以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.パチンコ機の装置構成:
A−1.装置前面側の構成:
A−2.遊技盤の構成:
A−3.中央装置の構成:
A−4.制御回路の構成:
B.遊技の概要:
C.制御の概要:
C−1.遊技制御処理:
C−2.特別図柄遊技処理:
C−2−1.左特別図柄関連処理:
C−2−2.右特別図柄関連処理:
C−3.特別電動役物遊技処理:
D.演出制御処理:
A.パチンコ機の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例の遊技機1の正面図である。図1に示すように、遊技機1の前面部は、大きくは、前面枠4、上皿部5、下皿部6、遊技盤10などから構成されている。なお、図1では遊技盤10の詳細な図示を省略している。前面枠4は、図示しない中枠3に取り付けられており、中枠3は図示しない本体枠2に取り付けられている。中枠3はプラスチック材料で成形されており、本体枠2の内側に取り付けられている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、遊技機1の外枠を形成している。前面枠4の一端は、中枠3に対して回動可能に軸支されており、中枠3の一端は本体枠2に対して回動可能に軸支されている。遊技盤10は、中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられており、その前面側が前面枠4で覆われている。
前面枠4は、プラスチック材料で成形されており、略中央部には、円形状の開口部4aが形成されている。この開口部4aにはガラス板等の透明板がはめ込まれており、奥側に配置される遊技盤10の盤面が視認可能となっている。また、前面枠4には、遊技効果を高めるための各種ランプ類4b〜4fが設けられている。
前面枠4の下方には、上皿部5が設けられており、上皿部5の下方には下皿部6が設けられている。また、前面枠4の右側には施錠装置9が設けられており、前面枠4の左側にはプリペイドカード式の球貸装置13(CRユニット)が設けられている。
上皿部5には、皿状の凹部と、凹部を取り巻くように形成された皿外縁部5aとが設けられている。遊技球は、上皿部5に形成された凹部に投入されて、発射装置ユニット12(図5参照)に供給される。また、皿外縁部5aには、遊技球の球貸スイッチ5b、返却スイッチ5c、投入した遊技球を排出するための排出ボタンなど、各種のボタン類が設けられている。さらに、上皿部5の略中央部には複数の長孔とその上部に多数の小穴が形成された第1スピーカ5yが設けられている。更に、上皿部5の手前側(遊技者側)には、2つの操作スイッチSW1,SW2が設けられている。遊技者は、このスイッチを押すことによって、遊技中に遊技条件を変更するなど、遊技の進行に介入することが可能となっている。
下皿部6には、遊技機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが設けられており、排出された遊技球は下皿部6内に貯留される。また、下皿部6の下面の左右には、第2スピーカ6cが設けられている。
下皿部6の右端には発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8には、遊技者がハンドルに触れていることを検出するタッチスイッチ8aが設けられている。発射ハンドル8の回転軸は、下皿部6の奥側に搭載された図示しない発射装置ユニット12に接続されており、遊技者が発射ハンドル8を回転させると、その動きが発射装置ユニット12に伝達され、ユニットに内蔵された図示しない発射モータが回転して、回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。発射ハンドル8の左側面には、遊技者が操作して遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ8bが配置されている。
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤10の盤面構成を示す説明図である。前述したように、遊技盤10は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。図2に示すように、遊技盤10の中央には、外レール14と内レール15とによって囲まれた略円形状の遊技領域11が形成されている。
遊技領域11の略中央には中央装置40が設けられている。中央装置40は、後述するように、可動役物や、各種図柄の表示装置、演出用のランプ類などが組み込まれて構成されており、遊技の進行状況に応じて、役物が動いたり、各種図柄が変動表示したり、あるいはランプ類が点灯するようになっている。中央装置40の構成については、別図を用いて詳しく説明する。
中央装置40の上方には、上始動口(普通電動役物)17が設けられている。上始動口(普通電動役物)17は、左右に一対の翼片部が開閉可能に構成されたいわゆるチューリップ式の始動口である。上始動口17の内部には、遊技球の通過を検出する上始動口(普通電動役物)スイッチ17s(図6参照)と、翼片部を作動させるための普通電動役物(始動口)ソレノイド17m(図6参照)とが備えられている。一対の翼片部が左右に開くと、遊技球の入球可能性が大きくなる開口状態となり、一対の翼片部が直立して、遊技球の入球可能性が小さくなる通常状態となる。上始動口17に遊技球が入球すると、所定個数の遊技球が賞球として払い出されるとともに、中央装置40に設けられた各種図柄の表示装置では、入球が契機となって図柄の変動表示が開始されるようになっている。
中央装置40の下方には、大入賞口31dが設けられている。大入賞口31dは、通常時は、遊技球が入球不能な状態に閉鎖されているが、後述する所定の条件が成立すると開口状態となり、この結果、遊技球が高い確率で大入賞口31dに入球することとなって、遊技者にとって有利な遊技状態である大当り遊技状態(特別遊技状態と呼ばれることもある)が開始される。また、大入賞口31dの内部には、大入賞口スイッチ31s(図6参照)が設けられており、大入賞口31dに入賞した遊技球を検出することが可能となっている。
大入賞口31dの左右には、二つずつ合計で四つの入球口が設けられており、これらの入球口に遊技球が入球すると、所定個数の遊技球が賞球として払い出されるようになっている。また、これら四つの入球口の中の一つの入球口(本実施例では、遊技者側から見て大入賞口31dの直ぐ左側に設けられた入球口)は、遊技球が入球することによって中央装置40に設けられた各種図柄の変動表示が開始される始動口となっている。尚、以下では、前述した上始動口17と区別するために、中央装置40の下方(大入賞口31dの側方)に設けられた始動口を下始動口18と呼ぶことにする。また、入球口の中で、始動口ではない入球口を指す場合には、一般入球口19と呼ぶことにする。尚、本実施例の上始動口17が、本発明における「第1始動口」に該当しており、下始動口18が、本発明における「第2始動口」に該当している。
遊技領域11の左端(中央装置40の左側)には、上始動口作動ゲート36が設けられており、このゲートの内部には、遊技球の通過を検出するゲートスイッチ36sが設けられている。更に、上始動口作動ゲート36の下方にも、一般入球口19が一つも受けられている。また、上始動口17の斜め上方左右にもランプ風車24が一つずつ設けられ、遊技領域11の下端には、アウト口35が設けられている。これら各遊技装置の間および周辺には、多数の障害釘23が設けられている。尚、本実施例の上始動口作動ゲート36は、本発明における「通過ゲート」に該当している。
A−3.中央装置の構成 :
図3は、本実施例の遊技機1に搭載された中央装置40の大まかな構成を示す説明図である。本実施例の中央装置40は、硬質樹脂によって形成された枠体41に、可動役物部や、図柄表示部、演出用ランプ部などが一体に組み込まれて構成されている。図3では、可動役物部50に粗い斜線を付して表示している。本実施例の可動役物50部は、メッキ処理が施されたコインが回転する動作を行うようになっている。また、可動役物部50の左右には図柄表示部42が設けられている。図柄表示部42は、可動役物部50の左右にそれぞれ7個ずつ設けられた合計14個の発光ダイオード(LED)によって構成されており、それぞれのLEDは、赤色および緑色で点灯させることが可能となっている。図3では、図柄表示部42は、黒く塗り潰して表示されている。
また、可動役物部50の上方には、演出表示部46が設けられている。図3では、演出表示部46は、細かい斜線を付すことによって表されている。その他、演出表示部46の上方および左右、更には図柄表示部42の左右には、演出用ランプ部52が設けられている。図3では、これら演出用ランプ部52は、太い実線で表されている。
図4は、図柄表示部42の詳細な構成を示した説明図である。図3を用いて前述したように、図柄表示部42は、合計14個のLEDによって構成されているが、これらLEDは、大きく2つの表示部に区分することができる。先ず、可動役物部50の左側に設けられた7個のLEDは左図柄表示部43を構成している。左図柄表示部43は、中央装置40の上方に設けられた上始動口17に対応する図柄表示部である。この左図柄表示部43を構成する7個のLEDのうち、上から5つのLEDは、上始動口17に遊技球が入球すると変動表示を行う左特別図柄表示部43aとなっており、残りの2つのLEDは、左特別図柄表示部43aの変動表示中に上始動口17に遊技球が入球したときに、その入球を保留として蓄えておくための左特別図柄保留表示部43bとなっている。図4(a)には、左図柄表示部43を構成する左特別図柄表示部43a、および左特別図柄保留表示部43bが示されている。左特別図柄保留表示部43bのLEDは、上始動口17への入球に対応する保留が1つ増えるたびに点灯または点滅するもので、最大4つまで保留を蓄えることが可能となっている。尚、本実施例の左特別図柄保留表示部43bのLEDは、保留1のときは1個のLEDが点灯し、保留2のときは2個のLEDが点灯し、保留3のときは2個のLEDのうち1個のLEDが点灯して残り1個のLEDが点滅し、保留4のときは2個のLEDが点滅するように構成されている。
同様に、可動役物部50の右側に設けられた7個のLEDは、右図柄表示部44を構成している。右図柄表示部44は、中央装置40の左斜め下方に設けられた下始動口18に対応する図柄表示部である。この右図柄表示部44を構成する7個のLEDのうち、上から5つのLEDは、下始動口18に遊技球が入球すると変動表示を行う右特別図柄表示部44aとなっており、残りの2つのLEDは、右特別図柄保留表示部44bとなっている。図4(b)には、右図柄表示部44を構成する右特別図柄表示部44a、および右特別図柄保留表示部44bが示されている。右特別図柄保留表示部44bも4つのLEDから構成されていることから明らかなように、下始動口18への入球に対応する保留も、最大4つまで蓄えることが可能となっている。尚、右特別図柄保留表示部44bの表示態様は、左特別図柄保留表示部43bと同じである。
尚、上述したように、保留には、上始動口17への入球に対する保留と、下始動口18への入球に対する保留とが存在している。そこで以下では、上始動口17に対する保留は左特別図柄保留と呼び、下始動口18に対する保留は右特別図柄保留と呼んで区別することにする。
図5は、演出表示部46の詳細な構成を示した説明図である。演出表示部46も、大きく3つの表示部に区分することができる。図5(a)は、演出表示部46を構成する第1の演出表示部47を、粗いハッチングを付すことによって表示している。図示されているように、第1の演出表示部47は、演出表示部46の中で、最も広い面積を有する表示部であり、内部には3個のいわゆる7セグメントLEDが組み込まれている。この第1の演出表示部47は、原則的には、図4(a)に示した左特別図柄表示部43aの変動表示と同期して、3つの7セグメントLEDが変動表示を行うようになっている。
第1の演出表示部47の下方には、赤色または緑色で点灯可能な複数(本実施例では8個)のLEDから構成される第2の演出表示部48が設けられている。図5(b)では細かいハッチングを施すことによって、第2の演出表示部48を表示している。この第2の演出表示部48は、原則的には、図4(b)に示した右特別図柄表示部44aの変動表示と同期して、種々のパターンでLEDが点灯しながら変動表示を行うようになっている。
更に、第2の演出表示部48の左右には、2個ずつ(合計4個)のLEDから構成される保留演出表示部49が設けられている。図5(c)では細かいハッチングを施すことによって、保留演出表示部49を表示している。この保留演出表示部49は、原則的には、図4(a)に示した左特別図柄保留表示部43bの内容を表示するようになっている。
上述したように、中央装置40には、左図柄表示部43、右図柄表示部44、第1の演出表示部47、第2の演出表示部48、保留演出表示部49といった種々の表示部が設けられているが、左図柄表示部43および右図柄表示部44は、第1の演出表示部47や第2の演出表示部48や保留演出表示部49に比べて表示が小さく、第1の演出表示部47から離れた部位に配置されていることから遊技者の目に付き難く、しかも表示内容も分かり難いので、遊技者はもっぱら第1の演出表示部47の近傍、すなわち、第1の演出表示部47、第2の演出表示部48、保留演出表示部49を見ながら遊技を行うことが通常である。特に、第1の演出表示部47は、最も目立ち易く、表示内容も分かり易いので、遊技者の注意を最も引き易い。また、保留演出表示部49は、上始動口17への遊技球の入球に基づいて点灯したり、第1の演出表示部47での変動表示開始に伴って消灯したりすることから、表示内容が比較的分かり易いので、表示面積は比較的小さいものの、遊技者が遊技中にしばしば確認する表示部となっている。
A−4.制御回路の構成 :
次に、本実施例の遊技機1における制御回路の構成について説明する。図6は、本実施例の遊技機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているように遊技機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板、中継端子板などから構成されているが、その機能に着目すると、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御基板200と、図柄やランプや効果音を用いた遊技の演出の制御を司るサブ制御基板220と、サブ制御基板220の制御の下で、演出表示部46や、可動役物部50、演出用ランプ部52で行われる演出の具体的な制御を行う演出制御基板230と、貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM、周辺機器とのデータのやり取りを行うための周辺機器インターフェース(PIO)、CPUが演算を行うためのクロックを出力する発振器、CPUの暴走を監視するウォッチドッグタイマ、定期的に割り込み信号を発生させるCTC(カウンター・タイマ・サーキット)など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。また、図6中に示した矢印の向きは、データあるいは信号を入出力する方向を表している。尚、図6では、主制御基板200に搭載されたCPU201やRAM203、サブ制御基板220に搭載されたCPU221、ROM222のみが図示されている。
図示されているように主制御基板200は、上始動口17の内部に組み込まれた上始動口スイッチ17sや、下始動口18の内部に組み込まれた下始動口スイッチ18s、一般入球口19の内部に組み込まれた一般入球口19スイッチs、大入賞口スイッチ31s、ゲートスイッチ36sなどから遊技球の検出信号を受け取って、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否を決定した後、サブ制御基板220や、払出制御基板240、発射制御基板260などに向かって、各種の動作を指令するコマンドを出力する。また、主制御基板200には、上始動口17に設けられた一対の翼片部を開閉させるための普通電動役物ソレノイド17mや、大入賞口31dを開閉させるための大入賞口ソレノイド31m、更には、左図柄表示部43や右図柄表示部44、下図柄表示部45から構成される図柄表示部42などが中継端子板を介して接続されており、これら各種ソレノイド17m,31m、および図柄表示部42に向かって信号を出力することにより、動作の制御も行っている。
サブ制御基板220は、主制御基板200からの各種コマンドを受け取ると、コマンドの内容を解析して、その結果に応じた遊技の演出を行う。すなわち、中央装置40に組み込まれた演出表示部46や演出用ランプ部52、可動役物部50(図5を参照)の制御を行う演出制御基板230に対して演出内容を指定するコマンドを出力したり、各種のスピーカ5y、6cを駆動するアンプ基板224、装飾用の各種LEDやランプを駆動する装飾駆動基板226に駆動信号を出力することにより、遊技の演出を行う。
払出制御基板240は、いわゆる貸球や賞球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、遊技者が前述した上皿部5に設けられた球貸スイッチ5bや返却スイッチ5cを操作すると、この信号は、球貸表示基板242から中継端子板を介して、球貸装置13に伝達される。球貸装置13は、払出制御基板240とデータをやり取りしながら、貸球の払出を行う。また、主制御基板200が賞球の払出コマンドを出力すると、このコマンドを払出制御基板240が受け取って、払出モータ109mに駆動信号を出力することによって賞球の払い出しが行われる。
B.遊技の概要 :
次に、上述した構成を有する本実施例の遊技機1で行われる遊技の概要について簡単に説明しておく。本実施例の遊技機1では、次のようにして遊技が行われる。先ず、遊技者が上皿部5の凹部に遊技球を投入して発射ハンドル8を回転させると、上皿部5に投入された遊技球が、1球ずつ発射装置ユニット12に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域11に発射される。遊技球を打ち出す強さは、発射ハンドル8の回転角度によって調整することが可能となっており、遊技者は発射ハンドル8の回転角度を変化させることによって、遊技球の狙いを付けることができる。
発射した遊技球が、遊技領域11の左側に設けられた上始動口作動ゲート36を通過すると、上始動口17が所定時間(例えば0.5秒間)だけ開口状態となる。尚、図2を用いて前述したように、本実施例の遊技機1には、上始動口17および下始動口18の2つの始動口が設けられているが、開閉の可能ないわゆるチューリップ式の始動口は上始動口17のみであり、下始動口18は開閉式の始動口とはなっていない。
次いで、開口状態となった上始動口17に遊技球が入球すると、今度は、左特別図柄表示部43aにおいて左特別図柄の変動表示が開始される。図4(a)を用いて前述したように、左特別図柄表示部43aは、中央装置40の左部に設けられた3つのLEDによって構成されている。これらLEDは、赤色または緑色で点灯して予め定められた複数の点灯状態を取ることによって、異なる図柄を表示することが可能となっており、上始動口17に遊技球が入球すると、複数の点灯状態が次々と切り換わることによって、複数の図柄が変動表示される。そして、所定時間が経過すると何れかの点灯状態(すなわち図柄)で停止表示され、このとき、所定の点灯状態(当り図柄)で停止表示されると、いわゆる左特別図柄の当りとなって、遊技者にとって有利な遊技状態である特別遊技状態が開始される。特別遊技状態では、大入賞口31dが開口状態となる遊技状態(ラウンド)が、所定ラウンドだけ繰り返されるように構成されている。大入賞口31dは大きく開口するために、遊技球が高い確率で入球する。その結果、所定回数のラウンドが繰り返される間に遊技者は多くの賞球を獲得することが可能となっている。
尚、左特別図柄表示部43aにおける左特別図柄の変動表示中または右特別図柄表示部44aにおける右特別図柄の変動表示中に遊技球が上始動口17に入球した場合は、この遊技球の入球が左特別図柄の保留として蓄えられ、図4(a)に示した左特別図柄保留表示部43bに左特別図柄保留数として表示される。
また、前述したように本実施例の遊技機1では、上始動口17の他に、下始動口18も設けられている。下始動口18に遊技球が入球すると、右特別図柄表示部44aにおいて右特別図柄の変動表示が開始される。右特別図柄表示部44aも左特別図柄表示部43aと同様に、赤色または緑色で点灯可能な3つのLEDから構成されており、予め定められた複数の点灯状態(すなわち図柄)を次々と切り換えることによって、右特別図柄を変動表示させることが可能となっている。そして、所定時間が経過すると何れかの点灯状態で停止表示され、このとき、所定の点灯状態(当り図柄)で停止表示されると、いわゆる右特別図柄の当りとなって、大入賞口31dが開口状態となる特別遊技状態が開始される。また、右特別図柄表示部44aの変動表示中または左特別図柄表示部43aにおける左特別図柄の変動表示中に遊技球が下始動口18に入球した場合は、この入球は右特別図柄保留として、図4(b)に示した右特別図柄保留表示部44bに表示される。
このように本実施例の遊技機1には、上始動口17および下始動口18の2つの始動口が設けられており、遊技球が上始動口17に入球した場合には、左特別図柄表示部43aにおいて左特別図柄の変動表示が行われる。一方、遊技球が下始動口18に入球した場合には、右特別図柄表示部44aで右特別図柄の変動表示が行われる。ここで、本実施例の遊技機1では、左特別図柄表示部43aおよび右特別図柄表示部44aは並行して図柄の変動表示を行うのではなく、上始動口17あるいは下始動口18に遊技球が入球した順番で、左特別図柄表示部43aあるいは右特別図柄表示部44aで変動表示が行われるようになっている。尚、これに限らず、一方の始動口を優先して保留を消化することとして、その始動口の保留が無くなった場合にだけ、他方の始動口に対する保留を消化するようにしても良い。例えば、上始動口17に入球した保留が残っている間は、上始動口17に対応する左特別図柄表示部43aだけを変動表示させ、上始動口17に対する保留を全て消化した場合にだけ、下始動口18に対応する右特別図柄表示部44aを変動表示させて、下始動口18に対する保留を消化することとしても良い。
また、左特別図柄表示部43aで表示される左特別図柄には、当り図柄として、「通常当り図柄」と「確変当り図柄」と「特定確変当り図柄」とが設けられている。同様に、右特別図柄表示部44aに表示される右特別図柄にも、「通常当り図柄」と「確変当り図柄」と「特定確変当り図柄」とが設けられている。
左特別図柄または右特別図柄が「通常当り図柄」で停止表示されると、特別遊技の終了後、左特別図柄および右特別図柄の変動表示が合わせて所定回数(本実施例では100回)に達するか、若しくは次回の特別遊技状態が開始されるまでの間、特別図柄の変動時間が短くなるとともに、上始動口17の開口時間が長くなるように設定されている。このような遊技状態は、変動時間短縮状態(若しくは、時短状態)と呼ばれる。
これに対して、左特別図柄または右特別図柄が「確変当り図柄」で停止表示された場合には、特別遊技が終了してから次の特別遊技が開始されるまでの間、何れかの当り図柄で停止表示される確率が通常の状態よりも高くなる。このように、当り図柄で停止表示される確率が高くなっている遊技状態は、確変遊技状態(若しくは、単に確変状態)と呼ばれる。また、「確変当り図柄」が停止表示されたことによる特別遊技が終了した後は、次の特別遊技が開始されるまでの間(確変状態中)は、上述の時短状態と同様に特別図柄の変動時間が短くなるとともに、上始動口17の開口時間が長くなる。
更に、左特別図柄または右特別図柄が「特定確変当り図柄」で停止表示されると、大入賞口31dが、極めて短時間だけ、遊技球がほとんど入球し得ない態様で開口するだけで特別遊技を終了する。そして、次の特別遊技が開始されるまでの間は、「確変当り図柄」が停止表示された場合と同様に確変状態が継続されるか、あるいは確変状態ではあるが特別図柄の変動時間短縮および上始動口17の開口時間延長が行われない遊技状態(いわゆる潜伏確変状態)が継続されるようになっている。
もっとも、左特別図柄表示部43aや右特別図柄表示部44aは、遊技者に目に付き易い態様で設けられているわけではなく、加えて、停止表示される図柄も遊技者にとって分かり易い態様で表示されるわけではない。そこで、左特別図柄表示部43aで行われる左特別図柄の変動表示に合わせて、第1の演出表示部47では、3つの7セグメントLEDの変動表示が開始され、左特別図柄表示部43aで「通常当り図柄」が停止表示される場合には、7セグメントLEDが偶数のゾロ目で停止表示され、「確変当り図柄」が停止表示される場合には、7セグメントLEDが奇数のゾロ目で停止表示され、「特定確変当り図柄」が停止表示される場合には、7セグメントLEDがゾロ目を除く所定の数字の組合せ(例えば、「123」の組合せ)で停止表示され、更に、左特別図柄表示部43aが「外れ図柄」で停止表示される場合には、7セグメントLEDが、ゾロ目でも所定の組合せでもない、いわゆるバラケ目で停止表示される。
尚、上述したように第1の演出表示部47は、上始動口17に遊技球が入球したことを受けて変動表示が開始される。従って、本実施例の第1の演出表示部47は、本発明における「第1演出表示装置」に該当している。また、上始動口17に入球した遊技球数を蓄える左特別図柄保留数は、本発明における「第1保留数」に対応し、左特別図柄保留数を記憶している主制御基板200のRAM203は、本発明における「第1保留数記憶手段」に対応するものとなっている。
また、右特別図柄表示部44aで行われる右特別図柄の変動表示に合わせて、第2の演出表示部48でも、複数(本実施例では8個)のLEDが種々のパターンで点灯しながら変動表示を行う。そして、右特別図柄表示部44aで停止表示される図柄(「通常当り図柄」、「確変当り図柄」、「特定確変当り図柄」、「外れ図柄」の何れか)に応じて、対応する点灯状態または消灯状態(停止図柄)で停止表示する。特に、「通常当り図柄」または「確変当り図柄」に対応する点灯状態で停止表示された場合には、演出用ランプ部52(図3を参照)を用いて大当りの発生を報知した後、大入賞口31dを開口させて特別遊技を開始するようになっている。また、「特定確変当り図柄」に対応する点灯状態で停止表示された場合には、演出用ランプ部52(図3を参照)を用いて特殊モード突入演出を実行するようになっている。ここで、第2の演出表示部48における停止表示の態様として、例えば、8個のLEDが全て緑色の点灯状態で停止表示された場合には「通常当り」とし、8個のLEDが全て赤色の点灯状態で停止表示された場合には「確変当り」とし、8個のLEDのうち4個が赤色で残り4個が緑色の点灯状態で停止表示された場合には「特定確変当り」とし、8個のLEDが全て消灯状態で停止表示された場合には「外れ図柄」とすることができる。
尚、上述したように第2の演出表示部48は、下始動口18に遊技球が入球したことを受けて変動表示が開始される。従って、本実施例の第2の演出表示部48は、本発明における「第2演出表示装置」に該当し、また、下始動口18に入球した遊技球数を蓄える右特別図柄保留数は、本発明における「第2保留数」に、そして、右特別図柄保留数を記憶している主制御基板200のRAM203は、本発明における「第2保留数記憶手段」に対応するものとなっている。
C.遊技機の制御内容 :
以下では、上述した遊技を実現するために、本実施例の遊技機1が行っている制御内容について詳しく説明する。
C−1.遊技制御処理 :
図7は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理の大まかな流れを示したフローチャートである。図示されているように、遊技制御処理では、賞球関連処理、普通電動役物遊技処理、普通電動役物停止処理、特別図柄遊技処理、特別電動役物遊技処理などの各処理が繰り返し実行されている。一周の処理に要する時間は、ほぼ4msecとなっており、従って、これら各種の処理は約4msec毎に繰り返し実行されることになる。そして、これら各処理中で、サブ制御基板220を初めとする各種制御基板に向けて、主制御基板200から各種コマンドを送信する。こうすることにより、遊技機1全体の遊技が進行するとともに、サブ制御基板220では、遊技の進行に合わせた演出の制御が行われることになる。以下、フローチャートに従って、主制御基板200に搭載されたCPU201が行う遊技制御処理について説明する。
主制御基板200に搭載されたCPU201は、遊技制御処理を開始すると、遊技球を賞球として払い出すための処理(賞球関連処理)を行う(S50)。かかる処理では、主制御基板200に接続された各種スイッチの中で、遊技球の入賞に関わるスイッチ(上始動口スイッチ17sや、下始動口スイッチ18s、一般入球口スイッチ19s、大入賞口スイッチ31sなど)について、遊技球が入球したか否かを検出する。そして、遊技球の入球が検出された場合には、払い出すべき賞球数を算出した後、払出制御基板240に向かって賞球数指定コマンドを出力する処理を行う。払出制御基板240は、主制御基板200から出力された賞球数指定コマンドを受け取るとコマンドの内容を解釈し、その結果に従って、払出装置109に搭載された払出モータ109mに駆動信号を出力することにより、実際に賞球を払い出す処理を行う。
主制御基板200のCPU201は、賞球数指定コマンドを出力すると(S50)、今度は、普通電動役物遊技処理を行うか否かを判断する(S100)。かかる判断は、普通電動役物が作動中であるか否か、換言すると上始動口17が開口中であるか否かを検出することによって行う。普通電動役物が作動中でなければ普通電動役物遊技処理を行うものと判断し(S100:yes)、普通電動役物が作動中であれば普通電動役物遊技処理は行わないものと判断する(S100:no)。そして、普通電動役物遊技処理を行うと判断された場合は(S100:yes)、以下に説明する普通電動役物遊技処理を行う(S150)。一方、普通電動役物遊技処理を行わないと判断された場合は(S100:no)、普通電動役物遊技処理(S150)はスキップする。
普通電動役物遊技処理(S150)では、遊技球が上始動口作動ゲート36を通過したか否か、換言すると、ゲートスイッチ36sが遊技球を検出したか否かを判断し、遊技球が上始動口作動ゲート36を通過した(ゲートスイッチ36sが遊技球を検出した)と判断されると、普通電動役物の作動を開始させる。こうして普通電動役物が作動すると、上始動口17に設けられた一対の翼片部が外側に向かって回動し、上始動口17が開口状態となる。
尚、遊技球が上始動口作動ゲート36を通過したことを契機として上始動口17を開口状態とする一連の動作は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、上述した普通電動役物遊技処理を実行することによって行われている。従って、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明における「第1始動口開口手段」に対応するものとなっている。
以上のようにして普通電動役物遊技処理を終了したら、普通電動役物が作動中か否かを判断する(S190)。そして、作動中である場合は(S190:yes)、普通電動役物を停止させるための処理(普通電動役物停止処理)を行う(S200)。一方、普通電動役物が作動していない場合は(S190:no)、普通電動役物停止処理を行う必要はないのでスキップする。
図8は、普通電動役物停止処理の流れを示すフローチャートである。図示されているように普通電動役物停止処理を開始すると、先ず初めに、普通電動役物の所定の作動時間が経過したか否かを判断する(S202)。前述したように、普通電動役物が作動すると上始動口17が開口状態となるが、所定時間が経過すると、再び一対の翼片部が直立した通常の状態に復帰する。そこで、S202では、普通電動役物が予め設定しておいた作動時間に達したか否かを判断するのである。そして、作動時間に達したと判断された場合は(S202:yes)、普通電動役物の作動を停止した後(S206)、普通電動役物遊技処理を終了して図7に示した遊技制御処理に復帰する。尚、普通電動役物作動時間(すなわち、上始動口17の開口時間)は、通常の遊技状態では約0.5秒間に設定されているが、後述する開口時間延長機能が作動すると約1.5秒間に延長される。
一方、上始動口17は開口中に規定数の遊技球が入球すると、開口時間が設定時間に達していない場合でも、通常状態に復帰してしまう。このことと対応して、普通電動役物の作動時間が所定時間に達していない場合は(S202:no)、普通電動役物に規定数の遊技球が入球したか否かを判断し(S204)、規定数の遊技球が入球したと判断された場合は(S204:yes)、普通電動役物の作動を停止して(S206)、図8に示した普通電動役物停止処理を終了する。逆に、規定数の入球がないと判断された場合は(S204:no)、普通電動役物を作動させたまま、図8に示した普通電動役物停止処理を終了して、図7に示した遊技制御処理に復帰する。
遊技制御処理では、普通電動役物停止処理から復帰すると、特別図柄に関連する処理を開始する。かかる処理では、後述する特別図柄遊技処理を行うための所定の条件を満足しているか否かを判断した後、所定の条件を満足していた場合には、特別図柄遊技処理を開始する。
図9は、特別図柄遊技処理を開始するか否かを判断するために行う処理(特別図柄遊技開始判断処理)の前半部分の流れを示すフローチャートである。また、図10は、特別図柄遊技開始判断処理の後半部分の流れを示すフローチャートである。特別図柄遊技処理を開始するか否かの判断に当たっては、先ず初めに、上始動口17に遊技球が入球したか否かを判断する(S252)。前述したように、上始動口17の内部には、遊技球の入球を検出する上始動口スイッチ17sが設けられており、遊技球が入球したことを検出することができる。
遊技球が上始動口17に入球している場合は(S252:yes)、左特別図柄の保留数が上限値(本実施例では「4」)に達しているか否かを判断する(S254)。図4(a)を用いて前述したように左特別図柄の保留数は、左特別図柄保留表示部43bでLEDが点灯することによって表示されている。そして、左特別図柄の保留数が上限値に達していなければ(S254:no)、左特別図柄用の当否判定乱数、左特別図柄用の図柄決定乱数、左特別図柄用の変動パターン決定乱数を取得して、主制御基板200のRAM203に記憶する。ここで、左特別図柄の当否判定乱数は、図4(a)に示した左特別図柄表示部43aに表示される左特別図柄の当否判定を行うために用いられる乱数であり、左特別図柄の図柄決定乱数は、左特別図柄表示部43aに停止表示させる特別図柄を、左特別図柄の当否判定結果に応じて決定するための乱数であり、また、左特別図柄の変動パターン決定乱数は、後述する、左特別図柄の特別図柄変動パターンを決定するために用いられる乱数である。
このように左特別図柄保留数が「4」に達していない場合は(S254:no)、左特別図柄用の各種乱数を取得してRAM203に記憶した後(S256)、左特別図柄の保留数に「1」を加算し(S258)、次いで、保留表示コマンドをサブ制御基板220に向かって出力する(S260)。ここで、保留表示コマンドとは、中央装置40に組み込まれた保留演出表示部49で、演出用に表示する保留数を指定するコマンドである。図5を用いて前述したように、保留演出表示部49では原則として左特別図柄の保留数を表示することから、S258で左特別図柄の保留数に「1」を加算したら、これを受けて保留演出表示部49の表示も変更させるべく、サブ制御基板220に向かってコマンドを出力するのである。
一方、左特別図柄の保留数が「4」に達している場合は(S254:no)、左特別図柄の当否判定用乱数や、左特別図柄の図柄決定乱数、左特別図柄の変動パターン決定乱数の取得は行わない。その結果、左特別図柄に関するこれらの乱数は、最大4つまで記憶することが可能となっている。
また、図2を用いて前述したように、本実施例の遊技機1には、上始動口17および下始動口18の二つの始動口が設けられている。このことに対応して、下始動口18についても、上述した上始動口17についてと同様な処理を行う。以下、簡単に説明すると、先ず初めに、下始動口18に遊技球が入球したか否かを判断し(S262)、下始動口18に入球した場合には(S262:yes)、右特別図柄の保留数が上限値(本実施例では「4」)に達しているか否かを判断する(S264)。すなわち、上始動口17に入球した場合は、左特別図柄保留表示部43b(図4(a)参照)に表示された左特別図柄の保留数が上限値に達したか否かを判断するのに対して、下始動口18に入球した場合には、右特別図柄保留表示部44b(図4(b)参照)に表示された右特別図柄の保留数が上限値に達したか否かを判断するのである。そして、右特別図柄の保留数が上限値に達していなければ(S264:no)、右特別図柄用に、それぞれ当否判定乱数、図柄決定乱数、変動パターン決定乱数を取得して、主制御基板200のRAM203に記憶した後、右特別図柄の保留数に「1」を加算する(S268)。
尚、上述したように左特別図柄の保留数に「1」を加算した場合には(S258)、サブ制御基板220に向かって保留表示コマンドを出力したが(S260)、右特別図柄の保留数の場合は「1」を加算しても(S268)、保留表示コマンドを出力することはない。これは、図5に示したように中央装置40に設けられた保留演出表示部49は、原則として左特別図柄の保留数に対応した表示を行う表示部であり、本実施例の中央装置40には右特別図柄の保留数に対応した表示を行う表示部が設けられていないためである。
一方、右特別図柄の保留数が「4」に達している場合は(S264:no)、右特別図柄に対応する各種の乱数を取得して保留数に「1」を加算する処理は行わない。その結果、右特別図柄の保留数も、左特別図柄の保留数と同様に、最大4つまで記憶することが可能となっている。
また、上述したように、左特別図柄の保留数および右特別図柄の保留数は、何れも4つを上限として、主制御基板200のRAM203に記憶されるが、これらは上始動口17あるいは下始動口18に入球した順序を識別可能な状態で記憶されている。図11は、上始動口17および下始動口18に入球した順序を識別可能な状態で、左右の特別図柄保留数が記憶されている様子を概念的に示した説明図である。図11には、主制御基板200のRAM203に、左特別図柄保留数を記憶する領域および右特別図柄保留数を記憶する領域が設けられている様子が示されている。前述したように、左右の特別図柄保留数は、それぞれ4つまで記憶することが可能であり、図11(a)では、左特別図柄については3つの保留が記憶され、右特別図柄については1つの保留が記憶されている様子が例示されている。また、これら4つの保留には、それぞれに順番が記憶されている。例えば、これら4つの保留の中で最初に記憶された保留は、左特別図柄の保留として記憶されている「1」と表記された保留であり、二番目に記憶された保留は、同じく左特別図柄の「2」と表記された保留である。三番目に記憶された保留は、右特別図柄の保留として記憶されている「3」と表記された保留であり、そして最後に記憶された四番目の保留は、左特別図柄の「4」と表記された保留である。
更に、これら保留の中で最初の保留が消化されると二番目の保留が最初の保留に繰り上がり、三番目の保留が二番目の保留に繰り上がり、四番目の保留が三番目の保留に繰り上がって、その結果、図11(b)に示した状態で記憶されることになる。このように、本実施例の遊技機1では、左特別図柄および右特別図柄について、それぞれの保留を記憶しているとともに、各保留が全体の保留の中で何番目に記憶された保留かを識別可能な状態で記憶されている。
図9に示した特別図柄遊技開始判断処理では、以上のようにして左右の特別図柄の保留に関わる処理を終了したら、今度は、左特別図柄の保留数が少なくなっているか否か、本実施例では「2」に満たないか否かを判断する(図10のS270)。前述したように、左特別図柄の保留数は、中央装置40の保留演出表示部49に表示される保留数である。左特別図柄の保留数が残り少ない(ここでは、「2」に満たない)と判断された場合は(S272:yes)、続いて右特別図柄の保留数が残っているか否かを判断する(S274)。そして、右特別図柄の保留数が残っていると判断された場合(S274:yes)、すなわち、中央装置40の保留演出表示部49に表示された左特別図柄の保留数は残り少ない(ここでは、「2」未満)が、右特別図柄の保留数が残っていると判断された場合は、保留移行フラグをセットする(S274)。ここで保留移行フラグとは、保留演出表示部49に表示された左特別図柄の保留数が残り少なくなった場合に、右特別図柄の保留数を保留演出表示部49に表示した状態に移行することを示すフラグである。保留移行フラグは、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスにセットされる。次いで、主制御基板200のCPU201は、サブ制御基板220に向かって保留表示コマンドを出力する(S276)。この保留表示コマンドは、左特別図柄の保留数に右特別図柄の保留数を加えた数の保留を保留演出表示部49に表示するように、サブ制御基板220に指示するコマンドである。
これに対して、左特別図柄の保留数が2以上残っていて、保留演出表示部49に多くの保留が表示されている場合は(S270:no)、右特別図柄の保留数を保留演出表示部49に追加して表示する必要はなく、また、保留演出表示部49に表示されている保留が残り少なくなっていても、右特別図柄の保留数が残っていない場合は(S272:no)、保留演出表示部49に追加して表示することはできないので、保留移行フラグをセットしたり、サブ制御基板220に向かって保留表示コマンドを出力する処理(S274,S276)はスキップする。
尚、上述したように、左特別図柄の保留数が「2」以上の場合には、保留演出表示部49には左特別図柄の保留数のみが表示されるが、左特別図柄の保留数が残り少なくなると、右特別図柄の保留数も保留演出表示部49に表示されるようになる。従って、本実施例の保留演出表示部49は、本発明の第1の弾球遊技機における「保留数表示装置」に対応するものとなっている。同時に、本発明の第2の弾球遊技機においては「第1保留数表示装置」に対応するものとなっている。これに対して、常に右特別図柄の保留数のみを表示する右特別図柄保留表示部44bは、本発明の第2の弾球遊技機における「第2保留数表示装置」に対応するものとなっている。
また、左特別図柄の保留数が残り少なくなった場合には、左特別図柄保留数に右特別図柄保留数を加えた保留数を保留演出表示部49に表示させる動作は、主制御基板200のCPU201が、図9および図10に示した特別図柄遊技開始判断処理の中で保留表示コマンドを出力することによって実現されている。従って、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明における「保留数変更表示手段」に対応するものとなっている。
次いで、大当り遊技中か否かを判断する(S278)。後述する特別図柄遊技処理は、左特別図柄あるいは右特別図柄を変動表示させ、左右何れかの特別図柄で所定の当り図柄が停止表示された場合には、遊技者にとって有利な特別遊技である大当り遊技を開始する処理である。そして、現在、大当り遊技を行っているのであれば、重ねて大当り遊技を開始する必要はない。そこで、上述した左右の特別図柄の保留に関わる処理を終了したら、大当り遊技中であるか否かを判断し(S278)、大当り遊技中で無かった場合には(S278:no)、後述する特別図柄遊技処理を開始すると判断する(すなわち、S250:yes)。一方、現在、既に大当り遊技中であった場合は(S278:yes)、特別図柄遊技処理は開始しないと判断する(すなわち、S250:no)。
以上のようにして、特別図柄遊技処理を行うと判断された場合は(S250:yes)、以下に説明する特別図柄遊技処理を行う(S300)。一方、特別図柄遊技処理を行わないと判断された場合は(S250:no)、特別図柄遊技処理(S300)はスキップする。
C−2.特別図柄遊技処理 :
図12は、特別図柄遊技処理の前半部分の流れを示したフローチャートである。図13は、特別図柄遊技処理の後半部分の流れを示したフローチャートである。特別図柄遊技処理を開始すると、先ず初めに、左右何れかの特別図柄が変動中か否かを判断する(S302)。図4を用いて前述したように、本実施例の遊技機1では中央装置40に左特別図柄表示部43aおよび右特別図柄表示部44aが設けられており、それぞれに左特別図柄および右特別図柄を変動表示可能となっている。
左右何れの特別図柄も変動中でない場合は(S302:no)、特別図柄の停止表示時間中であるか否かを判断する(S304)。すなわち、左右何れの特別図柄についても変動表示が終了してしばらくの期間は、何れの図柄で停止表示されたかを、遊技者が確認するための停止表示時間が設けられているので、この停止表示時間中か否かを判断するのである。左右何れの特別図柄も変動表示されておらず且つ特別図柄の停止表示時間中でもないことが確認された場合は(S304:no)、左右の特別図柄の保留数が「0」であるか否かを判断する(S306)。図11を用いて前述したように、本実施例の遊技機1では、上始動口17および下始動口18に対して、それぞれ左特別図柄および右特別図柄のそれぞれについて保留を蓄えておくことが可能となっている。S306では、何れの特別図柄の保留も「0」であるか否かを判断するのである。
そして、何れかの保留が「0」ではないと判断された場合は(S306:no)、RAM203に記憶されている左特別図柄または右特別図柄保留の中から、最初に記憶された保留の特別図柄当否判定乱数を読み出して(S308)、その特別図柄当否判定乱数が、左特別図柄の当否判定乱数か否かを判断する(S310)。すなわち本実施例では、図11を用いて説明したように、特別図柄の保留は、各保留が記憶された順番と、左特別図柄または右特別図柄の何れの保留であるかを識別可能な状態で記憶されている。従って、複数の保留の中で最初に記憶されている保留の特別図柄当否判定乱数を読み出せば、その当否判定乱数が、左特別図柄の当否判定乱数か否かを容易に判断することが可能となっている。そして、読み出した当否判定乱数が左特別図柄の当否判定乱数であると判断された場合は(S310:yes)、左特別図柄関連処理を開始する(S320)。
左特別図柄関連処理の詳細については後述するが、大まかには次のような処理を行う。先ず、左特別図柄の当否判定を行って、左特別図柄表示部43aに停止表示する図柄を決定し、左特別図柄表示部43aで行う変動パターンを決定した後、左特別図柄保留表示部43bに表示された左特別図柄保留数を一つ減らす。次いで、これらの内容を、中央装置40の演出表示部46における表示に反映させるべく、サブ制御基板220に向かって各種コマンドを出力する処理を行う。
これに対して、読み出した当否判定乱数が左特別図柄の当否判定乱数ではないと判断された場合は(S310:no)、右特別図柄遊技処理を開始する(S340)。右特別図柄関連処理の詳細についても後述するが、大まかには、左特別図柄関連処理とほぼ同様な処理を行う。すなわち、右特別図柄の当否判定を行って、右特別図柄表示部44aに停止表示する図柄や変動パターンを決定した後、右特別図柄保留数を一つ減らす。次いで、これらの内容を、中央装置40の演出表示部46における表示に反映させるべく、サブ制御基板220に向かって各種コマンドを出力する処理を行う。もっとも、本実施例の遊技機1では、左特別図柄の保留数が残り少なくなった場合には、右特別図柄の保留であっても、あたかも左図柄の保留であるかのような演出を行っており、右特別図柄関連処理では、左特別図柄関連処理とは異なり、かかる演出に関連する処理も行っている。右特別図柄関連処理の詳細についても後述する。
以上のようにして、読み出した特別図柄の当否判定乱数に従って、左特別図柄あるいは右特別図柄についての停止図柄や変動パターンなどを決定したら(S320、S340)、図12に示す特別図柄遊技処理を終了して、図7の遊技制御処理に復帰する。
以上、左右何れかの特別図柄が変動表示していない場合(すなわち、図12のS302:noの場合)に、特別図柄遊技処理で行われる詳細な処理について説明した。一方、左右何れかの特別図柄が変動中に、図12の特別図柄遊技処理が開始された場合は、最初に行うS302の判断で、特別図柄が変動中であると判断される(S302:yes)。この場合は、既に、左特別図柄あるいは右特別図柄の変動パターンおよび停止図柄が決定されて、変動表示が開始されている場合に該当する。そこで、決定された変動パターンに応じた特別図柄変動時間が経過したか否かを判断する(S360)。そして、未だ変動時間が経過していない場合は(S360:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して、図7に示す遊技制御処理に復帰する。
これに対して、変動時間が経過したと判断された場合は(S360:yes)、第1の演出表示部47あるいは第2の演出表示部48で変動表示している演出用図柄を停止表示させることを示すコマンド(図柄停止コマンド)をサブ制御基板220に向かって出力する(S362)とともに、左特別図柄表示部43aあるいは右特別図柄表示部44aで変動表示されている左右何れかの特別図柄を、予め設定しておいた図柄で停止表示させる(S364)。次いで、特別図柄を停止表示させる時間(停止表示時間)を設定した後(S366)、設定した表示時間が経過したか否かを判断する(S368)。そして、表示時間が経過していなければ(S368:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して図7に示す遊技制御処理に復帰する。
一方、特別図柄の停止表示時間が経過した場合は(S368:yes)、停止表示された特別図柄が条件装置を作動させることとなる図柄であるか否かを判断する(図13のS370)。ここで、条件装置を作動させることとなる図柄とは、通常当り図柄、確変当り図柄、または特定確変当り図柄の何れかの図柄である。図13のS370では、左特別図柄表示部43aまたは右特別図柄表示部44aで停止表示された左右何れかの特別図柄が、これらの当り図柄であるか否かを判断する。
停止表示された図柄が、条件装置を作動させることとなる図柄であった場合は(S370:yes)、今度は、その図柄が特定確変当り図柄であるか否かを判断する(S372)。そして、特定確変当り図柄ではなかった場合は(S372:no)、役物連続作動装置の連続作動回数を標準回数(本実施例では15回)に設定する(S376)。これに対して、特定確変当り図柄であった場合は(S372:yes)、役物連続作動装置の連続作動回数を特定確変当り用の回数(本実施例では2回)に設定する(S374)。
こうして、大入賞口の連続作動回数を設定した後、条件装置および役物連続作動装置を作動させる(S378)。ここで条件装置とは、後述する役物連続作動装置が作動するための条件となる装置であり、主制御基板200のCPU201が実行する制御プログラムにより具現化される。具体的には、左右何れかの特別図柄が前述した何れかの当り図柄で停止表示されると作動を開始して大入賞口31dを開口状態とする装置(制御手段)である。また、役物連続作動装置とは、一旦閉鎖された大入賞口31dを再び開口させる装置(制御手段)であり、条件装置と同様に、主制御基板200のCPU201が実行する制御プログラムにより具現化される。詳細には後述するが、こうして条件装置および役物連続作動装置を作動させることにより、特別図柄遊技処理を抜けて図7の遊技制御処理に復帰すると特別電動役物遊技処理が開始され、特別遊技状態が開始されることになる。
また、本実施例の遊技機1では、条件装置および役物連続作動装置の作動時は、確変機能や時短機能は働かないこととしている。尚、時短機能とは、図柄表示部42や演出表示部46で各種の図柄が変動表示される時間を短縮する機能である。そこで、図13のS378において条件装置および役物連続作動装置を作動させたら、現在の遊技状態が確変中か否かを判断する(S380)。そして、確変中であれば(S380:yes)、確変機能および時短機能が作動しているので、これらの機能を停止させる(S382)。一方、現在の遊技状態が確変中ではなかった場合は(S380:no)、続いて、時短中か否かを確認し(S384)、時短中であった場合は(S384:yes)、時短機能を停止させる(S386)。また、本実施例の遊技機1では、時短機能が作動している場合は、上始動口17(普通電動役物)の開口時間を延長する機能も働いているので、時短機能を停止したら(S382,S386)、普通電動役物開口時間の延長機能も停止させた後(S388)、図12および図13に示した特別図柄遊技処理を抜けて、図7の遊技制御処理に復帰する。一方、条件装置および役物連続作動装置を作動させたときの遊技状態が確変中でも時短中でもなかった場合は(S384:no)、そのまま特別図柄遊技処理を抜けて、遊技制御処理に復帰する。
以上、左特別図柄表示部43aあるいは右特別図柄表示部44aに停止表示された左右何れかの特別図柄が、条件装置を作動させることとなる図柄(当り図柄)であった場合(S370:yes)の処理について説明したが、停止表示された左右何れかの特別図柄が条件装置を作動させる図柄でなかった場合(外れ図柄の場合)は(S370:no)、次のような処理を行う。
まず、現在の遊技状態が確変中か否かを判断する(S390)。そして、確変中と判断された場合は(S390:yes)、そのまま、特別図柄遊技処理を抜けて遊技制御処理に復帰する。これに対して、確変中ではないと判断された場合は(S390:no)、今度は、時短中か否かを判断する(S392)。その結果、時短中でもないと判断された場合は(S392:no)、特別図柄遊技処理を抜けて遊技制御処理に復帰する。一方、時短中と判断された場合は(S392:yes)、特別図柄の変動回数を計数した後(S394)、変動回数が所定回数に達したか否かを判断する(S396)。前述したように本実施例の遊技機1では、「通常当り」が発生した場合には、特別遊技の終了後に時短状態が開始され、次の大当り遊技状態が発生するか、もしくは特別図柄が所定回数変動するまでは継続する設定となっている。そこで、現在の遊技状態が時短中と判断された場合は(S392:yes)、特別図柄の変動回数を計数した後(S394)、変動回数の計数値が所定回数に達したか否かを判断するのである(S396)。そして、所定回数に達していれば(S396:yes)、時短機能を停止させ(S398)、続いて、普通電動役物開口時間の延長機能も停止させた後(S388)、図12および図13に示した特別図柄遊技処理を抜けて、図7の遊技制御処理に復帰する。一方、特別図柄の変動回数が、未だ所定回数に達していなければ(S396:no)、時短状態を維持したまま、特別図柄遊技処理を抜けて、図7の遊技制御処理に復帰する。
図7に示すように、遊技制御処理では、特別図柄遊技処理から復帰すると、条件装置が作動中か否かを判断する(S390)。前述したように条件装置は、役物連続作動装置を作動させることにより、特別遊技状態を開始させる装置である。そこで、主制御基板200に搭載されたCPU201は、条件装置が作動中であれば、以下に説明する特別電動役物遊技処理を開始する(S400)。一方、条件装置が作動中でなければ(S390:no)、特別電動役物遊技処理(S400)はスキップして、遊技制御処理の先頭に戻り、前述した賞球関連処理(S50)以降の一連の処理を繰り返す。
ここで、特別電動役物遊技処理について説明する前に、特別図柄遊技処理の中で行われる左特別図柄関連処理(図12のS320)、および右特別図柄関連処理(図12のS340)について説明しておく。
C−2−1.左特別図柄関連処理 :
図14は、特別図柄遊技処理の中で左特別図柄の保留を消化する際に行われる左特別図柄関連処理の流れを示すフローチャートである。図示されているように、左特別図柄関連処理(S320)を開始すると、先ず初めに、左特別図柄の当否判定を行う(S322)。
図15は、左特別図柄の当否判定を行う処理の流れを示すフローチャートである。図示するように、左特別図柄当否判定処理を開始すると、先ず初めに、現在の遊技状態が確変状態か否かを判断する(S3220)。そして、確変状態であれば(S3220:yes)、確変用の当否判定テーブルを選択し(S3222)、確変状態でなければ(S3220:no)、非確変用の当否判定テーブルを選択する(S3224)。ここで当否判定テーブルとは、左特別図柄の当否判定乱数に対応付けて、左特別図柄の当否判定結果が設定されているテーブルであり、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。尚、前述したように本実施例の遊技機1では、左特別図柄の他に右特別図柄も設けられており、それぞれの特別図柄について当否判定乱数が取得されている。このことと対応して、右特別図柄の当否判定乱数に対しても当否判定テーブルが用意されているが、本実施例の遊技機1では、左特別図柄および右特別図柄の当否判定テーブルは、同じテーブルが共用されている。従って、本明細書中では、左特別図柄の当否判定テーブルと、右特別図柄の当否判定テーブルとを区別することなく、単に特別図柄の当否判定テーブルと呼んでいる。
図16は、本実施例の遊技機1に記憶されている特別図柄の当否判定テーブルを例示した説明図である。図16(a)には非確変用の当否判定テーブルが示されており、図16(b)には確変用の当否判定テーブルが示されている。図示するように、当否判定テーブルには、左右の特別図柄の当否判定乱数に対応付けて、「当り」あるいは「外れ」の当否判定結果が設定されている。また、図16(a)と図16(b)とを比較すれば明らかなように、図16(b)に示した確変用の当否判定テーブルは、図16(a)に示した非確変用の当否判定テーブルよりも多くの乱数に、「当り」の当否判定結果が設定されている。
図15に示した左特別図柄当否判定処理では、現在の遊技状態が確変中か否かに応じて対応する当否判定テーブルを選択すると、先に、特別図柄遊技処理中で読み出しておいた特別図柄当否判定乱数に基づいて、選択した当否判定テーブルを参照することにより、左特別図柄の当否判定結果が「当り」か否かを判断する(S3226)。上述したように、確変状態の時に参照する確変用の当否判定テーブルは、確変状態ではないときに参照する非確変用の当否判定テーブルに比べて、多くの特別図柄当否判定乱数に「当り」の当否判定結果が設定されていることから、確変中は非確変中よりも高い確率で「当り」の当否判定結果が発生することになる。
そして、左特別図柄の当否判定結果が当りと判断された場合には(S3226:yes)、左特別図柄決定乱数を読み出した後(S3228)、左特別図柄の当り図柄を決定する処理を行う(S3230)。ここで、左特別図柄決定乱数とは、上始動口17に遊技球が入球すると、図9に示した特別図柄遊技開始判断処理の中で、左特別図柄当否判定乱数とともに取得される乱数である。また、左特別図柄の当り図柄は、左図柄決定乱数に基づいて、当り図柄決定テーブルを参照することによって決定する。
図17は、左特別図柄の当り図柄を決定するために参照される当り図柄決定テーブルを例示した説明図である。前述したように、左特別図柄表示部43aに表示される左特別図柄では、「通常当り図柄」、「確変当り図柄」、「特定確変当り図柄」の三つの態様で当り図柄を表示することが可能であるが、当り図柄決定テーブルには、図示されるように、特別図柄決定乱数に対応付けて、何れの態様の当り図柄を表示するかが予め設定されている。尚、前述したように本実施例の遊技機1では、左特別図柄の他に右特別図柄も設けられており、それぞれについて特別図柄決定乱数が取得されている。このことと対応して、当り図柄決定テーブルも、左右の特別図柄について用意されているが、本実施例の遊技機1では、左特別図柄および右特別図柄の当り図柄決定テーブルは、同じテーブルが共用されている。従って、本明細書中では、左特別図柄の当り図柄決定テーブルと、右特別図柄の当り図柄決定テーブルとを区別することなく、単に当り図柄決定テーブルと呼んでいる。
図15に示した左特別図柄当否判定処理においては、左特別図柄決定乱数を読み出すと、図17の当り図柄決定テーブルを参照することにより、左特別図柄の当り図柄を決定する処理を行う(S3230)。
一方、左特別図柄の当否判定結果が「外れ」であった場合は(S3226:no)、「当り」の場合と同様に左特別図柄決定乱数を読み出した後(S3232)、左特別図柄の外れ図柄を決定する処理を行う(S3234)。外れ図柄を決定する処理も、左特別図柄決定乱数に対して外れ図柄が予め設定された外れ図柄決定テーブル(図示は省略)を参照することによって行う。外れ図柄決定テーブルには、左特別図柄決定乱数に対して、予め定められた外れ図柄が設定されている。
以上に説明したように、図15に示した左特別図柄当否判定処理では、先に読み出した左特別図柄当否判定乱数に基づいて左特別図柄の当否判定を行うとともに、当否判定結果に応じて、左特別図柄の当り図柄あるいは外れ図柄を決定する処理を行う(S3230またはS3234)。そして、当り図柄あるいは外れ図柄を決定したら、左特別図柄当否判定処理を終了して、図14に示した左特別図柄遊技処理に復帰する。
図14に示されるように、左特別図柄遊技処理では、左特別図柄当否判定処理から復帰すると、今度は、左特別図柄の変動パターンを設定する処理を開始する(S324)。
図18は、左特別図柄関連処理の中で左特別図柄の変動パターンを設定する処理(左特別図柄変動パターン設定処理)の流れを示すフローチャートである。かかる処理も左特別図柄関連処理と同様に、主制御基板200のCPU201によって実行される処理である。
主制御基板200のCPU201は、左特別図柄変動パターン設定処理を開始すると、先ず初めに、左特別図柄の当否判定結果が当りであるか否かを判断する(S3240)。左特別図柄の当否判定は、左特別図柄変動パターン設定処理に先立って、図15を用いて前述した左特別図柄当否判定処理において既に行われているので、主制御基板200のCPU201は、左特別図柄の当否判定結果が当りであるか否かを直ちに判断することができる。そして、左特別図柄の当否判定結果が当りであった場合には(S3240:yes)、その当り図柄が確変当り図柄か否かを判断し(S3242)、確変当り図柄であった場合には(S3242:yes)、左特別図柄の確変当り用に設定されている変動パターンテーブルを選択する(S3244)。ここで、変動パターンテーブルとは、左特別図柄あるいは右特別図柄の変動パターン決定乱数に対応付けて、それぞれの特別図柄の変動パターンが設定されているテーブルである。変動パターンテーブルは、左特別図柄用のテーブルと、右特別図柄用のテーブルとが、それぞれ主制御基板200搭載されたROM222に予め設定されている。
左特別図柄の当り図柄が確変当り図柄ではないと判断された場合には(S3242:no)、今度は、当り図柄が特定確変当り図柄か否かを判断し(S3246)、特定確変当り図柄であった場合は(S3246:yes)、左特別図柄の特定確変当り用に設定されている変動パターンテーブルを選択する(S3248)。これに対して、当り図柄が特定確変当り図柄でもなかった場合は(S3246:no)、通常当り図柄であると判断することができるので、左特別図柄の通常当り用に設定されている変動パターンテーブルを選択する(S3250)。
以上、左特別図柄の当否判定結果が当りであると判断された場合(S3240:yes)に行われる処理について説明したが、当否判定結果が外れの場合は(S3240:no)、リーチを行うか否かを判断する(S3252)。かかる判断は、乱数を用いた抽選によって行うことができる。そして、リーチを行うと判断された場合は(S3252:yes)、リーチあり外れ用に設定されている変動パターンテーブルを選択し(S3254)、リーチを行わないと判断された場合は(S3252:no)、リーチ無し外れ用の変動パターンテーブルを選択する(S3256)。前述したように、左特別図柄表示部43aで行われる左特別図柄の変動表示は、第1の演出表示部47の変動表示と対応しており、そして図5(a)を用いて前述したように、第1の演出表示部47では、三つの7セグメントLEDを変動表示させて、いわゆるリーチ演出を行うことが可能となっている。そこで、左特別図柄の当否判定結果が外れの場合には、リーチ状態を経た後に外れるのか(リーチあり外れ)、リーチ状態を経ずに外れるのか(リーチ無し外れ)を決定して、それぞれの場合に応じて設定されている変動パターンテーブルを選択する。
こうして、左特別図柄の当否判定結果および当り態様あるいはリーチの有無に応じて、予め設定されている変動パターンテーブルを選択したら、左特別図柄の変動パターン決定乱数を読み出した後(S3258)、選択しておいた変動パターンテーブルから変動パターン決定乱数に基づいて、左特別図柄の変動パターンを決定する(S3260)。
図18に示した左特別図柄変動パターン設定処理では、以上のようにして、左特別図柄の当否判定結果に応じて、左特別図柄の変動パターンを決定した後、図14の左特別図柄関連処理に復帰する。
図14に示されているように、左特別図柄変動パターン設定処理から復帰すると、主制御基板200のCPU201は、左特別図柄表示部43aにおける左特別図柄の変動表示を開始した後(S326)、左特別図柄保留表示部43bに表示されている左特別図柄保留数から1を減算する処理を行う(S328)。次いで、先に決定しておいた左特別図柄の変動パターンを指定するコマンド(変動パターン指定コマンド)を、サブ制御基板220に向かって出力した後(S330)、左特別図柄の停止図柄を指定するコマンド(特別図柄停止情報指定コマンド)を、同じくサブ制御基板220に向かって出力する(S332)。そして最後に、保留演出表示部49に表示する保留数を指定するためのコマンド(保留表示コマンド)をサブ制御基板220に向かって出力する(S334)。すなわち、中央装置40に設けられた保留演出表示部49は、原則として左特別図柄保留表示部43bに表示される左特別図柄の保留数を表示することになっており、先にS328において、左特別図柄保留数を1つ減算したことに対応して、保留演出表示部49に表示される保留数を更新するべく、保留表示コマンドをサブ制御基板220に向かって出力するのである。図14に示した左特別図柄関連処理では、以上のようにして、左特別図柄の変動パターンや、停止図柄を決定するとともに、左特別図柄の保留数を更新し、これらに応じて、特別図柄の変動パターン指定コマンドや、特別図柄停止情報指定コマンド、更には保留表示コマンドをサブ制御基板220に出力した後、図12に示した特別図柄遊技処理に復帰する。
詳細には後述するが、サブ制御基板220のCPU221は、このようにして変動パターン指定コマンドおよび特別図柄停止情報指定コマンドを受け取ることにより、左特別図柄表示部43aで変動表示される左特別図柄の変動時間、および停止図柄についての情報を知ることができる。そこで、これらの情報に応じて、第1の演出表示部47で行われる演出態様を決定して、決定した演出態様を指示する制御コマンドを演出制御基板230へ向けて出力する。こうすることにより、左特別図柄表示部43aで行われる左特別図柄の変動表示および停止表示に合わせて、第1の演出表示部47においても、演出用図柄を用いた各種の演出表示が行われる。サブ制御基板220で行われる処理の詳細については、後ほど詳しく説明する。
C−2−2.右特別図柄関連処理 :
図4を用いて前述したように、本実施例の中央装置40には、左特別図柄に加えて、右特別図柄も設けられており、右特別図柄表示部44aにおいても左特別図柄表示部43aで行われる前述した左特別図柄関連処理と、ほぼ同様な処理が行われる。
図19は、特別図柄遊技処理の中で右特別図柄について行われる右特別図柄関連処理の流れを示すフローチャートである。図19に示した右特別図柄関連処理は、図15を用いて前述した左特別図柄関連処理とほぼ同様であるが、右特別図柄関連処理では、保留移行フラグがセットされているか否かに応じて、選択する変動パターンが異なる点、および、サブ制御基板220に向かって保留表示コマンドを出力する場合と出力しない場合とがある点で、左特別図柄関連処理とは大きく異なっている。以下では、これらの相違点を中心として、右当別図柄関連処理の内容について説明する。
図19に示されているように、右特別図柄関連処理(S340)を開始すると、先ず初めに、右特別図柄の当否判定を行う(S342)。かかる処理は、図15を用いて前述した左特別図柄当否判定処理とほぼ同様な処理を行う。そこで、以下では、図15を流用しながら、右特別図柄当否判定処理について簡単に説明する。
前述した左特別図柄当否判定処理と同様に、右特別図柄当否判定処理においても、処理を開始すると、先ず初めに、現在の遊技状態が確変状態か否かを判断する(S3220相当)。そして、確変状態であれば確変用の当否判定テーブルを選択し(S3222相当)、確変状態でなければ非確変用の当否判定テーブルを選択する(S3224相当)。尚、前述したように、左特別図柄当否判定処理と右特別図柄当否判定処理とは当否判定テーブル(図16参照)が共用されている。
次いで、右特別図柄当否判定乱数に基づいて、当否判定テーブルを参照することにより、右特別図柄の当否判定結果が「当り」か否かを判断する(S3226相当)。そして、右特別図柄の当否判定結果が当りと判断された場合には(S3226:yes相当)、右特別図柄決定乱数を読み出した後(S3228相当)、右特別図柄の当り図柄を決定する処理を行う(S3230相当)。ここで、右特別図柄決定乱数とは、下始動口18に遊技球が入球すると、図9に示した特別図柄遊技開始判断処理の中で、右特別図柄当否判定乱数とともに取得される乱数である。また、右特別図柄の当り図柄は、右図柄決定乱数に基づいて、当り図柄決定テーブルを参照することによって決定する。尚、前述したように本実施例の遊技機1では、左特別図柄の当り図柄を決定するための当り図柄決定テーブルと、右特別図柄の当り図柄を決定するための当り図柄決定テーブルとは共用されている。右特別図柄当否判定処理においては、右特別図柄決定乱数を読み出すと、図17の当り図柄決定テーブルを参照することによって、右特別図柄の当り図柄を決定する処理を行う(図15のS3230相当)。
一方、右特別図柄の当否判定結果が「外れ」であった場合は(S3226:no相当)、右特別図柄決定乱数に基づいて右特別図柄の外れ図柄を決定する処理を行う(S3232相当,S3234相当)。外れ図柄を決定する処理も、外れ図柄決定テーブル(図示は省略)を参照することによって行う。
以上のようにして、右特別図柄当否判定乱数に基づいて右特別図柄の当否判定を行い、右特別図柄の当り図柄あるいは外れ図柄を決定したら、右特別図柄当否判定処理を終了して、図19に示した右特別図柄遊技処理に復帰する。
図19に示されるように、右特別図柄遊技処理では、右特別図柄当否判定処理から復帰すると、今度は、右特別図柄の変動パターンを設定する処理を開始する(S344)。
図20は、右特別図柄関連処理の中で右特別図柄の変動パターンを設定する処理(右特別図柄変動パターン設定処理)の一部を示すフローチャートである。また、図21は、右特別図柄変動パターン設定処理の残りの部分を示すフローチャートである。かかる処理も、図18を用いて前述した左特別図柄変動パターン設定処理と同様に、主制御基板200のCPU201によって実行される処理である。
図20に示されるように、右特別図柄変動パターン設定処理を開始すると、先ず初めに右特別図柄の当否判定結果が当りであるか否かを判断する(S3400)。右特別図柄の当否判定は、図15を流用しながら前述した右特別図柄当否判定処理において既に行われている。その結果、右特別図柄の当否判定結果が当りであった場合には(S3400:yes)、その当り図柄が確変当り図柄か否かを判断し(S3402)、確変当り図柄であった場合には(S3402:yes)、今度は、保留移行フラグがセットされているか否かを判断する(S3404)。ここで保留移行フラグとは、図9および図10を用いて前述した特別図柄遊技開始判断処理の中で、左特別図柄の保留数が残り少なく(本実施例では2未満)、且つ、右特別図柄の保留数が残っている場合にセットされるフラグである。そして、保留移行フラグがセットされていない場合は(S3404:no)、右特別図柄の確変当り用に設定されている変動パターンテーブルを選択する(S3408)。これに対して、保留移行フラグがセットされていた場合には(S3404:yes)、左特別図柄の確変当り用に設定されている変動パターンテーブルを選択する(S3406)。すなわち、現在、実施中の処理は、右特別図柄の変動パターン設定処理であるにも関わらず、保留移行フラグがセットされている場合には、左特別図柄用に設定されている変動パターンテーブルを選択するのである。
右特別図柄の当り図柄が確変当り図柄ではないと判断された場合には(S3402:no)、今度は、当り図柄が特定確変当り図柄か否かを判断する(S3410)。そして、特定確変当り図柄であった場合にも(S3410:yes)、保留移行フラグがセットされているか否かを判断して(S3412)、保留移行フラグがセットされていなければ(S3412:no)、右特別図柄の特定確変当り用に設定されている変動パターンテーブルを選択するが(S3416)、保留移行フラグがセットされていれば(S3412:yes)、左特別図柄の特定確変当り用の変動パターンテーブルを選択する(S3414)。
一方、当り図柄が特定確変当り図柄でもなかった場合は(S3410:no)、通常当り図柄であると判断することができる。そこで、保留移行フラグがセットされているか否かを判断して(S3418)、保留移行フラグがセットされていなければ(S3418:no)、右特別図柄の通常当り用に設定されている変動パターンテーブルを選択し(S3422)、保留移行フラグがセットされていれば(S3418:yes)、左特別図柄の通常当り用の変動パターンテーブルを選択する(S3420)。
以上、右特別図柄の当否判定結果が当りであると判断された場合(S3400:yes)に行われる処理について説明したが、当否判定結果が外れの場合は(S3400:no)、先ず初めに、保留移行フラグがセットされているか否かを判断し(図21のS3424)、セットされていなければ(S3424:no)、右特別図柄の外れ用に設定されている変動パターンテーブルを選択する(S3432)。これに対して、保留移行フラグがセットされていると判断された場合は(S3424:yes)、続いて、リーチを行うか否かを判断する(S3426)。かかる判断は、乱数を用いた抽選によって行うことができる。そして、リーチを行うと判断された場合は(S3426:yes)、左特別図柄用に設定されたリーチあり外れ用の変動パターンテーブルを選択し(S3428)、リーチを行わないと判断された場合は(S3426:no)、左特別図柄用に設定されたリーチ無し外れ用の変動パターンテーブルを選択する(S3430)。
このように、図20に示した右特別図柄の変動パターン設定処理においても、図15に示した左特別図柄の変動パターン設定処理と同様に、右特別図柄の停止図柄に応じた変動パターンテーブルを選択するが、そのとき、保留移行フラグが設定されているか否かを判断して、保留移行フラグが設定されていなければ、右特別図柄用に設定された各種の変動パターンテーブルを選択し、保留移行フラグが設定されていた場合には、左特別図柄用の変動パターンテーブルを選択する処理を行う。
こうして変動パターンテーブルを選択した後は、前述した左特別図柄変動パターン設定処理と同様にして変動パターンを決定する。すなわち、右特別図柄の変動パターン決定乱数を読み出した後(S3424)、選択しておいた変動パターンテーブルから変動パターン決定乱数に基づいて、特別図柄の変動パターンを決定する(S3426)。この結果、保留移行フラグがセットされていない場合は、右特別図柄用に設定された変動パターンが決定されるが、保留移行フラグがセットされていた場合は、右特別図柄変動パターン設定処理の中で、左特別図柄用に設定された変動パターンが決定されることになる。
図20に示した右特別図柄変動パターン設定処理では、以上のようにして、右特別図柄の当否判定結果に応じて、特別図柄の変動パターンを決定した後、図19の右特別図柄関連処理に復帰する。
図19に示されているように、右特別図柄変動パターン設定処理から復帰すると、主制御基板200のCPU201は、右特別図柄表示部44aにおける右特別図柄の変動表示を開始した後(S346)、右特別図柄保留表示部44bに表示されている右特別図柄保留数から1を減算する処理を行う(S348)。次いで、先に決定しておいた特別図柄の変動パターンを指定するコマンド(変動パターン指定コマンド)を、サブ制御基板220に向かって出力する(S350)。このとき出力される変動パターン指定コマンドは、保留移行フラグが設定されている場合は、左特別図柄用の変動パターンを指定するコマンドとなっており、逆に、保留移行フラグが設定されていない場合は、右特別図柄用の変動パターンを指定するコマンドとなっている。
尚、後述するように、左特別図柄用の変動パターンを指定するコマンドがサブ制御基板220に出力された場合は、中央装置40では第1の演出表示部47で変動表示が行われ、右特別図柄用の変動パターンを指定するコマンドがサブ制御基板220に出力された場合は、第2の演出表示部48で変動表示が行われる。従って、保留移行フラグがセットされていた場合には、右特別図柄の保留に対しても左特別図柄用の変動パターンを指定するコマンドが出力されるので、第1の演出表示部47で変動表示が行われることになる。こうした動作は、主制御基板200のCPU201が、図19に示した右特別図柄関連処理を実行することによって実現されている。従って、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明における「第2保留変動表示実行手段」に対応するものとなっている。
また、右特別図柄関連処理においても、図14を用いて前述した左特別図柄関連処理と同様に、変動パターン指定コマンドに続いて、右特別図柄の停止図柄を指定するコマンド(特別図柄停止情報指定コマンド)をサブ制御基板220に向かって出力する(S352)。但し、右特別図柄関連処理では、特別図柄停止情報指定コマンドを出力すると、保留移行フラグがセットされているか否かを判断し(S354)、保留移行フラグがセットされている場合は(S354:yes)、左特別図柄関連処理と同様に、保留表示コマンドをサブ制御基板220に向かって出力する。すなわち、図9および図10を用いて前述した特別図柄遊技開始判断処理において、左特別図柄の保留数が残り少なくなった場合には、右特別図柄の保留数が残っている場合には、保留移行フラグがセットするとともに(図10のS274参照)、保留表示コマンドを出力して左右の特別図柄の保留を合わせた保留数を保留演出表示部49に表示することになっている。これを受けて、図19の右特別図柄関連処理においては、保留移行フラグがセットされていれば、左特別図柄の保留数に加えて右特別図柄の保留数も保留演出表示部49に表示されているものと判断して、表示されている保留数の中の右特別図柄に対応する保留分を1つ減らすべく、保留表示コマンドをサブ制御基板220に出力するのである(S356)。こうして、左特別図柄の保留数に加えて右特別図柄の保留数も保留演出表示部49の表示に反映させたら、保留移行フラグはクリアしておく(S358)。
これに対して、保留移行フラグがセットされていない場合は(S354:no)、右特別図柄の保留は保留演出表示部49に表示されていないので、保留表示コマンドを出力することなく、図19に示した右特別図柄関連処理を終了して、図12の特別図柄遊技処理に復帰する。
詳細には後述するが、サブ制御基板220では、このようにして右特別図柄関連処理によって出力された各種コマンドに基づいて、中央装置40の演出表示部46で行われる演出を制御する。特に、出力された変動パターン指定コマンドの内容が、左特別図柄用の変動パターンを指定するコマンドであった場合は、第1の演出表示部47を用いて演出を行い、これに対して変動パターン指定コマンドの内容が、右特別図柄用の変動パターンを指定するコマンドであった場合は、第2の演出表示部48を用いて演出を行う。こうすることで、複数の始動口を搭載していることを活かしながら、遊技が複雑になることを回避して、遊技者の興趣を引き付けておくことが可能となる。この点については、後ほど詳しく説明する。
以上に説明したように、図7に示した遊技制御処理の中で行われる特別図柄遊技処理では(S300)、上始動口17に遊技球が入球した場合には、左特別図柄表示部43aで左特別図柄の変動表示を行い、下始動口18に遊技球が入球した場合には、右特別図柄表示部44aで右特別図柄の変動表示を行う。そして、左特別図柄あるいは右特別図柄が何れかの当り図柄で停止表示された場合には、条件装置および役物連続作動装置の作動を開始する(図13のS378)などの、種々の処理を行った後、図7の遊技制御処理に復帰する。
図7に示すように遊技制御処理では、特別図柄遊技処理から復帰すると、条件装置が作動中か否かを判断し(S390)、条件装置が作動中であれば(S390:yes)、以下に説明する特別電動役物遊技処理を行うことによって、いわゆる大当り遊技(特別遊技)を開始する。これに対して、条件装置が作動中でないと判断されれば(S390:no)、以下に説明する特別電動役物遊技処理はスキップする。
C−3.特別電動役物遊技処理 :
図22は、特別電動役物遊技処理の一部の流れを示すフローチャートである。また、図23は、特別電動役物遊技処理の残りの部分の流れを示すフローチャートである。以下、図22および図23を参照しながら特別電動役物遊技処理について説明するが、その準備として、いわゆる大当り遊技(特別遊技状態)と呼ばれる遊技の内容について簡単に説明しておく。
図2を用いて前述したように、遊技盤の下方には大入賞口31dが設けられており、この大入賞口31dは通常の遊技状態では閉鎖されている。しかし、特別遊技が開始されると、大入賞口31dが開口状態となる。本明細書中で言う「特別電動役物」とは、大入賞口31dを開口状態とする装置である。大入賞口31dは他の入賞口に比べて大きく開口するため、大入賞口31dが開口状態になると、遊技球が高い確率で入球することになる。開口された大入賞口31dは、所定の開口時間が経過するか、あるいは所定数の遊技球が入球すると一旦閉鎖されるが、所定の閉鎖時間が経過すると再び開口状態となる。本明細書中で言う「役物連続作動装置」とは、大入賞口31dを再び開口状態とする装置であり、主制御基板200のCPU201を主体として構成される。また、大入賞口31dが開口してから閉鎖するまでの遊技は、「ラウンド」と呼ばれる。こうしたラウンドを繰り返して、所定回数のラウンドを消化したら特別遊技状態が終了する。以下、上述した特別遊技を実行するために、主制御基板200のCPU201が行う特別電動役物遊技処理について、図22および図23を参照しながら説明する。
主制御基板200のCPU201は、特別電動役物遊技処理(S400)を開始すると先ず初めに、大入賞口31dが開口中か否かを判断する(S402)。大入賞口31dは、通常の遊技状態では閉鎖されており、従って特別遊技の開始直後は、大入賞口31dは閉鎖状態となっている。そこで、大入賞口は開口中ではないと判断して(S402:no)、特別電動役物の連続作動回数が所定回数に達したか否かを判断する(S404)。前述したように特別電動役物とは、大入賞口31dを開口させる装置であり、特別遊技状態が発生すると特別電動役物が所定回数だけ作動して、所定回数のラウンドが繰り返されることになっている。このことに対応して、大入賞口31dが閉鎖されている場合は(S402:no)、特別電動役物の作動回数が所定回数に達したか否か、換言すれば、所定回数のラウンドが終了したか否かを判断する(S404)。
当然のことながら、特別遊技が開始された直後は、特別電動役物の作動回数が所定回数に達していないから(S404:no)、大入賞口の閉鎖時間が経過したか否かを判断する(S406)。大入賞口の閉鎖時間とは、ラウンドとラウンドとの間で大入賞口31dが閉鎖状態となっている時間である。特別遊技が開始された直後は、大入賞口31dは閉鎖状態となっているから、当然、大入賞口31dの閉鎖時間が経過していると判断され(S406:yes)、大入賞口31dを開口させた後(S408)、図22に示した特別電動役物遊技処理を一旦終了して、図7の遊技制御処理に復帰する。
主制御基板200のCPU201は遊技制御処理に復帰すると、図7に示したように、賞球関連処理(S50)以降の一連の各種処理を行った後、再び特別電動役物遊技処理(S400)を開始する。前述したように、図7に示した遊技制御処理を、主制御基板200のCPU201が一回、実行するために要する時間は、約4msecとなっている。従って、図22に示した特別電動役物遊技処理も、約4msec毎に実行されることになる。そして、特別遊技が開始されて、図22の特別電動役物遊技処理が初めて実行された場合には、前述したようにS408において大入賞口31dを開口させて、そのまま処理を終了するが、約4msec後に2周目の処理を行う場合には、S402にて、大入賞口31dが開口中(S402:yes)と判断されることになる。
次いで、大入賞口31dの開口時間が所定時間に達したか否かを判断する(S410)。前述したように、特別遊技では、大入賞口31dが開口状態となるが、開口時間が所定時間に達するか、または大入賞口31dに所定数の遊技球が入球すると閉鎖される。このことに対応して、S410では大入賞口31dの開口時間が所定時間に達したか否かを判断する。そして、開口時間が所定時間に達していれば(S410:yes)、大入賞口31dを閉鎖した後(S414)、図22に示した特別電動役物遊技処理を抜けて、図7の遊技制御処理に復帰する。一方、開口時間が所定時間に達していない場合は(S410:no)、大入賞口31dに入球した遊技球が規定数に達しているか否かを判断する(S412)。そして、遊技球が規定数に達した場合は(S412:yes)、大入賞口31dを閉鎖する(S414)。これに対して、規定数に達していない場合は(S412:no)、大入賞口31dの開口時間が未だ所定時間に達しておらず、しかも大入賞口31dに入球した遊技球も規定数に達していないことになるので、大入賞口31dを開口させたまま、図22に示した特別電動役物遊技処理を抜けて、図7の遊技制御処理に復帰する。
図7の遊技制御処理を何回も繰り返し実行しているうちに、大入賞口31dの開口時間が所定時間に達するか(図22のS410:yes)、もしくは大入賞口31dに規定数数の遊技球が入球して(S412:yes)、大入賞口31dが閉鎖される(S414)。こうして、1ラウンドの遊技が終了する。そして、次に特別電動役物遊技処理が実行された時には、S402において大入賞口31dが閉鎖中と判断され(S402:no)、所定回数のラウンドが終了したか否かが判断され(S404)、全てのラウンドが終了していなければ(S404:no)、大入賞口の閉鎖時間が所定時間に達したことを確認した後(S406:yes)、再び大入賞口31dを開口状態として新たなラウンドを開始する(S408)。一方、S404において、所定回数のラウンドが終了したと判断された場合は(S404:yes)、特別遊技状態を終了させるべく、条件装置および役物連続作動装置の作動を停止する(S416)。
以上のようにして特別遊技が終了したら、条件装置を作動させることとなった特別図柄(特別遊技を開始させることとなった当り図柄)が「確変当り図柄」または「特定確変当り図柄」であったか否かを判断する(図23のS418)。そして、これら何れかの図柄であったと判断された場合は(S418:yes)、確変機能の作動を開始した後(S420)、条件装置を作動させることとなった特別図柄が「確変当り図柄」であったか否かを判断する(S422)。その結果、「確変当り図柄」であると判断された場合は(S422:yes)、確変機能に加えて、普通電動役物の開口時間延長機能および時短機能の作動を開始する(S428、S430)。尚、こうして確変機能の作動が開始されると、いわゆる確変状態となって、次回以降に行われる左特別図柄あるいは右特別図柄の当否判定において、通常の状態よりも、当りの判定が高い確率で発生する高確率状態となる。
これに対して、条件装置を作動させた図柄(当り図柄)が「確変当り図柄」ではないと判断された場合は(S422:no)、「特定確変当り図柄」によって作動したことになる。そこで、条件装置の作動開始時(特別遊技開始時)に普通電動役物の開口時間延長機能が作動していたか否か、換言すれば、特定確変当り図柄が停止表示されたのが確変中または時短中であったか否かを判断する(S424)。そして、条件装置の作動開始時に開口時間延長機能が作動していたと判断されれば(S424:yes)、普通電動役物の開口時間延長機能および時短機能の作動を開始する(S428、S430)。これに対して、条件装置の作動開始時に開口時間延長機能が作動していなかったと判断された場合は(S424:no)、普通電動役物の開口時間延長機能および時短機能の作動を開始する処理はスキップする。
一方、条件装置を作動させることとなった特別図柄が「確変当り図柄」または「特定確変当り図柄」では無いと判断された場合は(S418:no)、条件装置を作動させることとなった特別図柄は「通常当り図柄」であったことになるので、確変機能は作動させることなく、普通電動役物開口時間延長機能の作動を開始し(S428)、続いて時短機能の作動を開始する(S430)。
以上のように、条件装置を作動させることとなった特別図柄の種類や、条件装置の作動開始時における開口時間延長機能の作動有無に応じて、確変機能、時短機能、開口時間延長機能の作動を開始する処理を行い、最後に、大当り遊技の終了を示すコマンド(大当り遊技終了コマンド)を、サブ制御基板220に出力し(S432)、図22および図23に示す特別電動役物遊技処理を終了する。いわゆる大当り遊技(特別遊技)は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、以上のような特別電動役物遊技処理を実行することによって行われている。
主制御基板200に搭載されたCPU201は、以上のような遊技制御処理を繰り返し行うことによって、遊技機1の遊技を進行させる。そして、上始動口17あるいは下始動口18に遊技球が入球すると、入球した始動口に応じて、左特別図柄関連処理(図12のS320)または右特別図柄関連処理(図12のS340)の中で特別図柄の当否判定が行われ、当否判定結果が「当り」であった場合には、条件装置および役物連続作動装置が作動して(図13のS378)、特別遊技状態が開始される。また、主制御基板200のCPU201は、このような処理を行う中で、サブ制御基板220に向かって各種のコマンドを出力する。
サブ制御基板220では、主制御基板200から受け取ったコマンドに基づいて、演出表示部46で行われる演出内容を制御する。以下では、サブ制御基板220が行う演出制御処理について詳しく説明する。
D.演出制御処理 :
図24は、主制御基板200からのコマンドに基づいて本実施例のサブ制御基板220が実行する演出制御処理の前半部分の処理を示すフローチャートである。また、図25は、演出制御処理の後半部分の処理を示すフローチャートである。以下、図24および図25のフローチャートに従って、演出制御処理の詳細な処理内容について説明する。
図24に示されているように、演出制御処理では、先ず初めに、主制御基板200から特別図柄の変動パターン指定コマンドを受信したか否かを判断する(S1002)。特別図柄の変動パターンは、上始動口17への入球が検出されると、図14を用いて前述した左特別図柄関連処理の中で決定され、下始動口18への入球が検出されると、図19を用いて前述した右特別図柄関連処理の中で決定されて、主制御基板200からサブ制御基板220に向かって出力される。その結果、変動パターン指定コマンドを未だ受信していないと判断された場合は(図24のS1002:no)、コマンドを監視しながら待機状態となる。そして、遊技を続けている間に、上始動口17あるいは下始動口18の何れかに遊技球が入球して、主制御基板200から出力された変動パターン指定コマンドを受信したことを確認したら(S1002:yes)、続いて、主制御基板200から特別図柄停止情報指定コマンドを受信したか否かを判断する(S1004)。図14を用いて前述した左特別図柄関連処理、あるいは図19を用いて前述した右特別図柄関連処理の何れにおいても、主制御基板200は特別図柄の変動パターン指定コマンドを出力すると、直ぐに続いて、特別図柄停止情報指定コマンドも出力するので、サブ制御基板220のCPU221は、特別図柄変動パターン指定コマンドを受信すると、やがて特別図柄の停止情報指定コマンドも受信することができる。
こうして、特別図柄の変動パターン指定コマンドおよび特別図柄停止情報指定コマンドを受信したら(S1004:yes)、受け取った変動パターンが、左特別図柄に対応する変動パターンか否かを判断する(S1006)。すなわち、図18に示した左特別図柄変動パターン設定処理、あるいは図21に示した右特別図柄変動パターン設定処理では、前述したように特別図柄の変動パターンテーブルを参照することによって変動パターンが決定されており、この変動パターンテーブルには、左特別図柄用の変動パターンテーブルと、右特別図柄用の変動パターンテーブルとが設けられている。そして、左特別図柄用の変動パターンテーブルに設定されている変動パターンと、右特別図柄用の変動パターンテーブルに設定されている変動パターンとは、異なる変動パターンが設定されている。このため、サブ制御基板220は、主制御基板200から特別図柄の変動パターン指定コマンドを受け取ると、その変動パターンが、左特別図柄用の変動パターンか、右特別図柄用の変動パターンかを判断することが可能となっている。図24のS1006では、このようにして、主制御基板200から受信した特別図柄の変動パターンが、左特別図柄用の変動パターンであるか否かを判断する。
その結果、左特別図柄用の変動パターンであると判断された場合は(S1006:yes)、第1の演出表示部47に搭載された三つの7セグメントLEDを用いて、演出用図柄の変動表示を開始する(S1008)。次いで、サブ制御基板220のCPU221は、保留表示コマンドを受信したか否かを判断する(S1012)。前述したように、保留表示コマンドは保留演出表示部49に保留数を表示するためのコマンドであり、保留演出表示部49に表示された保留数は、第1の演出表示部47で演出用図柄の変動表示を行う度に、一つずつ消化していく。このことと対応して、第1の演出表示部47で演出用図柄の変動表示を開始すると(S1008)、続いて保留表示コマンドを受信したか否かを判断する(S1012)。そして、受信していなければ(S1012:no)、そのまま待機状態となり、保留表示コマンドの受信を確認できたら(S1012:yes)、コマンドに指定された内容に従って、保留演出表示部49に表示された保留数を変更する(S1014)。
これに対して、左特別図柄用の変動パターンではないと判断された場合は(S1006:no)、第2の演出表示部48に搭載された複数のLEDを点灯させて、演出用図柄の変動表示を開始する(S1010)。また、第2の演出表示部48で演出用図柄が変動表示されても、保留演出表示部49に表示された保留数が消化することはないので、主制御基板200から保留表示コマンドが送信されてくることもない。このため、第2の演出表示部48で変動表示を開始した場合は(S1010)、保留表示コマンドの受信を確認して保留演出表示部49の表示を変更する処理はスキップする。
こうして、第1の演出表示部47または第2の演出表示部48で演出用図柄の変動表示を開始したら、今度は、主制御基板200からの図柄停止コマンドを受信したか否かを判断する(図25のS1016)。図12を用いて説明したように、主制御基板200で行われる特別図柄遊技処理では、第1の演出表示部47に対応する左特別図柄表示部43aで変動表示を行った場合でも、あるいは第2の演出表示部48に対応する右特別図柄表示部44aで変動表示を行った場合でも、サブ制御基板220に向かって、必ず図柄停止コマンドが出力される(S362)。そこで、サブ制御基板220で行う演出制御処理では、第1の演出表示部47あるいは第2の演出表示部48の何れで変動表示を行った場合でも、主制御基板200から図柄停止コマンドが送られてきたか否かを確認し(図25のS1016)、未だ送られて来ていない場合は(S1016:no)、そのまま待機状態となる。
そして、図柄停止コマンドの受信を確認したら(S1016:yes)、変動表示中の演出用図柄の停止図柄を、先に受け取っていた特別図柄停止情報指定コマンドに基づいて決定する(S1018)。前述したように、左右の特別図柄には「確変当り図柄」、「特定確変当り図柄」、「通常当り図柄」、「外れ図柄」の4種類の図柄が設定されており、特別図柄停止情報指定コマンドは、左右の特別図柄の停止図柄に関する情報が含まれている。そこで、サブ制御基板220の演出制御処理では、特別図柄停止情報指定コマンドに基づいて、変動中の演出用図柄の停止図柄を決定する。
例えば、演出用図柄の変動表示が第1の演出表示部47で行われている場合について説明すると、特別図柄停止情報指定コマンドに指定された図柄が「当り図柄」であれば、三つの7セグメントLEDが同じ数字となる図柄に決定する。特に「確変当り図柄」であれば奇数の図柄に決定し、「通常当り図柄」であれば偶数の図柄に決定する。尚、「特定確変当り図柄」であった場合は、当り図柄ではあるが、同じ数字ではなく特定の数字の組合せ(例えば、「123」など)に決定する。また、「外れ図柄」であった場合は、「当り図柄」には該当しない何れかの図柄に決定する。サブ制御基板220のROM222には、左右の特別図柄に対応付けて、こうした複数の演出用図柄が記憶されている。そして、演出制御処理のS1018では、特別図柄停止情報指定コマンドで指定された停止図柄に対応付けて記憶されている複数の演出用図柄の中から抽選することで、停止図柄を決定する処理を行う。また、第2の演出表示部48で変動表示を行っている場合についても同様に、左右の特別図柄の停止図柄に対応付けて、複数の演出用図柄(ここでは、6つのLEDの点灯状態)がROM222に記憶されており、特別図柄停止情報指定コマンドで指定された停止図柄に対応付けられた複数の演出用図柄の中から停止図柄を決定する処理を行う。
こうして、停止図柄を決定したら、変動表示中の演出用図柄を、決定した図柄で停止表示させる(S1020)。そして、停止表示した図柄が、当り図柄か否かを判断し(S1022)、当り図柄ではなかった場合は(S1022:no)、そのまま先頭に戻って、主制御基板200から変動パターン指定コマンドを受け取ったか否かの監視を再開する(S1002)。
これに対して、停止表示された図柄が当り図柄であると判断した場合は(S1024:no)、当り図柄が停止表示されたのが第2の演出表示部48か否かを判断する(S1026)。そして、第2の演出表示部48ではないと判断された場合は(S1026:no)、第1の演出表示部47で当り図柄が停止表示されたことになるので、大当り遊技に伴う演出(例えば、大当りラウンド演出、大当りエンディング演出など)を実行し(S1030)、大当り遊技の演出終了後は、先頭に戻って、変動パターン指定コマンドを受け取ったか否かの監視を再開する(S1002)。
一方、当り図柄が停止表示されたのが第2の演出表示部48であったと判断された場合は(S1026:yes)、第1の演出表示部47の左右に設けられた演出用ランプ部52を用いて所定の演出(例えば、大当り報知演出、特殊モード突入演出など)を実施した後(S1028)、大当り遊技に伴う演出を開始する(S1030)。そして、大当り遊技の演出終了後は、先頭に戻って、変動パターン指定コマンドを受け取ったか否かの監視を再開する(S1002)。
本実施例の遊技機1に搭載されたサブ制御基板220では、以上に説明した演出制御処理を実行することによって、中央装置40での遊技の演出を行う。図2を用いて前述したように、本実施例の遊技機1には、上始動口17および下始動口18の二つの始動口が設けられているが、このような制御を行うことにより、複数の始動口が設けられていることで遊技が複雑となることを回避しつつ、保留が途切れ難く(従って、演出用図柄の変動表示が途切れ難く)遊技者の興趣を喚起することが可能となっている。以下では、この点について詳しく説明する。
先ず、遊技盤面の構成は、図2に示したように、もっとも遊技者の目に付き易い位置に第1の演出表示部47(本実施例では、7セグメントLEDを用いて構成されている)が設けられており、第2の演出表示部48は、第1の演出表示部47と比べれば遙かに目立ち難い態様で設けられている。このため、本実施例の遊技機1を見た遊技者は、第1の演出表示部47に注意を奪われて、中央装置40に二つの演出表示部が搭載されていることに気付き難くなっている。
また、上始動口17は、いわゆるチューリップ式の入球口となっているため、遊技者は直ちにそれが始動口であると認識することができるが、下始動口18は、一般入球口19と同じポケット式の入球口となっているため、始動口であることが分かり難くなっている。そして、上始動口17に遊技球が入球すると、遊技者にとって目に付き易い第1の演出表示部47で演出用図柄の変動表示が開始され、第1の演出表示部47または第2の演出表示部48での変動表示中に、上始動口17に遊技球が入球した場合には、保留演出表示部49に保留が蓄積表示される。一方、下始動口18に遊技球が入球した場合には、第2の演出表示部48で演出用図柄の変動表示が行われる。また、第1の演出表示部47または第2の演出表示部48での変動表示中に、下始動口18に遊技球が入球した場合には、保留として蓄えられる(記憶される)ものの、少なくとも遊技者に分かり易い態様では、保留が表示されることはない。
このように遊技者が、始動口であると直ちに認識できる上始動口17に遊技球が入球した場合には、遊技者の目に付き易い第1の演出表示部47で演出用図柄の変動表示が開始されるのに対して、始動口であると容易に認識できない下始動口18に遊技球が入球した場合には、第1の演出表示部47よりは遊技者の目に止まり難い第2の演出表示部48で変動表示が開始される。加えて、保留演出表示部49に保留が蓄えられている場合は、演出用図柄の変動表示が終了しても、再び第1の演出表示部47で変動表示が開始される。これに対して、第2の演出表示部48に対する保留は、少なくとも保留演出表示部49のように遊技者に分かり易い態様で表示されることはない。
このため本実施例の遊技機1で遊技を行う遊技者は、始動口(実際には上始動口17)に遊技球を入球させて、中央装置40に設けられた図柄表示部(実際には第1の演出表示部47)で演出用図柄を変動表示させ、当り図柄が停止表示されると、大当り遊技が開始され、また、演出用図柄の変動表示中に始動口(実際には上始動口17)に遊技球が入球した場合には保留として蓄えられる従来からの一般的な遊技機と同じようにして、遊技を進めることができる。従って、複数の始動口が搭載されていることによる遊技の複雑さを、全く遊技者に感じさせることがない。
もちろん、第1の演出表示部47での変動表示では外れた後、第2の演出表示部48の変動表示で、当りが発生する場合も起こり得る。遊技者は、もっぱら第1の演出表示部47を見ながら遊技を行うものと考えられるから、第1の演出表示部47では外れたのに大当り遊技が開始されたのでは、遊技者に不自然な印象を与えるおそれがある。そこで、第1の演出表示部47での外れ変動表示に続いて第2の演出表示部48の変動表示で当りが発生する場合は、第2の演出表示部48に設けられた複数のLEDをできるだけ目立つ態様で点滅させた後、当り図柄を停止表示させ、その後、演出用ランプ部52を用いて、大当りが発生した旨を報知する演出を行う(図25のS1026〜S1028を参照のこと)。
図26は、第2の演出表示部48での変動表示で大当りが発生した場合に行われる演出の様子を例示した説明図である。図26(a)は、第2の演出表示部48での変動表示に先立って、第1の演出表示部47で外れ図柄が停止表示されている様子を表している。第2の演出表示部48での変動表示は、このように第1の演出表示部47で外れ図柄が停止表示された状態から開始される。図26(b)は、第2の演出表示部48で大当りが発生する場合に、第2の演出表示部48を構成する複数のLEDを点滅させて演出用図柄の変動表示を行っている様子を例示したものである。図示されているように、第1の演出表示部47では外れの図柄が表示されているものの、第2の演出表示部48では派手な態様でLEDの点滅を行うことで、「実際には単なる外れではないのでは?」と遊技者に思わせることができる。もちろん、第2の演出表示部48でも外れる場合には、このような派手な態様でLEDを点滅させなければよい。
そして、第2の演出表示部48を当りの図柄で停止表示させた後、演出用ランプ部52を用いて、大当りの発生を報知する演出を行う。図26(c)は、第2の演出表示部48を構成するLEDを一斉に点灯させて、当り図柄を停止表示させるとともに、演出用ランプ部52を用いて大当りの発生を報知する演出を行っている様子を例示したものである。第2の演出表示部48で当りが発生する場合には、このような演出を行うと、遊技者は、第1の演出表示部47で外れの図柄が停止表示されたものの、それは見せかけの表示で、本当は当たっていたのだと感じることになる。その結果、第2の演出表示部48で当りが発生した場合でも、遊技者には、第2の演出表示部48で行われる演出(変動表示)が第1の演出表示部47で行われる演出(変動表示)の延長上の演出(いわゆる発展演出)と認識させることができ、第2の演出表示部48が下始動口18への遊技球の入球に基づく右特別図柄表示部44aでの変動表示に連動していることを意識させることがないので、遊技が複雑になってしまうことがない。
このように、本実施例の遊技機1では、上始動口17および下始動口18の二つの始動口を搭載し、それぞれに第1の演出表示部47および第2の演出表示部48を搭載しているものの、通常の遊技では、始動口および演出表示部が2つずつ搭載されていることを、遊技者には全く意識させることなく遊技を行うことができる。
また、本来は、遊技盤面の目立つ位置で図柄を変動表示することによって行われる演出は、遊技者にとっては最も楽しめる演出であることから、第1の演出表示部47での変動表示が行われない状態が続くと、遊技者の興趣を冷ましてしまうおそれがある。特に、第1の演出表示部47での変動表示を行うためには、上始動口17に遊技球を入球させなければならず、そのためには、先ず、上始動口作動ゲート36に遊技球を通過させて上始動口17を開口させるという二段階の手順を踏むことになる。このため、第1の演出表示部47での変動表示が途切れてしまい、遊技者の興趣を冷ましてしまうことも起こり得る。そこで、上始動口17に遊技球が入球して蓄えられた保留が少なくなってきた場合には、下始動口18への入球によって蓄えられる保留を、上始動口17の保留に移行させることで、遊技者に気付かれ難い状態で行われる第2の演出表示部48での変動表示を、第1の演出表示部47で行う。こうすることで、第1の演出表示部47での変動表示が途切れることを回避することができ、延いては、遊技者の興趣を冷ましてしまうことを回避することが可能となっている。
図27は、下始動口18への入球による保留を上始動口17の保留に移行させることで、第1の演出表示部47での演出用図柄の変動表示が途切れることを回避する様子を例示した説明図である。一例として、図27(a)には、上始動口17への入球に対する保留は2つ蓄えられており、下始動口18への入球に対する保留は1つだけ蓄えられている場合を示している。上始動口17への入球に対する保留が2つ蓄えられていることに対応して、左特別図柄保留表示部43bには2つのLEDが点灯され、下始動口18への入球に対する保留が1つ蓄えられていることに対応して、右特別図柄保留表示部44bには1つだけLEDが点灯されている。尚、保留演出表示部49には、原則として左特別図柄表示部43aに蓄えられた保留(上始動口17に対する保留)が表示されるので、右特別図柄保留表示部44bに蓄えられた保留は反映されず、左特別図柄保留表示部43bに蓄えられた保留に対応して、2つだけLEDが点灯された状態となっている。
このような状態から、上始動口17への入球に対する保留を1つ消化すると、左特別図柄保留表示部43bに蓄えられた保留も、右特別図柄保留表示部44bに蓄えられた保留も、何れも1つずつとなる。尚、この保留は、上始動口17への入球に対する保留であるから、保留の消化の際には、第1の演出表示部47で演出用図柄の変動表示が行われる。このように、左特別図柄保留表示部43bに蓄えられた保留(従って、保留演出表示部49に表示されている保留)が少なくなると、図10を用いて前述したように、主制御基板200で行われる特別図柄遊技開始判断処理の中で、保留移行フラグがセットされて(S274)、右特別図柄保留表示部44bに蓄えられた保留も、保留演出表示部49に表示する処理が行われる(S276)。
図27(b)には、下始動口18への入球に対する保留(右特別図柄保留表示部44bに蓄えられた保留)が移行されて、保留演出表示部49に表示されている様子が示されている。図中では、上始動口17への入球に対する保留を黒塗りで表し、下始動口18への入球に対する保留を細かいハッチングを付して表している。そして、図21を用いて前述したように、保留移行フラグがセットされると、下始動口18への入球に対する保留(右特別図柄の保留)であるにも拘わらず、上始動口17への入球に対する保留(左特別図柄の保留)と同じ変動パターンが決定され、この変動パターンがサブ制御基板220に出力されて、第1の演出表示部47で演出用図柄の変動表示が行われる。図27(c)には、右特別図柄保留表示部44bに蓄えられた保留(下始動口18への入球に対する保留)であるにも拘わらず、保留演出表示部49に保留が表示され、この保留を消化するために、第1の演出表示部47で変動表示が行われる様子が示されている。
このように本実施例の遊技機1では、上始動口17に多数の遊技球が入球して、多数の保留が蓄えられている場合には、下始動口18に遊技球が入球しても、遊技者には目立たない態様で変動表示を行うことで、複数の始動口が設けられているために遊技が複雑になってしまうことを回避するとともに、上始動口17に対する保留が少なくなった場合には、下始動口18への入球に対して蓄えられていた保留を移行させ、上始動口17への保留と同様の態様で消化することで、演出用図柄の変動表示が途切れて遊技者が興趣を冷ましてしまうことも回避することが可能となっている。
尚、上始動口17への入球に対する保留が少なくなって、下始動口18への入球に対して蓄えられた保留(右特別図柄の保留)を移行させる場合には、右特別図柄の全保留を一度に移行させても良いが、1つずつ移行させるようにしても良い。こうすれば、右特別図柄の保留を移行させていることが、遊技者に気付かれ難くすることが可能となる。
あるいは、上始動口17への入球に対する保留(左特別図柄の保留)と下始動口18への入球に対する保留(右特別図柄の保留)とが蓄えられている場合は、左特別図柄の保留を優先して消化することとして、左特別図柄の保留が少なくなった場合に、右特別図柄の全保留を一度に移行させるようにしても良い。こうすれば、遊技者に得をしたような印象を与えることができるので、遊技に対する興趣を喚起することが可能となる。
以上、本発明について各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、上述した実施例では、上始動口作動ゲート36を遊技球が通過することで上始動口17が開口状態となる例を説明したが、上始動口作動ゲート36を遊技球が通過することで抽選を実行し、その抽選に当選した場合に上始動口17を開口状態とすることとしてもよい。具体的には、上始動口作動ゲート36を遊技球が通過することで普通図柄の変動表示を行う普通図柄表示装置を設け、所定時間の変動表示の後に普通図柄が所定の当り図柄で停止表示された場合に、上始動口17を開口状態とするようにしてもよい。