JP5178189B2 - ポリエステル樹脂溶液の製造方法 - Google Patents
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Description
また、熱可塑性ポリマー及び/または熱可塑性ポリマーの解重合物を溶剤に溶解して得られる熱可塑性ポリマーの溶液及び/または熱可塑性ポリマーの解重合物の溶液は、塗料、接着剤、コーティング剤、バインダ−などとして用いることができる。またそれ以外にも、例えばポリエステルを例に取ると、ポリエステルを一旦有機溶剤に溶解し、その溶液を水中に混合分散させた後、該有機溶剤を除去して水分散型の組成物をコーティング剤として用いたり、ポリエステル溶液を適当な貧溶媒中に分散させポリエステルを析出した後、得られた粉末を乾燥してポリエステル粉末を製造したりすることが行われている。
しかしながら、上記の方法によっても依然として溶解速度はそれほど高くならず、効率的な方法ではない。
一つは、分別収集された廃PETボトルから出来るだけ不純物を取り除いた後、多くの工程を経てペレットやフレーク状にして繊維原料としてリサイクルすることである。
他の方法は、PET樹脂をケミカルリサイクルする方法である。
この方法について、ポリエステル樹脂として例えばポリエチレンテレフタレート樹脂を例に挙げて説明すると、ポリエチレンテレフタレート樹脂を解重合して得たモノマーをリサイクル使用する方法を開示した文献としては下記の特許文献2〜5を挙げることができる。
例えば、PET製容器では、結晶化速度を高め、ハイサイクル成形や、成形後のボトルの口栓部を効率よく結晶化させる目的で、ポリ(エチレンテレフタレート・エチレンテレフタルアミド)共重合体(特許文献6参照)や、ポリオレフィンを配合する方法(特許文献7参照)。PETの透明性、成形性および耐熱圧性を改良する目的でポリエチレンナフタレートを溶融混練する方法(特許文献8参照)等が開示されている。
このように異種モノマーを共重合したり、改質剤を配合したりしてポリマーの特性の改良を試みた場合、元のポリマーに比べて品質が大幅に悪化するため、製造技術の改良が求められていた。
(1)ポリエステル樹脂を溶融状態にて原料供給口から装置内部に供給し、多孔板の孔から吐出させた後、装置内部に設置された支持体の表面に沿わせて流下させながら溶剤の蒸気と接触させることを特徴とする、ポリエステル樹脂の溶液及び/またはポリエステル樹脂の解重合物の溶液を製造する方法、
(2)該装置が、該支持体に沿って流下する該ポリエステル樹脂の表面積をS1、該支持体と該ポリエステル樹脂が接触している面積をS2とすると、S1/S2>1の関係を満たすことを特徴とする、(1)に記載のポリエステル樹脂の溶液及び/またはポリエステル樹脂の解重合物の溶液を製造する方法、
(3)該ポリエステル樹脂が該支持体に沿って流下しながら溶剤の蒸気と接触する際の、流下する距離が0.5m以上であることを特徴とする、(1)または(2)に記載のポリエステル樹脂の溶液及び/またはポリエステル樹脂の解重合物の溶液を製造する方法、
(4)溶剤の蒸気に含まれる少なくとも1種の成分が、該ポリエステル樹脂の分子量低下剤として作用し、該ポリエステル樹脂が支持体に沿って流下しながら解重合反応することを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載のポリエステル樹脂の溶液及び/またはポリエステル樹脂の解重合物の溶液を製造する方法、
(5)溶剤の蒸気にアルキレングリコールを含有することを特徴とする、(4)に記載のポリエステル樹脂の溶液及び/またはポリエステル樹脂の解重合物の溶液を製造する方法、
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載のポリエステル樹脂の溶液及び/またはポリエステル樹脂の解重合物の溶液を製造する方法によって得られた化合物を、ポリマー原料として再利用することを特徴とする、ポリエステル樹脂のリサイクル方法、
(7)重合中間体を溶融状態にて原料供給口から溶融重合装置内部に供給し、多孔板の孔から吐出させた後、装置内部に設置された支持体の表面に沿わせて流下させながらポリエステル樹脂を製造する重合装置の洗浄方法であって、該重合装置の内部に残存するポリエステル樹脂、重合中間体及びこれらの変性物を該支持体の表面に沿わせて流下させながら、溶剤の蒸気と接触させることによって上記残存物を除去することを特徴とする、該重合装置の洗浄方法、
(8)該支持体に沿って流下する該ポリエステル樹脂の表面積をS1、該支持体と該ポリエステル樹脂が接触している面積をS2とすると、S1/S2>1の関係を満たすことを特徴とする、(7)に記載の重合装置の洗浄方法、
(9)ポリエステル樹脂の製造後、該重合装置の内部の温度を該ポリエステル樹脂が結晶化する温度以上に保持した状態で内部に溶剤の蒸気を導入することを特徴とする、(7)または(8)に記載の重合装置の洗浄方法、
(10)該重合装置の内部に残存するポリエステル樹脂、重合中間体及びこれらの変性物が該支持体に沿って流下しながら溶剤の蒸気と接触する際の、流下する距離が0.5m以上であることを特徴とする、(7)〜(9)のいずれかに記載の重合装置の洗浄方法、
(11)溶剤の蒸気に含まれる少なくとも1種の成分が、該重合装置の内部に残存するポリエステル樹脂、重合中間体及びこれらの変性物の分子量低下剤として作用し、上記残留物が支持体に沿って流下しながら解重合反応することを特徴とする、(7)〜(10)のいずれかに記載の重合装置の洗浄方法、
(12)溶剤の蒸気に、100℃〜300℃の範囲の温度で加熱されたアルキレングリコールを含むことを特徴とする、(7)〜(11)のいずれかに記載の重合装置の洗浄方法。
(1)多孔板でポリエステル樹脂を分配することで多量のポリエステル樹脂を効率良く、ムラなく処理することができる。ポリエステル樹脂は支持体上に保持されているので、表層部の面積を大きくすることができ、ポリエステル樹脂が溶剤の蒸気と接触しやすく、効率よく溶解が進行する。また、各支持体上に保持されたポリエステル樹脂同士が合体して塊状になることがないので処理効率を低下させることがない。
(2)ポリエステル樹脂を支持体に沿って重力落下させることで、溶解及び/または解重合したポリエステル樹脂は低粘度になって速やかに落下するので、処理量を大きくすることができる。また表層部から先に溶解されたポリエステル樹脂等の溶液は、落下しながら内側のまだ溶解(膨潤)が不十分で比較的高粘度のポリエステル樹脂の表面に沿って連続的に流下するので、内側のポリエステル樹脂はせん断力が加わって伸張され、効率良く溶解及び/または解重合される。
(3)溶剤の蒸気と接触させることによって、少量の溶剤でも多量のポリエステル樹脂を容易に溶解でき、高粘度〜低粘度の任意の溶液を製造することができる。該溶剤の蒸気に含まれる少なくとも1種の成分を、ポリエステル樹脂の分子量低下剤として作用する成分とすることで、効率よく解重合させることが出来る。
(4)溶解速度及び/または解重合速度を大きくすることができるため、溶解時間及び/または解重合時間が短く物性低下や熱劣化物の生成や熱劣化物による装置の汚染も少ない。
2 原料供給口
3 多孔板
4 のぞき窓
5 支持体及び落下ポリマー
6 不活性ガス供給口
7 減圧排気口
8 排出ポンプ
9 排出口
10 溶解器あるいは解重合器あるいは重合器
N1 移送ポンプ
N2 原料供給口
N3 多孔板
N5 支持体及び落下ポリマー
N6 不活性ガス導入口
N7 減圧排気口
N8 排出・移送ポンプ
N10 不活性ガス吸収装置
まず、本発明の熱可塑性ポリマー溶液及び/または熱可塑性ポリマーの解重合物溶液の製造方法における、(A)溶解方法及び解重合方法及び重合器の洗浄方法、(B)熱可塑性ポリマー、(C)溶剤及び分子量低下剤、(D)溶解器と溶解方法(E)解重合器と解重合方法(F)本発明の洗浄方法が好ましく使用できる重合器とその洗浄方法について具体的に説明する。
本発明における溶解方法及び/または解重合方法は、熱可塑性ポリマーを溶融状態にて原料供給口から溶解器に供給し、多孔板の孔から吐出させた後、装置内部に設置された支持体の表面に沿わせて流下させながら溶剤の蒸気及び/または分子量低下剤の蒸気と接触させて、該熱可塑性ポリマーを溶解及び/または解重合する方法である。
これにより、支持体に沿って落下する熱可塑性ポリマーが各支持体に分配されて、各支持体上に保持されたまま、装置(溶解器または解重合器または重合器)の下方に向かって溶解及び/または解重合しながら流下することで、速やかに移動する挙動を示す。
処理される熱可塑性ポリマーとしては、熱可塑性ポリマーの溶液及び/又は熱可塑性ポリマーの解重合物の溶液を製造する場合には、重合反応終了後の溶融樹脂をそのまま用いるか、ペレット化あるいはシート化された固体状態のもの、あるいは使用済みの成形品を回収し、必要に応じて予備洗浄したリサイクル用原料を溶融したものを用いることができる。また、重合器の洗浄方法の場合は該重合器で製造され、該重合器の運転停止時に重合器の内部に残存している重縮合ポリマーが処理の対象になる。
この結果、支持体の構造及び配置によって、多孔板の孔の各ブロックから供給したポリマーの流れを互いに合流させて落下させることにより攪拌羽根のような攪拌機構を有さないにも関らず、溶解及び/または解重合反応が促進され、短時間かつ低コストでポリマー溶液及び/又はポリマーの解重合物の溶液を製造することも可能になった。
このような改質剤の例としては、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ノボラック樹脂、フェノキシ樹脂、ブチラール樹脂、ケトン樹脂等があり、これらを単独で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。また、必要に応じて、エポキシ化油、ジオクチルフタレートなどの可塑剤を適宜加えることができる。さらに、分子量低下剤、着色顔料、垂れ防止剤、表面調整剤、架橋促進触媒、紫外線吸収剤、光安定剤、抗酸化剤などの着色剤や安定剤等の添加剤を必要に応じて使用することができる。
熱可塑性ポリマーが支持体に沿って流下しながら溶剤の蒸気と接触する際の流下する距離は0.5m以上とすることが好ましい。落下距離が短いと溶解及び/又は解重合が不十分であり、高粘度のポリマーのままで流下して支持体から落下した後で合体して塊状になってしまうため、処理効率が著しく低下する。流下する距離は特に制限は無いが、処理効率を高めるうえで好ましくは0.5から50mの範囲であり、さらに好ましくは1〜20mの範囲であり、特に好ましくは2〜15mの範囲である。
本発明において、熱可塑性ポリマーの具体例としては、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリアミド及び脂肪族ポリカーボネート等の脂肪族炭化水素基が該官能基の結合を介して結合している構造を有するポリマー、脂肪族芳香族ポリエステル、脂肪族芳香族ポリアミド及び脂肪族芳香族ポリカーボネート等の脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基が該官能基の結合を介して結合している構造を有するポリマー、および、芳香族ポリエステル、芳香族ポリアミド等の芳香族炭化水素基が該官能基の結合を介して結合している構造を有するポリマーが挙げられる。また、それ以外にも種々のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルホン、セルロース系樹脂、キトサン系樹脂等の熱可塑性ポリマーが挙げられる。
本発明で用いる溶剤及び/又は分子量低下剤は、熱可塑性ポリマーを溶解及び/または解重合することができる化合物であれば、如何なるものを用いても良い。分子量低下剤が溶剤の働きを兼ねることも可能である。例えば、脂肪族、脂環族、芳香族系炭化水素化合物、脂肪族エステル系化合物、アルコール系化合物、エーテル系化合物、ケトン系化合物、ハロゲン系炭化水素化合物などの有機溶剤の1種以上、或いは、水、水に有機物を混合した水溶液などであり、これによって限定されるものではない。以上の溶剤の中でも、ヘキサン、石油エーテルなどの脂肪族炭化水素、シクロへキサン、シクロヘキセンなどの脂環族系炭化水素、キシレン、トルエンなどの芳香族系炭化水素化合物、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどの脂肪族エステル系化合物、メタノール、エタノール、ブタノール、エチレングリコールなどのアルコール系化合物、ジエチルエーテルなどのエーテル系化合物、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、アセトン、シクロヘキサノンなどのケトン系化合物等の各種有機溶剤及びその混合物が好ましい。
これらの溶剤及び/又は分子量低下剤は、液体または蒸気の状態で装置(溶解器または解重合器または重合器)の内部に供給され、支持体に沿って落下するポリマー等と蒸気の状態で接触させる。
本発明における溶解器とは、熱可塑性ポリマーを溶融状態にて原料供給口から溶解器内部に供給し、多孔板の孔から吐出させた後、溶解器の内部に設置された支持体の表面に沿わせて流下させながら溶剤の蒸気と接触させて溶解させることを特徴とする装置である。
多孔板とは、複数の貫通孔がある板状体である。多孔板を用いることによってポリマーの偏流を抑制するとともに溶解器内での局所滞留を防止出来、高品質で均質のポリマー溶液及び/またはポリマーの解重合物の溶液を製造出来る。また、多孔板の孔は1つのブロックあるいは少なくとも2つ以上のブロックに分かれており、ブロック毎に任意の供給量及び種類のポリマー及び/または溶剤を同時に供給することが可能である。
孔と孔との間隔は、孔の中心と中心の距離で通常、1〜500mmであり、好ましくは10〜100mmである。多孔板の孔は、多孔板を貫通させた孔であっても、多孔板に管を取り付けた場合でもよい。また、テーパー状になっていてもよい。ポリマーが多孔板を通過する際の圧力損失が、0.1〜50kg/cm2である様に孔の大きさや形状を決めることが好ましい。また、各ブロックに属する孔の配置は目的に応じて、ランダムに配置することも、同心円状に半径方向あるいは円周方向に交互または周期的に配置することも、格子状に交互または周期的に配置することも、ブロック毎に集合させて配置することも、ブロック毎に複数の集合にして配置することも可能である。
多孔板の材質は、通常、ステンレススチール製、カーボンスチール製、ハステロイ製、ニッケル製、チタン製、クロム製、及びその他の合金製等の金属材質が好ましい。
尚、多孔板より上流側の流路にはフィルターを設けることが好ましい。フィルターにより、多孔板の孔を閉塞する異物を除去出来る。フィルターの種類は、多孔板の孔径以上の異物を除去出来且つ、ポリマーの通過によって破損しないよう適宜選定する。
多孔板の孔から吐出されたポリマーは、支持体に沿って落下する。支持体の具体的な構造としては、「ワイヤー状」、ワイヤー状の材料を組み合わせた「チェーン状」や「格子状(金網状)」、ワイヤー状の材料をいわゆるジャングルジムのように連結した「立体格子状」、平坦あるいは曲率を有した「薄板状」、「多孔板状」などが挙げられる。その他にもポリマーと溶剤及び/又は分子量低下剤との接触面積を高めるとともに、ポリマー中に溶存していた不純物や、溶解中の熱分解により生じた不純物等を効率的に抜き出す目的で、ポリマーの落下方向に対して凹凸のある支持体に沿わせて落下させることによって攪拌と表面更新を積極的に起こさせることが好ましく、「ポリマーの落下方向に対して凹凸のあるワイヤー状」など、ポリマーの落下を邪魔する構造のある支持体も好ましい。これらの支持体を組み合わせて用いたり、多孔板の各ブロックからの供給物の内容に応じて適宜配置したりすることも好ましく、また目的に応じて各ブロックからの供給物の流れを支持体上で互いに合流しないように配置することも、供給物の流れを支持体上で合流させるように配置することも出来る。
支持体が複数の場合、適宜スペーサー等を用いて支持体同士が接触しないようにする事が好ましい。
支持体の位置は熱可塑性ポリマーが支持体に沿って落下できる位置であれば特に制限はなく、支持体の多孔板への取り付け方は、多孔板の孔を貫通して設置される場合と貫通せず多孔板の孔の下部に設置される場合を適宜選択できる。
支持体の長さは特に制限は無いが処理効率を高めるうえで好ましくは0.5から50mの範囲であり、さらに好ましくは1〜20mの範囲であり、特に好ましくは2〜15mの範囲である。
逆にS1/S2=<1の関係であるような場合、その支持体は平板状又は濡れ壁塔の内壁面であることを意味するが、この場合、溶解器の容積当りの処理能力が著しく低下するうえ、流下するポリマーが互いに集合して塊状になるため溶解の効率は更に低下するので好ましくない。
溶解器内に溶剤を供給する場合は、(1)上述のように多孔板の孔を少なくとも2つ以上のブロックに分け、ブロック毎に任意の供給量及び種類の熱可塑性ポリマー及び/または溶剤を同時に供給して溶解する方法、(2)あらかじめ熱可塑性ポリマーに溶剤を吸収及び/又は含有させることで供給して溶解する方法、(3)溶解器本体に溶剤を直接導入する方法、およびこれらを組み合わせた方法が可能である。
溶解器本体に溶剤を直接導入する場合は、溶解器の任意の箇所に設置した導入口から供給出来る。溶剤導入口の位置は溶解器底部の液相部であっても、溶解器底部の液相部より上の気相部であってもよい。気相部に導入する場合、ベント口から離れていることが望ましい。
溶解温度は、支持体を覆っている溶解器壁面及び/または内部に配したヒーター又は熱媒ジャケットの温度を制御したり、支持体内部にヒーター又は熱媒を入れ、これらの温度を制御したりすることで適切に設定できる。
溶解器内部の圧力は、溶解器を加圧装置あるいは減圧装置と接続することにより適切に設定できる。
溶解及び/又は解重合処理時の温度及び圧力は、処理を行う熱可塑性ポリマー及び、溶剤及び/又は分子量低下剤の種類に応じて適宜選択できる。
このように溶剤の蒸気を発生させるのに適した条件と、処理を行う熱可塑性ポリマーに適した条件(ガラス転移温度またはポリマーが結晶化する温度以上、ポリマーの熱劣化が著しくなる温度以下)の両方を満足させるために、圧力は使用する溶剤の性状に則して常圧、加圧、減圧と、適宜選択することが好ましい。
また、加圧あるいは減圧下で、溶解及び/又は解重合の処理に悪影響を及ぼさない不活性なガスを溶解器内に導入して、熱可塑性ポリマーに溶存している酸素や、解重合時に生成した不純物等をこれらのガスに随伴させて除去するのも好ましい方法である。特にポリマーの劣化を抑制して優れた品質の溶液を製造するとともに、溶解器(解重合器も兼ねる)の汚染を防ぐには、溶解器の気相部の酸素濃度は5体積%以下であることが好ましい。
本発明で導入する不活性ガスの量は、溶解器に供給するポリマー1g当たり0.05〜100mgとすることが好ましい。不活性ガスの量は抜き出すポリマー1g当たり0.05mg以上とすることで樹脂の発泡が十分となって処理効果が高くなる。一方100mg以下とすることで減圧度を高くすることが容易になる。不活性ガスの量は抜き出すポリマー1g当たり0.1〜50mgとすることがより好ましく、0.2〜10mgとすることが特に好ましい。
熱可塑性ポリマーを支持体に沿わせて流下させるのに要する時間と、溶解器の底部に滞留する時間の合計が処理時間であり、10秒〜100時間の範囲が好ましく、1分〜10時間の範囲がより好ましく、5分〜5時間の範囲が更に好ましく、20分〜3時間の範囲が特に好ましい。
本発明の溶解器の溶解能力は、ワイヤー状の支持体の場合、溶解器内に設置した本数に比例して増大する特徴があり、スケールアップの設計が容易である特長を有する。
ワイヤー状の支持体の場合、1本の支持体当たりの熱可塑性ポリマー流量は、好ましくは10−2〜102リットル/hrであり、この範囲とすることによって充分な処理能力が確保できるとともに溶解速度も飛躍的に高めることが出来る。より好ましくは、0.1〜50リットル/hrの範囲である。
薄板状等の、ワイヤーを組み合わせた構造ではない支持体の場合には、支持体にポリマーを供給する多孔板の孔1個当たり、好ましくは10−2〜102リットル/hrであり、より好ましくは、0.1〜50リットル/hrの範囲である。
図1においてPET樹脂は、移送ポンプ(A)1を介して原料供給口2より溶解器10に供給され、多孔板3のブロックAの孔を通って溶解器10内部に導入され支持体5に沿って落下する。一方、移送ポンプ(B)1を介して溶剤を供給し、支持体5に沿って落下させる。
溶剤中にPET樹脂が溶解することによって得られたポリマー溶液は、排出ポンプ8により排出口9から排出される。
移送ポンプ、溶解器本体、排出ポンプ、移送配管などはヒーター又はジャケットにより加熱され、かつ保温されている。
溶解器は1基で行う事も可能であるが、2基以上で行ってもかまわない。
図2は単一または複数の種類のポリマーと溶剤又は改質剤とを多孔板の各ブロックから供給する例を示す。図のように各供給物を、それぞれ独立した移送ポンプ(A〜D)によって多孔板の各ブロック(A〜D)毎に供給量を別個に設定することによって、任意の組成のポリマー溶液を製造することができる。
多孔板の各ブロック(A〜D)毎の供給量を、溶解操作を行いながら任意に変更することが可能であり、種々のポリマー溶液を少量多品種で、高品質、低コストに製造することが可能である。
本発明の解重合器の構造及び、解重合方法は、分子量低下剤の成分を使用することが必須である以外、上記(D)の溶解器と溶解方法の項で説明した方法をそのまま用いることが出来る。
ここで置換エステル化触媒として従来既知の置換エステル化触媒を用いることができるが、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の、炭酸塩、炭酸水素塩、及びカルボン酸塩からなる群から選ばれた少なくとも1種以上の化合物を用いることが触媒能の高さの面から好ましい。炭酸ナトリウムを用いることが特に好ましい。
この混合物をそのまま用い再結晶操作、あるいはDMTの結晶が完全に溶解しない場合は、加熱して共重合組成物を混合溶液による溶解操作を行う。この際、置換エステル化反応温度をそのまま、若しくは混合物の組成により温度を60〜150℃の範囲で一度加熱を行った後、不純物であるたとえば共重合ポリエステル由来のモノマー等を溶液側に溶解させ、その後、10〜50℃の範囲に冷却する。必要であれば溶媒の潜熱を利用し、混合物を冷却することが好ましい。
再結晶処理された混合物は、遠心分離操作などで固液分離し、次いで得られたケークにMeOHを加え洗浄を行う。
ここで加えるMeOH量は、DMTに対して1〜5倍量の範囲であることが好ましく、この範囲内にあるときには、不純物の除去が十分で、経済的にも好ましい。
MeOH洗浄回数は1〜3回程度が好ましい。ただし、共重合ポリエステル由来のモノマー量に依存し、不純物の除去が不十分であれば洗浄回数をさらに増やしてもよい。MeOH洗浄したDMTは既知の条件で蒸留精製を行い、高純度DMTとして回収する。
図3以下に本発明の方法を達成する好ましい組み合わせの態様を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図3においてPETは、移送ポンプ(A)1を介して原料供給口2より重合器に供給され、一方、分子量低下剤は移送ポンプ(B)1を介して原料供給口2より重合器に供給され、それぞれは多孔板3のブロックA及びブロックBの孔を通って解重合器内部に導入され支持体5に沿って落下する。それぞれの供給物の流れは多孔板のブロック及び支持体との配置によって支持体上で互いに合流して解重合反応が行われる。
移送ポンプ、解重合器本体、排出ポンプ、移送配管などはヒーター又はジャケットにより加熱され、かつ保温されている。
本発明の方法は、解重合器1基で行う事も可能であるが、2基以上で行ってもかまわない。
図4は単一の重縮合ポリマーを多孔板の各ブロックから供給する例を示す。重縮合ポリマーを、それぞれ独立した移送ポンプ(A〜D)によって多孔板の各ブロック(A〜D)毎に供給量を別個に設定することができるようにしておくと、任意のブロックだけから供給することで解重合器の反応条件を大きく変更することなく、処理量の変化に対応することができる。
いずれの例についても多孔板の各ブロック(A〜D)毎の供給量を、解重合しながら任意に変更することが可能であり、種々のポリマーを少量多品種で解重合することが可能である。
解重合生成物は、排出ポンプ8により排出口9から排出される。移送ポンプ、不活性ガス吸収装置本体、解重合器本体、排出ポンプ、移送配管、分岐切替弁、圧力調節弁などはヒーター又はジャケットにより加熱され、かつ保温されている。
(F−1)重合器の原理
本発明の洗浄方法が好ましく使用できる重合器の重合方法は、加熱溶融重縮合反応によって重合可能なポリマーの重合中間体を溶融状態にて原料供給口から重合器に供給し、多孔板の孔から吐出させた後、支持体に沿わせて重力落下させながら減圧下にて重合する方法である。
この結果、ポリマーと気相との接触面積とポリマーの攪拌効果が飛躍的に増大し、重縮合反応の副生物(PETの場合、エチレングリコール)や、重合時の熱分解により発生する不純物(PETの場合、アセトアルデヒド)を重合中間体から効率的に除去出来、重合速度が飛躍的に増大するとともに、不純物残存量が極めて少ない、高品質のポリマーを製造できる利点を有する。
我々はさらに検討をすすめ、該重合器の多孔板の孔を、1つのブロックあるいは少なくとも2つ以上のブロックに分けて、ブロック毎に任意の供給量及び種類の重合中間体及び/またはポリマー改質剤を同時に供給して重合することも可能であることを見出した。
もちろん、各ブロックから供給する重合中間体の種類を同一にすることも可能であって、ブロック毎に供給量を設定することによって、重合レートやポリマー重合度を精密に調整したり、分子量分布を広げて溶融流動性の改善に応用したりすることも可能である。
本発明において、重縮合ポリマーとは縮合可能な官能基を2つ以上有する少なくとも1種のモノマーが、該官能基の結合を介して結合してなる構造を有するポリマーを意味する。上記モノマーは脂肪族炭化水素基に該官能基が直接結合してなるものでも良いし、芳香族炭化水素基に該官能基が直接結合してなるものでも良い。
上記の重縮合ポリマーはホモポリマーであっても良いし、コポリマーであっても良い。またエステル結合、アミド結合、カーボネート結合等の異なる結合がランダム又はブロック状に存在するコポリマーであっても良い。このようなコポリマーの具体例としては、ポリエステルカーボネート及びポリエステルアミドが挙げられる。
例えば、ポリエステルの重合中間体はヒドロキシル基を有する化合物とカルボキシル基を有する化合物またはカルボキシル基の低級アルコールエステルを有する化合物との重縮合によって製造され、ポリアミドの重合中間体はアミノ基を有する化合物とカルボキシル基を有する化合物との重縮合によって製造され、ポリカーボネートの重合中間体はカルボニル基の両側にアリーロキシ基やアルコキシ基を有する化合物とヒドロキシル基を有する化合物との重縮合によって製造される。
脂肪族ポリアミドの重合中間体はヘキサメチレンジアミンのような炭素数2〜30の脂肪族炭化水素基にアミノ基が直接結合してなるモノマーと、アジピン酸のような炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基にカルボキシル基が直接結合してなるモノマーとの重縮合により製造される。
芳香族ポリアミドの重合中間体はパラフェニレンジアミンのような炭素数6〜30の脂肪族炭化水素基にアミノ基が直接結合してなるモノマーと、テレフタル酸のような炭素数6〜30の芳香族炭化水素基にカルボキシル基が直接結合してなるモノマーとの重縮合により製造される。
脂肪族芳香族ポリカーボネートの重合中間体は1,6−ヘキサンジオールのような炭素数2〜30の脂肪族炭化水素基にヒドロキシル基が直接結合してなるモノマー及びビスフェノールAのような炭素数6〜30の芳香族炭化水素基にヒドロキシル基が直接結合してなるモノマーと、ジフェニルカーボネートのようなカルボキシル基の両側にフェノキシ基が結合してなるモノマーとの重縮合により製造される。
上記の重合中間体の具体的な製造方法に関しては、例えば、“Polymer Synthesis,vol.1,second edition”、1992(米国 Academic Press,Inc.社発行)を参照することが出来る。
ポリマー改質剤を用いる場合、その種類には特に制限は無く、ポリマーの重合温度以下で液状の物質であっても、ポリマーの重合温度以下で固体の微粒子を含む物質であっても良い。また、ポリマーと反応して化学結合を形成する物質であっても、ポリマーとは反応しない物質であっても良い。重縮合反応を促進する触媒作用を有する物質であっても、重合中間体に含まれている重合触媒の活性を抑制する作用を有する物質であっても良い。
多孔板とは、複数の貫通孔がある板状体である。多孔板を用いることによって重合中間体の偏流を抑制するとともに反応器内での局所滞留を防止出来、高品質で均質のポリマーを製造出来る。また、多孔板の孔は1つのブロックあるいは少なくとも2つ以上のブロックに分かれており、ブロック毎に任意の供給量及び種類の重合中間体及び/またはポリマー改質剤を同時に供給して重合することも可能である。
多孔板の孔は、通常、円状、長円状、三角形状、スリット状、多角形状、星形状などの形状から選ばれる。孔の断面積は、通常、0.01〜100cm2であり、好ましくは0.05〜10cm2であり、特に好ましくは0.1〜5cm2の範囲である。また、孔に接続するノズル等を備えることも含む。2つ以上のブロックに分かれている場合、ブロック毎に供給物の内容に応じて形状と断面積を変えることも可能である。
多孔板の材質は、通常、ステンレススチール製、カーボンスチール製、ハステロイ製、ニッケル製、チタン製、クロム製、及びその他の合金製等の金属材質が好ましい。
尚、多孔板より上流側の流路にはフィルターを設けることが好ましい。フィルターにより、多孔板の孔を閉塞する異物を除去出来る。フィルターの種類は、多孔板の孔径以上の異物を除去出来且つ、重合中間体の通過によって破損しないよう適宜選定する。
多孔板の孔から吐出された重合中間体は、支持体に沿って落下する。支持体の具体的な構造としては、「ワイヤー状」、ワイヤー状の材料を組み合わせた「チェーン状」や「格子状(金網状)」、ワイヤー状の材料をいわゆるジャングルジムのように連結した「立体格子状」、平坦あるいは曲率を有した「薄板状」、「多孔板状」などが挙げられる。その他にも反応副生物や重合中の熱分解により生じた不純物等を効率的に抜き出すために、落下させる樹脂の表面積を大きくすると共に、重合中間体の落下方向に対して凹凸のある支持体に沿わせて落下させることによって攪拌と表面更新を積極的に起こさせることが好ましく、「樹脂の落下方向に対して凹凸のあるワイヤー状」など、樹脂の落下を邪魔する構造のある支持体も好ましい。これらの支持体を組み合わせて用いたり、また2つ以上のブロックに分かれている場合には多孔板の各ブロックからの供給物の内容に応じて適宜配置したりすることも好ましく、目的に応じて各ブロックからの供給物の流れを支持体上で互いに合流しないように配置することも、供給物の流れを支持体上で合流させるように配置することも出来る。
「格子状(金網状)」とは前記したワイヤー状の材料を格子状に組み合わせた材料を表すものである。組み合わせるワイヤーは直線状の場合も曲率している場合も含み、組み合わせる角度は任意に選ぶことができる。格子状(金網状)の材料を面に対して垂直方向より投影した際の、材料と空間との面積比は特に制限はないが、通常1:0.5〜1:1000の範囲であり、好ましくは1:1〜1:500の範囲であり、特に好ましくは1:5〜1:100の範囲である。面積比は水平方向には等しいことが好ましく、鉛直方向には等しいか、あるいは下部ほど空間の比率が大きくなることが好ましい。
「ポリマーの落下方向に凹凸が付いたワイヤー状」とは、ワイヤーに丸断面や多角形断面の棒状物を直角に取り付けたものや、ワイヤーに円盤状物あるいは円筒状物を取り付けたものなどである。凹凸の段差は5mm以上のものが好ましい。具体的な例としては、直径がワイヤー径より5mm以上大きく100mm以下で、厚みが1〜50mmの円盤の中心をワイヤーが貫通し、該円盤の間隔が1〜500mmである円盤付きワイヤー等が挙げられる。
支持体は形状によって単数設ける場合と複数設ける場合とを適宜選択できる。「ワイヤー状」や「チェーン状」の場合は通常1〜105個であり、好ましくは3〜104個である。「格子状」、「2次元に連なったチェーン状」、「薄板状」、「多孔板状」の場合は通常1〜104個であり、好ましくは2〜103個である。「3次元に連なったチェーン状」、「立体格子状」の場合は単数とするか、分割して複数とするかは、装置の大きさや、設置スペース等を考慮して適宜選択できる。
支持体の材質に特に制限はないが、通常、ステンレススチール、カーボンスチール、ハステロイ、チタン等の中から選ばれる。また、ワイヤーは、メッキ、ライニング、不働態処理、酸洗浄等必要に応じて種々の表面処理がなされている場合も含む。
孔を通過した重合中間体を支持体に沿わせて落下させる高さは、好ましくは0.5〜50mの範囲であり、さらに好ましくは1〜20mの範囲であり、より好ましくは2〜10mの範囲である。
重合温度は、支持体を覆っている重合器壁面に配したヒーター又は熱媒ジャケットの温度を制御したり、支持体内部にヒーター又は熱媒を入れ、これらの温度を制御したりすることで適切に設定できる。
重合器の減圧度は、重合器の任意の箇所に設置したベント口を真空ラインに接続し、減圧度を制御することで適切に設定できる。ベント口からは重合副生物や、重合時の熱分解により発生する不純物や、必要に応じて重合器内に少量導入した不活性ガスが排出される。
重合器内に不活性ガスを直接導入する場合は、重合器の任意の箇所に設置した導入口から供給出来る。不活性ガス導入口の位置は多孔板より遠く、ポリマーの抜出口の近くとすることが望ましい。また、ベント口から離れていることも望ましい。
或いは、あらかじめ重合中間体に不活性ガスを吸収及び/又は含有させる方法も可能であり、この場合不活性ガス供給装置を本発明の重合器の上流に増設する。
本発明者らは、前記した溶融粘度の範囲の重合中間体を、前期の重合器を用いて、後述する重合温度、減圧度の範囲で重合させることで、多孔板の直下での激しい発泡による重合中間体飛散を抑えて、口金面や重合器壁面の汚染によるポリマーの品質の悪化を抑制するとともに、驚くべきことに、支持体に沿って落下するポリマーが多量の泡を含んだ状態になって、「ポリマーの表面積が拡大する」とともに「支持体上をポリマーが泡玉状になって転がり落ちる」現象を見出した。それと同時に、重合速度の飛躍的な増大とポリマー色相の改善を確認した。
重合速度の飛躍的な増大は、多量の泡を含んだことによる表面積の拡大効果と、泡の可塑化作用による表面更新効果の複合的な作用であると考えられる。また、泡の可塑化作用は、重合器内でのポリマーの滞留時間の短縮によるポリマー色相の改善と、高重合度化された高粘度のポリマーを容易に重合器から抜き出すことも可能にした。
重縮合反応温度は重縮合ポリマーの(結晶融点−10℃)以上、(結晶融点+60℃)以下とすることが好ましい。(結晶融点−10℃)以上とすることで、反応物の固化や、反応時間が長くなることを防ぎ、(結晶融点+60℃)以下にすることで、熱分解を抑え優れた色相のポリマーを製造できる。温度は(結晶融点−5℃)以上、(結晶融点+40℃)以下がより好ましく、結晶融点以上、(結晶融点+30℃)以下が更に好ましい。このように比較的低い反応温度の方が本方法において好ましい理由は、ポリマーが多量の泡を含んだ状態になりやすく、重合速度を飛躍的に高めることが可能になるためである。
測定温度 : 0〜300℃
昇温速度 : 10℃/分
本方法の溶融重縮合反応は、ポリマーが多量の泡を含んだ状態にするためにも、減圧下にて行う必要がある。減圧度は、重合中間体や重縮合反応物の昇華状態や反応速度に応じて適宜調節する。減圧度は50000Pa以下が好ましく、10000Pa以下がより好ましく、1000Pa以下が更に好ましく、500Pa以下が特に好ましい。下限は特に制限させるものではないが、重合器内を減圧とするための設備の規模などから考え0.1Pa以上とすることが好ましい。
また、減圧下で、重縮合反応に悪影響を及ぼさない不活性なガスを重合器内に少量導入して、重合副生物や重合時の熱分解により発生した不純物等をこれらのガスに随伴させて除去するのも好ましい方法である。
本発明者らの検討によると、驚くべきことに、不活性ガスを重合器内に導入することにより、支持体に沿って溶融状態で落下する重合中間体の発泡現象が激しくなり、該重合中間体の表面積が飛躍的に増加するとともに、その表面更新状態が極めて良くなることが観察された。原理は定かではないが、この重合中間体の内部及び表面状態の変化が重合速度を飛躍的に高める原因になっているものと推定される。
本方法で導入する不活性ガスの量は、極めて少量でよく、重合反応器より抜き出すポリマー1g当たり0.05〜100mgとすることが好ましい。不活性ガスの量は抜き出すポリマー1g当たり0.05mg以上とすることで樹脂の発泡が十分となって重合度を高める効果が高くなる。一方100mg以下とすることで減圧度を高くすることが容易になる。不活性ガスの量は抜き出すポリマー1g当たり0.1〜50mgとすることがより好ましく、0.2〜10mgとすることが特に好ましい。
ポリマーを支持体に沿わせて落下させるのに要する時間と、重合器の底部に滞留する時間の合計が重合時間であり、10秒〜100時間の範囲が好ましく、1分〜10時間の範囲がより好ましく、5分〜5時間の範囲が更に好ましく、20分〜3時間の範囲が特に好ましい。
本重合方法では、重合中間体から重合したポリマーをワンパスで重合器から全て抜き出す方法、重合したポリマーの一部を循環させて再び重合器に導入する方法等が挙げられるが、ワンパスで全て抜き出す方法がより好ましい。循環させる場合には、重合器底部や循環ライン等での熱分解を抑えるために、これらの場所での滞留時間を短くし、温度を下げることが好ましい。
該重合器の重合能力は、ワイヤー状の支持体の場合、重合器内に設置した本数に比例して増大する特徴があり、スケールアップの設計が容易である特長を有する。
ワイヤー状の支持体の場合、1本の支持体当たりの重合中間体流量は、好ましくは10−2〜102リットル/hrであり、この範囲とすることによって充分な生産能力が確保出来るとともに重合速度も飛躍的に高めることが出来る。より好ましくは、0.1〜50リットル/hrの範囲である。
薄板状等の、ワイヤーを組み合わせた構造ではない支持体の場合には、支持体に重合中間体を供給する多孔板の孔1個当たり、好ましくは10−2〜102リットル/hrであり、より好ましくは、0.1〜50リットル/hrの範囲である。
本方法は、上記した重合器の多孔板から供給する方法以外にも、重合器と成形機の間に一軸または二軸の混錬機やスタティックミキサー等を設置して必要に応じて、安定剤や核剤、顔料等の添加剤を樹脂に添加する場合も含む。
本方法では、必要に応じて各種の添加剤、例えば艶消し剤、熱安定剤、難燃剤、帯電防止剤、消泡剤、整色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、増白剤、不純物の捕捉剤などを共重合または混合する場合も含む。これらの添加剤は任意の段階で添加することができる。
具体的な化合物としては、ペンタエリスリトール テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマミド)が挙げられる。これらの安定剤を併用することも好ましい方法の一つである。
また、本方法では結晶核剤を添加することも好ましく、ポリエステル樹脂の場合を例にとると、リン系化合物や有機酸金属塩、ポリオレフィンやその他の樹脂の樹脂粉等が好ましい。結晶核剤の添加量はポリマー中に2〜1000ppmであることが好ましく、10〜500ppmであることがより好ましい。
図7においてPETの重合中間体は、移送ポンプ(A)及び/又は移送ポンプ(B)1を介して原料供給口2より重合器に供給され、多孔板3のブロックAの孔及び/又はブロックBの孔を通って重合器内部に導入され支持体5に沿って落下する。このときに移送ポンプ(A)又は移送ポンプ(B)1を介して異種ポリマーの重合中間体及び/又はポリマー改質剤をPETの重合中間体の代わりに供給することも出来る。もちろん多孔板3を複数のブロックとせずに単一のブロックとし、PETの重合中間体を供給する移送ポンプを複数とせずに単一の移送ポンプから重合中間体を導入して重合することも可能である。
支持体に沿って落下しつつ重合する際、多孔板が2つ以上のブロックに分かれている場合にはブロック及び支持体との配置によって各ブロックからの供給物の流れを支持体上で互いに合流しないようにすることも、供給物の流れを支持体上で合流させることも出来、目的に応じて選択される。
移送ポンプ、重合器本体、排出ポンプ、移送配管などはヒーター又はジャケットにより加熱され、かつ保温されている。
重合器は1基で行う事も可能であるが、2基以上で行ってもかまわない。
横型攪拌重合器としては、スクリュータイプ、独立翼タイプ、一軸タイプ、二軸タイプ等、例えば「反応工学研究会研究レポート:リアクティブプロセッシングPart2」(高分子学会;1992)第4章記載の重合器などが挙げられる。
槽の形状に特に制限はなく、通常、縦型や横型の円筒型が用いられる。また、撹拌翼の形状にも特に制限はなく、パドル型、アンカー型、タービン型、スクリュー型、リボン型、ダブル翼型等が用いられる。
次に該重合器の洗浄方法について述べる。
上記の方法にて重合運転を行った後運転停止する際、該重合器の内部に重合中間体、原料及びこれらの変性物が残存し易い問題がある。
従来の攪拌槽型の重合装置の洗浄方法として、重合装置内にグリコール類を満たし、グリコール類の沸点近くの温度に加熱しながら攪拌することで残留ポリマー等を解重合し除去する方法が開示されているが、このような方法を本重合器に適用しようとすると、重合器内部の支持体に保持されている多量の残留ポリマー等が剥離して塊状に集合してしまううえ、該重合器は攪拌機構を有さないために、残留ポリマーを解重合するには極めて長い時間を要するという問題があった。
残留ポリマー等の洗浄に用いる溶剤や分子量低下剤としては、上記(C)にて説明したものを適宜使用できる。また、必要に応じて洗浄時間を更に短縮する目的で一級又は二級アミン類、無水酢酸、リン酸エステル類、亜リン酸エステル類等の洗浄剤を併用することも出来る。
洗浄温度は、支持体を覆っている該重合器の壁面及び/または内部に配したヒーター又は熱媒ジャケットの温度を制御したり、支持体内部にヒーター又は熱媒を入れ、これらの温度を制御したりすることで適切に設定できる。
洗浄時の温度及び圧力は、残存ポリマーの種類及び、溶剤及び/又は分子量低下剤の種類に応じて適宜選択できる。
このように溶剤及び/又は分子量低下剤の蒸気を発生させるのに適した条件と、洗浄を行う残存ポリマーの種類に適した条件(ガラス転移温度またはポリマーが結晶化する温度以上、ポリマーの熱劣化が著しくなる温度以下)の両方を満足させるために、圧力は使用する溶剤の性状に則して常圧、加圧、減圧と、適宜選択することが好ましい。
本発明者らの検討によると、驚くべきことに、不活性ガスを該重合器内に導入することにより、支持体に沿って溶融状態で落下する残存ポリマー等の流動性が向上し、特に減圧下で処理する場合には残存ポリマー等が発泡して表面積が飛躍的に増加するとともに、その表面更新状態が極めて良くなり極めて短時間で洗浄されることが観察された。原理は定かではないが、この残存ポリマー等の内部及び表面状態の変化が洗浄速度を飛躍的に高める原因になっているものと推定される。
本発明で導入する不活性ガスの量は、該重合器に残存しているポリマー1g当たり0.05〜100mgとすることが好ましい。不活性ガスの量はポリマー1g当たり0.05mg以上とすることで樹脂の発泡が十分となっ・BR>ト処理効果が高くなる。一方100mg以下とすることで減圧度を高くすることが容易になる。不活性ガスの量はポリマー1g当たり0.1〜50mgとすることがより好ましく、0.2〜10mgとすることが特に好ましい。
[実施例1]
図1に示した装置を用いてPET樹脂を溶解してPET樹脂溶液を得た。
PET樹脂を温度265℃で溶融して、移送ポンプ(A)1によって原料供給口2から多孔板3のブロックAの孔より各孔当たり3.0g/分の量にて吐出させた。同時に溶剤としてイソホロンを移送ポンプ(B)1によって原料供給口2から多孔板3のブロックBの孔より各孔当たり7.0g/分の量にて吐出させた。
溶解器の底部にはポリマー溶液が溜まるようになっており、PET樹脂及び溶剤の供給量に合わせて抜き出すことで、連続的に溶解させた。
多孔板は厚み50mmであり、直径1mmの孔が14個あり、これらが10mm間隔で直線状に7個配列された列を70mm間隔で平行に2列配列したものを用いた。ブロックAに属する孔と、ブロックBに属する孔は、交互に並ぶように設計した。支持体は直径2mm、長さ8mのワイヤーを各孔の直近に1本ずつ取り付けて垂直に垂らし、該ワイヤーと直交するように直径2mm、長さ100mmのワイヤーを100mm間隔で取り付けた格子状のものを用いた。支持体の材質はステンレススチールを用いた。
得られたPET樹脂の溶液のポリマー濃度は30wt%であり、溶解器の底部には溶け残りのPET樹脂は認められなかった。
図3に示す装置を用いて、回収された廃PETボトルのフレークを溶融して移送ポンプ(A)1により原料供給口2より解重合器10に供給し、255℃の溶融状態にて多孔板3のブロックAの孔より各孔当たり7.0g/分の量にて吐出させた。同時に分子量低下剤としてエチレングリコールを移送ポンプ(B)1により原料供給口2より解重合器10に供給し、多孔板3のブロックBの孔より各孔当たり2.3g/分の量にて吐出させた。
これらの供給物を、吐出温度と同じ雰囲気温度にて支持体に沿わせて落下させながら85000Paの減圧度にて解重合させ、反応生成物を解重合器の底部に溜め、解重合原料(溶融ポリマー及び分子量低下剤)の供給量に併せて排出ポンプ8によって解重合器から抜き出した。
解重合器での滞留時間は15分であった。滞留時間は解重合器内部にある反応物量を供給量によって除した値を用いている。重合の際に多孔板より吐出したPETの激しい発泡、及びこれによる口金面や壁面等の汚染は極めて少ない一方、落下する樹脂は多量の泡を含み、支持体を速やかに流下する挙動が観察された。また、本実施例では炭酸ナトリウム等の解重合触媒を添加することなく解重合を行ったが、短時間で効率良く解重合することができた。
従来の攪拌槽型のPET樹脂の解重合装置に、EG200部を投入し、さらにPET樹脂50部を投入し、撹拌速度100rpmで昇温し185℃とした。この状態で解重合反応を完結させるのに4時間を要した。
得られた解重合物にエステル交換反応触媒として炭酸ソーダ0.5部とMeOH100部を投入し、常圧で液温を75℃、撹拌速度100rpmの状態を1時間保持し、エステル交換反応を実施した。
得られたDMT、EGとMeOHの混合物を40℃まで冷却し、ガラス製3G−4のフィルターで濾過した。フィルター上に回収できたDMTの色相は、実施例2に比べ黒ずんでおり、解重合原料であるPET樹脂中のテレフタル酸成分に対する収率は83mol%と低かった。
昇温を255℃とした以外、比較例1と同様にして解重合反応を行った。液温が185℃を越えるとPET樹脂が融着して塊状となり、解重合反応を完結させるのに1.5時間を要した。
得られた解重合物にエステル交換反応触媒として炭酸ソーダ0.5部とMeOH100部を投入し、常圧で液温を75℃、撹拌速度100rpmの状態を1時間保持し、エステル交換反応を実施した。
得られたDMT、EGとMeOHの混合物を40℃まで冷却し、ガラス製3G−4のフィルターで濾過した。フィルター上に回収できたDMTの色相は、実施例2に比べ黒ずんでおり、解重合原料であるPET樹脂中のテレフタル酸成分に対する収率は78mol%と低かった。
図7に示す装置を用いて、極限粘度[η]が0.46dl/g、ポリマー末端のカルボキシル基量が32meq/kg、結晶融点が260℃のPETプレポリマーを移送ポンプ(A)1により原料供給口2より重合器10に供給し、265℃の溶融状態にて多孔板3のブロックAの孔より各孔当たり10g/分の量にて吐出させた。同時に極限粘度[η]が0.28dl/g、ポリマー末端のカルボキシル基量が30meq/kg、結晶融点が240℃の、PETに対して4モル%のシクロヘキサンジメタノールを共重合させたプレポリマーを移送ポンプ(B)1により原料供給口2より重合器10に供給し、265℃の溶融状態にて多孔板3のブロックBの孔より各孔当たり10g/分の量にて吐出させた。
これらの供給物を、吐出温度と同じ雰囲気温度にて支持体に沿わせて落下させながら65Paの減圧度にて重合させ、排出ポンプ8によって重合器から抜き出した。
各プレポリマーには0.04重量%の三酸化二アンチモンと、リン元素の重量割合として100ppmのトリメチルフォスフェートを添加して製造したものを用いた。重合器の滞留時間は70分であった。滞留時間は重合器内部にあるポリマー量を供給量によって除した値を用いている。重合の際に多孔板より吐出したプレポリマーの激しい発泡、及びこれによる口金面や壁面等の汚染は極めて少ない一方、落下する樹脂は多量の泡を含んでおり、泡玉状になって支持体を転げ落ちる挙動が観察された。
次いで重合器を洗浄する目的で、分子量低下剤としてトリエチレングリコールを移送ポンプ(B)1を用いて原料供給口2より重合器10に供給し、多孔板3のブロックBの孔より重合器10の容積に対して、常温常圧での液容積が1容積%に相当する量のトリエチレングリコールを導入した。
重合器内部に付着した重縮合ポリマー、重合中間体、原料及びこれらの変性物を、雰囲気温度270℃、減圧度80000Paにて、トリメチレングリコールの蒸気と接触させることによって、支持体に沿わせて落下させながら、30分間洗浄した後、解重合物の溶液を重合器の底部から排出ポンプ8によって抜き出し、重合器内部を開放して観察したところ、重合器の内部は清浄化され、金属光沢を示していた。また、解重合物の溶液は均一かつ低粘度に分解されており、容易に抜き出すことが出来た。
多孔板3として、ブロックAの孔5個と、ブロックBの孔5個とが交互に円形に配置されたものを用い、支持体としては内径15cm、長さ8mのパイプを設置し、孔から出たプレポリマーがパイプ内壁に沿って落下するようにした以外、実施例3と同様にして重合を行った。のぞき窓4から、パイプの下端から落下するポリマー流を観察したが、多量の泡を含んではいなかった。得られたポリマーには色むらがあり、また重合度も低かった。
重合反応終了後に重合器内部には、重縮合ポリマー、重合中間体、原料及びこれらの変性物が付着しており、パイプの下端からこれらの残存ポリマーが徐々に垂れてくる様子が観察された。
重合器内部に付着した重縮合ポリマー、重合中間体、原料及びこれらの変性物を、雰囲気温度270℃、減圧度80000Paにて、トリメチレングリコールの蒸気と接触させることによって、支持体に沿わせて落下させながら、30分間洗浄した後、解重合物の溶液を重合器の底部から排出ポンプ8によって抜き出し、重合器内部を開放して観察した。支持体の内壁には片流れの跡(ポリマーが黄色く変色した筋状の跡)及び、洗浄が不十分なため残存した少量のポリマーの付着が観察された。重合器の底部にもポリマーの付着が認められた。また解重合物の溶液は不均一であり、低粘度の部分と高粘性の部分とが混合した状態であった。
このような挙動の違いは、比較例3ではパイプの内壁面に沿って残留ポリマーが片流れしたとともに残留ポリマーが集合して塊状になり、解重合反応速度が著しく低下したためと推定される。
また本発明の重縮合ポリマーの解重合方法によれば、大量の重縮合ポリマーを高効率かつ低コストで処理することができるので、PET樹脂等を再利用する方法として好適に用いることができる。
さらに本発明の洗浄方法によれば、高品質のポリマー及びその成形体を溶融重縮合によって低コストで製造することができる溶融重合器を効率良くかつ低コストで洗浄することができるので、該重合器の洗浄方法として好適に使用できる。
Claims (12)
- ポリエステル樹脂を溶融状態にて原料供給口から装置内部に供給し、多孔板の孔から吐出させた後、装置内部に設置された支持体の表面に沿わせて流下させながら溶剤の蒸気と接触させることを特徴とする、ポリエステル樹脂の溶液及び/またはポリエステル樹脂の解重合物の溶液を製造する方法。
- 該装置が、該支持体に沿って流下する該ポリエステル樹脂の表面積をS1、該支持体と該ポリエステル樹脂が接触している面積をS2とすると、S1/S2>1の関係を満たすことを特徴とする、請求項1に記載のポリエステル樹脂の溶液及び/またはポリエステル樹脂の解重合物の溶液を製造する方法。
- 該ポリエステル樹脂が該支持体に沿って流下しながら溶剤の蒸気と接触する際の、流下する距離が0.5m以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリエステル樹脂の溶液及び/またはポリエステル樹脂の解重合物の溶液を製造する方法。
- 溶剤の蒸気に含まれる少なくとも1種の成分が、該ポリエステル樹脂の分子量低下剤として作用し、該ポリエステル樹脂が支持体に沿って流下しながら解重合反応することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂の溶液及び/またはポリエステル樹脂の解重合物の溶液を製造する方法。
- 溶剤の蒸気にアルキレングリコールを含有することを特徴とする、請求項4に記載のポリエステル樹脂の溶液及び/またはポリエステル樹脂の解重合物の溶液を製造する方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル樹脂の溶液及び/またはポリエステル樹脂の解重合物の溶液を製造する方法によって得られた化合物を、ポリマー原料として再利用することを特徴とする、ポリエステル樹脂のリサイクル方法。
- 重合中間体を溶融状態にて原料供給口から溶融重合装置内部に供給し、多孔板の孔から吐出させた後、装置内部に設置された支持体の表面に沿わせて流下させながらポリエステル樹脂を製造する重合装置の洗浄方法であって、該重合装置の内部に残存するポリエステル樹脂、重合中間体及びこれらの変性物を該支持体の表面に沿わせて流下させながら、溶剤の蒸気と接触させることによって上記残存物を除去することを特徴とする、該重合装置の洗浄方法。
- 該支持体に沿って流下する該ポリエステル樹脂の表面積をS1、該支持体と該ポリエステル樹脂が接触している面積をS2とすると、S1/S2>1の関係を満たすことを特徴とする、請求項7に記載の重合装置の洗浄方法。
- ポリエステル樹脂の製造後、該重合装置の内部の温度を該ポリエステル樹脂が結晶化する温度以上に保持した状態で内部に溶剤の蒸気を導入することを特徴とする、請求項7または8に記載の重合装置の洗浄方法。
- 該重合装置の内部に残存するポリエステル樹脂、重合中間体及びこれらの変性物が該支持体に沿って流下しながら溶剤の蒸気と接触する際の、流下する距離が0.5m以上であることを特徴とする、請求項7〜9のいずれかに記載の重合装置の洗浄方法。
- 溶剤の蒸気に含まれる少なくとも1種の成分が、該重合装置の内部に残存するポリエステル樹脂、重合中間体及びこれらの変性物の分子量低下剤として作用し、上記残留物が支持体に沿って流下しながら解重合反応することを特徴とする、請求項7〜10のいずれかに記載の重合装置の洗浄方法。
- 溶剤の蒸気に、100℃〜300℃の範囲の温度で加熱されたアルキレングリコールを含むことを特徴とする、請求項7〜11のいずれかに記載の重合装置の洗浄方法。
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