JP5179410B2 - 電池用セパレータとその製造方法、並びに、リチウムイオン二次電池とその製造方法 - Google Patents
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Description
(i)分子内に官能基を有する反応性ポリマーと、前記官能基に対して反応性を有する多官能性化合物と、無機粒子と、溶媒と、を含む混合溶液を準備する工程と、
(ii)非多孔質のポリプロピレンフィルムからなる基材(A)の一方面上に、前記混合溶液を用いて、前記反応性ポリマーと、前記多官能性化合物と、前記無機粒子とを含む膜を形成する工程と、
(iii)前記膜の表面に、多孔質フィルムからなる基材(B)の一方面を貼り合わせる工程と、
(iv)前記膜に外部エネルギーを印加することによって、前記反応性ポリマーの少なくとも一部を架橋させて、非多孔質の架橋ポリマー層を作製する工程と、
(v)前記基材(A)を前記架橋ポリマー層から剥離する工程と、
を含んでいる。
(I)正極と負極との間に、上記本発明の電池用セパレータを、前記基材が前記負極側で前記架橋ポリマー層が前記正極側となるように配置して、前記正極、前記電池用セパレータ及び前記負極からなる積層体を作製する工程と、
(II)電池容器内に、少なくとも一つの前記積層体を収容する工程と、
(III)前記電池容器内に、電解液を注入する工程と、
を含んでいる。
まず、本発明の電池用セパレータの実施の形態について説明する。
(i)分子内に官能基を有する反応性ポリマーと、前記官能基に対して反応性を有する多官能性化合物と、無機粒子と、溶媒と、を含む混合溶液を準備する工程と、
(ii)非多孔質のポリプロピレンフィルムからなる基材(A)の一方面上に、前記混合溶液を用いて、前記反応性ポリマーと、前記多官能性化合物と、前記無機粒子とを含む膜を形成する工程と、
(iii)前記膜の表面に、多孔質フィルムからなる基材(B)の一方面を貼り合わせる工程と、
(iv)前記膜に外部エネルギーを印加することによって、前記反応性ポリマーの少なくとも一部を架橋させて、非多孔質の架橋ポリマー層を作製する工程と、
(v)前記基材(A)を前記架橋ポリマー層から剥離する工程と、
を含むものである。
本発明のリチウムイオン二次電池は、正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に配置された本発明の電池用セパレータと、非水系溶媒及び電解質を含む非水系電解液と、を備えている。電池用セパレータは、基材が負極側で架橋ポリマー層が正極側となるように、正極と負極との間に配置されている。
(I)正極と負極との間に、上記本発明の電池用セパレータを、前記基材(多孔質フィルムからなる基材)が前記負極側で前記架橋ポリマー層が前記正極側となるように配置して、前記正極、前記電池用セパレータ及び前記負極からなる積層体を作製する工程と、
(II)電池容器内に、少なくとも一つの前記積層体を収容する工程と、
(III)前記電池容器内に、電解液を注入する工程と、
を含んでいる。
<多孔質フィルム(基材(B))の厚さ>
1/10000mmシックネスゲージにより測定した。
架橋性ポリマー層を担持させた多孔質フィルムを、断面が露出するように加工し、当該断面についての10000倍走査型電子頭微鏡写真を用いて、架橋ポリマー層の厚さを測定した。
多孔質フィルムの面積S(cm2)、重量W(g)、平均厚みt(cm)及び多孔質フィルムを構成する樹脂の密度d(g/cm3)の各値を用いて、次式にて算出した。
空孔率(vol%)=(1−W/(S×t×d))×100
電池用セパレータの通気度は、JIS P 8117に準拠して求めた。また、多孔質フィルム単体の通気度は、架橋ポリマー層を担持させる前の状態にて、JIS P 8117に準拠して求めた。
カトーテック株式会社製の圧縮試験機「KES−G5」を用いて測定した。測定によって得られた荷重変位曲線から最大荷重を読み取り、突刺強度とした。針は、直径1.0mm、先端の曲率半径0.5mmのものを用いた。突刺速度は2cm/秒とした。
あらかじめ、重量が既知の架橋ポリマー層を基材に担持させた電池用セパレータを用意し、この電池用セパレータを酢酸エチルに含浸し、24時間振とうして、架橋ポリマー層に含まれている未架橋成分を酢酸エチル中に溶出させて除去した。その後、酢酸エチルに不溶な成分(不溶分)のみが基材に担持された電池用セパレータを乾燥させ、秤量して、当該不溶分の重量を算出した。不溶分の重量/当初の架橋ポリマー層の重量比率からゲル分率を求めて、架橋度を評価した。
<電池の初期特性>
後述する実施例及び比較例において得られる各リチウムイオン二次電池について、その初期特性(初期充電容量、初期放電容量及び初期充放電効率)を調べた。まず、それぞれの電池について、一定温度(25℃)下、定電流値4mAで、電圧値が4.2Vになるまで充電した。その後、定電圧4.2Vにて、電流値が0.2mAに減衰するまで充電した。このときに得られる電流値の積算値を初期充電容量とした。次いで、20分間休止したあと、定電流値4mAにて、2.75Vまで放電した。このときに得られる容量を初期放電容量とした。また、初期充電容量に対する初期放電容量の比率(初期放電容量/初期充電容量)を、初期充放電効率として求めた。
初期特性評価後の各リチウムイオン二次電池について、その初期出力特性を調べた。まず、それぞれの電池を、一定温度(25℃)下、定電流値4mAで、電圧値が4.2Vになるまで充電した。その後、定電圧4.2Vにて、電流値が0.2mAに減衰するまで充電した。次いで、20分間休止したあと、定電流値40mAにて、2.75Vまで放電した。このときに得られる容量を、0.5時間率で放電した放電容量とした。また、先に測定した上記の初期放電容量に対する0.5時間率で放電した放電容量の比を、0.5時間率放電容量比(0.5時間率で放電した放電容量/初期放電容量)として求めた。
初期特性評価後の各リチウムイオン二次電池について、その耐酸化性を調べた。まず、それぞれの電池を、60℃の恒温槽に投入し、定電流値4mAで、電圧値が4.25Vになるまで充電した。その後、60℃雰囲気下、定電圧4.25Vを維持し、総充電時間が336時間に達するまで充電を継続した。次いで、30分間休止したあと、定電流値4mAにて、2.75Vまで放電した。このときに得られる容量を耐酸化性試験時の放電容量とし、耐酸化性を評価した。
<電池用セパレータ>
還流冷却管を装備した500mL容量の三つ口フラスコに、メチルメタクリレート51g、2−メトキシエチルアクリレート48.16g、4−ヒドロキシブチルアクリレート0.84g、酢酸エチル67g、N,N’−アゾビスイソブチロニトリル0.1gを投入し、窒素ガスを導入しながら30分間攪拌混合した後、温度64℃に加熱した。約1時間経過したとき、ラジカル重合が進行して、反応混合物の粘度が上昇し始めた。そのまま、8時間重合を続けた後、約40℃まで冷却し、再び、N,N’−アゾビスイソブチロニトリル0.1gを加え、70℃に再度加熱して、更に、8時間後重合を行なった。この後、約40℃まで冷却し、酢酸エチル166gを加え、全体が均一になるまで攪拌混合して、(メタ)アクリレートコポリマー(反応性基として水酸基を有する反応性ポリマー)の酢酸エチル溶液1を得た。
正極活物質であるコバルト酸リチウム(日本化学工業(株)製「セルシードC−10」)85重量部と、導電助剤であるアセチレンブラック(電気化学工業(株)製「デンカブラック」)10重量部と、バインダーであるフッ化ビニリデン樹脂(呉羽化学工業(株)製「KFポリマーL#1120」)5重量部とを混合し、これを固形分濃度15重量%となるように、N−メチル−2−ピロリドンを用いてスラリーとした。
前記電極シートの調整で得た負極シート上に、実施例1の電池用セパレータを、多孔質フィルムが負極シート側となるように配置し、更にその上に、電極シートの調整で得た正極シートを配置して、正極シート、電池用セパレータ及び負極シートからなる積層体(電極群)を作製した。得られた積層体を、アルミニウムラミネートパッケージ内に収容し、更に、1.0モル/L濃度でヘキサフルオロリン酸リチウムをエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート(重量比1/1)混合溶媒に溶解させた電解液を注液した。次いで、パッケージを封口して、実施例1のリチウムイオン二次電池を組み立てた。
<電池用セパレータ>
厚さ16μm、空孔率50%、通気度120秒/100cc、突き刺し強度3.0Nのポリエチレン樹脂製の多孔質フィルムを、比較例1の電池用セパレータとした。
実施例1と同様にして、正極シート及び負極シートを作製した。
比較例1の電池用セパレータ、すなわち多孔質フィルム単体を電池用セパレータとして用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
<電池用セパレータ>
実施例1と同様の方法で作製した混合溶液6を、離型処理したポリエステルフィルム(PETフィルム)(三菱樹脂株式会社製「ダイアホイルMRF」)の片面にワイヤーバー(#20)にて塗工した後、50℃で加熱乾燥して、酢酸エチルを揮散させた。これにより、(メタ)アクリレートコポリマー(反応性ポリマー)、多官能イソシアネート(多官能性化合物)及びシリカ粒子(無機粒子)を含む膜が片面に形成されたPETフィルム10を得た。
架橋ポリマー層に含まれる無機粒子の含有量に応じた電池特性の変化を確認するために、実施例2−1〜2−4の電池用セパレータ及びリチウムイオン二次電池を作製した。
実施例1と同様の方法で作製した酢酸エチル溶液1に酢酸エチルを加え、室温で攪拌して、濃度4.60重量%(2−1)、4.27重量%(2−2)、3.99重量%(2−3)及び3.74重量%(2−4)の均一なポリマー溶液2−1〜2−4をそれぞれ得た。
実施例1と同様にして、正極シート及び負極シートを作製した。
実施例2−1〜2−4の電池用セパレータをそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2−1〜2−4のリチウムイオン二次電池を作製した。
12,22,32 多孔質フィルム(基材(B))
13,23,30 電池用セパレータ
14,24 正極
15,25 負極
16 アルミニウムラミネートパッケージ
17 正極集電体
18 負極集電体
26 正極缶
27 負極缶
28 ガスケット
Claims (13)
- 多孔質フィルムからなる基材と、前記基材に担持された架橋ポリマー層とを含む電池用セパレータであって、
前記架橋ポリマー層は、分子内に官能基を有する反応性ポリマーを、前記官能基に対して反応性を有する多官能性化合物と反応させて、当該反応性ポリマーの少なくとも一部を架橋させることによって得られる架橋ポリマーと、無機粒子とを含み、かつ、非多孔質であって、
前記無機粒子が、前記架橋ポリマー層の表層部に偏在している、電池用セパレータ。 - 前記反応性ポリマーが(メタ)アクリレートコポリマーである、請求項1に記載の電池用セパレータ。
- 前記無機粒子がシリカ粒子である、請求項1又は2に記載の電池用セパレータ。
- 前記無機粒子の一次粒子径が10〜30nmの範囲内である、請求項1〜3の何れか1項に記載の電池用セパレータ。
- 前記架橋ポリマー層は、前記無機粒子を5〜30重量%の割合で含む、請求項1〜4の何れか1項に記載の電池用セパレータ。
- 前記架橋ポリマー層のゲル分率が30%以上である、請求項1〜5の何れか1項に記載の電池用セパレータ。
- 前記多官能性化合物が多官能イソシアネートであり、
前記反応性ポリマーに含まれる前記官能基が、イソシアネート基に対して反応し得る反応性基である、請求項1〜6の何れか1項に記載の電池用セパレータ。 - 前記架橋ポリマー層の厚さが0.05〜1μmの範囲内である、請求項1〜7の何れか1項に記載の電池用セパレータ。
- 前記多孔質フィルムがポリエチレンを含有する、請求項1〜8の何れか1項に記載の電池用セパレータ。
- 正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に配置された電池用セパレータと、非水系溶媒及び電解質を含む非水系電解液と、を備えたリチウムイオン二次電池であって、
前記電池用セパレータは、請求項1〜9の何れか1項に記載の電池用セパレータであり、前記基材が前記負極側で前記架橋ポリマー層が前記正極側となるように、前記正極と前記負極との間に配置されている、リチウムイオン二次電池。 - (i)分子内に官能基を有する反応性ポリマーと、前記官能基に対して反応性を有する多官能性化合物と、無機粒子と、溶媒と、を含む混合溶液を準備する工程と、
(ii)非多孔質のポリプロピレンフィルムからなる基材(A)の一方面上に、前記混合溶液を用いて、前記反応性ポリマーと、前記多官能性化合物と、前記無機粒子とを含む膜を形成する工程と、
(iii)前記膜の表面に、多孔質フィルムからなる基材(B)の一方面を貼り合わせる工程と、
(iv)前記膜に外部エネルギーを印加することによって、前記反応性ポリマーの少なくとも一部を架橋させて、非多孔質の架橋ポリマー層を作製する工程と、
(v)前記基材(A)を前記架橋ポリマー層から剥離する工程と、
を含む、電池用セパレータの製造方法。 - 前記非多孔質のポリプロピレンフィルムは、熱固定された二軸延伸ポリプロピレンフィルムである、請求項11に記載の電池用セパレータの製造方法。
- (I)正極と負極との間に、請求項1〜9の何れか1項に記載の電池用セパレータを、前記基材が前記負極側で前記架橋ポリマー層が前記正極側となるように配置して、前記正極、前記電池用セパレータ及び前記負極からなる積層体を作製する工程と、
(II)電池容器内に、少なくとも一つの前記積層体を収容する工程と、
(III)前記電池容器内に、電解液を注入する工程と、
を含む、リチウムイオン二次電池の製造方法。
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