ボイラを複数台設置しておき、負荷の状況に応じて必要台数のボイラを燃焼させる多缶設置が広く行われている。ボイラの運転制御は蒸気圧力値に応じて行い、蒸気圧力値が設定圧力値よりも低いと燃焼を行い、設定圧力値よりも高くなると燃焼を停止する。多缶設置の場合には、蒸気圧力値が低いほど多くのボイラが燃焼を行うように、蒸気圧力値に応じてボイラの燃焼台数を定めておき、燃焼必要台数分のボイラに対して燃焼指令を送ることでボイラの運転を制御する。
特開2001−90902号公報に記載があるように、複数台並列に設置したボイラと、複数台のボイラに対して運転指令を出力する台数制御装置からなる多缶設置ボイラでは、台数制御装置から各ボイラに対して運転の指令を出力し、各ボイラでは台数制御装置からの指令に基づいて運転を行う。
複数のボイラを設置しておき、台数制御装置によって必要台数分のボイラを燃焼させる多缶設置ボイラの場合、いずれかのボイラに異常が発生したり、全ブローのために燃焼を停止しなければならなくなったとしても、他のボイラでカバーすることができるので、蒸気供給を続けることができる。ただし、ボイラの運転制御を台数制御装置による集中制御でのみ行っている場合には、ボイラ運転制御装置と台数制御装置を結ぶ通信に異常が発生すると、台数制御装置による制御が行えなくなるためにボイラを燃焼させることができず、蒸気供給が停止してしまうことになる。
付近に多数の電動機が設置されているボイラ室内では、電気的なノイズが発生しやすく、台数制御装置とボイラ運転制御装置を結ぶ通信装置に異常が発生することを完全になくすことはできない。そのため、各ボイラにはボイラ運転制御装置を設け、各ボイラで単独に運転を行うこともできるようしておき、台数制御装置による集中制御が行えない場合には、各ボイラが個別に運転を制御する個別制御を行うようにしている。ボイラごとに単独で燃焼制御を行う個別制御を行うことにより、台数制御装置による集中制御に比べると蒸気圧力の安定度は劣るが、通信異常が発生していても蒸気供給は続けることができる。通信異常が発生すればボイラごとに運転を制御する個別制御を行い、通信異常が解消されれば台数制御装置によってボイラの運転台数を制御する集中制御を行うことで、通信異常が発生してもボイラ全数が停止することはなくなる。
台数制御装置によってボイラ運転台数を集中制御する場合も、ボイラ運転制御装置によって個別制御を行う場合も、蒸気圧力値が低下すると燃焼するボイラの台数を多くし、蒸気圧力値が上昇すると燃焼するボイラの台数を少なくする。ただし、台数制御装置による集中制御と、ボイラ運転制御装置による個別制御でボイラ燃焼状態を同じにすることは難しく、同じ蒸気圧力値であっても集中制御と個別制御でボイラの燃焼台数が異なるということはよく発生する。
そのため、通信異常の発生による個別制御への変更と、通信異常の解消による集中制御への復帰が頻繁に発生した場合、個別制御と集中制御でボイラの燃焼状態が異なっていれば、制御のモードが切り替わるたびにボイラの燃焼状態を切り替えることになる。通信異常が頻繁に発生する場合、個別制御と集中制御の切り替えごとに、ボイラが燃焼と停止を切り替えることになると、ボイラの効率が低下するという問題があった。
図6は通信異常が発生している時には個別制御を実施し、通信異常が発生していない時には集中制御を行うこととした場合のタイムチャート例である。図6では、ボイラ2の通信状態が正常か異常か、制御モードが集中制御か個別制御かと、ボイラ1・2・3に対する燃焼指令出力の有無をそれぞれ記載している。実際には蒸気圧力値の変化に応じて燃焼指令の出力を変化させるが、蒸気圧力変化による燃焼指令の変更を記載すると複雑になるため、ここでは蒸気圧力値は変化していないと仮定しておく。また、その蒸気圧力値の場合には、集中制御ならボイラ1とボイラ2を燃焼させ、個別制御ならボイラ1のみを燃焼させるものであるとしている。図6の場合、通信異常の発生と解消のたびにボイラ2の燃焼と停止を行うことになる。ボイラでは燃焼の発停ごとに炉内の換気を行うため、燃焼の発停を行うごとに熱が流出することになり、ボイラの効率は低下することになる。
特開2001−90902号公報
本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1は本発明を実施する多缶設置ボイラ設置例の説明図、図2は本発明の第一の実施例におけるプログラムのフローチャート、図3は本発明の第二の実施例におけるプログラムのフローチャート、図4は本発明の第一の実施例におけるタイムチャート、図5は本発明の第二の実施例におけるタイムチャート、図6は比較のための従来例におけるタイムチャートである。
図1では、3台のボイラ1を並列に設置しており、各ボイラ1で発生させた蒸気を集合させて蒸気使用箇所へ送るスチームヘッダ4を設ける。各ボイラとスチームヘッダ4の間は蒸気配管5によって接続しており、各ボイラで発生させた蒸気は蒸気配管5を通してスチームヘッダ4へ送る。各ボイラにはそれぞれにボイラ運転制御装置2を設けておき、個々のボイラにおける燃焼制御はボイラ運転制御装置2によって行う。
スチームヘッダ4には、蒸気集合部における蒸気圧力を検出する集中制御用圧力検出器6を設ける。集中制御用圧力検出器6は、通信機能を持ち、各ボイラに対して運転の指令を出力する台数制御装置3と信号線で接続しておき、検出した蒸気圧力値を台数制御装置3へ出力するようにしておく。ボイラの台数制御は、集中制御用圧力検出器6で検出するスチームヘッダ4の蒸気圧力値と台数制御装置3に設定している設定圧力値との比較によって行う。台数制御装置3では、集中制御用圧力検出器6で検出した蒸気圧力値が高くなるほどボイラの燃焼台数を少なくし、蒸気圧力値が低下するほどボイラの燃焼台数を多くするように設定しておく。台数制御装置3は、各ボイラ1に稼働優先順位を設定しておき、稼働優先順位の上位のものから順に、決定した台数分のボイラに対して、燃焼要求信号を通信にて出力する。ここでのボイラの稼働優先順位は、ボイラ1・ボイラ2・ボイラ3の順に、第1位・第2位・第3位としておく。
各ボイラのボイラ運転制御装置2にも通信機能を設けておき、ボイラ運転制御装置2は台数制御装置3からの燃焼要求信号を受けてボイラの燃焼を行う。また個々のボイラ1にも蒸気圧力値を検出する個別制御用圧力検出器7を設け、個別制御用圧力検出器7で検出した蒸気圧力値をボイラ運転制御装置2へ出力するようにしておく。ボイラ運転制御装置2では、台数制御装置3からの指令に基づいてボイラの運転を制御する集中制御のモードと、個別制御用圧力検出器7で検出した蒸気圧力値に基づいてボイラの運転を制御する個別制御のモードを設定しておき、必要に応じて制御のモードを切り替えることができるようにしている。ボイラ運転制御装置2は、個別制御時には個別制御用圧力検出器7で検出している蒸気圧力値に応じてボイラの燃焼を制御する。集中制御と個別制御の切り替えは、ボイラごとに行うようにしており、複数台のボイラが同時に切り替わることもあれば、1台のボイラだけが切り替わることもある。
個別制御モードであっても蒸気圧力値に応じてボイラの燃焼を制御するようにしており、個別制御用圧力検出器7で検出する蒸気圧力値が低くなるとボイラの燃焼を開始し、蒸気圧力値が高くなるとボイラの燃焼を停止する制御を行う。台数制御装置3による集中制御と、ボイラ運転制御装置2による個別制御は、いずれも蒸気圧力値によってボイラの運転を制御するものであるが、台数制御装置3による集中制御の方が蒸気圧力を安定させることができるため、通常は台数制御装置3による集中制御を行う。しかし、台数制御装置3とボイラ運転制御装置2の間で通信異常が発生した場合には、台数制御装置による集中制御は行えなくなる。この場合には、ボイラ運転制御装置2の制御モードを、台数制御装置による集中制御から、各ボイラの個別制御用圧力検出器7による個別制御に切り替えることで、蒸気供給を続ける。
図2及び図4は、第一の実施例に関するものであり、まず図2のフローチャートに基づいて説明する。図2のフローチャートによる制御は、ボイラごとに行っている。図2は始点(1)から始まっており、次のステップS1で通信異常の有無を判断する。ボイラ運転制御装置2に対し、正常と判断できる信号が入力されていれば通信は正常と判断して結合子(2)へ、正常ではない信号が入力されていれば通信異常と判断してステップS2へ移行する。通信異常が発生していても、異常は瞬間的なものであってすぐに解消するものであれば、台数制御装置3による集中制御からボイラ運転制御装置2による個別制御へ切り替える必要はない。そのためステップS2で、タイマ1のカウントを行うことにより、通信異常の継続時間を計測しておき、次のステップS3で、通信異常の時間が所定の値(3秒)を越えているか否かで分岐する。ステップ3において、タイマ1の時間が3秒に達していなかった場合は結合子(3)へ、3秒を越えていた場合はステップS4に至る。通信異常が3秒を越えて継続していた場合、ステップS4にて台数制御装置3による集中制御は断念し、ボイラの運転はボイラ運転制御装置2による個別制御に切り替える。個別制御を行うと、次のステップS5でタイマ2の値をクリアし、始点(1)へ戻る。
ステップS1で通信が正常であり、結合子(2)に至った場合、ステップS6でタイマ1をクリアしておく。その後、ステップS3でタイマ1が3秒未満のために結合子(3)に至っていた場合とともにステップS7となり、ステップS7で現在の制御モードによって分岐する。現在の制御モードが、台数制御装置3による集中制御であれば始点(1)へ戻り、ボイラ運転制御装置2による個別制御であればステップS8へ至る。ステップS8では、タイマ2のカウントを行う。タイマ2は通信異常によって個別制御を行っていた状態から通信異常が解消された場合に、所定時間(5分)は個別制御を継続するために通信異常解消からの時間を計測するものである。ステップS9でタイマ2による計測時間が、所定時間である5分に満たなかった場合は始点(1)へ戻る。タイマ2が5分になるまでは、個別制御を継続しておき、ステップS9でタイマ2の値が所定時間の5分を越えていた場合は、ステップS10でボイラの運転制御を台数制御装置3による集中制御に変更する。その後ステップS11でタイマ2をクリアし、始点(1)へ戻る。
図4は第一の実施例におけるタイムチャートであり、通信状態が正常か異常か、制御モードが集中制御か個別制御かと、ボイラ1・2・3に対する燃焼指令出力の有無をそれぞれ記載している。実際には蒸気圧力値の変化に応じて燃焼指令の出力を変化させるが、蒸気圧力変化による燃焼指令の変更を記載すると複雑になるため、ここでは蒸気圧力値は変化していないと仮定しておく。また、その蒸気圧力値の場合には、集中制御ならボイラ1とボイラ2を燃焼させ、個別制御ならボイラ1を燃焼させるものであるとしている。図4はボイラ2に通信異常が発生した場合のものである。ボイラ2での通信異常とは、ボイラ2のみで通信異常が発生した場合と、ボイラ2以外でも通信異常が発生した場合が考えられるが、図4ではボイラ1及びボイラ3での異常の有無は省略しておく。
図4のタイムチャートでは、通信は正常であって、ボイラの運転制御は台数制御装置3による集中制御を行っており、ボイラ1・2に燃焼指令を出力している状態から開始している。この場合、図2のフローチャートでは、始点(1)→ステップS1→結合子(2)→ステップS6→ステップS7→始点(1)を繰り返していることになる。その後、時刻Aで通信異常が始まっているが、瞬間的な通信異常で個別制御への切り替え操作が行われることを防ぐため、時刻Aから3秒間通信異常が継続していることを確認し、3秒経過後である時刻Bでボイラの運転制御を集中制御から個別制御に切り替える。この場合の図2のフローチャートは、(1)→S1→S2→S3→(3)→S7→(1)のループを3秒間繰り返した後、(1)→S1→S2→S3→S4→S5→(1)となる。個別制御となると、ボイラの燃焼台数は1台のため、ボイラ2は個別制御に切り替えると同時に燃焼を停止する。
図4では時刻Cで通信異常が解消している。しかし、図4のように通信異常が頻発している状態では、通信異常の発停ごとに集中制御と個別制御を切り替えていたのでは、制御モードの切り替えごとにボイラの燃焼状態を変更することになってしまう。そのため本実施例では、ボイラの制御は通信異常の解消から所定時間が経過するまで個別制御を継続するようにしている。この場合の図2のフローチャートは、(1)→S1→(2)→S6→S7→S8→S9→(1)となっており、ステップS9でタイマ2の計測時間が5分になるまでは、集中制御への切り替えは行わない。
図4に記載しているように、時刻Cからの経過時間が5分に達する以前である時刻Dで通信異常が再び始まり、時刻Eで通信異常が瞬間的なものではないとの判断を行うと、フローチャートでは(1)→S1→S2→S3→S4→S5→(1)となる。このことにより、タイマ2の値はクリアされ、個別制御の終了は先延ばしされる。図4では、その後も時刻Fまでは5分の間隔を開けずに通信異常が繰り返し発生しており、そのたびにタイマ2の計測値をクリアするため、ボイラの運転制御はボイラ運転制御装置2による個別制御を続けている。
時刻Fで通信異常が解消した以降は通信異常が発生しておらず、時刻Gで通信異常のない時間が5分に達している。この場合の図2のフローチャートでは、(1)→S1→(2)→S6→S7→S8→S9→(1)を5分間繰り返した後、(1)→S1→(2)→S6→S7→S8→S9→S10→S11→(1)となるため、ボイラの運転制御はボイラ運転制御装置2による個別制御から台数制御装置3による集中制御に切り替えることになる。また、集中制御では、ボイラの燃焼台数は2台のため、ボイラ2は集中制御に切り替えると同時に燃焼指令の出力が開始しており、ボイラ2はプレパージなどの燃焼準備を行って燃焼を開始する。
第一の実施例では、通信異常が解消してもすぐに集中制御への切り替えを行うことはせず、5分間は個別制御を継続するようにしている。図6に記載しているように、通信状態が正常になるとすぐに集中制御へ切り替えていた場合、ボイラ2では燃焼の発停を繰り返すことになっていた。ボイラが短時間で発停を繰り返すと、ボイラの効率は低下するが、本実施例では、通信異常が解消しても5分間は個部制御を継続するようにしているため、燃焼指令の発停を短時間に繰り返すことはなくなっており、ボイラの効率が低下することはなくなる。
図3及び図5は、第二の実施例に関するものであり、まず図3のフローチャートに基づいて説明する。図3は始点(1)から始まっており、次のステップS21で通信異常の有無を判断する。ボイラ運転制御装置2に対して、正常と判断できる信号が入力されていれば通信は正常と判断して結合子(2)へ、正常ではない信号が入力されていれば通信異常と判断してステップS22へ移行する。通信異常が発生していても、異常は瞬間的なものであってすぐに解消するものであれば、台数制御装置3による集中制御からボイラ運転制御装置2による個別制御へ切り替える必要はない。そのためステップS22で、タイマ1のカウントを行うことにより、通信異常の継続時間を計測しておき、次のステップS23で、通信異常の時間が所定の値(3秒)を越えているか否かで分岐する。ステップ23において、タイマ1の時間が3秒に達していなかった場合は結合子(3)へ、3秒を越えていた場合はステップS24に至る。
通信異常が3秒を越えて継続していた場合、ステップS24にて台数制御装置3による集中制御は断念し、ボイラの運転はボイラ運転制御装置2による個別制御に切り替える。個別制御を行うと、次のステップS25でタイマ2の値をクリアし、ステップS26で通信異常フラグの有無で分岐する。ステップS26で通信異常フラグがあった場合は結合子(1)へ、通信異常フラグがなかった場合はステップS27へ移行し、ステップS27で通信異常フラグをオンとする。次のステップS28では、通信異常発生時刻の記憶を行っておき、ステップS29で過去3回における通信異常発生時刻が1分以内に発生しているか否かで分岐する。つまりステップS29では、最新の通信異常発生時刻と、2件前の通信異常発生時刻の差を算出し、時刻の差が1分より長い場合は結合子(1)へ、時刻の差が1分より短い場合はステップS30へ移行する。ステップS30では個別制御のフラグをオンとし、結合子(1)へ至る。
ステップS21で通信が正常であり、結合子(2)に至った場合、ステップS31で通信異常フラグをオフとし、ステップS32でタイマ1をクリアしておく。その後、結合子(3)に至った場合とともにステップS33となり、ステップS33で個別制御フラグの有無によって分岐する。個別制御フラグがオフの場合には結合子(4)へ、個別制御フラグがオンの場合はステップS34に至り、ステップS34でボイラの運転制御を台数制御装置3による集中制御に変更する。その後ステップS35でタイマ2のカウントを行う。
タイマ2は、個別制御フラグがオンになっており、かつ通信異常によって個別制御を行っていた状態から通信異常が解消された場合に、所定時間(5分)は個別制御を継続するために通信異常解消からの時間を計測するものである。ステップS36でタイマ2による計測時間が、所定時間である5分に満たなかった場合は始点(1)へ戻る。タイマ2が5分になるまでは、個別制御を継続しておき、ステップS36でタイマ2の値が所定時間の5分を越えていた場合は、ステップS37でボイラの運転制御を台数制御装置3による集中制御に変更する。また、結合子(4)に達した場合もステップS37でボイラの運転制御を台数制御装置3による集中制御に変更する。その後ステップS38でタイマ2をクリアし、ステップS39で個別制御フラグをオフとして始点(1)へ戻る。
図5は、第二の実施例におけるタイムチャートであり、図4と同様に通信状態が正常か異常か、制御モードが集中制御か個別制御かと、ボイラ1・2・3に対する燃焼指令出力の有無をそれぞれ記載している。この場合も蒸気圧力値は一定であり、その圧力値の場合には、集中制御ならボイラ1とボイラ2を燃焼し、個別制御ならボイラ1を燃焼するものであるとしておく。ここでもボイラ2での通信異常の有無と、ボイラ2での制御モードを記載しており、ボイラ1及びボイラ3の記載は省略している。
図5のタイムチャートでは、通信は正常であって、ボイラの運転制御は台数制御装置3による集中制御を行っており、ボイラ1・2に燃焼指令を出力している状態から開始している。この場合、図3のフローチャートでは、(1)→S21→(2)→S31→S32→S33→(4)→S37→S38→S39→(1)を繰り返していることになる。その後、時刻aで通信異常が始まっているが、瞬間的な通信異常で個別制御への切り替え操作が行われることを防ぐため、時刻aから3秒間通信異常が継続していることを確認し、3秒経過後である時刻bでボイラの運転制御を集中制御から個別制御に切り替える。この場合の図3のフローチャートは、(1)→S21→S22→S23→(3)→S33→(4)→S37→S38→S39→(1)のループを3秒間繰り返した後、(1)→S21→S22→S23→S24→S25→S26→S27→S28→S29→(1)となる。その後は通信異常が続いている間は、(1)→S21→S22→S23→S24→S25→S26→(1)のループを繰り返す。
図5では時刻cで通信異常が解消しており、図3のフローチャートでは、(1)→S21→(2)→S31→S32→S33→(4)→S37→S38→S39→(1)となり、ステップS37でボイラの運転制御を個別制御から集中制御に切り替える。図5では、時刻c以降も通信異常が頻発しているが、時刻aより前には通信異常が久しく発生していなかったため、この通信異常は散発的なものである可能性も高い。第二の実施例では、通信異常が頻発した場合には、通信異常が解消しても5分間は個別制御を継続し、散発的に発生する通信異常であった場合には、通信異常が解消すればすぐに集中制御に切り替えるようにしている。S29にて、最新の通信異常発生時刻と2件前の通信異常発生時刻の差が1分より大きい場合には、通信異常が頻繁に発生してはいないと判断するようにしており、この場合には、通信異常解消と同時に集中制御を再開することとし、時刻cで集中制御に切り替えるようにしている。
図5では、時刻dで第2回の通信異常、時刻eで第3回の通信異常が発生している。時刻eから3秒経過後である時刻fが、時刻bから1分以内であった場合、通信異常が頻発していると考えられる。この場合の図3のフローチャートでは、(1)→S21→S22→S23→S24→S25→S26→S27→S28→S29→S30→(1)となる。ステップS29では、第1の通信異常と第3の通信異常の時間差が1分未満であることより、ステップS30に移行し、個別制御フラグをオンとしておく。3回分の通信異常が1分以内に発生しており、通信異常が頻発している状態のときには、通信異常が解消してもすぐに次の通信異常が発生する可能性が高い。そのため、通信異常の発停ごとに集中制御と個別制御を切り替えていたのでは、制御モードの切り替えごとにボイラの燃焼状態を変更することになりかねない。そして、この場合には時刻gで通信異常がなくなっても、ボイラの制御は個別制御を継続するようにしている。図3のフローチャートは、(1)→S21→(2)→S31→S32→S33→S34→S35→S36→(1)となっており、ステップS36でタイマ2の計測時間が5分になるまでは、集中制御への切り替えは行わない。
個別制御フラグをオンにした場合でも、通信異常タイマ2の計測時間が5分になると、ボイラの運転制御をボイラ運転制御装置2による個別制御から台数制御装置3による集中制御に切り替える。時刻hで通信異常が解消した以降は通信異常が発生しておらず、時刻iで通信異常のない時間が5分に達している。この場合の図2のフローチャートでは、(1)→S21→(2)→S31→S32→S33→S34→S35→S36→(1)を5分間繰り返した後、(1)→S21→(2)→S31→S32→S33→S34→S35→S36→ S37→S38→S39→(1)となる。
第二の実施例では、通信異常が頻発した場合には、通信異常が解消しても5分間は個別制御を継続し、通信異常が頻発していない場合には、通信異常が解消すればすぐに集中制御に切り替えるようにしている。図6に記載しているように、通信状態が正常になるとすぐに集中制御へ切り替えていた場合、ボイラ2では燃焼の発停を繰り返すことになっていた。ボイラが短時間で発停を繰り返すと、ボイラの効率は低下するが、本実施例では、通信異常が頻繁に発生していると判断した場合には、通信異常が解消しても5分間は個別制御を継続するようにしているため、燃焼指令の発停を短時間に繰り返すことはなく、ボイラの効率が低下することもなくなる。また、通信異常が散発的に発生しているときには、通信異常解消後に個別制御を行う意義はなくなる。通信異常の頻度を算出し、通信異常は頻発するする場合にのみ個別制御を延長することで、ボイラの頻繁な発停を防ぎかつ集中制御の時間を長くすることができる。