以下では、上述した本発明の内容を明確にするために、本発明の弾球遊技機を、セブン機と称されるタイプのパチンコ機に適用した実施例について、次のような順序に従って説明する。
A.パチンコ機の装置構成:
A−1.装置前面側の構成:
A−2.遊技盤の構成:
A−3.制御回路の構成:
B.遊技の概要:
C.制御の概要:
C−1.遊技制御処理:
C−2.特別図柄遊技処理:
C−3.大当り遊技処理:
D.遊技演出処理:
A.パチンコ機の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例のパチンコ機1の正面図である。図1に示すように、パチンコ機1の前面部は、大きくは、前面枠4、上皿部5、下皿部6、遊技盤10などから構成されている。なお、図1では遊技盤10の詳細な図示を省略している。前面枠4は、図示しない中枠3に取り付けられており、中枠3は図示しない本体枠2に取り付けられている。中枠3はプラスチック材料で成形されており、本体枠2の内側に取り付けられている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、パチンコ機1の外枠を形成している。前面枠4の一端は、中枠3に対して回動可能に軸支されており、中枠3の一端は本体枠2に対して回動可能に軸支されている。遊技盤10は、中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられており、その前面側が前面枠4で覆われている。
前面枠4は、プラスチック材料で成形されており、略中央部には、円形状の開口部4aが形成されている。この開口部4aにはガラス板等の透明板がはめ込まれており、奥側に配置される遊技盤10の盤面が視認可能となっている。また、前面枠4には、遊技効果を高めるための各種ランプ類4b〜4fが設けられている。前面枠4の下方には、上皿部5が設けられており、上皿部5の下方には下皿部6が設けられている。また、前面枠4の右側には施錠装置9が設けられており、前面枠4の左側にはプリペイドカード式の球貸装置13(CRユニット)が設けられている。
上皿部5には、皿状の凹部と、凹部を取り巻くように形成された皿外縁部5aとが設けられている。遊技球は、上皿部5に形成された凹部に投入されて、発射装置ユニット12(図5参照)に供給される。また、皿外縁部5aには、遊技球の球貸スイッチ5b、返却スイッチ5c、投入した遊技球を排出するための排出ボタンなど、各種のボタン類が設けられている。さらに、上皿部5の略中央部には複数の長孔とその上部に多数の小穴が形成された第1スピーカ5yが設けられている。また、上皿5の前面側には、2つの演出ボタンSW1,SW2が設けられている。遊技者は、これらの演出ボタンSW1,SW2を押すことによって、遊技の演出に登場するキャラクタや遊技条件を選択するなど、遊技の進行に介入することが可能となっている。
下皿部6には、パチンコ機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが設けられており、排出された遊技球は下皿部6内に貯留される。また、下皿部6の下面の左右には、第2スピーカ6cが設けられている。下皿部6の右端には発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8には、遊技者がハンドルに触れていることを検出するタッチスイッチ8aが設けられている。発射ハンドル8の回転軸は、下皿部6の奥側に搭載された図示しない発射装置ユニット12に接続されており、遊技者が発射ハンドル8を回転させると、その動きが発射装置ユニット12に伝達され、ユニットに内蔵された図示しない発射モータが回転して、回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。発射ハンドル8の左側面には、遊技者が操作して遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ8bが配置されている。
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤10の盤面構成を示す説明図である。前述したように、遊技盤10は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。図2に示すように、遊技盤10の中央には、外レール14と内レール15とによって囲まれた略円形状の遊技領域11が形成されている。
遊技領域11の略中央には中央装置26が設けられている。また、中央装置26の下方には、始動口17が設けられ、中央装置26の下方には、変動入賞装置18が設けられている。始動口17は、いわゆるチューリップ式の始動口であり、左右に一対の翼片部が開閉可能に構成されている。始動口17の内部には、遊技球の通過を検出する始動口スイッチ17s(図5参照)と、一対の翼片部を作動させるための始動口ソレノイド17m(図5参照)とが備えられている。一対の翼片部が左右に開くと、遊技球の入球可能性が大きくなる開口状態となり、一対の翼片部が直立すると、遊技球の入球可能性が小さくなる通常状態となる。
中央装置26のほぼ中央には、演出表示装置27が設けられている。演出表示装置27は、液晶画面を搭載しており、意匠図柄や背景図柄などの種々の演出用図柄を変動表示および停止表示させることが可能となっている。演出表示装置27の画面上で表示される各種の演出用図柄については後述する。
中央装置26の左下には、図柄表示装置28が設けられている。詳細な構成については後述するが、図柄表示装置28では普通図柄や特別図柄などを変動表示および停止表示させることが可能となっている。
遊技領域11の左には、普通図柄作動ゲート36が設けられており、このゲートの内部には、遊技球の通過を検出するゲートスイッチ36sが設けられている。更に、普通図柄作動ゲート36と中央装置26との間には、ランプ風車24が設けられている。これら各遊技装置の間および周辺には、多数の障害釘23が設けられている。
中央装置26の下方には大入賞装置31が設けられている。この大入賞装置31は、略長方形状に大きく開口する大入賞口31dや、大入賞口31dを開閉するための開閉扉31e、開閉扉31eを作動させるための大入賞口ソレノイド31m(図5参照)などから構成されている。後述する所定の条件が成立して開閉扉31eが開動作することで、大入賞口31dは開口状態となり、この結果、遊技球が高い確率で大入賞口31dに入球することとなって、遊技者にとって有利な遊技状態である大当り遊技状態が開始される。また、大入賞口31dの内部には、大入賞口スイッチ31sが設けられており、大入賞口31dに入賞した遊技球を検出することが可能となっている。
遊技盤10の下方にはアウト口48が設けられ、そのアウト口48の下部にはバック球防止部材58が設けられている。バック球防止部材58は、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止する機能を有している。
図3は、本実施例のパチンコ機1に搭載された図柄表示装置28の構成を示す説明図である。図示されているように、本実施例の図柄表示装置28は、略矩形の領域内に12個の小さな発光ダイオード(LED)が組み込まれて構成されている。これら12個のLEDのうちの、3個のLEDは普通図柄表示部29を構成しており、残りの9個のLEDは特別図柄表示部30を構成している。更に、普通図柄表示部29は、普通図柄を表示するための1個のLED(以下、普通図柄LED29aと呼ぶ)と、普通図柄の保留数を表示するための2個のLED(以下、普図保留表示LED29bと呼ぶ)とから構成されている。また、特別図柄表示部30は、特別図柄を表示するための7個のLED(以下、特別図柄LED30aと呼ぶ)と、特別図柄の保留数(以下、特図保留数と呼ぶ)を表示するための2個のLED(以下、特図保留表示LED30bと呼ぶ)とから構成されている。本実施例の図柄表示装置28が、これら12個のLEDを用いて、普通図柄や、特別図柄、特図保留数を表示する様子については後述する。
図4は、本実施例のパチンコ機1に搭載された演出表示装置27の画面構成を示す説明図である。前述したように、演出表示装置27は、主に液晶表示画面を用いて構成されており、液晶画面上には、3つの意匠図柄27a,27b,27cと、その背景の背景図柄27dが表示されている。このうち、3つの意匠図柄27a,27b,27cは、図3に示した特別図柄表示部30における特別図柄の表示に合わせて種々の態様で変動表示され、遊技を演出することが可能となっている。
A−3.制御回路の構成 :
次に、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成について説明する。図5は、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているようにパチンコ機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板などから構成されているが、その機能に着目すると、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御基板200と、演出用図柄やランプや効果音を用いた遊技の演出の制御を司るサブ制御基板220と、サブ制御基板220の制御の下で演出表示装置27の具体的な制御を行う演出制御基板230と、貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAMなど、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。また、図5中に示した矢印の向きは、データあるいは信号を入出力する方向を表している。尚、図5では、主制御基板200に搭載されたCPU201や、ROM202、RAM203、サブ制御基板220に搭載されたCPU221や、ROM222、RAM223、および演出制御基板230に搭載されたCPU231、ROM232のみが図示されている。
図示されているように、主制御基板200には始動口スイッチ17sや、大入賞口スイッチ31s、ゲートスイッチ36sなどが接続されており、これらの各スイッチから遊技球の検出信号を受け取って、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否を決定した後、サブ制御基板220や、払出制御基板240、発射制御基板260などに向かって、各種の動作を指令するコマンドを出力する。また、主制御基板200には、始動口17に設けられた一対の翼片部を開閉させるための始動口ソレノイド17mや、大入賞口31dを開閉させるための大入賞口ソレノイド31m、更には、普通図柄や特別図柄の変動停止表示を行う図柄表示装置28などが接続されており、各種ソレノイド17m,31m、および図柄表示装置28に向かって信号を出力することにより、これらの動作の制御も行っている。
サブ制御基板220は、主制御基板200からの各種コマンドを受け取ると、コマンドの内容を解析して、その結果に応じた遊技の演出を行う。すなわち、前述した演出表示装置27の表示制御を行う演出制御基板230に対して表示内容を指定するコマンドを出力したり、各種のスピーカ5y、6cを駆動するアンプ基板224、装飾用の各種LEDやランプを駆動する装飾駆動基板226に駆動信号を出力したりすることにより、遊技の演出を行う。
払出制御基板240は、いわゆる貸球や賞球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、遊技者が前述した上皿部5に設けられた球貸スイッチ5bや返却スイッチ5cを操作すると、操作によって生じた信号が球貸装置13に伝達される。球貸装置13は、払出制御基板240とデータをやり取りしながら、貸球の払い出しを行う。また、主制御基板200が賞球の払出コマンドを出力すると、このコマンドを払出制御基板240が受け取って、払出モータ109mに駆動信号を出力することによって賞球の払い出しが行われる。
B.遊技の概要 :
次に、上述した構成を有する本実施例のパチンコ機1で行われる遊技の概要について簡単に説明しておく。
本実施例のパチンコ機1では、次のようにして遊技が行われる。先ず、遊技者が上皿部5の凹部に遊技球を投入して発射ハンドル8を回転させると、上皿部5に投入された遊技球が、1球ずつ発射装置ユニット12に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域11に発射される。遊技球を打ち出す強さは、発射ハンドル8の回転角度によって調整することが可能となっており、遊技者は発射ハンドル8の回転角度を変化させることによって、遊技球の発射位置の狙いを付けることができる。
発射した遊技球が、遊技領域11の左側に設けられた普通図柄作動ゲート36を通過すると、図柄表示装置28において普通図柄の変動表示が開始される。図3を用いて前述したように、図柄表示装置28には普通図柄表示部29が設けられており、普通図柄表示部29には、普通図柄LED29aおよび普図保留表示LED29bが搭載されている。このうち、普通図柄LED29aを用いて普通図柄の変動表示を行う。
図6(a)は、普通図柄が変動表示している様子を概念的に示した説明図である。本実施例のパチンコ機1では、普通図柄LED29aの点滅を繰り返すことによって、普通図柄の変動表示を行う。図では、普通図柄LED29aが点灯している状態を放射状の実線で表し、消灯している状態を破線で表している。そして、点滅している普通図柄LED29aが点灯状態で停止した場合には、普通図柄の当りとなって、始動口17が所定時間(例えば0.5秒間)だけ開口状態となる。逆に、消灯状態で停止した場合には普通図柄の外れとなって、始動口17が開口することはない。
また、普通図柄の変動表示中に遊技球が普通図柄作動ゲート36を通過した場合は、この遊技球の通過が保留数として蓄えられて、現在の普通図柄の変動表示が終了した後に、変動表示が行われる。普通図柄の保留は最大4個まで蓄えることが可能となっており、蓄えられている普通図柄の保留数は、普図保留表示LED29bによって表示される。
図6(b)は、図柄表示装置28に設けられた普図保留表示LED29bによって普通図柄の保留数が表示される様子を示した説明図である。普通図柄の保留が無い場合(すなわち、保留が0個の場合)は、2個の普図保留表示LED29bは何れも消灯している。保留が1個の場合は、向かって左側の普図保留表示LED29bは消灯したままで、右側の普図保留表示LED29bが点灯する。保留が2個になると、今度は、右側の普図保留表示LED29bに加えて左側の普図保留表示LED29bが点灯する。次いで、保留が3個になると、右側の普図保留表示LED29bが点滅し、左側の普図保留表示LED29bが点灯する。更に保留が増加して上限値である4個になると、左右の普図保留表示LED29bが点滅した状態となる。このように普通図柄表示部29では、2個の普図保留表示LED29bを点灯、消灯、あるいは点滅させることによって、0個から4個までの保留数を表示することが可能となっている。
また、図3を用いて前述したように、図柄表示装置28には、特別図柄表示部30が設けられており、始動口17に遊技球が入球すると、特別図柄の変動表示を開始した後、以下に説明する何れかの図柄で停止表示するようになっている。
図7は、特別図柄の停止表示態様を概念的に示した説明図である。図3を用いて前述したように、特別図柄表示部30は7個のLEDによって構成されており、これらを点灯させることによって特別図柄を表示する。図7に示されているように、本実施例のパチンコ機1では、8通りの特別図柄の停止表示態様が設けられており、それぞれの停止表示態様に固有の点灯状態が設定されている。また、これら8種類の特別図柄の停止表示態様は、大きく3つの図柄に分類されている。先ず、図中の上段に示した3つの特別図柄の停止表示態様は「通常当り図柄」に分類されており、中段に示した3つの特別図柄の停止表示態様は「確変当り図柄」に分類されている。これら6種類の停止図柄が、いわゆる当り図柄となる。更に、下段に示した2つの特別図柄の停止表示態様は「外れ図柄」に分類されている。
特別図柄表示部30では、7個のLED(特別図柄LED30a)を所定時間にわたって点滅させることによって特別図柄の変動表示を行い、所定時間が経過すると、いずれかの停止表示態様に従って停止表示される。そして、何れかの当り図柄が停止表示された場合には、大入賞口31dが開口状態となって当り遊技が開始される。また、変動表示していた特別図柄が、図7の中段に示した「確変当り図柄」で停止表示した場合には、次の大当り遊技が発生するまで、あるいは特別図柄の変動表示が所定回数行われるまで、特別図柄が当り図柄で停止表示する確率が高確率に設定された状態(いわゆる、確率変動状態、あるいは単に確変状態)となる。ここで、本実施例では、特別図柄表示部30を7個のLEDによって構成し、これらLEDの表示パターンによって種々の当り図柄や外れ図柄を表示するものとしているが、特別図柄表示部30を1又は複数(例えば、2個)の7セグメント表示器により構成し、7セグメントの表示パターンによって種々の当り図柄や外れ図柄を表示するようにしても良い。また、普通図柄、特別図柄の保留数、普通図柄の保留数についても、LED以外の表示器(例えば、7セグメント表示器)を用いて表示するようにしても良い。
尚、始動口17に遊技球が入球したにも拘わらず、特別図柄の変動表示を開始できない場合(例えば、特別図柄が変動表示中であった場合、あるいは大当り遊技中であった場合など)であっても、始動口17に遊技球が入球したことは特別図柄の保留(特図保留)として蓄えられている。このため、特別図柄の変動表示が可能になった時点で、蓄えられていた保留を使って変動表示を行うことが可能となっている。尚、蓄えられている特図保留数については特図保留表示LED30bによって表示される。特図保留表示LED30bを用いて特別図柄の保留数を表示する態様は、図6(b)に示した普図保留表示LED29bの場合と全く同様であるため、ここでは説明は省略する。
尚、上述したように、本実施例の図柄表示装置28では、普通図柄および特別図柄の2種類の図柄を変動表示可能となっているが、本発明における図柄表示装置で変動表示される「図柄」には、図7に示した8種類の図柄が停止図柄(当り図柄または外れ図柄)として設定される特別図柄が対応している。また、本実施例の図柄表示装置28では、保留についても、普通図柄についての保留と、特別図柄についての保留とを表示可能となっているが、本発明における「保留」には、特別図柄についての保留が対応している。
上述した図柄表示装置28での特別図柄の変動表示および停止表示に合わせて、演出表示装置27では意匠図柄を用いた各種の演出が行われる。図8は、演出表示装置27で行われる演出の一態様を例示した説明図である。図4を用いて前述したように、演出表示装置27を構成する液晶表示画面には、3つの意匠図柄27a,27b,27cが表示されている。前述した図柄表示装置28で特別図柄の変動表示が開始されると、演出表示装置27においても、これら3つの意匠図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示を開始する。本実施例では、意匠図柄として「1」〜「9」までの9つの数字を意匠化した図柄が用意されている。なお、意匠図柄は、数字以外にも、文字、図形、記号等を意匠化した図柄であってもよく、遊技者が特別図柄の当否判定結果を識別できる形態であればよい。
図8(a)には、3つの意匠図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示している様子が概念的に示されている。変動表示が開始された後、所定時間が経過すると、初めに左意匠図柄27aが「1」〜「9」のいずれかの図柄で停止表示され、次いで、右意匠図柄27cが停止表示され、最後に中意匠図柄27bが停止表示される。これら演出表示装置27で停止表示される3つの意匠図柄27a,27b,27cの組合せ(停止表示態様)は、前述した図柄表示装置28で停止表示される特別図柄の組合せと連動するように構成されている。たとえば、図柄表示装置28の特別図柄が当り図柄で停止する場合は、演出表示装置27の3つの意匠図柄27a,27b,27cがすべて同じ図柄で停止表示される。特に、図柄表示装置28の特別図柄が、前述した確変当り図柄で停止する場合は、演出表示装置27の3つの意匠図柄27a,27b,27cが、奇数を表す同じ図柄で停止表示され、通常当り図柄で停止する場合は、演出表示装置27の3つの意匠図柄27a,27b,27cが、偶数を表す同じ図柄で停止表示される。これに対して、図柄表示装置28の特別図柄が外れ図柄で停止する場合は、3つの意匠図柄27a,27b,27cは同じ図柄で揃わない任意の組合せで停止表示される。
このように、図柄表示装置28で表示される特別図柄と、演出表示装置27で表示される3つの意匠図柄27a,27b,27cとは、表示内容が互いに対応しており、それぞれの表示図柄が確定する(停止表示される)タイミングも同じに設定されている。しかも、図2に示すように、図柄表示装置28よりも演出表示装置27の方が目に付き易い位置に設けられており、表示画面も大きく、表示内容も分かり易いので、遊技者は演出表示装置27の画面を見ながら遊技を行うことが通常である。従って、演出表示装置27の表示画面上で初めに停止表示される左意匠図柄27aと、続いて停止表示される右意匠図柄27cとが同じ図柄であった場合には、最後に停止表示される中意匠図柄27bも同じ図柄で停止して、いわゆる大当り遊技状態になるのではないかと、遊技者は図柄の変動を注視することになる。このように、2つの意匠図柄を同じ図柄で停止した状態(当り表示態様を構成する図柄で停止表示した状態)で、最後の図柄を変動表示させる演出は、リーチ演出と呼ばれており、リーチ演出を行うことで遊技者の興趣を高めることが可能となっている。図8(b)には、左意匠図柄27aと右意匠図柄27cとが同じ図柄で停止表示されて、リーチ演出が行われている様子が示されている。
そして、このようなリーチ演出を経て、3つの意匠図柄27a,27b,27cが全て同じ図柄で停止表示されると、大当り状態となり、大入賞口31dが開口する大当り遊技が開始される。図8(c)に示したように、本実施例のパチンコ機1では、大当り遊技の開始と共に、演出表示装置27の画面上に魔神が出現して、大当り遊技中は魔神が戦闘機と戦う場面の演出が行われ、大当り遊技が終了すると、魔神が帰っていく演出が行われるようになっている。
C.パチンコ機の制御内容 :
以下では、上述した遊技を実現するために、本実施例のパチンコ機1が行っている制御内容について詳しく説明する。
C−1.遊技制御処理 :
図9は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理の大まかな流れを示したフローチャートである。図示されているように、遊技制御処理では、賞球関連処理、普通図柄遊技処理、始動口復帰処理、特別図柄遊技処理、大当り遊技処理などの各処理が繰り返し実行されている。一周の処理に要する時間は、ほぼ4msecとなっており、従って、これら各種の処理は約4msec毎に繰り返し実行されることになる。そして、これら各処理中で、サブ制御基板220を初めとする各種制御基板に向けて、主制御基板200から各種コマンドを送信する。こうすることにより、パチンコ機1全体の遊技が進行するとともに、サブ制御基板220では、遊技の進行に合わせた演出の制御が行われることになる。以下、フローチャートに従って、主制御基板200に搭載されたCPU201が行う遊技制御処理について説明する。
主制御基板200に搭載されたCPU201は、遊技制御処理を開始すると、遊技球を賞球として払い出すための処理(賞球関連処理)を行う(S50)。かかる処理では、主制御基板200に接続された各種スイッチの中で、遊技球の入賞に関わるスイッチ(始動口スイッチ17sや大入賞口スイッチ31sなど)について、遊技球が入球したか否かを検出する。そして、遊技球の入球が検出された場合には、払い出すべき賞球数を算出した後、払出制御基板240に向かって賞球数指定コマンドを出力する処理を行う。払出制御基板240は、主制御基板200から出力された賞球数指定コマンドを受け取るとコマンドの内容を解釈し、その結果に従って、払出装置109に搭載された払出モータ109mに駆動信号を出力することにより、実際に賞球を払い出す処理を行う。
主制御基板200のCPU201は、賞球に関連する処理を行うと(S50)、今度は、普通図柄遊技処理を行うか否か、すなわち普通図柄の変動停止表示を行うか否かを判断する(S100)。かかる判断は、始動口17が開口中であるか否かを検出することによって行う。始動口17が開口中でなければ普通図柄遊技処理を行うものと判断し(S100:yes)、始動口17が開口中であれば普通図柄遊技処理は行わないものと判断する(S100:no)。そして、普通図柄遊技処理を行うと判断された場合は(S100:yes)、以下に説明する普通図柄遊技処理を行う(S150)。一方、普通図柄遊技処理を行わないと判断された場合は(S100:no)、普通図柄遊技処理(S150)はスキップする。
普通図柄遊技処理(S150)では、主に次のような処理を行う。先ず、普通図柄の保留数が存在するか否か(「0」であるか否か)を判定し、保留数が存在する場合には普通図柄の当否判定を行う。ここで、普通図柄の保留数は遊技球が普通図柄作動ゲート36を通過することにより設定されるものであり、本実施例では、その保留数の上限値を「4」としている。そして、普通図柄の当否判定の結果に基づき、普通図柄を当り図柄または外れ図柄(図6(a)参照)の何れで停止表示させるかを決定する。次いで、普通図柄の変動表示時間を設定した後、普通図柄の変動表示を開始する。そして変動表示時間が経過すると、決定しておいた図柄で普通図柄を停止表示させ、このときに、普通図柄の当り図柄が停止表示された場合には、始動口17を開口させる。
以上のようにして普通図柄遊技処理を終了したら、始動口17が開口中か否かを判断する(S190)。そして、開口中である場合は(S190:yes)、開口している始動口17を通常状態に復帰させるための処理(始動口復帰処理)を行う(S200)。一方、始動口17が開口していない場合は(S190:no)、始動口復帰処理を行う必要はないのでスキップする。
始動口復帰処理(S200)では、次の何れかの条件が満足された場合、すなわち、始動口17の開口時間が経過したか、若しくは、始動口17に規定数の遊技球が入球したかの何れかの条件が成立した場合に、開口状態になっている始動口17を通常状態に復帰させる処理を行う。尚、始動口17の開口時間は、通常の遊技状態では約0.5秒間に設定されているが、後述する開口時間延長機能が作動すると約5秒間(開口回数が1回の場合には1回の開口時間が約5秒間、あるいは開口回数が複数回の場合には複数回の開口時間の合計が約5秒間)に延長される。一方、始動口17の開口時間が経過しておらず、始動口17への入球数も規定数に達していない場合は、始動口17を開口させたまま、始動口復帰処理(S200)を終了する。
遊技制御処理では、始動口復帰処理から復帰すると、特別図柄に関連する処理を開始する。かかる処理では、後述する特別図柄遊技処理を行うための所定の条件を満足しているか否かを判断した後、所定の条件を満足していた場合には、特別図柄遊技処理を開始する。
図10は、特別図柄遊技処理を開始するか否かを判断するために行う処理(特別図柄遊技開始判断処理)の流れを示すフローチャートである。特別図柄遊技処理を開始するか否かの判断に当たっては、先ず初めに、始動口17に遊技球が入球したか否かを判断する(S302)。前述したように、始動口17の内部には、遊技球の入球を検出する始動口スイッチ17sが設けられており、遊技球が入球したことを検出することができる。
遊技球が始動口スイッチ17sを通過している場合は(S302:yes)、特別図柄の保留数(特図保留数)が上限値(本実施例では「4」)に達しているか否かを判断する(S304)。そして、特図保留数が上限値に達していなければ(S304:no)、特別図柄の当否判定乱数、当り図柄決定乱数を取得して記憶する(S306)。ここで、特別図柄の当否判定乱数は、特別図柄の当否判定を行うために用いられる乱数であり、当り図柄決定乱数は、特別図柄の当否判定結果が当りであった場合に用いられる乱数であり、停止表示させる当り図柄の種類を決定するための乱数である。また、こうして取得された当否判定乱数および当り図柄決定乱数は、主制御基板200に搭載されたRAM203に記憶される。
以上のようにして、特別図柄の新たな保留を記憶したら、特図保留数に「1」を加算する(S308)。続いて、当り保留フラグがONに設定されているか否かを判断する(S310)。当り保留フラグとは、当り保留(当否判定結果が当りとなる保留)が記憶されている場合にONに設定されるフラグである。当り保留フラグは、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスが割り当てられており、当り保留フラグがONに設定されると、RAM203の所定アドレスに「1」が書き込まれ、逆に、当り保留フラグがOFFに設定されると、「0」が書き込まれる。また、当り保留の有無は、特別図柄の保留として記憶された当否判定乱数(S306参照)に基づいて、後述する事前判定によって判断される。S310では、RAM203の所定アドレスに書き込まれている値を参照することによって、当り保留フラグがONに設定されているか否かを判断する。
そして、当り保留フラグがONに設定されていない場合は(S310:no)、特別図柄の保留として記憶された当否判定乱数および当り図柄決定乱数の事前判定を実施する(S312)。これは次のような処理である。上述した特別図柄の保留として記憶された「当否判定乱数」は、特別図柄を当り図柄または外れ図柄の何れで停止表示させるか(特別図柄の当否)を決定するために用いられ、「当り図柄決定乱数」は、当り図柄で停止表示させるのであれば、複数種類設けられた中の何れの当り図柄で停止表示させるかを決定するために用いられる。これらを決定する処理は、後述するように、図柄表示装置28で特別図柄の変動表示を開始する際に行われるのであるが、特別図柄の保留として「当否判定乱数」および「当り図柄決定乱数」が既に取得されているから(S306参照)、特別図柄の変動表示が開始される前に、これらの判定を行っておくことも可能である。図10のS312では、特別図柄の保留として「当否判定乱数」および「当り図柄決定乱数」が記憶された段階で、図柄表示装置28で特別図柄の変動表示が行われる前に、これらの乱数を用いた判定を、事前に行っておく。「当否判定乱数」および「当り図柄決定乱数」を用いた判定の内容については、後ほど詳しく説明する。
続いて、事前判定結果を表す事前判定結果コマンドを、サブ制御基板220に向かって出力する(S314)。前述したように事前判定では、特別図柄の当否および停止図柄について判定していることから、事前判定結果コマンドは、これらについての判定結果を指定するコマンドとなっている。もちろん、事前判定において、より多くの事項(例えば、後述する変動パターンなど)を決定するようにして、これらについての判定結果も、事前判定結果コマンドで指定するようにしても良い。
以上のようにして、事前判定結果コマンドをサブ制御基板220に向かって出力したら(S314)、事前判定による当否判定結果が当りか否かを判断する(S316)。そして、事前判定による当否判定結果が当りであれば(S316:yes)、上述した当り保留フラグをONに設定する(S317)。
続いて、外れ保留個数を検出して記憶しておく(S318)。外れ保留個数とは、当り保留の発生時に、既に記憶されていた外れ保留の個数である。実際には、当り保留の発生前に既に記憶されている保留は、全て外れの保留(外れ保留)なので、単純に保留の個数を検出すればよい。何故なら、上述したように、当り保留が既に記憶されていれば、当り保留フラグがONに設定されて、S310で「yes」と判断されるので、事前判定が行われることはない。事前判定が行われたということは、当り保留フラグがONに設定されていない(当り保留が記憶されていない)ということである。従って、事前判定で保留が当り保留であると判断された時点で、既に記憶されていた保留を検出すると、これらは全て外れの保留(外れ保留)となっている。図10のS318の処理を行う段階では、S308で既に当り保留も記憶されているから、その時点での保留数から「1」を減算することで、容易に外れ保留個数を検出することができる。そして、検出した外れ保留個数は、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定のアドレスに記憶する(S318)。これに対して、S316の判断で、事前判定結果が当りでないと判断された場合は(S316:no)、当り保留フラグをONにしたり、外れ保留個数を記憶する処理(S317、S318)はスキップする。
以上、当り保留フラグがONに設定されていないと判断された場合に(S310:no)、事前判定を行って(S312,S314)、その結果に応じて当り保留フラグを設定したり、外れ保留個数を記憶する処理(S316,S317,S318)について説明した。これに対して、S310の判断で、既に当り保留フラグがONに設定されていると判断された場合は(S310:yes)、重ねて当り保留フラグを設定する必要はないので、事前判定を行って当り保留フラグを設定したり、外れ保留個数を記憶するための処理(S312〜S318)はスキップする。
以上のようにして、当り保留フラグの設定や外れ保留個数の記憶に係わる一連の処理(S310〜S318)が終了したら、今度は、大当り遊技中か否かを判断する(S319)。後述する特別遊技処理は、特別図柄を変動表示させ、その変動表示される特別図柄が所定の当り図柄で停止表示された場合に、遊技者にとって有利な特別遊技である大当り遊技を開始する処理である。そして、現在、大当り遊技を行っているのであれば、重ねて大当り遊技を開始する必要はない。そこで、特別図柄の保留に関わる処理を終了したら、大当り遊技中であるか否かを判断し(S319)、大当り遊技中で無かった場合には(S319:no)、後述する特別図柄遊技処理を開始すると判断する(すなわち、S300:yes)。一方、現在、既に大当り遊技中であった場合は(S319:yes)、特別図柄遊技処理は開始しないと判断する(すなわち、S300:no)。
尚、上述した特別図柄遊技開始判断処理のS302において始動口17に遊技球が入球していないと判断された場合(S302:no)や、特別図柄の保留数が上限値に達していると判断された場合(S304:yes)は、現在の遊技状態が大当り遊技中か否かについての判断を直ちに行う(S319)。そして、大当り遊技中でなければ(S319:no)、特別図柄遊技処理を開始すると判断し(すなわち、S300:yes)、既に大当り遊技中であれば(S319:yes)、特別図柄遊技処理は開始しないと判断する(すなわち、S300:no)。
また、始動口17に遊技球が入球すると、当否判定乱数を取得して、保留として記憶する処理や、保留に基づいて特別図柄の当否を判定する処理は、主制御基板200のCPU201が、上述した特別図柄遊技開始判断処理を実施する中で行われている。従って、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明における「当否判定乱数取得手段」、「保留記憶手段」および「事前判定手段」に対応している。更に、保留が当り保留であると判断された場合に、既に記憶されている外れ保留の個数(外れ保留個数)を検出して記憶する処理も、上述した特別図柄遊技開始判断処理を実施する中で行われている。従って、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明における「外れ保留個数検出手段」にも対応している。
以上のようにして、特別図柄遊技処理を行うと判断された場合は(S300:yes)、以下に説明する特別図柄遊技処理を行う(S320)。一方、特別図柄遊技処理を行わないと判断された場合は(S300:no)、特別図柄遊技処理(S320)はスキップする。
C−2.特別図柄遊技処理 :
図11および図13は、特別図柄遊技処理の流れを示したフローチャートである。特別図柄遊技処理を開始すると、先ず初めに、特別図柄が変動中か否かを判断する(S322)。図3を用いて前述したように、本実施例のパチンコ機1では図柄表示装置28に特別図柄表示部30が設けられており、特別図柄を変動表示可能となっている。
特別図柄が変動中でない場合は(S322:no)、特別図柄の停止図柄を表示させる停止表示時間中であるか否かを判断する(S324)。すなわち、特別図柄の変動表示が終了してしばらくの期間は、特別図柄が何れの図柄で停止表示されたかを、遊技者が確認するための停止表示時間が設けられているので、この停止表示時間中か否かを判断するのである。尚、本実施例のパチンコ機1では、特別図柄の停止表示時間は、約0.6秒に設定されている。特別図柄が変動表示されておらず且つ特別図柄の停止図柄を表示している停止表示時間も経過していることが確認された場合は(S324:no)、特別図柄の保留数(特図保留数)が「0」であるか否かを判断する(S326)。前述したように特図保留数は、上限値「4」に達するまで記憶可能である。そして、特図保留数が「0」である場合には(S326:yes)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して図9に示す遊技制御処理に復帰する。一方、特別図柄保留数が「0」でない場合は(S326:no)、特別図柄の当否判定を行う処理(特別図柄当否判定処理)を開始する(S330)。
図14は、特別図柄の当否判定を行う処理の流れを示したフローチャートである。図示するように、特別図柄当否判定処理を開始すると、先ず初めに、当否判定乱数を読み出す処理を行う(S3300)。当否判定乱数とは、図10を用いて前述した特別図柄遊技開始判断処理の中で、遊技球が始動口17に入球したと判断されると、特別図柄の保留数が4個に達するまで、4個を限度として、当り図柄決定乱数とともに取得される乱数である。図14に示した特別図柄当否判定処理では、先ず初めに、予め記憶しておいた当否判定乱数の中から、最も古くに記憶された当否判定乱数を読み出す処理を行う。
次いで、現在の遊技状態が確変状態か否か、すなわち、確変フラグがセットされているか否かを判断し(S3302)、確変フラグがセットされていれば(S3302:yes)、確変用の当否判定テーブルを選択し(S3304)、確変フラグがセットされていなければ(S3302:no)、非確変用の当否判定テーブルを選択する(S3306)。ここで確変フラグとは、遊技状態が確変状態(確変機能が作動した状態)になるとセットされるフラグであり、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスが、確変フラグとして割り当てられている。また、当否判定テーブルとは、特別図柄の当否判定乱数に対応付けて、特別図柄の当否判定結果が設定されているテーブルであり、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。従って、当否判定テーブルを参照すれば、特別図柄の当否判定乱数が当りあるいは外れの何れであるかを、容易に判断することが可能である。
図15は、本実施例のパチンコ機1に記憶されている特別図柄の当否判定テーブルを例示した説明図である。図15(a)には非確変用の当否判定テーブルが示されており、図15(b)には確変用の当否判定テーブルが示されている。図示するように、当否判定テーブルには、特別図柄の当否判定乱数に対応付けて、「当り」あるいは「外れ」の当否判定結果が設定されている。また、図15(a)と図15(b)とを比較すれば明らかなように、図15(b)に示した確変用の当否判定テーブルは、図15(a)に示した非確変用の当否判定テーブルよりも多くの乱数に、「当り」の当否判定結果が設定されている。従って、確変用の当否判定テーブルには、非確変用の当否判定テーブルよりも多くの当り乱数が設定されていることになる。
次いで、先に読み出した当否判定乱数に基づいて、選択した当否判定テーブルを参照することにより、特別図柄の当否判定結果が「当り」であるか否かを判断する(S3308)。上述したように、確変状態の時に参照する確変用の当否判定テーブルは、確変状態ではないときに参照する非確変用の当否判定テーブルに比べて、多くの「当り乱数」が設定されていることから、確変中は非確変中よりも高い確率で「当り」の当否判定結果が発生することになる。
そして、特別図柄の当否判定結果が当りと判断された場合には(S3308:yes)、当否判定乱数とともに記憶されていた当り図柄決定乱数を読み出した後(S3310)、特別図柄の当り図柄を決定する処理を行う(S3312)。特別図柄の当り図柄は、当り図柄決定乱数に基づいて、当り図柄決定テーブルを参照することによって決定する。
図16は、特別図柄の当り図柄を決定するために参照される当り図柄決定テーブルを例示した説明図である。図7を用いて前述したように、本実施例では、特別図柄の当り図柄として、通常当り図柄、確変当り図柄のそれぞれに3つずつ、全部で6つの図柄が設定されている。このことと対応して、図16に示した当り図柄決定テーブルには、当り図柄決定乱数に対応付けて、これら6つの特別図柄の停止図柄(当り図柄)が設定されている。また、図16に示されているように、それぞれの当り図柄に対しては、「通常当り」あるいは「確変当り」の何れかの当り種類が設定されている。
例えば、当り図柄決定乱数が0〜50の乱数値に対しては、3つの通常当り図柄のうちの1つの図柄が設定されており、この当り図柄に対応する当り種類としては、通常当りが設定されている。ここで、通常当りとは、大当り遊技の終了後に確変機能が作動しない、いわゆる時短遊技状態が開始される当り態様である。また、乱数値103〜164の当り図柄決定乱数に対しては、3つの確変当り図柄のうちの1つの図柄が設定されている。ここで、確変当りとは、大当り遊技の終了後に確変機能が作動する、いわゆる確変遊技状態が開始される当り態様である。図14に示した特別図柄当否判定処理のS3312では、当否判定乱数とともに記憶されていた当り図柄決定乱数に基づいて、図16に示す当り図柄決定テーブルを参照することにより、特別図柄の当り図柄(および当りの種類)を決定する処理を行う。
一方、特別図柄の当否判定結果が「外れ」であった場合は(図14のS3308:no)、外れ図柄を決定する処理を行う。外れ図柄を決定するに際しては、先ず、外れ図柄決定乱数を取得する(S3314)。続いて、外れ図柄決定乱数に対して外れ図柄が予め設定された外れ図柄決定テーブル(図示は省略)を参照することにより、取得した外れ図柄決定乱数に対応する外れ図柄を決定する(S3316)。尚、始動口17に遊技球が入球したときに取得される「当り図柄決定乱数」を、当り図柄および外れ図柄の何れの決定にも用いる「図柄決定乱数」とする場合には、外れ図柄決定乱数を用いる必要はない。また、外れ図柄の種類を一種類とした場合にも、外れ図柄決定乱数は不要となる。
以上に説明したように、図13に示した特別図柄当否判定処理では、特別図柄の保留の発生時に記憶された当否判定乱数および当り図柄決定乱数を読み出して、特別図柄の当否判定を行うとともに、当否判定結果が当りの場合には、当り図柄および当りの種類を決定する処理を行った後、図11の特別図柄遊技処理に復帰する。尚、上述した特別図柄当否判定処理は、主制御基板200のCPU201が行っていることから、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明における「当否判定手段」に対応している。
図11に示されるように、特別図柄遊技処理では、特別図柄の当否判定処理(S330)から復帰すると、続いて、特別図柄の変動パターンを決定する処理を開始する(S332)。ここで、特別図柄の変動パターンとは、特別図柄を変動表示させる態様のことである。尚、特別図柄を変動表示させるとはいっても、図7に示した8種類の表示態様を次々と切り換えながら表示するだけなので、特別図柄の変動パターンは、実質的には、特別図柄を変動表示させる時間に対応している。もっとも、前述したように本実施例のパチンコ機1では、図柄表示装置28で行われる特別図柄の変動表示と、演出表示装置27で行われる意匠図柄27a,27b,27cの変動表示とは互いに連動していることから、特別図柄の変動パターンを決定すると、意匠図柄27a,27b,27cが変動表示される時間(演出時間)も決定される。そして、その変動表示の時間の範囲内で、具体的な変動表示(演出表示)の内容がサブ制御基板220によって決定されることになる。
図17は、特別図柄の変動パターンを決定するために行う変動パターン決定処理の流れを示すフローチャートである。変動パターン決定処理(S332)を開始すると、先ず始めに、特別図柄の当否判定結果が当りであるか否かを判断する(S3320)。そして、当否判定結果が当りであった場合には(S3320:yes)、大当り時変動パターンテーブル設定処理を開始する(S500)。また、当否判定結果が外れであった場合には(S3320:no)、外れ時変動パターンテーブル設定処理を開始する(S550)。ここで、変動パターンテーブルとは、変動パターンを決定するための乱数(変動パターン決定乱数)に対応付けて、変動パターンが設定されたテーブルである。変動パターン決定乱数を取得して、変動パターンテーブルを参照すれば、その乱数に対応付けて設定されている変動パターンを1つ決定することができる。また、変動パターンテーブルは、当否判定結果が当りの場合と外れの場合とでは、異なるテーブルが用いられる。そこで、図17に示した変動パターン決定処理では、当否判定結果が当りか否かを判断して(S3320)、当りであれば(S3320:yes)、当否判定結果が当りの場合に用いられる変動パターンテーブルを選択する処理(大当り時変動パターンテーブル選択処理)を行う(S500)。また、当否判定結果が外れであれば(S3320:no)、外れの場合に用いられる変動パターンテーブルを選択する処理(外れ時変動パターンテーブル選択処理)を行う(S550)。
図18は、大当り時変動パターンテーブル選択処理を示すフローチャートである。図示されるように、大当り時変動パターンテーブル選択処理では先ず初めに、特殊変動フラグがONに設定されているか否かを判断する(S502)。ここで、特殊変動フラグとは、後述する大当り遊技が終了すると、特別図柄の変動表示およびそれに続く停止表示が所定回数行われるまでの間、ONに設定されるフラグである。特殊変動フラグも、上述した他のフラグ(当り保留フラグや、確変フラグなど)と同様に、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスが割り当てられており、所定アドレスに「1」を書き込むと、特殊変動フラグがONに設定される。特殊変動フラグをONに設定する処理の詳細については、後ほど詳しく説明する。図18に示した大当り時変動パターンテーブル選択処理のS502では、RAM203の所定アドレスを参照することによって、特殊変動フラグがONに設定されているか否かを判断する。その結果、特殊変動フラグがONに設定されていないと判断された場合は(S502:no)、通常の大当り用変動パターンテーブルを選択する(S504)。これに対して、特殊変動フラグがONに設定されていると判断された場合は(S502:yes)、特殊変動を行うための大当り用変動パターンテーブルを選択する(S506)。すなわち、本実施例のパチンコ機1では、大当り用の変動パターンテーブルにも2種類のテーブルが設定されており、大当り時変動パターンテーブル選択処理では、特殊変動フラグの設定によって、何れかの変動パターンテーブルを選択する処理を行っている。
図19は、特殊変動フラグがOFFの場合に用いられる通常時大当り用変動パターンテーブルを例示した説明図である。図示されているように、通常時大当り用変動パターンテーブルには、0〜255の変動パターン決定乱数に対応付けて、HP01〜HP04の4種類の変動パターンが記憶されている。また、各変動パターンには、特別図柄の変動時間が1つずつ設定されている。
図20は、特殊変動フラグがONの場合に用いられる特殊変動時大当り用変動パターンテーブルを例示した説明図である。図20(a)に例示されているように、特殊変動時大当り用変動パターンテーブルには、HP91〜HP94の4種類の変動パターンが記憶されている。しかし、この特殊変動時大当り用変動パターンテーブルは、その他の変動パターンテーブルとは異なって、変動パターン決定乱数を取得しても1つの変動パターンに絞ることはできない。当り保留が発生したときに既に記憶されていた外れ保留の個数(外れ保留個数)を用いて、初めて1つの変動パターンを決定することが可能となっている。例えば、始動口17に遊技球が入球したときに保留が記憶されておらず、直ちに当否判定が行われて当りと判定され、特別図柄の変動表示が開始される場合には、外れ保留個数は「0」個となるので、変動パターンはHP91に決定される。また、始動口17に遊技球が入球したときに3つの保留が記憶されており、4つめの保留として当り保留が記憶された場合には、外れ保留個数は「3」個となって、変動パターンはHP94に決定される。
これらHP91〜HP94の各変動パターンには、それぞれの変動時間が設定されている。図20(b)に示されるように、これら各変動パターンに設定された変動時間と、外れ保留個数との間は、一定の関係が成り立つように設定されている。すなわち、HP91の変動時間(12.4秒)を基準として、当り保留発生時の外れ保留個数が増えるに従って、一定の固定時間(3秒)ずつ、変動時間が短くなるように設定されている。例えば、HP93は外れ保留個数が2個の場合に対応する変動パターンであるから、基準の変動時間(12.4秒)から、固定時間(3秒)×外れ保留個数(2個)を減算した時間(6.4秒)が、変動時間として設定されている。そして、この固定時間(3秒)は、後述するように特殊変動フラグがONに設定されている状態で、特別図柄の当否判定結果が外れの場合の変動時間(2.4秒)に、図柄の停止表示時間(0.6秒)を加えた時間となっている。このような時間に設定する理由については、後ほど詳しく説明する。
尚、図19に示した通常時大当り用変動パターンテーブル、および図20に示した特殊変動時大当り用変動パターンテーブルは、主制御基板200に搭載されたROM202に予め記憶されている。
また、図20に示した特殊変動時大当り用変動パターンテーブルは、実際には、外れ保留個数が決まれば、変動パターン決定乱数とは無関係に変動パターンを決定することが可能となっていた。しかし、特殊変動時大当り用変動パターンテーブルとしては、少なくとも外れ保留個数が分からなければ変動パターンを決定することができないテーブルであれば良く、例えば、変動パターン決定乱数と外れ保留個数とが決まって、初めて変動パターンを決定することが可能なテーブルであっても構わない。
図18に示した大当り時変動パターンテーブル選択処理では、ROM202に記憶されている変動パターンテーブルの中から、特殊変動フラグの設定に応じて対応する変動パターンテーブルを選択すると、処理を終了して、図17の変動パターン決定処理に復帰する。
一方、図17の変動パターン決定処理を開始した直後に、当否判定結果が外れと判断された場合には(S3320:no)、外れ時変動パターンテーブル選択処理を開始する(S550)。
図21は、外れ時変動パターンテーブル選択処理を示すフローチャートである。外れ時変動パターンテーブル選択処理においても、先ず初めに、特殊変動フラグがONに設定されているか否かを判断する(S552)。特殊変動フラグがONに設定されていない場合は(S552:no)、続いて、時短フラグがONに設定されているか否かを判断する(S554)。ここで、時短フラグとは、時短機能が作動している場合にONに設定されるフラグである。また、時短機能とは、特別図柄の変動時間を短縮する機能であり、大当り遊技が終了すると、所定の終了条件が成立するまで、時短機能が働くようになっている。時短フラグも、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスが割り当てられており、所定アドレスに「1」を書き込むと、時短フラグがONに設定される。時短フラグをONに設定する処理の詳細については、後ほど詳しく説明する。
図21の外れ時変動パターンテーブル選択処理のS552では、RAM203の所定アドレスを参照することによって、時短フラグがONに設定されているか否かを判断する。その結果、時短フラグがONに設定されていると判断された場合は(S552:yes)、時短時外れ用変動パターンテーブルを選択する(S556)。
図22は、時短時外れ用変動パターンテーブルを例示した説明図である。図示されているように、時短時外れ用変動パターンテーブルには、0〜255の変動パターン決定乱数に対応付けて、HP11〜HP14の4種類の変動パターンが記憶されている。また、時短機能が作動していることに対応して、各変動パターンに設定されている変動時間は、短めの時間となっている。
これに対して、時短フラグがOFFに設定されていると判断された場合は(S552:no)、リーチ演出を行うか否かを判断する(S558)。リーチ演出を行うか否かの判断は、リーチ演出を行うか否かを決定するための乱数(リーチ演出決定乱数)を取得することによって行う。そして、取得したリーチ演出決定乱数が、予め設定しておいた所定の乱数値に該当していれば、リーチ演出を行うものと判断して(S558:yes)、リーチあり外れ用変動パターンテーブルを選択する(S560)。一方、リーチ演出決定乱数が、所定の乱数値に該当していなければ、リーチ演出は行わないものと判断して(S58:no)、リーチ無し外れ用変動パターンテーブルを選択する(S562)。
図23は、リーチあり外れ用変動パターンテーブルを例示した説明図である。また、図24は、リーチ無し外れ用変動パターンテーブルを例示した説明図である。リーチあり外れ用変動パターンテーブルには、HP21〜HP24の4種類の変動パターンが記憶されており、リーチ無し外れ用変動パターンテーブルには、HP31〜HP34の4種類の変動パターンが記憶されている。これらの各変動パターンに設定されている変動時間は、図22に示した時短時外れ用変動パターンテーブルに設定されている変動時間よりも、長めの時間となっている。また、特に、図23のリーチあり外れ用変動パターンテーブルに設定されている変動時間は、リーチ演出が行われることに対応して、図24のリーチ無し外れ用変動パターンテーブルに較べても、長めの時間が設定されている。
一方、図21の外れ時変動パターンテーブル選択処理を開始した直後の判断で、特殊変動フラグがONに設定されていると判断された場合は(S552:yes)、特殊変動時外れ用変動パターンテーブルを選択する(S564)。
図25は、特殊変動時外れ用変動パターンテーブルを例示した説明図である。図示されているように、特殊変動時外れ用変動パターンテーブルには、HP99の1種類の変動パターンのみが記憶されており、従って、変動時間も1種類の時間(2.4秒)のみが設定されている。
尚、図22〜図25に示した各種の外れ用変動パターンテーブルは、主制御基板200に搭載されたROM202に予め記憶されている。
また、図25に示した特殊変動時外れ用変動パターンテーブルには、1種類の変動パターンのみが設定されており、その結果として変動時間も1種類の時間のみが設定されている。しかし、特殊変動時大当り用変動パターンテーブルとしては、変動時間が1種類となれば良く、例えば、複数種類の変動パターンが設定されているが、何れの変動パターンにも同じ変動時間が設定されているようなテーブルであっても構わない。
図21に示した外れ時変動パターンテーブル選択処理では、ROM202に記憶されている変動パターンテーブルの中から、特殊変動フラグや、時短フラグの設定、あるいはリーチ演出を行うか否かに応じて、図22〜図25の各種変動パターンテーブルの中から対応する変動パターンテーブルを選択すると、処理を終了して、図17の変動パターン決定処理に復帰する。
図17に戻り、変動パターンテーブルを選択したら(S500、S550)、変動パターン決定乱数を取得する(S3322)。続いて、選択しておいた変動パターンテーブルを参照することにより、変動パターンを決定した後(S3324)、図17の変動パターン決定処理を終了して、図11の特別図柄遊技処理に復帰する。尚、変動パターン決定乱数の取得は、遊技球が始動口17に入球したタイミングで行っても良く、具体的には、図10のS306の処理で当否判定乱数および当り図柄決定乱数とともに取得しても良い。この場合、S3322の処理では、当否判定乱数および当り図柄決定乱数とともに予め記憶した変動パターン決定乱数の中から、最も古くに記憶された変動パターン決定乱数を読み出す処理を行うこととなる。
次に、図11に示すように特別図柄遊技処理では、変動パターン決定処理(S332)から復帰すると、図柄表示装置28における特別図柄の変動表示を開始した後(S340)、特別図柄保留数から「1」を減算する(S342)。そして、特別図柄の変動パターンを指定するコマンド(特別図柄変動パターン指定コマンド)と、特別図柄の停止図柄を指定するコマンド(停止図柄指定コマンド)とを、サブ制御基板220に向かって出力する(S344、S346)。
続いて、前述した特殊変動フラグがONに設定されているか否かを判断する(図12のS3470)。そして、特殊変動フラグがONに設定されていた場合は(S3470:yes)、特殊変動カウンタから「1」を減算する(S3472)。ここで、特殊変動カウンタとは、特殊変動フラグがONに設定された後、OFFに戻されるタイミングを検出するために用いられるカウンタである。すなわち、特殊変動フラグは、大当り遊技が終了するとONに設定され、特別図柄の変動表示およびそれに続く停止表示が所定回数行われると、OFFに戻されるフラグである。このことに対応して、後述するように大当り遊技が終了すると、特殊変動フラグがONに設定されるとともに、特殊変動カウンタに所定の値が設定される。この特殊変動カウンタは、特別図柄の変動表示が行われる度に1つずつ減少して、特殊変動カウンタの値が「0」になったら、特殊変動フラグがOFFに設定される。
特殊変動フラグがONに設定されているということは、特殊変動カウンタの値が未だ「0」に達していないことを意味している。そこで、図12の特別図柄遊技処理のS3470で、特殊変動フラグがONに設定されていると判断された場合には(S3470:yes)、特殊変動カウンタから「1」を減算するのである(S3472)。そして、特殊変動カウンタが「0」に達したか否かを判断して(S3474)、「0」に達していれば(S3474:yes)、特殊変動フラグをOFFに設定する(S3476)。次いで、特殊変動フラグがOFFになったことを示すコマンド(特殊変動終了コマンド)をサブ制御基板220に向かって出力した後(S3478)、図12の特別図柄遊技処理を終了して、図9の遊技制御処理に復帰する。これに対して、特変動カウンタが「0」に達していない場合は(S3474:no)、そのまま、図12の特別図柄遊技処理を終了して、図9の遊技制御処理に復帰する。
尚、始動口17に遊技球が入球して、少なくとも1つの保留が記憶されている状態で、特別図柄の変動表示が行われていない場合に、変動表示を開始する処理は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、図11の特別図柄遊技処理を実行する中で行われている。従って、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明における「変動表示手段」に対応している。
サブ制御基板220のCPU221は、このようにして主制御基板200から出力された特別図柄の変動パターン指定コマンドおよび停止図柄指定コマンドを受け取ることにより、図柄表示装置28で変動表示される特別図柄の変動時間や、特別図柄の停止図柄などについての情報を知ることができる。そこで、これらの情報に基づいて、演出表示装置27で行われる演出態様(意匠図柄27a,27b,27cの変動表示態様、あるいは背景図柄27dによる演出態様)を決定して、決定した演出態様を指示する制御コマンドを演出制御基板230へ向けて出力する。こうすることにより、図柄表示装置28で行われる特別図柄の変動表示および停止表示に合わせて、演出表示装置27においても各種の演出表示が行われる。
以上、特別図柄が変動表示していない場合(すなわち、図11のS322:noの場合)に、特別図柄遊技処理で行われる詳細な処理について説明した。一方、特別図柄が変動中に、図11の特別図柄遊技処理が開始された場合は、最初に行うS322の判断で、特別図柄が変動中であると判断される(S322:yes)。この場合は、既に、特別図柄の変動パターンと停止図柄とが決定されて、特別図柄の変動が開始されている場合に該当する。そこで、特別図柄変動時間が経過したか否かを判断する(S348)。特別図柄の変動時間は変動パターンに応じて予め定められているので、特別図柄の変動を開始すると同時にタイマをセットすることにより、所定の変動時間が経過したかを判断することができる。そして、未だ変動時間が経過していない場合は(S348:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して、図9に示す遊技制御処理に復帰する。
これに対して、変動時間が経過したと判断された場合は(S348:yes)、特別図柄を停止表示させることを示すコマンド(図柄停止コマンド)をサブ制御基板220に向かって出力する(S350)とともに、図柄表示装置28で変動表示されている特別図柄を、予め設定しておいた図柄で停止表示させる(S352)。次いで、特別図柄を停止表示させる時間(停止表示時間)を設定した後(S354)、設定した停止表示時間が経過したか否かを判断する(S356)。前述したように本実施例のパチンコ機1では、特別図柄の停止表示時間は、約0.6秒に設定されている。そして、停止表示時間が経過していなければ(S356:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して図9に示す遊技制御処理に復帰する。
一方、特別図柄の停止表示時間が経過した場合は(S356:yes)、停止表示された特別図柄が、図7に示した何れかの当り図柄であるか否かを判断する(図13のS358)。そして、停止表示された図柄が、当り図柄であった場合は(S358:yes)、大当り遊技を開始することを表す大当りフラグをONに設定する(S360)。大当りフラグとは、大当り遊技を開始することを示すフラグであり、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスが大当りフラグに割り当てられている。そして、この所定アドレスの値を「1」に設定すると、大当りフラグがONとなる。
続いて、当り保留フラグをOFFに設定する設定する(S361)。図10の特別図柄遊技開始判断処理の中で説明したように、当り保留フラグとは、記憶された保留に対して事前判定が行われて(図10のS312)、その保留が当り保留であると判断された場合に、ONに設定されるフラグである。図13の特別図柄遊技処理のS360で、大当りフラグがONに設定されたということは、当り保留が消化されたことを示しているから、当り保留フラグをOFFに戻しておくのである。
その後、大当り遊技を開始することを示すコマンド(大当り開始コマンド)をサブ制御基板220に向かって出力した後(S362)、確変フラグがONか否かを判断する(S364)。確変フラグがONに設定されている場合は(S364:yes)、現在の遊技状態が確変状態であって確変機能および時短機能が作動していると判断できる。そこで、確変フラグをOFFに設定(すなわち、確変フラグの値を「1」から「0」に変更)することによって確変機能の作動を停止させるとともに(S366)、時短フラグもOFFに設定(すなわち、時短フラグの値を「1」から「0」に変更)することによって時短機能の作動も停止させる(S368)。ここで、時短フラグとは、時短機能が作動している場合にONに設定されるフラグであり、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスが、時短フラグとして割り当てられている。
一方、確変フラグがONに設定されていなかった場合は(S364:no)、時短フラグがONに設定されているか否かを判断し(S372)、時短フラグがONに設定されていた場合は(S372:yes)、時短機能を停止させるべく時短フラグをOFFにする(S368)。また、本実施例のパチンコ機1では、時短機能が作動している場合は、始動口17(普通電動役物)の開口時間を延長する機能(開口延長機能)も働いている。そこで、時短フラグをOFFにして時短機能を停止したら(S368)、開口延長機能も停止させるべく、開口延長フラグをOFFにした後(S370)、図11および図13に示した特別図柄遊技処理を抜けて、図9の遊技制御処理に復帰する。一方、当り図柄が停止表示したときに、確変フラグも時短フラグも何れもONに設定されていなかった場合は(S364:no、S372:no)、そのまま特別図柄遊技処理を抜けて、遊技制御処理に復帰する。
以上、図柄表示装置28で停止表示された特別図柄が当り図柄であった場合(S358:yes)の処理について説明したが、当り図柄でなかった場合(外れ図柄であった場合)は(S358:no)、次のような処理を行う。
まず、現在の遊技状態が時短遊技中か否か、すなわち時短フラグがONか否かを判断する(S374)。そして、時短フラグがONであった場合は(S374:yes)、時短カウンタから「1」を減算した後(S376)、時短カウンタが「0」に達したか否かを判断する(S378)。前述したように本実施例のパチンコ機1では、「確変当り」または「通常当り」の何れの場合にも特別遊技の終了後に時短機能が作動する遊技状態(確変状態または時短状態)が開始され、次の大当り遊技状態が発生するか、もしくは特別図柄が所定回数変動するまでは継続する。このことと対応して、後述するように大当り遊技が終了する際には、時短カウンタに所定回数が設定されるようになっている。そこで、現在の遊技状態が、時短機能が作動する遊技中(すなわち、時短フラグがONに設定されている)と判断された場合は(S374:yes)、時短カウンタから「1」を減算した後(S376)、時短カウンタの値が「0」に達したか否か、換言すれば、時短カウンタに設定された回数だけ、特別図柄の変動表示が行われたか否かを判断するのである(S378)。尚、後述するように、時短カウンタには、当りの種類が通常当りであった場合には「100」回が設定され、確変当りであった場合には「10000」回が設定される。
そして、時短カウンタが「0」に達したか否かを判断して(S378)、時短カウンタが「0」に達していれば(S378:yes)、時短機能を停止させるべく時短フラグをOFFにし(S368)、続いて、普通電動役物の開口延長機能も停止させるべく開口延長フラグもOFFにした後(S370)、図11および図13に示した特別図柄遊技処理を抜けて、図9の遊技制御処理に復帰する。一方、時短カウンタが「0」に達していなければ(S378:no)、時短機能および開口延長機能が作動した状態を維持したまま(時短フラグおよび開口延長フラグをONに設定したまま)、特別図柄遊技処理を抜けて、図9の遊技制御処理に復帰する。
尚、特別図柄の変動表示を開始するとともに、当否判定結果に応じて停止図柄を決定して、変動中の特別図柄を停止表示させる処理は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、図11および図13の特別図柄遊技処理を実行する中で行われている。また、特殊変動フラグがONに設定されている場合には、図20の特殊変動時大当り用変動パターンテーブル、あるいは図25の特殊変動時外れ用変動パターンテーブルを参照することにより、当り図柄または外れ図柄に応じた変動時間を設定する処理も、図11および図13の特別図柄遊技処理の中で変動パターンを設定することによって行われている。従って、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明における「変動時間決定手段」および「停止表示手段」に対応している。
図9に示すように、遊技制御処理では、特別図柄遊技処理から復帰すると、大当りフラグがONに設定されているか否かを判断する(S390)。前述したように大当りフラグは、特別図柄が当り図柄で停止表示するとONに設定されるフラグである。そして、大当りフラグがONに設定されていれば(S390:yes)、主制御基板200に搭載されたCPU201は、以下に説明する大当り遊技処理を開始する(S400)。一方、大当りフラグがONに設定されていなければ(S390:no)、大当り遊技処理(S400)はスキップして、遊技制御処理の先頭に戻り、前述した賞球関連処理(S50)以降の一連の処理を繰り返す。
C−3.大当り遊技処理 :
図26は、大当り遊技処理の前半部分を示すフローチャートである。また、図27は、大当り遊技処理の後半部分を示すフローチャートである。このような大当り遊技処理が実行されることによって、特別遊技(いわゆる大当り遊技)が行われる。以下、図26および図27を参照しながら大当り遊技処理について説明するが、その準備として、大当り遊技と呼ばれる遊技の内容について簡単に説明しておく。
図2を用いて前述したように、遊技盤の下方には大入賞口31dが設けられており、この大入賞口31dは通常の遊技状態では閉鎖されている。しかし、大当り遊技が開始されると、大入賞口31dが開口状態となる。大入賞口31dは他の入賞口に比べて大きく開口するため、大入賞口31dが開口状態になると、遊技球が高い確率で入球することになる。開口された大入賞口31dは、所定の開口時間が経過するか、あるいは所定数の遊技球が入球すると一旦閉鎖されるが、所定の閉鎖時間が経過すると再び開口状態となる。また、大入賞口31dが開口してから閉鎖するまでの遊技は、「ラウンド遊技(あるいは単にラウンド)」と呼ばれる。こうしたラウンド遊技を繰り返して、所定回数のラウンド遊技を消化したら大当り遊技が終了する。以下、上述した大当り遊技を実行するために、主制御基板200のCPU201が行う大当り遊技処理について、図26および図27を参照しながら説明する。
主制御基板200のCPU201は、大当り遊技処理(S400)を開始すると先ず初めに、大入賞口31dが開口中か否かを判断する(S402)。大入賞口31dは、通常の遊技状態では閉鎖されており、従って大当り遊技の開始直後は、大入賞口31dは閉鎖状態となっている。そこで、大入賞口31dは開口中ではないと判断して(S402:no)、大入賞口31dの開口回数(すなわち、ラウンド回数)が所定回数に達したか否かを判断する(S404)。前述したように大当り遊技中には、大入賞口31dが開口して、所定回数のラウンド遊技が繰り返されることになっている。このことに対応して、大入賞口31dが閉鎖されている場合は(S402:no)、大入賞口31dの開口回数(ラウンド遊技の回数)が所定回数に達したか否かを判断する(S404)。
当然のことながら、大当り遊技が開始された直後は、大入賞口31dの開口回数は所定回数に達していないから(S404:no)、大入賞口31dの閉鎖時間が経過したか否かを判断する(S406)。大入賞口31dの閉鎖時間とは、ラウンドとラウンドとの間で大入賞口31dが閉鎖状態となっている時間である。大当り遊技が開始された直後は、大入賞口31dは閉鎖状態となっているから、当然、大入賞口31dの閉鎖時間が経過していると判断され(S406:yes)、大入賞口31dを開口させて新たなラウンド遊技を開始する(S408)。そして、開始したラウンド遊技が何ラウンド目のラウンド遊技かをサブ制御基板220に対して指定するコマンド(ラウンド数指定コマンド)を出力した後(S410)、図26に示した大当り遊技処理を一旦終了して、図9の遊技制御処理に復帰する。
主制御基板200のCPU201は遊技制御処理に復帰すると、図9に示したように、賞球関連処理(S50)以降の一連の各種処理を行った後、再び大当り遊技処理(S400)を開始する。前述したように、図9に示した遊技制御処理を、主制御基板200のCPU201が一回、実行するために要する時間は、約4msecとなっている。従って、図26および図27に示した大当り遊技処理も、約4msec毎に実行されることになる。そして、特別遊技が開始されて、図26および図27の大当り遊技処理が初めて実行された場合には、前述したようにS408において大入賞口31dを開口させて、そのまま処理を終了するが、約4msec後に2周目の処理を行う場合には、S402にて、大入賞口31dが開口中(S402:yes)と判断されることになる。
次いで、大入賞口31dの開口時間が所定時間に達したか否かを判断する(S412)。前述したように、大当り遊技では、大入賞口31dが開口状態となるが、開口時間が所定時間に達するか、または大入賞口31dに所定数の遊技球が入球すると閉鎖される。このことに対応して、S412では大入賞口31dの開口時間が所定時間に達したか否かを判断する。そして、開口時間が所定時間に達していれば(S412:yes)、大入賞口31dを閉鎖した後(S416)、図26に示した大当り遊技処理を抜けて、図9の遊技制御処理に復帰する。一方、開口時間が所定時間に達していない場合は(S412:no)、大入賞口31dに入球した遊技球が規定数に達しているか否かを判断する(S414)。そして、遊技球が規定数に達した場合は(S414:yes)、大入賞口31dを閉鎖する(S416)。これに対して、規定数に達していない場合は(S414:no)、大入賞口31dの開口時間が未だ所定時間に達しておらず、しかも大入賞口31dに入球した遊技球も規定数に達していないことになるので、大入賞口31dを開口させたまま、図26に示した大当り遊技処理を抜けて、図9の遊技制御処理に復帰する。
図9の遊技制御処理を何回も繰り返し実行しているうちに、大入賞口31dの開口時間が所定時間に達するか(S412:yes)、もしくは大入賞口31dに規定数数の遊技球が入球して(S414:yes)、大入賞口31dが閉鎖される(S416)。こうして、1回のラウンド遊技が終了する。そして、次に大当り遊技処理が実行された時には、S402において大入賞口31dが閉鎖中と判断され(S402:no)、所定回数のラウンド遊技が終了したか否かが判断され(S404)、全てのラウンド遊技が終了していなければ(S404:no)、大入賞口の閉鎖時間が所定時間に達したことを確認した後(S406:yes)、再び大入賞口31dを開口状態として新たなラウンド遊技を開始した後(S408)、ラウンド数指定コマンドをサブ制御基板220に向かって出力する(S410)。一方、S404において、所定回数のラウンド遊技が終了したと判断された場合は(S404:yes)、大当り遊技を終了させるべく、大当りフラグをOFFに変更する(S418)。
以上のようにして大当り遊技を終了させたら、その大当り遊技を開始することとなった当り図柄が、確変当り図柄であったか否かを判断する(図27のS422)。そして、確変当り図柄であった場合は(S422:yes)、前述した時短カウンタに「10000」を設定し(S424)、確変フラグをONに設定する(S426)。これに対して、当り図柄が確変当り図柄でなかった場合は(S422:no)、時短カウンタに「100」を設定する(S423)。また、この場合は、確変フラグをONに設定する処理は行わない。
こうして、大当り遊技を開始することとなった当り図柄に応じて、時短カウンタを設定し(S423,S424)、あるいは確変フラグをONに設定する処理を行ったら(S426)、続いて、大当り遊技の終了後に時短機能および普通電動役物の開口延長機能を作動させるべく、時短フラグおよび開口延長フラグをONに設定する(S428、S430)。
その後、特殊変動フラグをONに設定するとともに(S432)、特殊変動開始コマンドを、サブ制御基板220に向かって出力する(S434)。ここで、特殊変動開始コマンドとは、次のようなことを示すコマンドである。図18に示した大当り時変動パターンテーブル選択処理の中で説明したように、特殊変動フラグがONに設定されていた場合には、一般的な変動パターンテーブルとは異なる特殊な変動パターンテーブル(図20参照)が選択される。また、図21に示した外れ時変動パターンテーブル選択処理においても同様に、特殊変動フラグがONに設定されると、図25に示す特殊な変動パターンテーブルが選択される。このように特殊変動フラグがONに設定されている間は、特殊な変動パターンテーブルを参照して変動パターンが決定される結果、特別図柄は特殊な態様で変動することになる。特殊変動開始コマンドとは、特殊変動フラグがONに設定された結果、特別図柄が特殊な態様で変動表示される期間が開始されることとなった旨を、サブ制御基板220に連絡するコマンドである。
以上のようにして、特殊変動フラグをONに設定し(S432)、特殊変動開始コマンドを出力したら(S434)、特殊変動カウンタに「30」回を設定する(S436)。そして、図26および図27に示す大当り遊技処理を終了して、図9の遊技制御処理に復帰する。このように、本実施例のパチンコ機1では、大当り遊技が終了すると、特殊変動フラグがONに設定されるので、それ以降に特別図柄が変動表示される際には、外れの図柄変動に対しては図25の変動パターンテーブルを参照し、当りの図柄変動に対しては図20の変動パターンテーブルを参照して決定された変動パターンに従って、特別図柄の変動表示が行われることになる。また、変動パターンを決定する度に、特殊変動カウンタの値が1つずつ減少する(図17のS3328)。そして、特殊変動カウンタの値が「0」まで減少したら、図19、あるいは図22〜図24に例示するような、一般的な変動パターンテーブルを参照して変動パターンが決定されるようになる。
尚、大当り遊技(特別遊技)は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、上述した大当り遊技処理を実行することによって行われている。従って、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明における「特別遊技実行手段」に対応している。
主制御基板200に搭載されたCPU201は、以上のような遊技制御処理を繰り返して行うことにより、パチンコ機1の遊技を進行させている。すなわち、始動口17に遊技球が入球して保留が発生する度に、前述した事前判定を行って(図10のS312)、事前判定の結果を示すコマンドを、サブ制御基板220に出力する(図10のS314)。また、特別図柄を変動表示させる際には、それに先立って、変動パターン指定コマンドおよび停止図柄指定コマンドをサブ制御基板220に出力し(図11のS344、S346)、特別図柄を停止表示させる際には、図柄停止コマンドを出力する(図11のS350)。そして、停止表示した特別図柄が当り図柄であった場合は、大当り遊技を行い、大当り遊技の終了時には、特殊変動フラグをONに設定するとともに(図27のS432)、サブ制御基板220に向かって特殊変動開始コマンドを出力する(図27のS434)。サブ制御基板220に搭載されたCPU221は、このように主制御基板200から出力される各種コマンドに従って、演出表示装置27の液晶画面や、各種スピーカら出力される効果音、各種ランプ類などを用いた演出を実行する。従って、演出の内容は、主制御基板200から出力されるコマンドの種類、およびコマンドが出力されるタイミングによって、大きく左右される。もちろん、主制御基板200から出力されるコマンドの種類、およびタイミングは、パチンコ機1で行われる遊技の進行によって大きく変化するから、サブ制御基板220のCPU221によって行われる演出の内容は、このような変化に対応可能とするために、内容に関して制約を受けることが通常である。
ところが、本実施例のパチンコ機1では、特殊変動フラグがONに設定されている間は、図20あるいは図25に示すような特殊な変動パターンテーブルを用いて、変動パターンが決定されるようになっている。このため、事前判定で当り保留が発生したと判断された場合に、その後の遊技の進行による影響をあまり受けることなく、効果的な演出を行うことが可能となっている。以下では、こうしたことを実現するために、サブ制御基板220のCPU221が行う制御内容、および、上記の効果が得られる理由について詳しく説明する。
D.遊技演出処理 :
図28は、本実施例のサブ制御基板220に搭載されたCPU221が遊技の演出を行うために実行する遊技演出処理の前半部分を示したフローチャートである。また、図29は、遊技演出処理の後半部分を示したフローチャートである。図28に示されるように、遊技演出処理(S1000)を開始すると、CPU221は先ず初めに、主制御基板200から特殊変動開始コマンドを受け取ったか否かを判断する(S1002)。前述したように、特殊変動開始コマンドとは、特殊変動フラグがONに設定された結果として、特別図柄が特殊な態様で変動表示される期間が開始されることとなった旨を指定するコマンドである。図27を用いて前述したように、主制御基板200は大当り遊技を終了する際に、特殊変動フラグをONに設定するとともに(図27のS432)、サブ制御基板220に向かって特殊変動開始コマンドを出力する(S434)。サブ制御基板220のCPU221は、遊技演出処理を開始すると、先ず初めに、主制御基板200からの特殊変動開始コマンドを受け取ったか否かを判断する。
その結果、特殊変動開始コマンドを受け取ったと判断された場合は(図28のS1002:yes)、大当り遊技が終了して特別図柄が特殊な態様で変動表示される期間が開始されたことを示しているので、これに合わせて、サブ制御基板220のCPU221は、演出表示装置27の液晶画面を特殊変動用の背景図柄27dに切り換える(S1004)。もっとも、演出表示装置27の具体的な制御は、演出制御基板230のCPU231が行っているから、サブ制御基板220のCPU221は、S1004の処理では、液晶画面の背景を特殊変動用の画像に切り換える旨のコマンドを出力する。すると、演出制御基板230のCPU231は、演出制御基板230のROM232に記憶されている特殊変動用の背景図柄27dの画像を読み出して、液晶画面に表示することによって、演出表示装置27の画面が、特殊変動用の背景図柄27dに切り換わるようになっている。
図30は、演出表示装置27の画面上に特殊変動用の背景図柄が表示された様子を例示した説明図である。図8を用いて前述したように、大当り遊技が発生すると、演出表示装置27の画面上では、魔神が出現して戦闘機と戦う演出が行われ、大当り遊技が終了すると、魔神が去っていく演出が行われる。これを受けて、大当り遊技後に発生する特殊変動用の背景図柄では、図30(a)に例示するように、魔神が立ち去った後のピラミッドの上に、「始動口に球を入れて魔神を呼んで下さい!!」というメッセージが、暫くの間表示され、その後は、図30(b)に例示したように、ピラミッドの上を風が吹き抜けるような画像が表示される。
また、演出表示装置27の画面の表示を、上述した特殊変動用の背景図柄に切り換えたら(S1004)、特殊変動用の画面に切り換わっていることを示すフラグ(サブ制御用の特殊変動フラグ)をONに設定しておく(S1006)。尚、特殊変動フラグは主制御基板200にも設定されているので、このフラグと区別するために、「サブ制御用の」特殊変動フラグと称している。もっとも、主制御基板200の特殊変動フラグとサブ制御用の特殊変動フラグとは全く同じ動きをし、一方の特殊変動フラグのON/OFFが切り換わると、これに合わせて他方の特殊変動フラグもON/OFFが切り換わるので、2つの特殊変動フラグを特に区別して扱う必要はない。サブ制御用の特殊変動フラグは、サブ制御基板220に搭載されたRAM223の所定アドレスが割り当てられている。
続いて、図28の遊技演出処理では、主制御基板200から変動パターン指定コマンドおよび停止図柄指定コマンドを受け取ったか否かを判断する(S1008)。尚、S1002の判断で、特殊変動開始コマンドを受け取っていないと判断されていた場合は(S1002:no)、図30に例示したような特殊変動用の背景図柄を表示することなく、直ちに、変動パターン指定コマンドおよび停止図柄指定コマンドを受け取ったか否かの判断を行う(S1008)。その結果、これらのコマンドを受け取ったと判断された場合には(S1008:yes)、図柄表示装置28で特別図柄の変動表示が開始されると判断できるので、これに合わせて、演出表示装置27の液晶画面上でも演出用図柄(すなわち、意匠図柄27a,27b,27cや背景図柄27d)の変動表示を開始するべく、図柄の変動態様を決定する(S1010)。演出用図柄の変動態様は、主制御基板200からコマンドによって指定される変動パターン、および特別図柄の停止図柄に応じて決定される。
図31は、サブ制御基板220のCPU221が、演出用図柄の変動態様を決定する様子を示した説明図である。主制御基板200から指定された変動パターンが、HP01〜HP34の何れかの変動パターンであった場合には、図31(a)に例示したように、画面のほぼ中央に表示されたピラミッドの背景図柄27dの上で、3つの意匠図柄27a,27b,27cが変動表示する態様に決定される。3つの意匠図柄27a,27b,27cの変動時間は、指定された変動パターンに対応する時間に決定される。また、停止図柄指定コマンドによって指定された図柄が当り図柄であれば、3つの意匠図柄27a,27b,27cが同じ図柄で停止し、指定された図柄が外れ図柄であれば、3つの意匠図柄27a,27b,27cの中の少なくとも1つが異なる任意の図柄組み合わせで停止するように決定される。更に、指定された変動パターンがHP01〜HP04、あるいはHP21〜HP24の何れかであった場合には、リーチ状態を経て、最後の意匠図柄が停止する態様に決定される。
一方、主制御基板200から指定された変動パターンが、HP91〜HP94の何れかであった場合には、図31(b)に例示したように、画面の右下隅に小さく表示された3つの意匠図柄27a,27b,27cが変動表示する態様に決定される。意匠図柄27a,27b,27cの変動時間は、変動パターンに対応する時間に決定される。尚、図31(b)に示されるように、変動パターンがHP91〜HP94であった場合には、変動パターンに対しては意匠図柄27a,27b,27cのみの変動態様が決定され、背景図柄27dの変動態様が決定されることはない。ちなみに、図20に示されるように、変動パターンHP91〜HP94は、特殊変動フラグがONに設定された状態で、特別図柄が当り図柄で停止表示される際に出力される変動パターンである。
また、主制御基板200から指定された変動パターンが、HP99であった場合には、図31(c)に例示したように、画面の右下隅に小さく表示された3つの意匠図柄27a,27b,27cが変動表示され、画面のほぼ中央には「COME BACK」という文字を意匠化した図形が浮かんでは消える様子が、背景図柄27dとして表示される態様に決定される。尚、意匠図柄27a,27b,27cの変動時間は、変動パターンに対応する時間に決定される。また、図25に示されるように、変動パターンHP99は、特殊変動フラグがONに設定された状態で、特別図柄が外れ図柄で停止表示される際に出力される変動パターンである。
図28に示した遊技演出処理のS1010では、主制御基板200から指定された変動パターンおよび停止図柄に応じて、以上のようにして、演出表示装置27の画面上で演出用図柄を変動表示させる態様を決定する。そして、決定した態様を指定するコマンドを、演出制御基板230に出力することによって、演出用図柄を変動表示させる演出を開始する(S1012)。
続いて、サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200から図柄停止コマンドを受け取ったか否かを判断する(S1014)。図11を用いて前述したように、主制御基板200のCPU201は、変動パターン指定コマンドおよび停止図柄指定コマンドを出力して特別図柄の変動表示を開始した後、変動時間が経過すると、変動表示している特別図柄を停止表示させ、この際に、サブ制御基板220に向かって図柄停止コマンドを出力する(図11のS350)。従って、サブ制御基板220が変動パターン指定コマンドおよび停止図柄指定コマンドを受け取って(図28のS1008:yes)、演出表示装置27の画面上で演出用図柄の変動演出(図31参照)を開始していれば(S1012)、やがて主制御基板200から図柄停止コマンドを受け取るので、S1014で「yes」と判断して、演出表示装置27の画面上で行われている演出用図柄の変動演出を終了する(S1016)。前述したように、演出表示装置27の具体的な制御は演出制御基板230のCPU231が行っているので、サブ制御基板220のCPU221は、図柄変動演出を終了する旨のコマンドを演出制御基板230に出力することによって、演出を終了させる。
こうして演出用図柄の変動演出を終了させた後(S1016)、あるいは主制御基板200からの図柄停止コマンドを未だ受け取っていなかった場合は(S1014:no)、今度は、当り保留の発生を示す事前判定結果コマンドを受け取ったか否かを判断する(図29のS1018)。ここで事前判定結果コマンドとは、特別図柄の保留に対して行われた事前判定の結果を示すコマンドである。図10を用いて前述したように、主制御基板200では、始動口17に遊技球が入球して保留が発生する度に事前判定が行われ、保留の当否などを判定する事前判定結果を示す事前判定結果コマンドがサブ制御基板220に出力される(図10のS312,S314)。そこで、図29の遊技演出処理では、当り保留の発生を示す事前判定結果コマンドが、主制御基板200から送られてきたか否かを判断する(S1018)。その結果、当り保留の事前判定結果コマンドを受け取っていた場合は(S1018:yes)、今度は、サブ制御用の特殊変動フラグがONに設定されているか否かを判断する(S1020)。前述したように、サブ制御用の特殊変動フラグとは、演出表示装置27の画面の表示が、図30に例示した特殊変動用の画面に切り換わっているか否かを示すフラグであり、サブ制御用の特殊変動フラグがONになっていれば、特殊変動用の画面に切り換わっていることを示している。
そこで、図29のS1020において、サブ制御用の特殊変動フラグがONになっていると判断された場合は(S1020:yes)、特定演出を開始する(S1022)。ここで、特定演出とは、演出表示装置27の画面上で一定時間の動画が再生されるような特別な演出である。尚、ここでは特定演出として、動画の再生を主体とした内容の演出が行われる場合について説明するが、特定演出とは予め定められた一定時間に亘って行われる演出であれば十分であり、必ずしも動画の再生を主体とする演出で無くても構わない。また、特定演出が行われる一定時間を、以下では特に「特定時間」と呼ぶことにする。本実施例のパチンコ機1では、特定時間は約13秒に設定されている。この値は、図20に示すように外れ保留個数(当り保留が発生したときに既に記憶されていた外れ保留の個数)が0個の場合の変動時間(約12.4秒)に、特別図柄の停止表示時間(約0.6秒)を加えた時間となっている。
図32は、演出表示装置27の液晶画面上で行われる特定演出を例示した説明図である。図示した特定演出では、画面に表示されたピラミッドの後方から、巨大な魔神が次第に近付いてくる動画が、特定時間かけて再生される。
以上のようにして特定演出を開始したら(図29のS1022)、今度は、特定演出の開始後から特定時間が経過したか否かを判断する(S1024)。特定時間とは、上述したように、特定演出が開始されてから終了するまでに要する一定の時間である。そして、特定時間が経過していれば(S1024:yes)、演出制御基板230に向かって特定演出の終了を指定するコマンドを出力することにより、特定演出を終了させる(S1026)。
尚、S1018において、主制御基板200から当り保留の事前判定結果を受け取っていないと判断された場合や(S1018:no)、S1020において、サブ制御用の特殊変動フラグがONに設定されていないと判断された場合は(S11020:no)、特定演出が開始されていないので、S1024では、特定演出開始後の特定時間は経過していないと判断される(S1024:no)。
続いて、サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200から特殊変動終了コマンドを受け取ったか否かを判断する(S1028)。図12を用いて前述したように、主制御基板200では、特殊変動フラグがONになっている間は(図12のS3470:yes)、特別図柄が停止表示される度に特殊変動カウンタの値を「1」ずつ減算して(S3472)、特殊変動カウンタの値が「0」に達すると(S3474:yes)、特殊変動フラグをOFFに設定するとともに(S3476)、サブ制御基板220に向かって特殊変動終了コマンドを出力する(S3478)。このことと対応して、サブ制御基板220のCPU221は、図28および図29の遊技演出処理の中で、主制御基板200から特殊変動終了コマンドを受け取ったか否かを判断して、特殊変動終了コマンドを受け取っていた場合は(S1028:yes)、特殊変動用の背景画像の表示を終了させるとともに(S1030)、サブ制御用の特殊変動フラグをOFFにした後(S1032)、再び遊技演出処理の先頭に戻って、上述した一連の処理を繰り返す。また、主制御基板200からの特殊変動終了コマンドを受け取っていないと判断された場合は(S1028:no)、直ちに遊技演出処理の先頭に戻って、上述した一連の処理を繰り返す。
尚、当り保留が発生した場合に、演出表示装置27の画面上で特定時間の動画を再生することにより、特定演出を行う処理は、サブ制御基板220に搭載されたCPU221が、上述した遊技演出処理を実行ことによって行われている。従って、本実施例のサブ制御基板220に搭載されたCPU221は、本発明における「特定演出実行手段」に対応している。
本実施例のパチンコ機1では、以上に説明した処理を、主制御基板200およびサブ制御基板220で繰り返して実行している。その結果、当り保留が発生した時の遊技状況に作用されることなく、効果的な演出を行うことが可能となっている。以下では、この理由について詳しく説明する。
図33は、本実施例のパチンコ機1で当り保留が発生することにより、特定演出が行われる様子を示した説明図である。図33(a)には、大当り遊技の終了後、外れ保留の個数が「0」であって、特別図柄の外れが発生することなく、直ちに特別図柄の当りが発生する場合が例示されている。現実には頻繁に発生するケースではないが、理解の便宜を図るため、もっとも単純なケースについて説明する。
大当り遊技が終了すると、主制御基板200から特殊変動開始コマンドが出力されるので(図27のS434参照)、これを受けて演出表示装置27の液晶画面上には、図30に例示したような特殊変動用の背景画像が表示される(図28のS1004参照)。その後、始動口17に遊技球が入球して事前判定が行われ(図10のS312参照)、サブ制御基板220が受け取った事前判定結果が、当り保留の発生を示す判定結果であった場合には、図32に例示した特定演出が開始される(図29のS1022参照)。尚、特定演出が開始されるには、サブ制御用の特殊変動フラグがONに設定されている必要があるが(図29のS1020参照)、サブ制御用の特殊変動フラグは、主制御基板200から特殊変動開始コマンドを受け取った段階でONに設定されている(図28のS1006参照)。
続いて、主制御基板200では、図11〜図13を用いて前述した特別図柄遊技処理が行われ、変動パターンが決定されて特別図柄の変動表示が開始されるとともに(図11のS330〜S340)、変動パターンや停止図柄に関する情報がサブ制御基板220に出力される(図11のS334、S346)。ここでは、特殊変動フラグがONに設定されている状態で当否判定結果が当りとなるので、図20に示した変動パターンテーブルが選択され、更に、外れ保留個数(当り保留が発生したときに記憶されていた外れ保留の個数)が0個であるから、変動パターンはHP91となる。また、主制御基板200から指定された変動パターンがHP91であった場合には、サブ制御基板220は演出表示装置27の画面上での図柄変動態様として、図31(b)に示すように、画面の右下隅で小さな3つの意匠図柄27a,27b,27cが変動表示する態様を決定する。その結果、演出表示装置27の画面上では、図32に示した特定演出の動画を背景として、3つの小さな意匠図柄27a,27b,27cが、画面の右隅で変動表示する演出が行われることになる。
また、前述したように特定演出の動画が再生される時間(特定時間)は、約13秒に設定されており、この時間は、変動パターンHP91に対する変動時間(12.4秒)と、図柄の停止表示時間(0.6秒)とを加算した時間となっている。このため、図33(a)に示したように、演出表示装置27の画面上では、魔神が登場する特定演出の動画が再生されている間、画面の右下隅で、3つの意匠図柄27a,27b,27cが変動表示する演出が行われ、そして、当り態様の図柄で停止表示されて、停止表示時間が経過すると同時に、特定演出の動画が再生し終わって、大当り遊技の発生に伴う演出が開始されることになる。図33(a)では、当り保留が発生したタイミングを星印で表し、星印の続く矩形は、当り保留が発生したことを受けて、特定演出が行われていることを表している。更に、その下に隣接して設けられた斜線付きの矩形は、画面の右下隅で小さな3つの意匠図柄が当り変動していることを表している。
尚、特定演出の動画再生が終了してから、大当り遊技の発生に伴う演出が開始されるまでの間には、若干の保持時間が設けられており、保持時間の間は、特定演出の動画再生が終了した状態で、画面の表示が保持されるようになっている。このような保持時間が設けられている理由については後述する。
以上の説明を踏まえて、より現実的なケース、すなわち、大当り遊技の終了後、外れ変動が何度か発生した後、当り保留が発生するケースについて説明する。図33(b)には、大当り遊技の終了後、何度かの外れ変動を経て当りが発生する場合に、特定演出が行われる様子が示されている。
このようなケースでも、図33(a)を用いて説明したケースと同様に、大当り遊技が終了すると、演出表示装置27の液晶画面上には、図30に例示した特殊変動用の背景画像が表示される(図28のS1004参照)。その後、始動口17に遊技球が入球する度に、主制御基板200では、変動パターンが決定されて特別図柄の変動表示が開始される(図11のS330〜S340)。大当り遊技終了後で、当否判定結果が外れの場合には、図25に示した変動パターンテーブルが用いられるので、変動パターンは必ずHP99に決定される。また、変動パターンHP99に対する演出表示装置27の画面上での変動態様としては、図31(c)に示す態様に決定される。その結果、演出表示装置27の画面上では、図30に示した画像が表示されている状態で、特別図柄が外れ変動する度に、図31(c)に示す図柄、すなわち、画面の中央では「COME BACK」という文字が浮かんでは消えるとともに、画面の右下隅では3つの小さな意匠図柄27a,27b,27cが変動表示されることになる。図33(b)には、大当り遊技の終了後、外れ変動が行われる度に、演出表示装置27の画面上で、上述した演出が行われる様子が示されている。図33(b)中で、斜線が付された破線の矩形は、3つの小さな意匠図柄27a,27b,27cが変動表示する様子を表している。
このように外れ変動が繰り返されているうちに、やがて当り保留が発生すると、主制御基板200からサブ制御基板220に向かって、当り保留の発生を示す事前判定結果コマンドが出力されて(図10のS314)、演出表示装置27の画面上では、魔神が登場する動画(特定演出)の再生が開始される。また、当り保留の発生時に既に外れ保留が記憶されている場合は、それら外れ保留に対応する外れ変動が行われる。図33(b)には、当り保留の発生後、特定演出の動画を背景として、図31(c)に示す態様で外れ変動が行われている様子が示されている。
そして、全ての外れ保留が消化されると、今度は、当り保留の消化に伴う図柄変動が開始される。このときの変動パターンは、図20に示した変動パターンテーブルを参照して、外れ保留個数(当り保留発生時に記憶されていた外れ保留の個数)に基づいて決定される。ここでは外れ保留個数が2個であるとすると、変動パターンはHP93と決定され、変動時間は6.4秒に設定される。また、サブ制御基板220のCPU221は、変動パターンHP93を指定するコマンドを受け取ると、演出表示装置27の画面上での変動態様として、図31(b)に示す態様を決定する。その結果、図33(b)に示すように、魔神が登場する特定演出の動画を背景として、図31(b)に示す態様で、3つの意匠図柄27a,27b,27cが変動表示する演出が行われることになる。
ここで、図20に示したように、変動パターンHP93に対応する変動時間は、6.4秒間である。また、図25に示したように、外れ保留を消化するときの変動時間は、2.4秒であり、これに図柄停止時間の0.6秒を考慮すると、外れ保留を1つ消化するために3.0秒を要することになる。従って、2つの外れ保留を消化するための時間(6秒)に、当り保留に対応する図柄変動の時間(6.4秒)を加算すると12.4秒となる。このことから、3つの意匠図柄27a,27b,27cを当り態様で停止表示させて、0.6秒の停止表示時間が経過すると、ちょうどそのタイミングで、特定演出の動画再生が終了することになる。図33(b)には、当り保留に伴う当り変動の終了後、0.6秒の停止表示時間が経過したタイミングで、特定演出の動画再生が終了する様子が示されている。
図33(a)を用いて説明したケースと、図33(b)を用いて説明したケースとを比較すれば明らかなように、当り保留が発生したときの状況は全く異なっている。それに伴って、3つの意匠図柄27a、27b、27cの変動表示態様は大きく異なっているにも拘わらず、その背景では、全く同じ特定演出が行われている。換言すれば、当り保留の発生状況に影響されることなく、当り保留の発生に伴う特定演出を行うことが可能となっている。
こうしたことは、図33に示した2つのケースに限らず、どのようなケースに対しても当て嵌まる。例えば、図33(b)では、当り保留発生時の外れ保留個数が、2個である場合について説明した。これに対して、外れ保留個数が3個であった場合には、当り保留の発生を受けて13秒の特定演出(動画の再生)が開始され、その後、3つの外れ保留が消化された後、当り保留に対応する図柄変動が開始される。上述したように、1個の外れ保留を消化するために要する時間は3秒であるから、特定演出を開始した後、3個の外れ保留を消化して、当り保留に対応する図柄変動を開始するまでに、9秒の時間がかかることになる。一方、当り保留発生時の外れ保留個数が3個の場合は、図20に示されるように、当り保留を消化する際の変動パターンはHP94となり、変動時間は3.4秒となる。すなわち、外れ保留個数が2個の場合の変動時間(6.4秒)よりも3秒だけ短くなっており、この時間は、外れ保留1個を消化するための時間と等しくなっている。このため、当り保留発生時の外れ保留個数が2個から3個に増加しても、その分だけ、当り保留の図柄変動(当り変動)が停止表示されるまでの時間が短くなって、結局は、特定演出の開始後、同じタイミングで、当り態様の図柄が停止表示されることになる。
上述した説明は、当り保留発生時の外れ保留個数が1個の場合、あるいは0個の場合にも、全く同様に成立する。すなわち、外れ保留個数が1個になると、2個の場合に比べれば、外れ保留を消化するために要する時間が3秒だけ短くなるが、その時間だけ、当り変動の変動時間が長く設定される。また、外れ保留個数が0個の場合には、外れ保留を消化するために要する時間が6秒だけ短くなるが、その時間だけ、当り変動の変動時間が長く設定される(図20参照)。このように、本実施例のパチンコ機1では、当り保留が発生した後は、外れ保留の消化に要する時間を一定の固定時間(3秒)に設定するとともに、当り発生時に記憶されていた外れ保留の消化に要する時間を、当り保留の消化に要する時間で打ち消すことによって、当り保留が発生したときの外れ保留個数に係わらず、当り保留に対応する図柄変動(当り変動)が終了するタイミングが、常に同じタイミングとなっている。このため、どのような遊技状況で当り保留が発生した場合でも、それらに影響されることなく、特定演出を行うことが可能となり、その結果、何ら制約を受けることなく、効果的な演出を行うことが可能となるのである。
以上、本発明について各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。