JP5169314B2 - 積層電子部品 - Google Patents

積層電子部品 Download PDF

Info

Publication number
JP5169314B2
JP5169314B2 JP2008049868A JP2008049868A JP5169314B2 JP 5169314 B2 JP5169314 B2 JP 5169314B2 JP 2008049868 A JP2008049868 A JP 2008049868A JP 2008049868 A JP2008049868 A JP 2008049868A JP 5169314 B2 JP5169314 B2 JP 5169314B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
external electrode
electronic component
internal electrode
internal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008049868A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009206433A (ja
Inventor
寿之 阿部
隆 楫野
朗 柿沼
和彦 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP2008049868A priority Critical patent/JP5169314B2/ja
Publication of JP2009206433A publication Critical patent/JP2009206433A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5169314B2 publication Critical patent/JP5169314B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Ceramic Capacitors (AREA)
  • Thermistors And Varistors (AREA)
  • Fixed Capacitors And Capacitor Manufacturing Machines (AREA)

Description

本発明は、セラミックスからなる素体と内部電極の積層構造を備える積層電子部品およびその製造方法に関する。
従来、サーミスタ、コンデンサ、インダクタ、LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)、バリスタやそれらの複合体からなる積層電子部品の内部電極材料としては、Ag、Ag−Pdなどが用いられてきた。しかしながら、これらの内部電極材料は高価であるため、より安価な材料である卑金属のNiが広く用いられるようになっている。他方、積層電子部品の外部電極材料としては、従来から導電性に優れ低温で焼成可能なAgが多用されており、例えば、このAgからなる外部電極(下地電極)上に、めっきによりNi層およびSn層からなる端子電極を形成して、積層電子部品を得る方法が広く行なわれている。
このような積層電子部品の1つであるPTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスタ(温度上昇に伴って抵抗値が上昇する正温度特性を有するサーミスタ)の製造技術として、例えば、特許文献1には、内部電極材料としてNi系金属を用い、外部電極材料としてAgを用いる技術が開示されている。
特開2001−31471号公報
しかし、上記従来のような電極材料を用いた場合、NiとAgとは、相互の固溶性が十分ではないため、内部電極と外部電極との接合が不十分となってしまい、これに起因して両者の接続抵抗(接触抵抗)が不都合な程度に上昇してしまうという問題がある。また、内部電極として、Ni以外にもCuやAlを主成分として用いる製造技術も検討されているが、これらのCuやAlも、Niと同様に、従来の外部電極材料であるAgとの良好な接合を形成することが困難な傾向にあるため、上述したNiと同様に、接合不十分による接続抵抗の上昇が生じてしまう。
かかる不都合を解消すべく、近年、Niに対して全率固溶するCuを外部電極として用いる技術が注目されている。ところが、Cuは比較的酸化されやすいため、例えば、Cuを含有する導電性ペーストを焼成して外部電極を形成する際には、還元雰囲気下で焼成する必要があり、製造コストが増大してしまうといった不都合がある。また、例えば、PTCサーミスタを製造する場合には、還元雰囲気下で焼成するとPTC特性が得られなくなってしまう。その焼成後に、セラミックス素体を酸化する工程を行ってもCuが酸化して抵抗が増大し素子の特性が大幅に劣化する。
そこで、本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、Ni、Cu、またはAlを主成分とする内部電極を用いた場合に、内部電極と外部電極との良好な接合を形成でき、両者の低抵抗接続を実現できる積層電子部品およびその製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく、外部電極の材料組成に着目して鋭意研究を行なった結果、金属成分としてNi、Cu、またはAlを主として含む内部電極との接続抵抗を極めて低く抑えることができる成分及び組成を見出し、かつ、外部電極の材料成分の分布状態について新たな知見を得たことにより、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明による積層電子部品は、主としてセラミックスからなる素体と、金属成分としてNi、Cu、またはAlを主として含み、かつ、素体内に設けられた少なくとも1つの内部電極とを有する積層体と、金属成分としてAgおよびZnを含み、かつ、内部電極に接続された外部電極とを備えており、外部電極のZnの一部が、内部電極と外部電極との接合部の少なくとも一部においてそれら内部電極と外部電極との間(界面)に介在するものである。
このような構成を有する積層電子部品では、外部電極中のAg、および、内部電極材料であるNi、Cu、またはAlの双方への良好な接合を形成可能なZnが、内部電極と外部電極との接合部位に介在している。これにより、Agは、Ni、CuおよびAlに対して接合性が低いものの、Znが両者の間に介在して言わば両者の接合材として機能することにより、内部電極と外部電極との間に空隙が発生することが防止される。その結果、内部電極と外部電極の接合密度および強度を高められ(接合面積が増大し)、両者の接続抵抗を十分に低下させることができる。
好ましくは、外部電極のZnの一部が、素体と内部電極との接合部位(界面)の少なくとも一部において素体と内部電極との間にも介在している。このように、積層体の内部においてNiとZnの接合が形成されることにより、両者の接合面積および機械的な接合強度(固着強度)を更に増大させることができる。これにより、内部電極と外部電極の接続抵抗の更なる低下および接合強度の更なる向上を実現することができる。
さらに、本発明による積層電子部品の製造方法は、本発明の積層電子部品を有効に製造するための方法であり、主としてセラミックスからなる素体内に、金属成分としてNi、Cu、またはAlを主として含む少なくとも1つの内部電極を設けて積層構造体を形成する工程と、積層構造体を焼成して積層体を形成する工程と、金属成分としてAgおよびZnを含む導電性ペーストを、積層体の内部電極と電気的に接続するように、積層体に塗布する工程と、導電性ペーストを焼成して外部電極を形成し、かつ、その焼成により、内部電極のZnの一部を、内部電極と外部電極との接合部位の少なくとも一部における内部電極と外部電極との間に介在させる工程とを有する。
このような方法では、導電性ペーストとしてAgおよびZnを含むものを用いてそれを焼成するので、焼成時にペースト中のZnが、外部電極に含まれるAgと内部電極との接合部に十分に且つ良好に拡散し、内部電極と外部電極との接合性が向上されるものと推定される。ただし、作用はこれに限定されない。また、導電性ペーストが、金属成分としてCuを含まないので、大気焼成が可能となる。これにより、焼成時の雰囲気制御が簡易になり、金属成分としてCuを含む場合に必要とされる還元雰囲気下での焼成が不要となる。またセラミック積層PTCのように還元雰囲気で特性が大幅に劣化する材料に対しても焼付法で信頼性の高い電極を安価に形成することが出来るようになる。
本発明の積層電子部品およびその製造方法によれば、外部電極または導電性ペーストの金属成分としてAg以外にZnが含まれており、そのZnの一部が、内部電極と外部電極との接合部位における両者の間に介在するように構成されているので、内部電極に含まれるNi、Cu、またはAlと、外部電極に含まれるAgとの良好な接合を形成でき、両者の接続抵抗を格別に低減することができる。また、本発明の積層電子部品の製造方法によれば、導電性ペーストの大気焼成によって外部電極を形成できるので、製造コストの増大を防止することもできる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、図面中、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。さらに、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。
<第1実施形態>
図1は、本発明による積層電子部品の第1実施形態の概略構造を示す断面図である。
積層電子部品1は、セラミックスからなる素体2と、素体2内に形成された複数の内部電極3とを含む積層体4を有するPTCサーミスタであり、換言すれば、素体2と内部電極3が積層された単位構造10を少なくとも1つ備えたものである。より具体的には、積層体4の一方の側面に露出した端部を有する内部電極3と、積層体4の他方の側面に露出した端部を有する内部電極3とが交互に積層されている。
積層体4の両側面には、それらの側面を覆うように外部電極5,5が設けられており、各外部電極5は、積層体4の一方の側面から露出した内部電極3の群、あるいは積層体4の他方の面から露出した内部電極3の群に電気的に接続されている。
ここで、図2は、積層電子部品1の外部電極5,5の外側に、さらに、めっきにより端子電極7,7が形成された構造を示す概略断面図である。これらの端子電極7,7と、例えば、配線基板上の電極とがはんだ等により接合される。各端子電極7は、例えば、外部電極5側から積層形成されたNi層7aおよびSn層7bを含む2層構造を有する。Ni層7aは、Sn層7bと外部電極5との接触を防止して、Snによる外部電極5の腐食を防止するバリアメタルとして機能するものであり、その厚さは例えば2μm程度である。また、Sn層7bは、はんだの濡れ性を向上させる機能を有するものであり、その厚さは例えば4μm程度とされる。
本実施形態のように積層電子部品1としてPTCサーミスタを作製する場合には、先述のとおり、素体2はセラミックス、具体的には、半導体セラミックスからなる必要があり、より具体的には、例えば、チタン酸バリウム系セラミックスからなるものである。このチタン酸バリウム系セラミックスにおいて、必要に応じて、Baの一部をCa、Sr、Pbなどで置換しても、あるいは、Tiの一部をSn、Zrなどで置換してもよい。また、チタン酸バリウム系半導体セラミックスを得るために添加するドナー元素としては、La、Y、Sm、Ce、Dy、Gd等の希土類元素や、Nb、Ta、Bi、Sb、W等の遷移元素を用いることができる。さらにかかるチタン酸バリウム系半導体セラミックスに、必要に応じてSiO2やMn等を適宜添加して用いてもよい。
このように素体2をチタン酸バリウム系半導体セラミックスで形成することにより、キュリー温度で電気抵抗が急上昇するというPTCサーミスタの特性(PTC特性)が良好に得られる。このようなPTCサーミスタの用途としては、過電流保護、定温度発熱体、過熱検知などが挙げられる。
素体2を形成するために用いられるチタン酸バリウム系セラミックス粉末の合成方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、水熱法、加水分解法、共沈法、固相法、ゾルゲル法等を用いることができ、必要に応じて仮焼が施されてもよい。
一方、内部電極3には、素体2との間での確実なオーミック接触を可能とする点から、Ni、Cu、またはAlを主成分とする材料が用いられ、これらの合金または複合材料であってもよく、低温焼成可能な素体2を用いることにより、Ni(融点:1450℃)に比べて融点の低いCu(融点1083℃)およびAl(融点660℃)を用いることができる。
他方、外部電極5は、例えば、積層体4の側面への導電性ペーストの塗布および焼成により得られる。外部電極5を形成するための導電性ペーストとしては、主として、ガラス粉末と、有機ビヒクル(バインダー)と、金属粉末とを含むものが挙げられ、導電性ペーストの焼成により、有機ビヒクルは揮散し、最終的にガラス成分および金属成分を含む外部電極5が形成される。なお、導電性ペーストには、必要に応じて、粘度調整剤、無機結合剤、酸化剤等種々の添加剤を加えてもよい。
本実施形態において、外部電極5は、金属成分としてAg、および、Znを含むものであり、このZnが、内部電極3の構成成分であるNi、Cu、またはAlと、外部電極5に含まれるAgとの接合部位に介在することにより、内部電極3と外部電極5との間の接合面積が増大され、これにより、接続抵抗を十分に低下させることができるとともに、内部電極3と外部電極5との機械的な接合強度をも高めることが可能となる。
ここで、外部電極5に含まれるZnの量は、Agに対して1〜60質量%、Agに対して10〜60質量%、より好ましくは、Agに対して20〜60質量%、更に好ましくはAgに対して20〜40質量%(Znの質量%=100×A/(A+B)ここでA:一定量のペーストに含まれるZnの重量、B:一定量のペーストに含まれるAgの重量)とされる。
この外部電極5におけるZnの含有量が、1質量%以上であると、外部電極に含まれるAgと内部電極との接合部位にZnが供給され、内部電極と外部電極との間に空隙が生じてしまうことが抑制され、これにより両者の接合密度及び強度が高められ(接合面積が増大し)、その結果、接続抵抗を十分に低減できる傾向にある。このZnの含有量が、10質量%以上、より好ましくは20質量%以上であれば、更に優れた接続抵抗の低減効果を得ることが可能となる。
一方、外部電極5におけるZnの含有量が、60質量%以下であると、外部電極5の表面にNi/Snからなる端子電極7をめっきするときに、めっき液による外部電極5の腐食を抑止できる傾向にあり、その結果、内部電極3と外部電極5との接続抵抗を十分に低く、かつ、両者の機械的な接続強度(固着強度)を十分に高く維持することができる。その含有量が、好ましくは、40質量%以下であると、その効果が一層高められ、その結果、内部電極3と外部電極5との固着強度をより一層向上できることが確認された。
さらに、図3は、FIB(Focused Ion Beam)装置を用いて観察されたZn含有の外部電極5とNi含有の内部電極3との接合部位の状態を示す拡大写真である。同図に示す接合部位における金属元素分布は、EDS(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)およびEPMA(Electron-Probe Microanalyzer)を用いて確認されており、それらの元素記号を図中に併記した。
図3に示されるとおり、内部電極3のNiと、外部電極5を構成するAgとの接合部位に、Znが、言わばNiおよび素体のセラミックス領域ならびにAg領域に画成された空隙(隙間)を埋めるように介在しており、Ni/Zn/Agの複合構造または積層構造が形成されており、両者の接合部位(すなわち、内部電極3と外部電極5の境界部)にこのようなZnの介在による金属の複合構造が形成されることにより、両者の電気的接続および機械的接合が確保されることが理解される。
さらに、図3より、内部電極3と外部電極5の接合部位の界面近傍以外の領域、すなわち、素体2、内部電極3、内部電極のボイド、および外部電極5のより深い内部にもZnが拡散しており、しかも、積層体4の内部において、Znが内部電極3のNiと素体2との界面にも行きわたるように介在していることが判明した。このように、積層体4の内部においてもNiとZnの接合が形成されることから、両者の接続面積および接合強度(固着強度)を更に一層増大させることができる。この結果、内部電極3と外部電極5の接続抵抗の低下および接合強度の更なる向上が実現される。
次に、上記の本実施形態に係る積層電子部品1の製造方法について、図4〜図8を参照して説明する。図4〜図8は、積層電子部品1を製造する手順の一例を示す工程図である。
まず、出発原料として、BaCO3、TiO2および硝酸Sm溶液を所定量混合し、純水およびジルコニアボールとともにポリエチレン製ポットに入れて5時間粉砕混合した後、混合液を蒸発乾燥させて、得られた混合粉を1100度で仮焼成する。
次に、仮焼粉に対して、再び、純水およびジルコニアボールを用いて、5〜30時間ボールミルによる粉砕を行なった後、蒸発乾燥を行い、チタン酸バリウム半導体セラミック粉末を得る。例えば、組成が(Ba0.9985Gd0.00150.995(Ti0.9985Nb0.0015)O3からなるチタン酸バリウム半導体セラミック粉末を得る。
次いで、得られた粉末に、有機溶剤、有機バインダおよび可塑剤等を添加して、セラミックスラリーとした後、ドクターブレード法により成形して、図4に示すシート状の素体2、いわゆるセラミックグリーンシートを得る。
さらに、図5に示すように、シート状の素体2上に、Ni、Cu、またはAlを金属成分として含有する導電性ペーストをスクリーン印刷することにより、内部電極3のパターンを形成する。
次に、図6に示すように、内部電極3が形成された複数の素体2と内部電極3が形成されていない複数の素体2とを交互に積層し、それを更に加圧して積層構造体40を得る。
それから、図7に示すように、積層構造体40を切断することにより個々の積層構造体41に分割する。切断後の積層構造体41の側面からは、内部電極3の端部が露出した状態とされている。
次に、積層構造体41を、大気中で脱バインダ処理した後、H2/N2=3/100の強還元雰囲気中において1300℃で2時間焼成を行い、焼結された積層体4を得る。その後、大気中において600℃〜1000℃の温度で1時間再酸化処理を施す。
次いで、図8に示すように、積層体4の側面に、Agと、Znを含む導電性ペーストを塗布し、大気中において600℃〜1000℃の温度で1時間〜数時間で焼成して外部電極5を形成する。
以降の工程としては、図2に示すように、外部電極5の表面に、電気めっきによりNi層7aおよびSn層7bを順次堆積させて端子電極7を形成する。例えば、Ni層7aの形成では、バレルめっき方式を採用し、ワット浴を用いてNiを2μm析出させる。また、Sn層7bの形成では、バレルめっき方式を採用し、中性錫めっき浴を用いて、Snを4μm析出させる。それから、端子電極7上または図示しない配線基板の電極上にはんだを形成し、そのはんだを溶融させて端子電極7と基板の電極とを電気的に接続する。
かかる積層電子部品1の製造方法によれば、大気雰囲気にて外部電極5用の導電性ペーストを焼成できる。これにより、還元雰囲気で焼成する場合に比べて、雰囲気制御が簡易になるので、製造コストを低下させることができる。また、前記のとおり、特に、PTCサーミスタを作製する際には、外部電極形成用の導電性ペーストを還元雰囲気で焼成すると、積層体がPTC特性を発現しなくなるが、本発明によれば、積層体4のPTC特性を維持しつつ外部電極5を形成することができる。
なお、上述したとおり、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更を加えることが可能である。素体2はセラミックスであればよく、半導体セラミックスである必要はない。例えば、積層電子部品1,9として積層セラミックコンデンサを作製する場合には、素体2は、絶縁性のセラミックスからなるものを用いることができる。さらに、内部電極3は、少なくとも1つ以上形成すればよい。またさらに、端子電極7は必ずしも必須ではない。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
上述した製造手順と同様にして、組成が(Ba0.9985Gd0.00150.995(Ti0.9985Nb0.0015)O3からなる素体2と、Niからなる複数の内部電極3を有する3.2mm×1.6mm×0.5mmサイズの積層体4を作製し、この積層体4の側面に、ZnおよびAgの含有割合が種々異なる導電性ペーストを塗布し、大気雰囲気中において600℃で焼成して外部電極5を形成することにより、本発明による積層電子部品としてのPTCサーミスタを得た。
(実施例2)
素体2としてPb(Zn1/3Nb2/30.1(Ti0.43Zr0.47)O3に副成分としてTa25を0.2質量%添加したものを用い、内部電極3としてCuからなるものを用い、外部電極5形成用の導電性ペーストにおけるZn量を、Agに対して40質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして本発明による積層電子部品としてのPTCサーミスタを得た。
(比較例1)
外部電極5形成用の導電性ペーストとして、Agに対してPdを30質量%含むものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして従来の積層電子部品としてのPTCサーミスタを得た。
(比較例2)
外部電極5形成用の導電性ペーストとして、Agに対してCuを30質量%含むものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして従来の積層電子部品としてのPTCサーミスタを得た。
(試験評価1)
実施例1で得られた種々のPTCサーミスタについて、めっき液への浸漬試験後のZn空孔率(%)および温度サイクル試験(ヒートショックテスト)での故障発生率(%)を測定した。めっき液への浸漬試験では、PTCサーミスタを50℃のワット浴に3時間浸漬し、めっき後のZn空孔率を、以下の式により算出した。
Zn空孔率=100×(浸漬試験前のPTCサーミスタ重量−浸漬試験後のPTCサーミスタ重量)/((外部電極形成後のPTCサーミスタ重量―外部電極形成前のPTCサーミスタ重量)×外部電極中のZnの含有割合)
また、温度サイクル試験では、温度範囲−40℃〜85℃で700サイクル実施する条件で、各PTCサーミスタにつき100個のサンプルを用いて試験を行なった。なお、温度サイクル試験では、室温での抵抗が試験実施前に比して30%上昇したチップを故障とみなした。
実施例1のPTCサーミスタにおける測定結果を表1にまとめて示す。表1において、Znの含有割合は、Agに対する質量%である。また、図9は、表1のデータをグラフ化したものである。図9において、Aは浸漬試験後のZnの空孔率(%)を示し、Bは温度サイクル試験での故障発生率(%)を示す。
表1および図9より、Znの含有割合が1質量%未満の場合には、温度サイクル試験での故障発生率が比較的高いことが確認された。これは、Zn量の不足により、内部電極3と外部電極5との接合部位に生じた空隙がZnで十分に充填されず、両者の接合面積が過度に少なくなってしまうことによるものと推定される。
逆に、Znの含有割合が60質量%を超過すると、空孔率が3%を超える程にめっき液による腐食が顕著となる傾向にあることが確認された。好ましくは、Znの含有割合が40質量%以下であれば、浸漬試験後の空孔率を1%未満に抑えることができることも判明した。
次に、導電性ペースト中のZnの含有割合が異なる外部電極5が形成された実施例1のPTCサーミスタについて、接触抵抗値および固着強度を測定した。
外部電極5の接触抵抗値は、以下のようにして測定した。まず、積層体4の側面に外部電極5を形成し、積層体4の表面をレジストで覆い端子電極7をめっき形成した後に、25℃での抵抗値R1を測定した。次に、比較参照のために同様にして作製した積層体4に、外部電極5の代わりにInGaを室温で塗布して25℃での抵抗値R2を測定した。そして、両者の差R1−R2を内部電極3と外部電極5との接触抵抗値として算出した。
また、固着強度は、外部電極5が形成されたPTCサーミスタを、標準ランド寸法のガラスエポキシ基板に鉛フリーはんだにてはんだ付けを行い、規格番号EIAJET−7403(表面実装部品の機会強度試験方法)に準じて測定した。
実施例1のPTCサーミスタについての接触抵抗値および固着強度の測定結果を表2にまとめて示す。
表2に示す結果より、良品の接触抵抗値を5Ωとすると、Znの含有割合が20質量%以上60質量%以下であると好ましいことが確認された。Znの含有割合が20質量%未満では、Zn量の不足により、内部電極3中のNiとZnとの接合面積が少なくなり、抵抗が増大してしまう傾向にあると推測される。また、Znの含有割合が60質量%を超えると、めっき液によるZnの腐食量が増大してしまい、その結果、内部電極3のNiとZnとの接合面積が減少してしまい、抵抗が増大する傾向にあると推測される。さらに、Znが60質量%を超えると、めっき液によるZnの侵食が顕著となり、固着強度が不都合な程度に低下してしまうこと、および、この固着強度の観点からは、Znの含有割合が40質量%以下であればより好適であることも確認された。
(試験評価2)
実施例2で得られたPTCサーミスタについて、外部電極5の接触抵抗値および固着強度を、上記の試験評価1と同様にして測定した。その結果、実施例2のPTCサーミスタの外部電極5の接触抵抗値は0.02Ωであり、固着強度は12Nであった。
(試験評価3)
比較例1及び2で得られた各PTCサーミスタについて、外部電極の接触抵抗値を、上記の試験評価1と同様にして測定した。その結果、比較例1のPTCサーミスタの外部電極の接触抵抗は2.2Ωであり、比較例2のPTCサーミスタの外部電極の接触抵抗値は35922Ωであった。
Agに対するZnの量を60%に固定して焼成温度を変えて内部電極と外部電極のAgを多く含む層との間に介在するZnを含む層の厚さを変化させて介在する層の厚さと接続抵抗の関係を調べた。焼成温度が高い程介在する層は厚くなり、焼成温度が600℃で0.1μm、770℃で1μmであった。
図10は、焼成温度が770℃のときの外部電極のAg層と内部電極のNi層との接合部位の状態を示す拡大写真である。図10に示す写真は、図3と同様にFIB装置を用いて観察されたものである。また、図10に示す接合部位における金属元素分布は、EDSおよびEPMAを用いて確認されており、それらの元素記号を図中に併記した。図11は、Ag層とNi層との間に介在するZn層の厚さと接続抵抗の関係を示す図である。
図11に示すように、介在する層が厚くなるほど接続抵抗は高くなる。これは介在するZnを含む層の比抵抗がある程度高いことによると考えられる。介在する層の好ましい厚さは0.1〜0.8μmであり、さらに好ましくは0.1μmから0.6μmである。
本発明は、サーミスタ、コンデンサ、インダクタ、LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)、バリスタ、それらの複合部品からなる積層電子部品等、および、それらを備える機器、装置、システム、設備等、ならびに、それらの製造に広く利用することができる。
本発明による積層電子部品の第1実施形態の概略構造を示す断面図である。 積層電子部品の外部電極の外側にめっきにより端子電極が形成された構造を示す概略断面図である。 内部電極と外部電極との接合部位の状態を示す拡大写真である。 積層電子部品を製造する手順の一例を示す工程図である。 積層電子部品を製造する手順の一例を示す工程図である。 積層電子部品を製造する手順の一例を示す工程図である。 積層電子部品を製造する手順の一例を示す工程図である。 積層電子部品を製造する手順の一例を示す工程図である。 Znの含有割合に対する、めっき後のZn空孔率および温度サイクル試験での故障発生率を示すグラフである。 焼成温度が770℃のときの接続部の断面写真を示す図である。 介在するZn層の厚さと接続抵抗の関係を示す図である。
符号の説明
1,9…積層電子部品、2…素体、3…内部電極、4…積層体(焼結体)、5…外部電極、7…端子電極、7a…Ni層、7b…Sn層、8…オーバーコート層、10…単位構造、40,41…積層構造体。

Claims (4)

  1. 主としてセラミックスからなる素体と、金属成分としてNi、Cu、またはAlを主として含み、かつ、前記素体内に設けられた少なくとも1つの内部電極と、を有する積層体と、
    金属成分としてAgを主として含む領域、および、金属成分としてZnを主としてむ領域を有する複合体であり、かつ、前記内部電極に接続された外部電極と、
    を備えており、
    前記外部電極の前記Znを主として含む領域の一部が、層状をなし、かつ、前記内部電極と前記外部電極との接合部位の少なくとも一部において前記内部電極と前記外部電極の前記Agを主として含む領域との間に介在する、
    積層電子部品。
  2. 前記内部電極と前記外部電極との接続部位に介在する層の厚さが0.1〜0.8μmである、
    請求項1記載の積層電子部品。
  3. 前記外部電極の前記Znを主として含む領域の一部が、前記素体と前記内部電極との接合部位の少なくとも一部において前記素体と前記内部電極との間に介在する、
    請求項1または2記載の積層電子部品。
  4. 当該積層電子部品が、PTCサーミスタである、
    請求項1〜3のいずれか1項記載の積層電子部品。
JP2008049868A 2008-02-29 2008-02-29 積層電子部品 Expired - Fee Related JP5169314B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008049868A JP5169314B2 (ja) 2008-02-29 2008-02-29 積層電子部品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008049868A JP5169314B2 (ja) 2008-02-29 2008-02-29 積層電子部品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009206433A JP2009206433A (ja) 2009-09-10
JP5169314B2 true JP5169314B2 (ja) 2013-03-27

Family

ID=41148384

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008049868A Expired - Fee Related JP5169314B2 (ja) 2008-02-29 2008-02-29 積層電子部品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5169314B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5452244B2 (ja) * 2010-01-19 2014-03-26 ナミックス株式会社 積層セラミック電子部品とその製造方法
WO2016042884A1 (ja) * 2014-09-19 2016-03-24 株式会社村田製作所 チップ型セラミック半導体電子部品

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02150007A (ja) * 1988-11-30 1990-06-08 Taiyo Yuden Co Ltd 積層磁器コンデンサ
JPH08264372A (ja) * 1995-03-17 1996-10-11 Taiyo Yuden Co Ltd 無電解メッキ膜付電子部品の製造方法
JP4618010B2 (ja) * 2005-06-09 2011-01-26 Tdk株式会社 セラミック電子部品の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009206433A (ja) 2009-09-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7379899B2 (ja) セラミック電子部品
US8339237B2 (en) Multilayer PTC thermistor
JP5971236B2 (ja) セラミック電子部品及びガラスペースト
JP5038950B2 (ja) 積層電子部品およびその製造方法
JP5142090B2 (ja) セラミック積層電子部品およびその製造方法
JP2008177611A (ja) 表面実装型負特性サーミスタ
JP2022136821A (ja) セラミック電子部品
CN115036135B (zh) 陶瓷电子部件
CN103247439A (zh) 陶瓷电子部件
JP2022136822A (ja) セラミック電子部品
JP2008130770A (ja) 電子部品及びその製造方法
US11823840B2 (en) Ceramic electronic device
JP5668429B2 (ja) 積層セラミック電子部品
JP5169314B2 (ja) 積層電子部品
JP2009206430A (ja) 積層電子部品およびその製造方法
JP2008124514A (ja) セラミック素子及びその製造方法
JP6777066B2 (ja) 積層電子部品
JP4380145B2 (ja) 導電ペースト及びセラミック電子部品の製造方法
JP3831537B2 (ja) 電子デバイスおよびその製造方法
JP7534987B2 (ja) セラミック電子部品
JP6231050B2 (ja) 複合電子部品
JP5212660B2 (ja) 積層型セラミックptc素子の製造方法
JP2021015925A (ja) 積層セラミックコンデンサ
JP4419487B2 (ja) 酸化物磁器組成物、セラミック多層基板およびセラミック電子部品
JP6020728B2 (ja) 導電性ペースト、セラミック電子部品およびセラミック電子部品の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100927

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120510

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120515

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120717

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121204

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121217

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5169314

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees