JP5173225B2 - 加熱システム - Google Patents

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Description

本発明は、加熱部材によって加熱される被加熱体の温度を推定しつつ加熱を行う加熱システムに関する。
FPD(Flat Panel Display)の製造プロセスにおける、ガラス基板上にシリコン多結晶トランジスタを形成する技術は、近年、高機能化と微細化、処理対象基板の大型化がますます求められており、基板を加熱処理するための加熱プロセスについても、ますます高性能化が求められている。特に、高温かつ低コンタミを必要とする加熱プロセスでは、トランジスタ特性、特にしきい値電圧特性を直接左右する重要なプロセスとなっている。
この製造プロセスでは、歪み点が650℃前後という熱に弱いガラス基板を、600〜700℃の高温に加熱する必要がある。熱によるダメージを最小としながら、ガラス基板を高温まで加熱するには、ガラス基板の現在温度を非常に高い精度で制御しながら、このガラス基板を高温に加熱することができる加熱装置が必要である。例えば、下記特許文献1などには、半導体ウエハに行う酸化処理や拡散処理、イオン打ち込み後のキャリア活性化や平坦化のためのリフローやアニールおよび熱CVD反応による成膜処理等について、被処理物すなわち半導体ウエハの現在の実際の温度を応答性よく計測することによって熱処理を適正に実施することができる半導体製造装置が記載されている。しかし、ガラス基板の現在温度を十分に高い精度で制御しながら、このガラス基板を高温に加熱することができる加熱装置については、従来提案されていなかった。
従来提案されているガラス基板用の加熱装置は、対象基板一枚ごとに加熱処理を行う枚葉式装置と、複数枚同時に加熱処理するバッチ式装置に分けることができ、加熱方式としては、枚葉式装置についてはランプ加熱方式と抵抗加熱方式、バッチ式装置については抵抗加熱方式が用いられてきた。
ランプ加熱方式では、発光波長の吸収係数の違いから、ガラス基板上の温度均一性に課題があり、抵抗加熱方式では、熱源の熱容量を小さくすることが困難なため、急速昇降温の性能に限界があった。このような事情に鑑み、本願特許出願人は、下記非特許文献1および2に示すように、高速昇降温特性、温度均一性、基板ダメージ抑制特性に優れた加熱処理システムとして、ゾーンコントロール誘導加熱システム(Zone Control Induction Heating System)を提案している。このゾーンコントロール誘導加熱システムは、誘導加熱方式の優れた高速昇降温特性を活かし、さらに複数の誘導加熱コイルを独立で制御することにより、加熱対象物の温度均一性を確保するシステムである。下記非特許文献1および2では、このようなゾーンコントロールシステムをFPD用ガラス基板の加熱プロセスに応用することで、高速昇降温特性、温度均一性、基板ダメージ抑制特性に優れた高品質な基板加熱が可能になると記載されている。
特開2004−6737号公報 尾崎 康、外3名、「誘導加熱方式による高速高精度FPDアニール装置の開発」、三井造船技報、No186、2005年10月、P24−31 坪川 仁、外3名、「ゾーンコントロール誘導加熱を用いた第4世代対応FPD用高速加熱処理装置の開発」、三井造船技報、No189、2006年10月、P17−24
上記非特許文献1記載の、ゾーンコントロール誘導加熱システムを用いた加熱処理装置では、加熱炉に、被加熱対象であるガラス基板の近傍温度を計測する熱電対と、加熱部材であるグラファイト近傍温度を計測する熱電対とが備えられている。非特許文献1では、熱電対にて計測した炉内温度に応じて、誘導加熱のための高周波電流を調整すると記載されている。この際、熱電対で計測した基板近傍温度を対象基板の温度とみなし、熱電対で計測したグラファイト近傍温度をグラファイト温度とみなして、高周波電流を制御すると記載されている。しかし、熱電対で計測した基板近傍温度は対象基板とは相違しており、現在の基板温度を高精度に計測することはできない。実際、非特許文献1では、温度制御結果を詳細に確認するために、実際の処理対象基板に熱電対の接点を直接接触させて、基板温度を計測している。実際のFPD用製品基板では、製品の品質確保のため、熱電対の接点を直接接触させて加熱処理を行うことはできない。非特許文献1では、実際のFPD用ガラス基板を、特に短い時間で高温まで昇温させる加熱処理を行う場合、このガラス基板の温度を、リアルタイムで十分に高い精度で計測することはできていない。
また、上記非特許文献2記載の、ゾーンコントロール誘導加熱システムを用いた加熱処理装置でも、加熱炉に、炉内温度をリアルタイムに計測する熱電対が備えられている。そして、計測した炉内温度と、基板の実際の温度との相関から誘導加熱のための高周波電流を調整すると記載されている。例えば、モデル化したプロセスチャンバー内の温度変化に対する必要な出力を高速演算し、誘導加熱のための高周波電流を調整すると記載されている。具体的には、プロセスチャンバー内を3次元でモデル化し、輻射解析法による熱解析を行うと記載されている。そして、高速演算のために、通常のプロセスコントロールを行なうPLC=PMC(Process Module Controller)に加え、独立して温度コントロールのみを行なうコントローラを設けると記載されている。上記非特許文献2では、基板温度をリアルタイムで高精度に制御するためには、高精度なモデルを予め作成しておくとともに、高機能な演算機能が必要であり、システム全体のコストは高くなるといえる。また、非特許文献2でも、温度制御結果を詳細に確認するためには、実際の処理対象基板に熱電対の接点を直接接触させて、基板温度を計測している。非特許文献2でも、実際のFPD用ガラス基板を、特に短い時間で高温まで昇温させる加熱処理を行う場合、このガラス基板の温度を、リアルタイムで十分に高い精度で計測することはできていない。
そこで、本発明は、上述の従来技術に基づく問題点を解消し、短い時間で高温まで昇温させる加熱処理を行う場合であっても、予め設定した温度条件に応じて、高精度に被加熱体の温度を制御することができる加熱システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、板状の被加熱体を加熱する加熱システムであって、前記被加熱体の表面が地面に対して略垂直になるように前記被加熱体の端部にのみ接触した状態で前記被加熱体を保持する保持部材と、前記被加熱体と離間して配置されると共に前記被加熱体の表面と略平行で且つ前記表面と対向した平面状の表面部分を有し、自身が発熱することで前記被加熱体を加熱する加熱部材と、前記被加熱体とは別に前記加熱部材と離間して、前記被加熱体の前記表面と前記加熱部材の前記平面状の表面部分との間に位置することなく前記被加熱体の端部近傍に配置され、前記加熱部材によって前記被加熱体とともに加熱される温度計測用ダミー部材と、前記温度計測用ダミー部材の板状の測温部分に直接接触して、前記温度計測用ダミー部材における接触位置の温度を計測する温度計測手段と、前記温度計測手段によって計測された、前記温度計測用ダミー部材における接触位置の温度情報を、前記被加熱体の推定温度情報として取得する温度情報取得手段と、前記温度情報取得手段が取得した前記温度計測用ダミー部材における前記接触位置の温度情報が表す前記被加熱体の推定温度に基いて、前記加熱部材の発熱の程度を制御することで、前記被加熱体の現在温度を調整する調整手段とを有し、前記温度計測用ダミー部材は、前記被加熱体の前記端部近傍において地面に対して略垂直に配置された管状の支持部材に取り付けられており、前記温度計測用ダミー部材の前記測温部分は、前記被加熱体に比べて前記加熱部材の前記平面状の表面部分により近い位置に配置され、前記加熱部材の前記平面状の表面部分に対して平行ではない所定の角度を有していることを特徴とする加熱システムを提供する。
なお、前記加熱部材は、前記被加熱体の一対の表面と略平行で且つ前記一対の表面と対向した平面状の一対の表面部分を有し、前記被加熱体の一対の表面を同時に加熱することが好ましい。
また、前記温度計測用ダミー部材の材質、前記温度計測用ダミー部材の形状、前記接触位置と前記加熱部材との距離、の少なくとも1つが、前記加熱部材による前記被加熱体の加熱特性に応じて設定されていることが好ましい。
また、前記加熱部材は、別途設けられた誘導コイルに電流が流れることで発生する誘導磁界によって発熱することが好ましい。
また、前記温度計測手段は、2種類の異なる導体線の各端点が接合されてなる熱電対を備えて構成されており、前記各端点の接合点が前記温度計測用ダミー部材に直接接触して、前記接触位置の温度を計測することが好ましい。
また、前記支持部材は、内部に管路を備え、前記温度計測用ダミー部材の取り付け位置の近傍に、前記管路から前記支持部材の外部に向けて貫通する貫通孔が設けられており、前記熱電対の前記導体線は、前記接合点を含む一部分を除く他の部分が前記管路に配置され、前記接合点を含む前記一部分が、前記管路から前記貫通孔を通り前記温度計測用ダミー部材に直接接触していることが好ましい。
また、前記被加熱体の材質はガラスであり、前記温度計測用ダミー部材の材質は石英であってもよい。この場合、前記温度計測用ダミー部材は、少なくとも表面が不透明であることが好ましい。
本発明の温度情報取得装置は、比較的低コストでありながら、加熱部材によって加熱される被加熱体の温度を、リアルタイムで高精度に推定することができる。また、本発明の温度情報取得装置を備えて構成される、本発明の加熱システムでは、予め設定した温度条件に応じて、昇温時、温度保持時、降温時など加熱プロセス全般において、被加熱体の温度を高精度に制御することができる。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の温度推定装置および加熱システムを詳細に説明する。
図1(a)〜(c)は、本発明の温度推定装置の一例を備えて構成される、本発明の加熱システムの一例である加熱システム10について説明する図である。図1(a)は、加熱システム10の加熱ユニット12の概略上面断面図を示し、図1(b)は、加熱システム10全体の概略正面断面図を示し、図1(c)は、加熱システム10の加熱ユニット12の概略側面断面図を示している。図1に示す加熱システム10は、上述のゾーンコントロール誘導加熱システム(Zone Control Induction Heating System)を採用した加熱システムであり、例えば、いわゆる第4世代の基板サイズ(730mm×920mm)の、複数のガラス基板に対して、枚葉式に連続して加熱処理を行うための装置である。
加熱システム10は、例えば、FPD(Flat Panel Display)製造プロセスにおいて、ガラス基板上にシリコン多結晶トランジスタを形成する際に用いられる。より詳しくは、主に不純物(PおよびB)活性化工程(シート抵抗値の低減工程)などに使用される。この不純物活性化工程は、基板を加熱した後、所定の温度で一定時間保持し、その後冷却することで行なわれる。不純物の活性化の程度(シート抵抗の変動)は、昇温、温度保持、冷却、の一連の温度プロファイル(時系列の温度変動)によって左右される。この不純物活性化工程の特徴として、温度保持時間(昇温による到達した所定の温度で保持している時間)によるシート変動は極めて微小であること、到達した温度がシート抵抗に及ぼす影響は多大であること、450℃以下の比較的低温ではシート抵抗値の低減に寄与しないこと、などが挙げられる。このような特徴から、不純物活性化工程(シート抵抗値の低減工程)では、昇温、温度保持、冷却、の一連の処理時間が短くても、比較的高温に到達させることができれば,シート抵抗は低下するといえる。すなわち、歪み点が650℃前後という熱に弱いガラス基板の熱耐性を考慮しながら、複数のガラス基板のシート抵抗を効率的に下げるためには、高速に(すなわち短時間で)昇温させて、所定の温度で短時間保持したのち、高速に(すなわち短時間で)降温させることが好ましいといえる。このように、ガラス基板の熱耐性を考慮し、高速昇温、短時間保持、高速降温を行なう場合、特に、昇温中の基板の温度プロファイルは、不純物の活性化の程度(シート抵抗の変動)に多大な影響を与える。本発明の加熱システムの一例である加熱システム10は、比較的大型なガラス基板であっても、高速昇温、短時間保持、高速降温を実現するとともに、特に、昇温中の基板の温度プロファイルを高精度に制御する。
加熱システム10は、加熱ユニット12と制御ユニット14とを有して構成されている。加熱ユニット12は、略矩形の筐体22内に、コイルユニット24で囲まれた石英チャンバ26が配置されている。石英チャンバ26の内部には、石英チャンバ26の内壁面に沿って、上断面が長円形状のグラファイト加熱源28が配置されている。コイルユニット24は複数の部分コイル24a〜24eからなり、各部分コイル24a〜24eは、それぞれ、石英チャンバ26を介してグラファイト加熱源28を囲むよう、配置されている。なお、複数の部分コイル24a〜24eそれぞれの、図1(b)および(c)中の上下には、各コイルによって発生する磁力線が外に漏れることがないように、図示しない磁気シールド板が配置される。各部分コイル24a〜24eは例えばシームレス鋼管からなり、図示しない水冷機構によって、磁気シールドと共に水冷される。各部分コイル24a〜24eは、制御ユニット14を構成する整合ユニット40の各整合器40a〜40eを介し、制御ユニット14を構成するインバータユニット42の各インバータ42a〜42eと、それぞれ接続されている。各部分コイル24a〜24eそれぞれには、各整合器を介して接続された各インバータから、高周波電流が供給される。各部分コイル24a〜24eそれぞれは、電流が流れることで磁界を発生する。この磁界によってグラファイト加熱源28に誘導電流が生じることで、加熱部材であるグラファイト加熱源28は発熱する。この際、各部分コイル24a〜24eそれぞれに流れる電流によって発生する磁界それぞれに応じて、グラファイト加熱源28の、各部分コイル24a〜24eそれぞれに対応する部分領域がそれぞれ発熱する。
また、石英チャンバ26の図1(b)および(c)中の下側は開口しており、この開口を通過して、外部から延びたインジェクター管30、32、基板用熱電対保護管34(以下、第1保護管34とする)、過昇温検知用熱電対保護管36(以下、第2保護管36とする)が、石英チャンバ26の内部に配置されている。インジェクター管30、32は、図示しないガス供給機構と接続されており、ガス供給機構から供給されるガスを、石英チャンバ26内に導入する。供給するガスの種類は、加熱処理プロセスに応じて選択すればよく、例えば、不純物活性化工程(シート抵抗値の低減工程)では、窒素などの不活性ガスを導入すればよく、p−Siの結晶欠陥の改善を行なう場合など、水素ガスを導入すればよい。また、第1保護管34の内部には基板用熱電対50a〜50e(以下、第1の熱電対50a〜50eとする)が配置されており、第2保護管36の内部には過昇温検知用熱電対60a〜60e(以下、第2の熱電対60a〜60eとする)が配置されている。第1保護管34、第2保護管36、および、第1の熱電対52、第2の熱電対54については、後に詳述する。
筐体22は、図1(b)および(c)中の下側に、石英チャンバ26の開口に対応した開口を有している。加熱システム10は、また、図示しないハンドリングロボットなどの昇降手段によって図1(b)および(c)中の上下方向に移動可能な例えばSUS製のボード38と、このボード38に固定された石英サセプタ39とを備えている。被加熱体であるガラス基板11は、この石英サセプタ39に配置されて、ボード38の移動によって、筐体22および石英チャンバ26の開口から、石英チャンバ26の内部に導入される。ガラス基板11が石英チャンバ26の内部に導入された状態では、筐体22および石英チャンバ26の開口は、ボード38によって閉じられる。図1(a)〜(c)に示すように、加熱システム10では、例えば730mm×920mmサイズの大型のガラス基板11を、基板面が地面に対して略垂直になるように設置する。加熱システム10では、基板面が地面に対して略垂直になるように設置されたガラス基板11を、各部分コイル24a〜24eを流れる高周波電流に応じて発熱したグラファイト加熱源28からの輻射熱、および、石英チャンバ26内に導入されたガスなどの気体を介して伝わる熱伝導によって加熱する(なお、輻射熱が支配的である)。この際、グラファイト加熱源28の、各部分コイル24a〜24eそれぞれに対応する部分領域の発熱それぞれに応じて、ガラス基板11の、各部分コイル24a〜24eそれぞれに対応する領域が加熱される。すなわち、各部分コイル24a〜24eに供給される高周波電流それぞれの大きさに応じて、ガラス基板11の、各部分コイル24a〜24eそれぞれに対応する領域の加熱の程度が定まる。
加熱システム10では、基板面が地面に対して略垂直になるようにガラス基板を設置するので、ガラス基板11を、ガラス基板の表裏2つの基板面それぞれから同時に加熱することができる。また、図1(b)に示すように、石英サセプタ39が、基板端部にのみ接触した状態でガラス基板11を保持できるので、ガラス基板11を基板面が地面と略平行になるように支持した場合(この場合、基板の裏面の複数箇所を支持する必要がある)に比べて、基板裏面の傷が発生しにくい。また、石英サセプタ39が接触することによって不可避的に生じる加熱むらが、基板の端部部分のみに限定されるといった効果もある。また、ガラス基板11の表面にパーティクルが発生しにくいといった効果もある。
図2は、図1(a)中の一部を拡大して示す図である。また、図3(a)および(b)は、第1保護管34および第1の熱電対50a〜50eについて説明する図である。図3(a)は第1保護管34の概略斜視図であり、図3(b)は第1保護管34の概略上面断面図である。図3(a)に示すように、第1保護管34は、内部に管路62を有する石英製の管状部材である。第1保護管34には、複数のダミー板部材66a〜66eが、それぞれ取り付けられている。
ここで、ダミー部材66a〜66eそれぞれの図中上下方向の位置は、部分コイル24a〜24eにそれぞれ対応する位置となっている。ダミー部材66a〜66eは、部分コイル24a〜24eに高周波電流が流れることで発熱したグラファイト加熱源28からの輻射熱、および熱伝導によって加熱される。すなわち、ダミー部材66a〜66eの現在温度(より詳しくは、後述する測温部分76a〜76eの各温度)は、部分コイル24a〜24eに対応する部分のグラファイト加熱源28の温度、ひいては、部分コイル24a〜24eに流れる高周波電流に応じて定まる。部分コイル24a〜24eに流れる高周波電流が変化すれば、ダミー部材66a〜66eの現在温度も変化する。
加熱システム10では、このダミー部材66a〜66eの材質や形状、また、後述する第1の熱電対50a〜50eの各接点51a〜51eとガラス基板11との距離などが、グラファイト加熱源28によるガラス基板11の加熱特性に応じて調整されている。より具体的には、グラファイト加熱源28によって加熱されるダミー部材66a〜66eの現在温度(より詳しくは、後述する測温部分76の温度)が、同じくグラファイト加熱源28によって加熱されるガラス基板11の、各ダミー部材66a〜66eに対応する部分の現在温度と、それぞれ略一致するように、ダミー部材66a〜66eの材質や形状、配置、加熱部材であるガラス基板11との距離などが調整されている。すなわち、加熱システム10では、ダミー部材66a〜66eの現在温度(より詳しくは、後述する測温部分76の温度)の計測値は、ガラス基板11の所定部分の温度とみなすことができる。加えて、上述のように、部分コイル24a〜24eに流れる高周波電流を調整して、ダミー部材66a〜66eの現在温度(より詳しくは、後述する測温部分76の温度)を調整することで、ガラス基板11の所定部分の温度を調整することができる。
以下、図3(a)および(b)を用いて、ダミー部材66a〜66eを代表して、ダミー部材66aの詳細について説明する。ダミー部材66b〜66eのいずれも、ダミー部材66aと同様の構成となっている。ダミー部材66aは、円筒状の土台部72aから、板状部74aが突出した形状となっている。板状部74aのうち、突出端側に近い測温部分76aは、板状部74aのその他の部分に比べて板厚が薄くなっている(この理由については、後述する)。ダミー部材66aは、円筒状の土台部72の内側に第1保護管34を通し入れた状態で、固定ピン69によって、第1保護管34上の所定の位置に固定されている。
第1保護管34には、ダミー部材66a〜66eの取り付け位置の近傍それぞれに、管路62から第1保護管34の外部に向けて貫通する貫通孔78a〜78eが設けられている。第1保護管34の管路62には、第1の熱電対50a〜50eが、それぞれ通し入れられている。第1の熱電対50a〜50eは、それぞれ2種類の異なる導体線の各端点が接合されてなる公知の熱電対である。第1の熱電対50a〜50eは、接合点51a〜51eを含む一部分を除く他の部分が、管路62内に配置されている。以下、第1の熱電対50a〜50eを代表して、第1の熱電対50aについて説明する。第1の熱電対50aの、接合点51aを含む一部分は、それぞれ、管路62内から貫通孔78aを通過して、ダミー部材66aの測温部分76aに直接接触して固定されている。第1の熱電対50aの導体線はセラミックコーティングされて、耐熱性や耐食性が確保されるとともに、炉内へのメタルコンタミも防止される。第1の熱電対50aには、ダミー部材66aの測温部分76aの温度に応じた熱起電力が発生する。第1の熱電対50aは、制御ユニット14の制御装置44と接続されており、第1の熱電対50aに生じた熱起電力が制御装置44によって検出される。このようにして、制御装置44は、測温部分76aの現在温度情報を得る。上述したように、制御装置44が取得した測温部分76aの現在温度の情報は、ガラス基板11の所定部分(部分コイル24aに対応する部分)の温度、すなわちガラス基板11の所定部分の温度の推定値とみなすことができる。
ダミー部材66a〜66eの材質として、具体的には、表面が不透明な石英板を用いている。材質として石英を用いるのは、石英は熱衝撃に強く、熱による膨張や変形が殆どなく、高温でもアウトガスなどの不純物を殆ど発生しないなどの特性があるからである。一方、ダミー部材66a〜66eの各測温部分76a〜76eの現在温度それぞれが、ガラス基板11の所定部分の温度と略一致するには、ダミー部材66a〜66eは、グラファイト加熱源28からの輻射によって、ある程度十分に加熱される必要がある。すなわち、各測温部分76a〜76eは、グラファイト加熱源28から輻射される赤外線を、ある程度十分に吸収する必要がある。例えば、グラファイト加熱源28から輻射される一般的な赤外線のピーク波長の範囲である、2.5〜4.1(μm)の波長領域では、ガラスの吸収率に比べて、透明な石英の吸収率の方がより低い。すなわち、グラファイト加熱源28から輻射される一般的な赤外線によって、ガラス基板11と透明な石英基板とを同時に加熱しても、透明な石英基板の方が加熱され難い。結果、グラファイト加熱源28から輻射される一般的な赤外線によって、ガラス基板11と透明な石英基板とを同時に加熱しても、透明な石英基板の方が、現在温度は著しく低くなってしまう。これに対し、ダミー部材66a〜66eの材質として、表面が不透明な石英板を用いると、グラファイト加熱源28によって、ガラス基板11と各測温部分76a〜76eとを同時に加熱した際、各測温部分76a〜76eの現在温度を、ガラス基板11の各所定部分の現在温度に、より近づけることができる。上述の説明からも容易に理解されるように、本明細書において不透明とは、加熱部材から輻射される赤外線を、ある程度吸収する状態をいう。なお、表面が不透明な石英として、例えばサンドブラスト処理等によって透明石英の表面を粗面化したものを用いてもよい。また、微細な気泡が多数混入されて内部まで不透明化された石英を用いてもよい。
また、ダミー部材66a〜66eの大きさや材質なども、各測温部分76a〜76eの現在温度が、ガラス基板11の所定位置の現在温度により近づくよう調整されている。例えば、ガラス基板11の熱容量に応じて、ダミー部材66a〜66eが適当な熱容量となるよう、各測温部分76a〜76eの基板面の大きさや厚さなどが調整されている。本実施形態では、各測温部分76a〜76eの熱容量がなるべく小さくなるよう、板状部74a〜74eのその他の部分に比べて、各測温部分76a〜76eの厚さを小さくしている。例えば、被加熱体であるガラス基板の厚さをtとしたとき、各測温部分の厚さは0.7t〜1.2tであることが好ましい。
また、ダミー部材66a〜66eの配置位置も、それぞれ調整されている。加熱システム10において、被加熱体であるガラス基板11は、端部以外の領域が、グラファイト加熱源28によって均一に加熱されることが望まれる。このため、グラファイト加熱源28の平面状の表面部分29とガラス基板11との間隙には、余分な部材が配置されていないことが望まれる。図1(a)および図2に示すように、加熱部材であるグラファイト加熱源28は、被加熱体であるガラス基板11の基板面と略平行な、ガラス基板11の基板面と対向した平面状の表面部分29を有している。加熱システム10では、ガラス基板11の基板面を地面と略垂直に配置するので、石英サセプタ39によってガラス基板11の端部のみを接触支持しており、グラファイト加熱源28の表面部分29とガラス基板11との間隙に余分な部材を配置することなく、ガラス基板11の両面を同時に加熱することを可能としている。一方、加熱システム10では、グラファイト加熱源28の表面部分29とガラス基板11との間隙に、余分な部材を配置しないために、インジェクター管30、32、第1保護管34、第2保護管36などは、ガラス基板11の端部の近傍にあたる、石英チャンバ26内の一部分(図2中に破線で示す集中配置領域S)に集中して配置せざるを得ない。
加熱システム10では、このように、それぞれがある程度の熱容量を有する部材が一部分に集中して配置されるので、石英チャンバ26内部の、この集中配置領域Sの近傍は、石英チャンバ26内の他の部分と比べて温度が上昇しにくい。さらに、インジェクター管30、32は、外部からガスが供給されることで冷却されるとともに、インジェクター管30、32から石英チャンバ32に導入されたガスによって、インジェクター管30、32の周囲も冷却されやすい。また、特に、石英サセプタ39は、大型のガラス基板を確実に保持するために、柱の直径などがある程度大きい必要があり、熱容量も高い。したがって、石英サセプタ39は、その構造上、温度が比較的上昇し難い。このような種々の理由によって、集中配置領域Sの近傍は、石英チャンバ26内の他の部分、特に被加熱体であるガラス基板11と比べて温度が上昇しにくい。ダミー部材66a〜66eの各測温部分76a〜76eが、この集中配置領域Sに位置していると、各測温部分76a〜76eは、少なくともガラス基板11と比較して、温度が上昇し難くなる。加熱システム10では、特殊な材質のダミー部材を用いたり、特別な形状のダミー部材を用いることなく、各測温部分76a〜76eの現在温度が、ガラス基板11の所定位置の現在温度により近づくよう、ダミー部材66a〜66eの各測温部分76a〜76eを、集中配置領域Sから離れた、グラファイト加熱源28により近い位置に配置している。特に、各測温部分76a〜76eに固定された、第1の熱電対50a〜50eの接合点51a〜51eの位置を、集中配置領域Sから離れた、グラファイト加熱源28により近い位置に配置している。これにより、加熱システム10では、例えば石英以外の高価な材質のダミー部材を用いたり、単なる板状ではない作製が困難な特殊な形状のダミー部材を用いる必要がなく、装置コストを比較的低く抑えている。例えば、各測温部分76a〜76eにおける、第1の熱電対50a〜50eの接合点51a〜51eそれぞれは、加熱源28から5mm以内の位置(ただし接触しない位置)にあることが好ましい。
なお、ダミー部材66a〜66eの各測温部分76a〜76eそれぞれと、グラファイト加熱源28の平面状の表面部分29(ガラス基板11の基板面と対向した表面部分)とは単に平行ではなく、各測温部分76a〜76eそれぞれと、グラファイト加熱源28の表面部分29とは、一定の角度を有して配置されている。ダミー部材66a〜66eの各測温部分76a〜76eそれぞれと、グラファイト加熱源28の平面状の表面部分29とが平行の場合、ダミー部材66a〜66eの各測温部分76a〜76eはグラファイト加熱源28からの放射および輻射熱を垂直に受ける。この場合、ダミー部材66a〜66eは、ガラス基板11に比べてグラファイト加熱源28により近い位置に配置しているので、加熱条件によっては、各測温部分76a〜76eの温度はガラス基板11よりも高くなってしまうことがある。本実施形態においては、各測温部分76a〜76eそれぞれと、グラファイト加熱源28の表面部分29とを、一定の角度範囲で調整されているので、加熱部材からの空気伝熱や輻射熱の程度を調整(単に基板に平行に配置した場合と比べて、受ける熱量を低減)することができる。各測温部分それぞれの表面と、加熱部材の表面(被加熱体の基板面と対向した表面)とのなす角θは、例えば5.0(°)〜60(°)であることが好ましい。
以上述べたように、加熱システム10では、グラファイト加熱源28によってガラス基板11と各測温部分76a〜76eとを同時に加熱した際、各測温部分76a〜76eの現在温度が、ガラス基板11の現在温度に高い精度で一致するよう、ダミー部材66a〜66eの材質や形状や配置、加熱部材であるガラス基板11との距離などの種々の要素が、高い精度で調整されている。
一方、石英チャンバ26内の第2の保護管36には、第2の熱電対60a〜60eが配置されている。この第2の熱電対60〜60eは、制御装置44に接続されている。制御装置44は、加熱処理を行っている最中、第2の熱電対60a〜60eそれぞれの計測温度を常時(例えば一定の時間間隔で連続して)取得する。加えて、制御装置44は、加熱処理を行っている最中、取得した第2の熱電対60a〜60eそれぞれの計測温度に基き、石英チャンバ26内の温度が、所定の温度以上に昇温しているか否かを判定する。所定の温度の一例として、例えば、ガラス基板11に歪みが生ずる温度にガラス基板11自身が到達した場合に、第2の熱電対60a〜60eの接点が到達する温度が挙げられる。または、所定の温度の他の例として、石英チャンバ26内のその他の部材に異常が発生する温度にこの部材が到達する場合に、第2の熱電対60a〜60eの接点が到達する温度などが挙げられる。
この所定の温度は、制御装置44内のメモリに予め設定記憶されている。制御装置44は、第2の熱電対60a〜60eによる計測温度が、この所定の温度以上になった場合、例えば、各部分コイル26a〜26eに対する高周波電流の供給を停止することで、ガラス基板11や石英チャンバ26内の部材に不具合が発生することを防止する。このように、第2の保護管36および第2の熱電対60a〜60eは、プロセスに用いる材料基板や装置の保守のために設けられている。第2の熱電対60a〜60eによる計測値は、石英チャンバ26内の特定部分(ガラス基板11や、その他の部材)の温度に対し、第1の熱電対50a〜50eによる計測値ほど高精度に一致している必要はない。例えば、図4に示すように、加熱システム10の第2の保護管36に設けた貫通孔82a〜82e付近に、第2の保護管36に通し入れた第2の熱電対60a〜60eの接点をそれぞれ接触させた構成としてもよい。また、図3に示す第1の保護管34および第1の熱電対50a〜50eと同様の構成としてもよい。
加熱システム10では、このように、ダミー部材66a〜66eの現在温度(より詳しくは測温部分76の温度)を計測することで、ガラス基板11の所定部分の温度情報の推定値を取得することができる。加熱システム10では、さらに、制御ユニット14によって、部分コイル24a〜24eに流れる高周波電流を調整して、ダミー部材66a〜66eの現在温度(より詳しくは、後述する測温部分76a〜76eの温度)を調整することで、ガラス基板11の所定部分の温度を調整する。
制御ユニット14は、整合ユニット40、インバータユニット42、制御装置44、入力器46とを備えて構成されている。制御装置44は、例えば図示しないCPUやメモリを備える公知のコンピュータである。制御装置44には、外部からオペレータが入力器46を操作することで、加熱処理における温度制御条件(昇温や温度保持や降温などのプロセス条件)や、ガス流量の条件などを入力することができ、この温度制御条件をメモリに記憶しておくことができる。制御装置44は、この温度制御条件に応じて、ガラス基板11の加熱処理における、ガラス基板温度の加熱状態を制御する。制御装置44は、また、上述のハンドリングロボットなどの図示しない昇降手段や、図示しないガス供給機構などとも接続されており、ガラス基板11の石英チャンバ26内への搬送、石英チャンバ26内へのガス供給、加熱処理、石英チャンバ26内からのガラス基板11の搬出など、ガラス基板11のプロセス全体において各部の動作を制御する。
以下、加熱システム10において実施するガラス基板11の加熱処理とともに、制御ユニット14の機能について説明する。ガラス基板11を加熱している最中、制御装置44は、上記第1の熱電対50a〜50eによって計測される、ダミー部材66a〜66eの各測温部分76a〜76eの現在温度の情報を、リアルタイムに順次取得する。各測温部分76a〜76eの現在温度の情報は、ガラス基板11の所定部分(各コイル24a〜24eにそれぞれ対応する部分)の温度情報とみなせる。制御装置44は、各測温部分76a〜76eの現在の温度情報が、それぞれ予め設定された温度条件に応じた温度となるよう、インバータユニット42の各インバータ42a〜42eの動作をそれぞれ制御する。すなわち、加熱システム10では、各測温部分76a〜76eの現在温度の情報をリアルタイムで計測し、取得した現在の温度情報が、昇温や温度保持や降温などの、予め定められた処理温度条件における設定温度に応じた温度となるよう、各インバータ42a〜42eからの高周波電流の出力を調整する、フィードバック制御を行なう。
各インバータ42a〜42eは、整合ユニット40の各整合器40a〜40eと、それぞれ接続されている。高性能な温度制御を行なうためには、各インバータ42a〜42eの出力範囲は広く自由度がある方がよいが、実際にはインバータの能力、コイルの相互誘導などのために出力範囲には限界がある。そこで、所望の温度条件から要求される仕様が満足できるよう、共振回路のマッチングをとるための整合ユニット40を設けている。各整合器40a〜40eは、図示しないコンデンサ、リアクトル、トランスなどから構成されており、これらを組み合わせて、電流ロスを最小とするマッチング回路を構成している。加熱システム10では、このような制御ユニット14によって、各測温部分76a〜76eの現在温度の情報をリアルタイムで計測し、取得した現在の温度情報が、昇温や温度保持や降温などの処理温度条件に応じた温度となるよう、各インバータ42a〜42eからの高周波電流の出力を調整するフィードバック制御を行なうことで、ガラス基板11の温度を予め設定した処理温度条件に応じた温度に設定する。
上述したように、加熱システム10では、ダミー部材66a〜66eの材質や形状、配置、加熱部材であるガラス基板11との距離などの種々の要素が、高い精度で調整されており、各測温部分76a〜76eの現在温度が、ガラス基板11の現在温度に高い精度で一致する。例えば、このような加熱部材を用いず、石英チャンバ26内の所定位置の温度に基いて、ガラス基板11の温度を演算して求めるためには、チャンバ内を再現する複雑な3次元モデルを予め作成したり、この演算を高速に行なうための高価な専用装置などを用意する必要がある。加熱システム10では、各測温部分76a〜76eの現在温度の情報を、ガラス基板11の各所定部分の温度情報とみなせるよう、このように複雑なモデルを予め作製する必要ななく、また、複雑な演算処理を高速で実施するための高価な専用装置などを用意する必要がない。加熱システム10では、比較的低コストでありながら、予め設定した温度条件に応じて、昇温時、温度保持時、降温時など加熱処理全般において、被加熱体の温度を高精度に制御することができる。
以上、被加熱体としてガラス基板を加熱する場合について説明したが、本発明において被加熱体は特に限定されない。例えば、半導体ウエハの加熱処理においても、本願発明を好適に用いることができる。また、加熱方式も、ゾーンコントロール誘導加熱システムに代わって、ランプ加熱方式や抵抗加熱方式を用いてもよく、特に限定されない。その他の種々の要件についても、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
図5は、本願発明の温度情報取得手段で取得される温度情報の一実施例を、比較例とともに示すグラフである。図5に示すグラフは、より詳しくは、加熱システム10を用いて730mm×920mmのサイズのガラス基板を加熱した際、加熱システム10の第1の熱電対を用いて計測された温度情報のグラフであり、複数の第1の熱電対のうちガラス基板の中央部に最も近い位置の熱電対(すなわち、第1の熱電対50c)によって計測された温度情報である。ただし、図5に示すグラフは、制御装置44が上記フィードバック制御を行なわず、予め設定された温度条件(時系列の温度プロファイル)に基いて一義的に定められた条件(プリセット条件)に応じて、各インバータから各部分コイルに高周波電流を時系列に出力して、ガラス基板を加熱した結果である。なお、図5には、第1の熱電対50cと同様の熱電対の接点を、ガラス基板の中央部に直接接触させて計測した、実際のガラス基板の温度情報のグラフも同時に示している。また、比較例として、温度計測用ダミー部材を用いずに、石英チャンバ26内の所定位置の温度を計測して得られた温度情報も、併せて示している。具体的には、図4に示す、加熱システム10の第2の保護管36に設けた貫通孔82c付近に、第2の熱電対60cの接点61cを接触させて計測した温度情報を、併せて示している。なお、本明細書においては、グラフの区別を明確とするために「比較例」として記載しているが、この「比較例」なる記載は、図4に示す温度情報取得手段が、本願発明の範囲外であることを示唆するものではない。
図5に示すように、実際の基板温度が急速に上昇している最中であっても、本願発明の温度情報取得手段によって取得した温度情報は、実際の基板温度と高精度に一致している。特に、実施例として示している、板状のダミー部材を用いて取得した温度情報は、非常に高い精度で一致している。このように、本発明の温度情報取得装置を用いれば、比較的大型なガラス基板を高速に昇温させる場合であっても、加熱処理中の基板温度、特に、昇温中の基板の温度プロファイルを高精度に制御することができる。なお、図5に示すグラフでは、温度保持中については、本願発明によって取得された温度情報は、実際の基板温度と若干の差が認められる。これは、ダミー部材の材質、大きさ、位置などが、特に高速昇温時の加熱特性に一致するように調整されているからであると考えられる。より具体的には、温度保持中は、高速昇温時と比較してグラファイト温度が低くなるので、ダミー基板とガラス基板との熱容量の違いなどに応じて、放熱と吸熱のバランスが、高速昇温時と異なってくるためであると考えられる。ただし、温度保持中も、実際の基板温度との誤差は一定のレベルに保たれているため、実際の基板温度を比較的高い精度で推定し、必要に応じて実際の基板温度を所望の温度に補正することは容易であると考えられる。本願発明の温度情報取得装置を用いることで、不純物の活性化工程(シート抵抗の低減工程)における基板温度を、十分な精度でリアルタイムにモニタリング(確認)することができる。
図6は、本願発明の加熱システムにおいて取得される温度情報の他の実施例を、比較例とともに示すグラフである。図6に示すグラフでも、図5に示すグラフと同様、加熱システム10を用いて730mm×920mmのサイズのガラス基板を加熱した際、加熱システム10の第1の熱電対を用いて計測された温度情報のグラフであり、複数の熱電対のうちガラス基板の中央部に最も近い位置の熱電対(すなわち、第1の熱電対50c)によって計測された温度情報である。図6に示すグラフは、制御装置44が、第1の熱電対50cによって計測された温度情報(すなわち、図6に示す値そのもの)を受け取り、この受け取った温度情報に基づいて高周波電流の制御を行なった(フィードバック制御を行なった)結果である。図6に示すように、本願発明により、比較的大型なガラス基板を加熱して、基板温度を急速に昇温させる場合でも、加熱処理中の基板温度、特に、昇温中の基板の温度プロファイルを高精度に制御することが確認できた。
(a)〜(c)は、本発明の温度情報取得装置の一例を備えて構成される、本発明の加熱システムの一例について説明する図であり、(a)は加熱ユニットの概略上面断面図、(b)は加熱システム全体の概略正面断面図、(c)は加熱ユニットの概略側面断面図を示す。 図1(a)中の一部を拡大して示す図である。 (a)および(b)は、図1に示す加熱システムを構成する、第1保護管および第1の熱電対について説明する図であり、(a)は第1保護管の概略斜視図、(b)は第1保護管の概略上面断面図である。 図1に示す加熱システムを構成する、第2保護管および第2の熱電対について説明する概略斜視図である。 本発明の温度情報取得装置で取得される温度情報の一実施例を、比較例とともに示すグラフである。 本発明の温度情報取得装置で取得される温度情報の他の実施例を、比較例とともに示すグラフである。
符号の説明
10 加熱システム
11 ガラス基板
12 加熱ユニット
14 制御ユニット
22 筐体
24 コイルユニット
24a〜24e 部分コイル
26 石英チャンバ
28 グラファイト加熱源
29 表面部分
30、32 インジェクター管
34 基板用熱電対保護管(第1保護管)
36 過昇温検知用熱電対保護管(第2保護管)
38 ボード
39 石英サセプタ
40 整合ユニット
40a〜40e 整合器
42 インバータユニット
42a〜42e インバータ
50a〜50e 基板用熱電対(第1の熱電対)
51a〜51e 接点
60a〜60e 過昇温検知用熱電対(第2の熱電対)
62 管路
66a〜66e ダミー部材
69 固定ピン
72a〜72e 土台部
74a〜74e 板状部
76a〜76e 測温部分
78a〜78e、82a〜82e 貫通孔

Claims (8)

  1. 板状の被加熱体を加熱する加熱システムであって、
    前記被加熱体の表面が地面に対して略垂直になるように前記被加熱体の端部にのみ接触した状態で前記被加熱体を保持する保持部材と、
    前記被加熱体と離間して配置されると共に前記被加熱体の表面と略平行で且つ前記表面と対向した平面状の表面部分を有し、自身が発熱することで前記被加熱体を加熱する加熱部材と、
    前記被加熱体とは別に前記加熱部材と離間して、前記被加熱体の前記表面と前記加熱部材の前記平面状の表面部分との間に位置することなく前記被加熱体の端部近傍に配置され、前記加熱部材によって前記被加熱体とともに加熱される温度計測用ダミー部材と、
    前記温度計測用ダミー部材の板状の測温部分に直接接触して、前記温度計測用ダミー部材における接触位置の温度を計測する温度計測手段と、
    前記温度計測手段によって計測された、前記温度計測用ダミー部材における接触位置の温度情報を、前記被加熱体の推定温度情報として取得する温度情報取得手段と、
    前記温度情報取得手段が取得した前記温度計測用ダミー部材における前記接触位置の温度情報が表す前記被加熱体の推定温度に基いて、前記加熱部材の発熱の程度を制御することで、前記被加熱体の現在温度を調整する調整手段と
    を有し、
    前記温度計測用ダミー部材は、前記被加熱体の前記端部近傍において地面に対して略垂直に配置された管状の支持部材に取り付けられており、
    前記温度計測用ダミー部材の前記測温部分は、前記被加熱体に比べて前記加熱部材の前記平面状の表面部分により近い位置に配置され、前記加熱部材の前記平面状の表面部分に対して平行ではない所定の角度を有していることを特徴とする加熱システム。
  2. 前記加熱部材は、前記被加熱体の一対の表面と略平行で且つ前記一対の表面と対向した平面状の一対の表面部分を有し、前記被加熱体の一対の表面を同時に加熱する請求項1記載の加熱システム。
  3. 前記温度計測用ダミー部材の材質、前記温度計測用ダミー部材の形状、前記接触位置と前記加熱部材との距離、の少なくとも1つが、前記加熱部材による前記被加熱体の加熱特性に応じて設定されていることを特徴とする請求項1または2記載の加熱システム。
  4. 前記加熱部材は、別途設けられた誘導コイルに電流が流れることで発生する誘導磁界によって発熱することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の加熱システム。
  5. 前記温度計測手段は、2種類の異なる導体線の各端点が接合されてなる熱電対を備えて構成されており、前記各端点の接合点が前記温度計測用ダミー部材に直接接触して、前記接触位置の温度を計測することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の加熱システム。
  6. 記支持部材は、内部に管路を備え、前記温度計測用ダミー部材の取り付け位置の近傍に、前記管路から前記支持部材の外部に向けて貫通する貫通孔が設けられており、
    前記熱電対の前記導体線は、前記接合点を含む一部分を除く他の部分が前記管路に配置され、前記接合点を含む前記一部分が、前記管路から前記貫通孔を通り前記温度計測用ダミー部材に直接接触していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の加熱システム。
  7. 前記被加熱体の材質はガラスであり、前記温度計測用ダミー部材の材質は石英であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の加熱システム。
  8. 前記温度計測用ダミー部材は、少なくとも表面が不透明であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の加熱システム。
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