JP5169435B2 - 二次電池およびその製造方法 - Google Patents

二次電池およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5169435B2
JP5169435B2 JP2008112041A JP2008112041A JP5169435B2 JP 5169435 B2 JP5169435 B2 JP 5169435B2 JP 2008112041 A JP2008112041 A JP 2008112041A JP 2008112041 A JP2008112041 A JP 2008112041A JP 5169435 B2 JP5169435 B2 JP 5169435B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
negative electrode
formula
compound represented
active material
secondary battery
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008112041A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009218191A5 (ja
JP2009218191A (ja
Inventor
徹 小谷
俊介 齊藤
裕之 山口
忠彦 窪田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP2008112041A priority Critical patent/JP5169435B2/ja
Publication of JP2009218191A publication Critical patent/JP2009218191A/ja
Publication of JP2009218191A5 publication Critical patent/JP2009218191A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5169435B2 publication Critical patent/JP5169435B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Cell Separators (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Description

この発明は、正極および負極と共に非水電解質を備える二次電池およびその製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池は、充放電反応にリチウムの吸蔵および放出を利用する二次電池であり、鉛電池やニッケルカドミウム電池と比較して大きなエネルギー密度が得られるため、大いに期待されている。
リチウムイオン二次電池では、負極活物質として炭素材料が広く用いられている。例えば、コークス、人造黒鉛、天然黒鉛などのリチウムイオンを吸蔵および放出することが可能な炭素材料を用いたリチウムイオン二次電池が提案されている。このようなリチウムイオン二次電池では、リチウムが金属状態で存在しないためデンドライトの形成が抑制され、電池寿命と安全性を向上することができる。特に、人造黒鉛や天然黒鉛などの黒鉛系炭素材料は、単位体積当たりのエネルギー密度を向上させることができる材料として期待されている。
黒鉛系炭素材料を単独で負極に用いたリチウムイオン二次電池、または黒鉛系炭素材料と、リチウムを吸蔵および放出することが可能な他の負極材料と、を混合して負極に用いたリチウムイオン二次電池では、リチウム一次電池で一般に好んで使用される炭酸エステルを電解液の溶媒に使用している。しかしながら、炭酸エステルを電解液の溶媒として使用した場合には、充放電過程において電極表面で電解液が分解するため、充放電効率の低下やサイクル特性の低下などの問題がある。
そこで、充放電効率の低下やサイクル特性の低下などを抑制するために、例えば、特許文献1、特許文献2では、電極表面で電解液よりも先に分解して被膜を作ることで溶媒の分解を抑制する添加剤が提案されており、例えば、炭酸ビニレンや炭酸(4−ビニル)エチレンなどの不飽和基を有する環状カーボネートを電解液に添加する方法が提案されている。また、その他、充放電特性の低下などを抑制するために、特許文献3〜特許文献7では、電解液にγ−ブチロラクトンの誘導体などのラクトン誘導体を添加する方法が提案されている。
特開平5−74486号公報 特開平8−45545号公報 特開平11−54150号公報 特開2001−023684号公報 特開2003−163031号公報 特開2006−172775号公報 特開2006−318760号公報
ところで、最近では、電池容量をさらに向上することが求められており、例えば、電池容量をさらに向上するために、炭素材料に代えてケイ素(Si)またはスズ(Sn)などを負極に用いることが検討されている。ケイ素(Si)の理論容量(4199mAh/g)およびスズ(Sn)の理論容量(994mAh/g)は、黒鉛の理論容量(372mAh/g)よりも格段に大きいため、電池容量の大幅な向上を期待できる。
例えば、特許文献8に記載されているように、負極活物質として、ケイ素(Si)またはスズ(Sn)の薄膜を用いた二次電池では、リチウム(Li)が吸蔵および放出された場合においても負極活物質の微粉化が抑制されるため、高い放電容量を得ることができる。
国際公開第01/031724号パンフレット
また、特許文献9では、負極活物質として、スズ(Sn)、ケイ素(Si)のようなリチウムと化合可能な金属、元素または合金およびこれらの化合物を用いた場合において、サイクル特性を向上させる方法として、例えば、ハロゲンを構成元素として有する環状または鎖状の炭酸エステルを電解液に含有させる方法が提案されている。この方法によって特性が向上する理由としては、初期の充電時において負極の表面に高イオン透過性および高安定性の被膜が形成されるため、電解液の分解反応が抑制されるからであると推測される。
特開2004−47131号公報
しかしながら、負極活物質として、ケイ素(Si)またはスズ(Sn)を用いた場合には、リチウム(Li)が吸蔵された場合に活性が高くなるため、電解液の溶媒として環状炭酸エステルなどの高誘電率溶媒と鎖状炭酸エステルなどの低粘度溶媒とを併用すると、主に鎖状炭酸エステルが分解されやすく、しかもリチウムが不活性化しやすいことが懸念される。この場合には、充放電過程において負極活物質の微粉化が十分に抑制されないと、充放電効率が低下するため、十分なサイクル特性および保存特性が得られない。
特許文献9では、ハロゲンを構成元素として有する環状または鎖状の炭酸エステルを電解液に含有させることによって、電解液の分解反応を抑制できるが、負極活物質として、ケイ素(Si)またはスズ(Sn)を用いた場合には、十分なサイクル特性が得られていない。また、負極活物質として、炭素材料を用いた場合でも、サイクル特性をより向上させることが求められている。
したがって、この発明の目的は、サイクル特性を向上させることができる二次電池およびその製造方法を提供することにある。
上述した課題を解決するために、第1の発明は、
セパレータを介して対向された正極および負極と、非水電解質と、を備え、
上記正極、上記負極、上記セパレータおよび上記非水電解質のうちの少なくとも1つは、式(1)で表される化合物を含む
二次電池である。
Figure 0005169435
(R1〜R5は水素または置換基である。R1〜R5は同一であっても、異なっていてもよく、結合していてもよい。Xは−OM、アミノ基またはハロゲン基である。Mは長周期型周期表における1族元素もしくは2族元素、または炭化水素基もしくはアルキルシリル基である。n=0〜4である。)
第2の発明は、
セパレータを介して対向された正極および負極と、非水電解質と、を備えた二次電池の製造方法であって、
上記正極、上記負極、上記セパレータおよび上記非水電解質のうちの少なくとも1つに式(1)で表される化合物を含ませる
二次電池の製造方法である。
Figure 0005169435
(R1〜R5は水素または置換基である。R1〜R5は同一であっても、異なっていてもよく、結合していてもよい。Xは−OM、アミノ基またはハロゲン基である。Mは長周期型周期表における1族元素もしくは2族元素、または炭化水素基もしくはアルキルシリル基である。n=0〜4である。)
第1および第2の発明では、正極、負極、セパレータおよび非水電解質のうちの少なくとも1つに含まれる式(1)で表される化合物は、溶媒が分解するよりも先に、正極および負極上、または正極および負極と溶媒とが接する部分に被膜を作るので、溶媒の分解反応を抑制できる。
第1および第2の発明によれば、正極、負極、セパレータおよび非水電解質のうちの少なくとも1つが電気化学的に安定化することによって、サイクル特性を向上させることができる。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
この発明の第1の実施の形態による非水電解質は、例えば、液状の溶媒と、溶媒に溶解された電解質塩と、式(1)で表される化合物と、を含む非水電解液である。
Figure 0005169435
(R1〜R5は水素または置換基である。R1〜R5は同一であっても、異なっていてもよく、結合していてもよい。Xは−OM、アミノ基またはハロゲン基である。Mは長周期型周期表における1族元素もしくは2族元素、または炭化水素基もしくはアルキルシリル基である。n=0〜4である。)
置換基としては、例えば、炭化水素基、アルキルシリル基、ハロゲン基、カルボキシル基、カルボン酸金属塩基、アミド基、酸ハロゲン化物基(−C(=O)−Z;Zはハロゲン基)、アルキルシリルエステル基(−C(=O)−O−(アルキルシリル基))またはそれらの誘導体などが挙げられる。炭化水素基としては、具体的には、飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基が挙げられ、より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、アリル基、フェニル基などが挙げられる。また、上述した基の誘導体としては、例えば、炭化水素基が有する水素の一部がカルボキシル基、カルボン酸金属塩基、ハロゲン基、アミド基、酸ハロゲン化物基またはアルキルシリルエステル基などにより置換されたものが挙げられる。
式(1)で表される化合物は、電極上で分解することで膜を形成できる。これにより、電池などに用いた場合には、電解液が電気化学的に安定化するため、サイクル特性を向上させることができる。式(1)で表される化合物は、例えばリチウムイオン電池に用いた場合に、反応式(I)に示すように開環し、溶解性の低い非常に安定な膜を形成すると考えられる。なお、式(1)で表される化合物は、立体異性に関係なく同様の効果が得られる。すなわち、鏡像異性体であるS体、R体またはこれらの混合物は、いずれも同様の効果が得られるし、いずれのジアステレオマーまたはこれらの混合物は、いずれも同様の効果が得られる。
Figure 0005169435
式(1)で表される化合物としては、式(1)において、n=1である式(2)で表される化合物が好ましい。n=1である場合に、ひずみが少なく、化学的安定性に優れているからである。
Figure 0005169435
(R1〜R5は水素または置換基である。R1〜R5は同一であっても、異なっていてもよく、結合していてもよい。Xは−OM、アミノ基またはハロゲン基である。Mは長周期型周期表における1族元素もしくは2族元素、または炭化水素基もしくはアルキルシリル基である。)
式(1)で表される化合物としては、より優れた特性が得られる点から、式(1)において、X=−OMであり、M=Li、Mgまたは炭化水素基である式(3)で表される化合物、式(4)で表される化合物、または式(5)で表される化合物が好ましい。M=LiまたはMgの場合では電池内で安定であり、M=炭化水素基である場合においては電池内で反応しても電池特性を悪化させないためである。
Figure 0005169435
(R1〜R5は水素または置換基である。R1〜R5は同一であっても、異なっていてもよく、結合していてもよい。n=0〜4である。)
Figure 0005169435
(R1〜R5は水素または置換基である。R1〜R5は同一であっても、異なっていてもよく、結合していてもよい。n=0〜4である。)
Figure 0005169435
(R1〜R5は水素または置換基である。R1〜R5は同一であっても、異なっていてもよく、結合していてもよい。R6は炭化水素基である。n=0〜4である。)
式(1)で表される化合物としては、式(1)において、n=1であり、X=−OMであり、M=Li、Mgまたは炭化水素基である式(6)、式(7)または式(8)で表される化合物が特に好ましい。
Figure 0005169435
(R1〜R5は水素または置換基である。R1〜R5は同一であっても、異なっていてもよく、結合していてもよい。)
Figure 0005169435
(R1〜R5は水素または置換基である。R1〜R5は同一であっても、異なっていてもよく、結合していてもよい。)
Figure 0005169435
(R1〜R5は水素または置換基である。R1〜R5は同一であっても、異なっていてもよく、結合していてもよい。R6は炭化水素基である。)
また、式(1)で表される化合物としては、式(3)〜(5)で表される化合物と同様に優れた特性が得られる点から、X=アミノ基またはハロゲン基である式(9)で表される化合物または式(10)で表される化合物や、X=−OMであり、M=アルキルシリル基である式(11)で表される化合物でもよい。
Figure 0005169435
(R1〜R5は水素または置換基である。R1〜R5は同一であっても、異なっていてもよく、結合していてもよい。R7およびR8は水素またはアルキル基である。R7およびR8は同一であっても、異なっていてもよく、結合していてもよい。n=0〜4である。)
Figure 0005169435
(R1〜R5は水素または置換基である。R1〜R5は同一であっても、異なっていてもよく、結合していてもよい。Yはハロゲン基である。n=0〜4である。)
Figure 0005169435
(R1〜R5は水素または置換基である。R1〜R5は同一であっても、異なっていてもよく、結合していてもよい。R9〜R11は水素またはアルキル基である。R9〜R11は同一であっても、異なっていてもよく、結合していてもよい。n=0〜4である。)
式(1)で表される化合物としては、式(1)において、n=1であると共にX=アミノ基またはハロゲン基である式(12)または式(13)で表される化合物や、n=1であると共にX=−OMであり、M=アルキルシリル基である式(14)で表される化合物でもよい。
Figure 0005169435
(R1〜R5は水素または置換基である。R1〜R5は同一であっても、異なっていてもよく、結合していてもよい。R7およびR8は水素またはアルキル基である。R7およびR8は同一であっても、異なっていてもよく、結合していてもよい。)
Figure 0005169435
(R1〜R5は水素または置換基である。R1〜R5は同一であっても、異なっていてもよく、結合していてもよい。Yはハロゲン基である。)
Figure 0005169435
(R1〜R5は水素または置換基である。R1〜R5は同一であっても、異なっていてもよく、結合していてもよい。R9〜R11は水素またはアルキル基である。R9〜R11は同一であっても、異なっていてもよく、結合していてもよい。)
式(1)で表される化合物としては、より具体的には、例えば、式(15)で表される5−オキソテトラヒドロフラン−2−カルボン酸、式(16)で表されるイソクエン酸−γ−ラクトン、式(17)で表されるカンファン酸、式(18)で表される4,5−ジカルボキシペンタドデカノラクトン、式(19)〜式(48)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
溶媒としては、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、リン酸トリメチルまたはジメチルスルホキシドなどを用いることができる。電解液を備えた、電池などの電気化学デバイスにおいて、優れた容量、サイクル特性および保存特性が得られるからである。これらは単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。
中でも、溶媒としては、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルおよび炭酸エチルメチルからなる群のうちの少なくとも1種を含むものを用いることが好ましい。十分な効果が得られるからである。この場合には、特に、高粘度(高誘電率)溶媒(例えば、比誘電率ε≧30)である炭酸エチレンまたは炭酸プロピレンと、低粘度溶媒(例えば、粘度≦1mPa・s)である炭酸ジメチル、炭酸ジエチルまたは炭酸エチルメチルとを混合して含むものを用いることが好ましい。電解質塩の解離性およびイオンの移動度が向上するため、より高い効果が得られるからである。
また、溶媒としては、4−フルオロ−1,3ジオキソラン−2−オン(FEC)、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(DFEC)などの環状炭酸エステル誘導体をさらに含むことが好ましい。サイクル特性をより向上できるからである。
さらに、溶媒としては、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)などの不飽和結合を有する環状炭酸エステル化合物をさらに含むことが好ましい。サイクル特性をより向上できるからである。
さらに、溶媒としては、プロパンスルトン、プロペンスルトン(PRS)などの環状スルトン誘導体をさらに含むものであることが好ましい。サイクル特性をより向上できるからである。
さらに、溶媒としては、無水コハク酸、2−スルホ安息香酸無水物などの酸無水物をさらに含むものであることが好ましい。サイクル特性をより向上できるからである。
電解質塩であるリチウム塩としては、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6 )、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4 )、過塩素酸リチウム(LiClO4 )、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(LiAsF6 )、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(CF3 SO3 Li)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム〔(CF3 SO2 2 NLi〕(LiTFSI)、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチルリチウム〔(CF3 SO2 3 CLi〕、リチウムビスオキサレートボレート〔LiB(C2 4 2 〕(LiBOB)、式(49)で表される1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミドリチウムなどを用いることができる。これらはいずれか1種を用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
Figure 0005169435
また、非水電解質としては、高分子化合物に非水電解液を保持させたゲル状の電解質を用いてもよい。ゲル状の電解質は、イオン伝導度が室温で1mS/cm以上であるものであればよく、組成および高分子化合物の構造に特に限定はない。非水電解液に含まれる溶媒、電解質塩および式(1)で表される化合物については、上述のとおりであるので、詳しい説明を省略する。
高分子化合物としては、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンとポリヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレンまたはポリカーボネートなどを用いることができる。特に、電気化学的安定性の点からは、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレンまたはポリエチレンオキサイドの構造を持つ高分子化合物を用いることが好ましい。
なお、ここで溶媒というのは、液状の溶媒のみを意味するのではなく、電解質塩を解離させることができ、イオン伝導性を有するものを広く含む概念である。よって、高分子化合物にイオン伝導性を有するものを用いる場合には、その高分子化合物も溶媒に含まれる。
この発明の第1の実施の形態による非水電解質は、負極にケイ素(Si)およびスズ(Sn)のうちの少なくとも1種を構成元素として含む材料を用いた二次電池に好適に使用でき、負極にケイ素(Si)を含む材料を用いた非水電解質電池に特に好適に使用できる。負極にケイ素(Si)およびスズ(Sn)のうちの少なくとも1種を構成元素として含む材料を用いた二次電池では、負極の活性が高く電解液が分解されやすく、負極に炭素材料を用いた場合よりも、サイクル特性が劣化しやすい傾向にあるため、効果的である。
この発明の第1の実施の形態による非水電解質を用いて、例えば、種々の形状およびサイズのリチウム電池などの二次電池を作製することが可能である。
この発明の第1の実施の形態による非水電解質を用いた二次電池の第1の例について説明する。図1は、この発明の第1の実施の形態による二次電池の第1の例の一構成例を示す。この二次電池は、いわゆるコイン型形状を有し、例えば、非水電解質二次電池であり、例えば、リチウムイオン二次電池である。
図1に示すように、この非水電解質電池は、正極2と、この正極2を収容する外装缶6と、負極4と、この負極4を収容する外装カップ5と、正極2と負極4との間に配されたセパレータ3と、外装カップ5と、外装缶6と、の間を絶縁するガスケット7と、を有する。
正極2は、正極集電体2A上に正極活物質層2Bが設けられた構造を有している。
正極集電体2Aとしては、例えば網状や箔状のアルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)またはステンレス(SUS)などの金属材料によって構成されている。正極活物質層2Bは、例えば、正極活物質として、電極反応物質であるリチウム(Li)を吸蔵および放出することが可能な正極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて導電剤および結着剤などを含んでいてもよい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、リチウム含有化合物が好ましい。高いエネルギー密度が得られるからである。このリチウム含有化合物としては、例えば、リチウム(Li)と遷移金属元素とを含む複合酸化物や、リチウム(Li)と遷移金属元素とを含むリン酸化合物などが挙げられる。中でも、遷移金属元素としてコバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)および鉄(Fe)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが好ましい。より高い電圧が得られるからである。その化学式は、例えば、Lix M1O2 あるいはLiy M2PO4 で表される。式中、M1およびM2は、1種類以上の遷移金属元素を表す。xおよびyの値は、充放電状態によって異なり、通常、0.05≦x≦1.10、0.05≦y≦1.10である。
リチウム(Li)と遷移金属元素とを含む複合酸化物としては、例えば、リチウムコバルト複合酸化物(Lix CoO2 )、リチウムニッケル複合酸化物(Lix NiO2 )、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(Lix Ni1-z Coz 2 (z<1))、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(Lix Ni(1-v-w) Cov Mnw 2 (v+w<1))、またはスピネル型構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(LiMn2 4 )などが挙げられる。中でも、コバルト(Co)を含む複合酸化物が好ましい。高い容量が得られると共に、優れたサイクル特性も得られるからである。また、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物としては、例えば、リチウム鉄リン酸化合物(LiFePO4 )またはリチウム鉄マンガンリン酸化合物(LiFe1-u Mnu PO4 (u<1))などが挙げられる。
この他、リチウム(Li)を吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、酸化チタン、酸化バナジウムまたは二酸化マンガンなどの酸化物や、二硫化チタンまたは硫化モリブデンなどの二硫化物や、セレン化ニオブなどのカルコゲン化物や、硫黄、ポリアニリンまたはポリチオフェンなどの導電性高分子も挙げられる。
結着剤としては、例えば、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴムまたはエチレンプロピレンジエンなどの合成ゴムや、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)などの高分子材料などが挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。また、導電剤としては、例えば、炭素材料が挙げられる。より具体的には、導電剤として例えばカーボンブラック、グラファイトなどを用いることができる。
外装缶6は、導電性金属からなる容器であり、例えば、ステンレス(SUS)、アルミニウム(Al)などの金属によって、構成されている。
負極4は、負極集電体4A上に、負極活物質層4Bが設けられた構造を有している。
負極集電体4Aは、良好な電気化学的安定性、電気伝導性および機械的強度を有する金属材料によって構成されているものが好ましい。このような金属材料としては、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)またはステンレス(SUS)などが挙げられ、中でも銅(Cu)が好ましい。高い電気伝導性を得ることができるからである。
特に、上述した金属材料は、電極反応物質であるリチウム(Li)と金属間化合物を形成しない金属元素のいずれか1種または2種以上を含んでいるものが好ましい。リチウム(Li)と金属間化合物を形成すると、例えば、充放電時に負極活物質層4Bの膨張および収縮による応力の影響を受けやすいため、集電性が低下する可能性があると共に、負極活物質層4Bが負極集電体4Aから剥離する可能性もあるからである。このような金属元素としては、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、鉄(Fe)またはクロム(Cr)などが挙げられる。
また、上述した金属材料は、負極活物質層4Bと合金化する金属元素のいずれか1種または2種以上を含んでいることが好ましい。負極集電体4Aと負極活物質層4Bとの間の密着性が向上するため、その負極活物質層4Bが負極集電体4Aから剥離しにくくなるからである。リチウム(Li)と金属間化合物を形成せず、しかも負極活物質層4Bと合金化する金属元素としては、例えば、負極活物質層4Bが負極活物質としてケイ素(Si)を含む場合には、銅(Cu)、ニッケル(Ni)または鉄(Fe)などが挙げられる。これらの金属元素は、強度および導電性の観点からも好ましい。
なお、負極集電体4Aは、単層構造を有していてもよいし、多層構造を有していてもよい。負極集電体4Aが多層構造を有する場合には、例えば、負極活物質層4Bと隣接する層がそれと合金化する金属材料によって構成され、隣接しない層が他の金属材料によって構成されるものが好ましい。
負極集電体4Aの表面は、粗面化されていることが好ましい。いわゆるアンカー効果によって負極集電体4Aと負極活物質層4Bとの間の密着性が向上するからである。この場合には、少なくとも負極活物質層4Bと対向する領域において、負極集電体4Aの表面が粗面化されていればよい。この粗面化の方法としては、例えば、電解処理によって微粒子を形成する方法などが挙げられる。この電解処理とは、電解槽中において電解法によって負極集電体4Aの表面に微粒子を形成して凹凸を設ける方法のことである。この電解処理によって粗面化された銅箔を含め、電解法によって作製された銅箔は、一般に「電解銅箔」と呼ばれている。
負極活物質層4Bは、負極活物質として、電極反応物質であるリチウム(Li)を吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて上述の導電剤あるいは結着剤などの他の材料を含んでいてもよい。リチウム(Li)を吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、炭素材料、金属酸化物または高分子化合物などが挙げられる。炭素材料としては、例えば、易黒鉛化炭素、(002)面の面間隔が0.37nm以上の難黒鉛化炭素、または(002)面の面間隔が0.340nm以下の黒鉛が挙げられる。より具体的には、熱分解炭素類、コークス類、グラファイト類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維または活性炭などがある。このうち、コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークスまたは石油コークスなどがあり、有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール樹脂やフラン樹脂などの高分子化合物を適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。また、金属酸化物としては、酸化鉄、酸化ルテニウムまたは酸化モリブデンなどが挙げられ、高分子化合物としてはポリアセチレンまたはポリピロールなどが挙げられる。
また、負極活物質層4Bは、例えば、負極活物質として、電極反応物質であるリチウム(Li)を吸蔵および放出することが可能な金属元素の単体、合金および化合物と、リチウム(Li)を吸蔵および放出することが可能な半金属元素の単体、合金および化合物とからなる群のうちの少なくとも1種の負極材料を含んでいてもよい。これにより、高いエネルギー密度を得ることができるようになる。さらに、上述した炭素材料と、共に用いるようにしてもよい。炭素材料は、充放電時に生じる結晶構造の変化が非常に少なく、例えば上述した負極材料と共に用いるようにすればようにすれば、高エネルギー密度を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができ、更に導電剤としても機能するので好ましい。なお、本明細書において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とからなるものも含める。また、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物またはそれらのうちの2種以上が共存するものがある。
この負極材料を構成する金属元素または半金属元素としては、マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、パラジウム(Pd)または白金(Pt)が挙げられる。これらは結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
また、これらの金属元素または半金属元素の合金または化合物としては、例えば、化学式Mas Mbt Liu 、または化学式Map Mcq Mdr で表されるものが挙げられる。これらの化学式において、Maはリチウム(Li)と合金を形成可能な金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を表し、Mbはリチウム(Li)およびMa以外の金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を表し、Mcは非金属元素の少なくとも1種を表し、MdはMa以外の金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を表す。また、s、t、u、p、qおよびrの値はそれぞれs>0、t≧0、u≧0、p>0、q>0、r≧0である。
中でも、この負極材料としては、長周期型周期表における14族の金属元素または半金属元素の単体、合金または化合物が好ましく、特に好ましいのは、ケイ素(Si)およびスズ(Sn)のうちの少なくとも1種を構成元素として含む材料である。すなわち、ケイ素(Si)の単体、合金または化合物や、スズ(Sn)の単体、合金または化合物である。ケイ素(Si)およびスズ(Sn)のうちの少なくとも1種を構成元素として含む材料は、リチウム(Li)を吸蔵および放出する能力が大きく、組み合わせによっては、従来の黒鉛と比較して負極4のエネルギー密度を高くすることができるからである。
このような合金または化合物について具体的に例を挙げれば、SiB4 、SiB6 、Mg2 Si、Ni2 Si、TiSi2 、MoSi2 、CoSi2 、NiSi2 、CaSi2 、CrSi2 、Cu5 Si、FeSi2 、MnSi2 、NbSi2 、TaSi2 、VSi2 、WSi2 、ZnSi2 、SiC、Si3 4 、Si2 2 O、SiOv (0<v≦2)、SnOw (0<w≦2)、SnSiO3 、LiSiO、LiSnO、Mg2 Sn、またはスズ(Sn)とコバルト(Co)とを含む合金などがある。
中でも、この負極材料としては、スズ(Sn)と、コバルト(Co)と、炭素(C)とを構成元素として含み、炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下であり、かつスズ(Sn)とコバルト(Co)との合計に対するコバルト(Co)の割合Co/(Sn+Co)が30質量%以上70質量%以下であるCoSnC含有材料が好ましい。このような組成範囲において高いエネルギー密度を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができるからである。
このCoSnC含有材料は、必要に応じて更に他の構成元素を含んでいてもよい。他の構成元素としては、例えば、ケイ素(Si)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、インジウム(In)、ニオブ(Nb)、ゲルマニウム(Ge)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、リン(P)、ガリウム(Ga)またはビスマス(Bi)が好ましく、2種以上を含んでいてもよい。容量またはサイクル特性を更に向上させることができるからである。
なお、CoSnC含有材料は、スズ(Sn)と、コバルト(Co)と、炭素(C)とを含む相を有しており、この相は結晶性の低いまたは非晶質な構造を有していることが好ましい。この相は、リチウムと反応可能な反応相であり、これによって優れたサイクル特性を得ることができるようになっている。この相のX線回折によって得られる回折ピークの半値幅は、特定X線としてCuKα線を用い、挿引速度を1°/minとした場合に、回折角2θで1.0°以上であることが好ましい。リチウム(Li)がより円滑に吸蔵および放出され、しかも非水電解質との反応性が低減されるからである。
X線回折によって得られた回折ピークがリチウム(Li)と反応可能な反応相に対応するものであるか否かは、リチウムとの電気化学的反応の前後におけるX線回折チャートを比較することによって容易に判断することができる。例えば、リチウム(Li)との電気化学的反応の前後において回折ピークの位置が変化すれば、リチウム(Li)と反応可能な反応相に対応するものである。この場合には、例えば、低結晶性または非晶質な反応相の回折ピークが2θ=20°〜50°の間に見られる。この低結晶性または非晶質な反応相は、例えば、上述の各構成元素を含んでおり、主に、炭素(C)によって低結晶化または非晶質化しているものと考えられる。
なお、CoSnC含有材料は、低結晶性または非晶質な相に加えて、各構成元素の単体または一部を含む相を有している場合もある。
特に、CoSnC含有材料では、構成元素である炭素の少なくとも一部が、他の構成元素である金属元素または半金属元素と結合していることが好ましい。スズ(Sn)などの凝集または結晶化が抑制されるからである。
元素の結合状態を調べる測定方法としては、例えばX線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy;XPS)が挙げられる。このXPSは、軟X線(市販の装置ではAl−Kα線か、Mg−Kα線を用いる)を試料表面に照射し、試料表面から飛び出してくる光電子の運動エネルギーを測定することによって、試料表面から数nmの領域の元素組成、および元素の結合状態を調べる方法である。
元素の内殻軌道電子の束縛エネルギーは、第1近似的には、元素上の電荷密度と相関して変化する。例えば、炭素元素の電荷密度が近傍に存在する元素との相互作用によって減少した場合には、2p電子などの外殻電子が減少しているので、炭素元素の1s電子は殻から強い束縛力を受けることになる。すなわち、元素の電荷密度が減少すると、束縛エネルギーは高くなる。XPSでは、束縛エネルギーが高くなると、高いエネルギー領域にピークはシフトするようになっている。
XPSにおいて、炭素の1s軌道(C1s)のピークは、グラファイトであれば、金原子の4f軌道(Au4f)のピークが84.0eVに得られるようにエネルギー較正された装置において、284.5eVに現れる。また、表面汚染炭素であれば、284.8eVに現れる。これに対して、炭素元素の電荷密度が高くなる場合、例えば炭素よりも陽性な元素と結合している場合には、C1sのピークは、284.5eVよりも低い領域に現れる。すなわち、CoSnC含有材料に含まれる炭素の少なくとも一部が他の構成元素である金属元素または半金属元素と結合している場合には、CoSnC含有材料について得られるC1sの合成波のピークが284.5eVよりも低い領域に現れる。
なお、XPS測定を行う場合には、表面が表面汚染炭素で覆われている際に、XPS装置に付属のアルゴンイオン銃で表面を軽くスパッタすることが好ましい。また、測定対象のCoSnC含有材料を有する負極が二次電池の中に存在する場合には、二次電池を解体して負極を取り出したのち、炭酸ジメチルなどの揮発性溶媒で洗浄するとよい。負極表面に存在する揮発性の低い溶媒と電解質塩とを除去するためである。これらのサンプリングは、不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
また、XPS測定では、スペクトルのエネルギー軸の補正に、例えばC1sのピークを用いる。通常、物質表面には表面汚染炭素が存在しているので、表面汚染炭素のC1sのピークを284.8eVとし、これをエネルギー基準とする。なお、XPS測定では、C1sのピークの波形は、表面汚染炭素のピークとCoSnC含有材料中の炭素のピークとを含んだ形として得られるので、例えば市販のソフトウエアを用いて解析することにより、表面汚染炭素のピークと、CoSnC含有材料中の炭素のピークとを分離する。波形の解析では、最低束縛エネルギー側に存在する主ピークの位置をエネルギー基準(284.8eV)とする。
このCoSnC含有材料は、例えば、各構成元素の原料を混合した混合物を電気炉、高周波誘導炉またはアーク溶解炉などで溶解させたのち、凝固させる方法によって形成可能である。また、ガスアトマイズまたは水アトマイズなどの各種アトマイズ法や、各種ロール法や、メカニカルアロイング法またはメカニカルミリング法などのメカノケミカル反応を利用した方法などを用いてもよい。中でも、メカノケミカル反応を利用した方法が好ましい。CoSnC含有材料が低結晶性または非晶質な構造になるからである。メカノケミカル反応を利用した方法では、例えば、遊星ボールミルやアトライタなどの製造装置を用いることができる。
原料には、各構成元素の単体を混合して用いてもよいが、炭素(C)以外の構成元素の一部については合金を用いることが好ましい。このような合金に炭素を加えてメカニカルアロイング法を利用した方法によって合成することにより、低結晶性または非晶質な構造が得られ、反応時間も短縮されるからである。なお、原料の形態は、粉体であってもよいし、塊状であってもよい。
このCoSnC含有材料の他、スズ(Sn)と、コバルト(Co)と、鉄(Fe)と、炭素(C)と、を構成元素として有するCoSnFeC含有材料も好ましい。このCoSnFeC含有材料の組成は、任意に設定可能である。例えば、鉄(Fe)の含有量を少なめに設定する場合の組成としては、炭素(C)の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下、鉄(Fe)の含有量が0.3質量%以上5.9重量%以下、スズ(Sn)とコバルト(Co)との合計に対するコバルト(Co)の割合(Co/(Sn+Co))が30質量%以上70質量%以下であることが好ましい。また、例えば、鉄(Fe)の含有量を多めに設定する場合の組成としては、炭素(C)の含有量が11.9質量%以上29.7質量%以下、スズ(Sn)とコバルト(Co)と鉄(Fe)との合計に対するコバルト(Co)と鉄(Fe)との合計の割合((Co+Fe)/(Sn+Co+Fe))が26.4質量%以上48.5質量%以下、コバルト(Co)と鉄(Fe)との合計に対するコバルト(Co)の割合(Co/(Co+Fe))が9.9質量%以上79.5質量%以下であることが好ましい。このような組成範囲において、高いエネルギー密度が得られるからである。このCoSnFeC含有材料の結晶性、元素の結合状態の測定方法、および形成方法などについては、上述のCoSnC含有材料と同様であるので詳細の説明は省略する。
リチウム(Li)を吸蔵および放出することが可能な負極材料として、ケイ素(Si)の単体、合金あるいは化合物や、スズ(Sn)の単体、合金あるいは化合物や、それらの1種あるいは2種以上の相を少なくとも一部に有する材料を用いた負極活物質層4Bは、例えば、気相法、液相法、溶射法、塗布法あるいは焼成法、またはそれらの2種以上の方法を用いて形成される。
ケイ素(Si)の単体、合金あるいは化合物や、スズ(Sn)の単体、合金あるいは化合物や、それらの1種あるいは2種以上の相を少なくとも一部に有する材料を用いた負極活物質層4Bを気相法、液相法、溶射法、塗布法あるいは焼成法、またはそれらの2種以上の方法を用いて形成する場合には、負極集電体4Aと負極活物質層4Bとが界面の少なくとも一部において合金化していることがあり好ましい。さらに、真空雰囲気下または非酸化性雰囲気下で熱処理を行い、合金化するようにしてもよい。具体的には、両者の界面において、負極集電体4Aの構成元素が負極活物質層4Bに拡散していてもよいし、負極活物質層4Bの構成元素が負極集電体4Aに拡散していてもよいし、それらの構成元素が互いに拡散し合っていてもよい。充放電時における負極活物質層4Bの膨張および収縮に起因する破壊が抑制されると共に、負極集電体4Aと負極活物質層4Bとの間の電子伝導性を向上させることができるからである。
なお、気相法としては、例えば、物理堆積法または化学堆積法、具体的には真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、熱化学気相成長(Chemical Vapor Deposition :CVD)法またはプラズマ化学気相成長法などが挙げられる。液相法としては、電解鍍金または無電解鍍金などの公知の手法を用いることができる。塗布法とは、例えば、粒子状の負極活物質を結着剤などと混合したのち、溶剤に分散させて塗布する方法である。焼成法とは、例えば、塗布法によって塗布したのち、結着剤などの融点よりも高い温度で熱処理する方法である。焼成法に関しても公知の手法が利用可能であり、例えば、雰囲気焼成法、反応焼成法またはホットプレス焼成法が挙げられる。
外装カップ5は、負極4を収容する導電性金属からなる容器であり、外部負極となる。具体的には、この外装カップ5は、例えば、アルミニウム(Al)、ステンレス(SUS)や、表面にニッケル(Ni)めっきが施された鉄(Fe)などからなる金属容器を用いる。
セパレータ3は、正極2と、負極4とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ非水電解液中のリチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ3は、微小な孔を多数有する微多孔性膜からなる。ここで、微多孔性膜とは、平均孔径が5μm以下程度の微孔を多数有する樹脂膜のことである。また、セパレータ3としては、材料として従来の電池に使用されてきたものを利用することが可能である。そのなかでも、ショート防止効果に優れ、且つシャットダウン効果による電池の安全性向上が可能なポリプロピレンやポリオレフィンなどからなる微多孔性フィルムを用いる。
ガスケット7は、外装カップ5に組み込まれ一体化された構成となっており、例えばポリプロピレンなどの有機樹脂で形成されている。ガスケット7は、外部正極となる外装缶6と、外部負極となる外装カップ5とを絶縁させていると共に、外装カップ5および外装缶6内に充填された非水電解液の漏出を防止させるように機能する。
次に、二次電池の第1の例の製造方法について説明する。正極2は、例えば、以下に説明するようにして作製する。まず、例えば、正極活物質と、導電剤と、結着剤とを非水溶媒などに分散させ正極合剤塗液を調製する。次に、この正極合剤塗液を、例えば、アルミニウム(Al)箔などの金属箔状の正極集電体2Aに均一に塗布し、乾燥させた後、圧縮成型して正極活物質層2Bを形成する。これにより、正極2が得られる。
負極4は、例えば、以下に説明するようにして作製する。まず、例えば、負極活物質と、結着剤とを非水溶媒などに分散させ負極合剤塗液を調製する。この負極合剤塗液を、例えば銅(Cu)箔などの金属箔状の負極集電体4Aに均一に塗布し、乾燥させた後、圧縮して負極活物質層4Bを形成する。これにより、負極4が得られる。
次に、正極2を外装缶6に収容し、負極4を外装カップ5に収容し、正極2と負極4との間に、ポリプロピレン製の多孔質膜などからなるセパレータ3を配置する。これにより、非水電解質電池は、正極2と、セパレータ3と、負極4とが順次に積層された内部構造となる。
次に、非水電解液を、外装缶6および外装カップ5に注液し、ガスケット7を介して外装缶6と外装カップ5とを固定する。以上のようにして図1に示した二次電池が得られる。
次に、この発明の第1の実施の形態による非水電解質を用いた二次電池の第2の例について説明する。図2は、二次電池の第2の例の構成を示す断面図である。
この二次電池は、例えば、非水電解質二次電池であり、例えば、リチウムイオン二次電池である。この非水電解質電池は、いわゆる円筒型といわれるものであり、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、一対の帯状の正極21と帯状の負極22とがセパレータ23を介して巻回された巻回電極体20を有している。セパレータ23には、液状の非水電解質である非水電解液が含浸されている。電池缶11は、例えばニッケル(Ni)のめっきがされた鉄(Fe)により構成されており、一端部が閉鎖され他端部が開放されている。電池缶11の内部には、巻回電極体20を挟むように巻回周面に対して垂直に一対の絶縁板12、絶縁板13がそれぞれ配されている。
電池缶11の開放端部には、電池蓋14と、この電池蓋14の内側に設けられた安全弁機構15および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient;PTC素子)16とが、ガスケット17を介してかしめられることにより取り付けられており、電池缶11の内部は密閉されている。
電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により構成されている。安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されており、内部短絡または外部からの加熱などにより電池の内圧が一定以上となった場合にディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回電極体20との電気的接続を切断するようになっている。熱感抵抗素子16は、温度が上昇すると抵抗値の増大により電流を制限し、大電流による異常な発熱を防止するものである。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
巻回電極体20は、例えば、センターピン24を中心に巻回されている。巻回電極体20の正極21にはアルミニウム(Al)などよりなる正極リード25が接続されており、負極22にはニッケルなどよりなる負極リード26が接続されている。正極リード25は安全弁機構15に溶接されることにより電池蓋14と電気的に接続されており、負極リード26は電池缶11に溶接され電気的に接続されている。
図3は、図2に示した巻回電極体20の一部を拡大して示す断面図である。以下、図3を参照しながら、非水電解質電池を構成する正極21、負極22、セパレータ23について順次説明する。
正極21は、例えば、対向する一対の面を有する正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bが設けられた構造を有している。なお、図示はしないが、正極集電体21Aの片面のみに正極活物質層21Bが設けられた領域を有するようにしてもよい。正極集電体21Aは、上述の第1の例の正極集電体2Aと同様の構成を有しており、例えば、アルミニウム箔などの金属箔により構成されている。
正極活物質層21Bは、例えば、リチウム(Li)を吸蔵および放出することが可能な正極材料を含んで構成されており、必要に応じてグラファイトなどの導電剤およびポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの結着剤を含んで構成されている。リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料は、上述の第1の例で説明したものと同様であるので、詳細な説明を省略する。
負極22は、例えば、対向する一対の面を有する負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bが設けられた構造を有している。なお、図示はしないが、負極集電体22Aの片面のみに負極活物質層22Bが設けられた領域を有するようにしてもよい。負極集電体22Aは、上述の第1の例の負極集電体4Aと同様の構成を有しており、例えば、銅箔などの金属箔により構成されている。
負極活物質層22Bは、例えば、リチウム(Li)を吸蔵および放出することが可能な負極材料を含んで構成されており、必要に応じて正極活物質層21Bと同様の結着剤を含んで構成されている。リチウム(Li)を吸蔵および放出することが可能な負極材料は、上述の第1の例で説明したものと同様であるので、詳細な説明を省略する。
セパレータ23は、上述の第1の例で説明したセパレータ3と同様であるので詳細な説明を省略する。
次に、この二次電池の第2の例の製造方法の一例について説明する。まず、例えば、正極活物質と、導電剤と、結着剤とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーを作製する。次に、この正極合剤スラリーを正極集電体21Aに塗布し溶剤を乾燥させ、ロールプレス機などにより圧縮成型することにより正極活物質層21Bを形成する。これにより、正極21が得られる。
また、例えば、負極活物質と、結着剤とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の負極合剤スラリーを作製する。次に、この負極合剤スラリーを負極集電体22Aに塗布し溶剤を乾燥させ、ロールプレス機などにより圧縮成型することにより負極活物質層22Bを形成する。これにより、負極22が得られる。
次に、正極集電体21Aに正極リード25を溶接などにより取り付けると共に、負極集電体22Aに負極リード26を溶接などにより取り付ける。そののち、正極21と負極22とをセパレータ23を介して積層させてから、長手方向において巻回させて巻回電極体20を作製する。続いて、巻回電極体20の巻回中心部にセンターピン24を挿入する。続いて、巻回電極体20を一対の絶縁板12,13で挟みながら電池缶11の内部に収納すると共に、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接し、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接する。続いて、非水電解液を電池缶11の内部に注入し、セパレータ23に含浸させる。そののち、電池缶11の開口端部に電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子16をガスケット17を介してかしめることにより固定する。これにより、図2および図3に示した二次電池が得られる。
次に、二次電池の第3の例について説明する。図4は、二次電池の第3の例の一構成例を示す断面図である。この二次電池は、正極リード31および負極リード32が取り付けられた巻回電極体30をフィルム状の外装部材40の内部に収容したものであり、小型化、軽量化および薄型化が可能となっている。
正極リード31および負極リード32は、それぞれ外装部材40の内部から外部に向かい例えば同一方向に導出されている。正極リード31および負極リード32は、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)またはステンレス(SUS)などの金属材料によりそれぞれ構成されており、それぞれ薄板状または網目状とされている。
外装部材40は、例えば、ナイロンフィルム、アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に貼り合わせた矩形状のアルミラミネートフィルムにより構成されている。外装部材40は、例えば、ポリエチレンフィルム側と巻回電極体30とが対向するように配設されており、各外縁部が融着または接着剤により互いに密着されている。外装部材40と正極リード31および負極リード32との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム41が挿入されている。密着フィルム41は、正極リード31および負極リード32に対して密着性を有する材料、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンまたは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されている。
なお、外装部材40は、上述したアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム、ポリプロピレンなどの高分子フィルムまたは金属フィルムにより構成するようにしてもよい。
図5は、図4に示した巻回電極体30のI−I線に沿った断面図である。巻回電極体30は、正極33と負極34とをセパレータ35および電解質層36を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は保護テープ37により保護されている。
正極33は、正極集電体33Aの片面または両面に正極活物質層33Bが設けられた構造を有している。負極34は、負極集電体34Aの片面または両面に負極活物質層34Bが設けられた構造を有しており、負極活物質層34Bと正極活物質層33Bとが対向するように配置されている。正極集電体33A、正極活物質層33B、負極集電体34A、負極活物質層34Bおよびセパレータ35の構成は、それぞれ第1の例または第2の例で説明した正極集電体2A,21A、正極活物質層2B,21B、負極集電体4A,22A、負極活物質層4B,22Bおよびセパレータ3,23と同様であるので詳細な説明を省略する。
電解質層36は、上述した非水電解液と、この非水電解液を保持する保持体となる高分子化合物とを含み、いわゆるゲル状の非水電解質となっている。ゲル状の電解質層36は高いイオン伝導率を得ることができると共に、電池の漏液を防止することができるので好ましい。なお、電解質層36には、非水電解液を高分子化合物に保持させることなく、そのまま用いてもよい。
次に、二次電池の第3の例の製造方法の一例について説明する。まず、正極33および負極34のそれぞれに、溶媒と、電解質塩と、式(1)で表される化合物と、高分子化合物と、混合溶剤とを含む前駆溶液を塗布し、混合溶剤を揮発させて電解質層36を形成する。そののち、正極集電体33Aの端部に正極リード31を溶接により取り付けると共に、負極集電体34Aの端部に負極リード32を溶接により取り付ける。
次に、電解質層36が形成された正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層し積層体としたのち、この積層体をその長手方向に巻回して、最外周部に保護テープ37を接着して巻回電極体30を形成する。最後に、例えば、外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込み、外装部材40の外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入する。その際、正極リード31および負極リード32と外装部材40との間には密着フィルム41を挿入する。これにより、図4および図5に示した二次電池が得られる。
また、この二次電池は、次のようにして作製してもよい。まず、上述したようにして正極33および負極34を作製し、正極33および負極34に正極リード31および負極リード32を取り付けたのち、正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層して巻回し、最外周部に保護テープ37を接着して、巻回電極体30を形成する。次に、この巻回電極体30を外装部材40に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、外装部材40の内部に収納する。続いて、溶媒と、電解質塩と、式(1)で表される化合物と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を用意し、外装部材40の内部に注入する。
電解質用組成物を注入したのち、外装部材40の開口部を真空雰囲気下で熱融着して密封する。次に、熱を加えてモノマーを重合させて高分子化合物とすることにより電解質層36を形成する。以上により、図4および図5に示した二次電池が得られる。
次に、この発明の他の実施の形態について説明する。
[第2の実施の形態]
図6は、この発明の第2の実施の形態における負極の断面構成を表している。この負極100は、例えば二次電池などの電気化学デバイスに用いられるものであり、一対の面を有する負極集電体101と、その負極集電体101に設けられた負極活物質層102と、その負極活物質層102に設けられた被膜103とを有している。この負極活物質層102は、負極集電体101の両面に設けられていてもよいし、片面だけに設けられていてもよい。被膜103も同様である。なお、以下では、この負極100において吸蔵および放出される電極反応物質をリチウム(Li)とした場合について説明する。
負極集電体101は、例えば、第1の実施の形態における二次電池の第1〜第3の例の負極集電体4A,22A,34Bと同様の構成を有しているので、詳細な説明を省略する。
負極活物質層102は、負極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種または2種以上を含んでいる。この負極材料は、第1の実施の形態における二次電池の第1の例において説明したものと同様であるので、詳細な説明を省略する。
負極活物質層102では、上述した負極材料よりなる負極活物質は、複数の粒子状をなしている。すなわち、負極活物質層102は、複数の負極活物質粒子を有している。この負極活物質粒子は、例えば、上述した気相法などによって形成されている。ただし、負極活物質粒子は、気相法以外の方法によって形成されていてもよい。
負極活物質粒子が気相法によって形成されている場合には、その負極活物質粒子が単一の堆積工程を経て形成された単層構造を有していてもよいし、複数回の堆積工程を経て形成された多層構造を有していてもよい。ただし、堆積時に高熱を伴う蒸着法などによって負極活物質粒子を形成する場合には、その負極活物質粒子が多層構造を有しているものであることが好ましい。負極材料の堆積工程を複数回に分割して行う(負極材料を順次薄く形成して堆積させる)ことにより、その堆積工程を1回で行う場合と比較して負極集電体101が高熱に晒される時間が短くなり、熱的ダメージを受けにくくなるからである。
この負極活物質粒子は、例えば、負極集電体101の表面から負極活物質層102の厚さ方向に成長しており、その根元において負極集電体101に連結されている。この場合には、負極活物質粒子が気相法によって形成されており、上述したように、負極集電体101との界面の少なくとも一部において合金化していることが好ましい。具体的には、両者の界面において、負極集電体101の構成元素が負極活物質粒子に拡散していてもよいし、負極活物質粒子の構成元素が負極集電体101に拡散していてもよいし、両者の構成元素が互いに拡散し合っていてもよい。
特に、負極活物質層102は、必要に応じて、負極活物質粒子の表面(非水電解液と接する領域)を被覆する酸化物含有膜を有していることが好ましい。非水電解液を備えた二次電池などの電気化学デバイスに負極100が用いられた場合に、酸化物含有膜が非水電解液に対する保護膜として機能するため、充放電を繰り返しても非水電解液の分解反応が抑制されるからである。この酸化物含有膜は、負極活物質粒子の表面のうちの一部を被覆していてもよいし、全部を被覆していてもよい。
この酸化物含有膜は、金属元素または半金属元素の酸化物を含有している。この金属元素または半金属元素の酸化物としては、例えば、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)、ゲルマニウム(Ge)またはスズ(Sn)などの酸化物が挙げられる。中でも、この酸化物含有膜は、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)およびスズ(Sn)からなる群のうちの少なくとも1種の酸化物を含有していることが好ましく、特にケイ素(Si)の酸化物を含有していることが好ましい。負極活物質粒子の表面を全体に渡って容易に被覆しやすいと共に、優れた保護機能を得ることができるからである。もちろん、酸化物含有膜は、上述した酸化物以外の他の酸化物を含有していてもよい。
この酸化物含有膜は、例えば、気相法または液相法などの1種または2種以上の方法を用いて形成することができる。この場合の気相法としては、例えば、蒸着法、スパッタ法またはCVD法などが挙げられ、液相法としては、例えば、液相析出法、ゾルゲル法、ポリシラザン法、電析法、塗布法またはディップコーティング法などが挙げられる。中でも、液相法が好ましく、液相析出法がより好ましい。負極活物質粒子の表面を広い範囲に渡って容易に被覆しやすいからである。なお、液相析出法では、まず、金属元素または半金族元素のフッ化物錯体と共にアニオン捕捉剤としてフッ化物イオンを配位しやすい溶存種を含む溶液中において、フッ化物錯体から生じるフッ化物イオンをアニオン捕捉剤に捕捉させることによって、負極活物質粒子の表面が被覆されるように金属元素または半金族元素の酸化物を析出させる。こののち、水洗および乾燥させることにより、酸化物含有膜を形成する。
また、負極活物質層102は、必要に応じて、負極活物質粒子の粒子間の隙間および粒子内の隙間に、リチウム(Li)と合金化しない金属材料を有していることが好ましい。金属材料を介して複数の負極活物質粒子が結着されると共に、上述した隙間に金属材料が存在することで負極活物質層102の膨張および収縮が抑制されるため、負極100が二次電池などの電気化学デバイスに用いられた場合にサイクル特性を向上させることができるからである。
この金属材料は、例えば、リチウム(Li)と合金化しない金属元素を構成元素として有している。このような金属元素としては、例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)および銅(Cu)からなる群のうちの少なくとも1種が挙げられ、中でもコバルト(Co)が好ましい。上述した隙間に金属材料が容易に入り込みやすくなると共に、優れた結着機能を得ることができるからである。もちろん、金属材料は、上述した金属元素以外の他の金属元素を有していてもよい。ただし、ここで言う「金属材料」とは、単体に限らず、合金や金属化合物まで含む広い概念を表すものである。この金属材料は、例えば、気相法または液相法によって形成されており、中でも電解鍍金法または無電解鍍金法などの液相法が好ましく、電解鍍金法がより好ましい。上述した隙間に金属材料が入り込みやすくなると共に、その形成時間が短くて済むからである。
なお、負極活物質層102は、上述の酸化物含有膜または金属材料のいずれか一方だけを有していてもよいし、双方を有していてもよい。ただし、二次電池などの電気化学デバイスのサイクル特性をより向上させるためには、双方を有していることが好ましい。
ここで、図7〜図10を参照して、負極100の詳細な構成について説明する。なお、図7〜図10では、被膜103を省略して示している。
まず、負極活物質層102が複数の負極活物質粒子と共に酸化物含有膜を有する場合について説明する。図7は第2の実施の形態における負極100の断面構造を模式的に表しており、図8は参考例の負極の断面構造を模式的に表している。なお、図7および図8では、負極活物質粒子が単層構造を有している場合を示している。
この負極100では、図7に示したように、例えば、蒸着法などの気相法によって負極集電体101上に負極材料が堆積されると、その負極集電体101上に複数の負極活物質粒子201が形成される。この場合には、負極集電体101の表面が粗面化され、その表面に複数の突起部(例えば、電解処理により形成された微粒子)が存在すると、負極活物質粒子201が上述した突起部ごとに厚さ方向に成長するため、複数の負極活物質粒子201が負極集電体101上において配列されると共に根元において負極集電体101に連結される。こののち、例えば、液相析出法などの液相法によって負極活物質粒子201の表面に酸化物含有膜202が形成されると、その酸化物含有膜202は負極活物質粒子201の表面をほぼ全体に渡って被覆し、特に、負極活物質粒子201の頭頂部から根元に至る広い範囲を被覆する。この酸化物含有膜202による広範囲な被覆状態は、その酸化物含有膜202が液相法によって形成された場合に得られる特徴である。すなわち、液相法によって酸化物含有膜202を形成すると、その被覆作用が負極活物質粒子201の頭頂部だけでなく根元まで広く及ぶため、その根元まで酸化物含有膜202によって被覆される。
これに対して、参考例の負極では、図8に示したように、例えば、気相法によって複数の負極活物質粒子201が形成されたのち、同様に蒸着法などの気相法によって酸化物含有膜203が形成されると、その酸化物含有膜203は負極活物質粒子201の頭頂部だけを被覆する。この酸化物含有膜203による狭範囲な被覆状態は、その酸化物含有膜203が気相法によって形成された場合に得られる特徴である。すなわち、気相法によって酸化物含有膜203を形成すると、その被覆作用が負極活物質粒子201の頭頂部に及ぶものの根元まで及ばないため、その根元までは酸化物含有膜203によって被覆されない。
なお、図7では、気相法によって負極活物質層102が形成される場合について説明したが、焼結法などによって負極活物質層102が形成される場合においても同様に、複数の負極活物質粒子の表面をほぼ全体に渡って被覆するように酸化物含有膜が形成される。
次に、負極活物質層102が複数の負極活物質粒子と共にリチウムと合金化しない金属材料を有する場合について説明する。図9は負極100の断面構造を拡大して表しており、(A)は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)写真(二次電子像)、(B)は(A)に示したSEM像の模式絵である。図9では、複数の負極活物質粒子が粒子内に多層構造を有している場合を示している。
負極活物質粒子201が多層構造を有する場合には、その複数の負極活物質粒子201の密集構造、多層構造および表面構造に起因して、負極活物質層102中に複数の隙間204が生じている。この隙間204は、主に、発生原因に応じて分類された2種類の隙間204A,204Bを含んでいる。隙間204Aは、隣り合う負極活物質粒子201間に生じるものであり、隙間204Bは、負極活物質粒子201内の各階層間に生じるものである。
なお、負極活物質粒子201の露出面(最表面)には、空隙205が生じる場合がある。この空隙205は、負極活物質粒子201の表面にひげ状の微細な突起部(図示せず)が生じることに伴い、その突起部間に生じた空隙である。この空隙205は、負極活物質粒子201の露出面において、全体に渡って生じる場合もあれば、一部だけに生じる場合もある。ただし、上述したひげ状の突起部は、負極活物質粒子201の形成時ごとにその表面に生じるため、空隙205は、負極活物質粒子201の露出面だけでなく、各階層間にも生じる場合がある。
図10は負極の他の断面構造を表しており、図9に対応している。負極活物質層102は、隙間204A,204Bに、リチウム(Li)と合金化しない金属材料206を有している。この場合には、隙間204A,204Bのうちのいずれか一方だけに金属材料206を有していてもよいが、双方に金属材料206を有していることが好ましい。より高い効果を得ることができるからである。
この金属材料206は、隣り合う負極活物質粒子201間の隙間204Aに入り込んでいる。詳細には、気相法などによって負極活物質粒子201が形成される場合には、上述したように、負極集電体101の表面に存在する突起部ごとに負極活物質粒子201が成長するため、隣り合う負極活物質粒子201間に隙間204Aが生じる。この隙間204Aは、負極活物質層102の結着性を低下させる原因となるため、その結着性を高めるために、上述の隙間204Aに金属材料206が充填されている。この場合には、隙間204Aの一部でも充填されていればよいが、その充填量が多いほど好ましい。負極活物質層102の結着性がより向上するからである。金属材料206の充填量は、20%以上が好ましく、40%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。
また、金属材料206は、負極活物質粒子201内の隙間204Bに入り込んでいる。詳細には、負極活物質粒子201が多層構造を有する場合には、各階層間に隙間204Bが生じる。この隙間204Bは、上述の隙間204Aと同様に、負極活物質層102の結着性を低下させる原因となるため、その結着性を高めるために、上述の隙間204Bに金属材料206が充填されている。この場合には、隙間204Bの一部でも充填されていればよいが、その充填量が多いほど好ましい。負極活物質層102の結着性がより向上するからである。
なお、負極活物質層102は、最上層の負極活物質粒子201の露出面に生じるひげ状の微細な突起部(図示せず)が電気化学デバイスの性能に悪影響を及ぼすことを抑えるために、空隙205に金属材料206を有していてもよい。詳細には、気相法などによって負極活物質粒子201が形成される場合には、その表面にひげ状の微細な突起部が生じるため、その突起部間に空隙205が生じる。この空隙205は、負極活物質粒子201の表面積の増加を招き、その表面に形成される不可逆性の被膜の量も増加させるため、電極反応の進行度を低下させる原因となる可能性がある。したがって、電極反応の進行度の低下を抑えるために、上述の空隙205に金属材料206が埋め込まれている。この場合には、空隙205の一部でも埋め込まれていればよいが、その埋め込む量が多いほど好ましい。電極反応の進行度の低下がより抑えられるからである。図10において、最上層の負極活物質粒子201の表面に金属材料206が点在していることは、その点在箇所に上述した微細な突起部が存在していることを表している。もちろん、金属材料206は、必ずしも負極活物質粒子201の表面に点在していなければならないわけではなく、その表面全体を被覆していてもよい。
特に、隙間204Bに入り込んだ金属材料206は、各階層における空隙205を埋め込む機能も果たしている。詳細には、負極活物質粒子201が複数回に渡って堆積される場合には、その堆積時ごとに負極活物質粒子201の表面に上述した微細な突起部が生じる。このことから、金属材料206は、各階層における隙間204Bに充填されているだけでなく、各階層における空隙205も埋め込んでいる。
確認までに、図9および図10では、負極活物質粒子201が多層構造を有しており、負極活物質層2中に隙間204A,204Bの双方が存在している場合について説明したため、負極活物質層102が隙間204A,204Bに金属材料206を有している。これに対して、負極活物質粒子201が単層構造を有しており、負極活物質層102中に隙間204Aだけが存在する場合には、負極活物質層102が隙間204Aだけに金属材料206を有することとなる。もちろん、空隙205は両者の場合において生じるため、いずれの場合においても空隙205に金属材料206を有する。
被膜103は、上述した式(1)で表される化合物を含有している。この式(1)で表される化合物を含有する被膜103が設けられていることにより、負極100の化学的安定性を向上させることができる。よって、この負極100が二次電池などの電気化学デバイスに用いられた場合に、負極100においてリチウムが効率よく吸蔵および放出されると共に、負極100が他の物質(例えば二次電池における非水電解質)と反応しにくくなるため、サイクル特性を向上させることができる。
この被膜103は、負極活物質層102の全面を覆うように設けられていてもよいし、その表面の一部を覆うように設けられていてもよい。また、被膜103の一部は、負極活物質層102の内部に入り込んでいてもよい。
式(1)で表される化合物は、第1の実施の形態における非水電解質が含むものと同様であるので、詳細な説明を省略するが、中でも、化学的安定性が高いことから、式(3)で表される化合物、式(4)で表される化合物、式(6)で表される化合物または式(7)で表される化合物が好ましい。
被膜103は、式(1)で表される化合物と共に、長周期型周期表における1族の金属元素の塩または2族元素の塩(式(1)で表される化合物に該当するものを除く)を含有していてもよい。被膜抵抗が抑えられるため、負極が二次電池などの電気化学デバイスに用いられた場合に、サイクル特性をより向上させることができるからである。
このような長周期型周期表における1族の金属元素の塩または2族元素の塩としては、例えば、長周期型周期表における1族の金属元素もしくは2族元素の炭酸塩、ハロゲン化物塩、ホウ酸塩、リン酸塩またはスルホン酸塩などが挙げられる。より具体的には、例えば、炭酸リチウム(Li2 CO3 )、フッ化リチウム(LiF)、四ホウ酸リチウム(Li2 4 7 )、メタホウ酸リチウム(LiBO2 )、ピロリン酸リチウム(Li4 2 7 )、トリポリリン酸リチウム(Li5 3 10)、オルトケイ酸リチウム(Li4 SiO4 )、メタケイ酸リチウム(Li2 SiO3 )、エタンジスルホン酸二リチウム、プロパンジスルホン酸二リチウム、スルホ酢酸二リチウム、スルホプロピオン酸二リチウム、スルホブタン酸二リチウム、スルホ安息香酸二リチウム、コハク酸二リチウム、スルホコハク酸三リチウム、スクエア酸二リチウム、エタンジスルホン酸マグネシウム、プロパンジスルホン酸マグネシウム、スルホ酢酸マグネシウム、スルホプロピオン酸マグネシウム、スルホブタン酸マグネシウム、スルホ安息香酸マグネシウム、コハク酸マグネシウム、二スルホコハク酸三マグネシウム、エタンジスルホン酸カルシウム、プロパンジスルホン酸カルシウム、スルホ酢酸カルシウム、スルホプロピオン酸カルシウム、スルホブタン酸カルシウム、スルホ安息香酸カルシウム、コハク酸カルシウム、二スルホコハク酸三カルシウムなどである。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。
被膜103を形成する方法としては、例えば、塗布法、浸漬法またはディップコーティング法などの液相法や、蒸着法、スパッタ法またはCVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法などの気相法が挙げられる。これらの方法を単独で用いてもよいし、2種以上の方法を用いてもよい。中でも、液相法として、式(1)で表される化合物を含有する溶液を用いて被膜103を形成することが好ましい。より具体的には、例えば、浸漬法では、式(1)で表される化合物を含有する溶液中に、負極活物質層102が形成された負極集電体101を浸漬する。また、塗布法では、上述の溶液を負極活物質層102に塗布する。これにより、化学的安定性の高い良好な被膜103が容易に形成される。式(1)で表される化合物を溶解させる溶媒としては、例えば、水などの極性の高い溶媒が挙げられる。
次に、この負極100の製造方法の一例ついて説明する。まず、負極集電体101の両面に、負極活物質層102を形成する。この負極活物質層102を形成する場合には、蒸着法などの気相法によって負極集電体101の表面に負極材料を堆積させて、複数の負極活物質粒子を形成する。そののち、必要に応じて、液相析出法などの液相法によって酸化物含有膜を形成し、または電解鍍金法などの液相法によって金属材料を形成する。最後に、負極活物質層102の表面に被膜103を形成する。この被膜103を形成する場合には、式(1)で表される化合物を含有する溶液として、例えば、1重量%以上5重量%以下の濃度の水溶液を準備し、負極活物質層102が形成された負極集電体101を溶液中に数秒間浸漬したのちに引き上げ、室温で乾燥する。または、上述の溶液を準備し、それを負極活物質層102の表面に塗布して乾燥させる。これにより、負極100が得られる。
この発明の第2の実施の形態による負極100およびその製造方法では、式(1)で表される化合物を含有する被膜103を負極活物質層102に形成しているので、その被膜103を形成しない場合と比較して、負極100の化学的安定性を向上させることができる。したがって、この負極100が二次電池などの電気化学デバイスに用いられた場合に、負極100においてリチウムが効率よく吸蔵および放出されると共に、負極100が非水電解液などの他の物質と反応しにくくなる。このため、サイクル特性を向上させることができる。この場合には、式(1)で表される化合物を含有する溶液を用いて被膜103を形成しており、より具体的には浸漬処理や塗布処理などの簡単な処理を用いているので、減圧環境などの特殊な環境条件を要する方法を用いる場合と比較して、良好な被膜103を簡単に形成することができる。
また、負極活物質層102が複数の負極活物質粒子を有する場合に、酸化物含有膜や電極反応物質と合金化しない金属材料を併せて有していれば、サイクル特性をより向上させることができる。
この発明の第2の実施の形態における負極(負極100)およびその製造方法を用いて、例えば、種々の形状およびサイズのリチウム電池などの二次電池を作製することが可能である。負極100は、例えば、第1の実施の形態において説明した二次電池の第1〜第3の例における負極4,22,34として用いることができる。二次電池の第1〜第3の例における負極として用いた場合には、第1〜第3の例に用いられている非水電解質(非水電解液)中には、式(1)で表される化合物が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよいが、含まれているほうが、より高い効果を得ることができる。
なお、第2の実施の形態では、負極100が被膜103を有する場合について説明したが、上述した負極集電体101および負極活物質層102は、被膜103を形成しない場合においても、第1の実施の形態における非水電解質を用いた二次電池の第1〜第3の例の負極集電体4A,22A,34Aおよび負極活物質層4B,22B,34Bとして用いることができる。すなわち、負極活物質層が負極活物質粒子を有すると共に負極活物質粒子の表面を被覆する酸化物被膜を有する負極、または複数の負極活物質粒子を有すると共に負極活物質粒子間の隙間に電極反応物質(Li)と合金化しない金属材料を有する負極を、第1の実施の形態における非水電解質を二次電池の第1〜第3の例の負極4,22,34として、用いることができる。
[第3の実施の形態]
図11は、この発明の第3の実施の形態における正極の断面構成を表している。この正極300は、例えば二次電池などの電気化学デバイスに用いられるものであり、一対の面を有する正極集電体301と、その正極集電体301に設けられた正極活物質層302と、その正極活物質層302に設けられた被膜303とを有している。この正極活物質層302は、正極集電体301の両面に設けられていてもよいし、片面だけに設けられていてもよい。被膜303も同様である。なお、以下では、この正極300において吸蔵および放出される電極反応物質をリチウムとした場合について説明する。
正極集電体301は、例えば、第1の実施の形態における二次電池の第1〜第3の例の正極集電体2A,21A,33Aと同様であるので、詳細な説明を省略する。
正極活物質層302は、正極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料のいずれか1種または2種以上を含んでいる。この正極材料は、第1の実施の形態における二次電池の第1〜第3の例において説明した正極材料と同様のものであるので、詳細な説明を省略する。
被膜303は、上述した式(1)で表される化合物を含有している。この式(1)で表される化合物を含有する被膜303が設けられていることにより、正極300の化学的安定性を向上させることができる。よって、この正極300が二次電池などの電気化学デバイスに用いられた場合に、正極300においてリチウムが効率よく吸蔵および放出されると共に、正極300が他の物質(例えば二次電池における非水電解質)と反応しにくくなるため、サイクル特性を向上させることができる。
この被膜303は、正極活物質層302の全面を覆うように設けられていてもよいし、その表面の一部を覆うように設けられていてもよい。また、被膜303の一部は、正極活物質層302の内部に入り込んでいてもよい。
式(1)で表される化合物は、第1の実施の形態における非水電解質が含むものと同様であるので、詳細な説明を省略するが、中でも、化学的安定性が高いことから、式(3)で表される化合物、式(4)で表される化合物、式(6)で表される化合物または式(7)で表される化合物が好ましい。
被膜303を形成する方法は、第2の実施の形態において説明した被膜103を形成する方法と同様であるので、詳細な説明は省略する。
次に、この正極300の製造方法の一例ついて説明する。まず、正極集電体301の両面に、正極活物質層302を形成する。この正極活物質層302を形成する場合には、正極活物質層2B,21B,33Bと同様にして形成する。最後に、被膜303を形成する。被膜303を形成する場合には、第2の実施の形態における被膜103を形成する場合と同様であるので、詳細の説明を省略する。これにより、正極300が得られる。
この発明の第3の実施の形態による正極300およびその製造方法では、式(1)で表される化合物を含有する被膜303を正極活物質層302に形成しているので、その被膜303を形成しない場合と比較して、正極300の化学的安定性を向上させることができる。したがって、この正極300が二次電池などの電気化学デバイスに用いられた場合に、正極300においてリチウム(Li)が効率よく吸蔵および放出されると共に、正極100が非水電解液などの他の物質と反応しにくくなる。このため、サイクル特性を向上させることができる。この場合には、式(1)で表される化合物を含有する溶液を用いて被膜303を形成しており、より具体的には浸漬処理や塗布処理などの簡単な処理を用いているので、減圧環境などの特殊な環境条件を要する方法を用いる場合と比較して、良好な被膜303を簡単に形成することができる。
この発明の第3の実施の形態における正極(正極300)およびその製造方法を用いて、例えば、種々の形状およびサイズのリチウム電池などの二次電池を作製することが可能である。正極300は、例えば、第1の実施の形態において説明した二次電池の第1〜第3の例における正極2,21,33として用いることができる。二次電池の第1〜第3の例における正極として用いた場合には、第1〜第3の例に用いられている非水電解質(非水電解液)中には、式(1)で表される化合物が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよいが、含まれているほうが、より高い効果を得ることができる。また、第2の実施の形態における負極と併せて正極300を、第1の実施に形態における二次電池の第1〜第3の例に用いてもよい。
[第4の実施の形態]
図12は、この発明の第4の実施の形態におけるセパレータの断面構成を表している。このセパレータ400は、例えば、二次電池などに用いられるものであり、正極と負極とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ電極反応物質を通過させるものである。このセパレータ400は、一対の面を有する微多孔性膜401と、微多孔性膜401の一対の面に設けられた被膜402とを有している。この被膜402は、微多孔性膜401の両面に設けられていてもよいし、片面だけに設けられていてもよい。
微多孔性膜401は、例えば、第1の実施の形態における二次電池の第1〜第3の例のセパレータ3,23,35を構成する微多孔性膜と同様であるので詳細な説明を省略する。
被膜402は、上述した式(1)で表される化合物を含有している。この式(1)で表される化合物を含有する被膜402が設けられていることにより、化学的安定性を向上させることができる。よって、このセパレータ400が二次電池などに用いられた場合に、正極および負極が他の物質(例えば二次電池における非水電解質)と反応しにくくなるため、サイクル特性を向上させることができる。
この被膜402は、微多孔質膜401の全面を覆うように設けられていてもよいし、その表面の一部を覆うように設けられていてもよい。また、被膜402の一部は、微多孔質膜401の内部に含浸していてもよい。
式(1)で表される化合物は、第1の実施の形態における非水電解質が含むものと同様であるので、詳細な説明を省略するが、中でも、化学的安定性が高いことから、式(3)で表される化合物、式(4)で表される化合物、式(6)で表される化合物または式(7)で表される化合物が好ましい。
被膜402を形成する方法は、第2の実施の形態および第3の実施の形態において説明した被膜103,303を形成する方法と同様であるので、詳細な説明は省略する。
この発明の第4の実施の形態によるセパレータ400およびその製造方法では、式(1)で表される化合物を含有する被膜402を微多孔性膜401に形成しているので、セパレータ400が二次電池に用いられた場合に、正極および負極が非水電解液などの他の物質と反応しにくくなる。このため、その被膜401を形成しない場合と比較して、サイクル特性を向上させることができる。この場合には、式(1)で表される化合物を含有する溶液を用いて被膜402を形成しており、具体的には浸漬処理や塗布処理などの簡単な処理を用いているので、減圧環境などの特殊な環境条件を要する方法を用いる場合と比較して、良好な被膜402を簡単に形成することができる。
この発明の第4の実施の形態におけるセパレータおよびその製造方法を用いて、例えば、種々の形状およびサイズのリチウム電池などの二次電池を作製することが可能である。セパレータ400は、例えば、第1の実施の形態において説明した二次電池の第1〜第3の例におけるセパレータ3,23,35として用いることができる。二次電池の第1〜第3の例におけるセパレータとして用いた場合には、第1〜第3の例に用いられている非水電解質(非水電解液)中には、式(1)で表される化合物が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよいが、含まれているほうが、より高い効果を得ることができる。また、第2および第3の実施の形態における負極100および正極300のうちの少なくとも1つと共に、セパレータ400を、第1の実施に形態における二次電池の第1〜第3の例に用いてもよい。
以上、第1〜第4の実施の形態を挙げてこの発明を説明したが、この発明では、上述の非水電解質、負極、正極、およびセパレータのうちの少なくとも1つが式(1)で表される化合物を含んでいればよい。すなわち、上述したように正極および負極が式(1)で表される化合物を含む場合として、正極活物質層および負極活物質層の上に式(1)で表される化合物を含む被膜が形成された場合について説明したが、これに限定されるものではなく、式(1)で表される化合物を含んでいれば、被膜を形成していなくてもよい。また、非水電解質が式(1)で表される化合物を含む場合として、式(1)で表される化合物が非水電解質中に溶解した場合について説明したが、その場合には、式(1)で表される化合物の一部が溶解していてもよく、全部が分散していてもよい。セパレータが式(1)で表される化合物を含む場合には、その片面または両面に式(1)で表される化合物を含む被膜が形成されていてもよい。
式(1)で表される化合物を含む構成要素は、正極、負極、セパレータおよび非水電解質のうちのいずれか1つだけでもよいが、2つ以上が含んでいることが好ましく、全部が含んでいることが好ましい。非水電解質の分解反応をより抑制することができるからである。中でも、式(1)で表される化合物を含む構成要素を1つだけに絞るならば、正極よりもセパレータが好ましく、セパレータよりも非水電解質がより好ましく、非水電解質よりも負極が特に好ましい。より高い効果が得られるからである。
この発明の具体的な実施例について、図1を参照しながら説明する。ただし、この発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
<実施例1−1>
実施例1−1の非水電解質二次電池として、図1に示したコイン型の二次電池を作製した。この二次電池は、正極2と、負極4とを電解液を含浸させた微多孔性ポリプロピレンフィルムよりなるセパレータ3を介して積層し、外装缶6と外装カップ5との間に挟み、ガスケット7を介してかしめたものである。
まず、正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2 )94質量部と、導電剤としてグラファイト3質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3質量部とを混合したのち、N−メチル−2−ピロリドンを添加し正極合剤スラリーを得た。
次に、得られた正極合剤スラリーを、厚み20μmのアルミニウム箔よりなる正極集電体2Aに均一に塗布し乾燥させて厚みが70μmの正極活物質層2Bを形成した。そののち、正極活物質層2Bが形成された正極集電体2Aを直径15mmの円形に打ち抜き、これにより正極2を得た。
また、負極活物質として黒鉛を用い、この黒鉛97質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3質量部とを混合し、N−メチル−2−ピロリドンを添加して、厚み15μmの銅箔よりなる負極集電体4Aに均一に塗布し乾燥させることにより厚み70μmの負極活物質層4Bを形成した。そののち、負極活物質層4Bが形成された負極集電体4Aを直径16mmの円形に打ち抜き、これにより負極4を得た。
次に、正極2と、負極4とを、厚み25μmの微多孔性ポリプロピレンフィルムよりなるセパレータ3を介して積層したのち、セパレータ3に電解液を注液し、これらをステンレス製の外装カップ5と、外装缶6との中に入れ、それらをかしめることにより、実施例1−1の二次電池を得た。電解液としては、エチレンカーボネート(EC)と、ジエチルカーボネート(DEC)とを、重量比(EC:DEC)3:7の組成で混合した溶媒に、電解質塩として、LiPF6 を1.0mol/kgとなるように溶解させ、式(15)で表される化合物を0.5wt%となるように添加したものを用いた。
<実施例1−2>
式(15)で表される化合物の添加量を3wt%とした点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−2の二次電池を作製した。
<実施例1−3>
式(15)で表される化合物を加える換わりに、式(16)で表される化合物を0.5wt%加えた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−3の二次電池を作製した。
<実施例1−4>
式(15)で表される化合物を加える換わりに、式(16)で表される化合物を3wt%加えた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−4の二次電池を作製した。
<実施例1−5>
式(15)で表される化合物を加える換わりに、式(17)で表される化合物を0.5wt%加えた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−5の二次電池を作製した。
<実施例1−6>
式(15)で表される化合物を加える換わりに、式(17)で表される化合物を3wt%加えた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−6の二次電池を作製した。
<実施例1−7>
式(15)で表される化合物を加える換わりに、式(18)で表される化合物を0.5wt%加えた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−7の二次電池を作製した。
<実施例1−8>
式(15)で表される化合物を加える換わりに、式(18)で表される化合物を3wt%加えた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−8の二次電池を作製した。
<実施例1−9>
式(15)で表される化合物を加える換わりに、式(19)で表される化合物を0.5wt%加えた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−9の二次電池を作製した。
<実施例1−10>
式(15)で表される化合物を加える換わりに、式(19)で表される化合物を3wt%加えた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−10の二次電池を作製した。
<実施例1−11>
式(15)で表される化合物を加える換わりに、式(20)で表される化合物を0.5wt%加えた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−11の二次電池を作製した。
<実施例1−12>
式(15)で表される化合物を加える換わりに、式(20)で表される化合物を3wt%加えた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−12の二次電池を作製した。
<実施例1−13>
式(15)で表される化合物を加える換わりに、式(21)で表される化合物を0.5wt%加えた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−13の二次電池を作製した。
<実施例1−14>
式(15)で表される化合物を加える換わりに、式(21)で表される化合物を3wt%加えた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−14の二次電池を作製した。
<実施例1−15>
式(15)で表される化合物を加える換わりに、式(22)で表される化合物を0.5wt%加えた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−15の二次電池を作製した。
<実施例1−16>
式(15)で表される化合物を加える換わりに、式(22)で表される化合物を3wt%加えた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−16の二次電池を作製した。
<実施例1−17>
式(15)で表される化合物を加える換わりに、式(23)で表される化合物を0.5wt%加えた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−17の二次電池を作製した。
<実施例1−18>
式(15)で表される化合物を加える換わりに、式(23)で表される化合物を3wt%加えた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−18の二次電池を作製した。
<比較例1−1>
式(15)で表される化合物を加えなかった点以外は、実施例1−1と同様にして、比較例1−1の二次電池を作製した。
<比較例1−2>
式(15)で表される化合物を加える換わりに、γ−ブチロラクトン(GBL)を0.5wt%加えた点以外は、実施例1−1と同様にして、比較例1−2の二次電池を作製した。
<実施例2−1>
さらに、添加剤として、ビニレンカーボネート(VC)を1wt%加えた点以外は、実施例1−9と同様にして、実施例2−1の二次電池を作製した。
<実施例2−2>
さらに、添加剤として、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)を1wt%加えた点以外は、実施例1−9と同様にして、実施例2−2の二次電池を作製した。
<実施例2−3>
さらに、添加剤として、無水コハク酸を1wt%加えた点以外は、実施例1−9と同様にして、実施例2−3の二次電池を作製した。
<実施例2−4>
さらに、添加剤として、2−スルホ安息香酸無水物を1wt%加えた点以外は、実施例1−9と同様にして、実施例2−4の二次電池を作製した。
<実施例2−5>
さらに、添加剤として、プロペンスルトンを1wt%加えた点以外は、実施例1−9と同様にして、実施例2−5の二次電池を作製した。
<比較例2−1>
式(19)で表される化合物の換わりに、γ−ブチロラクトン(GBL)を0.5wt%加えた点以外は、実施例2−1と同様にして、比較例2−1の二次電池を作製した。
<比較例2−2>
式(19)で表される化合物の換わりに、γ−ブチロラクトン(GBL)を0.5wt%加えた点以外は、実施例2−2と同様にして、比較例2−2の二次電池を作製した。
<比較例2−3>
式(19)で表される化合物の換わりに、γ−ブチロラクトン(GBL)を0.5wt%加えた点以外は、実施例2−3と同様にして、比較例2−3の二次電池を作製した。
<比較例2−4>
式(19)で表される化合物の換わりに、γ−ブチロラクトン(GBL)を0.5wt%加えた点以外は、実施例2−4と同様にして、比較例2−4の二次電池を作製した。
<比較例2−5>
式(19)で表される化合物の換わりに、γ−ブチロラクトン(GBL)を0.5wt%加えた点以外は、実施例2−5と同様にして、比較例2−5の二次電池を作製した。
<実施例3−1>
電解質塩として、LIPF6 を0.9mol/kg、LiBF4 を0.1mol/kgとなるように溶解させた点以外は、実施例1−9と同様にして、実施例3−1の二次電池を作製した。
<実施例3−2>
電解質塩として、LIPF6 を0.9mol/kg、LiBOB(リチウムビスオキサレートボレート)を0.1mol/kgとなるように溶解させた点以外は、実施例1−9と同様にして、実施例3−2の二次電池を作製した。
<実施例3−3>
電解質塩として、LIPF6 を0.9mol/kg、LiTFSI(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム)を0.1mol/kgとなるように溶解させた点以外は、実施例1−9と同様にして、実施例3−3の二次電池を作製した。
<実施例3−4>
電解質塩として、LIPF6 を0.9mol/kg、式(49)で表される1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミドリチウムを0.1mol/kgとなるように溶解させた点以外は、実施例1−9と同様にして、実施例3−4の二次電池を作製した。
<実施例4−1>
以下に説明するように作製した負極4を用いた点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例4−1の二次電池を作製した。厚み15μmの銅箔よりなる負極集電体4Aの上に蒸着法により厚み5μmのケイ素(Si)よりなる負極活物質層4Bを形成した。そののち、負極活物質層4Bが形成された負極集電体4Aを直径16mmの円形に打ち抜き、これにより負極4を得た。
<実施例4−2>
式(15)で表される化合物を加える換わりに、式(16)で表される化合物を0.5wt%加えた点以外は、実施例4−1と同様にして、実施例4−2の二次電池を作製した。
<実施例4−3>
式(15)で表される化合物を加える換わりに、式(17)で表される化合物を0.5wt%加えた点以外は、実施例4−1と同様にして、実施例4−3の二次電池を作製した。
<実施例4−4>
式(15)で表される化合物を加える換わりに、式(18)で表される化合物を0.5wt%加えた点以外は、実施例4−1と同様にして、実施例4−4の二次電池を作製した。
<実施例4−5>
式(15)で表される化合物を加える換わりに、式(19)で表される化合物を0.5wt%加えた点以外は、実施例4−1と同様にして、実施例4−5の二次電池を作製した。
<実施例4−6>
式(15)で表される化合物を加える換わりに、式(20)で表される化合物を0.5wt%加えた点以外は、実施例4−1と同様にして、実施例4−6の二次電池を作製した。
<実施例4−7>
式(15)で表される化合物を加える換わりに、式(21)で表される化合物を0.5wt%加えた点以外は、実施例4−1と同様にして、実施例4−7の二次電池を作製した。
<実施例4−8>
式(15)で表される化合物を加える換わりに、式(22)で表される化合物を0.5wt%加えた点以外は、実施例4−1と同様にして、実施例4−8の二次電池を作製した。
<実施例4−9>
式(15)で表される化合物を加える換わりに、式(23)で表される化合物を0.5wt%加えた点以外は、実施例4−1と同様にして、実施例4−9の二次電池を作製した。
<実施例4−10>
電解液として、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)とジエチルカーボネート(DEC)とを重量比(FEC:DEC)1:1の組成で混合した溶媒に、電解質塩として、LiPF6 を1.0mol/kgとなるように溶解させ、式(15)で表される化合物を0.5wt%となるように添加したものを用いた点以外は、実施例4−1と同様にして、実施例4−10の二次電池を作製した。
<実施例4−11>
式(15)で表される化合物の添加量を3wt%とした点以外は、実施例4−10と同様にして、実施例4−11の二次電池を作製した。
<実施例4−12>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(16)で表される化合物を0.5wt%加えた点以外は、実施例4−10と同様にして、実施例4−12の二次電池を作製した。
<実施例4−13>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(16)で表される化合物を3wt%加えた点以外は、実施例4−10と同様にして、実施例4―13の二次電池を作製した。
<実施例4−14>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(17)で表される化合物を0.5wt%加えた点以外は、実施例4−10と同様にして、実施例4−14の二次電池を作製した。
<実施例4−15>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(17)で表される化合物を3wt%加えた点以外は、実施例4−10と同様にして、実施例4―15の二次電池を作製した。
<実施例4−16>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(18)で表される化合物を0.5wt%加えた点以外は、実施例4−10と同様にして、実施例4−16の二次電池を作製した。
<実施例4−17>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(18)で表される化合物を3wt%加えた点以外は、実施例4−10と同様にして、実施例4―17の二次電池を作製した。
<実施例4−18>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(19)で表される化合物を0.5wt%加えた点以外は、実施例4−10と同様にして、実施例4−18の二次電池を作製した。
<実施例4−19>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(19)で表される化合物を3wt%加えた点以外は、実施例4−10と同様にして、実施例4―19の二次電池を作製した。
<実施例4−20>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(20)で表される化合物を0.5wt%加えた点以外は、実施例4−10と同様にして、実施例4−20の二次電池を作製した。
<実施例4−21>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(20)で表される化合物を3wt%加えた点以外は、実施例4−10と同様にして、実施例4―21の二次電池を作製した。
<実施例4−22>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(21)で表される化合物を0.5wt%加えた点以外は、実施例4−10と同様にして、実施例4−22の二次電池を作製した。
<実施例4−23>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(21)で表される化合物を3wt%加えた点以外は、実施例4−10と同様にして、実施例4―23の二次電池を作製した。
<実施例4−24>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(22)で表される化合物を0.5wt%加えた点以外は、実施例4−10と同様にして、実施例4−24の二次電池を作製した。
<実施例4−25>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(22)で表される化合物を3wt%加えた点以外は、実施例4−10と同様にして、実施例4―25の二次電池を作製した。
<実施例4−26>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(23)で表される化合物を0.5wt%加えた点以外は、実施例4−10と同様にして、実施例4−26の二次電池を作製した。
<実施例4−27>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(23)で表される化合物を3wt%加えた点以外は、実施例4−10と同様にして、実施例4―27の二次電池を作製した。
<実施例4−28>
電解液として、プロピレンカーボネート(PC)と4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(DFEC)とジエチルカーボネート(DEC)とを重量比(PC:DFEC:DEC)4:1:5の組成で混合した溶媒に、電解質塩として、LiPF6 を1.0mol/kgとなるように溶解させ、式(15)で表される化合物を0.5wt%となるように添加したものを用いた点以外は、実施例4−1と同様にして、実施例4−28の二次電池を作製した。
<実施例4−29>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(16)で表される化合物を0.5wt加えた点以外は、実施例4−28と同様にして、実施例4−29の二次電池を作製した。
<実施例4−30>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(17)で表される化合物を0.5wt加えた点以外は、実施例4−28と同様にして、実施例4−30の二次電池を作製した。
<実施例4−31>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(18)で表される化合物を0.5wt加えた点以外は、実施例4−28と同様にして、実施例4−31の二次電池を作製した。
<実施例4−32>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(19)で表される化合物を0.5wt加えた点以外は、実施例4−28と同様にして、実施例4−32の二次電池を作製した。
<実施例4−33>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(20)で表される化合物を0.5wt加えた点以外は、実施例4−28と同様にして、実施例4−33の二次電池を作製した。
<実施例4−34>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(21)で表される化合物を0.5wt加えた点以外は、実施例4−28と同様にして、実施例4−34の二次電池を作製した。
<実施例4−35>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(22)で表される化合物を0.5wt加えた点以外は、実施例4−28と同様にして、実施例4−35の二次電池を作製した。
<実施例4−36>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(23)で表される化合物を0.5wt加えた点以外は、実施例4−28と同様にして、実施例4−36の二次電池を作製した。
<比較例4−1>
式(15)で表される化合物を加えなかった点以外は、実施例4−1と同様にして、比較例4−1の二次電池を作製した。
<比較例4−2>
式(15)で表される化合物を加える換わりに、γ−ブチロラクトン(GBL)を加えた点以外は、実施例4−1と同様にして、比較例4−2の二次電池を作製した。
<比較例4−3>
式(15)で表される化合物を加えなかった点以外は、実施例4−10と同様にして、比較例4−3の二次電池を作製した。
<比較例4−4>
式(15)で表される化合物を加える換わりに、γ−ブチロラクトン(GBL)を加えた点以外は、実施例4−10と同様にして、比較例4−4の二次電池を作製した。
<比較例4−5>
式(15)で表される化合物を加えなかった点以外は、実施例4−28と同様にして、比較例4−5の二次電池を作製した。
<比較例4−6>
式(15)で表される化合物を加える換わりに、γ−ブチロラクトン(GBL)を加えた点以外は、実施例4−28と同様にして、比較例4−6の二次電池を作製した。
<実施例5−1>
さらに、添加剤として、ビニレンカーボネート(VC)を1wt%加えた点以外は、実施例4−18と同様にして、実施例5−1の二次電池を作製した。
<実施例5−2>
さらに、添加剤として、無水コハク酸を1wt%加えた点以外は、実施例4−18と同様にして、実施例5−2の二次電池を作製した。
<実施例5−3>
さらに、添加剤として、2−スルホ安息香酸無水物を1wt%加えた点以外は、実施例4−18と同様にして、実施例5−3の二次電池を作製した。
<実施例5−4>
さらに、添加剤として、プロペンスルトンを1wt%加えた点以外は、実施例4−18と同様にして、実施例5−4の二次電池を作製した。
<実施例6−1>
電解質塩として、LIPF6 を0.9mol/kg、LiBF4 を0.1mol/kgとなるように溶解させた点以外は、実施例4−18と同様にして、実施例6−1の二次電池を作製した。
<実施例6−2>
電解質塩として、LIPF6 を0.9mol/kg、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)を0.1mol/kgとなるように溶解させた点以外は、実施例4−18と同様にして、実施例6−2の二次電池を作製した。
<実施例6−3>
電解質塩として、LIPF6 を0.9mol/kg、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiTFSI)を0.1mol/kgとなるように溶解させた点以外は、実施例4−18と同様にして、実施例6−3の二次電池を作製した。
<実施例6−4>
電解質塩として、LIPF6 を0.9mol/kg、式(49)で表される1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミドリチウムを0.1mol/kgとなるように溶解させた点以外は、実施例4−18と同様にして、実施例6−4の二次電池を作製した。
<実施例7−1>
負極4を以下に説明するように作製した点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例7−1の二次電池を作製した。負極4を作製する際には、まず、スズ・コバルト・インジウム・チタン合金粉末と、炭素粉末とを混合したのち、メカノケミカル反応を利用してCoSnC含有材料を合成した。このCoSnC含有材料の組成を分析したところ、スズの含有量は48質量%、コバルトの含有量は23質量%、炭素の含有量は20質量%であり、スズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合Co/(Sn+Co)は32質量%であった。
次に、負極活物質として、上述のCoSnC含有材料粉末80質量部と、導電剤として黒鉛12質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン8質量部とを混合し、溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させた。最後に、銅箔(15μm厚)からなる負極集電体4Aに塗布して乾燥させたのちに圧縮成形することにより、負極活物質層4Bを形成した。次に、負極活物質層4Bを形成した負極集電体4Aを直径16mmの円形に打ち抜き、これにより、負極4を得た。
<実施例7−2>
式(15)で表される化合物の添加量を3wt%とした点以外は、実施例7−1と同様にして、実施例7−2の二次電池を作製した。
<実施例7−3>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(16)で表される化合物を0.5wt%加えた点以外は、実施例7−1と同様にして、実施例7−3の二次電池を作製した。
<実施例7−4>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(16)で表される化合物を3wt%加えた点以外は、実施例7−1と同様にして、実施例7−4の二次電池を作製した。
<実施例7−5>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(17)で表される化合物を0.5wt%加えた点以外は、実施例7−1と同様にして、実施例7−5の二次電池を作製した。
<実施例7−6>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(17)で表される化合物を3wt%加えた点以外は、実施例7−1と同様にして、実施例7−6の二次電池を作製した。
<実施例7−7>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(18)で表される化合物を0.5wt%加えた点以外は、実施例7−1と同様にして、実施例7−7の二次電池を作製した。
<実施例7−8>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(18)で表される化合物を3wt%加えた点以外は、実施例7−1と同様にして、実施例7−8の二次電池を作製した。
<実施例7−9>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(19)で表される化合物を0.5wt%加えた点以外は、実施例7−1と同様にして、実施例7−9の二次電池を作製した。
<実施例7−10>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(19)で表される化合物を3wt%加えた点以外は、実施例7−1と同様にして、実施例7−10の二次電池を作製した。
<実施例7−11>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(20)で表される化合物を0.5wt%加えた点以外は、実施例7−1と同様にして、実施例7−11の二次電池を作製した。
<実施例7−12>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(20)で表される化合物を3wt%加えた点以外は、実施例7−1と同様にして、実施例7−12の二次電池を作製した。
<実施例7−13>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(21)で表される化合物を0.5wt%加えた点以外は、実施例7−1と同様にして、実施例7−13の二次電池を作製した。
<実施例7−14>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(21)で表される化合物を3wt%加えた点以外は、実施例7−1と同様にして、実施例7−14の二次電池を作製した。
<実施例7−15>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(22)で表される化合物を0.5wt%加えた点以外は、実施例7−1と同様にして、実施例7−15の二次電池を作製した。
<実施例7−16>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(22)で表される化合物を3wt%加えた点以外は、実施例7−1と同様にして、実施例7−16の二次電池を作製した。
<実施例7−17>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(23)で表される化合物を0.5wt%加えた点以外は、実施例7−1と同様にして、実施例7−17の二次電池を作製した。
<実施例7−18>
式(15)で表される化合物の換わりに、式(23)で表される化合物を3wt%加えた点以外は、実施例7−1と同様にして、実施例7−18の二次電池を作製した。
<比較例7−1>
式(15)で表される化合物を加えなかった点以外は、実施例7−1と同様にして、比較例7−1の二次電池を作製した。
<比較例7−2>
式(15)で表される化合物の換わりに、γ−ブチロラクトン(GBL)を加えた点以外は、実施例7−1と同様にして、比較例7−2の二次電池を作製した。
<実施例8−1>
負極4の換わりに、図6に示した負極100を以下に説明するように作製して用いると共に、電解液に式(15)で表される化合物を加えなかった点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例8−1の二次電池を作製した。負極100を作製する際には、まず、負極活物質として黒鉛を用い、この黒鉛97質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3質量部とを混合し、N−メチル−2−ピロリドンを添加して、厚み15μmの銅箔よりなる負極集電体101の片面に、均一に塗布し乾燥させることにより厚み60μmの負極活物質層102を形成した。次に、式(19)で表される化合物を溶解させた3wt%水溶液を調製した。そののち、負極活物質層102(4B)が形成された負極集電体101(4A)を水溶液中に数秒間浸漬させてから引き上げたのち、60℃の減圧環境中において乾燥させて、負極活物質層102(4B)上に被膜103を形成した。最後に、負極活物質層102(4B)および被膜103が形成された負極集電体101(4A)を直径16mmの円形に打ち抜き、これにより負極100(4)を得た。
<実施例8−2>
式(19)で表される化合物に換えて、式(20)で表される化合物を用いた点以外は、実施例8−1と同様にして、実施例8−2の二次電池を作製した。
<実施例8−3>
式(19)で表される化合物に換えて、式(21)で表される化合物を用いた点以外は、実施例8−1と同様にして、実施例8−3の二次電池を作製した。
<実施例8−4>
式(19)で表される化合物に換えて、式(22)で表される化合物を用いた点以外は、実施例8−1と同様にして、実施例8−4の二次電池を作製した。
<実施例8−5>
式(19)で表される化合物に換えて、式(24)で表される化合物を用いた点以外は、実施例8−1と同様にして、実施例8−5の二次電池を作製した。
<実施例9−1>
以下に説明するように作製した負極100(4)を用いた点以外は、実施例8−1と同様にして、実施例9−1の二次電池を作製した。負極100(4)を作製する際には、まず、厚み15μmの銅箔よりなる負極集電体101の片面の上に蒸着法により厚み5μmのケイ素(Si)よりなる負極活物質層102を形成した。次に、式(19)で表される化合物を溶解させた3wt%水溶液を調製した。次に、負極活物質層102(4B)が形成された負極集電体101(4A)を水溶液中に数秒間浸漬させてから引き上げたのち、60℃の減圧環境中において乾燥させて、負極活物質層102(4B)上に被膜103を形成した。最後に、負極活物質層102(4B)および被膜103が形成された負極集電体101(4A)を直径16mmの円形に打ち抜き、これにより負極100(4)を得た。
<実施例9−2>
式(19)で表される化合物に換えて、式(20)で表される化合物を用いた点以外は、実施例9−1と同様にして、実施例9−2の二次電池を作製した。
<実施例9−3>
式(19)で表される化合物に換えて、式(21)で表される化合物を用いた点以外は、実施例9−1と同様にして、実施例9−3の二次電池を作製した。
<実施例9−4>
式(19)で表される化合物に換えて、式(22)で表される化合物を用いた点以外は、実施例9−1と同様にして、実施例9−4の二次電池を作製した。
<実施例9−5>
式(19)で表される化合物に換えて、式(24)で表される化合物を用いた点以外は、実施例9−1と同様にして、実施例9−5の二次電池を作製した。
<実施例9−6>
電解液として、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)とジエチルカーボネート(DEC)とを重量比(FEC:DEC)1:1の組成で混合した溶媒に、電解質塩として、LiPF6 を1.0mol/kgとなるように溶解させたものを用いた点以外は、実施例9−1と同様にして、実施例9−6の二次電池を作製した。
<実施例9−7>
式(19)で表される化合物に換えて、式(20)で表される化合物を用いた点以外は、実施例9−6と同様にして、実施例9−7の二次電池を作製した。
<実施例9−8>
式(19)で表される化合物に換えて、式(21)で表される化合物を用いた点以外は、実施例9−6と同様にして、実施例9−8の二次電池を作製した。
<実施例9−9>
式(19)で表される化合物に換えて、式(22)で表される化合物を用いた点以外は、実施例9−6と同様にして、実施例9−9の二次電池を作製した。
<実施例9−10>
式(19)で表される化合物に換えて、式(24)で表される化合物を用いた点以外は、実施例9−6と同様にして、実施例9−10の二次電池を作製した。
<実施例9−11>
電解液として、プロピレンカーボネート(PC)と4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(DFEC)とジエチルカーボネート(DEC)とを重量比(PC:DFEC:DEC)4:1:5の組成で混合した溶媒に、電解質塩として、LiPF6 を1.0mol/kgとなるように溶解させたものを用いた点以外は、実施例9−1と同様にして、実施例9−11の二次電池を作製した。
<実施例9−12>
式(19)で表される化合物に換えて、式(20)で表される化合物を用いた点以外は、実施例9−11と同様にして、実施例9−12の二次電池を作製した。
<実施例9−13>
式(19)で表される化合物に換えて、式(21)で表される化合物を用いた点以外は、実施例9−11と同様にして、実施例9−13の二次電池を作製した。
<実施例9−14>
式(19)で表される化合物に換えて、式(22)で表される化合物を用いた点以外は、実施例9−11と同様にして、実施例9−14の二次電池を作製した。
<実施例9−15>
式(19)で表される化合物に換えて、式(24)で表される化合物を用いた点以外は、実施例9−11と同様にして、実施例9−15の二次電池を作製した。
<実施例10−1>
電解液中に、さらに、添加剤として、ビニレンカーボネート(VC)を1wt%加えた点以外は、実施例9−7と同様にして、実施例10−1の二次電池を作製した。
<実施例10−2>
電解液中に、さらに、添加剤として、無水コハク酸を1wt%加えた点以外は、実施例9−7と同様にして、実施例10−2の二次電池を作製した。
<実施例10−3>
電解液中に、さらに、添加剤として、2−スルホ安息香酸無水物を1wt%加えた点以外は、実施例9−7と同様にして、実施例10−3の二次電池を作製した。
<実施例10−4>
電解液中に、さらに、添加剤として、プロペンスルトンを1wt%加えた点以外は、実施例9−7と同様にして、実施例10−4の二次電池を作製した。
<実施例11−1>
電解質塩として、LIPF6 を0.9mol/kg、LiBF4 を0.1mol/kgとなるように溶解させた点以外は、実施例9−7と同様にして、実施例11−1の二次電池を作製した。
<実施例11−2>
電解質塩として、LIPF6 を0.9mol/kg、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)を0.1mol/kgとなるように溶解させた点以外は、実施例9−7と同様にして、実施例11−2の二次電池を作製した。
<実施例11−3>
電解質塩として、LIPF6 を0.9mol/kg、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiTFSI)を0.1mol/kgとなるように溶解させた点以外は、実施例9−7と同様にして、実施例11−3の二次電池を作製した。
<実施例11−4>
電解質塩として、LIPF6 を0.9mol/kg、式(49)で表される1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミドリチウムを0.1mol/kgとなるように溶解させた点以外は、実施例9−7と同様にして、実施例11−4の二次電池を作製した。
<実施例12−1>
以下に説明するように作製した負極100(4)を用いた点以外は、実施例9−7と同様にして、実施例12−1の二次電池を作製した。厚み15μmの銅箔よりなる負極集電体101(4A)の上に蒸着法により厚み5μmのケイ素(Si)よりなる複数の負極活物質粒子を形成した。そののち、液相析出法によって負極活物質粒子の表面に酸化物含有膜としてケイ素の酸化物(SiO2 )を析出させることにより負極活物質層102を形成した。酸化物含有膜を形成する際には、ケイフッ化水素酸にアニオン補足剤としてホウ素を溶解させた溶液中に、負極活物質粒子が形成された負極集電体101(4A)を3時間浸漬し、その負極活物質粒子の表面にケイ素の酸化物を析出させたのち、水洗して減圧乾燥した。次に、式(20)で表される化合物を溶解させた3wt%水溶液を調製した。次に、負極活物質層102(4B)が形成された負極集電体101(4A)を水溶液中に数秒間浸漬させてから引き上げたのち、60℃の減圧環境中において乾燥させて、負極活物質層102(4B)上に被膜103を形成した。最後に、負極活物質層102(4B)および被膜103が形成された負極集電体101(4A)を直径16mmの円形に打ち抜き、これにより負極100(4)を得た。
<実施例12−2>
以下に説明するように作製した負極100(4)を用いた点以外は、実施例9−7と同様にして、実施例12−2の二次電池を作製した。厚み15μmの銅箔よりなる負極集電体101(4A)の上に蒸着法により厚み5μmのケイ素(Si)よりなる複数の負極活物質粒子を形成した。次に、電解鍍金法によって金属材料としてコバルト(Co)の鍍金膜を成長させることにより負極活物質層102を形成した。金属材料を形成する際には、鍍金浴にエアーを供給しながら通電して負極集電体101(4A)の片面にコバルトを堆積させた。この際、鍍金液として日本高純度化学株式会社製のコバルト鍍金液を用い、電流密度を2A/dm2 〜5A/dm2 とし、鍍金速度を10nm/秒とした。次に、式(20)で表される化合物を溶解させた3wt%水溶液を調製した。次に、負極活物質層102(4B)が形成された負極集電体101(4A)を水溶液中に数秒間浸漬させてから引き上げたのち、60℃の減圧環境中において乾燥させて、負極活物質層102(4B)上に被膜103を形成した。最後に、負極活物質層102(4B)および被膜103が形成された負極集電体101(4A)を直径16mmの円形に打ち抜き、これにより負極100(4)を得た。
<実施例12−3>
以下に説明するように作製した負極100(4)を用いた点以外は、実施例9−7と同様にして、実施例12−3の二次電池を作製した。厚み15μmの銅箔よりなる負極集電体101(4A)の上に蒸着法により厚み5μmのケイ素(Si)よりなる複数の負極活物質粒子を形成した。次に、実施例12−1と同様にして、液相析出法によって負極活物質粒子の表面に酸化物含有膜としてケイ素の酸化物(SiO2 )を析出させた。そののち、実施例12−2と同様にして、電解鍍金法によって金属材料としてコバルト(Co)の鍍金膜を成長させることにより負極活物質層102を形成した。次に、式(20)で表される化合物を溶解させた3wt%水溶液を調製した。次に、負極活物質層102(4B)が形成された負極集電体101(4A)を水溶液中に数秒間浸漬させてから引き上げたのち、60℃の減圧環境中において乾燥させて、負極活物質層102(4B)上に被膜103を形成した。最後に、負極活物質層102(4B)および被膜103が形成された負極集電体101(4A)を直径16mmの円形に打ち抜き、これにより負極100(4)を得た。
<比較例12−1>
被膜103を形成しなかった点以外は、実施例12−1と同様にして、比較例12−1の二次電池を作製した。
<比較例12−2>
被膜103を形成しなかった点以外は、実施例12−2と同様にして、比較例12−2の二次電池を作製した。
<比較例12−3>
被膜103を形成しなかった点以外は、実施例12−3と同様にして、比較例12−3の二次電池を作製した。
<実施例13−1>
負極100を以下に説明するように作製した点以外は、実施例9−6と同様にして、実施例13−1の二次電池を作製した。負極100を作製する際には、まず、負極活物質として平均粒径1μmのケイ素粉末を用い、このケイ素粉末95質量部と、結着剤としてポリイミド5質量部とを混合し、N−メチル−2−ピロリドンを添加して、厚み18μmの銅箔よりなる負極集電体101の片面に、均一に塗布し乾燥させてから加圧した。そののち、真空雰囲気下において400℃で12時間加熱することにより厚み20μmの負極活物質層102を形成した。次に、式(19)で表される化合物を溶解させた3wt%水溶液を調製した。次に、負極活物質層102(4B)が形成された負極集電体101(4A)を水溶液中に数秒間浸漬させてから引き上げたのち、60℃の減圧環境中において乾燥させて、負極活物質層102(4B)上に被膜103を形成した。最後に、負極活物質層102(4B)および被膜103が形成された負極集電体101(4A)を直径16mmの円形に打ち抜き、これにより負極100(4)を得た。
<実施例13−2>
式(19)で表される化合物に換えて、式(20)で表される化合物を用いた点以外は、実施例13−1と同様にして、実施例13−2の二次電池を作製した。
<実施例13−3>
式(19)で表される化合物に換えて、式(21)で表される化合物を用いた点以外は、実施例13−1と同様にして、実施例13−3の二次電池を作製した。
<実施例13−4>
式(19)で表される化合物に換えて、式(22)で表される化合物を用いた点以外は、実施例13−1と同様にして、実施例13−4の二次電池を作製した。
<実施例13−5>
式(19)で表される化合物に換えて、式(24)で表される化合物を用いた点以外は、実施例13−1と同様にして、実施例13−5の二次電池を作製した。
<実施例14−1>
負極100を以下に説明するように作製した点以外は、実施例8−1と同様にして、実施例14−1の二次電池を作製した。負極100を作製する際には、まず、実施例7−1と同様にして、CoSnC含有材料を合成した。このCoSnC含有材料の組成を分析したところ、スズ、コバルトおよび炭素の含有量、スズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合Co/(Sn+Co)は、実施例7−1のCoSnC含有材料と同様であった。
次に、負極活物質として、上述のCoSnC含有材料粉末80質量部と、導電剤として黒鉛12質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン8質量部とを混合し、溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させた。次に、銅箔(15μm厚)からなる負極集電体101(4A)に塗布して乾燥させたのちに圧縮成形することにより、負極活物質層102(4B)を形成した。次に、式(19)で表される化合物を溶解させた3wt%水溶液を調製した。次に、負極活物質層102(4B)が形成された負極集電体101(4A)を水溶液中に数秒間浸漬させてから引き上げたのち、60℃の減圧環境中において乾燥させて、負極活物質層102(4B)上に被膜103を形成した。最後に、負極活物質層102(4B)および被膜103が形成された負極集電体101(4A)を直径16mmの円形に打ち抜き、これにより負極100(4)を得た。
<実施例14−2>
式(19)で表される化合物に換えて、式(20)で表される化合物を用いた点以外は、実施例14−1と同様にして、実施例14−2の二次電池を作製した。
<実施例14−3>
式(19)で表される化合物に換えて、式(21)で表される化合物を用いた点以外は、実施例14−1と同様にして、実施例14−3の二次電池を作製した。
<実施例14−4>
式(19)で表される化合物に換えて、式(22)で表される化合物を用いた点以外は、実施例14−1と同様にして、実施例14−4の二次電池を作製した。
<実施例14−5>
式(19)で表される化合物に換えて、式(24)で表される化合物を用いた点以外は、実施例14−1と同様にして、実施例14−5の二次電池を作製した。
<実施例15−1>
正極2の換わりに、図11に示した正極300を以下に説明するように作製して用いると共に、電解液に式(15)で表される化合物を加えなかった点以外は、実施例7−1と同様にして、実施例15−1の二次電池を作製した。正極300(2)を形成する際には、まず、正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2 )94質量部と、導電剤としてグラファイト3質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3質量部とを混合したのち、N−メチル−2−ピロリドンを添加し正極合剤スラリーを得た。次に、得られた正極合剤スラリーを、厚み20μmのアルミニウム箔よりなる正極集電体301(2A)の片面に、均一に塗布し乾燥させて正極活物質層302(2B)を形成した。次に、式(19)で表される化合物を溶解させた3wt%水溶液を調製した。次に、正極活物質層302(2B)が形成された正極集電体301(2A)を水溶液中に数秒間浸漬させてから引き上げたのち、60℃の減圧環境中において乾燥させて、正極活物質層302(2B)上に被膜303を形成した。最後に、正極活物質層302(2B)および被膜303が形成された正極集電体301(2A)を直径15mmの円形に打ち抜き、これにより正極300(2)を得た。
<実施例15−2>
式(19)で表される化合物に換えて、式(20)で表される化合物を用いた点以外は、実施例15−1と同様にして、実施例15−2の二次電池を作製した。
<実施例15−3>
式(19)で表される化合物に換えて、式(21)で表される化合物を用いた点以外は、実施例15−1と同様にして、実施例15−3の二次電池を作製した。
<実施例15−4>
式(19)で表される化合物に換えて、式(22)で表される化合物を用いた点以外は、実施例15−1と同様にして、実施例15−4の二次電池を作製した。
<実施例15−5>
式(19)で表される化合物に換えて、式(24)で表される化合物を用いた点以外は、実施例15−1と同様にして、実施例15−5の二次電池を作製した。
<実施例16−1>
セパレータ3の換わりに、図12に示したセパレータ400を以下に説明するように作製して用いると共に、電解液に式(15)で表される化合物を加えなかった点以外は、実施例7−1と同様にして、実施例16−1の二次電池を作製した。セパレータ400(3)を形成する際には、まず、式(19)で表される化合物を溶解させた3wt%水溶液を調製した。次に、厚み25μmの微多孔性ポリプロピレンフィルムよりなる微多孔性膜401を水溶液中に数秒間浸漬させてから引き上げたのち、60℃の減圧環境中において乾燥させて、微多孔性膜401上に被膜402を形成した。これによりセパレータ400(3)を得た。
<実施例16−2>
式(19)で表される化合物に換えて、式(20)で表される化合物を用いた点以外は、実施例16−1と同様にして、実施例16−2の二次電池を作製した。
<実施例16−3>
式(19)で表される化合物に換えて、式(21)で表される化合物を用いた点以外は、実施例16−1と同様にして、実施例16−3の二次電池を作製した。
<実施例16−4>
式(19)で表される化合物に換えて、式(22)で表される化合物を用いた点以外は、実施例16−1と同様にして、実施例16−4の二次電池を作製した。
<実施例16−5>
式(19)で表される化合物に換えて、式(24)で表される化合物を用いた点以外は、実施例16−1と同様にして、実施例16−5の二次電池を作製した。
次に作製した実施例1−1〜実施例16−5および比較例1−1〜比較例13−1の二次電池について、以下に説明するようにして、100サイクル後の放電容維持率を測定し、サイクル特性を評価した。
まず、23℃の雰囲気中において2サイクル充放電することにより、2サイクル目の放電容量を求めた。続いて、同雰囲気中において98サイクル充放電することにより、100サイクル目の放電容量を求めた。最後に、(式)放電容量維持率(%)=(100サイクル目の放電容量/2サイクル目の放電容量)×100(%)により、放電容量維持率を算出した。1サイクルの充放電条件としては、0.2Cの充電電流で上限電圧4.2Vまで定電流定電圧充電したのち、0.2Cの放電電流で終止電圧2.5Vまで定電流放電した。なお、0.2Cとは、理論容量を5時間で放電(充電)しきる電流値である。
実施例1−1〜実施例1−18および比較例1−1〜比較例1−2の放電容量維持率を表1に示す。実施例1−9、実施例2−1〜実施例2−5および比較例2−1〜比較例2−5の放電容量維持率を表2に示す。実施例1−9、実施例3−1〜実施例3−4の放電容量維持率を表3に示す。実施例4−1〜実施例4−36および比較例4−1〜比較例4−6の放電容量維持率を表4に示す。実施例4−18、実施例5−1〜実施例5−4の放電容量維持率を表5に示す。実施例4−18、実施例6−1〜実施例6−4の放電容量維持率を表6に示す。実施例7−1〜実施例7−18および比較例7−1〜比較例7−2の放電容量維持率を表7に示す。実施例8−1〜実施例8−8および比較例1−1の放電容量維持率を表8に示す。実施例9−1〜実施例9−15および比較例4−1、比較例4−3、比較例4−5の放電容量維持率を表9に示す。実施例9−7、実施例10−1〜実施例10−4の放電容量維持率を表10に示す。実施例9−7、実施例11−1〜実施例11−4の放電容量維持率を表11に示す。実施例9−7、実施例12−1〜実施例12−3および比較例12−1〜比較例12−3の放電容量維持率を表12に示す。実施例13−1〜実施例13−5および比較例13−1の放電容量維持率を表13に示す。実施例14−1〜実施例14−5および比較例7−1の放電容量維持率を表14に示す。実施例15−1〜実施例15−5および比較例4−1の放電容量維持率を表15に示す。実施例16−1〜実施例16−5および比較例4−1の放電容量維持率を表16に示す。
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
Figure 0005169435
表1に示すように、実施例1−1〜実施例1−18では、比較例1−1および比較例1−2と比べて、放電容量維持率が高かった。すなわち、負極に炭素材料を用いた場合において、電解液に式(15)〜式(23)で表される化合物のうちの何れかを含むようにすることで、サイクル特性を向上できることがわかった。
表2に示すように、実施例2−1〜実施例2−5では、実施例1−9と比べて、放電容量維持率が高かった。すなわち、負極に炭素材料を用いる場合において、式(13)で表される化合物と、ビニレンカーボネート(VC)、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(DFEC)、無水コハク酸、2−スルホ安息香酸無水物またはプロペンスルトン(PRS)とを併用することでさらにサイクル特性を向上できることがわかった。
表3に示すように、実施例3−1〜実施例3−4では、実施例1−9と比べて、放電容量維持率が高かった。すなわち、負極に炭素材料を用いる場合において、式(19)で表される化合物と、電解質塩としてLiBF4 、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiTFSI)または1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミドリチウムとを併用することで、さらに、サイクル特性を向上できることがわかった。
表4に示すように、実施例4−1〜実施例4−9では、比較例4−1および比較例4−2と比べて、放電容量維持率が高かった。実施例4−10〜実施例4−27では、比較例4−3および比較例4−4と比べて、放電容量維持率が高かった。実施例4−28〜実施例4−36では、比較例4−5および比較例4−6と比べて、放電容量維持率が高かった。すなわち、負極にケイ素(Si)を構成元素として含む材料を用いる場合において、電解液に式(15)〜式(23)で表される化合物のうちの何れかを含むようにすることで、サイクル特性を向上できることがわかった。
表5に示すように、実施例5−1〜実施例5−4では、実施例4−18と比べて、放電容量維持率が高かった。すなわち、負極にケイ素(Si)を構成元素として含む材料を用いる場合において、電解液に式(19)で表される化合物と、無水コハク酸または2−スルホ安息香酸無水物またはプロペンスルトン(PRS)とを併用することでさらにサイクル特性を向上できることがわかった。
表6に示すように、実施例6−1〜実施例6−4では、実施例4−18と比べて、放電容量維持率がほぼ同等であった。すなわち、負極にケイ素(Si)を構成元素として含む材料を用いる場合において、式(19)で表される化合物と、電解質塩としてLiBF4 、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiTFSI)または1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミドリチウムとを、サイクル特性を劣化することなく併用できることがわかった。
表7に示すように、実施例7−1〜実施例7−18では、比較例7−1および比較例7−2と比べて、放電容量維持率が高かった。すなわち、負極にスズ(Sn)を構成元素として含む材料を用いる場合において、電解液に、式(15)〜式(23)で表される化合物のうちの何れかを含むようにすることで、サイクル特性を向上できることがわかった。
また、表1、表4、表7に示すように、負極に炭素材料を用いた場合より、負極にケイ素(Si)を構成元素として含む材料または負極にスズ(Sn)を構成元素として含む材料を用いた場合のほうが、サイクル特性がより劣化する傾向にあった。すなわち、負極にケイ素(Si)を構成元素として含む材料または負極にスズ(Sn)を構成元素として含む材料を用いた場合に、式(15)〜式(23)で表される化合物のいずれかを含む電解液を用いることが、特に効果的であることがわかった。
なお、式(1)で表される化合物において、X=アミノ基である化合物や、X=ハロゲン基である化合物や、X=−OMであると共に、M=アルキルシリル基である化合物、M=水素(H)およびリチウム(Li)以外の長周期型周期表における1族元素である化合物またはM=長周期型周期表における2族元素である化合物を用いても、上述の実施例および比較例と同様の結果が得られる傾向にある。したがって、式(1)で表される化合物において、電解液に、X=アミノ基である化合物や、X=ハロゲン基である化合物や、X=−OMであると共に、M=アルキルシリル基である化合物、M=水素(H)およびリチウム(Li)以外の長周期型周期表における1族元素である化合物またはM=長周期型周期表における2族元素である化合物を含むようにすることで、サイクル特性を向上させることができることがわかる。
また、上述した実施例では、非水電解質として、非水電解液を用いる場合について説明したが、ゲル状の非水電解質を用いても同様の結果を得られる傾向にある。
表8に示すように、実施例8−1〜実施例8−5では、比較例1−1と比べて、放電容量維持率が高かった。すなわち、負極に炭素材料を用いた場合において、負極活物質層の表面に形成された被膜が式(19)〜式(22)、式(24)で表される化合物のうちの何れかを含むようにすることで、サイクル特性を向上できることがわかった。
表9に示すように、実施例9−1〜実施例9−5では、比較例4−1と比べて、放電容量維持率が高かった。実施例9−6〜実施例9−10では、比較例4−3と比べて、放電容量維持率が高かった。実施例9−11〜実施例9−15では、比較例4−5と比べて、放電容量維持率が高かった。すなわち、負極にケイ素(Si;蒸着法)を用いる場合において、負極活物質層の表面に形成された被膜が式(19)〜式(22)、式(24)で表される化合物のうちの何れかを含むようにすることで、サイクル特性を向上できることがわかった。
表10に示すように、実施例10−1〜実施例10−4では、実施例9−7と比べて、放電容量維持率が高かった。すなわち、負極にケイ素(Si;蒸着法)を用いる場合において、負極活物質層の表面に形成され、式(20)で表される化合物を含む被膜と、無水コハク酸、2−スルホ安息香酸無水物またはプロペンスルトン(PRS)を含む電解液とを併用することで、さらにサイクル特性を向上できることがわかった。
表11に示すように、実施例11−1〜実施例11−4では、実施例9−7と比べて、放電容量維持率がほぼ同等であった。すなわち、負極にケイ素(Si;蒸着法)を用いる場合において、負極活物質層の表面に形成され、式(20)で表される化合物を含む被膜と、電解質塩としてLiBF4 、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiTFSI)または1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミドリチウムを含む電解液とを併用することで、高いサイクル特性が保持できることがわかった。
表12に示すように実施例12−1では、比較例12−1と比べて、放電容量維持率が高かった。実施例12−2では、比較例12−2と比べて、放電容量維持率が高かった。実施例12−3では、比較例12−3と比べて、放電容量維持率が高かった。実施例12−1〜実施例12−3では、実施例9−7と比べて、放電容量維持率が高かった。すなわち、負極にケイ素(Si;蒸着法)を用いる場合において、負極活物質層の表面に形成され、式(20)で表される化合物を含む被膜と、負極活物質層が有する酸化物被膜または金属材料とを併用することで、さらにサイクル特性を向上できることがわかった。
表13に示すように、実施例13−1〜実施例13−5では、比較例13−1と比べて、放電容量維持率が高かった。すなわち、負極にケイ素(Si;焼結法)を用いた場合において、負極活物質層の表面に形成された被膜が式(19)〜式(22)、式(24)で表される化合物のうちの何れかを含むようにすることで、サイクル特性を向上できることがわかった。
表14に示すように、実施例14−1〜実施例14−5では、比較例7−1と比べて、放電容量維持率が高かった。すなわち、負極にスズ(Sn)を構成元素として含む材料を用いる場合において、負極活物質層の表面に形成された被膜が式(19)〜式(22)、式(24)で表される化合物のうちの何れかを含むようにすることで、サイクル特性を向上できることがわかった。
また、表8、表9、表13、表14に示すように、負極に炭素材料を用いた場合より、負極にケイ素(Si)を構成元素として含む材料または負極にスズ(Sn)を構成元素として含む材料を用いた場合のほうが、サイクル特性がより劣化する傾向にあった。すなわち、負極にケイ素(Si)を構成元素として含む材料または負極にスズ(Sn)を構成元素として含む材料を用いた場合に、式(19)〜式(22)、式(24)で表される化合物のうちの何れかを含む被膜が負極活物質層の表面に形成された負極を用いることが、特に効果的であることがわかった。
表15に示すように、実施例15−1〜実施例15−5では、比較例4−1と比べて、放電容量維持率が高かった。すなわち、負極にケイ素(Si;蒸着法)を用いる場合において、正極活物質層の表面に形成された被膜が式(19)〜式(22)、式(24)で表される化合物のうちの何れかを含むようにすることで、サイクル特性を向上できることがわかった。
表16に示すように、実施例16−1〜実施例16−5では、比較例4−1と比べて、放電容量維持率が高かった。すなわち、負極にケイ素(Si;蒸着法)を用いる場合において、セパレータの表面に形成された被膜が式(19)〜式(22)、式(24)で表される化合物のうちの何れかを含むようにすることで、サイクル特性を向上できることがわかった。
また、表4、表9、表15、表16に示すように、正極、負極、セパレータおよび電解液のうちの少なくとも1つが式(1)で表される化合物を含むようにすることで、サイクル特性が向上することがわかった。この場合には、式(1)で表される化合物のうちの何れかを含む被膜が負極活物質層の表面に形成された負極を用いることが、特に効果的であることがわかった。
なお、式(1)で表される化合物において、X=アミノ基である化合物や、X=ハロゲン基である化合物や、X=−OMであると共に、M=炭化水素基である化合物、M=リチウム(Li)以外の長周期型周期表における1族元素である化合物、M=マグネシウム(Mg)以外の長周期型周期表における2族元素である化合物またはM=アルキルシリル基である化合物を被膜に含ませて用いても、上述の実施例と同様の結果が得られる傾向にある。したがって、式(1)で表される化合物において、負極、正極およびセパレータのうちの少なくとも1つに、X=アミノ基である化合物や、X=ハロゲン基である化合物や、X=−OMであると共に、M=炭化水素基である化合物、M=リチウム(Li)以外の長周期型周期表における1族元素である化合物、M=マグネシウム(Mg)以外の長周期型周期表における2族元素である化合物またはM=アルキルシリル基である化合物を含むようにすることで、サイクル特性を向上させることができることがわかる。
この発明は、上述したこの発明の実施の形態および実施例に限定されるものでは無く、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えば、上述した実施の形態および実施例では、コイン型電池、円筒型電池、外装材にラミネートフィルムなどを用いた扁平型電池を例に挙げて説明したが、この発明はこれらに限定されるものではなく、例えば、角型電池など、様々な種類の形状や大きさにすることも可能である。
また、上述した実施の形態および実施例では、一例として、リチウムイオン二次電池を挙げて説明したが、他の二次電池にも適用することができる。他の二次電池としては、例えば、負極活物質として金属リチウムを用いたいわゆる金属リチウム二次電池、さらには、実用化が検討されているマグネシウム二次電池またはアルミニウム二次電池などが挙げられる。なお、この発明を金属リチウム二次電池に適用する場合には、正極、セパレータおよび非水電解質のうちの少なくとも1つが式(1)で表される化合物を含むこととなる。さらに、化学反応を伴う電池だけでなく、正極、負極または電解液を使用する電気二重層キャパシタなどの他の電気化学デバイスにも適用可能である。
さらに、非水電解質としては、イオン伝導性高分子を利用した高分子固体電解質、またはイオン伝導性無機材料を利用した無機固体電解質など用いてもよく、これらを単独または他の電解質と組み合わせて用いてもよい。高分子固体電解質に用いることができる高分子化合物としては、例えば、ポリエーテル、ポリエステル、ポリフォスファゼン、またはポリシロキサンなどが挙げられる。無機固体電解質としては、イオン伝導性セラミックス、イオン伝導性結晶、またはイオン伝導性ガラスなどが挙げられる。
この発明の第1の実施の形態による非水電解質を用いた非水電解質電池の第1の例の構成を表す断面図である。 この発明の第1の実施の形態による非水電解質を用いた非水電解質電池の第2の例の構成を表す断面図である。 図2に示した巻回電極体の一部を拡大して表す断面図である。 この発明の第1の実施の形態による非水電解質を用いた非水電解質電池の第3の例の構成を表す断面図である。 図4で示した巻回電極体のI−I線に沿った断面図である。 この発明の第2の実施の形態における負極の構成を表す断面図である。 図6に示した負極の他の構成を表す断面図である。 参考例の負極の構成を表す断面図である。 図6に示した負極の他の断面構造を表すSEM写真およびその模式図である。 図6に示した負極の他の断面構造を表すSEM写真およびその模式図である。 この発明の第3の実施の形態における正極の構成を表す断面図である。 この発明の第4の実施の形態におけるセパレータの構成を表す断面図である。
符号の説明
2・・・正極
2A・・・正極集電体
2B・・・正極活物質層
3・・・セパレータ
4・・・負極
4A・・・負極集電体
4B・・・負極活物質層
5・・・外装カップ
6・・・外装缶
7・・・ガスケット
11・・・電池缶
12、13・・・絶縁板
14・・・電池蓋
15・・・安全弁機構
15A・・・ディスク板
16・・・熱感抵抗素子
17・・・ガスケット
20・・・巻回電極体
21・・・正極
21A・・・正極集電体
21B・・・正極活物質層
22・・・負極
22A・・・負極集電体
22B・・・負極活物質層
23・・・セパレータ
24・・・センターピン
25・・・正極リード
26・・・負極リード
30・・・巻回電極体
31・・・正極リード
32・・・負極リード
33・・・正極
33A・・・正極集電体
33B・・・正極活物質層
34・・・負極
34A・・・負極集電体
34B・・・負極活物質層
35・・・セパレータ
36・・・電解質層
37・・・保護テープ
40・・・外装部材
41・・・密着フィルム
100・・・負極
101・・・負極集電体
102・・・負極活物質層
103・・・被膜
201・・・負極活物質粒子
202、203・・・酸化物含有膜
204、204A、204B・・・隙間
205・・・空隙
206・・・金属材料
300・・・正極
301・・・正極集電体
302・・・正極活物質層
303・・・被膜
400・・・セパレータ
401・・・微多孔性膜
402・・・被膜

Claims (16)

  1. セパレータを介して対向された正極および負極と、非水電解質と、を備え、
    上記正極、上記負極、上記セパレータおよび上記非水電解質のうちの少なくとも1つは、式(1)で表される化合物を含む
    二次電池。
    Figure 0005169435
    (R1〜R5は水素または置換基である。R1〜R5は同一であっても、異なっていてもよく、結合していてもよい。Xは−OM、アミノ基またはハロゲン基である。Mは長周期型周期表における1族元素もしくは2族元素、または炭化水素基もしくはアルキルシリル基である。n=0〜4である。)
  2. 上記式(1)で表される化合物は、式(2)で表される化合物である
    請求項1記載の二次電池。
    Figure 0005169435
    (R1〜R5は水素または置換基である。R1〜R5は同一であっても、異なっていてもよく、結合していてもよい。Xは−OM、アミノ基またはハロゲン基である。Mは長周期型周期表における1族元素もしくは2族元素、または炭化水素基もしくはアルキルシリル基である。)
  3. 上記式(1)で表される化合物は、式(3)、式(4)または式(5)で表される化合物である
    請求項1記載の二次電池。
    Figure 0005169435
    (R1〜R5は水素または置換基である。R1〜R5は同一であっても、異なっていてもよく、結合していてもよい。n=0〜4である。)
    Figure 0005169435
    (R1〜R5は水素または置換基である。R1〜R5は同一であっても、異なっていてもよく、結合していてもよい。n=0〜4である。)
    Figure 0005169435
    (R1〜R5は水素または置換基である。R1〜R5は同一であっても、異なっていてもよく、結合していてもよい。R6は炭化水素基である。n=0〜4である。)
  4. 上記式(1)で表される化合物は、式(6)、式(7)または式(8)で表される化合物である
    請求項1記載の二次電池。
    Figure 0005169435
    (R1〜R5は水素または置換基である。R1〜R5は同一であっても、異なっていてもよく、結合していてもよい。)
    Figure 0005169435
    (R1〜R5は水素または置換基である。R1〜R5は同一であっても、異なっていてもよく、結合していてもよい。)
    Figure 0005169435
    (R1〜R5は水素または置換基である。R1〜R5は同一であっても、異なっていてもよく、結合していてもよい。R6は炭化水素基である。)
  5. 上記非水電解質は、上記式(1)で表される化合物を含む
    請求項1記載の二次電池。
  6. 上記負極活物質層は、ケイ素(Si)およびスズ(Sn)のうちの少なくとも1種を構成元素として含む材料を有する
    請求項1記載の二次電池。
  7. 上記負極は、負極集電体に設けられた負極活物質層上に被膜を有し、
    上記被膜は、上記式(1)で表される化合物を含む
    請求項1記載の二次電池。
  8. 上記負極活物質層は、複数の負極活物質粒子を有すると共に、上記負極活物質粒子の表面を被覆する酸化物含有膜を有する
    請求項記載の二次電池。
  9. 上記酸化物含有膜は、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)およびスズ(Sn)のうちの少なくとも1種の酸化物を含む
    請求項記載の二次電池。
  10. 上記負極活物質層は、複数の負極活物質粒子を有すると共に、上記負極活物質粒子間の隙間に電極反応物質と合金化しない金属材料を有する
    請求項記載の二次電池。
  11. 上記金属材料は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)および銅(Cu)のうちの少なくとも1種である
    請求項10記載の二次電池。
  12. 上記正極は、正極集電体に設けられた正極活物質層上に被膜を有し、
    上記被膜は、式(1)で表される化合物を含む
    請求項1記載の二次電池。
  13. 上記セパレータは、その表面に被膜を有し、
    上記被膜は、上記式(1)で表される化合物を含む
    請求項1記載の二次電池。
  14. セパレータを介して対向された正極および負極と、非水電解質と、を備えた二次電池における
    上記正極、上記負極、上記セパレータおよび上記非水電解質のうちの少なくとも1つに式(1)で表される化合物を含ませる
    二次電池の製造方法。
    Figure 0005169435
    (R1〜R5は水素または置換基である。R1〜R5は同一であっても、異なっていてもよく、結合していてもよい。Xは−OM、アミノ基またはハロゲン基である。Mは長周期型周期表における1族元素もしくは2族元素、または炭化水素基もしくはアルキルシリル基である。n=0〜4である。)
  15. 上記正極は、正極集電体上に正極活物質層を有し、上記負極は、負極集電体上に負極活物質層を有し、
    上記式(1)で表される化合物を含有する溶液を用いて、上記正極活物質層、上記負極活物質層および上記セパレータのうちの少なくとも1つの表面に、上記式(1)で表される化合物を含む被膜を形成する
    請求項14記載の二次電池の製造方法。
  16. 上記式(1)で表される化合物を含有する溶液中に上記正極活物質層、上記負極活物質層および上記セパレータのうちの少なくとも1つを浸漬し、または上記式(1)で表される化合物を含有する溶液を上記正極活物質層、上記負極活物質層および上記セパレータのうちの少なくとも1つの表面に塗布する
    請求項15記載の二次電池の製造方法。
JP2008112041A 2008-02-14 2008-04-23 二次電池およびその製造方法 Expired - Fee Related JP5169435B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008112041A JP5169435B2 (ja) 2008-02-14 2008-04-23 二次電池およびその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008032724 2008-02-14
JP2008032724 2008-02-14
JP2008112041A JP5169435B2 (ja) 2008-02-14 2008-04-23 二次電池およびその製造方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2009218191A JP2009218191A (ja) 2009-09-24
JP2009218191A5 JP2009218191A5 (ja) 2011-05-12
JP5169435B2 true JP5169435B2 (ja) 2013-03-27

Family

ID=41189825

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008112041A Expired - Fee Related JP5169435B2 (ja) 2008-02-14 2008-04-23 二次電池およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5169435B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103370758A (zh) * 2011-02-17 2013-10-23 松下电器产业株式会社 电化学电容器
JP5583265B2 (ja) 2011-03-09 2014-09-03 パナソニック株式会社 端子付電池
CN103545123B (zh) * 2013-10-30 2016-06-22 中国第一汽车股份有限公司 一种兼具锌离子电池和超级电容器的混合储能器件
JP7115492B2 (ja) * 2017-10-16 2022-08-09 株式会社Gsユアサ 非水電解質二次電池

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0226010A (ja) * 1988-07-14 1990-01-29 Sanyo Electric Co Ltd 電解コンデンサ用電解液
JP2001307769A (ja) * 2000-04-19 2001-11-02 Mitsui Chemicals Inc リチウム電池用電解液およびそれを用いた二次電池
JP4900994B2 (ja) * 2000-09-06 2012-03-21 株式会社東芝 非水電解質二次電池
JP2002222663A (ja) * 2001-01-26 2002-08-09 Mitsubishi Chemicals Corp 電解液及び二次電池
JP2003163031A (ja) * 2001-09-12 2003-06-06 Daicel Chem Ind Ltd 電解液及び非水電気化学装置、並びにα−置換オキシ−γ−ブチロラクトン誘導体
JP2005322610A (ja) * 2004-04-05 2005-11-17 Mitsubishi Chemicals Corp リチウム二次電池
JP4573053B2 (ja) * 2006-05-23 2010-11-04 ソニー株式会社 負極および電池

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009218191A (ja) 2009-09-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5370630B2 (ja) リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池
US9583766B2 (en) Battery anode active material with fluorine resin coating
JP4501963B2 (ja) リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池
US8940439B2 (en) Secondary battery, electronic device, electric power tool, electrical vehicle, and electric power storage system
JP5382413B2 (ja) 二次電池用負極および二次電池
JP5521523B2 (ja) リチウムイオン二次電池、リチウムイオン二次電池用負極、電動工具、電気自動車および電力貯蔵システム
JP5278657B2 (ja) 二次電池および電子機器
JP2009129893A (ja) 負極、電池およびそれらの製造方法
US10403928B2 (en) Secondary battery, electronic device, electric power tool, electrical vehicle, and electric power storage system
US20120263994A1 (en) Lithium ion secondary battery, electronic device, electric power tool, electrical vehicle, and electric power storage system
JP5239473B2 (ja) 二次電池用電解液、二次電池および電子機器
JPWO2018221346A1 (ja) リチウムイオン二次電池
JP2011216406A (ja) 二次電池、二次電池用電解液、環状ポリエステル、電動工具、電気自動車および電力貯蔵システム
JP5181754B2 (ja) 二次電池用電解液、二次電池および電子機器
JP2009193696A (ja) 負極、二次電池およびそれらの製造方法
JP5463632B2 (ja) リチウムイオン二次電池用負極、リチウムイオン二次電池用正極、リチウムイオン二次電池および電子機器
JP5532559B2 (ja) リチウムイオン二次電池、リチウムイオン二次電池用負極、リチウムイオン二次電池用正極およびリチウムイオン二次電池用電解液
JP2011124123A (ja) 二次電池、二次電池用電解液、電動工具、電気自動車および電力貯蔵システム
JP4569639B2 (ja) 非水電解質二次電池用非水電解質およびこれを用いた非水電解質二次電池
JP5217536B2 (ja) 二次電池および電子機器
JP2009170146A (ja) 電解液および二次電池
JP5169435B2 (ja) 二次電池およびその製造方法
JP2010262801A (ja) 二次電池および電解質
JP2010010080A (ja) 負極、二次電池およびそれらの製造方法
JP2010102848A (ja) 負極、二次電池およびそれらの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110325

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110325

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20121128

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121204

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121217

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160111

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees