JP5171045B2 - 不飽和脂肪から出発してオレフィンと、ジエステルまたは二酸とを同時生成させる方法 - Google Patents
不飽和脂肪から出発してオレフィンと、ジエステルまたは二酸とを同時生成させる方法 Download PDFInfo
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Description
a)少なくとも1種の非水性イオン液および少なくとも1種の触媒の存在下での不飽和エステルまたは脂肪酸に富む少なくとも1種の不飽和脂肪のエチレンとのメタセシス工程と、
b)工程a)において用いられた触媒を含有するイオン液を分離してこれをリサイクルするための工程と、
c)工程a)において生成させられた、オレフィンと、不飽和エステルまたは酸とを分離するための工程と、
d)少なくとも1種の触媒の存在下に液相において行われる、工程a)において生成させられ、工程c)において分離された一価不飽和エステルまたは酸のホモメタセシス工程と、
e)場合による、工程d)において用いられた時の触媒を含有するイオン液を分離し、これをリサイクルするための工程と
を包含する方法を提案する。
a)メタセシス条件下に、12〜22個の炭素原子を含有し、かつ、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を含む少なくとも1種の一塩基カルボン酸または該一塩基酸のモノエステルを含む少なくとも1種の不飽和脂肪を、触媒存在下および少なくとも1種の非水性イオン液の存在下に、過剰のエチレンと接触させて、オレフィンフラクションと、不飽和脂肪のモノエステルまたは一酸のフラクションとを一緒に生成させる工程と、
b)工程a)において用いられた触媒を含有するイオン液を分離し、これをリサイクルする工程と、
c)工程a)において生成させられたオレフィンフラクション(フラクションA)および不飽和脂肪モノエステルまたは一酸フラクション(フラクションB)を分離する工程と、
d)工程c)において分離された不飽和脂肪モノエステルまたは一酸のフラクションBのホモメタセシスの工程であって、該ホモメタセシスは、少なくとも1種の触媒の存在下に液相中で行われる、工程と
の一連の工程を包含するものである。
・オレイン酸メチル: 約83重量%;
・リノール酸メチル 約10重量%;
・パルミチン酸メチル 約3重量%;
・ステアリン酸メチル 約4重量%
の組成を有するオレインヒマワリ種子油のメチルエステルであることが好ましい。
・メタセシス帯域I;該帯域は、不飽和脂肪を導入するための少なくとも1つの手段(1)と、エチレンを導入するための少なくとも1つの手段(2)と、触媒を導入するための少なくとも1つの手段(3)とを含み、流出物は、少なくとも1つの手段(4)を経て帯域Iから取り除かれる;
・帯域Iからの流出物から、触媒を含有するイオン液が分離され、リサイクルされる帯域II;該帯域は、帯域Iからの流出物を導入するための少なくとも1つの手段(4)と、触媒を含有するイオン液を帯域Iへの入口にリサイクルするための少なくとも1つの手段(5)と、オレフィンフラクションと、不飽和エステルまたは脂肪酸フラクションとを含有する有機相を取り除くための少なくとも1つの手段(6)とを含む;
・分離帯域III;該帯域は、帯域IIからの流出物を導入するための少なくとも1つの手段(6)と、オレフィンフラクションAを取り除くための少なくとも1つの手段(7)と、不飽和エステルまたは脂肪酸によって構成されるフラクションBを取り除くための少なくとも1つの手段(8)とを含む;
・ホモメタセシス帯域IV;該帯域は、帯域III由来の転化させられるべき流出物を導入するための少なくとも1つの手段(8)と、形成された不飽和長鎖ジエステルまたは二酸を主として含有する流出物を取り除くための少なくとも1つの手段(9)と、ホモメタセシス反応によって同時生成させられたエチレンを分離するための少なくとも1つの手段(10)と、触媒を導入するための少なくとも1つの手段(11)とを含み、該帯域IVにおけるエチレンを分離するための手段(10)は、帯域Iにエチレンを導入するための手段(2)に接続されている;
の帯域I〜IVによって構成される設備である。
a)少なくとも1種の非水性イオン液の存在下での不飽和脂肪のエチレンとのメタセシス工程と
b)第1工程において用いられたイオン液を分離し、これをリサイクルする工程と、
c)蒸留によって、工程a)において形成された、オレフィンフラクション(フラクションA)を、不飽和脂肪モノエステルまたは一塩基酸フラクション(フラクションB)から分離する工程と、
d)不飽和脂肪ジエステルまたは二酸(フラクションC)と、本方法の第1のメタセシス工程にリサイクルされるエチレンとの同時生成を可能にする、一価不飽和脂肪エステルまたは酸留分(フラクションB)のホモメタセシス工程と、
e)場合による、工程d)において用いられた触媒を含有するイオン液をリサイクルする工程との一連の工程を包含する。
・オレイン酸メチル 約83重量%;
・リノール酸メチル 約10重量%;
・パルミチン酸メチル 約3重量%;
・ステアリン酸メチル 約4重量%。
・最初に、主として1−デセンのオレフィンフラクション(フラクションA);
・次いで、鎖の過半数が不飽和C10鎖によって構成されるエステルの混合物(フラクションB);前記組成物は、あらゆる既知の脂肪に対応しない;このようなエステル混合物は、不飽和C10鎖の濃度が非常に高いことを特徴とする;それは、炭素鎖上の9位の炭素原子と10位の炭素原子との間に位置する不飽和結合の位置によっても特徴付けられる;不飽和結合のこの位置は、天然物においてみられる位置とは異なっている。
・不飽和脂肪の過剰のエチレンとのメタセシスのための帯域I;該帯域Iは、不飽和脂肪を導入するための少なくとも1つの手段(1)と、エチレンを導入するための少なくとも1つの手段(2)と、触媒を導入するための少なくとも1つの手段(3)とを含む;該帯域Iからの流出物は、少なくとも1つの手段(4)を経て取り除かれる;
・イオン液をリサイクルするための帯域II;この帯域では、触媒を含有するイオン液は、帯域Iからの流出物から分離され、前記帯域IIは、帯域Iからの流出物を導入するための少なくとも1つの手段(4)と、触媒を含有するイオン液を帯域Iへの入口にリサイクルするための少なくとも1つの手段(5)と、オレフィンフラクションと、不飽和エステルまたは脂肪酸フラクションとを含有する有機相を取り除くための少なくとも1つの手段(6)とを含む;
・帯域IIからの有機流出物を分離するための帯域III;該帯域は、帯域IIからの流出物を導入するための少なくとも1つの手段(6)と、オレフィンフラクションAを取り除くための少なくとも1つの手段(7)と、不飽和エステルまたは脂肪酸によって構成されるフラクションBを取り除くための少なくとも1つの手段(8)とを含む;
・ホモメタセシス反応が行われる帯域IV;この帯域は、帯域III由来の転化されるべき流出物を導入するための少なくとも1つの手段(8)と、形成された不飽和長鎖ジエステルまたは二酸を主として含有する流出物を取り除くための少なくとも1つの手段(9)と、ホモメタセシス反応によって同時生成させられた気体状エチレンを分離するための少なくとも1つの手段(10)と、触媒を導入するための少なくとも1つの手段(11)とを含み、前記帯域IV中のエチレンを分離するための手段(10)は、エチレンを帯域Iに導入するための手段(2)に接続される。
・形成された流出物から、触媒を含有するイオン液を分離するための帯域V;この帯域は、イオン液を分離し、これを帯域IVへの入口にリサイクルするための少なくとも1つの手段(12)と、前記帯域において形成された流出物を分離するための少なくとも1つの手段(13)を含む。
80℃で終夜予備的に乾燥させられた1mLの式[BMMI]+[N(CF3SO2)2]−を有する3−ブチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム ビス−トリフリルアミド、148mgのオレイン酸メチル(供給源:Fluka,98%より高い純度を有する)および15mgの式Cl2Ru(=CH−o−O−iPrC6H4)PCy3を有する錯体(式Cl2Ru(=CHC6H5)(PCy3)2を有する第一世代のGrubbs錯体を、CuClの存在下に、1−イソプロポキシ−2−ビニルベンゼンと反応させることにより合成されたもの)(これは、オレイン酸メチルに対して触媒5モル%に相当する)が、アルゴンの不活性雰囲気下に、攪拌システムおよび圧力センサを備えたオートクレーブ反応器に導入された。オートクレーブは、次いで、減圧下に置かれ、そして、エチレン(起源:Alphagas,品質N25)の10バール(1MPa)の圧力を得るように加圧された。温度は、20℃に一定に維持された。
実施例1にしたがって行われた1回目のサイクルの後、イオン液および触媒を含むオートクレーブは、減圧下に置かれ、痕跡量のヘプタンが除去された。アルゴン雰囲気下、148mgのオレイン酸メチルが加えられ、次いで、反応器は、エチレンの10バール(1MPa)の圧力を得るように加圧された。温度は、20℃に維持された。
ガラス製の反応フラスコに、(1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン) ジクロロ(ベンジリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(50mg,0.062mmol,0.01当量)、1.5mL(6.62mmol,1当量)のデセン酸メチル(実施例1で生成させられた2つのフラクションの分離後に得られたもの)、1mLの1−ブチル−1−メチルピロリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(BMPyrr)(NTf2)、2mLのヘプタンおよび0.1mLのドデカン(内部標準)が加えられた。混合物は二相性であった。混合物は、攪拌され、室温に昇温させられた。2時間の反応時間の後、少量の液状上部相がGC分析のために取り出された。GC分析は、メタセシス反応がきれいに進行し、ジメチルオクタデセン−1,18二酸塩生成物を産出したことを示した。9−デセン酸メチルのこれらの生成物への転化率は70重量%であった。
2 エチレンを導入するための手段
3 触媒を導入するための手段
4 帯域Iからの流出物を導入するための手段
5 触媒を含有するイオン液を帯域Iへの入口にリサイクルするための手段
6 オレフィンフラクションと、不飽和エステルまたは脂肪酸フラクションとを含有する有機相を取り除くための手段
7 オレフィンフラクションAを取り除くための手段
8 不飽和エステルまたは脂肪酸によって構成されるフラクションBを取り除くための手段
9 形成された不飽和長鎖ジエステルまたは二酸を主として含有する流出物を取り除くための手段
10 ホモメタセシス反応によって同時生成させられたエチレンを分離するための手段
11 触媒を導入するための手段
Claims (15)
- 不飽和脂肪からオレフィンフラクションと、ジエステルまたは二酸の組成物との両方を生成させる方法であって、
a)メタセシス条件下に、12〜22個の炭素原子を含有し、かつ、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を含む少なくとも1種の一塩基カルボン酸または該一塩基酸のモノエステルを含む少なくとも1種の不飽和脂肪を、触媒存在下および少なくとも1種の非水性イオン液の存在下に、過剰のエチレンと接触させて、オレフィンフラクションと、不飽和脂肪のモノエステルまたは一酸のフラクションとを一緒に生成させる工程と、
b)工程a)において用いられた触媒を含有するイオン液を分離し、これをリサイクルする工程と、
c)工程a)において生成させられたオレフィンフラクション(フラクションA)および不飽和脂肪モノエステルまたは一酸フラクション(フラクションB)を分離する工程と、
d)工程c)において分離された不飽和脂肪モノエステルまたは一酸のフラクションBのホモメタセシスの工程であって、該ホモメタセシスは、少なくとも1種の触媒の存在下に液相中で行われる、工程と
の一連の工程を包含し、工程a)およびd)の触媒として少なくとも1種のルテニウム化合物が用いられることを特徴とする方法。 - 工程a)において、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を含み、かつ、12〜22個の炭素原子を含有する少なくとも1種の一塩基カルボン酸と、1〜8個の炭素原子を含有する少なくとも1種の一価水酸化脂肪族化合物(モノアルコール)との間で形成された少なくとも1種のエステルを含む不飽和脂肪によって構成された供給材料を用いることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 工程a)において、オレフィンフラクションAと、鎖の少なくとも一部が不飽和C10鎖によって構成されるモノアルコールエステルの組成物(フラクションB)との両方を生成させるために、オレインヒマワリ種子油およびオレインナタネ油のモノアルコールエステルの混合物から選択される不飽和脂肪を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
- 工程a)において導入される供給材料は、
・オレイン酸メチル: 約83重量%;
・リノール酸メチル 約10重量%;
・パルミチン酸メチル 約3重量%;
・ステアリン酸メチル 約4重量%
の組成を有するオレインヒマワリ種子油のメチルエステルであることを特徴とする請求項3に記載の方法。 - 得られたフラクションAは、主として1−デセンであり、フラクションBは主として9−デセン酸メチルであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
- 非水性イオン液は、一般式Q+A−(式中、Q+は、第四ホスホニウム、第四アンモニウム、第四グアニジニウムまたは第四スルホニウムを示し、A−は、90℃以下で液体塩を形成することが可能なあらゆるアニオンを示す)の液体塩によって形成される群から選択されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
- 工程b)は、蒸留またはデカンテーションのいずれかによって工程a)からの触媒および反応生成物を含有するイオン液相を分離する工程であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。
- 工程c)間に蒸発によってフラクションAおよびBを分離する工程を包含することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
- フラクションAのモノオレフィンおよびジオレフィンを蒸留により分離する工程をさらに包含することを特徴とする請求項8に記載の方法。
- 工程d)において導入される供給材料は、モノアルコールエステルの形態にある9−デセン酸のエステルであることを特徴とする請求項3〜9のいずれか1つに記載の方法。
- 工程a)においてエチレンを再使用するために工程d)の間に同時生成させられたエチレンを抽出する工程を包含することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の方法。
- 工程d)のホモメタセシスは、触媒を含有する非水性イオン液の存在下に行われることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の方法。
- 工程d)において用いられた、触媒を含有するイオン液を分離し、これをリサイクルする工程をさらに包含することを特徴とする請求項12に記載の方法。
- 請求項1〜13のいずれか1つに記載の方法を行うための設備であって、
・メタセシス帯域I;該帯域は、不飽和脂肪を導入するための少なくとも1つの手段(1)と、エチレンを導入するための少なくとも1つの手段(2)と、触媒を導入するための少なくとも1つの手段(3)とを含み、流出物は、少なくとも1つの手段(4)を経て帯域Iから取り除かれる;
・帯域Iからの流出物から、触媒を含有するイオン液が分離され、リサイクルされる帯域II;該帯域は、帯域Iからの流出物を導入するための少なくとも1つの手段(4)と、触媒を含有するイオン液を帯域Iへの入口にリサイクルするための少なくとも1つの手段(5)と、オレフィンフラクションと、不飽和エステルまたは脂肪酸フラクションとを含有する有機相を取り除くための少なくとも1つの手段(6)とを含む;
・分離帯域III;該帯域は、帯域IIからの流出物を導入するための少なくとも1つの手段(6)と、オレフィンフラクションAを取り除くための少なくとも1つの手段(7)と、不飽和エステルまたは脂肪酸によって構成されるフラクションBを取り除くための少なくとも1つの手段(8)とを含む;
・ホモメタセシス帯域IV;該帯域は、帯域III由来の転化させられるべき流出物を導入するための少なくとも1つの手段(8)と、形成された不飽和長鎖ジエステルまたは二酸を主として含有する流出物を取り除くための少なくとも1つの手段(9)と、ホモメタセシス反応によって同時生成させられたエチレンを分離するための少なくとも1つの手段(10)と、触媒を導入するための少なくとも1つの手段(11)とを含み、該帯域IVにおけるエチレンを分離するための手段(10)は、帯域Iにエチレンを導入するための手段(2)に接続されている;
の帯域I〜IVによって構成される設備。 - 触媒を含有するイオン液を、形成された流出物から分離するための帯域Vをさらに含み、該帯域Vは、イオン液を分離し、これを帯域IVへの入口にリサイクルするための少なくとも1つの手段(12)と、前記帯域において形成された流出物を分離するための少なくとも1つの手段(13)とを含むことを特徴とする請求項14に記載の設備。
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