JP5176719B2 - 交流モータ - Google Patents
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Description
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、電源を切った際に、コギングトルクを利用して機械的な位置を保持できる交流モータを提供することにある。
本発明の交流モータは、円周方向にN極とS極とに交互に着磁された複数の永久磁石を有するロータと、円周方向に所定の間隔を有して複数配置されるU相ステータ磁極と、円周方向にU相ステータ磁極とは異なる位置で所定の間隔を有して複数配置されるV相ステータ磁極と、円周方向にU相ステータ磁極およびV相ステータ磁極とは異なる位置で所定の間隔を有して複数配置されるW相ステータ磁極と、少なくともU相ステータ磁極とV相ステータ磁極との間を通って円周方向に環状に形成された第1のループ状巻線と、少なくともV相ステータ磁極とW相ステータ磁極との間を通って円周方向に環状に形成された第2のループ状巻線とを備え、U相ステータ磁極と前記W相ステータ磁極は、前記V相ステータ磁極に対し、それぞれ円周方向に電気角で120度より大きく、且つ、180度より小さい位相差を有して配置されると共に、V相ステータ磁極に対し軸方向の一方側と他方側とにずれて配置されていることを特徴とする。
上記の構成によれば、U相、W相ステータ磁極をV相ステータ磁極に対し軸方向にずらして配置することにより発生する電気角180周期のコギングトルクに対して、U相、W相ステータ磁極をV相ステータ磁極に対し円周方向の位相差が電気角で120度より大きく、且つ、180度より小さくなるように配置することで、同位相のコギングトルクを発生させることができる。この相乗効果により、大きなコギングトルクを発生することができ、このコギングトルクを利用して、電源を切った際に、モータの機械的な位置を保持できる。
請求項1に記載した交流モータにおいて、U相ステータ磁極とW相ステータ磁極は、軸方向の端部から軸方向の中央部に近づくにつれて、円周方向の磁極幅が狭くなっていることを特徴とする。
U相、W相ステータ磁極をV相ステータ磁極に対し円周方向に電気角で120度より大きい、または120度より小さい位相差を有して配置した場合、円周方向に隣り合うステータ磁極同士が接近もしくは接触する恐れがある。これに対し、本発明のU相、W相ステータ磁極は、軸方向の端部から軸方向の中央部に近づくにつれて、円周方向の磁極幅を狭くすることにより、円周方向に隣り合うステータ磁極同士の接近もしくは接触を抑制できる。その結果、V相ステータ磁極に対するU相、W相ステータ磁極の円周方向への位相差を電気角で120度に対し、より大きく、もしくは、より小さくすることが出来る。
請求項1または2に記載した交流モータにおいて、U相ステータ磁極とW相ステータ磁極は、V相ステータ磁極に対して、軸方向の端部側より軸方向の中央部側の方が、それぞれ、円周方向への位相差が電気角で120度に近くなる形状を有することを特徴とする。 この場合、U相、W相ステータ磁極をV相ステータ磁極に対し円周方向に電気角で120度より大きい、または120度より小さい位相差を有して配置することによる、円周方向に隣接するステータ磁極同士の接近もしくは接触を抑制できる。これにより、V相ステータ磁極に対するU相、W相ステータ磁極の円周方向への位相差を電気角で120度に対し、より大きく、もしくは、より小さくすることが出来る。
図1は交流モータ1の基本構成を示す縦断面図、図2はロータ5の周方向展開図、図3は交流モータ1の分解斜視図、図4はロータ5側から見たステータ磁極60u、60v、60wとステータ巻線7(7a、7b)の周方向展開図である。
先ず、交流モータ1の基本構成について説明する。
交流モータ1は、図1に示す様に、ケース2に軸受3を介して回転自在に支持される回転軸4と、この回転軸4に支持されるロータ5と、このロータ5の径方向外側に配置され、且つ、ケース2に固定されるステータ6等より構成される。
ステータ6は、図3に示す様に、互いに独立して設けられるU相、V相、W相のステータ磁極群6U、6V、6Wと、2個のステータ巻線7(7a、7b)とで構成される。
ステータ磁極群6U、6V、6Wは、それぞれ、円周方向に等間隔に配置される4個のステータ磁極60u、60v、60wを有し、各相のステータ磁極60u、60v、60wが、それぞれ円周方向にずれた位置で組み合わされている。なお、特許文献1に示される交流モータは、各相ステータ磁極60u、60v、60wが電気角で120度間隔に配置されている。
実施例1に係る交流モータ1は、図5に示す様に、V相ステータ磁極60vに対し、U相、W相ステータ磁極60u、60wが、それぞれ円周方向に電気角で120度より小さい(または120度より大きくても良い)位相差を有して配置されている。言い換えると、U相、W相ステータ磁極60u、60wは、V相ステータ磁極60vに対する円周方向への位相差が電気角で120度(均等)にならない様に配置されている。この場合、各相ステータ磁極60u、60v、60wが円周方向に不当間隔に配置されるため、各相ステータ磁極60u、60v、60wの発生トルクに不均等さが生じて、電気角180度周期のコギングトルクが発生する。
実施例2に係る交流モータ1は、以下のa)、b)に記載する特徴(図6参照)を備えている。
a)U相、W相ステータ磁極60u、60wは、V相ステータ磁極60vに対し、それぞれ軸方向(図示上下方向)の一方側と他方側とにずらして配置されている。
b)U相、W相ステータ磁極60u、60wは、V相ステータ磁極60vに対し、それぞれ円周方向に電気角で120度より大きく、且つ、180度より小さい位相差を有して配置されている。
なお、U相、W相ステータ磁極60u、60wをV相ステータ磁極60vに対し、円周方向への位相差が電気角で120度より大きく、且つ、180度より小さくすることで発生するコギングトルクを、実際の製造時の公差ばらつきがあっても大きくできるようにするためには、V相ステータ磁極60vに対するU相、W相ステータ磁極60u、60wの円周方向への位相差を電気角で125度以上とすることが望ましい。
実施例2に記載した様に、U相、W相ステータ磁極60u、60wを、V相ステータ磁極60vに対して軸方向の一方側と他方側とにずらして配置した場合、U相、W相ステータ磁極60u、60wは、軸方向の端部側が円周方向に他相のステータ磁極と重ならない。例えば、W相ステータ磁極60wを見た場合に、軸方向の端部側では、周方向に隣り合うW相ステータ磁極60w同士の間(図示W0)に、他相(V相、U相)のステータ磁極60v、60uが入り込んでいない。これは、U相ステータ磁極60uにも同じことが言える。すなわち、U相ステータ磁極60uの軸方向の端部側では、周方向に隣り合うU相ステータ磁極60u同士の間に、他相(W相、V相)のステータ磁極60w、60vが入り込んでいない。
これにより、U相、W相ステータ磁極60u、60wをV相ステータ磁極60vに対する円周方向への位相差が電気角で120度とならない様に配置した場合でも、円周方向に隣接するステータ磁極同士の接近もしくは接触を抑制できる。また、U相、W相ステータ磁極60u、60wをV相ステータ磁極60vに対する円周方向への位相差を電気角で120度に対して、より大きく、もしくは、より小さくすることができる。
また、U相、W相ステータ磁極60u、60wをV相ステータ磁極60vに対する円周方向への位相差を電気角で120度に対して、より大きく、もしくは、より小さくすることができる。
U相、W相ステータ磁極60u、60wをV相ステータ磁極60vに対して軸方向にずらして配置する場合、U相、W相ステータ磁極60u、60wの軸方向端部側は、円周方向に隣接する他相ステータ磁極と重ならないため、円周方向の位置によらず、隣接する他相ステータ磁極と接触することはない。そこで、図10および図11に示す様に、U相、W相ステータ磁極60u、60wは、軸方向端部側に対して軸方向中央部側の方が、V相ステータ磁極60vに対する円周方向への位相差が電気角で120度に近くなる形状とする。
これに対し、U相ステータ磁極60uが実線で示される形状の場合は、U相ステータ磁極60uの軸方向端部側の中心位置が、破線で示される形状より図示右側にずれているため、V相ステータ磁極60vの中心からU相ステータ磁極60uの軸方向中央部側の中心までの周方向の距離aより、V相ステータ磁極60vの中心からU相ステータ磁極60uの軸方向端部側の中心までの周方向の距離cの方が大きくなる。つまり、U相ステータ磁極60uの形状は、V相ステータ磁極60vに対する円周方向の位相差が、軸方向中央部側では電気角で120度に近く、軸方向端部側では電気角で120度より大きくなっている。
以上、磁極形状の変更について実施例1〜4を挙げて説明したが、実際の適用にあたっては、モータ1の体格、極数、使用用途、制約条件などを踏まえて、本発明の中で示す技術の組み合わせのうち、最適なものを選択することになる。また、最適な技術を組み合わせることにより、性能向上の効果が大きく得られる。
本発明のモータ1は、磁極形状の工夫によって、従来モータに存在するコイルエンドと呼ばれる巻線の軸方向のはみ出しを低減、もしくは無くすことが出来るという特徴を有しており、特に、薄型のモータにおいて大きなメリットを発揮できる。
実施例1では、ロータ5がステータ6の内側に位置するインナロータ型の交流モータ1について説明したが、ロータ5がステータ6の外側に位置するアウタロータ型の交流モータ1についても本発明を適用できる。アウタロータ型の場合は、薄型に構成しやすく、巻線を短くでき、且つ、ロータ5の外径を大きくできる等の特徴があり、本モータ1の優位性をさらに向上できる。
また、図12に示す様に、クローポール型のステータ磁極60u、60v、60wを設けることにより、ステータ巻線7を蛇行の無い、もしくは蛇行の小さい環状にすることが可能であり、U相、W相ステータ磁極60u、60wをV相ステータ磁極60vに対する円周方向への位相差が電気角で120度とならない様に配置することを、巻線スロットの面積を減少させることなく実施できる。また、軸方向への突出部は、圧粉磁心のプレス成形や、鋼板の曲げ加工、冷間鍛造などで形成することができる。
5 ロータ
5b 永久磁石
7a 第1のループ状巻線
7b 第2のループ状巻線
60u U相ステータ磁極
60v V相ステータ磁極
60w W相ステータ磁極
Claims (3)
- 円周方向にN極とS極とに交互に着磁された複数の永久磁石を有するロータと、
円周方向に所定の間隔を有して複数配置されるU相ステータ磁極と、
円周方向に前記U相ステータ磁極とは異なる位置で所定の間隔を有して複数配置されるV相ステータ磁極と、
円周方向に前記U相ステータ磁極および前記V相ステータ磁極とは異なる位置で所定の間隔を有して複数配置されるW相ステータ磁極と、
少なくとも前記U相ステータ磁極と前記V相ステータ磁極との間を通って円周方向に環状に形成された第1のループ状巻線と、
少なくとも前記V相ステータ磁極と前記W相ステータ磁極との間を通って円周方向に環状に形成された第2のループ状巻線とを備え、
前記U相ステータ磁極と前記W相ステータ磁極は、前記V相ステータ磁極に対し、それぞれ円周方向に電気角で120度より大きく、且つ、180度より小さい位相差を有して配置されると共に、前記V相ステータ磁極に対し軸方向の一方側と他方側とにずれて配置されていることを特徴とする交流モータ。 - 請求項1に記載した交流モータにおいて、
前記U相ステータ磁極と前記W相ステータ磁極は、軸方向の端部から軸方向の中央部に近づくにつれて、円周方向の磁極幅が狭くなっていることを特徴とする交流モータ。 - 請求項1または2に記載した交流モータにおいて、
前記U相ステータ磁極と前記W相ステータ磁極は、前記V相ステータ磁極に対して、軸方向の端部側より軸方向の中央部側の方が、それぞれ、円周方向への位相差が電気角で120度に近くなる形状を有することを特徴とする交流モータ。
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