JP5176086B2 - ポリロタキサン含有自動車用着色プラスチック - Google Patents

ポリロタキサン含有自動車用着色プラスチック Download PDF

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Description

本発明は、ポリロタキサンを含有する自動車用の着色プラスチックに係り、更に詳細には、ポリロタキサンを含有し耐擦傷性に優れる自動車用着色プラスチックに関する。
本発明の着色プラスチックは、主として、ラジエターグリルやリヤコンビランプハウス等の自動車部品であって、特に耐擦傷性が要求される部品に好適に用いられる。
従来、ポリカーボネートやアクリル板等の樹脂成型品は、硬度、耐候性、耐汚染性及び耐溶剤性等の諸物性に欠けるため、これらの物性を補うべく通常は表面処理が施される。
かかる表面処理としては、常乾型塗料や2液ウレタン塗料等の硬化型塗料を用いるが、得られる処理膜には傷が付きやすく、付いた傷は目立ち易い。
また、意匠性を付与ないし向上する手法として、メッキ、蒸着及びスパッタリングの如き金属鏡面処理が行われるが、このような金属鏡面処理を行うと、得られる処理膜には傷が付きやすく、付いた傷は目立ち易い。
一方、近年では、自動車用部品についても、新車時の外観を長期間保持できる高耐久化指向が強まってきており、洗車機や砂塵等によっても傷の付かない耐擦傷性が求められている。
これに対し、満足し得る十分な耐擦傷性を有するプラスチック材料は知られておらず、このため、プラスチック部品を耐擦傷性を有する塗料で塗装することが行われており、かかる耐擦傷性を有する塗料としては、紫外線(UV)硬化型塗料、電子線エネルギー(EB)硬化型塗料、シリカ系ハードコート剤や2液型アクリルウレタン系軟質塗料など知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特公平6−43572号公報
しかしながら、上述のUV硬化型塗料、EB硬化型塗料、シリカ系ハードコート剤では、高硬度にするための硬質モノマーの使用や、架橋密度を高めることによる硬化収縮時の歪みの増大により、プラスチック素材への密着性が低下したり、クラックが発生するという問題を生じ易い。
一方、上述の2液型アクリルウレタン系軟質塗料には、チッピングやクラックの問題はないが、タック感が残る場合が多く、耐候性や耐汚染性に劣るという欠点を有する。
更に、上述の如き耐擦傷性等の品質を確保するために行う表面処理は、製品を完成させるまでの工程が長くなり、特に塗装設備のない工場では設備費も必要になる。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、塗装のような表面処理を行うことなく、優れた耐擦傷性や耐チッピング性を有する自動車用着色プラスチックを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、疎水性を有する所定のポリロタキサンを用いることにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の自動車用着色プラスチックは、疎水性ポリロタキサンを含有するものであり、この疎水性ポリロタキサンは、環状分子と、この環状分子を串刺し状に包接する直鎖状分子と、この直鎖状分子の両末端に配置され上記環状分子の脱離を防止する封鎖基とを有し、上記直鎖状分子及び環状分子の少なくとも一方が疎水性を有するものであって、
上記環状分子がシクロデキストリンであり、当該シクロデキストリンの水酸基の一部又は全部が修飾基で修飾され、
この修飾基が、−O−C −O−基と結合した、カプロラクトンによる修飾基である(−CO(CHOH)基を有するものである。
更にまた、本発明の自動車用着色プラスチックの更に他の好適形態は、上記疎水性ポリロタキサンの環状分子の包接量が、上記直鎖状分子が環状分子を包接する最大量である最大包接量を1とすると、0.06〜0.61であることを特徴とする。
また、本発明の自動車用着色プラスチックの他の好適形態は、上記疎水性ポリロタキサンの直鎖状分子がポリカプロラクトンであることを特徴とする。
本発明によれば、疎水性を有する所定のポリロタキサンを用いることとしたため、塗装のような表面処理を行うことなく、優れた耐擦傷性や耐チッピング性を有する自動車用着色プラスチックを提供することができる。
以下、本発明の自動車用着色プラスチックにつき詳細に説明する。なお、本明細書において、「%」は特記しない限り質量百分率を表すものとする。
上述の如く、本発明の自動車用着色プラスチックは、特定の疎水性ポリロタキサンを含むものである。
また、この疎水性ポリロタキサンは、環状分子と、この環状分子を串刺し状に包接する直鎖状分子と、この直鎖状分子の両末端に配置され上記環状分子の脱離を防止する封鎖基とを有するもの(ポリロタキサン)であり、更に、上記直鎖状分子及び環状分子の少なくとも一方が疎水性を有するものである。
このように、本発明の骨子となる疎水性ポリロタキサンは、ポリロタキサンのうちでも、原則として、(イ)疎水性の直鎖状分子と親水性の環状分子若しくは疎水性の環状分子との組合せ、又は(ロ)親水性の直鎖状分子と疎水性の環状分子の組合せに係るものであるが、ポリロタキサン全体として疎水性を呈すれば十分である。
なお、環状分子に疎水性を付与するには、(1)水酸基を有する環状分子の当該水酸基の全部又は一部を疎水性の修飾基で修飾すればよく、(2)直鎖状分子に疎水性を付与するには、特定の直鎖状分子を選定すればよい。また、(3)直鎖状分子が環状分子を包接する量を制御することによっても、当該ポリロタキサン全体を疎水化することができる。
図1は、ポリロタキサンの基本構造を概念的に示す模式図である。
同図において、このポリロタキサン5は、直鎖状分子6と、複数個の環状分子7と、直鎖状分子6の両末端に配置された封鎖基8を有し、直鎖状分子6が環状分子7の開口部を貫通して環状分子7を包接している。
このような構造を有するポリロタキサンは、外力が加わった場合に、環状分子7が直鎖状分子6に沿って自由に移動する(滑車効果)ことから、伸縮性や粘弾性に優れ、クラックや傷が生じ難いという優れた特性を有している。
本発明においては、環状分子7及び直鎖状分子6の一方又は双方が疎水性を有し、全体として疎水性を示す疎水性ポリロタキサン、代表的には、環状分子7が水酸基を有し、これら環状分子の水酸基の全部又は一部が疎水性修飾基7aで修飾されたポリロタキサンや、疎水性の直鎖状分子を有するポリロタキサンを使用するようにしており、当該疎水性ポリロタキサンは、後述するポリロタキサン以外の着色樹脂との相溶性に優れるので、両者を混合可能であり、得られる混合樹脂を樹脂成形に供することができる。
上述のように、疎水性ポリロタキサンと他の着色樹脂を混合すると、両者が架橋ないしは擬似架橋するものと推察され、従って、本発明の自動車用着色プラスチックは、両者の架橋物や擬似架橋物を含んでいると推察される。
図2は、疎水性ポリロタキサンと着色樹脂との架橋構造を概念的に示す部分概念図である。同図において、両者の架橋により生成する架橋ポリロタキサン1は、着色樹脂3、3’と上記疎水性ポリロタキサン5を有する。そして、この架橋ポリロタキサン1は、環状分子7を介して架橋点9によって着色樹脂3及び着色樹脂3’と結合している。
このような構造を有する架橋ポリロタキサン1に対し、図2(A)の矢印X−X’方向の変形応力が負荷されると、架橋ポリロタキサン1は、図2(B)に示すように変形して当該応力を吸収することができる。
即ち、図2(B)に示すように、環状分子7は滑車効果によって直鎖状分子6に沿って移動可能であるため、架橋ポリロタキサン1は上記応力をその内部で吸収可能である。
従って、かかる架橋ポリロタキサンを含有する本発明の自動車用着色プラスチックは、伸縮性や粘弾性に優れ、クラックや傷が生じ難いという性質を有する。
一方、上記疎水性ポリロタキサンと着色樹脂とが架橋しない場合であっても、両者は相互に接近して、ファンデルワールス力などによる擬似架橋を生じ、一体として組成物ないしは化合物として挙動するものと考えられる。
このような場合でも、少なくとも疎水性ポリロタキサンが上述の滑車効果を発揮するので、本発明の自動車用着色プラスチックは、上記同様に伸縮性や粘弾性に優れ、クラックや傷が生じ難いという性質を有するものである。
以下、本発明の自動車用着色プラスチックに用いる疎水性ポリロタキサンについて具体的に説明する。
本発明において、疎水性を示す修飾基は、疎水基又は疎水基と親水基を有し、全体として疎水性であればよい。
かかる疎水基としては、例えば、アルキル基、ベンジル基(ベンゼン環)及びベンゼン誘導体含有基、アシル基、シリル基、トリチル基、硝酸エステル基、トシル基などがある。
かかる親水基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、アミノ基(一級〜三級)、四級アンモニウム塩基、ヒドロキシアルキル基などがある。
上記疎水性ポリロタキサンにおける環状分子としては、直鎖状分子に包接されて滑車効果を奏するものである限り、特に限定されるものではなく、種々の環状物質を挙げることができる。なお、環状分子は水酸基を有するものが多い。
また、環状分子は実質的に環状であれば十分であって、「C」字状のように、必ずしも完全な閉環である必要はない。
更に、環状分子としては、反応基を有するものが好ましく、これによって上述した疎水性修飾基などとの結合が行い易くなる。
このような反応基としては、環状分子の水酸基と結合した化合物由来の残基であって、例えば水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、チオール基、アルデヒド基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。なお、反応基としては、後述する封鎖基を形成する(ブロック化反応)際に、この封鎖基と反応しない基が好ましい。
また、本発明に用いる上記疎水性ポリロタキサンにおける上記環状分子の疎水性修飾基による修飾度については、環状分子の有する水酸基が修飾され得る最大数を1とするとき、0.02以上であることが好ましく、0.04以上であることがより好ましく、0.06以上であることが更に好ましい。
上記修飾度が0.02未満では、着色樹脂との相溶性が十分なものとならず、分離を生ずることがある。
なお、環状分子の水酸基が修飾され得る最大数とは、修飾する前に環状分子が有していた全水酸基数を意味する。また、修飾度とは、換言すれば、修飾された水酸基数の全水酸基数に対する比のことである。
更に、上記ポリロタキサンが複数個の環状分子を有する場合、これら環状分子それぞれの水酸基の全部又は一部が疎水性修飾基によって修飾されている必要はない。言い換えると、ポリロタキサン全体として疎水性を示す限り、疎水性修飾基によって修飾されていない水酸基を有する環状分子が部分的に存在したとしても何ら差し支えない。
上記疎水性修飾基の導入方法としては、以下の方法を採用できる。
一例としては、例えば、ポリロタキサンの環状分子としてシクロデキストリンを用い、当該シクロデキストリンの水酸基をプロピレンオキシドを用いてヒドロキシプロピル化し、その後、ε‐カプロラクトンを添加し、2‐エチルへキサン酸スズを添加する。このときのε‐カプロラクトンの添加量を変更することで修飾率を任意に制御できる。
上記疎水性ポリロタキサンにおいて、直鎖状分子に包接される環状分子の個数(包接量)については、直鎖状分子が環状分子を包接し得る最大包接量を1とするとき、0.06〜0.61が好ましく、0.11〜0.22が更に好ましい。なお、この包接量を0.06〜0.17とすれば、上記環状分子の修飾や後述する直鎖状分子の選定とは別個に、対象とするポリロタキサンに疎水性を付与できる。
この比が0.06未満では滑車効果が不十分となって塗膜の伸び率が低下することがある。0.61を超えると、環状分子が密に配置され過ぎて環状分子の可動性が低下し、同様に着色プラスチックの伸び率が不十分となって耐擦傷性が劣化する傾向がある。
また、環状分子の包接量は、以下のようにして制御することができる。
一例としては、DMF(ジメチルホルムアミド)に、BOP試薬(ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム・ヘキサフルオロフォスフェート)、HOBt、アダマンタンアミン、ジイソプロピルエチルアミンを、この順番で添加し溶液とする。一方、DMF/DMSO(ジメチルスルホキシド)混合溶媒に、直鎖状分子に環状分子が串刺された包接錯体を分散させた溶液を得る。これら両者を混合し、このときのDMF/DMSOの混合比率を変更することで、環状分子の包接量を任意に制御できる。なお、DMF/DMSO比が高いほど環状分子の包接量は大きくなる。
上記環状分子の具体例としては、種々のシクロデキストリン類、例えばα−シクロデキストリン(グルコース数:6個)、β−シクロデキストリン(グルコース数:7個)、γ−シクロデキストリン(グルコース数:8個)、ジメチルシクロデキストリン、グルコシルシクロデキストリン及びこれらの誘導体又は変性体、並びにクラウンエーテル類、ベンゾクラウン類、ジベンゾクラウン類、ジシクロヘキサノクラウン類及びこれらの誘導体又は変性体を挙げることができる。
上述のシクロデキストリン等の環状分子は、その1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
なお、上記した種々の環状分子の中では、特にα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンが良好であり、とりわけ、被包接性の観点からはα−シクロデキストリンを使用することが好ましい。
一方、直鎖状分子は、実質的に直鎖であればよく、回転子である環状分子が回動可能で滑車効果を発揮できるように包接できる限り、分岐鎖を有していてもよい。
また、環状分子の大きさにも影響を受けるが、その長さについても、環状分子が滑車効果を発揮できる限り特に限定されない。
なお、直鎖状分子としては、その両末端に反応基を有するものが好ましく、これにより、上記封鎖基と容易に反応させることができるようになる。
かかる反応基としては、採用する封鎖基の種類などに応じて適宜変更することができるが、水酸基、アミノ基、カルボキシル基及びチオール基などを例示することができる。
このような直鎖状分子としては、特に限定されるものではなく、ポリアルキレン類、ポリカプロラクトンなどのポリエステル類、ポリプロピレングリコールやポリエチレングリコールなどのポリエーテル類、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリテトラヒドロフラン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド類、ポリアクリル類及びベンゼン環を有する直鎖状分子を挙げることができる。
これら直鎖状分子のうち、特にポリエチレングリコール、ポリカプロラクトンが良好であり、水や溶剤系溶剤への溶解性の観点からはポリエチレングリコールを用いることが好ましい。
なお、直鎖状分子としてポリカプロラクトンを選択すれば、上記環状分子の修飾や最大包接量の制御とは別個に、ポリロタキサンに疎水性を付与できる。
また、上記直鎖状分子の分子量としては、1,000〜200,000とすることが望ましく、10,000〜50,000が好ましく、10,000〜20,000が更に好ましい。
直鎖状分子の分子量が1,000未満では、環状分子による滑車効果が十分に得られなくなって耐擦傷性が劣化するがある。分子量が200,000を超えると、着色樹脂との相溶性が低下し、得られる着色プラスチックが白濁することがある。
他方、上記封鎖基は、上記のような直鎖状分子の両末端に配置されて、環状分子が直鎖状分子によって串刺し状に貫通された状態を保持できる基でさえあれば、どのような基であっても差し支えない。
このような基としては、「嵩高さ」を有する基又は「イオン性」を有する基などを挙げることができる。なお、ここで「基」とは、分子基及び高分子基を含む種々の基を意味する。
「嵩高さ」を有する基としては、球形をなすものや、側壁状の基を例示することができる。
また、「イオン性」を有する基のイオン性と、環状分子の有するイオン性とが相互に影響を及ぼし合い、例えば反発し合うことにより、環状分子が直鎖状分子に串刺しにされた状態を保持することができる。
このような封鎖基の具体例としては、2,4−ジニトロフェニル基、3,5−ジニトロフェニル基などのジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類及びピレン類、並びにこれらの誘導体又は変性体を挙げることができる。
ここで、本発明に用いる疎水性ポリロタキサンの製造方法の一例について説明する。
上述の如き、疎水性ポリロタキサンは、
(1)環状分子と直鎖状分子とを混合し、環状分子の開口部を直鎖状分子で串刺し状に貫通して直鎖状分子に環状分子を包接させる工程と、
(2)得られた擬ポリロタキサンの両末端(直鎖状分子の両末端)を封鎖基で封鎖して、環状分子が串刺し状態から脱離しないように調製する工程と、
(3)得られたポリロタキサンの環状分子の水酸基を疎水性修飾基で修飾する工程、
によって処理することにより得られる。
なお、上記(1)工程において、環状分子が有する水酸基をあらかじめ疎水性修飾基で修飾したものを用いることによっても、疎水性ポリロタキサンを得ることができ、その場合には、上記(3)工程を省略することができる。
本発明の自動車用着色プラスチックは、上述の疎水性ポリロタキサン以外に、着色樹脂や添加剤を含有することができる。
かかる着色樹脂としては、特に限定されるものではないが、艶あり又は艶消し着色樹脂、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)及びポリ塩化ビニル(PVC)等に顔料を添加した樹脂組成物を挙げることができる。
なお、このような顔料としては、カーボンブラック、二酸化チタンなどの無機系着色顔料やアゾ系顔料、ペリレン系顔料などの有機系着色顔料を例示でき、これらを上記樹脂基材に対して1〜50%の割合で混合するのがよい。
また、本発明の自動車用着色プラスチックにおける上記疎水性ポリロタキサンと着色樹脂との混合比は、所望の着色性や耐擦傷性が得られる限り特に限定されるものではないが、代表的には、着色樹脂を99〜50%、疎水性ポリロタキサンを1〜50%とすることができ、好ましくは疎水性ポリロタキサンを10〜50%、更に好ましくは疎水性ポリロタキサンを20〜40%とする。
疎水性ポリロタキサンが1%未満では、滑車効果が低下することで耐傷付き性が低下することがあり、50%を超えると、着色樹脂との相溶性が低下して、得られる着色プラスチックが白濁することがある。
なお、上記添加剤の具体例としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、分散剤及び内部離型剤などを挙げることができる。
本発明の自動車用着色プラスチックは、上述のように、耐擦傷性や耐チッピング性に優れるものであるが、耐候性などの他の特性についても特に問題はない。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜8)
[修飾基を有するポリロタキサンの合成]
表1に示す物性を有する各例の着色プラスチックを下記の要領で調製した。
即ち、水酸基をヒドロキシプロピル基で修飾したヒドロキシプロピル化ポリロタキサン500gに、モレキュラーシーブで乾燥させたε−カプロラクトン10mLを加え、室温で30分攪拌してよく浸透させた。
次いで、2−エチルヘキサン酸すず0.2mLを加え、100℃で1〜8時間反応させた。反応終了後、生成物をトルエン50mLに溶解させ、攪拌したヘキサン450mL中に滴下して析出させ、回収した。
[着色プラスチックの成形]
PMMAと、顔料と、上述のようにして得られた修飾基を有する各ポリロタキサンを80℃に加温して混合し、各例のペレットを得た。
得られた各例のペレットを金型温度30℃、シリンダー温度210℃で、40sec射出成形を行い、150mm(縦)×73mm(横)×3mm(厚さ)の各例の着色プラスチック製試験片を得た。
(比較例1)
ポリロタキサンを用いなかった以外は、実施例1〜8と同様の操作を繰り返して、本例の着色プラスチック製試験片を得た。
(性能評価)
得られた実施例1〜8及び比較例1のプラスチック製試験片について、相溶性、耐擦傷性を以下のようにして評価した。得られた結果を表1に併記する。
[相溶性]
各例のプラスチック製試験片の白濁度を目視評価した。なお、表1中において、記号「○」、「△」、「×」は次のことを意味する。
〇:着色
△:若干の白濁
×:白濁および分離
[耐擦傷性]
磨耗試験機の摺動子にダストネル(摩擦布)を、各例のプラスチック製試験片に両面テープで貼り付け、0.22g/cmの荷重下で50回往復させ、傷の有無を評価した。
なお、表1中において、記号「○」、「△」、「×」は次のことを意味する。
○:殆ど傷がない。
△:少し傷がある。
×:目立つほど多くの傷がある
Figure 0005176086
表1の結果から明らかなように、本発明の範囲に含まれる実施例1〜8の着色プラスチックは、所定の疎水性ポリロタキサンが有する滑車効果に起因する耐擦傷性の向上が認められ、しかも良好な外観を有している。
ポリロタキサンの基本構造を概念的に示す模式図である。 疎水性ポリロタキサンと着色樹脂との架橋構造を概念的に示す部分概念図である。
符号の説明
1 架橋ポリロタキサン
3 着色樹脂
3’ 着色樹脂
5 ポリロタキサン
6 直鎖状分子
7 環状分子
7a 疎水性修飾基
8 封鎖基
9 架橋点

Claims (7)

  1. 環状分子と、この環状分子を串刺し状に包接する直鎖状分子と、この直鎖状分子の両末端に配置され上記環状分子の脱離を防止する封鎖基とを有し、上記直鎖状分子及び環状分子の少なくとも一方が疎水性を有する疎水性ポリロタキサンを含有し、
    上記環状分子がシクロデキストリンであり、当該シクロデキストリンの水酸基の一部又は全部が修飾基で修飾され、
    この修飾基が、−O−C −O−基と結合した、カプロラクトンによる修飾基である(−CO(CHOH)基を有することを特徴とする自動車用着色プラスチック。
  2. 上記環状分子の水酸基が修飾される最大数を1とするとき、この環状分子の上記疎水性修飾基による修飾度が0.02以上であることを特徴とする請求項1に記載の自動車用着色プラスチック。
  3. 上記疎水性ポリロタキサンの環状分子の包接量が、上記直鎖状分子が環状分子を包接する最大量である最大包接量を1とすると、0.06〜0.61であることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動車用着色プラスチック。
  4. 上記環状分子が、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンから成る群より選ばれた少なくとも1種のシクロデキストリンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の自動車用着色プラスチック。
  5. 上記疎水性ポリロタキサンの直鎖状分子の分子量が、1,000〜200,000であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の自動車用着色プラスチック。
  6. 上記疎水性ポリロタキサン以外の、艶あり又は艶消し着色樹脂基材を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の自動車用着色プラスチック。
  7. 上記疎水性ポリロタキサンが1〜50%の割合で含まれることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の自動車用着色プラスチック。
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