JP5179526B2 - 硬質皮膜、積層型硬質皮膜およびその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、チップやドリル、エンドミルなどの切削工具や、鍛造金型や打ち抜きパンチなどの冶工具などに形成する硬質皮膜およびその製造方法に関するものである。
従来、切削工具では、耐摩耗性を高めるために高速度鋼や超硬合金、サーメットなどの基材に、TiNやTiCN、TiAlNなどの硬質皮膜を形成している。特にTiAlNは耐磨耗性が高いため、高速切削用工具や焼入れ鋼などの高硬度材切削用工具で好適に用いられている。さらに近年の被切削材の高硬度化や切削速度の高速化に伴い、より優れた耐磨耗性を有する硬質皮膜の開発が求められている。そこで本発明者らは、TiAlNの代わりにTiCrAlNを用いることで、AlNの結晶構造を高硬度な立方晶構造に保ちながらAl濃度を高めることで、皮膜の硬度と耐酸化性を高められることを見出した(特許文献1)。
近年、高速度工具鋼(SKD11など)の加工を、放電加工で行なうよりも、切削工具を用いて高速で切削する傾向が高まっており、より優れた耐酸化性を有する硬質皮膜の開発が求められている。
本発明は、これらの問題に着目してなされたものであり、硬度と耐酸化性に優れた硬質皮膜およびその製造方法を提供することにある。
前記課題を解決し得た本発明の硬質皮膜は、
[(Nb1-d ,Tad)a ,Al1-a-b-c ,Sib ,Bc](C1-XNX)からなる硬質皮膜であって、
0.4≦a≦0.6、
0<b+c≦0.15、
0≦d≦1、
0.4≦X≦1
(式中、a、b、c、dおよびXは互いに独立して、原子比を示す:なおbおよびcは、一方が0であってもよいが、両方が0になることはない)
であることを特徴とする。
[(Nb1-d ,Tad)a ,Al1-a-b-c ,Sib ,Bc](C1-XNX)からなる硬質皮膜であって、
0.4≦a≦0.6、
0<b+c≦0.15、
0≦d≦1、
0.4≦X≦1
(式中、a、b、c、dおよびXは互いに独立して、原子比を示す:なおbおよびcは、一方が0であってもよいが、両方が0になることはない)
であることを特徴とする。
また本発明の硬質皮膜は、積層型であってもよく、
上記の組成を満足するB層と、
[(Nb1-D ,TaD)A ,Al1-A-B-C ,SiB ,BC ](C1-XNX)
0.2≦A≦0.5、
0.15<B+C<0.5、
0≦D≦1、
0.4≦X≦1
(式中、A、B、C、DおよびXは互いに独立して、原子比を示す:なおBおよびCは、一方が0であってもよいが、両方が0になることはない)
からなるC層が交互に積層されたものである。B層の厚みは5nm以上であり、C層の厚みは1nm以上であることが好ましい。
上記の組成を満足するB層と、
[(Nb1-D ,TaD)A ,Al1-A-B-C ,SiB ,BC ](C1-XNX)
0.2≦A≦0.5、
0.15<B+C<0.5、
0≦D≦1、
0.4≦X≦1
(式中、A、B、C、DおよびXは互いに独立して、原子比を示す:なおBおよびCは、一方が0であってもよいが、両方が0になることはない)
からなるC層が交互に積層されたものである。B層の厚みは5nm以上であり、C層の厚みは1nm以上であることが好ましい。
上記硬質皮膜は、硬度と耐酸化性の両方に優れている。
本発明には、[(Nb1-d ,Tad)a ,Al1-a-b-c ,Sib ,Bc]からなり、0.4≦a≦0.6、0<b+c≦0.15、0≦d≦1(式中、a、b、cおよびdは互いに独立して、原子比を示す:なおbおよびcは、一方が0であってもよいが、両方が0になることはない)であるターゲットを用い、
N含有ガスまたはCとNを含有する混合ガス中、カソード放電型アークイオンプレーティング法で皮膜することによって得られる硬質皮膜や、
[(Nb1-d ,Tad)a ,Al1-a-b-c ,Sib ,Bc]からなり、0.4≦a≦0.6、0<b+c≦0.15、0≦d≦1(式中、a、b、cおよびdは互いに独立して、原子比を示す:なおbおよびcは、一方が0であってもよいが、両方が0になることはない)であるターゲットを用い、
N含有ガスまたはCとNを含有する混合ガス中、カソード放電型アークイオンプレーティング法で皮膜を形成する工程と、
[(Nb1-D ,TaD )A ,Al1-A-B-C ,SiB ,BC]からなり、0.2≦A≦0.5、0.15<B+C<0.5、0≦D≦1
(式中、A、B、CおよびDは互いに独立して、原子比を示す:なおBおよびCは、一方が0であってもよいが、両方が0になることはない)であるターゲットを用い、
N含有ガスまたはCとNを含有する混合ガス中、スパッタリング法で皮膜を形成する工程とを繰り返すことによって得られる積層型硬質皮膜も含まれる。
N含有ガスまたはCとNを含有する混合ガス中、カソード放電型アークイオンプレーティング法で皮膜することによって得られる硬質皮膜や、
[(Nb1-d ,Tad)a ,Al1-a-b-c ,Sib ,Bc]からなり、0.4≦a≦0.6、0<b+c≦0.15、0≦d≦1(式中、a、b、cおよびdは互いに独立して、原子比を示す:なおbおよびcは、一方が0であってもよいが、両方が0になることはない)であるターゲットを用い、
N含有ガスまたはCとNを含有する混合ガス中、カソード放電型アークイオンプレーティング法で皮膜を形成する工程と、
[(Nb1-D ,TaD )A ,Al1-A-B-C ,SiB ,BC]からなり、0.2≦A≦0.5、0.15<B+C<0.5、0≦D≦1
(式中、A、B、CおよびDは互いに独立して、原子比を示す:なおBおよびCは、一方が0であってもよいが、両方が0になることはない)であるターゲットを用い、
N含有ガスまたはCとNを含有する混合ガス中、スパッタリング法で皮膜を形成する工程とを繰り返すことによって得られる積層型硬質皮膜も含まれる。
上記積層型硬質皮膜は、例えば、
アーク蒸発源とスパッタ蒸発源の両方を備えた成膜装置を用い、両蒸発源を同時に放電させ、被処理体をアーク蒸発源の前方に移動させてカソード放電型アークイオンプレーティング法にてB層を形成させる工程と、被処理体をスパッタ蒸発源の前方に移動させてスパッタリング法にてC層を形成する工程とを繰り返して行なうことによって製造できる。
アーク蒸発源とスパッタ蒸発源の両方を備えた成膜装置を用い、両蒸発源を同時に放電させ、被処理体をアーク蒸発源の前方に移動させてカソード放電型アークイオンプレーティング法にてB層を形成させる工程と、被処理体をスパッタ蒸発源の前方に移動させてスパッタリング法にてC層を形成する工程とを繰り返して行なうことによって製造できる。
本発明の硬質皮膜は、Al窒化物またはAl炭窒化物系硬質皮膜のAlを適量のNbおよび/またはTaで置換しているため、硬度および耐酸化性が極めて優れている。
本発明者は、TiAlNやTiAlCN(以下、TiAl系硬質皮膜と総称する場合がある)よりも硬度と耐酸化性に優れた硬質皮膜を探索すべく、種々の硬質皮膜を形成し、結晶構造や硬度、耐酸化性、切削工具での耐久性を評価した。その結果Tiに代えて、Nbおよび/またはTaをAlと組み合わせた窒化物または炭窒化物[NbAlCN、TaAlCN、NbTaAlCN;および前記(CN)部分が(N)である化合物(以下、Nb・TaAl系硬質皮膜と称する場合がある)]が、硬度および耐酸化性(酸化開始温度)の点で極めて優れていることを見出し、本発明に至った。
より詳細に説明すると、TiAl系硬質皮膜が高い耐酸化性を示すのは、Alが高温酸化雰囲気下で優先的に酸化され、保護性の高いAl酸化皮膜が最表面に形成されるためである。しかしTiAl系硬質皮膜では、ある一定の温度以上になると、Al酸化皮膜よりも保護性の低いTi酸化物が優先的に形成され、耐酸化性が急激に低下してしまう。そこで本発明者らは、Tiを含まない前記Nb・TaAl系硬質皮膜では、TiAl系硬質皮膜よりも耐酸化性が優れていると考えた。その結果、Ta酸化物やNb酸化物は比較的高温(1000℃程度)まで非晶質であり、粒界を有しないことからTi酸化物よりも保護性が高く、Nb・TaAl系硬質皮膜はTiAl系硬質皮膜よりも耐酸化性において優れていた。
硬度については、TiAl系硬質皮膜は、TiN(格子定数:4.24Å)の格子中に、準安定状態の立方晶AlN(格子定数:4.12)が固溶しているために硬度が高いと考えられる。それに対してTaNやNbNでは、格子定数が4.339Åと4.389Åであり、立方晶AlNに対する格子定数の差がTiAl系硬質皮膜よりも大きく、格子間の歪を大きくすることができ、硬度を高めることができる。
上記Nb・TaAl系硬質皮膜は、[(Nb1-d ,Tad)aAl1-a](C1-XNX)と表記できる。なお式中、“a”、“d”および“X”は互いに独立して、原子比を示す。前記“a”は0.4以上、0.6以下である。“a”の値が小さすぎると、Alの割合が高くなりすぎて皮膜が比較的軟質な六方晶構造(ウルツ鉱型とも称する)になり、硬度が低下する。好ましい“a”の値は、0.4以上、好ましくは0.45以上、さらに好ましくは0.5以上である。“a”の値が大きくなる程、硬度は向上する。しかし“a”の値が大きくなりすぎると、Alと、Nbおよび/またはTaとの併用による歪の蓄積量が低下するため硬度が低下してしまう。従って“a”の値は、0.6以下、好ましくは0.55以下とする。前記“d”の値は1であってもよい(すなわち、TaAl系硬質皮膜)し、0であってもよい(すなわち、NbAl系硬質皮膜)。さらにはTaとNbを含有する硬質皮膜であってもよい。
前記“X”の値は1であってもよい(すなわち硬質皮膜が窒化物である)が、Xの値が小さくなるほど(すなわちC量が増大するほど)皮膜の硬度が向上する。しかしXの値を小さくし過ぎると、不安定なAlC化合物が形成されやすくなる。従ってXの値は0.4以上、好ましくは0.6以上、さらに好ましくは0.7以上とする。
前記Nb・TaAl系硬質皮膜には、さらにSiおよび/またはBが追加されていてもよく、この追加させた硬質皮膜(以下、Si・B追加型Nb・TaAl系硬質皮膜と称する場合がある)は、[(Nb1-d ,Tad)a ,Al1-a-b-c ,Sib ,Bc](C1-XNX)と表記できる。なお[(Nb1-d ,Tad)a ,Al1-a-b-c ,Sib ,Bc](C1-XNX)は、Bが炭窒化物を形成する場合のみならず、BがNbおよび/またはTa、Al、Siなどと硼化物を形成する場合をもあわせた総合的な意味を有するものである。また式中、“a”、“b”、“c”、“d”および“X”は互いに独立して、原子比を示す。Siおよび/またはBを追加することで、結晶粒界にSi−N結合やB−N結合が形成されて結晶粒の成長が抑制され、Nb・TaAl系硬質皮膜の結晶粒を微細化でき、硬度をさらに向上できた。また詳細は明らかではないが、耐酸化性も高めることができる。SiやBの追加量(b+c)は、0超、好ましくは0.01以上、さらに好ましくは0.03以上、特に好ましくは0.05以上である。なおSiやBは両方を追加してもよく、片方だけを追加してもよく、従って“b”および“c”のうち片方は0であってもよい。ただし、SiはBよりも耐酸化性の点で優れているため、耐酸化性を重視する場合には、SiおよびBの両方、またはSiだけを追加することが推奨される。一方、Bは、潤滑作用のあるB−N結合を形成するため、潤滑性向上も重視する場合には、SiおよびBの両方、またはBだけを追加することが推奨される。“b+c”の値が大きくなる程、硬度および耐酸化性は向上する。しかし“b+c”の値が大きくなりすぎると、皮膜が立方晶構造を取り難くなり、六方晶型に転移したり、非晶質化して、硬度が低下する。好ましい“b+c”の値は0.15以下である。
なお、本発明の硬質皮膜は、所望の硬度と耐酸化性を満足できる限り、立方晶と六方晶とが混在する結晶構造であってもよいが、好ましくは実質的に立方晶であるNaCl型の結晶構造を示す。立方晶の割合が高くなる程、皮膜の硬度は高くなる。
上記単層構造の硬質皮膜(Nb・TaAl系硬質皮膜およびSi・B追加型Nb・TaAl系硬質皮膜)は、その片面または両面に、より耐酸化性の高い硬質皮膜を形成することで耐酸化性をさらに向上させることができる。しかし形成させる硬質皮膜によっては、膜間での密着性が十分となり、剥離が生じることがある。そこで本発明者は、前記Nb・TaAl系硬質皮膜の組成を満たす層(本明細書中では、A層とも称する)または前記Si・B追加型Nb・TaAl系硬質皮膜の組成を満たす層(本明細書中では、B層とも称する)と、上述のSi・B追加型Nb・TaAl系硬質皮膜よりもNbおよびTaの比率を減少させた硬質皮膜やSiおよび/またはBの比率を高めた硬質皮膜(本明細書中では、C層とも称する)とを、交互に積層させて形成することで耐酸化性がさらに優れた硬質皮膜(以下、積層型硬質皮膜と称する場合がある)が得られることを見出した。積層型硬質皮膜のC層の組成は、A層やB層の組成と近似しているため、上記剥離などの問題も起こり難いと考えられる。
上記C層は[(Nb1-D ,TaD)A ,Al1-A-B-C ,SiB ,BC](C1-XNX)と表記できる。なお式中、A、B、C、DおよびXは互いに独立して、原子比を示す。C層には、十分な耐酸化性を有し、かつ積層型硬質皮膜の硬度を低下させ過ぎないものが求められる。そのため“A”、“B”、“C”、“D”および“X”の値は、A層やB層の特性に応じて適宜選択すればよい。一般には、前記“A”は0.2以上(好ましくは0.25以上、さらに好ましくは0.3以上)であり、0.5以下(好ましくは0.45以下)とすることが好ましい。前記“B”および“C”の値は、一方が0であってもよいが、両方が0になることはなく、“B+C”の値が0.15以上(好ましくは0.2以上、さらに好ましくは0.25以上)であり、0.5以下(好ましくは0.4以下、さらに好ましくは0.3以下)とすることが好ましい。前記“X”の値は、0.4以上(好ましくは0.6以上、さらに好ましくは0.7以上)であり、1以下とすることが好ましい。
なお、C層は、上述の硬質皮膜やA層の皮膜ほど硬度を必要としないため、所望の硬度と耐酸化性を満足できる限り、立方晶と六方晶とが混在する結晶構造であってもよく、非晶質からなるものであってもよい。
なお、非晶質とは、結晶粒径が1nm以下のものを指し、具体的には、上記X線回折にて2θ=37.78°付近、43.9°付近、63.8°付近、32°〜33°付近、48°〜50°付近、57°〜58°付近に明確なピークを示さないものを意味する。
前記積層型硬質皮膜の厚みは、A層やB層の特性(例えば硬度)を重視する場合にはAまたはB層を厚くし、C層の特性(例えば耐酸化性)を重視する場合にはC層を厚くすればよい。中でもC層をAまたはB層の厚さの1/2以下程度とすることで、積層型硬質皮膜の強度と耐酸化性をさらに向上させることができる。またAまたはB層の厚さは5nm以上、(好ましくは10nm以上、さらに好ましくは25nm以上)、C層の厚さは1nm以上(好ましくは2nm以上、さらに好ましくは3nm以上)とすることでも、積層型硬質皮膜の強度と耐酸化性をさらに向上させることができる。しかしA層やBおよび/またはC層が厚くなりすぎると、積層体とする効果が得られない。そのため、AまたはB層は100nm以下(好ましくは50nm以下)、C層は10nm以下(好ましくは5nm以下)とする必要がある。
前記硬質皮膜(積層型硬質皮膜を含む)は、硬度や耐酸化性に極めて優れているため、高速度工具鋼(SKH51やSKD11、SKD61など)や超硬合金などの鉄系基材の表面に形成することで、硬度や耐酸化性に優れた切削工具や冶工具を得ることができる。
上記硬質皮膜(積層型硬質皮膜を含む)は、物理気相成長法(PVD法)や化学気相成長法(CVD法)など公知の方法を用いて製造できる。密着性などの観点から、PVD法を用いて製造することが好ましい。具体的には、スパッタリング法や真空蒸着法、イオンプレーティング法などが挙げられる。中でも、本発明の硬質皮膜(積層型硬質皮膜を含む)の成膜で用いるターゲットはAlと同時にNbやTaも含んでおり、AlとNbやTaとでは融点が大きく異なるため、電子ビーム蒸発やホローカソード蒸発法による成膜方法ではターゲット中の各元素の蒸発量を制御することが困難である。そのためターゲット中の元素の蒸発(気化)速度が融点に大きく依存しないスパッタリング法やイオンプレーティング法を採用することが好ましい。さらに成膜速度が速いなどの観点から、イオンプレーティング法(特に、アークイオンプレーティング法)を採用することが好ましい。
例えば単層構造の硬質皮膜では、[(Nb1-d ,Tad)a ,Al1-a-b-c ,Sib ,Bc]からなり、0.4≦a≦0.6、0<b+c≦0.15、0≦d≦1(式中、a、b、cおよびdは互いに独立して、原子比を示す:なおbおよびcは、一方が0であってもよいが、両方が0になることはない)であるターゲットを用い、N含有ガスまたはCとNを含有する混合ガス中、カソード放電型アークイオンプレーティング法を用いて製造することができる。
しかし積層型硬質皮膜のC層を形成するターゲットでは、A層やB層を形成するターゲットよりも、Siおよび/またはBの含有量が多いため、ターゲットの強度が弱い。そのためC層をカソード放電型アークイオンプレーティング法で成膜すると、アーク放電時にターゲットが破損する可能性がある。さらにC層は比較的薄く形成する必要があり、カソード放電型アークイオンプレーティング法では成膜速度が極めて速いため、厚さを制御することが困難である。上記のような理由から、C層の形成にはスパッタリング法を用いることが好ましい。具体的には[(Nb1-D,TaD)A ,Al1-A-B-C,SiB,BC]からなり、0.2≦A≦0.5、0.15<B+C<0.5、0≦D≦1(式中、A、BおよびCは互いに独立して、原子比を示す:なおBおよびCは、一方が0であってもよいが、両方が0になることはない)であるターゲットを用い、
N含有ガスまたはCとNを含有する混合ガス中、スパッタリング法を用いてC層を成膜することが好ましい。
N含有ガスまたはCとNを含有する混合ガス中、スパッタリング法を用いてC層を成膜することが好ましい。
上記積層型硬質皮膜を製造する装置としては、特願2004−035474号明細書に記載の装置などを用いることができる。具体的には、アーク蒸発源とスパッタ蒸発源の両方を備えた成膜装置を用い、両蒸発源を同時に放電させ、被処理体をアーク蒸発源の前方に移動させてカソード放電型アークイオンプレーティング法にてAまたはB層を形成させ、被処理体をスパッタ蒸発源の前方に移動させてスパッタリング法にてC層を形成させ、該操作を繰り返して行ない、AまたはB層とC層とを積層させて積層型硬質皮膜を形成することが好ましい。
なお前記混合ガスでのNの含有量は、所望する硬質皮膜の組成や成膜条件などに応じて、混合ガス中のNやCの量を適宜コントロールすることで調節することができる。その際成膜ガスに適宜Arを添加してもよい。
カソード放電型アークイオンプレーティング法については、特開2003−7160号公報に記載の方法を参考にして行なうことができる。
なお成膜時の被処理体の温度は、被処理体の種類に応じて適宜選択すればよいが、高すぎれば硬質皮膜の残留応力が低減する場合があり、硬質皮膜に過大な残留応力が作用し、被処理体との密着性が損なわれる場合がある。そのため300℃以上、好ましくは400℃以上に設定することが推奨される。また被処理体の温度が高すぎれば、残留応力は低減するものの、同時に圧縮応力も小さくなり、被処理体の抗折力増加作用が損なわれる場合がある上に、高温に曝されることで被処理体が変形することがある。そのため、被処理体の温度は800℃以下、好ましくは700℃以下とすることが推奨される。また被処理体として、高速度工具鋼(SKH51、SKD11、SKD61など)などの基板を用いた場合、製造時の基板温度を基板材料の焼き戻し温度以下に設定し、基板の機械的特性を維持することも好ましい。焼き戻し温度は、基板材料によって適宜選択することができるが、一般に、基材としてSKH51を用いた場合には550〜570℃、SKD61を用いた場合には550〜680℃、SKD11を用いた場合には500〜530℃でよい。その場合、製造時の基板の温度はこれら焼き戻し温度よりも低く設定することが好ましく、具体的には、焼き戻し温度に対して50℃以下に設定することが好ましい。
なお、成膜時に被処理体に負の電位を印加することで、より効率よく硬質皮膜を形成することができる。バイアス電圧の大きさは、高ければプラズマ化した成膜ガスや金属イオンのエネルギーも高くなり、得られる立方晶の結晶構造を示す硬質皮膜が得られ易くなるため、負の値で、絶対値で10V以上、特に30V以上とすることが好ましい。しかしバイアス電圧が高まると、プラズマ化した成膜ガスによって膜がエッチングされ、成膜速度が極端に小さくなる場合がある。そのため負の値で、絶対値で200V以下、特に150V以下とすることが好ましい。なお、Alの割合が比較的少ない場合には、バイアス電圧が多少低くても前述の引き込み効果が有効に作用し、立方晶の結晶構造を示す硬質皮膜が得られ易くなる。
以下の実験例で得られた硬質皮膜の物性は、下記の方法に従って求めた。
[硬質皮膜の組成]
EPMAにより測定した。その際、硬質皮膜中の金属元素および窒素以外の不純物元素量が、酸素および炭素の各々が5at%以下のレベルであることを確認した。
EPMAにより測定した。その際、硬質皮膜中の金属元素および窒素以外の不純物元素量が、酸素および炭素の各々が5at%以下のレベルであることを確認した。
[結晶構造の解析]
結晶構造の評価は、硬質皮膜を、リガク電機社製のX線回折装置を用いて、θ−2θ法にてX線解析する。その際、立方晶ではCuKα線源を用いて行い、(111)面については2θ=37.78°付近の、(200)面については2θ=43.9°付近の、(220)面については2θ=63.8°付近のピーク強度を測定する。六方晶のX線回折は、CuのKα線を用い、(100)面については2θ=32°〜33°付近の、(102)面については2θ=48°〜50°付近の、(110)面については2θ=57°〜58°付近のピーク強度を測定する。それらの値を用いて下記式(1)
結晶構造の評価は、硬質皮膜を、リガク電機社製のX線回折装置を用いて、θ−2θ法にてX線解析する。その際、立方晶ではCuKα線源を用いて行い、(111)面については2θ=37.78°付近の、(200)面については2θ=43.9°付近の、(220)面については2θ=63.8°付近のピーク強度を測定する。六方晶のX線回折は、CuのKα線を用い、(100)面については2θ=32°〜33°付近の、(102)面については2θ=48°〜50°付近の、(110)面については2θ=57°〜58°付近のピーク強度を測定する。それらの値を用いて下記式(1)
(式中、IB(111)、IB(200)およびIB(220)は立方晶の各面のピーク強度を示す。IH(100)、IH(102)およびIH(110)は六方晶の各面のピーク強度を示す)。
に導入して算出した値(表中、「式(1)の値」)が0.8以上のものをNaCl型(表中、Bと表示)であると認定し、0のものを六方晶構造のものからなる(表中、Hと表示)とし、0より大きく、0.8未満のものを混合型(表中、B+Hと表示)とした。なお、2θ=37.78°付近、43.9°付近、63.8°付近、32°〜33°付近、48°〜50°付近、57°〜58°付近に明確なピークを示さないものは非晶質(表中、aと表示)とした。
に導入して算出した値(表中、「式(1)の値」)が0.8以上のものをNaCl型(表中、Bと表示)であると認定し、0のものを六方晶構造のものからなる(表中、Hと表示)とし、0より大きく、0.8未満のものを混合型(表中、B+Hと表示)とした。なお、2θ=37.78°付近、43.9°付近、63.8°付近、32°〜33°付近、48°〜50°付近、57°〜58°付近に明確なピークを示さないものは非晶質(表中、aと表示)とした。
[硬度の測定]
マイクロビッカース硬度測定器を用い、荷重0.25N、保持時間15秒で測定した。
マイクロビッカース硬度測定器を用い、荷重0.25N、保持時間15秒で測定した。
[酸化開始温度の測定]
白金サンプルを用い、熱天秤により人工乾燥空気中で室温から5℃/minの昇温速度で加熱したときの白金サンプルの重量に変化が生じた温度を酸化開始温度とした。
白金サンプルを用い、熱天秤により人工乾燥空気中で室温から5℃/minの昇温速度で加熱したときの白金サンプルの重量に変化が生じた温度を酸化開始温度とした。
[磨耗幅の観察]
超硬合金製エンドミル(直径10mm、2枚刃)の表面に、本発明の硬質皮膜を形成させたものを用い、SKD11焼き入れ鋼(HRC60)を、下記する切削条件で10m切削した後、硬質皮膜が被覆されたエンドミルの刃先を光学顕微鏡で観察して行なった。
切削条件
切削速度:150m/分
刃送り速度:0.04mm/刃
軸切り込み:4.5mm
径方向切り込み:0.2mm
その他:ダウンカット、ドライカット、エアーブローのみ
超硬合金製エンドミル(直径10mm、2枚刃)の表面に、本発明の硬質皮膜を形成させたものを用い、SKD11焼き入れ鋼(HRC60)を、下記する切削条件で10m切削した後、硬質皮膜が被覆されたエンドミルの刃先を光学顕微鏡で観察して行なった。
切削条件
切削速度:150m/分
刃送り速度:0.04mm/刃
軸切り込み:4.5mm
径方向切り込み:0.2mm
その他:ダウンカット、ドライカット、エアーブローのみ
[被処理体の種類]
各実験例では、(I)超硬合金製チップ(結晶構造および硬度測定用)、(II)超硬合金製ボールエンドミル(直径10mm、二枚刃)(磨耗幅測定用)および(III)白金箔(30×5×0.1mmt)(酸化開始時間測定用)の3種類の被処理体を使用した。
各実験例では、(I)超硬合金製チップ(結晶構造および硬度測定用)、(II)超硬合金製ボールエンドミル(直径10mm、二枚刃)(磨耗幅測定用)および(III)白金箔(30×5×0.1mmt)(酸化開始時間測定用)の3種類の被処理体を使用した。
[硬質皮膜の形成に用いた装置]
本実験例では、特願2004−035474号明細書に記載の図1に概略を示した装置を用いて硬質皮膜を形成した。図中1はスッパタ蒸発源を示し、2はアーク蒸発源を示し、3は被処理体を取り付けるための回転可能なテーブルを示している。また、テーブル上の被処理体には、バイアス電源が接続されており、被処理体に負の電位を印加できる構造となっている(図示せず)。
本実験例では、特願2004−035474号明細書に記載の図1に概略を示した装置を用いて硬質皮膜を形成した。図中1はスッパタ蒸発源を示し、2はアーク蒸発源を示し、3は被処理体を取り付けるための回転可能なテーブルを示している。また、テーブル上の被処理体には、バイアス電源が接続されており、被処理体に負の電位を印加できる構造となっている(図示せず)。
(実験例1)
[硬質皮膜の形成]
アーク蒸発源1に用いたターゲットは、表1の「ターゲットの組成比(原子比)」に記載の組成からなるものを作製して用いた。
[硬質皮膜の形成]
アーク蒸発源1に用いたターゲットは、表1の「ターゲットの組成比(原子比)」に記載の組成からなるものを作製して用いた。
図1に示す装置を用い、テーブル3上に被処理体を取り付け、装置内を真空状態にした後、ヒーター(図示せず)にて被処理体を500℃に加熱した。そして装置内に、表1の「成膜ガスの組成比(原子比)」のCおよびNの組成からなる単一または混合ガスを、装置内の圧力が2.7Paとなるように供給した。被処理体がアース電圧に対して負の電位となるように、被処理体に接続したバイアス電源(図示せず)にて、20〜100Vの電圧を印加し、アーク放電を開始して被処理体の表面に厚さ3μmの硬質皮膜を形成した。なお、本実験例では、スパッタリング法で用いるスッパタ蒸発源1は使用していない。
[硬質皮膜の物性]
得られた硬質皮膜の結晶構造と、硬度、酸化開始温度および磨耗幅の測定の結果を表1に記載した。なお、比較として、従来のTiAlNからなる硬質皮膜(比較例1)およびCrAlNからなる硬質皮膜(比較例2)の物性の結果も示した。
得られた硬質皮膜の結晶構造と、硬度、酸化開始温度および磨耗幅の測定の結果を表1に記載した。なお、比較として、従来のTiAlNからなる硬質皮膜(比較例1)およびCrAlNからなる硬質皮膜(比較例2)の物性の結果も示した。
本発明の硬質皮膜(実施例1〜5)では、硬度、耐酸化性(酸化開始温度から評価)および磨耗幅において、従来の硬質皮膜(比較例1および2)よりも優れていた。さらに本発明で限定した範囲以外のもの(比較例3〜6)では、硬度、耐酸化性(酸化開始温度から評価)および磨耗幅のいずれかの点で、従来の硬質皮膜や本発明の硬質皮膜よりも劣っていた。
(実験例2)
[硬質皮膜の形成]
アーク蒸発源1に用いたターゲットを表2の「ターゲットの組成比(原子比)」に記載の組成からなるもの作製して用い、成膜ガスを表2の「成膜ガスの組成比(原子比)」のCおよびNの組成からなる単一または混合ガスを用いた以外は、実験例1と同様にして実験を行なった。
[硬質皮膜の形成]
アーク蒸発源1に用いたターゲットを表2の「ターゲットの組成比(原子比)」に記載の組成からなるもの作製して用い、成膜ガスを表2の「成膜ガスの組成比(原子比)」のCおよびNの組成からなる単一または混合ガスを用いた以外は、実験例1と同様にして実験を行なった。
[硬質皮膜の物性]
得られた硬質皮膜の結晶構造と、硬度、酸化開始温度および磨耗幅の測定の結果を表2に記載した。なお、比較として、従来のTiAlNからなる硬質皮膜(比較例1)およびCrAlNからなる硬質皮膜(比較例2)の物性の結果も示した。
得られた硬質皮膜の結晶構造と、硬度、酸化開始温度および磨耗幅の測定の結果を表2に記載した。なお、比較として、従来のTiAlNからなる硬質皮膜(比較例1)およびCrAlNからなる硬質皮膜(比較例2)の物性の結果も示した。
本発明の硬質皮膜(実施例6〜18)では、硬度、耐酸化性(酸化開始温度から評価)および磨耗幅において、従来の硬質皮膜(比較例1および2)よりも優れていた。さらに硬質皮膜にSiやBを追加させることで、SiやBを追加していない硬質皮膜(実施例1)と比べ、硬度、耐酸化性および磨耗幅をさらに向上させることができた(実施例6〜8)。本発明で限定した範囲以外のもの(比較例7〜11)では、硬度、耐酸化性(酸化開始温度から評価)および磨耗幅のいずれかの点で、従来の硬質皮膜や本発明の硬質皮膜よりも劣っていた。
(実験例3)
[硬質皮膜の形成]
アーク蒸発源2のターゲットに、表3の「ターゲットの組成比(原子比)」の上段(A層またはB層)に記載の組成からなるものを作製して用い、スパッタ蒸発源1のターゲットには、「ターゲットの組成比(原子比)」の下段(C層)に記載の組成からなるもの作製して用いた。
[硬質皮膜の形成]
アーク蒸発源2のターゲットに、表3の「ターゲットの組成比(原子比)」の上段(A層またはB層)に記載の組成からなるものを作製して用い、スパッタ蒸発源1のターゲットには、「ターゲットの組成比(原子比)」の下段(C層)に記載の組成からなるもの作製して用いた。
図1に示す装置を用い、テーブル3上に被処理体を取り付け、装置内を真空状態にした後、ヒーター(図示せず)にて被処理体を500℃に加熱した。そして装置内に、表3の「成膜ガスの組成比(原子比)」のCおよびNの組成からなる単一または混合ガス(混合比で1:1となるようにArを含む)を、装置内の圧力が2.7Paとなるように供給した。被処理体がアース電圧に対して負の電位となるように、被処理体に接続したバイアス電源(図示せず)にて、被処理体に20〜100Vの電圧を印加し、アーク放電およびスパッタ放電を開始し、テーブルを回転させながら、AまたはB層とC層の膜厚が、表3に記載の「厚み」となるように成膜し、上記操作を表3に記載の「積層回数」繰り返して被処理体上にAまたはB層とC層とを積層させた。
[硬質皮膜の物性]
得られた硬質皮膜の結晶構造と、硬度、酸化開始温度および磨耗幅の測定の結果を表3に記載した。なお、比較として、従来のTiAlNからなる硬質皮膜(比較例1)およびCrAlNからなる硬質皮膜(比較例2)、ならびに単層からなる本発明の硬質皮膜(実施例19〜21)の物性の結果も示した。
得られた硬質皮膜の結晶構造と、硬度、酸化開始温度および磨耗幅の測定の結果を表3に記載した。なお、比較として、従来のTiAlNからなる硬質皮膜(比較例1)およびCrAlNからなる硬質皮膜(比較例2)、ならびに単層からなる本発明の硬質皮膜(実施例19〜21)の物性の結果も示した。
本発明の積層型硬質皮膜(実施例23〜31)は、従来の硬質皮膜(比較例1および2)よりも硬度、耐酸化性および磨耗幅において優れていた。さらに本発明で限定した範囲以外のもの(比較例12〜14)では、硬度や磨耗幅において、本発明の積層型硬質皮膜よりも劣っており、特に磨耗幅は従来の硬質皮膜(比較例1および2)よりも劣っていた。また積層型とすることで、単層の硬質皮膜(実施例19や20)と比べて、硬度をあまり低下させることなく耐酸化性(酸化開始温度)を向上させることができた(実施例23〜28)。
1.スッパタ蒸発源
2.アーク蒸発源
3.テーブル
4.磁力線
2.アーク蒸発源
3.テーブル
4.磁力線
Claims (6)
- [(Nb1-d ,Tad)a ,Al1-a-b-c ,Sib ,Bc](C1-XNX)からなる硬質皮膜であって、
0.4≦a≦0.6、
0<b+c≦0.15、
0≦d≦1、
0.4≦X≦1
(式中、a、b、c、dおよびXは互いに独立して、原子比を示す:なおbおよびcは、一方が0であってもよいが、両方が0になることはない)
であることを特徴とする硬質皮膜。 - 請求項1に記載の組成を満足するB層と、
[(Nb1-D ,TaD)A ,Al1-A-B-C ,SiB ,BC](C1-XNX)
0.2≦A≦0.5、
0.15<B+C<0.5、
0≦D≦1、
0.4≦X≦1
(式中、A、B、C、DおよびXは互いに独立して、原子比を示す:なおBおよびCは、一方が0であってもよいが、両方が0になることはない)
からなるC層が交互に積層された積層型硬質皮膜。 - B層の厚みが5nm以上であり、C層の厚みが1nm以上である請求項2に記載の積層型硬質皮膜。
- [(Nb1-d ,Tad)a ,Al1-a-b-c ,Sib ,Bc]からなり、0.4≦a≦0.6、0<b+c≦0.15、0≦d≦1
(式中、a、b、cおよびdは互いに独立して、原子比を示す:なおbおよびcは、一方が0であってもよいが、両方が0になることはない)であるターゲットを用い、
N含有ガスまたはCとNを含有する混合ガス中、カソード放電型アークイオンプレーティング法で成膜することによって得られる硬質皮膜。 - [(Nb1-d ,Tad)a ,Al1-a-b-c ,Sib ,Bc]からなり、0.4≦a≦0.6、0<b+c≦0.15、0≦d≦1
(式中、a、b、cおよびdは互いに独立して、原子比を示す:なおbおよびcは、一方が0であってもよいが、両方が0になることはない)であるターゲットを用い、
N含有ガスまたはCとNを含有する混合ガス中、カソード放電型アークイオンプレーティング法で皮膜を形成する工程と、
[(Nb1-D ,TaD)A ,Al1-A-B-C ,SiB ,BC]からなり、0.2≦A≦0.5、0.15<B+C<0.5、0≦D≦1
(式中、A、B、CおよびDは互いに独立して、原子比を示す:なおBおよびCは、一方が0であってもよいが、両方が0になることはない)であるターゲットを用い、
N含有ガスまたはCとNを含有する混合ガス中、スパッタリング法で皮膜を形成する工程とを繰り返すことによって得られる積層型硬質皮膜。 - アーク蒸発源とスパッタ蒸発源の両方を備えた成膜装置を用い、両蒸発源を同時に放電させ、被処理体をアーク蒸発源の前方に移動させてカソード放電型アークイオンプレーティング法にてB層を形成させる工程と、被処理体をスパッタ蒸発源の前方に移動させてスパッタリング法にてC層を形成する工程とを繰り返して行なうことを特徴とする請求項2または3に記載の積層型硬質皮膜の製造方法。
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