具体例は、塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、塩化エチル、臭化エチル、ヨウ化エチル、塩化プロピル、臭化プロピル、ヨウ化プロピル、塩化ブチル、臭化ブチル、ヨウ化ブチル、塩化ヘキシル、臭化ヘキシル、ヨウ化ヘキシル、塩化デシル、臭化デシル、ヨウ化デシル、塩化ヘキサデシル、臭化ヘキサデシル、ヨウ化ヘキサデシル、塩化オクタデシル、臭化オクダシル、ヨウ化オクタデシル、塩化コレステリル、臭化コレステリル、ヨウ化コレステリル、塩化コレスタリル、臭化コレスタリル、ヨウ化コレスタリル、C1〜C50のポリフルオロアルキルクロリド、C1〜C50のポリフルオロアルキルブロミド、C1〜C50のポリフルオロアルキルヨード等などが挙げられるが、上記のなかでも臭化物が反応性および取り扱い性の面から特に好ましい。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。
(i)セルロースの結晶形態
本発明の微細セルロースエステル繊維がI型結晶構造であることは、その広角X線回折像測定により得られる回折プロファイルにおいて、2シータ=14〜17°付近と2シータ=22〜23°付近の二つの位置に典型的なピークをもつことから同定することができる。
(ii)微細セルロース繊維のアルデヒド基およびカルボキシ基の量(mmol/g)
乾燥質量を精秤したセルロース試料から0.5〜1質量%スラリーを60mL調製し、0.1Mの塩酸水溶液によってpHを約2.5とした後、0.05Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して電気伝導度測定を行う。測定はpHが約11になるまで続ける。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム水溶液量(V)から、下式を用いて官能基量1を決定する。該官能基量1がカルボキシ基の量を示す。
官能基量(mmol/g)=V(mL)×0.05/セルロースの質量(g)
次に、セルロース試料を、酢酸でpHを4〜5に調製した2%亜塩素酸ナトリウム水溶液中でさらに48時間常温で酸化し、上記手法によって再び官能基量2を測定する。この酸化によって追加された官能基量(=官能基量2−官能基量1)を算出し、アルデヒド基量とする。
(iii)エステル化率
微細セルロースエステル繊維中のカルボキシ基がエステル化された割合、つまりエステル化率は、固体NMRを用いてDD/MAS法により測定した微細セルロースエステル繊維の質量あたりのエステル基量(mmol/g)を、前項に示した微細セルロースの段階でのカルボキシ基量(mmol/g)で除して、更に100を乗じることにより、つまり下記式にて算出した。
エステル化率[%]=エステル基量/カルボキシ基量×100
(iv)熱質量測定装置
熱質量測定装置(Rigaku Thermo Plus TG8120)にて窒素下にて5質量%減少率を測定した。
[参考例1]微細セルロースの合成
微細セルロース繊維の調製は、天然セルロースとして日本製紙株式会社製のLBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)を用いて、特開2008―1728号公報記載の方法に従って行った。合成した乾燥微細セルロースをイオン交換水に添加した後、回転刃式ミキサーで約5分間の処理を行い最終的に0.2%質量の分散液を得た。この微細セルロースのアルデヒド基の量およびカルボキシ基の量は、それぞれ0.3mmol/gおよび0.8mmol/gであった。
[参考例2]
参考例1で得られた該分散液100質量部を、攪拌羽根を供えたビーカーに入れ70℃に過熱攪拌した。ここで有機オニウム化合物として、トリ-n−ブチルヘキサデシルホスホニウムブロミド(日本化成工業製、カタログナンバー:PX416)11質量部をイオン交換水300質量部で溶解させた溶液を加え70℃で3時間攪拌した。混合物から固体を濾別し、メタノールで3回、水で3回洗浄した後、有機オニウム処理された微細セルロース(以下、微細修飾セルロースと称することがある)を得た。この微細修飾セルロースを一昼夜減圧乾燥した。
[実施例1]
参考例2にて得られた、微細セルロース1.0質量部をビーカーに移しジメチルホルムアミド100質量部、さらにアルキル化剤として臭化ブチル6.9質量部に添加したのちホモジナイザーで10分間分散処理を行った。反応温度を85℃に設定し約24時間反応させた。反応物はメタノール、水で洗浄した後に一昼夜減圧乾燥し、微細セルロースエステル繊維を得た。この微細セルロースエステル繊維の5%質量減少温度は257℃であり、固体NMR法にてエステル化率を測定したところ、98%であった(エステル基量として0.78mmol/g、アルデヒド基との合計で1.08mmol/g)。固体NMRの結果を図1に示す。
[実施例2]
アルキル化剤として、臭化ブチル6.9質量部では無く、臭化ヘキシル8.3質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様に操作を行った。得られた微細セルロースエステル繊維の5%質量減少温度は245℃であり、固体NMRにて測定したエステル化率は99%(エステル基量として0.79mmol/g、アルデヒド基との合計で1.09mmol/g)であった。固体NMRの結果を図2に示す。
[実施例3]
アルキル化剤として、臭化ブチル6.9質量部では無く、臭化デシル11.1質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様に操作を行った。得られた微細セルロースエステル繊維の5%質量減少温度は250℃であり、固体NMRにて測定したエステル化率は100%(エステル基量として0.8mmol/g、アルデヒド基との合計で1.1mmol/g)であった。固体NMRの結果を図3に示す。
[実施例4]
アルキル化剤として、臭化ブチル6.9質量部では無く、臭化ヘキサデシル15.3質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様に操作を行った。得られた微細セルロースエステル繊維の5%質量減少温度は260℃であり、固体NMRにて測定したエステル化率は98%(エステル基量として0.78mmol/g、アルデヒド基との合計で1.08mmol/g)であった。固体NMRの結果を図4に示す。
[比較例1]
参考例1で得られた微細セルロースについて5%質量減少温度を測定したところ、200℃であり、耐熱性が不十分であった。
[比較例2]
参考例2で得られた、有機オニウム化合物で処理された微細セルロース(微細修飾セルロース)の5%質量減少温度を測定したところ215℃であり、耐熱性が不十分であった。
臭化ブチルによってエステル化された微細セルロース繊維(実施例1の微細セルロースエステル繊維)の固体NMRチャート。 臭化ヘキシルによってエステル化された微細セルロース繊維(実施例2の微細セルロースエステル繊維)の固体NMRチャート。 臭化デシルによってエステル化された微細セルロース繊維(実施例3の微細セルロースエステル繊維)の固体NMRチャート。 臭化ヘキサデシルによってエステル化された微細セルロース繊維(実施例4の微細セルロースエステル繊維)の固体NMRチャート。

Claims (3)

  1. 分子中にエステル化されたウロン酸残基を有し、かつセルロースI型結晶構造を有する微細セルロースエステル繊維。
  2. エステル基とアルデヒド基を合計で0.1〜2.2mmol/g(微細セルロースエステル繊維の質量あたり)有する請求項1記載の微細セルロースエステル繊維。
  3. 以下の(A)〜(C)の工程よりなる、請求項1または2記載の微細セルロースエステル繊維の製造方法。
    (A)天然セルロースに、酸化触媒としてN−オキシル化合物、および共酸化剤を作用させ、該天然セルロースのグルコース残基のC6位のヒドロキシ基を触媒酸化して得られる反応物繊維を、更に溶媒中に分散させることにより、微細セルロース繊維の分散液を製造する工程。
    (B)微細セルロース繊維を有機オニウム化合物にて処理する工程。
    (C)オニウム化合物にて処理された該微細セルロース繊維にアルキル化剤を反応させてエステル化を行う工程。
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