JP5167652B2 - Mems素子 - Google Patents
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Description
静電駆動タイプのMEMS素子では、MEMS構造体の構造と寸法によって、駆動に必要な印加電圧、バイアス値、共振特性等の諸特性が決まる。例えば、可変容量素子は、駆動電極と可動電極とで静電容量を形成するが、駆動電極と可動電極とのギャップ距離、駆動電極と可動電極が重なる部分の面積等によって、静電容量と印加電圧との関係が決まる(特許文献1参照)。
本発明の目的は、1つの設計によるMEMS素子で、特性値を可変可能で、可変後の特性値を維持可能なMEMS素子およびその製造方法を提供することにある。
この発明では、フローティングゲートと可動電極とによる静電気力が、可動電極の可動しやすい可動端で働くので、より少ない注入電荷で可動電極に力を加えることができる。
この発明では、フローティングゲートの他に、可動電極を駆動する駆動電極を備えているので、フローティングゲートに電荷を注入し、フローティングゲートと可動電極との間に静電気力を生じさせた状態で可動電極が可動する。したがって、MEMS素子は力が加わった状態で可動状態に応じた特性値を有する。フローティングゲートに注入する電荷量は調整できるので、注入した電荷量に応じて可動電極に加わる力も可変し、MEMS素子の特性値も可変する。フローティングゲートに注入した電荷量が変化しない限り、MEMS素子の特性値は維持される。
この発明では、駆動電極による可動電極の駆動を可動の容易な可動端で行い、フローティングゲートによる可動電極への静電気力は可動端と比較して可動の少ない固定端側で行っているので、駆動電極による可動電極の動きをできるだけ妨げることなく、フローティングゲートによって可動電極に加わる力を調整することができる。
この発明では、トンネル酸化膜を介して電荷が注入されるので、フローティングゲートからの電荷の漏れを少なくでき、MEMS素子の特性を維持できる。
この発明では、可動電極とゲート領域の位置が異なるので、可動電極の動きによるトンネル酸化膜への影響が少ない。また、ゲート領域形成への影響を考慮せずに可動電極の形成ができる。
なお、各実施形態および変形例の図面において、同じ構成要素には同じ符号を付して説明する。
図1は、本発明にかかるMEMS素子10の実施形態を示す概略構成図である。図1(a)はMEMS素子10の概略部分平面図、図1(b)は同図(a)のA−A断線に沿う概略部分断面図である。
半導体基板4の表面には、絶縁膜であるシリコン酸化膜5が形成され、さらにその表面にシリコン窒化膜6が形成されている。
上部構造体11は可動部13とアンカー部14とを備え、下部構造体12は基部15と駆動電極16とを備えている。
MEMS構造体1は、不純物を含むポリシリコンから形成され、導電性を有している。
MEMS構造体1が導電性を有しているため、可動部13は可動電極として機能し、可動部13と基部15とは電気的に接続されている。基部15は図示しない配線によって他の素子、信号線等に接続されている。
可動部13の寸法は、例えば、長さが数十μm、幅数μm、厚み0.数μm程度である。これらの値は、MEMS素子10に必要とされる特性値に応じて、設計により自由に選択できる。
なお、可動部13の平面形状については、種々の形状を採用できる。例えば、円盤状、舌状、矢印状等が挙げられる。
N+拡散層7は、ゲート領域3のみならず延長して形成され、ゲート配線9を形成している。図1(a)において、ゲート配線9は、図の紙面に向かって上方向に延長され、他の素子、信号線等に接続されている。
シリコン酸化膜5およびシリコン窒化膜6は、N+拡散層7上を除いた半導体基板4上に順次積層されている。
N+拡散層7の表面にはトンネル酸化膜8が形成され、トンネル酸化膜8の表面にはフローティングゲート2が形成されている。シリコン酸化膜5およびシリコン窒化膜6の厚みは数百nmである。
図2には、MEMS素子10の製造方法のフローチャート図が示されている。また、図3および図4には、各工程における概略断面図が示されている。
図3(a)は、N+拡散層形成工程(S1)を示している。
N+拡散層形成工程(S1)では、イオン打ち込み、熱拡散によって不純物であるリンを半導体基板4に導入し、ゲート領域3にN+拡散層7を形成する。図1に示したゲート配線9もN+拡散層7と同様に不純物であるリンを導入することによって形成する。したがって、ゲート配線9とN+拡散層7とは、同時に形成することができる。注入濃度は、導電性を有する濃度であり、1×1020cm-3程度が好ましい。
絶縁膜形成工程(S2)では、半導体基板4のN+拡散層7が形成された面にシリコン酸化膜5を形成する。シリコン酸化膜5は、熱酸化法、減圧CVD(Chemical Vapor Deposition)法等を用いて形成する。厚みは100nm程度が好ましい。
エッチングストッパ膜形成工程(S3)では、シリコン酸化膜5の表面にシリコン窒化膜6を形成する。シリコン窒化膜6は減圧CVD法等を用いて形成する。このとき、シリコン窒化膜6を全面形成した後、ゲート領域3に相当する部分をドライエッチングして除去する。
エッチング工程(S4)では、ゲート領域3のシリコン酸化膜5を除去し、N+拡散層7を露出させる。エッチングには、ドライエッチング法またはウェットエッチング法を用いることができる。
トンネル酸化膜形成工程(S5)では、露出したN+拡散層7表面に、トンネル酸化膜8を形成する。トンネル酸化膜8は、熱酸化法、ラジカル酸化法等を用いて形成することができる。トンネル酸化膜8の厚みは、5nm〜10nmが好ましい。
フローティングゲート等形成工程(S6)では、半導体基板4上にフローティングゲート2、下部構造体12である基部15および駆動電極16を形成する。
フローティングゲート2は、ゲート領域3に形成する。基部15および駆動電極16は、図1に示した基部15および駆動電極16の位置、形状に形成する。
フローティングゲート2、基部15および駆動電極16は、減圧CVD法によりポリシリコン膜を形成することによって得られる。このとき、導電性を得るためにリンを導入する。ポリシリコン膜の膜厚は、100nm〜500nmが好ましい。
フローティングゲート等形成工程(S6)は、よく知られたフォトリソ工程によって行うことができる。
犠牲層形成工程(S7)では、フローティングゲート2、基部15および駆動電極16上に犠牲層20を形成する。犠牲層20は、減圧CVD法またはプラズマCVD法を用いて、シリコン酸化膜等を形成することによって得られる。犠牲層20の膜厚は、図1に示した可動部13と半導体基板4との間に必要な間隔によって決めることができる。例えば、100nm〜200nmが好ましい。
また、形成された犠牲層20の表面が平らになるように形成するのが好ましい。犠牲層20の表面を平らにするには、PSG(Phospho−Silicate−Glass)を減圧CVD法により形成し、その後1000℃で高温熱処理を行うと、膜の流動化が起こり膜表面が平坦化する。このとき、フローティングゲート等形成工程(S6)で形成したポリシリコン膜にリンを拡散し、フローティングゲート2、基部15および駆動電極16を形成することも可能である。
その他、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法、エッチバック法によって、犠牲層20の表面を平らにすることも可能である。
犠牲層エッチング工程(S8)では、図1に示したアンカー部14に相当する部分をエッチングして穴21を形成し、基部15を露出させる工程である。エッチングは、ウェットエッチング法またはドライエッチング法によって行うことができる。または、RIE(Reactive Ion Etching)法によって行ってもよい。
上部構造体形成工程(S9)では、犠牲層20上に上部構造体11である可動部13およびアンカー部14を形成する。上部構造体11は、減圧CVD法によりポリシリコン膜を形成することによって得られる。このとき、導電性を得るためにリンを導入する。
上部構造体形成工程(S9)は、よく知られたフォトリソ工程によって行い、上部構造体11の形状を形成する。
犠牲層除去工程(S10)では、ウェットエッチング等により犠牲層20をエッチングし除去する。
以上の製造工程を含む製造方法によって、MEMS素子10が得られる。
図5は、本実施形態でのMEMS素子10の作動状態を示した図である。図5(a)は、フローティングゲート2に電荷(電子)が注入されていない時の状態を示す図、図5(b)は、フローティングゲート2に電荷(電子)が注入された時の状態を示す図である。電荷は模式的に点で示してある。
(1)フローティングゲート2の他に、可動部13を駆動する駆動電極16を備えているので、フローティングゲート2に電荷を注入し、フローティングゲート2と可動部13との間に静電気力を生じさせた状態で可動部13を可動できる。したがって、MEMS素子10は力が加わった状態で可動状態に応じた特性値、例えば、駆動に必要な電圧や共振周波数を有する。フローティングゲート2に注入する電荷量は調整できるので、注入した電荷量に応じて可動部13に加わる力も可変し、MEMS素子10の特性値を可変できる。例えば、MEMS素子10をスイッチング素子として利用する場合、径時変化によって可動部13の弾性係数等が変化することが考えられる。弾性係数等が変化すると、スイッチングに必要な印加電圧も変える必要があるが、フローティングゲート2に注入された電荷による静電気力によって、変化させる印加電圧分を補うことができ、印加電圧を変える必要がなくなる。
ここで、フローティングゲート2に注入した電荷量が変化しない限り、MEMS素子10の特性値を維持できる。
図6は、本発明にかかるMEMS素子30の実施形態を示す概略構成図である。図6(a)は、MEMS素子30の概略部分平面図、図6(b)は同図(a)のB−B断線に沿う概略部分断面図である。
第1実施形態と本実施形態との異なる点は、本実施形態では、駆動電極16を備えておらず、駆動電極16の位置に、ゲート領域3、ゲート配線9およびフローティングゲート2を設けた点である。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
(6)フローティングゲート2と可動部13とによる静電気力が、可動部13の可動しやすい可動端で働くので、より少ない注入電荷で可動部13に力を加えることができる。
図7は、本発明にかかるMEMS素子40の変形例を示す概略部分平面図である。
変形例では、ゲート領域3とゲート配線9とを可動部13と半導体基板4との間ではなく、外れた位置に形成した。フローティングゲート2は、可動部13と半導体基板4との間に形成されている。
このように、MEMS構造体の一部である可動部13とゲート領域3とは、平面視した場合の異なる領域に形成してもよい。
(7)可動部13とゲート領域3の位置が異なるので、可動部13の動きによるトンネル酸化膜8への影響を少なくできる。また、ゲート領域3形成への影響を考慮せずに可動電極の形成ができる。
本発明では、変形例で示した例ならず、色々なレイアウトをとることができる。
例えば、基板として絶縁体基板に半導体層を形成し、半導体層にN+拡散層7を形成してMEMS素子を形成してもよい。
Claims (5)
- MEMS構造体と、
前記MEMS構造体に設けられた可動電極と、
前記可動電極との間で容量を形成するフローティングゲートと、
前記可動電極との間で容量を形成する駆動電極と、
半導体基板と、
を備えており、
前記フローティングゲートと前記半導体基板との間にゲート領域が設けられ、前記可動電極の一端がアンカー部を介して基部に固定されており、前記基部と前記アンカー部とは幅が異なることを特徴とするMEMS素子。 - 請求項1に記載のMEMS素子において、
前記駆動電極は、前記可動電極の他端に対向して配置され、
前記フローティングゲートは、前記可動電極の一端と前記可動電極の他端との間の前記可動電極に対向して配置されていることを特徴とするMEMS素子。 - 請求項1に記載のMEMS素子において、
前記フローティングゲートは、前記可動電極の他端に対向して配置されていることを特徴とするMEMS素子。 - 請求項2または請求項3に記載のMEMS素子において、
前記フローティングゲートは、前記半導体基板に形成されたゲート配線とトンネル酸化膜とを介して接続されていることを特徴とするMEMS素子。 - 請求項4に記載のMEMS素子において、
前記フローティングゲートと前記ゲート配線とが前記トンネル酸化膜によって接続されているゲート領域と、前記可動電極が形成される前記半導体基板上の領域とが平面視で異なることを特徴とするMEMS素子。
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