はじめに、本実施の形態から抽出され得る発明群を必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
手段1.複数種の作動制御用処理を実行する制御手段(主制御装置162)を備え、
当該制御手段により前記複数種の作動制御用処理が実行されることにより、作動が制御されるとともに遊技結果が予め定められた特典遊技結果となったことに基づいて特典が付与される遊技機において、
遊技機に対する異常行為として予め定められた特別異常行為の発生を検知する異常検知手段(磁気検知センサ105、フォトセンサ106、振動検知センサ107)を備え、
前記制御手段は、
前記異常検知手段の検知結果に基づいて、前記特別異常行為の発生を特定する異常特定手段(主制御装置162のCPU311における不正監視処理を実行する機能)と、
当該異常特定手段にて前記特別異常行為の発生が特定されたことに基づいて、前記複数種の作動制御用処理のうち少なくとも一部の処理についてその実行が規制されるようにする規制手段(主制御装置162のCPU311におけるステップS801の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
手段1の遊技機では、制御手段にて複数種の作動制御用処理が実行されることで、作動が制御されるとともに遊技結果が予め定められた特典遊技結果となったことに基づいて特典が付与される。この場合に、予め定められた特別異常行為が行われた場合には、上記複数種の作動制御用処理のうち少なくとも一部の処理についてその実行が規制される。これにより、特別異常行為が行われた場合には、その後、遊技が進行しないように規制することが可能となり、特別異常行為を行うことで不正に利益を得ようとする行為を阻止することが可能となる。
手段2.複数種の作動制御用処理を実行する制御手段(主制御装置162)を備え、
当該制御手段により前記複数種の作動制御用処理が実行されることにより、作動が制御されるとともに遊技結果が予め定められた特典遊技結果となったことに基づいて特典が付与される遊技機において、
遊技機に対する異常行為として予め定められた特別異常行為の発生を検知する異常検知手段(磁気検知センサ105、フォトセンサ106、振動検知センサ107)を備え、
前記制御手段は、
前記異常検知手段の検知結果に基づいて、前記特別異常行為の発生を特定する異常特定手段(主制御装置162のCPU311における不正監視処理を実行する機能)と、
当該異常特定手段にて前記特別異常行為の発生が特定されたことに基づいて、前記特典遊技結果が発生しないように又は当該特典遊技結果に対応した特典が付与されないように、前記複数種の作動制御用処理のうち少なくとも一部の処理についてその実行が規制されるようにする規制手段(主制御装置162のCPU311におけるステップS801の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
手段2によれば、制御手段にて複数種の作動制御用処理が実行されることで、作動が制御されるとともに遊技結果が予め定められた特典遊技結果となったことに基づいて特典が付与される。この場合に、予め定められた特別異常行為が行われた場合には、特典遊技結果が発生しないように又は当該特典遊技結果に対応した特典が付与されないように、上記複数種の作動制御用処理のうち少なくとも一部の処理についてその実行が規制される。これにより、特別異常行為を行うことで不正に利益を得ようとする行為を阻止することが可能となる。
手段3.手段1又は2において、遊技球が流下する遊技領域と、当該遊技領域に向けて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110)と、遊技球を発射させるべく操作される発射操作手段(遊技球発射ハンドル41)と、を備え、
前記特典遊技結果は、前記遊技領域に設けられた入球部(一般入賞口82、可変入賞装置83、作動口84)に遊技球が入球することであり、
前記制御手段は、前記複数種の作動制御用処理の一部の処理として、前記発射操作手段の操作に基づいて、前記遊技球発射手段による遊技球の発射を実行させるべく予め定められた発射制御処理を実行する発射制御処理実行手段(主制御装置162のCPU311における遊技球発射制御処理を実行する機能)を備えており、
前記規制手段は、前記異常特定手段にて前記特別異常行為の発生が特定されたことに基づいて、前記発射制御処理実行手段による前記発射制御処理の実行が規制されるようにすることを特徴とする遊技機。
手段3の遊技機では、発射操作手段が操作されたことに基づいて遊技領域に向けて遊技球が発射される。そして、遊技領域に設けられた入球部に遊技球が入球することに基づいて特典が付与される。当該構成において、特別異常行為が行われた場合には、制御手段における発射制御処理の実行が規制される。これにより、その後に遊技の続行が不可となり、遊技が進行しないように規制される。よって、特別異常行為を行うことで不正に利益を得ようとする行為を阻止することが可能となる。
手段4.手段1乃至3のいずれか1において、予め定められた特定状況の発生を検知する特定状況検知手段(入賞口センサ152、カウントセンサ153、作動口センサ154)を備え、
前記制御手段は、前記複数種の作動制御用処理の一部の処理として、前記特定状況検知手段から入力した入力情報を監視する入力監視処理を実行する入力監視処理実行手段(主制御装置162のCPU311における読み込み処理を実行する機能)を備えており、当該入力監視処理の結果に基づいて前記作動を制御するものであり、
前記規制手段は、前記異常特定手段にて前記特別異常行為の発生が特定されたことに基づいて、前記入力監視処理実行手段による前記入力監視処理の実行が規制されるようにすることを特徴とする遊技機。
手段4の遊技機では、特定状況検知手段の検知結果に基づいて作動が制御される。当該構成において、特別異常行為が行われた場合には、制御手段における入力監視処理の実行が規制される。これにより、その後に遊技が進行しないように規制することが可能となり、特別異常行為を行うことで不正に利益を得ようとする行為を阻止することが可能となる。
手段5.手段1乃至3のいずれか1において、遊技球が流下する遊技領域と、当該遊技領域に設けられ、遊技球が入球可能な入球部(一般入賞口82、可変入賞装置83、作動口84)と、を備え、
前記特典遊技結果は、前記入球部に遊技球が入球することであり、
前記入球部に遊技球が入球したことを検知する入球検知手段(入賞口センサ152、カウントセンサ153、作動口センサ154)を備え、
前記制御手段は、前記複数種の作動制御用処理の一部の処理として、前記入球検知手段から入力した入力情報を監視する入力監視処理を実行する入力監視処理実行手段(主制御装置162のCPU311における読み込み処理を実行する機能)を備えており、
前記規制手段は、前記異常特定手段にて前記特別異常行為の発生が特定されたことに基づいて、前記入力監視処理実行手段による前記入力監視処理の実行が規制されるようにすることを特徴とする遊技機。
手段5の遊技機では、入球部に遊技球が入球した場合、それが入球検知手段にて検知され、当該入球検知手段の検知結果に基づいて特典が付与される。当該構成において、特別異常行為が行われた場合には、制御手段における入力監視処理の実行が規制される。これにより、特別異常行為に基づいて入球部への入球が発生したとしても、その入球を無効化することが可能となり、特別異常行為を行うことで不正に利益を得ようとする行為を阻止することが可能となる。
手段6.手段1乃至5のいずれか1において、前記制御手段は、
前記複数種の作動制御用処理のうちの一部であって複数種の作動制御用処理を繰り返し実行する第1制御手段(主制御装置162のCPU311における通常処理を実行する機能、主制御装置162のCPU311におけるステップS1315〜ステップS1320の各処理を実行する機能)と、
当該第1制御手段にて前記一部の複数種の作動制御用処理が繰り返し実行されている状況において、前記複数種の作動制御用処理のうちの一部であって複数種の作動制御用処理を、前記第1制御手段による処理の実行に割込んで実行する第2制御手段(主制御装置162のCPU311におけるタイマ割込み処理を実行する機能)と、
を備えており、
前記規制手段は、前記異常特定手段にて前記特別異常行為の発生が特定されたことに基づいて、前記第2制御手段による割込みの発生が規制されるようにすることを特徴とする遊技機。
手段6によれば、特別異常行為が行われた場合には、制御手段における第2制御処理の実行が規制される。この第2制御処理では、基本的に、複数種の作動制御用処理のうちの一部であって複数種の作動制御用処理が実行される。したがって、第2制御処理の実行を規制することで、その後に遊技が進行しないように規制することが可能となり、特別異常行為を行うことで不正に利益を得ようとする行為を阻止することが可能となる。
手段7.手段6において、前記制御手段は、
前記複数種の作動制御用処理の一部の処理として、抽選処理を実行する抽選処理実行手段(主制御装置162のCPU311における始動入賞処理及び特定ランプ制御処理を実行する機能)と、
前記複数種の作動制御用処理の一部の処理として、前記抽選処理の抽選結果に基づいて、通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態に遊技状態を移行させる移行処理を実行する移行処理実行手段(主制御装置162のCPU311における大入賞口開閉処理を実行する機能)と、
前記複数種の作動制御用処理の一部の処理として、前記抽選処理を実行する上で用いられる所定の乱数情報を更新する更新処理を実行する更新処理実行手段(主制御装置162のCPU311における乱数初期値更新処理を実行する機能)と、
を備えており、
前記特典は、遊技状態が前記特別遊技状態に移行することであり、
前記第1制御手段は、前記更新処理実行手段を有しており、
前記規制手段は、前記異常特定手段にて前記特別異常行為の発生が特定されたとしても、前記更新処理実行手段による前記更新処理の実行を規制しないものであることを特徴とする遊技機。
手段7によれば、第2制御処理の実行が規制されている状況であっても、抽選処理を実行する上で用いられる所定の乱数情報の更新処理が実行される。抽選処理を実行する上で用いられる所定の乱数情報の更新処理は継続されることが好ましく、本構成によれば、当該更新処理を継続させることができる。
手段8.手段1乃至7のいずれか1において、外部電源から供給される電力に基づいて少なくとも前記制御手段に電力を供給する電入中電力供給手段(電源部321a)をさらに備えており、
前記制御手段は、前記複数種の作動制御用処理の一部の処理として、外部電源からの電力供給が遮断されることが特定されたことに基づいて予め定められた電断時処理を実行する電断時処理実行手段(主制御装置162のCPU311におけるステップS613〜ステップS616の処理などを実行する機能)を備え、当該電断時処理が実行された後に、前記外部電源からの電力供給が開始された場合には電断前の状態へ復帰する構成であり、
前記規制手段は、前記異常特定手段にて前記特別異常行為の発生が特定されたとしても、前記電断時処理実行手段による前記電断時処理の実行を規制しないものであることを特徴とする遊技機。
手段8の遊技機では、外部電源からの電力供給が遮断される場合には電断時処理が実行された後に、電力供給が開始された場合には電断前の状態へ復帰する。これにより、停電の発生時においてそれまでの状態が初期化されてしまわないようにすることが可能である。この場合に、複数種の作動制御用処理のうち少なくとも一部の処理についてその実行が規制されている状況であっても、電断時処理の実行が規制されていないため、外部電源からの電力供給が遮断される場合には通常通り電断時処理が実行される。これにより、電断前の状態への復帰を可能としたことによる上記効果を奏しつつ、特別異常行為を行うことで不正に利益を得ようとする行為を阻止することが可能となる。
手段9.手段8において、前記制御手段は、
前記複数種の作動制御用処理の一部の処理として、前記外部電源からの電力供給が遮断される場合に電断発生情報を前記制御手段の記憶手段に記憶させる電断発生記憶処理を実行する電断発生記憶処理実行手段(主制御装置162のCPU311におけるNMI割込み処理を実行する機能)と、
前記複数種の作動制御用処理の一部の処理として、前記記憶手段に前記電断発生情報が記憶されているか否かを判定する電断判定処理を実行する電断判定処理実行手段(主制御装置162のCPU311におけるステップS606の処理等を実行する機能)と、
を備え、
前記電断時処理実行手段は、前記電断判定処理実行手段による前記電断判定処理にて前記記憶手段に前記電断発生情報が記憶されていると判定された場合に前記電断時処理を実行するものであり、
さらに、前記制御手段は前記複数種の作動制御用処理のうちの少なくとも一部であって複数種の作動制御用処理を繰り返し実行する構成であって、前記電断判定処理実行手段による前記電断判定処理が当該繰り返し実行される複数種の作動制御用処理の一部の処理として実行されるものであり、
前記規制手段は、規制処理を実行することで前記規制を行うものであり、
当該規制手段による規制処理が前記繰り返し実行される複数種の作動制御用処理の一部の処理として実行されるものであるとともに、前記異常特定手段にて前記特別異常行為の発生が特定されたとしても、前記電断判定処理実行手段による前記電断判定処理の実行を規制しないものであることを特徴とする遊技機。
手段9の遊技機では、外部電源からの電力供給が遮断される場合には電断発生情報が制御手段の記憶手段に記憶される。そして、記憶手段に電断発生情報が記憶されていると判定された場合に電断時処理が実行される。また、電断判定処理は、繰り返し実行される複数種の作動制御用処理における一部の処理として実行される。これにより、電断判定処理が繰り返し行われ、外部電源からの電力供給が遮断された場合には電断時処理の実行が好適に開始される。
当該構成において、特別異常行為が行われた場合に規制するための規制処理が上記繰り返し実行される処理における一部の処理として実行される。また、規制処理が実行されたとしても電断判定処理の実行は規制されない。当該構成とすることにより、電断前の状態への復帰を可能としたことによる上記効果を奏しつつ、特別異常行為を行うことで不正に利益を得ようとする行為を阻止することを可能とした構成において、特別異常行為が行われ規制処理が実行される場合には、通常行われる電断判定処理に対して規制処理が一連の処理として実行されることとなる。例えば、これら規制処理と電断判定処理とが一連の処理として実行されない構成において、電断前の状態への復帰を可能としたことによる上記効果を奏しつつ、特別異常行為を行うことで不正に利益を得ようとする行為を阻止しようとすると、規制処理が含まれる一連の処理側に新たに電断判定処理を付加する必要が生じる。つまり、制御手段において電断判定処理がそれぞれ異なる複数の処理タイミングで実行されることとなる。これに対して、本構成によれば、通常行われる電断判定処理に対して規制処理が一連の処理として実行されることとなるため、上記のように制御手段において電断判定処理をそれぞれ異なる複数の処理タイミングで実行する必要がなくなり、制御手段の処理負荷が低減される。
手段10.手段1乃至9のいずれか1において、前記制御手段は、予め定められた規制解除条件が成立した場合に、前記規制手段による規制を解除する規制解除手段(主制御装置162のCPU311におけるステップS813及びステップS814の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする遊技機。
手段10によれば、特別異常行為が行われ上記複数種の作動制御用処理のうち少なくとも一部の処理についてその実行が規制されたとしても、予め定められた規制解除条件が成立した場合にはその規制が解除される。これにより、実際には特別異常行為が行われていないにも関わらず上記規制が行われた場合に、その規制された状態が解除されないまま継続してしまうことが防止される。
手段11.手段1乃至9のいずれか1において、遊技機背面側又は遊技機内部に解除操作手段(クリアスイッチ169)を備えており、
前記制御手段は、前記解除操作手段が操作されたことに基づいて、前記規制手段による規制を解除する規制解除手段(主制御装置162のCPU311におけるステップS813及びステップS814の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする遊技機。
手段11によれば、特別異常行為が行われ上記複数種の作動制御用処理のうち少なくとも一部の処理についてその実行が規制されたとしても、解除操作手段が操作されたことに基づいてその規制が解除される。これにより、実際には特別異常行為が行われていないにも関わらず上記規制が行われた場合に、その規制された状態を所望のタイミングで解除することができる。その一方、解除操作手段は遊技機背面側又は遊技機内部に設けられているため、遊技ホールの管理者等以外の者により当該解除操作手段が操作されてしまうことが抑制される。
手段12.手段1乃至9のいずれか1において、遊技機背面側又は遊技機内部に解除操作手段(クリアスイッチ169)を備えており、
前記制御手段は、
前記複数種の作動制御用処理を実行する上で用いられる情報を記憶する記憶手段(RAM313)と、
前記解除操作手段が操作されたことに基づいて、前記記憶手段に記憶されている情報を初期化する初期化実行手段(主制御装置162のCPU311におけるステップS512及びステップS513の処理を実行する機能)と、
前記解除操作手段が操作されたことに基づいて、前記規制手段による規制を解除する規制解除手段(主制御装置162のCPU311におけるステップS813及びステップS814の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
手段12によれば、解除操作手段が操作されたことに基づいて、記憶手段に記憶されている情報の初期化が実行される。この場合に、特別異常行為が行われ上記複数種の作動制御用処理のうち少なくとも一部の処理についてその実行が規制されたとしても、解除操作手段が操作されたことに基づいてその規制が解除される。これにより、実際には特別異常行為が行われていないにも関わらず上記規制が行われた場合に、その規制された状態を所望のタイミングで解除することができる。その一方、解除操作手段は遊技機背面側又は遊技機内部に設けられているため、遊技ホールの管理者等以外の者により当該解除操作手段が操作されてしまうことが抑制される。さらには、記憶手段の情報を初期化する場合に操作される解除操作手段が上記規制を解除する上での操作手段として兼用されるため、構成の簡素化を図りつつ、上記優れた効果を得ることができる。
手段13.手段12において、前記初期化実行手段は、前記解除操作手段が操作された状態で外部電源から遊技機への電力供給が開始されたことに基づいて前記記憶手段に記憶されている情報を初期化するとともに、前記外部電源からの電力供給が継続されている状況において前記解除操作手段の操作が開始されたとしても前記記憶手段に記憶されている情報の初期化を行わないものであり、
前記規制解除手段は、前記外部電源からの電力供給が継続されている状況において前記解除操作手段の操作が開始された場合に、前記規制手段による規制を解除するものであることを特徴とする遊技機。
手段13によれば、上記手段12の構成を備え、記憶手段の情報を初期化する場合に操作される解除操作手段を上記規制を解除する上での操作手段として兼用した構成において、上記規制の解除をすべく解除操作手段を操作した場合に記憶手段の初期化が実行されることはない。これにより、規制の解除後には、規制開始前の状態への復帰が可能となる。
手段14.手段11乃至13のいずれか1において、支持対象(外枠11)に対して開閉可能に支持され、開放状態となった場合に前記解除操作手段の操作を可能とする開閉体(本体枠13)を備えており、
前記規制解除手段は、前記開閉体が開放されている状況で前記解除操作手段が操作されたことに基づいて、前記規制手段による規制を解除するものであることを特徴とする遊技機。
手段14によれば、解除操作手段を操作する場合には、基本的に開閉体の開放操作を要する。しかしながら、不正行為者が規制状態の解除を不正に行おうとする場合、その解除操作が目立たないようにするために、開閉体を閉鎖した状態において針金などを解除操作手段側に侵入させて解除操作手段を操作することが想定される。この場合、当該事実を遊技ホール側において把握することができないとすると、上記のように規制を行うようにした効果が消失されてしまう。これに対して、開閉体が開放されている状況において解除操作手段が操作されたことに基づいて規制状態の解除を行うようにしたことにより、上記のような不正な解除操作を阻止することが可能となる。
なお、前記制御手段は、前記開閉体が開放状態であることを特定する開放特定手段を備えた構成とし、前記規制解除手段は、前記開放特定手段により前記開閉体が開放状態であることが特定されている状況で前記解除操作手段が操作されたことに基づいて、前記規制手段による規制を解除する構成としてもよい。
手段15.手段11乃至14のいずれか1において、前記制御手段は、前記複数種の作動制御用処理を実行する演算手段(CPU311)が搭載された制御基板(主制御基板301)と、当該制御基板を収容する基板ボックス(基板ボックス163)と、を備えており、
当該基板ボックスは、第1ケース体と第2ケース体とを備え、それら第1ケース体及び第2ケース体を分離させることで前記制御基板を露出させる構成であるとともに、それら第1ケース体及び第2ケース体を結合させる結合手段(封印部164)を備えており、
前記解除操作手段の操作部を前記基板ボックスの表面に設置するとともに、当該解除操作手段からの信号伝達部を前記基板ボックス内に収容したことを特徴とする遊技機。
手段15によれば、解除操作手段の操作部が制御手段における基板ボックスの表面に設置されているとともに、解除操作手段からの信号伝達部は基板ボックス内に収容されている。例えば、解除操作手段が制御手段以外に搭載されている又は解除操作手段からの信号伝達部が基板ボックス外に露出している構成では、解除操作手段から制御基板への信号経路に対して不正基板を介在させることにより、実際には解除操作手段が操作されていないにも関わらず、不正基板から解除操作手段が操作された旨の信号を出力させる行為が想定される。そうすると、規制状態の解除が解除操作手段の操作を介することなく行われてしまうおそれがある。これに対して、本手段における構成によれば、解除操作手段からの信号伝達部が基板ボックスに収容されており、基板ボックスには結合手段が設けられているため、上記不正基板を介在させる行為を阻止することが可能となる。
手段16.手段11乃至15のいずれか1において、前記規制解除手段は、前記解除操作手段が操作されている場合にその継続操作期間が予め定められた解除基準期間に達したことに基づいて、前記規制手段による規制を解除するものであることを特徴とする遊技機。
手段16によれば、規制解除手段の継続操作期間が解除基準期間に達することで規制状態を解除するようにした。これにより、実際には規制解除手段が操作されていないにも関わらず、ノイズなどの影響で制御手段に対して解除操作手段が操作された旨の信号が入力された場合に、規制状態が解除されないようにすることができる。
なお、「継続操作期間が予め定められた解除基準期間に達したことに基づいて、前記規制手段による規制を解除する」には、リアルタイマを用いて上記継続操作期間を計測する構成以外にも、以下の構成が含まれる。前記規制解除手段が、前記解除操作手段の操作状態を定期的に確認する確認手段を備えた構成においては、解除操作手段が操作されている状態であることを予め定められた解除基準回数確認されたことに基づいて規制手段による規制を解除する構成としてもよい。
手段17.手段1乃至16のいずれか1において、遊技機に対する行為として前記特別異常行為とは異なる所定行為の発生を検知する所定行為検知手段(前扉枠開放スイッチ78、本体枠開放スイッチ230)を備え、
前記制御手段は、
前記所定行為検知手段の検知結果に基づいて、前記所定行為の発生を特定する所定行為特定手段(主制御装置162のCPU311におけるステップS707の処理を実行する機能)と、
当該所定行為特定手段にて前記所定行為の発生が特定されたことに基づいて、予め定められた特別処理を実行する特別処理実行手段(主制御装置162のCPU311におけるステップS708の処理を実行する機能)と、
を備えており、
前記規制手段は、前記異常特定手段にて前記特別異常行為の発生が特定されたとしても、前記所定行為特定手段による所定行為特定処理の実行及び前記特別処理実行手段による前記特別処理の実行を規制しないものであることを特徴とする遊技機。
手段17によれば、特別異常行為が行われ、複数種の作動制御用処理のうち少なくとも一部の処理についてその実行が規制されている状況であっても、特別異常行為とは異なる所定行為が発生しているか否かの特定が行われ、所定行為が発生している場合には特別処理が実行される。例えば、規制状態において所定行為の発生の特定や特別処理が実行されない構成を想定すると、特別異常行為が行われた後に所定行為が行われたとしても、それに対処することができない。そうすると、当該状況において制御手段等への不正行為が行われてしまうことが懸念される。これに対して、本手段における構成によれば、このような不都合の発生を阻止することが可能となる。
なお、特別処理として、報知用処理を実行するようにしてもよく、この場合、所定行為が行われた場合にはその旨が報知されることとなる。
手段18.手段1乃至16のいずれか1において、支持対象(外枠11)に対して開閉可能に支持された開閉体(本体枠13)を備え、当該開閉体の背面側又は後方に前記制御手段が搭載されており、
当該制御手段は、
前記開閉体が開放状態であることを特定する開放特定手段(主制御装置162のCPU311におけるステップS707の処理を実行する機能)と、
当該開放特定手段にて前記開閉体が開放状態であることが特定されたことに基づいて、予め定められた開放報知用処理を実行する開放報知用処理実行手段(主制御装置162のCPU311におけるステップS708の処理を実行する機能)と、
を備えており、
前記規制手段は、前記異常特定手段にて前記特別異常行為の発生が特定されたとしても、前記開放特定手段による開放特定処理の実行及び前記開放報知用処理実行手段による前記開放報知用処理の実行を規制しないものであることを特徴とする遊技機。
手段18によれば、特別異常行為が行われ、複数種の作動制御用処理のうち少なくとも一部の処理についてその実行が規制されている状況であっても、開閉体が開放状態であるか否かの特定が行われ、開閉体が開放状態となった場合には開放報知用処理が実行される。例えば、規制状態において開閉体が開放状態であることの特定や開放報知用処理が実行されない構成を想定すると、特別異常行為が行われた後に開閉体が開放状態とされたとしても、それに対処することができない。そうすると、当該状況において制御手段等への不正行為が行われてしまうことが懸念される。これに対して、本手段における構成によれば、このような不都合の発生を阻止することが可能となる。
手段19.手段1乃至16のいずれか1において、前記制御手段及び遊技実行装置(遊技盤81)が搭載された遊技機本体(本体枠13)と、当該遊技機本体に対して開閉可能に支持されているとともに前記遊技実行装置における遊技の様子を遊技機前方から視認可能とする表示部(窓部21)を有する遊技機前面体(前扉枠14)とを備えており、
前記制御手段は、
前記遊技機前面体が開放状態であることを特定する前面開放特定手段(主制御装置162のCPU311におけるステップS702の処理を実行する機能)と、
当該前面開放特定手段にて前記遊技機前面体が開放状態であることが特定されたことに基づいて、予め定められた開放報知用処理を実行する開放報知用処理実行手段(主制御装置162のCPU311におけるステップS703の処理を実行する機能)と、
を備えており、
前記規制手段は、前記異常特定手段にて前記特別異常行為の発生が特定されたとしても、前記前面開放特定手段による開放特定処理の実行及び前記開放報知用処理実行手段による前記開放報知用処理の実行を規制しないものであることを特徴とする遊技機。
手段19によれば、特別異常行為が行われ、複数種の作動制御用処理のうち少なくとも一部の処理についてその実行が規制されている状況であっても、遊技機前面体が開放状態であるか否かの特定が行われ、遊技機前面体が開放状態となった場合には開放報知用処理が実行される。例えば、規制状態において遊技機前面体が開放状態であることの特定や開放報知用処理が実行されない構成を想定すると、特別異常行為が行われた後に遊技機前面体が開放状態とされたとしても、それに対処することができない。そうすると、当該状況において制御手段等への不正行為が行われてしまうことが懸念される。これに対して、本手段における構成によれば、このような不都合の発生を阻止することが可能となる。
手段20.手段1乃至19のいずれか1において、前記制御手段は、前記複数種の作動制御用処理を実行する上で用いられる情報を記憶するとともに自身に電力が供給されている間は情報の記憶保持を可能とする記憶手段(RAM313)を備えており、
外部電源から供給される電力に基づいて少なくとも前記制御手段に電力を供給する電入中電力供給手段(電源部321a)と、
前記外部電源からの電力供給が遮断されている状況において少なくとも前記記憶手段に電力を供給する電断中電力供給手段(データ記憶保持用コンデンサ321c)と、
を備えており、
前記異常特定手段は、前記特別異常行為の発生を特定した場合に前記記憶手段に異常特定情報を記憶させるものであり、
前記規制手段は、前記記憶手段に前記異常特定情報が記憶されていることを確認した場合に、前記複数種の作動制御用処理のうち少なくとも一部の処理についてその実行が規制されるようにするものであり、
さらに、当該規制手段は、前記外部電源からの電力供給が開始された場合、規制対象の処理の実行が開始されるよりも前のタイミングで、前記記憶手段に前記異常特定情報が記憶されているか否かを確認するとともに、当該異常特定情報が記憶されていることを確認した場合には前記規制対象の処理の実行が規制されるようにするものであることを特徴とする遊技機。
手段20の遊技機では、電源遮断時において制御手段の記憶手段に記憶されていた情報は電断中電力供給手段から電力が供給されている間は記憶保持される。また、特別異常行為が発生した場合には記憶手段に異常特定情報が記憶され、当該異常特定情報が記憶されていることにより、複数種の作動制御用処理のうち少なくとも一部の処理についてその実行が規制される。
この場合に、外部電源からの電力供給が開始された場合、規制対象の処理の実行が開始されるよりも前のタイミングで、記憶手段に異常特定情報が記憶されているか否かが確認されるとともに、異常特定情報が記憶されていることが確認された場合には規制対象の処理の実行が規制される。これにより、規制状態において電源が遮断されたとしても、その後に電源が投入された場合に、規制対象の処理が実行されるよりも前のタイミングで当該処理の実行が規制されるようにすることができる。よって、規制状態において、例えば不正行為者が意図的に電源遮断及び電源投入を行った場合であっても、その規制状態を維持させることが可能となる。
手段21.手段1乃至20のいずれか1において、前記異常特定手段にて前記特別異常行為の発生が特定されたことに基づいて、予め定められた異常報知用処理を実行する異常報知用処理実行手段(主制御装置162のCPU311におけるステップS802及びステップS812の処理を実行する機能)を備えており、
前記規制手段は、前記複数種の作動制御用処理のうち少なくとも一部の処理についてその実行が規制されるようにする場合、当該規制を前記異常報知用処理実行手段により前記異常報知用処理が実行されるよりも前のタイミングで開始するものであることを特徴とする遊技機。
手段21によれば、特別異常行為の発生が特定された場合には、異常報知用処理が実行されるため、当該特別異常行為が行われた事実を、遊技ホールの管理者等に知らせることが可能となる。この場合に、特別異常行為の発生が特定された場合には、異常報知用処理よりも優先して、複数種の作動制御用処理のうち少なくとも一部の処理についてその実行が規制されることとなる。これにより、不正に特典を得ようとする行為を極力早く阻止することが可能となる。
手段22.遊技球が流下する遊技領域と、
当該遊技領域に向けて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110)と、
遊技球を発射させるべく操作される発射操作手段(遊技球発射ハンドル41)と、
前記発射操作手段の操作に基づいて、前記遊技球発射手段による遊技球の発射を実行させるべく予め定められた発射制御処理を実行する発射制御処理実行手段(主制御装置162のCPU311における遊技球発射制御処理を実行する機能)と、
を備えており、
前記遊技領域に設けられた入球部(一般入賞口82、可変入賞装置83、作動口84)に遊技球が入球したことに基づいて、特典が付与される遊技機において、
遊技機に対する異常行為として予め定められた特別異常行為の発生を検知する異常検知手段(磁気検知センサ105、フォトセンサ106、振動検知センサ107)と、
当該異常検知手段にて前記特別異常行為の発生が検知されたことに基づいて、前記発射制御処理実行手段による前記発射制御処理の実行が規制されるようにする規制手段(主制御装置162のCPU311におけるステップS801の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
手段22の遊技機では、発射操作手段が操作されたことに基づいて遊技領域に向けて遊技球が発射される。そして、遊技領域に設けられた入球部に遊技球が入球することに基づいて特典が付与される。当該構成において、特別異常行為が行われた場合には、制御手段における発射制御処理の実行が規制される。これにより、その後に遊技の続行が不可となり、遊技が進行しないように規制される。よって、特別異常行為を行うことで不正に利益を得ようとする行為を阻止することが可能となる。
手段23.予め定められた特定状況の発生を検知する特定状況検知手段(入賞口センサ152、カウントセンサ153、作動口センサ154)と、
当該特定状況検知手段から入力した入力情報を監視する入力監視処理を実行する入力監視処理実行手段(主制御装置162のCPU311における読み込み処理を実行する機能)と、
を備えており、
当該入力監視処理実行手段による前記入力監視処理の結果に基づいて、作動が制御される遊技機において、
遊技機に対する異常行為として予め定められた特別異常行為の発生を検知する異常検知手段(磁気検知センサ105、フォトセンサ106、振動検知センサ107)と、
当該異常検知手段にて前記特別異常行為の発生が検知されたことに基づいて、前記入力監視処理実行手段による前記入力監視処理の実行が規制されるようにする規制手段(主制御装置162のCPU311におけるステップS801の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
手段23の遊技機では、特定状況検知手段の検知結果に基づいて作動が制御される。当該構成において、特別異常行為が行われた場合には、制御手段における入力監視処理の実行が規制される。これにより、その後に遊技が進行しないように規制することが可能となり、特別異常行為を行うことで不正に利益を得ようとする行為を阻止することが可能となる。
手段24.複数種の作動制御用処理を実行する制御手段(主制御装置162)を備え、
当該制御手段により前記複数種の作動制御用処理が実行されることにより、作動が制御されるとともに遊技結果が予め定められた特典遊技結果となったことに基づいて特典が付与される遊技機において、
遊技機に対する行為として予め定められた特別行為の発生を検知する特別行為検知手段(磁気検知センサ105、フォトセンサ106、振動検知センサ107)を備え、
前記制御手段は、
前記特別行為検知手段の検知結果に基づいて、前記特別行為の発生を特定する特別行為特定手段(主制御装置162のCPU311における不正監視処理を実行する機能)と、
当該特別行為特定手段にて前記特別行為の発生が特定されたことに基づいて、前記特典遊技結果が発生しないように又は当該特典遊技結果に対応した特典が付与されないように、前記複数種の作動制御用処理のうち少なくとも一部の処理についてその実行が規制されるようにする規制手段(主制御装置162のCPU311におけるステップS801の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
手段24によれば、制御手段にて複数種の作動制御用処理が実行されることで、作動が制御されるとともに遊技結果が予め定められた特典遊技結果となったことに基づいて特典が付与される。この場合に、予め定められた特別行為が行われた場合には、特典遊技結果が発生しないように又は当該特典遊技結果に対応した特典が付与されないように、上記複数種の作動制御用処理のうち少なくとも一部の処理についてその実行が規制される。これにより、特別行為を行うことで不正に利益を得ようとする行為を阻止することが可能となる。
以下に、以上の各手段を適用し得る各種遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル41)と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110)と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路(内,外レール部101,102)と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の入球部(各種スイッチ152〜154)に遊技球が入球した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:複数の絵柄を可変表示させる絵柄表示装置を備え、始動操作手段の操作に起因して前記複数の絵柄の可変表示が開始され、停止操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより前記複数の絵柄の可変表示が停止され、その停止後の絵柄に応じて遊技者に特典を付与する遊技機。
なお、上記各手段は以下の課題を解決可能である。
遊技機の一種であるパチンコ遊技機には、遊技球が流下する遊技領域を備え、遊技領域に設けられた入賞口に遊技球が入球することで所定数の遊技球が払い出されるものがある。また、遊技領域に設けられた入賞口のうち作動口への遊技球の入球に基づいて当否抽選を行い、当選結果であったことに基づいて、大入賞口の開放動作が繰り返し発生する特別遊技状態に移行するものがある。なお、当否抽選の結果は、遊技領域に設けられた表示装置などにて表示される。また、遊技領域に入球部が設けられているとともに、当該入球部への入球に基づいて内部空間が開放状態となり当該内部空間に設けられた有利口に遊技球が入球したことに基づいて特別遊技状態に移行するものもある。
ここで、上記遊技機においては、磁石を用いて遊技球を所望の箇所に入球させる行為や、遊技機を手で叩く等により振動を与えその振動により遊技球を所望の箇所に入球させる行為といった不正行為が想定される。これらの不正行為が行われると、遊技ホールは不利益を被ってしまうこととなる。
上記不正行為に対しては、例えば報知処理を実行することで、不正行為の発生を周囲や遊技ホール側の管理制御装置に知らせるようにする構成が考えられる。この場合、遊技ホールにとっては、上記不正行為を行った者に対して何らかの対処をすることができる。
しかしながら、報知処理を実行したとしても、それが遊技ホールの管理者等に気付かれないと、上記不正行為を行った者に対して対処することができない。また、報知処理を無効化させるような行為も考えられる。そうすると、上記不正行為を行った者に対して対処することができない。
なお、以上の問題はパチンコ遊技機に限定されることはなく、遊技結果が予め定められた特典遊技結果となったことに基づいて特典が付与される他の遊技機においても同様に発生する問題である。
(第1の実施の形態)
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の第1の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2及び図3はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図、図4はパチンコ機10の背面図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に対して前方に回動可能に取り付けられた遊技機主部(遊技機主体)12とを有する。外枠11は木製の板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。パチンコ機10は、外枠11を島設備に取り付け固定することにより、遊技ホールに設置される。
遊技機主部12は、ベース体としての本体枠(遊技機本体の一部)13と、その本体枠13の前方に配置される前扉枠(遊技機前面体)14と、本体枠13の後方に配置される裏パックユニット(遊技機本体の一部)15とを備えている。遊技機主部12のうち本体枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。詳細には、正面視で左側を回動基端(開閉基端)側とし右側を回動先端(開閉先端)側として本体枠13が前方へ回動可能とされている。
本体枠13には、図2に示すように、前扉枠14が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端(開閉基端)側とし右側を回動先端(開閉先端)側として前方へ回動可能とされている。また、本体枠13には、図3に示すように、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端(開閉基端)側とし右側を回動先端(開閉先端)側として後方へ回動可能とされている。
次に、前扉枠14について説明する。なお、以下の説明では、図1〜図3を参照するとともに、前扉枠14の背面の構成については図5を参照する。図5は、前扉枠14の背面図である。
前扉枠14は本体枠13の前面側全体を覆うようにして設けられている。前扉枠14には後述する遊技領域のほぼ全域を前方から視認することができるようにした窓部21が形成されている。窓部21は、略楕円形状をなし、透明性を有するガラス22が嵌め込まれている。窓部21の周囲には、各種ランプ等の発光手段が設けられている。例えば、窓部21の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状電飾部23が設けられている。環状電飾部23では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、環状電飾部23の中央であってパチンコ機10の最上部には所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ部24が設けられ、さらにその左右側方には賞球払出中に点灯する賞球ランプ部25が設けられている。また、左右の賞球ランプ部25に近接した位置には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部26が設けられている。
前扉枠14における窓部21の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部31と下側膨出部32とが上下に並設されている。上側膨出部31内側には上方に開口した上皿33が設けられており、下側膨出部32内側には同じく上方に開口した下皿34が設けられている。上皿33は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構側へ導くための機能を有する。また、下皿34は、上皿33内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。
下側膨出部32の右方には、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル41が設けられている。遊技球発射ハンドル41が操作されることにより、後述する遊技球発射機構から遊技球が発射される。
前扉枠14の背面には、図2及び図5に示すように、通路形成ユニット50が取り付けられている。通路形成ユニット50は、合成樹脂により成形されており、上皿33に通じる前扉側上皿通路51と、下皿34に通じる前扉側下皿通路52とが形成されている。通路形成ユニット50において、その上側隅部には後方に突出し上方に開放された受口部53が形成されており、当該受口部53を仕切壁54によって左右に仕切ることで前扉側上皿通路51と前扉側下皿通路52の入口部分とが形成されている。前扉側上皿通路51及び前扉側下皿通路52は上流側が後述する遊技球分配部に通じており、前扉側上皿通路51に入った遊技球は上皿33に導かれ、前扉側下皿通路52に入った遊技球は下皿34に導かれる。
前扉枠14の背面における回動基端側(図5の右側)には、その上端部及び下端部に突起軸61,62が設けられている。これら突起軸61,62は本体枠13に対する組付機構を構成する。また、前扉枠14の背面における回動先端側(図5の左側)には、図2に示すように、後方に延びる鉤金具63が上下方向に複数並設されている。これら鉤金具63は本体枠13に対する施錠機構を構成する。
次に、本体枠13について詳細に説明する。図6は本体枠13の正面図である。
本体枠13は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース71を主体に構成されている。樹脂ベース71の前面における回動基端側(図6の左側)には、その上端部及び下端部に支持金具72,73が取り付けられている。図示は省略するが、支持金具72,73には軸孔が形成されており、それら軸孔に前扉枠14の突起軸61,62が挿入されることにより、本体枠13に対して前扉枠14が回動可能に支持されている。
樹脂ベース71の前面における回動先端側(図6の右側)には、前扉枠14の背面に設けられた鉤金具63を挿入するための挿入孔74がそれぞれ設けられている。本パチンコ機10では、本体枠13や前扉枠14を施錠状態とするための施錠装置が本体枠13の背面側に隠れて配置される構成となっている。したがって、鉤金具63が挿入孔74を介して施錠装置に係止されることによって、前扉枠14が本体枠13に対して開放不能に施錠される。
樹脂ベース71の右下隅部には、施錠装置の解錠操作を行うためのシリンダ錠75が設置されている。シリンダ錠75は施錠装置に一体化されており、シリンダ錠75の鍵穴に差し込んだキーを右に回すと本体枠13に対する前扉枠14の施錠が解かれるようになっている。なお、シリンダ錠75の鍵穴に差し込んだキーを左に回すと外枠11に対する本体枠13の施錠が解かれるようになっている。
樹脂ベース71の上部には、図2及び図6に示すように、前扉枠14が開放されているか否か(又は閉鎖されているか否か)を検知する前面体開閉検知手段としての前扉枠開放スイッチ78が設けられている。前扉枠開放スイッチ78は、樹脂ベース71の前面から出没可能なピンを有しており、本体枠13に対して前扉枠14を閉じた状態ではピンが押し込まれて前扉枠14の閉鎖が検知され、本体枠13に対して前扉枠14を開いた状態ではピンが突出位置に戻って前扉枠14の開放が検知されるようになっている。なお、前面体開閉検知手段としては、前扉枠14が開放されているか否かを検知することができるのであれば具体的な構成は任意であり、例えば、フォトセンサなどを用いてもよい。また、前扉枠開放スイッチ78の配置位置も任意であり、例えば、樹脂ベース71の回動先端側に配置してもよい。
樹脂ベース71の中央部には略楕円形状の窓孔76が形成されている。樹脂ベース71には遊技盤81が着脱可能に取り付けられている。遊技盤81は合板よりなり、遊技盤81の前面に形成された遊技領域が樹脂ベース71の窓孔76を通じて本体枠13の前面側に露出した状態となっている。
ここで、遊技盤81の構成を図7及び図8に基づいて説明する。
遊技盤81には、ルータ加工が施されることによって前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口82、可変入賞装置83及び可変表示ユニット86等がそれぞれ設けられている。その他に、遊技盤81の最下部にはアウト口87が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口87を通って遊技領域から排出される。また、遊技盤81には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘88が植設されていると共に、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
一般入賞口82は、左右にそれぞれ2個ずつ合計4個設けられている。一般入賞口82に遊技球が入ると、それが後述する検知センサにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。
可変表示ユニット86には、図柄を可変表示する図柄表示装置91が設けられているとともに、図柄表示装置91を囲むようにしてセンターフレーム92が配設されている。
センターフレーム92は、図柄表示装置91の上方及び左右の側方を囲む屋根ユニット171と、図柄表示装置91の下方に配設されたステージユニット172とを備えている。屋根ユニット171には、当該屋根ユニット171の上枠部に球入口173を有し当該球入口173に入った遊技球をステージユニット172上に導く一対のステージ誘導通路(ワープ通路)が形成されている。球入口173に遊技球が入ることにより、その遊技球がステージユニット172上に誘導される。但し、球入口173の周辺には複数の釘88が配設されており、球入口173への入球が頻繁に発生しないように構成されている。
ステージユニット172はその上面に、図8に示すように、遊技球が転動可能な転動面174を有している。転動面174は、遊技球2個分程度の幅を有し、中央部を中心として左右対称な滑らかな流線形状となっている。具体的には、転動面174は、中央部が上方に盛り上がった山部175となっており、その左右は下方に凹んだ谷部176となっており、また左右両端は中央部よりも上方に位置する。
谷部176は、前方に向けて下方に傾斜した形状をなしている。十分に減速された状態で谷部176上に到達した遊技球は、図8(a)に示すように、谷部176の傾斜により誘導されて、谷部176の前縁からステージユニット172の下方に排出される。
また、山部175の頂部には、前後方向に延び、前方に向けて下方に傾斜した形状をなす前方誘導路177と、前後方向に延び、後方に向けて下方に傾斜した形状をなす後方誘導路178とが一体形成されている。十分に減速された状態で前方誘導路177上に到達した遊技球は、図8(b)に示すように、当該前方誘導路177の傾斜により誘導されて、転動面174の前縁からステージユニット172の下方に排出される。一方、十分に減速された状態で後方誘導路178上に到達した遊技球は、図8(c)に示すように、当該後方誘導路178の傾斜により誘導されて、転動面174の後縁へ誘導される。そして、この誘導される位置には、作動口84が設けられている。
作動口84に遊技球が入ると、それが後述する検知センサにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。また、作動口84への入球に基づいて、後述する主制御装置にて大当たり状態(特別遊技状態)を発生させるか否かの抽選が行われる。この当選確率は50分の1となっている。
図柄表示装置91は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、作動口84への入賞をトリガとして図柄を可変表示する。図柄表示装置91は、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。図柄表示装置91には、例えば左、中及び右に並べて図柄が表示され、これらの図柄が上下方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の組合せの図柄が停止表示された場合には、特別遊技状態(以下、大当たりという)が発生することとなる。なお、図柄表示装置91としては液晶表示装置が設けられているが、これに限定されることはなく、有機EL表示装置、プラズマ表示装置及びCRTなどを用いてもよい。
センターフレーム92の上部には、特定ランプ部93及び保留ランプ部95が設けられている。特定ランプ部93では、作動口84への入賞をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には大当たりが発生する。また、保留ランプ部95は、図柄表示装置91及び特定ランプ部93に対応しており、遊技球が作動口84を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部95の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
可変入賞装置83は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。可変入賞装置83の開放態様としては、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として可変入賞装置83が繰り返し開放されるものが一般的である。
ここで、本パチンコ機10では遊技盤81に、図7に示すように、異常検知手段として、磁気検知センサ105と、フォトセンサ106と、振動検知センサ107とが設けられている。
磁気検知センサ105は、球入口173周辺における遊技盤81の背面側に設置されている。上記のとおり球入口173は作動口84が設けられたステージユニット172上への遊技球の誘導口となっているため、ガラス22の前方において球入口173周辺に磁石を近づけ、不正に球入口173へと遊技球を誘導させようとする行為が想定される。これに対して、磁気検知センサ105が設けられていることにより、上記磁石を用いた不正行為が行われた場合に、それを検知することが可能となる。磁気検知センサ105は後述する主制御装置と電気的に接続されており、磁気検知センサ105の検知結果は主制御装置に入力される。なお、磁気検知センサ105の位置は、上記のものに限定されることはなく、例えば、上記磁石を用いて一般入賞口82への入賞を不正に行わせようとする不正行為を抑制すべく、一般入賞口82周辺に磁気検知センサ105を配置してもよい。
フォトセンサ106は、球入口173周辺における遊技盤81の前面側に設置されている。上記のように磁石を用いた不正行為が行われる場合、その行為を磁気検知センサ105では検知できないことが考えられる。これに対して、フォトセンサ106が設けられていることにより、球入口173周辺に相当するガラス22の前方において所定期間に亘って手などが待機された場合に、それを検知することが可能となる。フォトセンサ106は後述する主制御装置と電気的に接続されており、フォトセンサ106の検知結果は主制御装置に入力される。なお、フォトセンサ106に代えて、測距センサを用いてもよい。
振動検知センサ107は、遊技盤81の背面側に設置されている。上記のとおりステージユニット172の転動面174上を転動する遊技球は、基本的に十分に減速された状態で後方誘導路178上に到達することで、作動口84へ誘導される。この場合、前扉枠14を叩く等してパチンコ機10に振動を与えることにより、転動面174上を転動している遊技球を強引に作動口84に入れさせようとする行為が想定される。これに対して、振動検知センサ107が設けられていることにより、上記振動を与えることによる不正行為が行われた場合に、それを検知することが可能となる。振動検知センサ107は後述する主制御装置と電気的に接続されており、振動検知センサ107の検知結果は主制御装置に入力される。なお、振動検知センサ107の配置位置は上記のものに限定されることはなく、前扉枠14、樹脂ベース71又は裏パックユニット15に振動検知センサ107を配置してもよい。
遊技盤81には、内レール部101と外レール部102とが取り付けられており、これら内レール部101と外レール部102とにより誘導レールが構成され、遊技球発射機構から発射された遊技球が遊技領域の上部に案内されるようになっている。
遊技球発射機構110は、図6に示すように、樹脂ベース71における窓孔76の下方に取り付けられている。遊技球発射機構110は、電磁式のソレノイド111と、発射レール112と、球送り機構113とからなり、ソレノイド111への電気的な信号の入力により当該ソレノイド111の出力軸が伸縮方向に移動し、球送り機構113によって発射レール112上に置かれた遊技球を遊技領域に向けて打ち出す。
発射レール112と遊技盤81に取り付けられた内,外レール部101,102との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方には前扉枠14の通路形成ユニット50に形成されたファール球通路55が配設されている。したがって、仮に遊技球発射機構110から発射された遊技球が遊技領域の上部に到達せずに、内,外レール部101,102によって構成される誘導レールを逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路55内に入る。ファール球通路55は前扉側下皿通路52に通じており、ファール球通路55に入った遊技球は下皿34に排出される。
樹脂ベース71において発射レール112の左方には、樹脂ベース71を前後方向に貫通させて通路形成部121が設けられている。通路形成部121には本体側上皿通路122と本体側下皿通路123とが形成されている(図9参照)。本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123の上流側は、後述する遊技球分配部に通じている。また、通路形成部121の下方には前扉枠14に取り付けられた通路形成ユニット50の受口部53が入り込んでおり、本体側上皿通路122の下方には前扉側上皿通路51が配置され、本体側下皿通路123の下方には前扉側上皿通路51が配置されている。
樹脂ベース71において通路形成部121の下方には、図6に示すように、本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を開閉する開閉部材124が取り付けられている。開閉部材124はその下端に設けられた支軸125により前後方向に回動可能に支持されており、さらに本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を閉鎖する前方位置に付勢する図示しない付勢部材が設けられている。したがって、前扉枠14を本体枠13に対して開いた状態では開閉部材124が図示の如く起き上がり、本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を閉鎖する。これにより、本体側上皿通路122又は本体側下皿通路123に遊技球が貯留されている状態で前扉枠14を開放した場合、その貯留球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できる。これに対し、前扉枠14を閉じた状態では、前扉枠14の通路形成ユニット50に設けられた受口部53により付勢力に抗して開閉部材124が押し開けられる。この状態では、本体側上皿通路122と前扉側上皿通路51とが連通し、さらに本体側下皿通路123と前扉側下皿通路52とが連通している。
次に、本体枠13の背面構成について説明する。図9は本体枠13の背面図である。
樹脂ベース71の背面における回動先端側(図9の左側)には、施錠装置131が設けられており、シリンダ錠75におけるキー操作に対して施錠装置131が連動し、本体枠13及び前扉枠14の解錠が行われる。
樹脂ベース71の背面における回動基端側(図9の右側)には、軸受け金具132が取り付けられている。軸受け金具132には、上下に離間させて軸受け部133が形成されており、これら軸受け部133により本体枠13に対して裏パックユニット15が回動可能に取り付けられている。また、樹脂ベース71の背面には、裏パックユニット15を本体枠13に締結するための被締結孔134が設けられている。
樹脂ベース71の背面には、係止金具135が複数設けられており、これら係止金具135によって上述したように樹脂ベース71に対して遊技盤81が取り付けられている。ここで、遊技盤81の背面の構成を説明する。図10は遊技盤81を後方より見た斜視図、図11は遊技盤81から主制御装置ユニット160を取り外した状態を示す背面図である。
遊技盤81の中央に配置される可変表示ユニット86には、センターフレーム92を背後から覆う合成樹脂製のフレームカバー141が後方に突出させて設けられており、フレームカバー141に対して後側から上述した図柄表示装置91が取り付けられるとともに、その図柄表示装置91を駆動するための表示制御装置が取り付けられている(図示は省略)。これら図柄表示装置91及び表示制御装置は前後方向に重ねて配置され(図柄表示装置が前、表示制御装置が後)、さらにその後方に音声ランプ制御装置ユニット142が搭載されている。音声ランプ制御装置ユニット142は、音声ランプ制御装置143と、取付台144とを具備する構成となっており、取付台144上に音声ランプ制御装置143が装着されている。
音声ランプ制御装置143は、後述する主制御装置からの指示に従い音声やランプ表示、及び表示制御装置の制御を司る音声ランプ制御基板を具備しており、音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス145に収容されて構成されている。
遊技盤81の背面には、図11に示すように、可変表示ユニット86の下方に集合板ユニット150が設けられている。集合板ユニット150には、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための遊技球回収機構や、各種入賞口等への遊技球の入賞を検知するための入賞検知機構などが設けられている。
遊技球回収機構について説明すると、集合板ユニット150には、前記一般入賞口82、可変入賞装置83、作動口84の遊技盤開口部に対応して且つ下流側で1カ所に集合する回収通路151が形成されている。したがって、一般入賞口82等に入賞した遊技球は何れも回収通路151を介して遊技盤81の下方に集合する。遊技盤81の下方には後述する排出通路があり、回収通路151により遊技盤81の下方に集合した遊技球は排出通路内に導出される。なお、アウト口87も同様に排出通路に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球もアウト口87を介して排出通路内に導出される。
入賞検知機構について説明すると、集合板ユニット150には、遊技盤81表側の各一般入賞口82と対応する位置にそれぞれ入賞口スイッチ152a〜152dが設けられている。また、可変入賞装置83と対応する位置にカウントスイッチ153が設けられ、作動口84に対応する位置に作動口スイッチ154が設けられている。これらスイッチ152〜154により遊技球の入賞がそれぞれ検知される。
遊技盤81の背面には、集合板ユニット150を後側から覆うようにして主制御装置ユニット160が搭載されている。主制御装置ユニット160の構成について図12を用いて説明する。図12は主制御装置ユニット160の構成を示す斜視図である。
主制御装置ユニット160は、合成樹脂製の取付台161を有し、取付台161に主制御装置162が搭載されている。主制御装置162は、遊技の主たる制御を司る主制御基板と、電源を監視する停電監視基板とを具備しており、これら基板が透明性を有する基板ボックス163に収容されて構成されている。なお、この透明性は内部の基板及び当該基板に搭載された搭載部品が視認可能な程度となっている。
基板ボックス163は、略直方体形状のボックスベース(表ケース体)とこのボックスベースの開口部を覆うボックスカバー(裏ケース体)とを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としての封印部(カシメ)164によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス163が封印されている。封印部164は、基板ボックス163の長辺部に5つ設けられ、そのうち少なくとも一つが用いられて封印処理が行われる。
封印部164はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に結合する構成であれば任意の構成が適用できるが、ベース側の第1封印部(第1結合部)とカバー側の第2封印部(第2結合部)とを有し、これら第1封印部及び第2封印部に形成された長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に結合されるようになっている。封印部164による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、5つの封印部164のうち、少なくとも一つの長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主制御基板の不具合発生の際や主制御基板の検査の際など基板ボックス163を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部と他の封印部との連結部分を切断する。これにより、基板ボックス163のボックスベースとボックスカバーとが分離され、内部の主制御基板を取り出すことができる。その後、再度封印処理する場合は他の封印部の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス163の開封を行った旨の履歴(痕跡)を当該基板ボックス163に残しておけば、基板ボックス163を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
また、基板ボックス163には、図9に示すように、封印シール167が貼り付けられている。封印シール167はボックスベースとボックスカバーとの境界を跨ぐようにして貼り付けられており、一旦貼り付けた後に剥がすと、接着層が基板ボックス163側に残りその痕跡が残るとともに、その剥がした封印シール167は再貼り付け不可となる。
つまり、基板ボックス163は不正な開放を抑制するように結合構造(結合手段)が設けられているとともに、その結合構造により、基板ボックス163が開放された場合の痕跡を残す開放痕跡手段としての機能が果たされる。また、当該結合構造とは別に、基板ボックス163が開放された場合の痕跡を残す開放痕跡手段が設けられている。これにより、基板ボックス163の不正な開放が抑制され、基板ボックス163内の制御基板等に対する不正行為が行いづらくなっている。
基板ボックス163の一方の短辺部には、その側方に突出するようにして複数の結合片165が設けられている。これら結合片165は、取付台161に形成された複数の被結合片166と1対1で対応しており、結合片165と被結合片166とにより基板ボックス163と取付台161との間で封印処理が行われる。
また、主制御装置162にはクリアスイッチ169が設けられている。本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復電の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。したがって、例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、クリアスイッチ169を押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。また、本パチンコ機10では所定の不正を検知した場合に、それに対する不正特定状態の設定が行われることとなるが、その設定の解除を行う場合にもクリアスイッチ169が操作される。これについては、後に詳細に説明する。
ここで、クリアスイッチ169は押しボタン式となっており、押圧部が基板ボックス163の表面にて露出するように配置されている。また、クリアスイッチ169は基板ボックス163内に収容された停電監視基板と電気配線を通じて電気的に接続されているが、当該電気配線は基板ボックス163外に露出しておらず、当該基板ボックス163内に収容されている。なお、停電監視基板はクリアスイッチ169の電気信号を中継するだけであり、当該電気信号は最終的に主制御基板に入力される。この場合に、停電監視基板と主制御基板とを電気的に接続する電気配線も基板ボックス163内に収容されている。ちなみに、上記構成又は基板ボックス163内に停電監視基板が収容されていない構成において、クリアスイッチ169からの電気配線を主制御基板に直接接続するようにしてもよい。
例えば、クリアスイッチ169が主制御装置162以外に搭載されている又は上記電気配線が基板ボックス163外に露出している構成では、クリアスイッチ169から上記停電監視基板への信号経路に対して不正基板を介在させることにより、実際にはクリアスイッチ169が操作されていないにも関わらず、不正基板から操作検知信号を出力させる不正行為が想定される。そうすると、上記不正特定状態の設定の解除が、クリアスイッチ169の操作を介することなく行われてしまうおそれがある。これに対して、本パチンコ機10では、クリアスイッチ169からの電気配線が基板ボックス163内に収容されており、当該基板ボックス163には上記のとおり結合構造が設けられているため、上記不正基板を介在させる行為を阻止することが可能となる。また、基板ボックス163には上記のとおり開放痕跡手段が設けられていることにより、上記不正基板を介在させる行為を思い留まらせることが可能であるとともに、当該行為が行われた場合にはその発見を比較的容易に行うことが可能である。
なお、基板ボックス163に、結合の解除に際して痕跡が残ることとなる結合手段と、剥がす際に痕跡が残ることとなる封印シールとの両方を設けることは必須のことではなく、いずれか一方のみが設けられた構成としてもよい。例えば、封印シール167のみが設けられた構成においては、上記結合手段に代えて、着脱自在なネジなどを用いてもよい。
次に、裏パックユニット15について説明する。図13は裏パックユニット15の正面図、図14は裏パックユニット15の分解斜視図である。
裏パックユニット15は、裏パック201を備えており、当該裏パック201に対して、払出機構部202、排出通路盤203、及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。裏パック201は透明性を有する合成樹脂により成形されており、払出機構部202などが取り付けられるベース部211と、パチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部212とを有する。保護カバー部212は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット86を囲むのに十分な大きさを有する。
ベース部211には、その右上部に外部端子板213が設けられている。外部端子板213には、本体枠13の開放時に信号出力するための出力端子、前扉枠14の開放時に信号出力するための出力端子、大当たり中(特別遊技状態中)に信号出力するための出力端子、及び特定ランプ部(特定表示部)93における1遊技回分の発光色の切換表示が終了した場合に信号出力するための出力端子が設けられている。そして、これらの出力端子を通じて、遊技ホール側の管理制御装置(又はホールコンピュータ)に対してパチンコ機10側の状態に関する信号が出力される。
ここで、特定ランプ部93に対応した出力端子は、1遊技回が終了した場合にそれを示す信号出力を行う機能を有しているのであれば、発光色の切換表示が終了した場合に信号出力するものでなくてもよい。この場合に、1遊技回とは、作動口(抽選契機入球部)84への一の入賞に基づいて抽選が行われた場合に、その抽選結果を示す表示が開始されてから終了するまでのことをいう。
また、大当たり中に上記遊技回が開始されることはなく、基本的には、大当たり中の信号出力と、1遊技回が終了した場合の信号出力とが同時に起こることはない。但し、後述する不正発生が主制御装置にて特定された場合には、これら信号出力が同時に行われる。これにより、遊技ホール側の管理制御装置では、これら信号を同時に入力した場合、パチンコ機10側において不正が検知されていることが把握される。
つまり、外部端子板213には、同時に発生することのない第1状況と第2状況とに対して個別に第1出力端子と第2出力端子が設けられているとともに、上記第1状況及び第2状況のいずれでもない第3状況が発生した場合には、第1出力端子及び第2出力端子の両方から信号出力を行うようにしている。これにより、外部端子板213の端子数を少なく抑えることが可能となり、パチンコ機10のコスト低減が図られるとともに、遊技ホール側の管理制御装置においても入力端子数の削減が図られることに伴ってコストの削減が図られる。なお、上記第3状況を、上記のような不正を検知した状況に代えて、予め定められた異常を検知した状況としてもよい。
ベース部211には、外部端子板213よりも外側に、本体枠13が開放されているか否か(又は閉鎖されているか否か)を検知する本体開閉検知手段としての本体枠開放スイッチ230が設けられている。外枠11に対して本体枠13を閉じた状態では当該スイッチ230の金属接点が閉じて本体枠13の閉鎖が検知され、外枠11に対して本体枠13を開いた状態では金属接点が開いて本体枠13の開放が検知されるようになっている。なお、本体開閉検知手段としては、本体枠13が開放されているか否かを検知することができるのであれば具体的な構成は任意であり、例えば、フォトセンサなどを用いてもよい。また、本体枠開放スイッチ230の配置位置も任意であり、例えば、本体枠13側に設けてもよく、この場合、本体枠13の回動先端側に配置してもよい。
また、ベース部211にはパチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピン214が設けられており、掛止ピン214を本体枠13に設けられた前記軸受け部133に挿通させることで、裏パックユニット15が本体枠13に対して回動可能に支持されている。また、ベース部211には、本体枠13に設けられた被締結孔134に対して締結するための締結具215が設けられており、当該締結具215を被締結孔134に嵌め込むことで本体枠13に対して裏パックユニット15が固定されている。
ベース部211には、保護カバー部212を迂回するようにして払出機構部202が配設されている。すなわち、裏パック201の最上部には上方に開口したタンク221が設けられており、タンク221には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク221の下方には、下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール222が連結され、タンクレール222の下流側には上下方向に延びるケースレール223が連結されている。ケースレール223の最下流部には払出装置224が設けられている。払出装置224より払い出された遊技球は、当該払出装置224の下流側に設けられた図示しない払出通路を通じて、裏パック201のベース部211に設けられた遊技球分配部225に供給される。
遊技球分配部225は、払出装置224より払い出された遊技球を上皿33、下皿34又は後述する排出通路の何れかに振り分けるための機能を有し、内側の開口部226が上述した本体側上皿通路122及び前扉側上皿通路51を介して上皿33に通じ、中央の開口部227が本体側下皿通路123及び前扉側下皿通路52を介して下皿34に通じ、外側の開口部228が排出通路に通じるように形成されている。
払出機構部202には、裏パック基板229が設置されている。裏パック基板229には、例えば交流24ボルトの主電源が供給され、電源スイッチ229aの切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
ベース部211の下端部には、当該下端部を前後に挟むようにして排出通路盤203及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。排出通路盤203は、制御装置集合ユニット204と対向する面に後方に開放された排出通路231が形成されており、当該排出通路231の開放部は制御装置集合ユニット204によって塞がれている。排出通路231は、遊技ホールの島設備等へ遊技球を排出するように形成されており、上述した回収通路151等から排出通路231に導出された遊技球は当該排出通路231を通ることでパチンコ機10外部に排出される。
制御装置集合ユニット204は、横長形状をなす取付台241を有し、取付台241に払出制御装置242と電源及び発射制御装置243とが搭載されている。これら払出制御装置242と電源及び発射制御装置243とは、払出制御装置242がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
払出制御装置242は、基板ボックス244内に払出装置224を制御する払出制御基板が収容されている。なお、払出制御装置242から払出装置224への払出指令の信号は上述した裏パック基板229により中継される。また、払出制御装置242には状態復帰スイッチ245が設けられている。例えば、払出装置224における球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ245が押されると、球詰まりの解消が図られるようになっている。
電源及び発射制御装置243は、基板ボックス246内に電源及び発射制御基板が収容されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電力が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。
次に、パチンコ機10の電気的構成について、図15のブロック図に基づいて説明する。図15では、電力の供給ラインを二重線矢印で示し、信号ラインを実線矢印で示す。
主制御装置162には、主制御基板301と停電監視基板303とが内蔵されている。主制御基板301には、CPU311が搭載されている。
CPU311には、当該CPU311により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM312(不揮発性情報記憶手段)と、そのROM312内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM313(揮発性情報記憶手段)と、割込回路やタイマ回路、データ入出力回路などの各種回路が内蔵されている。なお、CPU311、ROM312及びRAM313がそれぞれ個別に1チップ化された構成としてもよい。
RAM313は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源及び発射制御装置243に設けられた電源及び発射制御基板321からデータ記憶保持用電力が供給されてデータが保持される構成となっている。
CPU311には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。CPU311の入力側には、主制御装置162に設けられた停電監視基板303、払出制御装置242に設けられた払出制御基板322及びその他スイッチ群などが接続されている。この場合に、停電監視基板303には電源及び発射制御基板321が接続されており、CPU311(主制御基板301)には停電監視基板303を介して電力が供給される。また、上記スイッチ群の一部として、磁気検知センサ105、フォトセンサ106及び振動検知センサ107の各検知結果(各検知信号)がCPU311に入力されるとともに、前扉枠開放スイッチ78及び本体枠開放スイッチ230の各検知結果(各検知信号)がCPU311に入力される。さらには、主制御装置162に設けられたクリアスイッチ169の操作検知結果(操作検知信号)がCPU311に入力される。
一方、CPU311の出力側には、停電監視基板303、払出制御基板322及び中継端子板323が接続されている。払出制御基板322には、賞球コマンドなどといった各種コマンドが出力される。中継端子板323を介して主制御基板301から音声ランプ制御装置143に設けられた音声ランプ制御基板324に対して各種コマンドなどが出力される。
停電監視基板303は、主制御基板301と電源及び発射制御基板321とを中継し、また電源及び発射制御基板321から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視する。そして、この電圧が22ボルト未満になると電源遮断の発生と判断し、主制御基板301に対して停電信号を出力する。主制御基板301では、この停電信号の入力を確認することにより、その確認結果に基づいて後述する停電時処理(電断時処理)を実行する。
払出制御基板322は、払出装置224により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU331は、そのCPU331により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM332と、ワークメモリ等として使用されるRAM333とを備えている。
払出制御基板322のRAM333は、主制御基板301のRAM313と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源及び発射制御基板321からデータ記憶保持用電力が供給されてデータが保持される構成となっている。
払出制御基板322のCPU331には、入出力ポートが設けられている。CPU331の入力側には、主制御基板301、電源及び発射制御基板321、及び裏パック基板229が接続されている。また、CPU331の出力側には、主制御基板301及び裏パック基板229が接続されている。
電源及び発射制御基板321は、電源部321aと発射制御部321bとを備えている。電源部321aは、例えば、遊技ホール等における商用電源(外部電源)に接続されている。そして、その商用電源から供給される外部電力に基づいて主制御基板301や払出制御基板322等に対して各々に必要な動作電力を生成するとともに、その生成した動作電力を二重線矢印で示す経路を通じて主制御基板301や払出制御基板322等に対して供給する。その概要としては、電源部321aは、裏パック接続基板229を介して供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動するための+12V電力、ロジック用の+5V電力などを生成し、これら+12V電力、+5V電力を主制御基板301や払出制御基板322等に対して供給する。
発射制御部321bは、遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作にしたがって遊技球発射機構110の発射制御を担うものであり、遊技球発射機構110は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。
また、電源及び発射制御基板321には、データ記憶保持用コンデンサ321cが搭載されている。データ記憶保持用コンデンサ321cは、電源部321aが接続されており、パチンコ機10の電源がON状態の場合には蓄電される。また、データ記憶保持用コンデンサ321cは主制御基板301におけるCPU311のVBB端子に接続されており、パチンコ機10の電源がOFF状態の場合や商用電源における停電発生時等といった電源遮断状態では、データ記憶保持用コンデンサ321cから放電されRAM313に対してデータ記憶保持用電力が供給される。よって、かかる状況であっても、データ記憶保持用コンデンサ321cからデータ記憶保持用電力が供給されている間はRAM313に記憶されたデータが消去されることなく保持される。ちなみに、データ記憶保持用コンデンサ321cの容量は比較的大きく確保されており、電源遮断前にRAM313に記憶されていた情報は所定の期間内(例えば、1日や2日)保持される。
なお、電源及び発射制御基板321には、上記データ記憶保持用コンデンサ321cとは異なる停電時処理用コンデンサが設けられている。電源及び発射制御基板321では、直流安定24ボルトの電源が22ボルト未満になった後においても、停電時処理用コンデンサから放電することにより、後述する停電時処理の実行に十分な時間の間、制御系の駆動電源である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。これにより、主制御基板301などは、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
音声ランプ制御基板324は、各種ランプ部23〜25やスピーカ部26、及び表示制御装置325を制御するものである。演算装置であるCPU341は、そのCPU341により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM342と、ワークメモリ等として使用されるRAM343とを備えている。
音声ランプ制御基板324のCPU341には入出力ポートが設けられている。CPU341の入力側には中継端子板323に中継されて主制御基板301が接続されており、主制御基板301から出力される各種コマンドに基づいて、各種ランプ部23〜25、スピーカ部26、及び表示制御装置325を制御する。表示制御装置325は、音声ランプ制御基板324から入力する表示コマンドに基づいて図柄表示装置91を制御する。
次に、図柄表示装置91の表示内容について、図16に基づいて説明する。
図柄表示装置91には、左・中・右の3つの図柄列が設定されている。各図柄列は、例えば「0」〜「9」の数字を各々付した主図柄と、例えば菱形状の絵図柄からなる副図柄とにより構成されている。各主図柄及び副図柄がそれぞれ第1図柄を構成している。各図柄列では、数字の昇順又は降順に主図柄が配列されると共に各主図柄の間に副図柄が配されている。すなわち、各図柄列には、10個の主図柄及び10個の副図柄の計20個の第1図柄が備えられている。そして、図柄表示装置91には、各図柄列毎に20個の第1図柄が周期性をもって上から下へとスクロールするように変動表示されるようになっている。図柄表示装置91には、各図柄列毎に上・中・下の3段の第1図柄が表示されるようになっている。従って、図柄表示装置91には、3段×3列の計9個の第1図柄が表示される。また、図柄表示装置91には、5つの有効ライン、すなわち上ラインL1、中ラインL2、下ラインL3、右上がりラインL4、左上がりラインL5が設定されている。そして、左図柄列→右図柄列→中図柄列の順に変動表示が停止し、その停止時にいずれかの有効ライン上に大当たり図柄の組合せ(本実施の形態では、同一の主図柄の組合せ)で揃えば大当たりとして大当たり動画が表示されるようになっている。
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。
本実施の形態では、主制御装置162内のCPU311は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり抽選、特定ランプ部93の発光色の設定や、図柄表示装置91の図柄表示の設定などを行うこととしており、具体的には、図17に示すように、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、確変大当たりや通常大当たり等の大当たり種別を判定する際に使用する大当たり種別カウンタC2と、図柄表示装置91が外れ変動する際のリーチ抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、図柄表示装置91の変動パターン選択に使用する第1変動種別カウンタCS1と、特定ランプ部93に表示される色の切り替えを行う期間を決定する第2変動種別カウンタCS2と、左列、中列及び右列の各外れ図柄の設定に使用する左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRとを用いることとしている。
このうち、カウンタC1〜C3,CINI,CS1,CS2は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。また、外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、CPU311内のRレジスタ(リフレッシュレジスタ)を用いてレジスタ値が加算され、結果的に数値がランダムに変化する構成となっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM313の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM313には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納バッファが設けられており、これらの各エリアには、作動口84への遊技球の入賞履歴に合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値が時系列的に格納されるようになっている。
各カウンタについて詳しくは、大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜99の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり99)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタである(値=0〜99)。大当たり乱数カウンタC1は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が作動口84に入賞したタイミングでRAM313の保留球格納バッファに格納される。大当たり乱数カウンタC1の値において大当たり状態となる乱数値は予め定められており、大当たり確率が50分の1となるように設定されている。具体的には、「7」と「87」とが大当たり状態となる乱数値となっている。
大当たり種別カウンタC2は、0〜49の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり49)に達した後0に戻る構成となっている。そして、本実施の形態では、大当たり種別カウンタC2によって、大当たりが終了した後に、確変状態とするか通常状態とするかを決定することとしている。大当たり種別カウンタC2は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が作動口84に入賞したタイミングでRAM313の保留球格納バッファに格納される。なお、確変状態では、大当たり確率が10分の1となるように大当たり乱数カウンタC1の値において大当たり状態となる乱数値が変更される。具体的には、「7」と「13」と「25」と「32」と「41」と「48」と「52」と「68」と「87」と「93」とが大当たり状態となる乱数値となっている。
リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本実施の形態では、リーチ乱数カウンタC3によって、リーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」と、同じくリーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」と、リーチ発生しない「完全外れ」とを抽選することとしている。リーチ乱数カウンタC3は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が作動口84に入賞したタイミングでRAM313の保留球格納バッファに格納される。
第1変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっており、第2変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。第1変動種別カウンタCS1によって、いわゆるノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等、第1図柄のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様といった図柄表示装置91の表示態様が決定され、第2変動種別カウンタCS2によって、特定ランプ部93に表示される色の切り替えを行う期間としての切替表示時間が決定される。また、この切替表示時間は、図柄表示装置91の図柄の変動時間に相当する。したがって、当該第2変動種別カウンタCS2によって、図柄表示装置91においてリーチが発生した後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄)が停止するまでの経過時間(言い換えれば、変動図柄数)などより細かな図柄変動態様も決定されることとなる。つまり、図柄表示装置91に関しては、これらの両変動種別カウンタCS1,CS2を組み合わせることで、変動パターンの多種多様化を容易に実現できる。両変動種別カウンタCS1,CS2は、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、特定ランプ部93に表示される色の切り替え開始時及び図柄表示装置91による第1図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して両変動種別カウンタCS1,CS2のバッファ値が取得される。
左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、大当たり抽選が外れとなった時に左列第1図柄、中列第1図柄、右列第1図柄の外れ停止図柄を決定するためのものであり、各列では主図柄及び副図柄の合わせて20の第1図柄の何れかが表示されることから、各々に20個(0〜19)のカウンタ値が用意されている。外れ図柄カウンタCLにより左図柄列の上・中・下段の各図柄が決定され、外れ図柄カウンタCMにより中図柄列の上・中・下段の各図柄が決定され、外れ図柄カウンタCRにより右図柄列の上・中・下段の各図柄が決定される。
本実施の形態では、CPU311に内蔵のRレジスタの数値を用いることにより各カウンタCL,CM,CRの値をランダムに更新する構成としている。すなわち、各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新時には、前回値にRレジスタの下位3ビットの値が加算され、その加算結果が最大値を超えた場合に20減算されて今回値が決定される。各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは更新時期が重ならないようにして通常処理内で更新され、それら外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが、RAM313の前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファの何れかに格納される。そして、第1図柄の変動開始時における変動パターン決定に際し、リーチ乱数カウンタC3の値に応じて前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファの何れかのバッファ値が取得される。
次に、主制御基板301のCPU311により実行される各制御処理を図18〜図25のフローチャート等を参照しながら説明する。かかるCPU311の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめにNMI割込み処理とタイマ割込み処理とを説明し、その後メイン処理を説明する。
図18は、NMI割込み処理であり、当該処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に実行される。すなわち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号が停電監視基板303からCPU311のNMI端子に出力され、CPU311は実行中の制御を中断してNMI割込み処理を開始する。NMI割込み処理では、ステップS101にてRAM313に設けられた停電フラグ格納エリア(停電情報記憶手段)に停電フラグ(停電情報)を格納し、本処理を終了する。その後、後述する通常処理にて停電フラグが格納されていることが確認されることで、停電時処理が実行される。
次に、タイマ割込み処理について図19のフローチャートを用いて説明する。
先ずステップS201では、読み込み処理を実行する。読み込み処理では、入賞口センサ152a〜152c、カウントセンサ153及び作動口センサ154等といった遊技球の入賞に関するセンサからの読み込みを実行する。当該読み込み処理では、いずれかのセンサ152〜154において遊技球を検知している場合に、払出制御基板322に出力するための賞球コマンドをセットする。また、カウントセンサ153において遊技球を検知している場合にはRAM313に設けられたカウントフラグ格納エリアにカウントフラグを格納するとともに、作動口センサ154において遊技球を検知している場合にはRAM313に設けられた作動口フラグ格納エリアに作動口フラグを格納する。
その後、ステップS202では、不正監視処理を実行する。ここで、不正監視処理について、図20のフローチャートを用いて説明する。
不正監視処理では、ステップS301にて、磁気検知センサ105がONとなっているか否かを判定する。具体的には、磁気検知センサ105から磁気の発生を検知した旨の検知信号を入力しているか否かを判定する。磁気検知センサ105がONとなっている場合、ガラス22の前方において球入口173周辺に磁石を近づけ、不正に球入口173へと遊技球を誘導させようとする行為が行われていることを意味する。なお、上記検知信号を継続して入力している入力継続期間を計測するようにし、その入力継続期間が予め定められた基準期間に達した場合に磁気検知センサ105がONとなっていると判定するようにしてもよい。
また、不正監視処理では、ステップS302にて、フォトセンサ106がONとなっているか否かを判定する。具体的には、フォトセンサ106から遮蔽物を検知した旨の検知信号を入力しているか否かを判定する。また、当該ステップS302では、上記検知信号を継続して入力している入力継続期間が計測され、その入力継続期間が予め定められた基準期間に達した場合にフォトセンサ106がONとなっていると判定する。フォトセンサ106がONとなっている場合、球入口173周辺に相当するガラス22の前方において手などが待機されていることを意味する。
また、不正監視処理では、ステップS303にて、振動検知センサ107がONとなっているか否かを判定する。具体的には、振動検知センサ107から振動を検知した旨の検知信号を入力しているか否かを判定する。振動検知センサ107がONとなっている場合、パチンコ機10に振動を与えることにより、転動面174上を転動している遊技球を強引に作動口84に入れさせようとする行為が行われていることを意味する。なお、上記検知信号を継続して入力している入力継続期間を計測するようにし、その入力継続期間が予め定められた基準期間に達した場合に振動検知センサ107がONとなっていると判定するようにしてもよい。
ステップS301、ステップS302及びステップS303の全てにおいて否定判定をした場合には、そのまま本不正監視処理を終了する。一方、ステップS301、ステップS302又はステップS303のいずれか1つにおいて肯定判定をした場合には、ステップS304に進む。
ステップS304では、RAM313に設けられた不正検知フラグ格納エリア(不正検知情報記憶手段)に不正検知フラグ(不正検知情報)を格納する。不正検知フラグが格納されることにより、CPU311において、上記磁石を用いた不正行為が行われたこと、及び上記振動を与える不正行為が行われたことを特定することが可能となり、後述する不正検知時用処理が実行されることとなる。ステップS304にて不正検知フラグを格納した後は、本不正監視処理を終了する。
タイマ割込み処理(図19)の説明に戻り、ステップS202にて不正監視処理を実行した後は、ステップS203にて、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では99)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM313の該当するエリアに格納する。
続くステップS204では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の更新を実行する。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態ではそれぞれ、99,49,238)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C3の更新値を、RAM313の該当するエリアに格納する。その後、ステップS205にて始動入賞処理を実行する。
始動入賞処理では、図21のフローチャートに示すように、先ずステップS401にて、RAM313の作動口フラグ格納エリアに作動口フラグが格納されているか否かを判定することにより、遊技球が作動口84に入賞(始動入賞)したか否かを判定する。遊技球が作動口84に入賞したと判定すると、続くステップS402において、特定ランプ部93及び図柄表示装置91の作動保留球数Nが上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判定する。作動口84への入賞があり、且つ作動保留球数N<4であることを条件にステップS403に進み、作動保留球数Nを1加算する。なお、ステップS403の処理後に作動口フラグを消去する。続くステップS404では、前記ステップS204で更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値を、RAM313の保留球格納エリアの空き記憶エリアのうち最初のエリアに格納する。そして、始動入賞処理の後、CPU311は本タイマ割込み処理を一旦終了する。
次に、電源投入時のリセットに伴い起動されるメイン処理について、図22のフローチャートを用いて説明する。
先ずステップS501では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、従側の制御基板(払出制御基板322等)が動作可能な状態になるのを待つために例えば1秒程度、ウェイト処理を実行する。続くステップS502では、RAM313のアクセスを許可する。
その後、ステップS503では、主制御装置162に設けたクリアスイッチ169がオンされているか否かを判定し、続くステップS504ではRAM313の停電フラグ格納エリアに停電フラグが格納されているか否かを判定する。また、ステップS505ではRAM判定値を算出し、続くステップS506では、そのRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわち記憶保持されたデータの有効性を判定する。RAM判定値は、例えばRAM313の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM313の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かにより記憶保持されたデータの有効性を判断することも可能である。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはクリアスイッチ169を押しながら電源が投入される。従って、クリアスイッチ169が押されていれば、ステップS511〜ステップS513の処理に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)により記憶保持されたデータの異常が確認された場合も同様にステップS511〜ステップS513の処理に移行する。
ステップS511では、従側の制御基板となる払出制御基板322等を初期化するために、払出初期化コマンド等を出力する。続くステップS512ではRAM313の使用領域を0にクリアし、ステップS513ではRAM313の初期化処理を実行する。その後、ステップS514にて割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。この割込み許可が設定されることにより、タイマ割込み処理の割込みが許可される。なお、NMI割込み処理については、割込み許可が設定されているか否かに関係なく、割込みが許可された状態となっている。
一方、クリアスイッチ169が押されていない場合には、停電フラグが格納されていること、及びRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、ステップS507〜ステップS510の復電処理に移行する。
ステップS507では、停電フラグ格納エリアに格納されている停電フラグをクリアする。その後、ステップS508にて従側の制御基板を電源遮断前の遊技状態に復帰させるための復電コマンドを出力する。
その後、ステップS509では、RAM313のコマンド出力フラグ格納エリア(出力済み情報記憶手段)にコマンド出力フラグ(出力済み情報)が格納されている場合に、そのコマンド出力フラグをクリアする。ここで、既に説明したように、CPU311では、磁気検知センサ105、フォトセンサ106及び振動検知センサ107の検知結果に基づいて、磁石を用いた不正行為が行われたこと又は振動を与える不正行為が行われたことが特定される。そして、これら不正行為が行われたことが特定された場合には、後述する不正検知時用処理において、遊技が進行しないように規制されるとともに、音声ランプ制御基板324に対して不正検知コマンドが出力される。音声ランプ制御基板324では当該不正検知コマンドを入力することで、予め定められた不正用報知を実行するように各種報知部を駆動制御する。この場合に、上記コマンド出力フラグは、上記不正行為が行われたことがCPU311にて特定され、さらにその特定された状態が解除されていない状況において、既に上記不正検知コマンドの出力が完了していることをCPU311にて特定するためのフラグである。
ステップS509にてコマンド出力フラグをクリアすることで、上記不正行為が行われたことがCPU311にて特定され、さらにその特定された状態が解除されていない状況において電源が遮断されていた場合には、再度、不正検知コマンドを出力するようにすることができる。音声ランプ制御基板324には、主制御基板301や払出制御基板322と異なり、パチンコ機10の電源が遮断されている状況においてデータ記憶保持用コンデンサ321cからデータ記憶保持用電力が供給されない。したがって、電源が立ち上げられた場合、音声ランプ制御基板324のCPU341においては電源遮断前の状態を把握することができない。つまり、不正用報知が実行されている状況において電源が遮断された場合、その後、電源が立ち上げられたとしても、そのままでは上記不正用報知が再開されない。これに対して、ステップS509の処理が実行されることにより、上記状況において電源が遮断されたとしても、再度、不正検知コマンドが出力され、不正用報知が再開されることとなる。
その後、ステップS510では、RAM313の不正検知フラグ格納エリアに不正検知フラグが格納されているか否かを判定する。不正検知フラグが格納されていない場合には、ステップS514にて割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。
一方、不正検知フラグが格納されている場合には、上記不正行為が行われたことがCPU311にて特定され、さらにその特定された状態が解除されていない状況において、電源が遮断されたことを意味する。この場合には、ステップS514の割込み許可の設定を行わず、さらには後述する通常処理におけるステップS601〜ステップS605の処理を実行することなく、ステップS606の処理に移行する。このステップS606の処理については、後に説明する。
タイマ割込み処理における各処理及び通常処理におけるステップS601〜ステップS606の各処理は、CPU311において遊技を進行させるべく実行される作動制御用処理に該当する。この場合に、ステップS510の処理を実行することで、上記不正行為が行われたことがCPU311にて特定され、さらにその特定された状態が解除されていない状況において電源が遮断され、その後に電源が立ち上げられた場合には、遊技が進行しないように規制することができる。
次に、通常処理について、図23のフローチャートを用いて説明する。この通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、ステップS601〜S607の処理が4msec周期の定期処理として実行され、その残余時間でステップS610,S611のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
通常処理において、ステップS601では、前回の処理で更新されたコマンド等の出力データを従側の各制御基板に出力する。具体的には、タイマ割込み処理(図19)の読み込み処理(ステップS201)において賞球コマンドがセットされている場合にはその賞球コマンドを払出制御基板322に対して出力する。また、図柄表示装置91による第1図柄の変動表示に際して停止図柄コマンド、変動態様コマンド等を音声ランプ制御基板324に出力する。
続く、ステップS602では、変動種別カウンタ及び外れ図柄カウンタの更新を実行する。具体的には、変動種別カウンタの更新については、両変動種別カウンタCS1,CS2を1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、両変動種別カウンタCS1,CS2の更新値を、RAM313の該当するバッファ領域に格納する。
また、外れ図柄カウンタの更新については、左図柄列、中図柄列及び右図柄列の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新を実行する。外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新処理では、左・中・右図柄列のいずれかの更新時期か否かを判定し、更新時期となった図柄列の外れ図柄カウンタCL,CM,CRを更新する。各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、重複することなく1回の通常処理で1つずつ順に更新され、通常処理を3回実行する毎に外れ図柄カウンタCL,CM,CRの1セット分が更新されるようになっている。そして、更新した外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが、前後外れリーチとなる外れリーチ図柄の組合せである場合、前後外れ以外リーチ図柄の組合せである場合、リーチとならない完全外れ図柄の組合せである場合には、その組合せがそれぞれに対応したバッファ内に格納される。なお、更新した外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組合せが大当たり図柄の組合せである場合には、そのまま更新処理を終了する。
外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新処理の後は、ステップS603にて、特定ランプ部93に表示される色の切り替えを行うための特定ランプ部制御処理を実行する。特定ランプ部制御処理では、大当たり判定や特定ランプ部93に配設されたLEDランプの光源スイッチのオンオフ制御などが行われる。また、特定ランプ部制御処理において、図柄表示装置91による第1図柄の変動表示の設定も行われる。
具体的には、大当たり乱数カウンタC1の値に基づいて大当たりか否かを判定し、さらに大当たり種別カウンタC2の値に基づいて大当たりの種類を決定する(いわゆる、確変大当たりか否かを決定する)。なお、この際、第1図柄における大当たり図柄の種類及び大当たり図柄の組合せの停止ラインも決定し、停止図柄コマンドとして設定する。また、大当たりが発生しないと判定された場合には、リーチ乱数カウンタC3の値に基づいて第1図柄における外れ図柄の組合せの態様を決定する。かかる場合に、上記外れ図柄カウンタ更新処理にて更新されバッファ内に格納された図柄の組合せを停止図柄コマンドとして設定する。さらに、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいて、特定ランプ部93に表示される色の切替表示時間、及び第1図柄の変動表示時間を決定する。さらに、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいて第1図柄におけるリーチ種別やその大まかな図柄変動態様を決定し、変動態様コマンドとして設定する。なお、当該特定ランプ部制御処理にて特定ランプ部93のオンオフ制御が開始される毎に作動保留球数Nが1減算され、作動保留球数Nが0の場合にはオンオフ制御が開始されない。
特定ランプ部制御処理の後は、ステップS604にて大入賞口開閉処理を実行する。大入賞口開閉処理では、大当たり状態である場合において可変入賞装置83の大入賞口を開放又は閉鎖する。すなわち、大当たり状態のラウンド毎に大入賞口を開放し、大入賞口の最大開放時間が経過したか、又は大入賞口に遊技球が規定数だけ入賞したかを判定する。この規定数だけ入賞したか否かの判定は、上述した大入賞口用カウンタを確認することにより行われる。そして、これら何れかの条件が成立すると大入賞口を閉鎖する。
その後、ステップS605では、遊技球発射制御処理を実行する。遊技球発射制御処理では、電源及び発射制御基板321の発射制御部321bから発射許可信号を入力していることを条件として、所定期間(例えば、0.6sec)に1回、遊技球発射機構110のソレノイド111を励磁する。これにより、発射レール112上にある遊技球が遊技領域に向けて打ち出される。当該処理についてより具体的には、CPU311は上記発射許可信号を入力していることを条件として、発射出力用ポートへの「0」出力と「1」出力とを所定周期で繰り返す。発射出力用ポートに「0」出力されている間は非発射信号が電源及び発射制御基板321に出力され、発射制御部321bではソレノイド111を非励磁状態とする。一方、発射出力用ポートに「1」出力されている間は発射信号が電源及び発射制御基板321に出力され、発射制御部321bではソレノイド111を励磁状態とする。
すなわち、主制御基板301のCPU311は電源及び発射制御基板321に発射パルス信号を出力する。電源及び発射制御基板321の発射制御部321bは発射パルス信号の電圧を増幅させたソレノイド駆動信号(駆動電圧)をソレノイド111に対して出力し、ソレノイド111の出力軸を発射位置と収容位置とに移動させることで、遊技球の発射を制御する。
ステップS605の後はステップS606にて、RAM313の停電フラグ格納エリアに停電フラグが格納されているか否かを判定する。また、ステップS607では、RAM313の不正検知フラグ格納エリアに不正検知フラグが格納されているか否かを判定する。そして、これら停電フラグ及び不正検知フラグの格納状況に応じた処理が実行される。ちなみに、停電フラグが格納されているか否かの判定処理が、不正検知フラグが格納されているか否かの判定処理よりも先に実行されるため、両フラグが格納されている場合、停電フラグに応じた処理が優先されることとなる。これにより、停電発生時には、供給電力が完全に遮断される前までに後述する停電時用処理の実行を確実に完了することができる。
ここで、本パチンコ機10では、(1)停電フラグ及び不正検知フラグの両方が格納されていない場合、(2)停電フラグが格納されている場合、(3)停電フラグは格納されておらず不正検知フラグが格納されている場合でそれぞれ異なる処理が実行される。そこで、以下にこれら各状況の処理を個別に説明する。
(停電フラグ及び不正検知フラグの両方が格納されていない場合)
先ず、停電フラグ及び不正検知フラグの両方が格納されていない場合について説明する。
停電フラグ及び不正検知フラグの両方が格納されていない場合には、ステップS606及びステップS607の両方で否定判定をし、ステップS609に進む。ステップS609では、次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始からタイマ割込みが複数回数として予め設定された割込み基準回数(具体的には、2回)発生したか否かを判定する。このタイマ割込みの回数の把握として具体的には、RAM313に割込み回数カウンタエリアが設けられており、タイマ割込みが起動される度に当該カウンタエリアの値が1加算されるとともに、通常処理が開始される度、すなわち、ステップS601の処理が実行される直前のタイミングで当該カウンタエリアの値が0クリアされる。タイマ割込みが割込み基準回数発生していない場合には、ステップS610に進む。
ステップS610では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では99)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM313の該当するバッファ領域に格納する。また、ステップS611では、両変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する。具体的には、両変動種別カウンタCS1,CS2を1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、両変動種別カウンタCS1,CS2の更新値を、RAM313の該当するバッファ領域に格納する。
続くステップS612では、開放検知処理を実行する。ここで、開放検知処理について、図24のフローチャートを用いて説明する。開放検知処理では、ステップS701〜ステップS705にて前扉枠14に関する開放検知処理を実行するとともに、ステップS706〜ステップS710にて本体枠13に関する開放検知処理を実行する。
前扉枠14に関する開放検知処理では、先ずステップS701にてRAM313の前扉枠開放フラグ格納エリアに前扉枠開放フラグが格納されているか否かを判定する。前扉枠開放フラグが格納されていない場合には、ステップS702にて前扉枠開放スイッチ78から開放検知信号を入力しているか否かを判定する。
開放検知信号を入力していない場合には、そのまま本体枠13に関する開放検知処理に移行する。開放検知信号を入力している場合には、ステップS703に進む。ステップS703では、RAM313の前扉枠開放フラグ格納エリアに前扉枠開放フラグを格納する。また、前扉枠開放コマンドを音声ランプ制御基板324に出力する。音声ランプ制御基板324では、当該前扉枠開放コマンドを入力することで、予め定められた前扉枠開放報知を実行するように各種報知部を駆動制御する。この前扉枠開放報知として具体的には、スピーカ部26からの音の出力、エラー表示ランプ部(発光部)24の点灯又は図柄表示装置91の表示画面に報知用の文字若しくは図形を表示するといった表示画面による報知の少なくとも一つが行われる。また、ホール側への出力処理を実行する。具体的には、外部端子板213を通じて前扉枠開放信号が遊技ホール側の管理制御装置に出力されるように、外部端子出力用ポートに前扉枠開放情報を出力する。これにより、遊技ホール側の管理制御装置において前扉枠14が開放状態であることを把握することができる。その後、本体枠13に関する開放検知処理に移行する。
一方、ステップS701にて前扉枠開放フラグが格納されていると判定した場合には、ステップS704にて前扉枠開放スイッチ78から開放検知信号を入力しているか否かを判定する。
開放検知信号を入力している場合には、そのまま本体枠13に関する開放検知処理に移行する。開放検知信号を入力していない場合には、ステップS705に進む。ステップS705では、RAM313の前扉枠開放フラグ格納エリアから前扉枠開放フラグをクリアする。また、前扉枠閉鎖コマンドを音声ランプ制御基板324に出力する。音声ランプ制御基板324では、当該前扉枠閉鎖コマンドを入力することで、上記前扉枠開放報知を終了させる。また、ホール側への出力処理を実行する。具体的には、遊技ホール側の管理制御装置への前扉枠開放信号の出力が停止されるように、外部端子出力用ポートに前扉枠開放情報を出力している状態を停止する。これにより、遊技ホール側の管理制御装置において前扉枠14が閉鎖状態となったことを把握することができる。その後、本体枠13に関する開放検知処理に移行する。
本体枠13に関する開放検知処理では、先ずステップS706にてRAM313の本体枠開放フラグ格納エリアに本体枠開放フラグが格納されているか否かを判定する。本体枠開放フラグが格納されていない場合には、ステップS707にて本体枠開放スイッチ230から開放検知信号を入力しているか否かを判定する。
開放検知信号を入力していない場合には、そのまま本開放検知処理を終了する。開放検知信号を入力している場合には、ステップS708に進む。ステップS708では、RAM313の本体枠開放フラグ格納エリアに本体枠開放フラグを格納する。また、本体枠開放コマンドを音声ランプ制御基板324に出力する。音声ランプ制御基板324では、当該本体枠開放コマンドを入力することで、予め定められた本体枠開放報知を実行するように各種報知部を駆動制御する。この本体枠開放報知として具体的には、スピーカ部26からの音の出力、エラー表示ランプ部(発光部)24の点灯又は図柄表示装置91の表示画面に報知用の文字若しくは図形を表示するといった表示画面による報知の少なくとも一つが行われる。なお、この本体枠開放報知の態様は上述した前扉枠開放報知と識別可能なものであるが、当該前扉枠開放報知と同一の態様としてもよい。また、ホール側への出力処理を実行する。具体的には、外部端子板213を通じて本体枠開放信号が遊技ホール側の管理制御装置に出力されるように、外部端子出力用ポートに本体枠開放情報を出力する。これにより、遊技ホール側の管理制御装置において本体枠13が開放状態であることを把握することができる。その後、本開放検知処理を終了する。
一方、ステップS706にて本体枠開放フラグが格納されていると判定した場合には、ステップS709にて本体枠開放スイッチ230から開放検知信号を入力しているか否かを判定する。
開放検知信号を入力している場合には、そのまま本開放検知処理を終了する。開放検知信号を入力していない場合には、ステップS710に進む。ステップS710では、RAM313の本体枠開放フラグ格納エリアから本体枠開放フラグをクリアする。また、本体枠閉鎖コマンドを音声ランプ制御基板324に出力する。音声ランプ制御基板324では、当該本体枠閉鎖コマンドを入力することで、上記本体枠開放報知を終了させる。また、ホール側への出力処理を実行する。具体的には、遊技ホール側の管理制御装置への本体枠開放信号の出力が停止されるように、外部端子出力用ポートに本体枠開放情報を出力している状態を停止する。これにより、遊技ホール側の管理制御装置において本体枠13が閉鎖状態となったことを把握することができる。その後、本開放検知処理を終了する。
通常処理(図23)の説明に戻り、ステップS612にて開放検知処理を実行した後は、ステップS606の処理に戻る。そして、今回は、停電フラグ及び不正検知フラグの両方が格納されていない場合の処理であるため、ステップS606及びステップS607の両方で否定判定をし、ステップS609に進む。その後、前回の通常処理の開始からタイマ割込みが割込み基準回数発生するまで上述した処理を繰り返し、割込み基準回数に達した場合にはステップS601の処理に戻る。つまり、停電フラグ及び不正検知フラグの両方が格納されていない場合には、ステップS601〜ステップS605の処理が4msec周期で繰り返し実行されることとなる。
(停電フラグが格納されている場合)
次に、停電フラグが格納されている場合について説明する。
停電フラグが格納されている場合には、不正検知フラグが格納されているか否かに関係なく、ステップS613以降の停電時処理を実行する。つまり、ステップS613では、タイマ割込み処理の発生を禁止し、その後、ステップS614にて電源が遮断されたことを示す停電コマンドを払出制御基板に対して出力する。そして、ステップS615にてRAM判定値を算出、保存し、ステップS616にてRAM313のアクセスを禁止した後に、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。なお、電源が完全に遮断された後も、電源及び発射制御基板321のデータ記憶保持用コンデンサ321cからデータ記憶保持用電力が供給されるため、電源遮断前にRAM313に記憶されていた情報はそのままの状態で所定の期間内(例えば、1日や2日)保持される。
(停電フラグは格納されておらず不正検知フラグが格納されている場合)
次に、停電フラグは格納されておらず不正検知フラグが格納されている場合について説明する。なお、不正検知フラグが格納されているということは、上述した磁石を用いた不正行為又は上述した振動を与えることによる不正行為が行われたことを意味する。
先ず、不正検知フラグが格納され、それに対して不正特定状態の設定が実行される場合について説明する。
停電フラグは格納されておらず不正検知フラグが格納されている場合には、ステップS606にて否定判定をするとともにステップS607にて肯定判定をし、ステップS608に進む。ステップS608では、不正検知時用処理を実行する。不正検知時用処理について、図25のフローチャートを用いて説明する。
不正検知時用処理では、先ずステップS801にて割込み禁止の設定を実行する。これにより、タイマ割込み処理(図19)の割込みが禁止される。つまり、タイマ割込み処理では既に説明したように、遊技球の入賞に関するセンサの読み込み処理、各種カウンタの更新処理及び始動入賞処理といった遊技を進行させる作動制御用処理の一部の処理が実行される。この場合に、ステップS801にて割込み禁止の設定を実行することで、上記不正行為が行われたことが特定された場合には遊技が進行しないように規制することができる。
また、不正検知時用処理における最初の処理として割込み禁止の設定を実行することで、上記不正行為が行われた場合には、後述する報知用の処理等よりも優先して、遊技が進行しないように規制する状態の設定を行うことができる。つまり、遊技が進行しないように規制した後に、不正用報知が実行されることとなる。
なお、NMI割込み処理については、割込みが禁止されない。これにより、上記不正行為に対する処理が実行されている状況であっても、停電発生時にはRAM313に確実に停電フラグが格納される。
続くステップS802では、外部端子出力用ポートに不正情報を出力する。これにより、外部端子板213を通じて不正検知信号が遊技ホール側の管理制御装置に出力され、遊技ホール側の管理制御装置においてパチンコ機10に対して上記不正行為が行われたことを把握することができる。ここで、本パチンコ機10では既に説明したように、外部端子板213に不正検知信号用の出力端子が設けられていない。したがって、ここでは不正検知信号として、大当たり中用信号と1遊技回終了時用信号とが同時に出力される。
続くステップS803では、発射出力用ポートに「0」出力する。これにより、既に説明したように非発射信号が電源及び発射制御基板321に出力され、発射制御部321bではソレノイド111を非励磁状態とする。そして、遊技球発射ハンドル41が操作されていたとしても、次回の遊技球発射制御処理(ステップS605)が実行されるまで、発射出力用ポートに「0」出力する状態が維持され、遊技球の発射が禁止される。
続くステップS804では、ストローブ、ソレノイド、表示LED関係出力用ポートの全てに「0」出力する。ストローブ関係出力用ポートとは、払出制御基板322などの他の制御基板に対するストローブ信号の出力設定を行うためのポートであり、他の制御基板ではストローブ信号を入力することで主制御基板301のCPU311から入力しているコマンドの確認処理を実行する。ストローブ関係出力用ポートに「0」出力されることにより、ストローブ信号の出力が停止されるとともに、次回の外部出力処理(ステップS601)が実行されるまで、ストローブ関係出力用ポートに「0」出力する状態が維持され、ストローブ信号の出力が禁止される。
また、ソレノイド関係出力用ポートとは、可変入賞装置83の開閉状態設定を行うためのポートであり、「1」出力されている状況では可変入賞装置83が開放状態となり、「0」出力されている状況では可変入賞装置83が閉鎖状態となる。これにより、大当たり中において上記不正行為が行われた場合には、開放状態であった可変入賞装置83は閉鎖状態に切り換えられるとともに、次回の大入賞口開閉処理(ステップS604)が実行されるまで、ソレノイド関係出力用ポートに「0」出力する状態が維持され、可変入賞装置83の開放が禁止される。
また、表示LED関係出力用ポートとは、特定ランプ部93の表示状態設定を行うためのポートであり、「0」出力されている状況では発光が停止された状態となる。これにより、上記不正行為が行われた場合には、特定ランプ部93における発光が停止されるとともに、次回の特定ランプ部制御処理(ステップS603)が実行されるまで、表示LED間系出力用ポートに「0」出力する状態が維持され、特定ランプ部93の発光が禁止される。
その後、ステップS805では、RAM313の本体枠開放フラグ格納エリアに本体枠開放フラグが格納されているか否かを判定する。本体枠開放フラグが格納されていない場合には、ステップS806の処理を実行することなく、そのままステップS807に進む。ステップS807では、RAM313に設けられたスイッチカウンタエリアを0クリアする。このスイッチカウンタエリア(解除操作継続期間測定手段)は、クリアスイッチ169が操作されている場合にその継続操作期間を計測するためのカウンタエリアである。
その後、ステップS810にてRAM313のコマンド出力フラグ格納エリアにコマンド出力フラグが格納されているか否かを判定する。コマンド出力フラグが格納されていない場合には、ステップS811にてコマンド出力フラグを格納するとともに、ステップS812にて不正検知コマンドをセットする。
その後、ステップS816においてコマンド出力処理を実行する。コマンド出力処理では、ステップS812にてセットされた不正検知コマンドを音声ランプ制御基板324に出力する。音声ランプ制御基板324では、当該不正検知コマンドを入力することで、予め定められた不正用報知を実行するように各種報知部を駆動制御する。この不正用報知として具体的には、スピーカ部26からの音の出力、エラー表示ランプ部(発光部)24の点灯又は図柄表示装置91の表示画面に報知用の文字若しくは図形を表示するといった表示画面による報知の少なくとも一つが行われる。当該不正用報知が実行されることにより、パチンコ機10の周囲にいる遊技ホールの管理者等に上記不正行為が行われたことを報知することができる。その後、本不正検知時用処理を終了する。
なお、不正用報知の態様は上述した前扉枠開放報知及び本体枠開放報知と識別可能なものであるが、これら前扉枠開放報知及び本体枠開放報知の少なくとも一方と同一の態様としてもよい。
一方、ステップS810において、RAM313のコマンド出力フラグ格納エリアにコマンド出力フラグが格納されている場合には、ステップS811以降の処理を実行することなく、そのまま本不正検知時用処理を終了する。これにより、上記不正行為が行われたことが特定され不正検知コマンドが一度出力された場合には、当該不正行為に対する不正特定状態の設定が継続されている間は不正検知コマンドの出力が行われないようになる。
但し、当該各種規制処理が継続されている状況であってもパチンコ機10の電源が遮断されることがある。音声ランプ制御基板324には、主制御基板301や払出制御基板322と異なり、パチンコ機10の電源が遮断されている状況においてデータ記憶保持用コンデンサ321cからデータ記憶保持用電力が供給されない。したがって、電源が立ち上げられた場合、音声ランプ制御基板324のCPU341においては電源遮断前の状態を把握することができない。つまり、不正用報知が実行されている状況において電源が遮断された場合、その後、電源が立ち上げられたとしても、そのままでは上記不正用報知が再開されない。これに対して、既に説明したように電源が立ち上げられた後のメイン処理(図22)におけるステップS509の処理が実行されることにより、上記状況において電源が遮断されたとしても、再度、不正検知コマンドが出力され、不正用報知が再開されることとなる。
なお、ステップS810の処理を実行することなく、RAM313に不正検知フラグが格納されている間は所定の間隔を置いて繰り返し不正検知コマンドが出力されるようにした場合には、ステップS509の処理を不具備としてもよい。つまり、上記のとおり不正用報知が実行されている状況において電源が遮断された場合、その後、電源が立ち上げられた場合には不正用報知が再開されるのであれば具体的な処理構成は任意である。
通常処理(図23)の説明に戻り、ステップS608にて不正検知時用処理を実行した後は、ステップS609の処理を実行することなく、ステップS610に進む。これにより、RAM313に不正検知フラグが格納されたタイミングにおいて既にタイマ割込み処理が2回実行されていたとしても、ステップS609の処理が実行されないためステップS601の処理に復帰することがない。つまり、上記不正行為が行われたことが特定された場合には、次回の通常処理が開始されないように規制される。これにより、遊技を進行させる作動制御用処理の一部の処理であるステップS601〜ステップS605の処理が実行されなくなり、遊技が進行しないように規制されることとなる。
ここで、既に説明したように、不正検知時用処理(図25)ではステップS801にて割込み禁止の設定が実行される。つまり、上記不正行為が行われた場合には、タイマ割込み処理の各処理及び通常処理におけるステップS601〜ステップS605の各処理が実行されなくなり、遊技が進行しないように規制されることとなる。
その後、ステップS610、ステップS611及びステップS612の処理を実行した後に、ステップS606に戻る。そして、ステップS606〜ステップS608及びステップS610〜ステップS612の各処理が繰り返されることとなる。
ここで、ステップS606に戻るようにしたことで、不正特定状態が設定され遊技が進行しないように規制されている状態であっても、停電の発生の有無が判定されることとなり、停電が発生した場合には確実に停電時処理を実行することができる。
また、通常処理におけるステップS606〜ステップS612の範囲内において不正検知時用処理を実行したことで、停電フラグが格納されているか否かを判定するための停電判定用処理を複数独立して設定する必要がなくなる。例えば、不正監視処理(図20)において、遊技が進行しないように規制するための不正検知時用処理を実行する構成を想定すると、当該不正監視処理における一部の処理として停電フラグが格納されているか否かの判定処理を行う必要が生じる。そうすると、通常処理において停電フラグが格納されているか否かの判定処理を行うとともに、不正監視処理において停電フラグが格納されているか否かの判定処理を行う必要が生じる。これに対して、本パチンコ機10では上記のとおり、通常処理において停電フラグが格納されているか否かの判定処理を行うだけでよく、CPU311の処理負荷が低減される。
また、ステップS612の処理が実行されることにより、上記のように不正特定状態が設定され遊技が進行しないように規制されている状態であっても、本体枠13の開放操作及び前扉枠14の開放操作の両方を監視することができる。例えば、不正特定状態が設定されている状態において本体枠13の開放操作及び前扉枠14の開放操作の監視が行われない構成を想定すると、パチンコ機10に振動を与えた後に本体枠13の開放操作や前扉枠14の開放操作が行われたとしても、それをCPU311において特定することができない。そうすると、当該状況において主制御装置162への不正行為や遊技盤81への不正行為が行われてしまうことが懸念される。これに対して、本構成によれば、このような不都合の発生を阻止することができる。つまり、不正特定状態が設定されている状況において、さらなる二次的な不正行為の発生を阻止することができる。
次に、不正特定状態の設定が解除される場合について説明する。
不正特定状態であり、停電フラグが格納されていない場合には、上記のとおりステップS606にて否定判定をするとともにステップS607にて肯定判定をし、ステップS608に進み不正検知時用処理を実行する。
不正検知時用処理(図25)では既に説明したように、先ずステップS801〜ステップS804の処理を実行する。これらの各処理については既に説明したとおりであるため、ここでは説明を省略する。
その後、ステップS805では、上記のとおり本体枠開放フラグが格納されているか否かを判定する。本体枠開放フラグが格納されている場合には、ステップS806にてクリアスイッチ169が操作されているか否かを判定する。クリアスイッチ169が操作されていない場合には、ステップS807、ステップS810〜ステップS812、ステップS816の処理を実行する。これについては既に説明したとおりであるため、ここでは説明を省略する。
クリアスイッチ169が操作されている場合には、ステップS808にて、RAM313のスイッチカウンタエリアの値を1加算する。続くステップS809ではスイッチカウンタエリアの値が解除基準回数(具体的には、100)を超えているか否かを判定する。つまり、ステップS809では、クリアスイッチ169の継続操作期間が解除基準期間に達しているか否かを判定している。
スイッチカウンタエリアの値が解除基準回数を超えていない場合には、ステップS809にて否定判定をし、ステップS807、ステップS810〜ステップS812、ステップS816の処理を実行する。これについては既に説明したとおりであるため、ここでは説明を省略する。
スイッチカウンタエリアの値が解除基準回数を超えている場合には、ステップS809にて肯定判定をし、ステップS813に進む。ステップS813では、不正解除の設定を実行する。具体的には、RAM313の不正検知フラグ格納エリアから不正検知フラグをクリアする。また、RAM313のコマンド出力フラグ格納エリアからコマンド出力フラグをクリアする。また、RAM313のスイッチカウンタエリアを0クリアする。これにより、通常処理(図23)においてステップS607にて肯定判定されなくなり、上述した停電フラグ及び不正検知フラグの両方が格納されていない場合の処理と同様の処理が実行されることとなる。
続くステップS814では、割込み許可の設定を実行する。これにより、これまで禁止されていたタイマ割込み処理(図19)の割込みが許可される。つまり、ステップS813及びステップS814の処理が実行されることで、遊技が進行しないように規制されていた状態が解除される。
その後、ステップS815にて不正検知解除コマンドをセットするとともに、ステップS816にてその不正検知解除コマンドを音声ランプ制御基板324に出力する。音声ランプ制御基板324では、当該不正検知解除コマンドを入力することで、上記不正用報知を終了させる。その後、本不正検知時用処理を終了する。
以上のとおり、不正特定状態が設定されている場合、クリアスイッチ169が解除基準期間に亘って継続操作されることにより、当該不正特定状態の設定が解除される。この場合に、当該クリアスイッチ169は既に説明したように、電源投入時にRAMデータを初期化する場合に操作される。つまり、本構成では、RAMデータを初期化する場合に操作されるクリアスイッチ169が、不正特定状態の設定の解除操作手段として兼用されており、構成の簡素化を図りつつ、上記優れた効果を得ることができる。
また、クリアスイッチ169の継続操作期間が解除基準期間に達することで不正特定状態の設定を解除するようにした。これにより、実際にはクリアスイッチ169が操作されていないにも関わらず、ノイズなどの影響でCPU311に対して単発的にクリアスイッチ169の操作検知信号が入力された場合に、上記不正特定状態の設定が解除されないようにすることができる。
また、クリアスイッチ169は押しボタン式となっており、押圧部が主制御装置162の基板ボックス163の表面にて露出するように配置されている。また、クリアスイッチ169は基板ボックス163内に収容された停電監視基板303と電気的に接続されているが、当該電気配線は基板ボックス163外に露出しておらず、当該基板ボックス163内に収容されている。また、停電監視基板303は主制御基板301と電気的に接続されており、これら停電監視基板303及び主制御基板301は同一の基板ボックス163内に収容されているとともに、両基板301,303を電気的に接続する電気配線も基板ボックス163内に収容されている。
例えば、クリアスイッチ169が主制御装置162以外に搭載されている又は上記電気配線が基板ボックス163外に露出している構成では、クリアスイッチ169から上記停電監視基板への信号経路に対して不正基板を介在させることにより、実際にはクリアスイッチ169が操作されていないにも関わらず、不正基板から操作検知信号を出力させる不正行為が想定される。そうすると、上記不正特定状態の設定の解除が、クリアスイッチ169の操作を介することなく行われてしまうおそれがある。これに対して、本パチンコ機10では、クリアスイッチ169からの電気配線が基板ボックス163内に収容されており、当該基板ボックス163には上記のとおり結合構造が設けられているため、上記不正基板を介在させる行為を阻止することが可能となる。また、基板ボックス163には上記のとおり開放痕跡手段が設けられていることにより、上記不正基板を介在させる行為を思い留まらせることが可能であるとともに、当該行為が行われた場合にはその発見を比較的容易に行うことが可能である。
また、本体枠13が開放されている状況においてクリアスイッチ169が操作されたことに基づいて上記不正特定状態の設定の解除を行うようにし、本体枠13が閉鎖されている状況においてクリアスイッチ169が操作されたとしても、上記不正特定状態の設定の解除を行わないようにした。
クリアスイッチ169は上記のとおり主制御装置162の基板ボックス163に対して設置されているため、遊技ホールの管理者が上記不正特定状態の設定の解除を行う場合、本体枠13を開放した状態で行うものと考えられる。これに対して、不正行為者が上記不正特定状態の設定の解除を不正に行おうとする場合、その不正解除が目立たないようにするために、本体枠13を閉鎖した状態において針金などをパチンコ機10の背面側に侵入させクリアスイッチ169を押圧操作することが想定される。この場合、本体枠13が開放されたことの報知も一切行われないため、不正な解除操作を遊技ホール側において把握することが困難なものとなってしまう。そして、当該行為が行われると、上記のように不正特定状態の設定を行うようにした効果が消失してしまう。
これに対して、本パチンコ機10では上記のとおり本体枠13が開放されている状況においてクリアスイッチ169が操作されたことに基づいて上記不正特定状態の設定の解除を行うようにしたことで、上記のような不正な解除操作を阻止することが可能となる。
ちなみに、不正解除の設定は、電源を立ち上げる場合にクリアスイッチ169を操作しRAM313の初期化が実行された場合にも行われる。つまり、不正特定状態において電源が遮断されたとしても、電源が立ち上げられる場合にクリアスイッチ169が操作されてRAM313が初期化されることで、不正検知フラグがクリアされるため、不正特定状態の設定が解除される。
なお、RAM313に初期化操作によっては初期化されない領域を設定しておき、当該領域に不正検知フラグを記憶するようにする又は電源の遮断に際して当該領域に不正検知フラグを退避させるようにすることで、上記初期化操作によっては不正特定状態の設定の解除を行えない構成としてもよい。この場合、電源が投入されている状況においてクリアスイッチ169を解除基準期間に亘って継続操作しない限り、不正特定状態の設定の解除を行うことができない。
不正検知時用処理を実行した後は、ステップS610〜ステップS612の処理を実行した後に、ステップS606に戻る。そして、前回の不正検知時用処理において不正検知フラグがクリアされていることにより、ステップS606及びステップS607の両方にておいて否定判定されることとなり、ステップS609の処理が再開されることとなる。
次に、払出制御基板322のCPU331により実行される各制御処理を図26〜図29のフローチャートを参照しながら説明する。かかるCPU331の処理としては大別して、主制御基板301のCPU311からのコマンドの入力により起動される入力時割込み処理と、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめに入力時割込み処理を説明し、その後、メイン処理、タイマ割込み処理の順で説明する。
入力時割込み処理は、主制御基板301のCPU311からコマンドを入力した場合に後述する他の処理を中断して実行される。入力時割込み処理では、図26のフローチャートに示すように、ステップS901にて主制御基板301のCPU311からのコマンドをRAM333のコマンド格納エリアに記憶し、その後、ステップS902にてRAM333に設けられたコマンド入力フラグ格納エリアにコマンド入力フラグを格納し、本処理を終了する。
次に、払出制御基板322のCPU331に実行されるメイン処理を、図27のフローチャートを用いて説明する。このメイン処理は、電源投入時のリセットに伴い起動される。
まず、ステップS1001では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、割込みモードを設定する。そして、ステップS1002に進んでRAMアクセスを許可すると共に、ステップS1003で外部割込みベクタの設定を行う。
その後、ステップS1004では、RAM333の停電フラグ格納エリアに停電フラグが格納されているか否かを判定する。また、ステップS1005ではRAM判定値を算出し、続くステップS1006では、そのRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわち記憶保持されたデータの有効性を判定する。RAM判定値は、例えばRAM333の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM333の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かにより記憶保持されたデータの有効性を判断することも可能である。
停電フラグが格納されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)により記憶保持されたデータの異常が確認された場合はRAM333の初期化処理(ステップS1011〜S1013)に移行する。つまり、ステップS1011ではRAM333の全領域を0にクリアし、続くステップS1012ではRAM333の初期化処理を実行する。また、ステップS1013ではCPU周辺デバイスの初期設定を行う。
一方、停電フラグが格納されており、さらにRAM判定値(チェックサム値等)が正常である場合は、復電時の処理(停電による電源遮断後の復旧時の処理)を実行する。つまり、ステップS1007にて停電フラグをクリアすると共に、ステップS1008にて賞球の払出を許可する払出許可フラグをクリアする。また、ステップS1009ではCPU周辺デバイスの初期設定を行う。なお、RAM判定値は、例えばRAM333の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。
ステップS1009又はステップS1013の処理の後は、ステップS1010にて割込みを許可し、ステップS1014にてRAM333の停電フラグ格納エリアに停電フラグが格納されているか否かを判定し、停電フラグが格納されていなければ、停電フラグが格納されるまで待機する。
一方、停電フラグが格納されている場合には、停電が発生したことになるので、停電時処理としてステップS1015移行の処理を実行する。停電時処理では、先ずステップS1015にて各割込み処理の発生を禁止する。その後、ステップS1016にてRAM判定値を算出、保存し、ステップS1017にてRAM333のアクセスを禁止して、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。なお、電源が完全に遮断された後も、電源及び発射制御基板321からRAM333のデータ記憶保持用電力が供給されるため、電源遮断前にRAM333に記憶されていた情報は所定の期間内(例えば、1日や2日)保持される。
ここで、本メイン処理では、ステップS1001〜ステップS1013の通常時における一連の処理の終了後に、停電フラグが格納されているか否か(電源遮断が発生したか否か)を判定しているので、各処理の途中の状態で停電時処理が実行されることがない。これにより、電源遮断発生時においてRAM333に記憶するデータ量を極力少なくすることができ、さらには電源遮断前の状態に復帰する場合には、処理の途中から開始する必要はなく、払出制御基板322の処理の負担を軽減することができる。
次に、払出制御基板322のCPU331により例えば2msec毎に実行されるタイマ割込み処理について、図28のフローチャートを用いて説明する。
先ずステップS1101では、主制御基板301のCPU311から入力したコマンドの判定を行うコマンド判定処理を実行する。このコマンド判定処理では、図29に示すように、ステップS1201にて、RAM333のコマンド入力フラグ格納エリアにコマンド入力フラグが格納されているか否かを判定する。コマンド入力フラグが格納されていない場合は、新たなコマンドが主制御基板301のCPU311から出力されていないので、そのまま本処理を終了する。一方、コマンド入力フラグが格納されていた場合は、ステップS1202にてコマンド読出し処理を実行する。コマンド読出し処理では、入力したコマンドをRAM333のコマンドバッファから読出し、さらにコマンド入力フラグをクリアする。
その後、読み出されたコマンドの種類を、ステップS1203、ステップS1205、ステップS1210及びステップS1211の各処理にて判定し、各コマンドに対応した処理を実行する。つまり、ステップS1203では、停電コマンドであるか否かを判定し、当該コマンドである場合には、ステップS1204にてRAM333の停電フラグ格納エリアに停電フラグを格納して、本処理を終了する。
ステップS1205では、払出初期化コマンドであるか否かを判定し、当該コマンドである場合には、電源投入時に主制御基板301のCPU311からRAM333の初期化が指示されていることになるので、ステップS1206〜ステップS1209の処理を実行した後に本処理を終了する。ステップS1206では、RAM333に設けられた払出許可フラグ格納エリアに払出許可フラグが格納されているか否かを判定し、当該フラグが格納されていない場合は、ステップS1207にてRAM333の作業領域を0にクリアし、さらにステップS1208にてRAM333の初期値を設定する。その後、ステップS1209にて払出許可フラグを格納することで、賞球の払出が許可される。
なお、ステップS1206において払出許可フラグが格納されている場合は、ステップS1207及びステップS1208の処理を行うことなく本処理を終了する。かかる構成とすることにより、クリアスイッチ169が押されていないにも関わらずノイズなどの原因で払出初期化コマンドの入力を認識したとしても、その際に残っている賞球が遊技者に払い出されることなく消去されることを防止できる。
ステップS1210では、復電コマンドであるか否かを判定し、当該コマンドである場合には、払出制御基板322が停電による電源遮断の前の状態に復帰するので、ステップS1209にて払出許可フラグを格納した後に本処理を終了する。かかる構成とすることにより、電源遮断前に賞球が残っていた場合に当該賞球を即座に払い出すことができる。
ステップS1211では、賞球コマンドである否かを判定し、当該コマンドである場合には、ステップS1212にて賞球コマンドに対応した賞球個数を総賞球個数に加算した後に、ステップS1209にて払出許可フラグを格納し本処理を終了する。
タイマ割込み処理(図28)の説明に戻り、コマンド判定処理を実行した後は、ステップS1102にて払出許可フラグが格納されているか否かを判定する。払出許可フラグが格納されていない場合は、そのまま本処理を終了する。一方、払出許可フラグが格納されている場合は、ステップS1103にて状態復帰スイッチ245をチェックして、状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する。
また、ステップS1104では、タンク球の状態の変化に応じてタンク球無し状態又はタンク球無し解除状態の設定を実行する。すなわち、タンク球無しスイッチの検知信号によりタンク球無し状態を判定し、タンク球無しになった時、タンク球無し状態の設定を実行し、タンク球無しでなくなった時、タンク球無し解除状態の設定を実行する。
その後、ステップS1105では、報知する状態の有無を判定し、報知する状態が有る場合には払出制御装置242に設けた7セグメントLEDにより報知する。
ステップS1106〜S1108では、賞球払出の処理を実行する。この場合、賞球の払出不可状態でなく且つ前記ステップS1101のコマンド判定処理で記憶した総賞球個数が「0」でなければ(ステップS1106,S1107が共にNO)、ステップS1108に進み、賞球制御処理を開始する。賞球制御処理では、払出装置224を駆動制御し、総賞球個数が「0」となるまで遊技球を払い出す。また、賞球の払出不可状態又は総賞球個数が「0」であれば(ステップS1106,S1107の何れかがYES)、ステップS1109〜S1111の貸球払出の処理に移行する。
貸球払出の処理において、貸球の払出不可状態でなく且つ貸球払出要求を入力していれば(ステップS1109がNO、S1110がYES)、ステップS1111に進み、貸球制御処理を開始する。貸球制御処理では、払出装置224を駆動制御し、貸球払出要求に対応した数の遊技球を払い出す。また、貸球の払出不可状態又は貸球払出要求を入力していなければ(ステップS1109がYES又はS1110がNO)、後続の球抜きの処理を実行する。
ステップS1112では、状態復帰スイッチ245をチェックして球抜き不可状態でないこと、及び球抜き動作開始でないことを条件に、払出装置224を駆動させ球抜き処理を実行する。続くステップS1113では、球詰まり状態であることを条件にタンク221に設けられたバイブレータの制御(バイブモータ制御)を実行する。その後、本タイマ割込み処理を終了する。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
遊技盤81に、磁気検知センサ105、フォトセンサ106及び振動検知センサ107を設置し、磁石を用いた不正行為又は振動させる行為が行われた場合には、主制御基板301のCPU311において実行される作動制御用処理のうち、少なくとも一部についてその実行を規制するようにした。より詳細には、遊技領域における遊技が続行不可となるように規制するとともに、遊技球の払出が実行されないように規制するようにした。これにより、上記不正行為が行われた後は、正規の遊技の進行を規制することができる。よって、上記不正行為が行われたとしても、それに対して遊技ホールが被る不利益を低減することができる。
特に、読み込み処理(ステップS201)が実行されないように規制したことで、上記不正行為が行われた場合には、その後、入賞検知センサ152〜154の検知結果を無効化することができる。
また、始動入賞処理(ステップS205)が実行されないように規制したことで、上記不正行為が行われた場合には、その後、大当たり状態が発生しないようにすることができる。
また、外部出力処理(ステップS601)が実行されないように規制したことで、上記不正行為が行われた場合には、その後、賞球コマンドや表示用コマンドが出力されないようにすることができる。賞球コマンドが出力されないことにより、遊技球の払出が規制される。また、表示用コマンドが出力されないことにより、図柄表示装置91の表示などが正規のものから規制される。
また、特定ランプ制御処理(ステップS603)が実行されないように規制したことで、上記不正行為が行われた場合には、その後、大当たり状態を発生させるか否かの抽選や、新たな遊技回の開始が行われないようにすることができる。
また、大入賞口開閉処理(ステップS604)が実行されないように規制したことで、上記不正行為が行われた場合には、可変入賞装置83が開放状態にならないようにすることができる。
また、遊技球発射制御処理(ステップS605)が実行されないように規制したことで、上記不正行為が行われた場合には、その後、遊技を続行することができないようにすることができる。
また、例えば、上記不正行為に対して報知処理のみを実行する構成も考えられるが、制御装置と報知機器との間の信号経路を切断する行為が想定され、当該行為が行われると上記報知処理が実行されず、遊技ホールにとっては上記不正行為に対処することができなくなってしまう。これに対して、本実施の形態によれば、上記のとおり、正規の遊技の進行が規制されるため、上記不正行為に対して遊技ホールが被る不利益を低減することができる。
不正特定状態が設定され正規の遊技が進行しないように規制されている状態であっても、停電の発生の有無を判定するとともに、停電が発生したと判定した場合には停電時処理を実行するようにした。これにより、正規の遊技が進行しないように規制されている状態であっても、停電が発生した場合には確実に停電時処理を実行することができる。
また、通常処理におけるステップS606〜ステップS612の範囲内において、正規の遊技が進行しないように規制するための不正検知時用処理を実行したことで、停電フラグが格納されているか否かを判定するための停電判定用処理を複数独立して設定する必要がなくなる。例えば、不正監視処理(図20)において、不正検知時用処理を実行する構成を想定すると、当該不正監視処理における一部の処理として停電フラグが格納されているか否かの判定処理を行う必要が生じる。そうすると、通常処理において停電フラグが格納されているか否かの判定処理を行うとともに、不正監視処理において停電フラグが格納されているか否かの判定処理を行う必要が生じる。これに対して、本実施の形態では、上記のとおり通常処理において停電フラグが格納されているか否かの判定処理を行うだけでよく、CPU311の処理負荷が低減される。
また、不正特定状態が設定され正規の遊技が進行しないように規制されている状態であっても、本体枠13の開放操作及び前扉枠14の開放操作の両方を監視するようにした。例えば、不正特定状態が設定されている状態において本体枠13の開放操作及び前扉枠14の開放操作の監視が行われない構成を想定すると、パチンコ機10に振動を与えた後に本体枠13の開放操作や前扉枠14の開放操作が行われたとしても、それをCPU311において特定することができない。そうすると、当該状況において主制御装置162への不正行為や遊技盤81への不正行為が行われてしまうことが懸念される。これに対して、本構成によれば、このような不都合の発生を阻止することができる。
不正特定状態が設定されている場合、クリアスイッチ169の操作に基づいて当該不正特定状態の設定が解除されるようにした。そして、この解除に際してRAM313,333の初期化が実行されないようにした。これにより、不正特定状態の設定の解除後には、遊技の状況を、不正特定状態の設定前の状況に復帰させることができる。
不正特定状態が設定されている場合、クリアスイッチ169が解除基準期間に亘って継続操作されることにより、当該不正特定状態の設定が解除される。この場合に、当該クリアスイッチ169は、電源投入時にRAMデータを初期化する場合に操作される。つまり、本構成では、RAMデータを初期化する場合に操作されるクリアスイッチ169が、不正特定状態の設定の解除操作手段として兼用されており、構成の簡素化を図りつつ、上記優れた効果を得ることができる。
また、クリアスイッチ169の継続操作期間が解除基準期間に達することで不正特定状態の設定を解除するようにした。これにより、実際にはクリアスイッチ169が操作されていないにも関わらず、ノイズなどの影響でCPU311に対して単発的にクリアスイッチ169の操作検知信号が入力された場合に、上記不正特定状態の設定が解除されないようにすることができる。
また、クリアスイッチ169は押しボタン式となっており、押圧部が主制御装置162の基板ボックス163の表面にて露出するように配置されている。また、クリアスイッチ169は基板ボックス163内に収容された停電監視基板303と電気的に接続されているが、当該電気配線は基板ボックス163外に露出しておらず、当該基板ボックス163内に収容されている。また、停電監視基板303は主制御基板301と電気的に接続されており、これら停電監視基板303及び主制御基板301は同一の基板ボックス163内に収容されているとともに、両基板301,303を電気的に接続する電気配線も基板ボックス163内に収容されている。例えば、クリアスイッチ169が主制御装置162以外に搭載されている又は上記電気配線が基板ボックス163外に露出している構成では、クリアスイッチ169から上記停電監視基板への信号経路に対して不正基板を介在させることにより、実際にはクリアスイッチ169が操作されていないにも関わらず、不正基板から操作検知信号を出力させる不正行為が想定される。そうすると、上記不正特定状態の設定の解除が、クリアスイッチ169の操作を介することなく行われてしまうおそれがある。これに対して、本パチンコ機10では、クリアスイッチ169からの電気配線が基板ボックス163内に収容されており、当該基板ボックス163には上記のとおり結合構造が設けられているため、上記不正基板を介在させる行為を阻止することが可能となる。また、基板ボックス163には上記のとおり開放痕跡手段が設けられていることにより、上記不正基板を介在させる行為を思い留まらせることが可能であるとともに、当該行為が行われた場合にはその発見を比較的容易に行うことが可能である。
また、本体枠13が開放されている状況においてクリアスイッチ169が操作されたことに基づいて上記不正特定状態の設定の解除を行うようにし、本体枠13が閉鎖されている状況においてクリアスイッチ169が操作されたとしても、上記不正特定状態の設定の解除を行わないようにした。クリアスイッチ169は上記のとおり主制御装置162の基板ボックス163に対して設置されているため、遊技ホールの管理者が上記不正特定状態の設定の解除を行う場合、本体枠13を開放した状態で行うものと考えられる。これに対して、不正行為者が上記不正特定状態の設定の解除を不正に行おうとする場合、その不正解除が目立たないようにするために、本体枠13を閉鎖した状態において針金などをパチンコ機10の背面側に侵入させクリアスイッチ169を押圧操作することが想定される。この場合、本体枠13が開放されたことの報知も一切行われないため、不正な解除操作を遊技ホール側において把握することが困難なものとなってしまう。そして、当該行為が行われると、上記のように不正特定状態の設定を行うようにした効果が消失してしまう。これに対して、本パチンコ機10では上記のとおり本体枠13が開放されている状況においてクリアスイッチ169が操作されたことに基づいて上記不正特定状態の設定の解除を行うようにしたことで、上記のような不正な解除操作を阻止することが可能となる。
不正特定状態が設定されている状況であっても、乱数初期値更新処理や変動用カウンタ更新処理を実行するようにした。これらの更新処理は不正特定状態の設定が行われている状況であっても継続されることが好ましく、本構成によれば上記各更新処理を継続することができる。
(第2の実施の形態)
本実施の形態では、主制御基板301のCPU311における処理構成が上記第1の実施の形態と異なっている。本実施の形態のCPU311では、遊技を進行させる作動制御用処理は全てタイマ割込み処理にて実行される。このような処理構成のCPU311を備えたパチンコ機10においても、上記磁石を用いた不正行為や上記振動を与える不正行為が行われることが想定され、それに対処する必要がある。そこで本実施の形態におけるCPU311の処理構成について以下に説明する。なお、NMI割込み処理(図18)については、上記第1の実施の形態と同様であるためここでは説明を省略する。
先ず、本実施の形態におけるCPU311のメイン処理について、図30及び図31のフローチャートを用いて説明する。
先ずステップS1301では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。続くステップS1302では、RAM313のアクセスを許可する。その後、ステップS1303では、主制御装置162に設けたクリアスイッチ169がオンされているか否かを判定し、続くステップS1304ではRAM313の停電フラグ格納エリアに停電フラグが格納されているか否かを判定する。また、ステップS1305ではRAM判定値を算出し、続くステップS1306では、そのRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわち記憶保持されたデータの有効性を判定する。
クリアスイッチ169が押されていれば、ステップS1311〜ステップS1313の処理に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)により記憶保持されたデータの異常が確認された場合も同様にステップS1311〜ステップS1313の処理に移行する。
ステップS1311では、払出初期化コマンド等を出力する。続くステップS1312ではRAM313の使用領域を0にクリアし、ステップS1313ではRAM313の初期化処理を実行する。その後、ステップS1314にて割込み許可を設定し、ステップS1315(図31)の処理に移行する。
一方、クリアスイッチ169が押されていない場合には、停電フラグが格納されていること、及びRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、ステップS1307〜ステップS1310の復電処理に移行する。
ステップS1307では、停電フラグ格納エリアに格納されている停電フラグをクリアする。その後、ステップS1308にて従側の制御基板を電源遮断前の遊技状態に復帰させるための復電コマンドを出力する。
その後、ステップS1309にて、RAM313のコマンド出力フラグ格納エリアにコマンド出力フラグが格納されている場合には、そのコマンド出力フラグをクリアする。その後、ステップS1310では、RAM313の不正検知フラグ格納エリアに不正検知フラグが格納されているか否かを判定する。不正検知フラグが格納されていない場合には、ステップS1314にて割込み許可を設定し、ステップS1315(図31)の処理に移行する。
一方、不正検知フラグが格納されている場合には、上記不正行為が行われたことがCPU311にて特定され、さらにその特定された状態が解除されていない状況において、電源が遮断されたことを意味する。この場合には、ステップS1314の割込み許可の設定を行わずステップS1315(図31)の処理に移行する。
ステップS1315では、RAM313の停電フラグ格納エリアに停電フラグが格納されているか否かを判定する。また、ステップS1316では、RAM313の不正検知フラグ格納エリアに不正検知フラグが格納されているか否かを判定する。
停電フラグ及び不正検知フラグの両方が格納されていない場合には、ステップS1315及びステップS1316の両方にて否定判定をし、ステップS1318以降の処理を実行する。つまり、ステップS1318では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。続くステップS1319では、両変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する。続くステップS1320では、開放検知処理を実行する。これらの処理については、上記第1の実施の形態におけるステップS610〜ステップS612の各処理と同様であるため、ここでは説明を省略する。そして、ステップS1318〜ステップS1320の各処理を実行した後は、ステップS1315に戻る。その後、停電フラグ又は不正検知フラグのいずれか一方が格納されるまで、上記処理を繰り返す。
また、停電フラグが格納されている場合には、ステップS1315にて肯定判定をし、ステップS1321以降の停電時処理を実行する。当該停電時処理は、上記第1の実施の形態におけるステップS613〜ステップS616の処理と同様であるため、ここでは説明を省略する。
また、停電フラグが格納されておらず不正検知フラグが格納されている場合には、ステップS1315にて否定判定をするとともに、ステップS1316にて肯定判定をし、ステップS1317に進む。ステップS1317では、不正検知時用処理を実行する。当該不正検知時用処理の処理構成は、上記第1の実施の形態における不正検知時用処理(図25)と同様であるため、ここでは説明を省略する。不正検知時用処理が実行されることにより、不正特定状態の設定が行われ、遊技が進行しないように規制される。その後、停電フラグが格納されるまで、又は不正特定状態の設定が解除されるまで、ステップS1315〜ステップS1320の処理が繰り返し実行される。
次に、本実施の形態におけるCPU311のタイマ割込み処理について、図32のフローチャートを用いて説明する。本タイマ割込み処理は、上記第1の実施の形態と同様に、2msec周期で起動されるが、これに限定されることはなく、例えば、3msec周期又は4msec周期で起動される構成としてもよい。
先ずステップS1401では、読み込み処理を実行する。その後、ステップS1402では、不正監視処理を実行する。その後、ステップS1403にて、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。続くステップS1404では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の更新を実行する。その後、ステップS1405にて始動入賞処理を実行する。以上のステップS1401〜ステップS1405の各処理は、上記第1の実施の形態におけるステップS201〜ステップS205の各処理と同一であるため、ここでは説明を省略する。
続くステップS1406では、前回の処理で更新されたコマンド等の出力データを従側の各制御基板に出力する。その後、ステップS1407では、変動種別カウンタ及び外れ図柄カウンタの更新を実行する。その後、ステップS1408では特定ランプ部制御処理を実行する。その後、ステップS1409では大入賞口開閉処理を実行する。その後、ステップS1410では遊技球発射制御処理を実行し、本タイマ割込み処理を終了する。以上のステップS1406〜ステップS1410の各処理は、上記第1の実施の形態におけるステップS601〜ステップS605の各処理と同一であるため、ここでは説明を省略する。
以上詳述した本実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
(他の実施の形態)
なお、上述した各実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。ちなみに、以下の別形態の構成を、上記各実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合せて適用してもよい。
(1)上記各実施の形態では、主制御基板301のCPU311によるNMI割込み処理(図18)においてRAM313の停電フラグ格納エリアに停電フラグを格納する処理のみを実行し、実際の停電時処理は通常処理(図23)にて実行する構成のパチンコ機10に対して、不正特定状態の設定及びその解除に関する本発明を適用したが、NMI割込み処理にて停電時処理(ステップS613〜ステップS616又はステップS1321〜ステップS1324)を実行する構成のパチンコ機10に対して、不正特定状態の設定及びその解除に関する本発明を適用してもよい。当該パチンコ機10においても上記磁石を用いた不正行為や上記振動を与える不正行為が行われることが想定され、これに対して不正特定状態の設定及びその解除に関する本発明を適用することで、上記不正行為に対して好適に対処することができる。
(2)上記各実施の形態では、磁気検知センサ105、フォトセンサ106及び振動検知センサ107を遊技盤81に設置し、磁石を用いた不正行為や振動を与える不正行為に対して不正特定状態の設定を行い遊技が進行しないように規制する構成としたが、監視対象の不正行為が上記のものに限定されることはない。
例えば、磁気検知センサ105のみを設置し、磁石を用いた不正行為のみを監視対象としてもよい。また、フォトセンサ106のみを設置し、パチンコ機10に対する異常動作のみを監視対象としてもよい。また、振動検知センサ107のみを設置し、振動を与える不正行為のみを監視対象としてもよい。なお、磁石を用いた不正行為のみを監視対象とする場合やパチンコ機10に対する異常動作のみを監視対象とする状況は、上記各実施の形態のようなパチンコ機10だけでなく、例えば、作動口84がステージユニット172上ではなく遊技盤81の盤面上に設置されたパチンコ機や、当該パチンコ機において作動口84に電動役物が設置されているとともに、電動役物の開放抽選契機となるスルーゲートが遊技盤81に設置されたパチンコ機や、当該パチンコ機において作動口84が上下に並設されたパチンコ機においても発生する。この場合、これらパチンコ機に対して、不正特定状態の設定及びその解除に関する本発明を適用することで、上記不正行為に対して好適に対処することができる。
また、上記磁石を用いた不正行為や振動を与える不正行為に対しては、報知処理のみを実行するようにして上記不正特定状態の設定を行わないようにしてもよい。但し、この場合、報知用の信号が伝送される電気配線を切断することで報知用の信号経路を切断し、報知処理が実行されないようにする行為が想定される。例えば、主制御基板301と音声ランプ制御基板324との間の信号経路を切断する行為が想定される。また、音声ランプ制御基板324と報知機器(スピーカ部26やエラー表示ランプ部24)との間の信号経路を切断する行為が想定される。また、主制御基板301と外部端子板213との間の信号経路を切断する行為が想定される。また、外部端子板213と遊技ホール側の管理制御装置との間の信号経路を切断する行為が想定される。これに対して、報知用の信号経路が遮断されていることを検知する経路遮断検知手段を設けるとともに、主制御基板301といった制御手段は当該経路遮断検知手段の検知結果に基づいて上記不正特定状態の設定といった規制を実行する規制手段を有する構成としてもよい。この場合、磁石を用いた不正行為や振動を与える不正行為が行われた段階では不正用報知のみに留め、その不正用報知を不正に解除しようとする行為に対しては遊技が進行しないように規制することができる。
なお、経路遮断検知手段としては、信号経路の出力元及び出力先間で常時接続確認用信号を送受し合うようにする確認用信号出力手段と確認用信号入力手段とを備えた構成が考えられる。
(3)上記各実施の形態では、停電監視基板303からの停電信号を主制御基板301のCPU311のNMI端子に入力するようにしたが、これに代えて、磁気検知センサ105や前扉枠開放スイッチ107などからの信号が入力される入力ポートに入力する構成としてもよい。当該構成であっても、上記各実施の形態と同様に、不正特定状態の設定が行われ遊技の進行が規制されている状況においても停電発生時には停電時処理の実行を優先させることが好ましい。具体的には、不正特定状態の設定が行われ、各種入賞センサ152〜154の信号の読み込み処理が実行されない状況であっても、上記停電信号が入力される入力ポートの信号監視処理を実行するようにするとよい。なお、停電信号専用の入力ポートを設けてもよい。また、不正特定状態の設定が行われている状況であっても信号監視処理が実行される専用の入力ポートを設けてもよい。この場合、当該入力ポートには停電信号だけでなく、前扉枠開放スイッチ78や本体枠開放スイッチ230からの信号を入力するようにする。
(4)不正特定状態の設定が行われた場合には、主制御基板301のCPU311における作動制御用処理の全てが行われないように規制するのではなく、少なくとも遊技球の発射が行われないように規制する構成としてもよい。
上記第1の実施の形態において具体的には、不正監視処理(図20)にて不正検知フラグが格納された場合には、通常処理(図23)にて遊技球発射制御処理(ステップS605)を実行しないようにする。より詳細には、通常処理において、ステップS604とステップS605との間の処理にて、RAM313に不正検知フラグが格納されているか否かを判定する判定処理を実行するようにし、不正検知フラグが格納されていない場合にはステップS605の遊技球発射制御処理を実行し、不正検知フラグが格納されている場合にはステップS605の遊技球発射制御処理を実行することなくステップS606の処理を実行するようにする。遊技球の発射が禁止されれば、その後に遊技を継続することができなくなるため、遊技が進行しないよう規制することができる。
なお、当該構成において遊技球発射制御処理のみ行われないようにすることで、その他の作動制御用処理は規制されない。したがって、不正特定状態の設定が行われている状況であっても大当たり乱数カウンタC1といった各種カウンタの更新処理は継続されることとなる。不正特定状態の設定が行われている状況であっても、それら各種カウンタの更新処理が実行されることが好ましく、本構成によれば各種カウンタの更新処理を継続することができる。
(5)また、遊技球の発射を禁止するのではなく、不正特定状態の設定が行われた場合には遊技球の発射周期をそれまでよりも遅い周期に切り換える構成としてもよい。この場合、実質的に遊技球が発射されない程度の周期に切り換えることで、上記遊技球の発射を禁止した場合と同様の効果を得ることができる。また、実質的に遊技球が発射されない程度ではないにしても、ある程度の遅い周期に切り換えるようにすることで、遊技の進行が遅れるように、遊技の進行を規制することができる。つまり、少なくとも遊技球の発射が制限されるようにすることで、遊技の進行を規制することができる。
(6)不正特定状態の設定が行われた場合には、主制御基板301のCPU311における作動制御用処理の全てが行われないように規制するのではなく、少なくとも各種入賞センサ152〜154からの信号の監視を行わないように規制する構成としてもよい。つまり、少なくとも各種入賞口82〜84への入賞が無効化されるように規制する構成としてもよい。
上記第1の実施の形態において具体的には、不正監視処理(図20)にて不正検知フラグが格納された場合には、タイマ割込み処理(図19)にて読み込み処理(ステップS201)を実行しないようにする。より詳細には、タイマ割込み処理において、ステップS201の前の処理にて、RAM313に不正検知フラグが格納されているか否かを判定する判定処理を実行するようにし、不正検知フラグが格納されていない場合にはステップS201の読み込み処理を実行し、不正検知フラグが格納されている場合にはステップS201の読み込み処理を実行することなくステップS202の処理を実行するようにする。各種入賞口82〜84への入賞が無効化されれば、その後に賞球の発生や大当たり抽選などが行われなくなるため、遊技が進行しないよう規制することができる。
なお、当該構成において読み込み処理のみ行われないようにすることで、その他の作動制御用処理は規制されない。したがって、不正特定状態の設定が行われている状況であっても大当たり乱数カウンタC1といった各種カウンタの更新処理は継続されることとなる。不正特定状態の設定が行われている状況であっても、それら各種カウンタの更新処理が実行されることが好ましく、本構成によれば各種カウンタの更新処理を継続することができる。
(7)また、各種入賞口82〜84への入賞が無効化されるように規制するのではなく、遊技球発射ハンドル41の操作が無効化されるように、当該遊技球発射ハンドル41の操作に関わる信号の監視を行わないようにしてもよい。この場合、不正特定状態の設定が行われた場合には、遊技球の発射が禁止され、既に説明したように遊技が進行しないように規制することができる。
(8)不正特定状態の設定が行われた場合には、主制御基板301のCPU311における作動制御用処理の全てが行われないように規制するのではなく、少なくとも遊技球の払出が制限されるように規制する構成としてもよい。上記第1の実施の形態において具体的には、不正監視処理(図20)にて不正検知フラグが格納された場合には、通常処理(図23)にて外部出力処理(ステップS601)を実行しないようにする。より詳細には、通常処理において、ステップS601の前の処理にて、RAM313に不正検知フラグが格納されているか否かを判定する判定処理を実行するようにし、不正検知フラグが格納されていない場合にはステップS601の外部出力処理を実行し、不正検知フラグが格納されている場合にはステップS601の外部出力処理を実行することなくステップS602の処理を実行するようにする。外部出力処理が実行されなければ、賞球コマンドが払出制御基板322に出力されなくなるため、その後の入賞に基づく遊技球の払出が行われなくなり、遊技が進行しないよう規制することができる。
また、上記構成に代えて、外部出力処理は行うものの、不正検知フラグが格納されている場合には、主制御基板301から払出制御基板322に賞球禁止コマンドを出力し、払出制御基板322では賞球禁止コマンドを入力した場合、払出装置224の駆動制御を停止させる又は低速にさせる構成としてもよい。当該構成であっても遊技球の払出が制限され、上記構成と同様の効果を得ることができる。
なお、上記各構成において遊技球の払出のみ制限されるようにすることで、その他の作動制御用処理は規制されない。したがって、不正特定状態の設定が行われている状況であっても大当たり乱数カウンタC1といった各種カウンタの更新処理は継続されることとなる。不正特定状態の設定が行われている状況であっても、それら各種カウンタの更新処理が実行されることが好ましく、本構成によれば各種カウンタの更新処理を継続することができる。
(9)また、上記のように不正特定状態の設定が行われている状況において遊技球の払出が制限されるように規制する構成において、その規制されている間における入賞口(払出対応入球部)152〜154への入賞(入球)を有効としてもよく、逆に無効としてもよい。有効とする場合、上記規制されている状況であっても、賞球情報が主制御基板301のRAM313などに記憶されることとなり、不正特定状態の設定が解除された場合にはその賞球情報に対応した遊技球の払出が実行されることとなる。このように入賞を無効化しないようにすることで、実際には不正行為が行われていないにも関わらず、例えば磁気検知センサ105が磁気を検知して不正特定状態の設定が行われたとしても、それに対して遊技者が被る不利益を低減することができる。一方、実際に不正行為が行われたことが特定された場合には、遊技ホールの管理者などがRAMのクリア操作を実行することで、その不正行為に基づく遊技球の払出を禁止することができる。
一方、無効とする場合、上記規制されている状況で入賞口152〜154への入賞が発生したとしても、賞球情報は記憶されない。そうすると、不正特定状態の設定が解除されたとしてもその入賞に対応した遊技球の払出は実行されない。この場合に、無効にした賞球数のみはRAM313などで記憶しておくようにし、不正特定状態の設定が解除された場合にはその無効にした賞球数を図柄表示装置91の表示画面などにて報知する構成としてもよい。
(10)不正特定状態の設定が行われた場合には、主制御基板301のCPU311における作動制御用処理の全てが行われないように規制するのではなく、少なくとも可変入賞装置(特別遊技状態の場合には開閉手段が開放状態となり遊技球が入球したことに基づいて遊技球の払出が実行されることとなる特別入球装置)83が開放されないように規制する構成としてもよい。上記第1の実施の形態において具体的には、不正監視処理(図20)にて不正検知フラグが格納された場合には、通常処理(図23)にて大入賞口開閉処理(ステップS601)を実行しないようにするとともに、可変入賞装置83の開閉体が閉鎖状態に維持されるようにする。より詳細には、通常処理において、ステップS603とステップS604の間の処理にて、RAM313に不正検知フラグが格納されているか否かを判定する判定処理を実行するようにし、不正検知フラグが格納されていない場合にはステップS604の大入賞口開閉処理を実行し、不正検知フラグが格納されている場合にはステップS604の大入賞口開閉処理を実行することなくステップS605の処理を実行するようにする。可変入賞装置83が開放されなければ、当該可変入賞装置83への入賞が発生しなくなるため、パチンコ機10を振動させるといった不正行為が行われた場合に多数の遊技球が払い出されないようにすることができる。
なお、上記各構成において大入賞口開閉処理のみ実行されないようにすることで、その他の作動制御用処理は規制されない。したがって、不正特定状態の設定が行われている状況であっても大当たり乱数カウンタC1といった各種カウンタの更新処理は継続されることとなる。不正特定状態の設定が行われている状況であっても、それら各種カウンタの更新処理が実行されることが好ましく、本構成によれば各種カウンタの更新処理を継続することができる。
(11)不正特定状態の設定が行われた場合には、主制御基板301のCPU311における作動制御用処理の全てが行われないように規制するのではなく、少なくとも大当たり状態(特別遊技状態)に移行しないように規制する構成としてもよい。上記第1の実施の形態において具体的には、不正監視処理(図20)にて不正検知フラグが格納された場合には、通常処理(図23)にて特定ランプ部制御処理(ステップS603)を実行しないようにする。より詳細には、通常処理において、ステップS602とステップS603との間の処理にて、RAM313に不正検知フラグが格納されているか否かを判定する判定処理を実行するようにし、不正検知フラグが格納されていない場合にはステップS603の特定ランプ部制御処理を実行し、不正検知フラグが格納されている場合にはステップS603の特定ランプ部制御処理を実行することなくステップS604の処理を実行するようにする。特定ランプ部制御処理が実行されなければ、大当たり状態を発生させるか否かの抽選処理が実行されなくなるため、正規の遊技が進行しないよう規制することができる。但し、特定ランプ部制御処理は、図柄表示装置91及び特定ランプ部93における1遊技回の開始及び終了を制御するものであるため、特定ランプ部制御処理が実行されないように規制されることで、図柄表示装置91における図柄の変動表示や特定ランプ部93における表示色の切換表示も実行されないように規制されることとなる。
また、上記構成に代えて、大当たり状態を発生させるか否かの抽選処理は実行しないものの、作動口84への入賞に基づく図柄の変動表示などは行うようにしてもよい。但し、当該図柄の変動表示などでは、最終的に外れ表示が行われることとなる。また、抽選処理は実行するものの、大当たり当選となった場合には、それを無効化する構成としてもよい。これらいずれの構成であっても、大当たり状態が発生しないように規制されるため、正規の遊技が進行しないように規制することができる。
また、上記構成に代えて、不正監視処理(図20)にて不正検知フラグが格納された場合には、タイマ割込み処理(図19)にて始動入賞処理(ステップS205)を実行しないようにしてもよい。より詳細には、タイマ割込み処理において、ステップS204とステップS205との間の処理にて、RAM313に不正検知フラグが格納されているか否かを判定する判定処理を実行するようにし、不正検知フラグが格納されていない場合にはステップS205の始動入賞処理を実行し、不正検知フラグが格納されている場合にはステップS205の始動入賞処理を実行することなくタイマ割込み処理を終了するようにする。始動入賞処理が実行されなければ、大当たり状態を発生させるか否かの抽選を行うための大当たり乱数カウンタC1などの格納処理が実行されなくなるため、正規の遊技が進行しないように規制することができる。
なお、上記各構成において大当たり状態に移行しないように規制するのみとすることで、その他の作動制御用処理は規制されない。したがって、不正特定状態の設定が行われている状況であっても大当たり乱数カウンタC1といった各種カウンタの更新処理は継続されることとなる。不正特定状態の設定が行われている状況であっても、それら各種カウンタの更新処理が実行されることが好ましく、本構成によれば各種カウンタの更新処理を継続することができる。
(12)上記第1の実施の形態において、不正特定状態の設定が行われた場合には、主制御基板301のCPU311における作動制御用処理の全てが行われないように規制するのではなく、少なくともCPU311のタイマ割込み処理(図19)が起動されないように規制する構成としてもよい。これにより、不正特定状態の設定が行われた場合には、読み込み処理(ステップS201)や始動入賞処理(ステップS205)などが実行されなくなり、遊技が進行しないように規制することができる。
なお、上記構成においてタイマ割込み処理(図19)では、ステップS203及びステップS204の大当たり乱数カウンタC1の更新処理等は行わないようにし、代わりに、当該更新処理を通常処理(図23)にて行うようにするとともに、不正特定状態の設定が行われた場合にはタイマ割込み処理の起動の規制のみを行うようにしてもよい。この場合、不正特定状態の設定が行われている状況であっても大当たり乱数カウンタC1といった各種カウンタの更新処理は継続されることとなる。不正特定状態の設定が行われている状況であっても、それら各種カウンタの更新処理が実行されることが好ましく、本構成によれば各種カウンタの更新処理を継続することができる。
(13)上記第1の実施の形態において、不正特定状態の設定が行われた場合には、主制御基板301のCPU311における作動制御用処理の全てが行われないように規制するのではなく、少なくともCPU311の通常処理(図23)におけるステップS601〜ステップS605の各処理が実行されないように規制する構成としてもよい。これにより、不正特定状態の設定が行われた場合には、外部出力処理(ステップS601)や遊技球発射制御処理(ステップS605)などが実行されなくなり、遊技が進行しないように規制することができる。
なお、上記構成において不正特定状態の設定が行われた場合には通常処理におけるステップS601〜ステップS605の各処理が実行されないように規制し、タイマ割込み処理(図19)の割込み禁止の設定を行わないようにしてもよい。この場合、不正特定状態の設定が行われている状況であっても大当たり乱数カウンタC1といった各種カウンタの更新処理は継続されることとなる。不正特定状態の設定が行われている状況であっても、それら各種カウンタの更新処理が実行されることが好ましく、本構成によれば各種カウンタの更新処理を継続することができる。
(14)上記各実施の形態において、不正特定状態の設定が行われた場合には、主制御基板301のCPU311にて遊技が進行されなように規制するだけでなく、音声ランプ制御基板324において図柄表示装置91の表示画面における表示を消す構成としてもよい。また、図柄の変動表示が行われている状況で不正特定状態の設定が行われた場合には、変動表示時間の計測を行わず、図柄の変動表示を行わせ続ける構成としてもよい。これらの場合、遊技ホールの管理者等にとっては、図柄表示装置91における表示画面の異常を周囲にて確認することで、当該パチンコ機10において不正特定状態の設定が行われていることを把握することができる。
(15)上記各実施の形態では、不正特定状態の設定が行われた状況であっても、乱数初期値更新処理(ステップS610又はステップS1318)及び変動用カウンタ更新処理(ステップS611又はステップS1319)が実行される構成としたが、これらの更新処理に加え又はこれらの更新処理に代えて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3又は外れ図柄カウンタCL,CM,CRの少なくとも一の更新処理が実行される構成としてもよい。つまり、不正特定状態の設定が行われた状況であっても、特別遊技状態の抽選処理に用いられる抽選情報の更新処理又は図柄の変動表示が行われた場合の停止パターンの更新処理が実行される構成としてもよい。
上記構成について具体的には、不正検知フラグが格納された場合にタイマ割込み処理の割込みを禁止するのではなく、また第1の実施の形態においては、不正検知フラグが格納されたとしてもステップS609の処理を実行するようにする。そして、実行されないように規制する処理の手前の処理として不正検知フラグが格納されているか否かの判定を行い、不正検知フラグが格納されている場合には当該規制する処理を実行しないようにする。一方、カウンタなどの更新処理については、不正検知フラグが格納されているか否かに関係なく実行するようにする。
不正特定状態の設定が行われている状況であっても、それら各種カウンタの更新処理が実行されることが好ましく、本構成によれば各種カウンタの更新処理を継続することができる。
また、不正特定状態の設定が行われた状況においては、上記のような乱数の更新処理を一切行わない構成としてもよい。
(16)上記各実施の形態において、不正特定状態の設定が行われた状況では本体枠13や前扉枠14といった開閉体の開放を監視しないように構成してもよい。当該構成であっても、磁石を用いた不正行為が行われた場合には、遊技が進行しないように規制することができる。但し、当該構成においては、不正特定状態の設定の解除条件に、本体枠13の開放が含まれないようにする必要がある。また、本体枠13及び前扉枠14のうち一方について、不正特定状態の設定が行われた状況で開放の監視を行うようにしてもよい。
(17)上記第1の実施の形態において、不正監視処理(図20)をタイマ割込み処理(図19)にて実行するのではなく、通常処理(図23)にて実行するようにしてもよい。また、上記第2の実施の形態において、不正監視処理をタイマ割込み処理(図32)にて実行するのではなく、メイン処理(図30、図31)にて実行するようにしてもよい。
また、磁気検知センサ105、フォトセンサ106及び振動検知センサ107の信号を、CPU311のNMI端子に入力するようにし、NMI割込み処理にて上記不正監視処理を実行する構成としてもよい。
(18)上記第1の実施の形態では、通常処理(図23)においてステップS608の不正検知時用処理を実行した後は、ステップS609にて次回の通常処理の開始タイミングか否かの判定を行わないようにしたが、これに代えて、ステップS609の処理を実行する構成としてもよい。当該構成であっても、不正検知時用処理ではタイマ割込み処理の割込みが禁止されるため、ステップS609にて肯定判定されることはない。よって、上記第1の実施の形態と同様に、不正特定状態の設定として、通常処理のステップS601〜ステップS605の処理が実行されないようにすることができる。
(19)上記各実施の形態において、外部端子板213に不正検知信号専用の出力端子を設け、不正特定状態の設定をする場合、当該出力端子から遊技ホール側の管理制御装置に不正検知信号を出力するようにしてもよい。
(20)上記各実施の形態では、不正特定状態の設定をする場合、タイマ割込み処理の割込み禁止設定(ステップS801)を優先して行うことで、遊技が進行しないように規制した後に報知処理を開始するようにしたが、これに代えて、報知処理を開始した後に遊技が進行しないように規制してもよい。
(21)上記各実施の形態では、クリアスイッチ169を主制御装置162に搭載したが、これに代えて、クリアスイッチ169を電源及び発射制御装置243などの他の制御装置に搭載してもよい。また、クリアスイッチ169をRAMの初期化用と、不正特定状態の設定の解除用とで兼用するのではなく、RAMの初期化用と、不正特定状態の設定の解除用とでそれぞれ個別に操作手段を設ける構成としてもよい。
(22)上記各実施の形態において、振動検知センサ107における振動検知が、パチンコ機10を意図的に振動させたことによるもの、又は本体枠13や前扉枠14が開閉操作されたことによるもののいずれであるかが主制御基板301のCPU311において特定可能な構成としてもよい。具体的には、振動検知センサ107からの振動検知情報の入力開始タイミングにおいて、前扉枠開放スイッチ78又は本体枠開放スイッチ230からの開放検知情報の入力開始タイミング若しくは入力終了タイミングとなっている場合には、その振動検知情報の入力を無効化する構成としてもよい。また、前扉枠開放スイッチ78又は本体枠開放スイッチ230からの開放検知情報の入力開始タイミングから無効基準期間内の上記振動検知情報の入力を無効化する構成としてもよく、前扉枠開放スイッチ78又は本体枠開放スイッチ230からの開放検知情報の入力終了タイミングから無効基準期間内の上記振動検知情報の入力を無効化する構成としてもよい。上記構成とすることにより、本体枠13や前扉枠14を開閉操作しただけで、不正特定状態の設定が行われ、遊技が進行しないように規制されてしまう可能性が低減される。
(23)上記各実施の形態において、不正特定状態の設定を解除した後は、CPU311において本体枠13の閉鎖が特定され、その後、予め定められた監視許可期間(例えば、5sec)が経過するまで不正監視処理(図20)を実行しないようにしてもよい。不正特定状態の設定の解除が行われる場合、本体枠13を開放した状態で行う必要がある。この場合に、不正特定状態の設定の解除を行った後、本体枠13を閉鎖した場合に、振動検知センサ107が振動を検知すると、再度、不正特定状態の設定が行われてしまうことが懸念される。これに対して、本構成によれば、このような不都合が発生してしまう可能性が低減される。
(24)上記各実施の形態において、主制御基板301上にLEDなどの発光体を設け、不正特定状態の設定の有無に関係なく、主制御基板301が正常に動作している状況では当該発光体における発光を行う構成としてもよい。この場合、遊技ホールの管理者等にとっては、パチンコ機10において遊技が進行しない状態となった場合にその発光体を確認することで、遊技が進行しない理由が不正特定状態の設定によるものか又は主制御基板301の不具合によるものかを特定することができる。なお、上記発光体からの発光を、不正特定状態の設定に際して開始させる構成としてもよい。
(25)上記各実施の形態において、不正特定状態の設定の解除が、クリアスイッチ169の操作といった手動操作で行われるのではなく、当該手動操作を要することなく主制御基板301のCPU311において自動で行う構成としてもよい。例えば、制御手段に、カウンタエリアやリアルタイマなどといった解除基準期間計測手段を設け、不正特定状態の設定を行った後に、予め定められた解除基準期間(例えば、1min)が経過した場合に当該不正特定状態の設定を解除する構成としてもよい。この場合、不正特定状態の設定の解除に際して手動操作を要しないため、遊技ホールの管理者等にとっては日常業務の効率化が図られる。
また、上記のような自動解除の構成と、上記各実施の形態のような手動解除の構成とを併せ持つ構成としてもよい。つまり、解除操作手段を備えた構成において、規制を解除する規制解除手段は、解除操作手段の操作に基づいて規制状態を解除する第1規制解除手段と、解除操作手段の操作に基づかず予め定められた特別解除条件が成立した場合に規制状態を解除する第2規制解除手段とを備えた構成となる。この場合、上記解除基準期間をある程度長く確保した場合において(例えば、30min)、必要に応じて不正特定状態の設定の解除を所望のタイミングで行うことができる。
(26)上記各実施の形態において、不正特定状態の設定の解除が、パチンコ機10の電源の再投入で行われる構成としてもよい。また、不正特定状態の設定の解除が、払出制御装置242に設けられた状態復帰スイッチ245の操作に基づいて行われる構成としてもよい。また、不正特定状態の設定の解除が、状態復帰スイッチ245を操作しながら電源が立ち上げられたことに基づいて行われる構成としてもよい。また、不正特定状態の設定の解除が、本体枠13又は前扉枠14の開閉操作に基づいて行われる構成としてもよい。また、不正特定状態の設定の解除が、音量調整ボリュームの調整に基づいて行われる構成としてもよい。また、不正特定状態の設定が行われている状況であっても、タイマ割込み処理(図19)の読み込み処理(ステップS201)が実行される構成であり、且つ遊技領域にゲート状の球検知センサを備える構成においては、その球検知センサにて、通常の遊技球の通過では達することがない所定期間に亘って遊技球を検知したことに基づいて、不正特定状態の設定の解除が行われる構成としてもよい。また、不正特定状態の設定が行われている状況であっても、タイマ割込み処理(図19)の読み込み処理(ステップS201)が実行される構成においては、予め定められた検知順序で各入賞検知センサ152〜154にて遊技球を検知した場合に、不正特定状態の設定の解除が行われる構成としてもよい。これらの場合、上記各実施の形態と同様に、不正特定状態の設定の解除後には、遊技の状況は、不正特定状態の設定前の状況に復帰することとなる。
(27)上記各実施の形態において、不正特定状態の設定の解除が、クリアスイッチ169を操作しながら電源が立ち上げられたことに基づいて行われる構成としてもよい。また、クリアスイッチ169を操作しながら電源の立ち上げ操作が複数回行われたことに基づいて、不正特定状態の設定の解除が行われる構成としてもよい。これらの場合、不正特定状態の設定の解除後には、RAM313が初期化されるため、遊技の状況は不正特定状態の設定前の状況に復帰することなく初期化される。
(28)磁石を用いた行為や振動させる行為といった予め定められた特定異常行為が行われた場合に、主制御装置162ではなく、払出制御装置242にて一部の処理を実行しないようにすることで、上記特定異常行為後においてその不正行為者に対して特典が付与されないようにしてもよい。具体的には、払出制御装置242において上記特定異常行為の発生が特定された場合には、解除条件が成立するまで賞球制御処理(ステップS1108)が実行されないように規制するようにしてもよい。また、主制御装置162及び払出制御装置242の両方において、特定異常行為に対する規制を行うようにしてもよい。
(29)上記各実施の形態において、RAM313に、磁気検知センサ105、フォトセンサ106及び振動検知センサ107のそれぞれに対応した第1不正検知フラグ、第2不正検知フラグ及び第3不正検知フラグを格納可能な構成とし、各センサ105〜107のいずれか1つに異常行為が検知された場合には、そのセンサ105〜107に対応した不正検知フラグを格納する構成としてもよい。つまり、第1特別異常行為と第2特別異常行為とが設定された構成においては、制御手段はそれぞれの特別異常行為に対応した第1異常特定手段と第2異常特定手段とを有する構成としてもよい。
また、当該構成において、各センサ105〜107に対応した報知処理や遊技ホール側の管理制御装置への信号出力処理を実行するようにしてもよい。つまり、第1特別異常行為と第2特別異常行為とが設定された構成においては、制御手段はそれぞれの特別異常行為に対応した第1異常報知処理と第2異常報知処理とを有する構成としてもよい。
(30)上記各実施の形態において、磁気検知センサ105及び振動検知センサ107を主制御装置162の基板ボックス163内に収容するようにしてもよい。そして、これらセンサ105,107からの信号線も基板ボックス163内に収容する。つまり、異常検知手段(特別行為検知手段)を制御手段の基板ボックス内に収容させて設けるとともに、異常検知手段からの信号伝達部も基板ボックス内に収容するようにする。これにより、異常検知手段と制御手段との間の信号経路を切断し、不正特定状態の設定を実行させないようにする不正行為を阻止することが可能となる。
(31)上記各実施の形態において、磁気検知センサ105、フォトセンサ106又は振動検知センサ107といった異常検知手段と、主制御装置162との間の信号経路を切断し、不正特定状態の設定を実行させないようにする不正行為が想定される。これに対して、制御手段は、異常検知用の信号経路が切断されていることを特定可能な構成とするとともに、その特定結果に基づいて上記不正特定状態の設定といった規制を実行する構成としてもよい。この場合、上記不正行為が行われたとしても、それに対して遊技ホールが被る不利益を低減することができる。
なお、磁気検知センサ105、フォトセンサ106及び振動検知センサ107は、異常を検知していない状態においてHIレベル信号を出力し、異常を検知している状態においてLOWレベル信号を出力する構成としてもよい。この場合、上記信号経路が切断された場合には制御手段にて入力する信号が自ずとLOWレベル信号となるため、上記信号経路を切断する行為が行われた場合に不正特定状態の設定を行うことができる。
また、各センサ105〜107は、異常を検知していない状態において正常検知信号を出力し、異常を検知している状態において正常検知信号の出力を停止する構成としてもよい。この場合、上記信号経路が切断された場合には制御手段にて正常検知信号を自ずと入力しなくなるため、上記信号経路を切断する行為が行われた場合に不正特定状態の設定を行うことができる。
つまり、異常検知手段は、異常を検知した場合と、異常検知手段及び制御手段間の信号経路が切断された場合とで、制御手段における異常検知手段の検知結果の入力状態が同一となるように、信号の出力を行う構成としてもよい。この場合、上記信号経路が切断された場合には制御手段にて正常検知信号を自ずと入力しなくなるため、上記信号経路を切断する行為が行われた場合に不正特定状態の設定を行うことができる。
また、異常検知手段から制御手段に常時接続確認用信号を伝送する確認用信号線を、異常信号を伝送する異常検知用信号線に対して並設し、一方が切断される場合に他方も切断される構成としてもよい。この場合であっても、上記信号経路が切断された場合には制御手段にて正常検知信号を自ずと入力しなくなるため、上記信号経路を切断する行為が行われた場合に不正特定状態の設定を行うことができる。
(32)上記各実施の形態では、一般入賞口82、可変入賞装置83、及び作動口84などの入賞口に遊技球が入った場合には、遊技球を払い出すことで特典を付与する構成としたが、かかる構成に限定されるものではなく、遊技者に何らかの特典が付与される構成であればよい。例えば、入賞口に遊技球が入った場合に遊技球以外の賞品を払い出す構成であってもよい。
(33)上記各実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機に、本発明を適用してもよい。
(33−1)例えば、遊技球が流下する遊技領域に、当該流下する遊技球が入球可能な入球部と、有利口を有する内部空間及び当該内部空間への球入口を開閉する開閉手段を有する役物装置とを備え、入球部に遊技球が入球したことに基づいて前記開閉手段が開放状態となり、前記有利口に遊技球が入球したことに基づいて予め定められた特別遊技状態に移行する遊技機に、本発明を適用してもよい。なお、当該遊技機において、特別遊技状態に移行した場合、前記役物装置が開放状態となる又は前記役物装置とは異なる特別入球装置が開放状態となる構成としてもよい。
当該遊技機においては、磁石を用いたり、振動を与えたりすることにより、有利口への入球を強制的に行わせようとする行為が想定される。これに対して、上記各実施の形態と同様に、磁気検知センサ105や振動検知センサ107などを設置し、上記不正行為が行われた場合には、不正特定状態の設定を行うようにすることが好ましい。
上記遊技機において、不正特定状態の設定として、少なくとも入球部への入球を無効化する構成としてもよい。また、不正特定状態の設定として、少なくとも開閉手段の開放動作を禁止する構成としてもよい。また、不正特定状態の設定として、少なくとも有利口への入球を無効化する構成としてもよい。また、役物装置の内部空間内に、前記有利口に遊技球が入球し易くなる第1状態と当該第1状態よりも前記有利口に入球しがたくなる第2状態とに切り替わり可能な可動装置を有する構成においては、不正特定状態の設定として、少なくとも可動装置を第2状態に維持させる構成としてもよい。
なお、不正特定状態の設定の解除については、上記各実施の形態における構成を適用してもよいことは言うまでもない。
(33−2)例えば、遊技球が流下する遊技領域に、当該流下する遊技球が入球可能な入球部と、有利口を有する内部空間及び当該内部空間への球入口を開閉する開閉手段を有する役物装置と、入球部への入球に基づいて抽選を行う抽選手段と、当該抽選手段の抽選結果が第1当選結果であることに基づいて前記開閉手段を開放状態とする開閉制御手段と、前記抽選手段の抽選結果が第2当選結果であることに基づいて遊技状態を予め定められた特別遊技状態に移行させる第1移行手段と、前記有利口に遊技球が入球したことに基づいて前記特別遊技状態又はそれとは異なる特別遊技状態に移行させる第2移行手段と、を備えた遊技機に、本発明を適用してもよい。当該遊技機では、入球部に入球したことに基づいて役物装置が開放状態となることがあり、役物装置の有利口に遊技球が入球することで特別遊技状態に移行する。また、入球部に入球したことに基づいて、役物装置の開放状態及び有利口への遊技球の入球を介することなく特別遊技状態に移行することがある。なお、当該遊技機において、特別遊技状態に移行した場合、前記役物装置が開放状態となる又は前記役物装置とは異なる特別入球装置が開放状態となる構成としてもよい。また、入球部への入球に基づく抽選結果を表示する表示手段を遊技領域に備えた構成としてもよい。
当該遊技機においては、磁石を用いたり、振動を与えたりすることにより、有利口への入球を強制的に行わせようとする行為が想定される。これに対して、上記各実施の形態と同様に、磁気検知センサ105や振動検知センサ107などを設置し、上記不正行為が行われた場合には、不正特定状態の設定を行うようにすることが好ましい。
上記遊技機において、不正特定状態の設定として、少なくとも入球部への入球を無効化する構成としてもよい。また、不正特定状態の設定として、少なくとも開閉手段の開放動作を禁止する構成としてもよい。また、不正特定状態の設定として、少なくとも有利口への入球を無効化する構成としてもよい。また、不正特定状態の設定として、少なくとも上記抽選結果を無効化する構成としてもよい。また、不正特定状態の設定として、少なくとも上記抽選処理を実行しないようにする構成としてもよい。また、役物装置の内部空間内に、前記有利口に遊技球が入球し易くなる第1状態と当該第1状態よりも前記有利口に入球しがたくなる第2状態とに切り替わり可能な可動装置を有する構成においては、不正特定状態の設定として、少なくとも可動装置を第2状態に維持させる構成としてもよい。
(33−3)また、上記以外のパチンコ機に対して、本発明を適用してもよい。例えば、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
なお、雀球においては、磁石を用いた不正行為や振動させる不正行為を行うことで、所定の入球部に遊技球を入球させる行為が想定される。これに対して、上記各実施の形態のように、不正特定状態の設定を行うことで、当該不正行為に対処することができる。一方、メダル投入式の雀球においては、投入口に不正用治具を挿入し、メダルの投入を誤検知させる行為が想定される。これに対して、上記不正用治具の挿入を検知する構成とし、当該挿入を検知した場合には異常報知などを実行することで、当該不正行為に対処することができる。また、当該構成において、不正特定状態の設定が行われている状況であっても投入口への不正用治具の挿入を特定する処理及びそれに対する異常報知処理を実行する構成とすることで、不正特定状態の設定が行われている状況において不正用治具を挿入する不正行為が行われたとしても、それに対処することができる。
(34)弾球式でない遊技機、例えば、複数種の図柄が周方向に付された複数のリール(回転体)を備え、メダル(遊技媒体)の投入及びスタートレバー(始動操作手段)の操作によりリールの回転を開始し、ストップスイッチ(停止操作手段)が操作されリールが停止した後に、表示窓(表示部)から視認できる有効ライン上に特定図柄又は特定図柄の組合せが成立していた場合にはメダルの払い出し等といった特典を遊技者に付与するスロットマシンにも、本発明を適用できる。
当該遊技機においては、メダルを投入する投入部に不正用冶具を挿し込み、当該投入部に設けられたメダル検知センサにてメダルの投入を誤検知させる不正行為が想定される。これに対して、上記不正用冶具の挿し込みを検知する検知センサを設置し、上記不正行為が行われた場合には、不正特定状態の設定を行うようにすることが好ましい。
上記遊技機において、不正特定状態の設定として、少なくともメダルの投入を不可とする構成としてもよい。また、不正特定状態の設定として、少なくとも始動操作手段の操作を無効化する構成としてもよい。また、不正特定状態の設定として、少なくとも停止操作手段の操作を無効化する構成としてもよい。また、不正特定状態の設定として、少なくともメダルの払出を禁止する構成としてもよい。また、不正特定状態の設定として、少なくともリールの回転開始を禁止する構成としてもよい。また、不正特定状態の設定として、少なくとも当否判定を行わない構成としてもよい。
(35)取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機にも、本発明を適用できる。
当該遊技機においては、取込装置に不正用冶具を挿し込み、当該取込装置に設けられた球検知センサにて遊技球の取込を誤検知させる不正行為が想定される。これに対して、上記不正用冶具の挿し込みを検知する検知センサを設置し、上記不正行為が行われた場合には、不正特定状態の設定を行うようにすることが好ましい。
上記遊技機において、不正特定状態の設定として、少なくとも遊技球の取込を不可とする構成としてもよい。また、不正特定状態の設定として、少なくとも始動操作手段の操作を無効化する構成としてもよい。また、不正特定状態の設定として、少なくとも停止操作手段の操作を無効化する構成としてもよい。また、不正特定状態の設定として、少なくとも遊技球の払出を禁止する構成としてもよい。また、不正特定状態の設定として、少なくともリールの回転開始を禁止する構成としてもよい。また、不正特定状態の設定として、少なくとも当否判定を行わない構成としてもよい。