JP5177491B2 - 電磁クラッチ - Google Patents

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Description

本発明は、駆動モータによって駆動されるウオームホイールと、当該ウオームホイールに連動して回転するアーマチャと、当該アーマチャと同軸心で回転可能なロータと、前記ロータのうち前記アーマチャとの対向面に形成された環状の凹部に収納され、前記ロータに磁力を発生させて、当該磁力により前記ロータと前記アーマチャとを回転軸心に沿って移動吸着させる電磁コイルとを備えた電磁クラッチに関する。
この種の電磁クラッチは、電磁コイルへの通電を行うことにより、ロータにアーマチャが吸着され、アーマチャとロータとが一体回転し、駆動モータからの動力がロータ側に伝達される。
一方、電磁コイルへの通電を行っていない場合には、アーマチャとロータとが互いに相対回転可能である。
特許文献1には、上述のような電磁クラッチにおいて、磁性体材料で構成された円板形状のロータのアーマチャとの対向面の外周部近傍に環状の凹部が形成され、当該凹部に電磁コイルがロータと一体回転可能に収納される。このロータは、凹部の外周壁部及び外周壁部が底部に対して略直角に立設されるとともに、アーマチャとの対向面と凹部の内部側壁とが略垂直になるよう構成されている。これにより、電磁コイルと内周壁部及び外周壁部とを近接させるとともに、ロータとアーマチャとの間のエアーギャップを低減して、磁力による吸着力が、確実にアーマチャに伝わるように構成されている。この結果、それほど大きな電磁コイルを用いることなく、ロータとアーマチャとを確実に吸着させることができるので、装置のコンパクト化を図ることができる。
特開2007−139028号公報(0025段落及び、図1)
しかしながら、上述の電磁クラッチでは、例えば磁性体材料で構成された板部材を絞り加工して凹部を形成すると、曲げ部である凹部の内周側の内部側壁とアーマチャとの対向面との境界部が垂直ではなく、丸みを帯びた形状になりやすく、凹部を上述のように形成することは極めて困難である。このため、切削加工によりロータを製造する必要があり、製造コストが増大するという問題があった。
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、低コストでコンパクトな電磁クラッチを提供することにある。
本発明の第1特徴構成は、駆動モータによって駆動されるウオームホイールと、当該ウオームホイールに連動して回転するアーマチャと、当該アーマチャと同軸心で回転可能なロータと、前記ロータのうち前記アーマチャとの対向面に形成された環状の凹部に収納され、前記ロータに磁力を発生させて、当該磁力により前記ロータと前記アーマチャとを回転軸心に沿って移動吸着させる電磁コイルとを備え、前記ロータが、前記凹部を形成する外周側壁部、底部、及び内周側壁部から成る第1部材と、前記内周側壁部の内周側に圧入されて、前記第1部材を前記回転軸心まわりに回転可能に支持する第2部材とを備え
前記第2部材が、前記アーマチャに対して前記外周側壁部より引退するよう構成され、
前記移動吸着の際に、前記外周側壁部の前記アーマチャに対向する端面が前記アーマチャに当接する点にある。
本構成の如く、ロータを第1部材と第2部材とに分割して構成することにより、絞り加工により環状の凹部を形成した場合であっても、凹部の底部の側が曲げ部となる。このため、ロータのアーマチャとの対向面と凹部の内側側壁との境界を略垂直にして、アーマチャとのエアーギャップを低減することができるので、それほど大きな電磁コイルを用いる必要がない。上述の結果、低コストでコンパクトな電磁クラッチを得ることができる。
また、第1部材を第2部材に圧入するだけの簡単な構成でロータを得ることができる。このため、一層のコスト削減を図ることができる。
本発明の第特徴構成は、前記第1部材が磁性体材料で構成されるとともに、前記第2部材が非磁性体材料で構成されている点にある。
本構成の如く、第1部材と第2部材とを異なる材料で構成することで、特に第2部材につき、加工のし易さや回転軸に固定する際に必要な強度等を考慮して適宜その材質を選択することができる。このため、ロータの製造が容易になり、一層のコスト削減を図ることができる。
本発明に係る電磁クラッチの一実施形態について図面を参照して説明する。本発明に係る電磁クラッチは、例えば自動車のパワースライドドアのアクチュエータA等に適用することができる。
アクチュエータAは、図1、図2及び図3に示すように、ギア側カバー部材91と給電機構側カバー部材92からなるカバー部材9の内部に、駆動モータMの動力を伝達するウオームギア103と、駆動モータMの動力を断続する電磁クラッチ1と、カバー部材9に設けたベアリング101,102によりカバー部材9に対して回転可能に支持されたシャフト100と、このシャフト100と一体回転しスライドドア(図示せず)を開閉させる出力ドラム(図示せず)と、電磁クラッチの断続を制御する制御部Eとを備えて構成される。
駆動モータMの動力がシャフト100に伝達されると、出力ドラムが回転し、スライドドアが開閉される。一方、電磁クラッチ1装置が駆動モータMからの駆動伝達を遮断した場合には、シャフト100及び出力ドラムはホイールギアに対し相対回転可能となり、スライドドアは手動開閉が可能になる。
図3に示すように、電磁クラッチ1は、ウオームギア103と噛合するウオームホイール2と、当該ウオームホイール2に連動して回転するアーマチャ3と、アーマチャ3と同軸心で回転可能なロータ4と、ロータ4に磁力を発生させ当該磁力によりアーマチャ3とロータ4とを回転軸心に沿って移動吸着させる電磁コイル5と、電磁コイル5に対して給電を行う給電機構Sとを備える。
本実施形態では、ボビン50に巻回された電磁コイル5がロータ4に固定され、電磁コイル5とロータ4とが一体的に回転する。
また、この電磁クラッチ1において、ウオームギア103及びアーマチャ3は、シャフト100に対して相対回転自在に支持されている。一方、ロータ4は、シャフト100と伴に一体回転するように支持されている。
上述のアーマチャ3、ロータ4、及び、給電機構Sは円環形状を有し、シャフト100と同心上に配置されている。
図5に示すように、アーマチャ3は、鉄などの磁力により吸着可能な材質で構成されている。また、アーマチャ3は、ウオームホイール2に形成された円弧状の突起部21と係合する円弧状の穴部31を備える。これにより、ウオームホイール2の回転に連動して回転可能であるとともに、シャフト100の軸心方向に沿って、ロータ4に対する近接・離間方向への移動が可能である。
図4に示すように、ロータ4は、電磁コイル5が巻回されたボビン50を収納する環状の凹部41を形成する外周側壁部43、底部45、及び内周側壁部42から成る円環形状の第1部材4aと、当該第1部材4aと嵌合して、第1部材4aをシャフト100と一体回転可能に支持する円板状の第2部材4bとから構成される。
第1部材4aは、電磁コイル5に通電した際に、アーマチャ3に対して磁力による吸着力が発生するように、磁性材料で構成されている。また、図4及び図5に示すように、凹部41の底部45には、後述するボビンの突起部52が挿入される穴部44a及び端子部53が挿入される穴部44bが形成されている。第1部材4aは、例えば、円環板形状の磁性体材料を絞り加工して、外周側壁部43、底部45、及び内周側壁部42を形成することにより得られる。本実施形態では、底部45に対して、内周壁部42及び外周壁部43が、略垂直に延在するように形成されている。
ここで、図3に示すように、外周壁部43が内周壁部42よりも高くなるように加工され、第1部材4aのうち外周壁部43のアーマチャ3と対向する端面43aのみが、アーマチャ3と当接するように構成されている。
一方、第2部材は、シャフト100に固定されるため、強度を考慮して、例えば磁性体材料に比べて高強度の非磁性材料で構成され、中心部にシャフト100を挿入する穴部46が形成されている。
第1部材の内周壁部42の内周に、第2部材4bが圧入され、第1部材4aと第2部材4bとが一体的に組付けられる。ここで、第2部材4bがアーマチャ3に接触するのを防止するように、第2部材4bは、第1部材の外周壁部43に設けたアーマチャに対向する端面43aより引退するように圧入される。これにより、ロータ4のうち、外周壁部の端面43aのみがアーマチャに当接する。
この種の電磁クラッチでは、回転トルクを一定に保つために、アーマチャ3とロータ4との当接部位を一定に保つ必要がある。一方で、ロータ4の全体をアーマチャ3に当接させるよう構成すると、製造誤差や第1部材4aと第2部材4bとの組み付け誤差等により、製品ごとに当接部位が異なり、回転トルクがばらつく可能性がある。そこで、上述のように、ロータ4の外周部近傍の所定領域のみがアーマチャ3と当接するように構成し、アーマチャ3とロータ4との当接部位を限定して回転トルクを一定に保っている。
また、アーマチャ3とロータ4とを周方向において均一に当接させる必要があり、ロータ4のアーマチャとの当接部位には研磨加工が施される。このとき、アーマチャとの当接部位が端面43aのみであるので、研磨加工が必要な部位を減少させることができ、製造コストを削減することができる。
図5に示すように、ボビン50は、樹脂製で円環形状を有し、外周部の両側の端部に沿ってフランジ部が立設され、両フランジ部の間に電磁コイル5が巻回される。本実施形態では、ボビン50は、凹部41の形状に合わせて、周方向に垂直な方向の断面視でテーパ形状を有している。
また、前記対向面の裏面には、ボビン50をロータ4に固定する突起部52及び、電磁コイル5に電力を供給する端子部53が設けられている。
図5に示すように、ロータ4の凹部41に電磁コイル5を巻回したボビン50が収納される。このとき、ボビン50の突起部52が凹部41の底部44に形成された穴部44aに挿入されるとともに、端子部53が、凹部41の底部44に形成された穴部44bに挿入されて、電磁コイル5がロータ4に一体回転可能に固定される。突起部52及び端子部53は、穴部44a,44bを介してロータ4の裏面から突出して延在する。
この電磁クラッチ1において、電磁コイル5への通電を行っていない場合には、アーマチャ3はロータに吸着されていない。したがって、アーマチャ3とロータ4とが摺動して、互いに相対回転可能である。
一方、図4(b)に示すように、電磁コイル5への通電を行っている場合には、電磁コイルからの電磁力により、ロータ4にアーマチャ3が吸着される。この状態で、アーマチャ3とロータ4の外周壁部43の端面43aとが吸着し、アーマチャ3とロータ4とが一体回転可能となり、駆動モータMからの動力がロータ4に伝達される。
上述のように、ロータを第1部材4aと第2部材4bとに分割して構成することで、環状の凹部41を絞り加工により形成した場合であっても、凹部41の底部44の側が曲げ部となり、アーマチャ3との対向面の側が曲げ部となることはない。このため、アーマチャ3との対向面である端面42a,43aと凹部41の内部側面とが略垂直な状態になり、ロータ4とアーマチャ3との間のエアーギャップを低減することができる。この結果、それほど大きな電磁コイルを用いる必要がないので、電磁クラッチ1をコンパクトにすることができる。
次に、電磁コイル5への給電を行う給電機構Sの一例について説明する。この給電機構Sにおいて、図3に示すように、制御部E(図1を参照)を介して電源(図示せず)に電気的に接続されたスリップリング87,88と、電磁コイル5に電気的に接続されたブラシ部材76とを接触させることによって、電磁コイル5への電力の供給が行われる。つまり、電磁コイル5(ロータ4)の回転に伴い、ブラシ部材76がスリップリング87,88の上を摺動することにより、電磁コイル5(ロータ4)の回転位相に拘らず電磁コイル5に電力が供給される。
図6に示すように、この給電機構Sは、上述のスリップリング87,88及びブラシ部材76に加えて、スリップリング87,88を固定するスリップリング固定部材8、及び、ブラシ部材76を固定するブラシ固定部材7等を備える。スリップリング固定部材8とブラシ固定部材7とは、スリップリング87,88とブラシ部材76とを対向させた状態で、互いに相対回転可能であるとともに、軸方向の抜止めがされてユニット化される。
図6に示すように、スリップリング固定部材8のブラシ固定部材7との対向面には、同心上に配置された二つの環状の凹部83,84が形成され、夫々の凹部83,84にスリップリング87,88が固定される。夫々の凹部83,84の側部には、スリップリング87,88の爪部87a,88aを挿入する円弧状のスリット83b,84bが形成されている。本実施形態では、小径の凹部83の内周側にスリット83bが形成され、大径の凹部84の外周側にスリット84bが形成されている。これらスリット83b,84bは、夫々ブラシ固定部材7との対向面の側に開口する開口部83a,84aと連通するとともに、対向面の裏面にも連通する。また、対向面の側には、スリップリング固定部材8の内周に沿って内周壁部81が形成され、外周に沿って外周壁部82が形成されている。内周壁部81の外周面及び外周壁部82の内周面には、ブラシ固定部材7との間の抜けを防止するための円弧形状の複数の抜止突起81a,82aが周方向に沿って形成されている。
一方、対向面の裏面側には、給電機構側カバー部材92に形成された穴部92aに係合する係合部86及び給電機構側カバー部材92に形成された穴部92eに挿入されて給電機構Sの回転方向の位相決めをする位相決め突起85が形成されている。
図6に示すように、ブラシ固定部材7のスリップリング固定部材8との対向面には、ブラシ部材76を取り付ける固定部74が形成されている。固定部74は、ブラシ固定部材7の径方向に延在するスリット74a、このスリット74aの径方向内側端部近傍に周方向に沿って延在するスリット74bを有する。また、この固定部は、スリット74aの径方向外側端部の近傍に周方向に延在して設けられた突起部74d及び、スリット74aに対向して径方向に延在して設けられた突起部74cを有する。また、固定部74の近傍に、後述するブラシ部材76の端子部76bが挿入される穴部75が形成されている。夫々のブラシ部材76に対応して固定部74及び穴部75が形成されている。
また、図6に示すように、ブラシ固定部材7には、内周壁部72及び外周壁部73が形成されている。内周壁部72の内周側及び外周壁部73の外周側には、ブラシ固定部材7とスリップリング固定部材8との間で軸方向の抜止めをする環状の抜止突起72a,73aが形成されている。
さらに、図8に示すように、ブラシ固定部材7の前記対向面の裏面には、ロータ4を一体回転可能に保持する凹状のロータ保持部71が形成されている。
ブラシ部材76は、導電性の弾性材料で形成され、スリップリング87,88に接触するブラシ部76a、コイルボビン50に形成された端子部53に接触する端子部76b、及びブラシ固定部材7に取り付けられる被固定部76cを備える。
また、この給電機構Sは、スリップリングとして小径のスリップリング87と大径のスリップリング88の2つのスリップリングを備える。これら二つのスリップリング87,88が同心状に配置されて一方が電源の一方の極に接続され、他方が他方の極に接続される。これらのスリップリング87,88は、導電性を有する弾性材料で形成され、ブラシ部材76が摺接する環状部と、当該環状部から径方向に突出する爪部87a,88aとを備える。爪部87a,88aは、周方向に沿って複数(本実施形態では3つ)設けられ、これらのうち一つの爪部87a,88aには、端子部87b,88bが、当該爪部87a,88aの先端部を屈曲して形成されている。これら端子部87b,88bは、後述する導電部材92cを介して電源と電気的に接続される。また、本実施形態では、大径のスリップリング88では外径側に爪部88aが形成され、小径のスリップリング87では爪部87bが内径側に形成されている。
次に、給電機構Sの組付けについて説明する。
先ず、スリップリング固定部材8へのスリップリングの取り付けについて説明する。図6に示すように、スリップリング87,88の爪部87a,88aを、上方から開口部83a,84aに挿入し、スリップリング87,88を回転させることにより、爪部87a,88aがスリット83b,84bに挿入される。このとき、爪部87a,88aを折り返して形成した端子部87b,88bがスリットから裏面の側へ突出する。
なお、スリップリング87,88は、スリップリング固定部材8にインサート成形にて固定してもよい。
次に、ブラシ固定部材7へのブラシ部材76の取り付けについて説明する。図6に示すように、被固定部76cをスリット74a及び突起部74cに沿って径方向外側から径方向内側に向かってスライド移動させ、被固定部76cの径方向内側端面部をスリット74bに係合させる。また、被固定部76cの弾性変形により被固定部76cの径方向外側端部に突起部74dを乗り越えさせて、被固定部76cの端面と突起部74dの端面とを当接させる。これにより、スリット74a及び突起部74cにより被固定部76cの周方向の移動が規制され、スリット74bと突起部74dにより被固定部76cの径方向の移動が規制され、ブラシ固定部材7にブラシ部材76が取り付けられる。この状態で、図8に示すように、端子部76dが穴部75に挿入され、ロータ保持部71の側に突出する。
なお、ブラシ部材76は、ブラシ固定部材7にインサート成形にて固定してもよい。
次に、ブラシ固定部材7とスリップリング固定部材8との組み付けについて説明する。 図6に示すように、ブラシ固定部材7をスリップリング固定部材8の内周壁部81と外周壁部82との内部へ挿入することにより、ブラシ固定部材7とスリップリング固定部材8とがユニット化される。ここで、ブラシ固定部材7の抜止突起72aと抜止突起73aとの間隔が、スリップリング固定部材8の抜止突起81aと抜止突起82aとの間隔よりやや大きく設定されている。樹脂の弾性変形により抜止突起72aと抜止突起81aと及び抜止突起73aと抜止突起82aとを互いに乗り越えさせる。これにより、図7及び図8に示すように、ブラシ部材76のブラシ部をスリップリング87,88に接触させた状態で、ブラシ固定部材7とスリップリング固定部材8とがユニット化される。
ブラシ固定部材7とスリップリング固定部材8とは、相対回転可能である一方、軸方向の移動が制限される。従って、ブラシ固定部材7とスリップリング固定部材とは、ブラシ部材76の付勢力により、互いに離間する方向に付勢されるが、抜止突起72a,73aと抜止突起81a,82aとにより抜けが防止される。
ここで、図7に示すように、ブラシ部材76のブラシ部76aが、スリップリング87,88の同一の直径上に配置されるように構成するとよい。このように構成することにより、ブラシ部材76による付勢力を周方向に略均一に伝えることができ、ブラシ固定部材7とスリップリング固定部材8との相対回転が滑らかになる。
上述のようにユニット化された給電機構Sは、電磁クラッチ1に組み付けられる。図8に示すように、給電機構Sのスリップリング固定部材8が、給電機構側カバー部材92の内部に取り付けられる。給電機構側カバー部材92の内部には、溝部92bが形成され、この溝部92bには、給電機構側カバー部材92の外部の端子部92dから延在する導電部材92cが設けられている。
スリップリング固定部材8に形成されて係合部が給電機構側カバー部材92に形成された穴部92aに係合して、スリップリング固定部材8が固定される。このとき、スリップリング固定部材8に形成された位相決め突起85が給電機構側カバー部材92に形成された穴部92eに挿入されることにより、導電部材92cとスリップリング87,88の端子部87b、88bとの回転位相とが一致する。これにより、導電部材92cとスリップリング87,88とが互いに接触し、電気的に接続される。
また、図3に示すように、給電機構Sのブラシ固定部材7の側のロータ保持部71にロータ4が固定される。このとき、ロータ4から突出する突起部52が穴部71aに挿入されて、ブラシ固定部材7とロータ4とが一体回転可能に固定される。また、ロータ4から突出する端子部53が、穴部75aに挿入されて、端子部53とブラシ部材76の端子部76bとが電気的に接続される。
給電機構Sのうち、スリップリング固定部材8は、給電機構側カバー部材92に固定されるとともに、ブラシ固定部材7はロータ4と一体回転可能である。これにより、ロータ4の回転時には、ブラシ部材76がスリップリング87,88上を摺動して、電磁コイル5に電力が供給される。
上述したように、スリップリング固定部材8とブラシ固定部材7とは、軸方向に所定範囲で相対移動可能である。従って、相対移動により、装置全体の組み付け誤差を吸収する。一方、ブラシ部材76は、弾性材料で構成されているので、スリップリング87,88に押し付けられることにより、スリップリング固定部材8とブラシ固定部材7とを、互いに離間する方向に付勢する。これにより軸方向のガタが防止される。
[別実施形態]
(1)上述の実施形態において、ロータのうち外周壁部43の端面43aのみがアーマチャ3に当接する例を説明した。しかし、上述の実施形態に限られるものではなく、例えば外周壁43の端面43a及び内周壁42の端面42aの両方が、アーマチャ3に当接する等の構成であってもよい。
(2)上述の実施形態において、ロータ4とアーマチャ3との間に、一方がロータ4及びアーマチャ3のうち何れか一方の側に固定され、他方がロータ4及びアーマチャ3のうち何れか他方の側に摺接して、ロータ4とアーマチャ3とを離間させる方向に付勢する弾性部材を介装してもよい。弾性部材を設けて、電磁コイルへ通電を行わない場合には、ロータ4とアーマチャ3とを離間せせることにより、ロータ4とアーマチャ3との相対回転の際の空転トルクを低減することができる。また、ロータ4とアーマチャ3とが摺動することによって発生する音を低減することができる。
(3)給電機構Sは、上述のものに限られるものではなく、例えばロータ4に直接、ブラシ部材76を設け、給電機構側カバー部材92に直接、スリップリング87,88を設けるなど上述以外の構造であってもよい。また、ブラシ部材76及びスリップリング87,88の取り付け構造についても、上述の構成に限られるものではなく、例えばビスによる固定など上述以外のものであってもよい。
また、ハーネスを用いた給電機構など、ブラシ部材76及びスリップリング87,88を用いた給電機構S以外の給電機構であってもよい。
(4)上述の実施形態では、本発明に係る電磁クラッチ1を、自動車のパワースライドドアのアクチュエータAに適用したが、この電磁クラッチ1は、自動車のパワースライドドアのアクチュエータA以外にも適用可能である。
本発明に係る電磁クラッチを適用したアクチュエータを示す正面図 本発明に係る電磁クラッチを適用したアクチュエータを示す側面図 本発明に係る電磁クラッチを適用したアクチュエータを示す断面図 第1部材及び第2部材の詳細を示す斜視図 本発明に係る電磁クラッチの分解斜視図 給電機構の分解斜視図 ブラシ部材とスリップリングとの当接状態を示す図 給電機構の組み付けを示す図
1 電磁クラッチ
2 ウオームホイール
3 アーマチャ
4 ロータ
4a 第1部材
4b 第2部材
41 凹部
42 内周壁部
43 外周壁部
44 底部
5 電磁コイル
M 駆動モータ

Claims (2)

  1. 駆動モータによって駆動されるウオームホイールと、
    当該ウオームホイールに連動して回転するアーマチャと、
    当該アーマチャと同軸心で回転可能なロータと、
    前記ロータのうち前記アーマチャとの対向面に形成された環状の凹部に収納され、前記ロータに磁力を発生させて、当該磁力により前記ロータと前記アーマチャとを回転軸心に沿って移動吸着させる電磁コイルとを備え、
    前記ロータが、前記凹部を形成する外周側壁部、底部、及び内周側壁部から成る第1部材と、前記内周側壁部の内周側に圧入されて、前記第1部材を前記回転軸心まわりに回転可能に支持する第2部材とを備え
    前記第2部材が、前記アーマチャに対して前記外周側壁部より引退するよう構成され、
    前記移動吸着の際に、前記外周側壁部の前記アーマチャに対向する端面が前記アーマチャに当接する電磁クラッチ。
  2. 前記第1部材が磁性体材料で構成されるとともに、前記第2部材が非磁性体材料で構成されている請求項に記載の電磁クラッチ。
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