JP5167488B2 - 皮膚糸状菌の非加熱検出方法 - Google Patents

皮膚糸状菌の非加熱検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、皮膚糸状菌の非加熱検出方法に関し、白癬の診断分野に関するものである。
白癬、いわゆる水虫は、Tricophyton rubrum(以下、T.rubrumと略記)、Tricophyton mentagrophytes(以下、T.mentagrophytesと略記)、Microsporum canis(以下、M.canisと略記)、Epidermophyton floccosum(以下、E.floccosumと略記)などの皮膚糸状菌が感染することによる皮膚真菌症である。菌の感染部は主に足の趾間であるが、陰部や体部などにも感染し、感染部に炎症と激しい掻痒感を引き起こす。
白癬の診断は、患者皮膚より採取した角化層を苛性カリ(KOH)と加熱処理で溶解して、菌糸を顕微鏡で観察するKOH直接検鏡法により判定することが主流である。該検鏡法は、相当の熟練を必要とし、菌糸と塵との区別を見誤ることもあり得る。菌そのものを培養して検査することも可能であるが、結果が得られるまで相当の時間がかかる。
白癬と湿疹、皮膚炎、汗疱などの治療法の異なる他の疾患とを区別することは困難である場合が多く、実際に「水虫」を主訴に皮膚科を受診する患者の3分の1が他疾患であったとの報告がある。これらの誤った自己判断に基づく治療により炎症が長引き、治療しない場合も多い。
水虫の検出方法としては、硫酸銅溶液を用いた水虫菌感染部位検知方法が報告されている(特許文献1参照)。この方法は、短時間で安価に検出が可能であるが、本発明者が検討した範囲では、爪白癬において健常者と保菌者で有意差は認められなかった。
本発明者は、各種白癬菌(皮膚糸状菌)抗原に対する抗体を作製し、白癬菌を特異的に検出する方法(特許文献2および3参照)を見出し、これにより白癬菌感染の簡便な診断を可能とした。しかし、これらの方法では酵素処理の有無によらず加熱処理工程が必要であるため、どこでも検出が可能というわけでは無かった。また、加熱による火傷の危険なども伴い、安全面でも問題があった。
従って、加熱処理などの煩雑な操作が不要で、簡便な白癬菌の検出方法が望まれていた。
特開2001−187750号公報 特開2004−159593号公報 特開2004−258024号公報
本発明の課題は、加熱処理などの煩雑な操作が不要であって、簡便かつ高感度な皮膚糸状菌の検出方法を提供することである。本発明のさらなる課題は、簡便に利用可能な皮膚糸状菌感染診断用キットを提供することである。
本発明者は、非イオン性界面活性剤または両イオン性(両性)界面活性剤で試料を処理することで、室温下においても、加熱処理を加えた場合と同等の感度で皮膚糸状菌を検出することができることを初めて見出した。この知見に基づいて本発明者は鋭意研究を行い、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下のとおりである。
[1]非イオン性界面活性剤または両イオン性界面活性剤を含有する処理液を用いて、試料から皮膚糸状菌成分を抽出する工程を含むことを特徴とする、皮膚糸状菌の検出方法。
[2]非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルである、上記[1]記載の方法。
[3]ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルがポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルである、上記[2]記載の方法。
[4]非イオン性界面活性剤がアルキルグルコシドである、上記[1]記載の方法。
[5]アルキルグルコシドがn-オクチル-β-D-グルコシドである、上記[4]記載の方法。
[6]両イオン性界面活性剤がアルキルベタインである、上記[1]記載の方法。
[7]アルキルベタインが3-[(3-コールアミドプロピル)ジメチル-アンモニオ] プロパンスルホン酸である、上記[6]記載の方法。
[8]皮膚糸状菌が、Tricophyton rubrum、Tricophyton mentagrophytes、Microsporum canisおよびEpidermophyton floccosumからなる群より選ばれる少なくとも一種である、上記[1]〜[7]のいずれか1項に記載の方法。
[9]下記の工程:
(a)非イオン性界面活性剤または両イオン性界面活性剤を含有する処理液を用いて試料から皮膚糸状菌成分を抽出する工程、
(b)上記工程(a)で得られた皮膚糸状菌成分と、該成分を特異的に認識する抗体とを接触させて複合体を形成させる工程、および
(c)上記工程(b)で形成された複合体を検出する工程
を含む、皮膚糸状菌の検出方法。
[10]非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルである、上記[9]記載の方法。
[11]ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルがポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルである、上記[10]記載の方法。
[12]非イオン性界面活性剤がアルキルグルコシドである、上記[9]記載の方法。
[13]アルキルグルコシドがn-オクチル-β-D-グルコシドである、上記[12]記載の方法。
[14]両イオン性界面活性剤がアルキルベタインである、上記[9]記載の方法。
[15]アルキルベタインが3-[(3-コールアミドプロピル)ジメチル-アンモニオ] プロパンスルホン酸である、上記[14]記載の方法。
[16]抗体がハイブリドーマ0014が産生する抗体である、上記[9]〜[15]のいずれか1項に記載の方法。
[17]上記[1]〜[7]のいずれか1項に記載の界面活性剤を含有する処理液、および皮膚糸状菌成分を特異的に認識する抗体を別々の容器に格納してなる、皮膚糸状菌感染診断用キット。
本発明の皮膚糸状菌の検出方法は、非イオン性界面活性剤または両イオン性界面活性剤を用いて皮膚糸状菌成分を加熱することなく抽出できることを利用して、簡便、迅速、かつ高精度に皮膚糸状菌を検出することができる。さらに本発明の診断用キットは本発明の検出方法に適するツールと成り得、皮膚糸状菌に感染しているか否かを簡便、迅速、かつ高精度に診断することができる。
各種界面活性剤を利用した場合の、白癬菌診断ストリップテストの結果を示す図である。 各種界面活性剤を利用した場合の、ELISAによる白癬菌感染診断の結果を示す図である。 蒸留水中での加熱処理における、白癬菌診断ストリップテストの結果を示す図である。 室温下、2%NP−40処理における、白癬菌診断ストリップテストの結果を示す図である。 加熱処理の有無における、ELISAによる白癬菌感染診断の結果を示す図である。 各種界面活性剤を利用した場合の、ELISAによる白癬菌感染診断の結果を示す図である。
本発明における非イオン性界面活性剤としては、公知の非イオン性界面活性剤を使用することができる。具体的には、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸ビスフェニル、シリコーン系またはフッ素系界面活性剤、ポリオキシエチレンヒマシ油、アルキルグルコシドなどが挙げられる。これらの非イオン性界面活性剤は、市販品を好適に使用することができる。
本発明においては、使用する抗体に対する影響が小さく、また皮膚糸状菌成分の変性が少なく、抗原性の高い膜成分を優位に抽出可能なポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルまたはアルキルグルコシドが好ましく用いられる。
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルとしては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(例、NP−40;ノニデットP−40(登録商標))、ポリオキシエチレンイソオクチルフェニルエーテル(例、Triton−X 100(登録商標)(TNXまたはTRXとも略する))などが例示され、実施例の結果から、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルがより好ましい。
非イオン性界面活性剤、特にポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、就中、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンイソオクチルフェニルエーテルの平均分子量は特に限定されない。また、上記非イオン性界面活性剤の分子量分布も特に限定されない。
上記ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルは、例えば式(1)
で表される。式中、mは通常1〜50であり、好ましくは5〜20であり、最も好ましくは8〜12である。また、ノニル基は4位に配位されていることが好ましい。
また、上記ポリオキシエチレンイソオクチルフェニルエーテルは、例えば式(2)
で表される。式中、nは通常1〜50であり、好ましくは5〜20であり、最も好ましくは8〜12である。また、イソオクチル基は4位に配位されていることが好ましい。
アルキルグルコシドのアルキル部分の炭素数は通常6〜20であり、好ましくは7〜18であり、最も好ましくは7〜12である。アルキルグルコシドとしては、n-オクチル-β-D-グルコシド、n-オクチル-β-D-マルトシド、n-デシル-β-D-マルトシド、n-デシル-β-D-マルトシド、n-ヘプチル-β-D-チオグルコシド、n-オクチル-β-D-チオグルコシド、n-ノニル-β-D-チオマルトシドなどが例示され、n-オクチル-β-D-グルコシドが好ましい。
本発明における両イオン性界面活性剤としては、公知の両イオン性界面活性剤を使用することができる。具体的には、アルキルアミノ脂肪酸塩、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシドなどが挙げられる。これらの両イオン性界面活性剤は、市販品を好適に使用することができる。
本発明においては、使用する抗体に対する影響が小さく、また皮膚糸状菌成分の変性が少なく、抗原性の高い膜成分を優位に抽出可能なアルキルベタインが好ましく用いられる。
アルキルベタインとしては、実施例の結果から、3-[(3-コールアミドプロピル)ジメチル-アンモニオ] プロパンスルホン酸 (CHAPS)が最も好ましい。
本発明において、試料からの皮膚糸状菌成分の抽出は、非イオン性界面活性剤または両イオン性界面活性剤を含む処理液に試料を浸漬等することによってなされる。
「処理液」とは、前記非イオン性界面活性剤または両イオン性界面活性剤を含み、試料から皮膚糸状菌成分を抽出する際に用いられる液体のことをいう。溶媒としては通常水が用いられるが、抗原抗体反応を阻害しない溶媒であれば、特に限定されない。また、皮膚糸状菌成分の状態を維持するか、該成分の抽出を容易にすることが可能であれば処理液中にその他の溶媒、添加物(例、可溶化剤、希釈剤、抗原賦活化剤)などを添加して反応させても良い。このような添加物としては、例えばエタノール、メタノール、リン酸バッファー、ホルマリンなどが挙げられるが、それらに限定されない。また必要な界面活性剤の量が確保され、抗原抗体反応を阻害しなければ、添加物の濃度および量なども特に限定されない。
上記処理液中の上記非イオン性界面活性剤の濃度は、通常、0.1〜10.0重量%、好ましくは1.0〜5.0重量%であり、より好ましくは1.0〜2.0重量%である。非イオン性界面活性剤が特にNP−40である場合、その濃度は通常、0.1〜10.0重量%であり、好ましくは1.0〜5.0重量%であり、より好ましくは1.0〜3.0重量%である。非イオン性界面活性剤が特にTNXである場合、その濃度は通常、0.1〜10.0重量%であり、好ましくは0.5〜5.0重量%であり、より好ましくは0.5〜2.0重量%である。また、非イオン性界面活性剤が特にn-オクチル-β-D-グルコシドである場合、その濃度は通常、0.01〜10.0重量%であり、好ましくは0.5〜5.0重量%であり、より好ましくは0.5〜2.0重量%である。
上記処理液中の上記両イオン性界面活性剤の濃度は、通常、0.01〜10.0重量%であり、好ましくは0.5〜5.0重量%であり、より好ましくは0.5〜2.0重量%である。両イオン性界面活性剤が特に3-[(3-コールアミドプロピル)ジメチル-アンモニオ] プロパンスルホン酸である場合、その濃度は通常、0.01〜10.0重量%であり、好ましくは0.5〜5.0重量%であり、より好ましくは0.5〜2.0重量%である。
本発明における「試料」としては特に限定されず、皮膚糸状菌が存在すると疑われるあらゆる試料を用いることができる。従って、本発明における試料は、生活環境に存在するものや生体組織から分離等されたものであり得る。生活環境に存在するものとしては、具体的には、例えば敷物(例、カーペット、バスマット、畳など)、履物(例、靴、スリッパ、サンダルなど)、衣類(例、靴下、足袋、ストッキング、下着、帽子、布団など)、医療器具(ガーゼ、包帯、ピンセットなど)、食品、塵、埃、洗濯槽などが挙げられ、生体組織から分離されたもの(以下、生体試料)としては、皮膚、爪、鱗屑、毛髪、毛などが挙げられる。本発明においては、特に生体試料が好ましく、特に白癬菌の栄養源となるケラチン物質が豊富に含まれている組織であって、白癬菌が感染、増殖しやすい、高温多湿となる組織が特に好ましい。最も好ましい試料として、例えば皮膚(特に足の趾間、股間、頭皮のフケなど)、爪などが挙げられる。
本発明における「皮膚糸状菌」とは、一般的にヒト皮膚に寄生する糸状菌をいい、特に白癬の起因菌(以下、白癬菌)をいう。菌の形態、状態はいかなるものであってもよく、例えば胞子、菌糸、分生子などの一部の菌断片の形態をも含む。
皮膚糸状菌の菌種としては、例えばT.rubrum、T.mentagrophytes、M.canis、E.floccosum、T.verrucosum、T.tonsurans、T.violaceum、T.equinum、T.glabrum、T.shoenleinii、M.gypseum、Arthroderma vanbreuseghemii、Arthroderma simii、Arthroderma benhamiaeなどが挙げられる。これらの菌種は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)、財団法人発酵研究所(IFO)等より標準品を入手することができる。
本発明はこの中でもT.rubrum、T.mentagrophytes、M.canis、E.floccosumを検出対象とすることが好ましい。前2種は白癬患者の97%を占めており、後2種は愛玩動物を介して感染するケースが増えているからである。
本明細書において「皮膚糸状菌成分」とは、皮膚糸状菌を構成する物質であれば特に限定されないが、例えば皮膚糸状菌中に存在する多糖(例、キチン、キトサン、セルロース、グルカン)、蛋白質、糖蛋白、ペプチド、リン脂質、低分子化合物(例、ステロイド)、核酸などをいう。
「皮膚糸状菌成分を抽出する工程」においては、非イオン性界面活性剤または両イオン性界面活性剤を含有する処理液に、試料を添加、浸漬などすることによって、皮膚糸状菌成分を抽出する。
本発明の方法は、加熱処理を伴わずに実施できることが特徴である。従って、抽出時の温度は雰囲気の温度、すなわち皮膚糸状菌成分と抗体との接触を著しく妨げない程度の温度であればよい。通常4℃〜45℃、好ましくは10℃〜45℃、程度の室温にて試料を処理する。また、抽出時のpHも皮膚糸状菌成分と抗体との接触を著しく妨げない程度であれば特に制限されないが、通常5.0〜9.0であり、6.0〜8.0が好ましい。また、抽出効率を上げるためには攪拌することが好ましい。
また抽出の際の処理時間は、試料が生活環境に存在するものか生体試料か、処理液の温度または体積などによって変化するが、通常、長い時間ほどよく、好ましくは1分以上であり、より好ましくは5分以上であり、さらにより好ましくは10分以上である。非イオン性界面活性剤がNP−40である場合、通常、長い時間ほどよく、好ましくは1分以上であり、より好ましくは5分以上であり、さらにより好ましくは10分以上である。非イオン性界面活性剤がn-オクチル-β-D-グルコシドである場合、処理時間は、通常、長い時間ほどよく、好ましくは1分以上であり、より好ましくは5分以上であり、さらにより好ましくは10分以上である。両イオン性界面活性剤が3-[(3-コールアミドプロピル)ジメチル-アンモニオ] プロパンスルホン酸である場合、処理時間は、通常、長い時間ほどよく、好ましくは1分以上であり、より好ましくは5分以上であり、さらにより好ましくは10分以上である。
処理液で処理した後、得られた抽出液から残存した試料を分離してもよく、分離しなくてもよい。分離操作は自体公知の方法、例えば遠心分離、ろ過などにより行うことができる。分離しない場合は静置後、上清を用いればよい。
こうして得られた抽出液を検体として、皮膚糸状菌が存在するか否かを、後述する免疫学的手法を利用して検出することが可能である。
本発明の別の局面においては、下記の工程:
(a)非イオン性界面活性剤または両イオン性界面活性剤を含有する処理液を用いて試料から皮膚糸状菌成分を抽出する工程、
(b)上記工程(a)で抽出された皮膚糸状菌成分と、該成分を特異的に認識する抗体とを接触させて複合体を形成させる工程、および
(c)上記工程(b)で形成された複合体を検出する工程
を含む、皮膚糸状菌の検出方法を提供する。
工程(a)においては、上記「皮膚糸状菌成分を抽出する工程」と同様の操作を行い、皮膚糸状菌成分を処理液中に抽出する。抽出後の試料の分離操作は、後述する工程(b)または(c)の前に行うことが好ましい。
工程(b)においては、工程(a)で得られた皮膚糸状菌成分と、該成分を特異的に認識する抗体とを接触させて複合体を形成させる。
皮膚糸状菌成分を特異的に認識する抗体としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体のいずれでもよく、また抗体分子のF(ab’) 、Fab’、あるいはFab画分などのフラグメントを用いてもよいが、モノクローナル抗体が望ましい。これらの抗体としては、免疫原として皮膚糸状菌を用いて自体公知の方法により調製した抗体を用いることができる。かかる方法は、特開2004−159593号公報に詳細に記載されている。好ましくは、特開2004−159593号公報に記載されたハイブリドーマ0011および0014が産生する抗体(以下、0011抗体および0014抗体と記載)であり、T.rubrum、T.mentagrophytes、M.canis、E.floccosumへの良好な反応特異性の観点から、0014抗体がより好ましい。
さらに、これらの抗体は間接的または直接的に標識物質により標識されていてもよい。標識物質としては、蛍光物質(例、FITC、ローダミン)、放射性物質(例、13C、H)、酵素(例、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ)、着色粒子(例、金属コロイド粒子、着色ラテックス)が例示される。
0011抗体および0014抗体は、白癬の主たる原因菌であるT.rubrum、T.mentagrophytes、M.canisおよびE.floccosumと反応性を有するので、いずれか一方の抗体を用いただけで、白癬の原因菌を網羅的に検出することができる。また単独の菌由来成分を特異的に認識する抗体(例えば、特開2004−258024号公報記載の0012抗体、0013抗体および0015抗体)を単独または複数用いることにより、白癬の原因菌を特定することも可能である。
上述の「特異的な認識」とは、T.rubrum、T.mentagrophytes、M.canis、E.floccosumなどを認識し、アスペルギルス、カンジダ、クリプトコックスなどの他の真菌とは交差反応しないことを意味する。このような抗体であれば、本工程において1種のみの抗体を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記「皮膚糸状菌成分を特異的に認識する抗体」は、他に何も結合していない可溶性の状態で本発明に用いることも可能であるが、固相に結合していることが望ましい。かかる「固相」としては、プレート(例、マイクロウェルプレート)、チューブ、ビーズ(例、プラスチックビーズ、磁気ビーズ)、クロマトグラフィー用担体(例、Sepharose(商標))、メンブレン(例、ニトロセルロースメンブレン、PVDF膜)、ゲル(例、ポリアクリルアミドゲル)などが例示される。その中でもプレート、ビーズおよびメンブレンが好ましく用いられ、取り扱いの簡便性からプレートが最も好ましく用いられる。上記結合としては、共有結合、イオン結合、物理的吸着などが挙げられ、特に限定されないが、物理的吸着が十分な結合強度を得られるため好ましい。
さらに、非特異的吸着や非特異的反応を抑制するために牛血清アルブミン(BSA)や牛ミルク蛋白等のリン酸緩衝溶液を固相と接触させ、抗体によってコートされなかった固相表面部分を前記BSAや牛ミルク蛋白等でブロッキングすることが一般に行なわれる。
本発明における「皮膚糸状菌成分を特異的に認識する抗体」と試料中の「皮膚糸状菌成分」との接触は、反応容器中において試料と「皮膚糸状菌成分を特異的に認識する抗体」とを混合することでこれらが相互作用できる方法であれば、態様、順序、具体的方法などは特に限定されない。接触は、例えば「皮膚糸状菌成分を特異的に認識する抗体」が固相化されたプレートに試料を添加することでなされる。
なお、かかる接触を保つ時間は、前記皮膚糸状菌成分を特異的に認識する抗体と試料中の皮膚糸状菌成分とが結合して複合体を形成するのに十分な時間であれば特に限定されないが、数秒〜十数時間、好ましくは5分〜10時間であり、最も好ましくは30分〜2時間である。また、接触を行なう温度条件としては、通常4℃〜45℃であり、4℃〜37℃が好ましく、15℃〜30℃程度の室温が最も好ましい。さらに、反応を行なうpH条件は、5.0〜9.0が好ましく、特に6.0〜8.0が好ましい。
工程(c)においては、工程(b)により形成された「皮膚糸状菌成分と皮膚糸状菌成分を特異的に認識する抗体の複合体」を検出する。
上記検出は、複合体に含まれる「皮膚糸状菌成分を特異的に認識する抗体」を特異的に検出することによりなされる。
この検出には、酵素免疫測定法(EIA法)、イムノクロマト法、ラテックス凝集法、放射免疫測定法(RIA法)、蛍光免疫測定法(FIA法)、ルミネッセンス免疫測定法、エバネッセンス波分析法などが利用できる。これらの中でも、EIA法やイムノクロマト法が操作の容易性の観点からして好適である。
工程(c)の検出方法としてEIA法を選択した場合、EIA法が、2種類の「皮膚糸状菌成分を特異的に認識する抗体」を用いたサンドイッチ酵素結合免疫固相測定法(サンドイッチELISA法)であるのが好ましい。このようなサンドイッチELISA法は、2種類の抗体を用いることから抗原に対する特異性が優れている。
サンドイッチELISA法の一種としてアビジン−ビオチン反応を利用した方法がある。この方法では、例えば抽出液中の皮膚糸状菌成分を、固相化した任意の「皮膚糸状菌成分を特異的に認識する抗体」でもって捕捉し、捕捉された皮膚糸状菌成分とビオチンで標識した「皮膚糸状菌成分を特異的に認識する抗体」との間で抗原抗体反応を行わせる。次に酵素標識ストレプトアビジンを加えて、アビジン−ビオチン反応を行わせる。次いでこの酵素を検出することで、皮膚糸状菌成分を検出する。
該ビオチン標識「皮膚糸状菌成分を特異的に認識する抗体」は、ビオチンと「皮膚糸状菌成分を特異的に認識する抗体」とを周知の方法により結合させることにより製造することができる。例えば、市販のビオチン標識化キットを使用して、ビオチンと「皮膚糸状菌成分を特異的に認識する抗体」とを結合させることができる。酵素標識ストレプトアビジンは、市販のものを好ましく使用することができる。
また、酵素標識抗体を利用したサンドイッチELISA法もある。この方法では、例えば抽出液中の皮膚糸状菌成分を、固相化した任意の「皮膚糸状菌成分を特異的に認識する抗体」でもって捕捉し、捕捉された皮膚糸状菌成分と酵素標識した「皮膚糸状菌成分を特異的に認識する抗体」との間で抗原抗体反応を行わせる。次いでこの酵素を検出することで、皮膚糸状菌成分を検出する。
酵素標識抗体は、酵素と「皮膚糸状菌成分を特異的に認識する抗体」とを自体公知の方法、例えば、グルタルアルデヒド法、マレイミド法などにより結合(標識)させることにより製造することができる。
酵素標識ストレプトアビジンおよび酵素標識抗体における「酵素」としては、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼなどが例示される。
サンドイッチELISA法を実施するための2種類の「皮膚糸状菌成分を特異的に認識する抗体」は、モノクローナル抗体同士、ポリクローナル抗体同士またはモノクローナル抗体とポリクローナル抗体の組合せの何れでも良い。
酵素の検出に用いられる基質剤としては、選択した標識酵素に応じて適当なものが選ばれる。例えば、酵素としてペルオキシダーゼを選択した場合においては、o−フェニレンジアミン(OPD)、テトラメチルベンジジン(TMB)などが使用され、アルカリホスファターゼを選択した場合においては、p−ニトロフェニルホスフェート(PNPP)などが使用される。また、反応停止液、基質溶解液についても、選択した酵素に応じて、従来公知のものを特に制限なく適宜使用することができる。
工程(c)の検出方法としてイムノクロマト法を選択した場合、ニトロセルロースメンブレンなどの吸水性基材にライン状に固相化された「皮膚糸状菌成分を特異的に認識する抗体」に対し、メンブレン下部より抽出液を展開することで皮膚糸状菌成分を捕捉させ、捕捉された皮膚糸状菌成分と標識した「皮膚糸状菌成分を特異的に認識する抗体」との間で抗原抗体反応を行わせる。標識に応じた手法を用い、皮膚糸状菌成分を検出する。
イムノクロマト法を実施するための2種類の「皮膚糸状菌成分を特異的に認識する抗体」も、モノクローナル抗体同士、ポリクローナル抗体同士またはモノクローナル抗体とポリクローナル抗体の組合せの何れでも良い。
一具体例として、生体試料をELISAに適用する場合には、例えば白癬患者の皮膚または爪を上記処理液に浸し、室温で一定時間攪拌して皮膚糸状菌成分を抽出する。次にこの抽出液を、任意の「皮膚糸状菌成分を特異的に認識する抗体」を固相化したマイクロプレートに分注し、室温で一定時間放置する。プレートを洗浄して未反応の抗原を除去した後、ビオチン化した上記抗体溶液をプレートに分注し、一定時間放置して複合体を形成する。更にプレートを洗浄して未反応の抗体を除去した後、ペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン溶液をプレートに分注し、室温で一定時間反応させる。プレートを洗浄した後、TMBなどの発色基質溶液と反応させて複合体の検出を行う。すなわちTMB溶液での反応後に発色が認められた試料には、白癬菌が存在していると判断できる。
また生活環境に存在する試料をELISAに適用する場合には、例えば白癬菌の存在が疑われる敷物または衣服の一部を上記処理液に浸し、室温で一定時間攪拌して皮膚糸状菌成分を抽出する。この抽出液を上記と同様の操作に供することで白癬菌を検出する。
別の具体例として上記試料をイムノクロマト法に適用する場合には、抽出液を試験片に浸して展開させる。試験片は、短冊形状の抗体固相化支持体の下端側に粒状標識物保持担体、および、濾紙からなる液体試料吸収用担体が一端を介して積層され、一方、前記抗体固相化支持体の上端側に濾紙よりなる吸水性担体が一端を介して積層されてなるものである。上記抗体固相化支持体は、ニトロセルロースシート上に皮膚糸状菌成分と抗原抗体反応を行う「皮膚糸状菌成分を特異的に認識する抗体」が固相化されているものである。固相化は、上記抗体溶液をニトロセルロースシート上に塗布し、乾燥することでなされる。固相化された抗体は、展開された抽出液中の皮膚糸状菌成分を特異的に認識し、該成分と粒状標識された上記抗体との複合体を捕捉することができる。従って、「皮膚糸状菌成分を特異的に認識する抗体」が抗体固相化支持体上に線状に固相化されていれば、そのラインが粒状標識により着色することとなり、白癬菌が存在していると判断できる。
本発明はまた、上記非イオン性界面活性剤または両イオン性界面活性剤を含有する処理液、および皮膚糸状菌成分を特異的に認識する抗体を別々の容器に格納してなる、皮膚糸状菌感染診断用キットを提供する。
該抗体は、抗体溶液として容器に格納された状態でもよく、また、プレート(例えば、ELISAに使用する)上に固相化された状態でもよく、支持体(例えば、イムノクロマト法に使用する)上に塗布された状態でもよい。
該キット中には、非イオン性界面活性剤または両イオン性界面活性剤を含有する処理液、および皮膚糸状菌成分を特異的に認識する抗体以外に試薬等が含まれていてもよい。試薬等としては、処理液や抗体を希釈するための緩衝液、標識物質(例、蛍光色素、酵素)、反応容器、陽性対照、陰性対照、検査プロトコールを記載した指示書などが挙げられる。これらの要素は、必要に応じて予め混合しておくこともできる。該キットを使用することにより、皮膚糸状菌感染の診断が簡便となる。
以下、実施例を示してさらに具体的に本発明を説明する。以下は代表的な実施例を示すものでこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。
[実施例1]サンプルの調製
界面活性剤として、陰イオン性界面活性剤であるデオキシコール酸ナトリウム(以下、DOC)、ならびに非イオン性界面活性剤であるNP−40(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)およびTNX(ポリオキシエチレンイソオクチルフェニルエーテル)を用いた。
DOCは5重量%と1重量%の、NP−40は10重量%と2重量%の、TNXは5重量%と1重量%の水溶液をそれぞれ調製した。KOH法で確定診断されている爪白癬患者からの爪をほぼ等量に8等分した。8つの爪のうち6つを、それぞれの界面活性剤の水溶液300μlの中に爪を入れて、室温(約20℃)で20分間攪拌した。対照として、一つは、300μlの蒸留水中に爪を入れて、室温(約20℃)で20分間攪拌した。他方は、300μlの蒸留水中に爪を入れて、沸騰中の湯に浮かべて10分間加熱処理を行った。加熱処理後は室温で自然冷却し、これらをサンプルとした。
[実施例2]白癬菌診断ストリップテストによる白癬菌の検出
各処理後のサンプルのうち、120μlを、0014抗体を用いて作成した白癬菌診断ストリップテスト試験片に供した。具体的な方法は以下の通りである。
1)抗体固相化支持体の作製
0014抗体を線状に固相化した抗体固相化支持体を作製するために、ニトロセルロースシート(ミリポア社製、HiFlow Plus)を5mm×20mmに裁断し、その下端より10mmの位置に0014抗体の溶液を、バイオジェットQ3000(Biodot社製)を用いて塗布し、室温で2時間乾燥することによって、抗体固相化支持体とした。
2)金コロイド粒子標識物保持担体の調製
a.金コロイド粒子標識0014抗体
0.1%KCO溶液にてpHを6.0に調節した40nmの粒径を有する金コロイド分散液100mLへ、モノクローナル抗体0014溶液400μgを加え、室温で混和した。続いて0.1%牛血清アルブミン溶液と混和し、6000rpm、20分間遠心分離を行った。沈渣を、0.1%牛血清アルブミン溶液を含むPBSに再懸濁し、金コロイド粒子標識0014抗体溶液を得た。
b.金コロイド粒子標識物保持担体
上記金コロイド粒子標識抗体をミリポア社製ガラス繊維不織布(GFCP001050)5mm×10mmに25μL含浸させ、通風乾燥した。
3)イムノクロマトグラフィー試験片の作製
抗体固相化支持体の下端から2.5mmの位置まで金コロイド標識物保持担体を重ねた。更に、金コロイド標識物保持担体上に液体試料吸収用担体(3MM Chr、ワットマン社製)を下端から2.5mmの位置まで重ねた。また、抗体固相化支持体の上端から2mmの位置まで吸水性担体(3MM Chr、ワットマン社製)を重ね、最後に透明なテープを上部に貼り固定してイムノクロマトグラフィー試験片とした。
上記試験片を用いサンプルを展開させることで、ストリップテストを行った。5分後の目視判定結果を図1に示す。非イオン性の界面活性剤において、白癬菌が存在するときに現れるラインが出現し、界面活性剤でも抗原の抽出が可能であることが示された。陰イオン性のDOCではラインは現れなかった。なお爪白癬のように、白癬菌が多数存在する検体の場合、0014抗体は水で攪拌するだけで白癬菌を検出することができた。
[実施例3]ELISA法による抗原の検出
実施例1で調製したものと同様の処理液サンプルを、ELISA法を用いて測定した。その方法は以下の通りである。
1)抗体の固相化:0014抗体を50mMの炭酸バッファー(pH9.6)で希釈して、20μg/ml濃度に希釈した。ついで96ウェルマイクロプレート(#9018、コーニング社製)の各ウェルに50μlずつ分注し、一晩4℃でインキュベートした。
2)ブロッキング:雪印ブロックエース25%水溶液を調製し、これを300μlずつ分注し、室温で1時間インキュベートした。
3)洗浄:0.05% Tween20(半井化学薬品社製)含有のPBSを300μlずつ分注し、攪拌後、捨てることを3回繰り返し、洗浄した。
4)サンプルとの抗原抗体反応:サンプルを各ウェルに50μlずつ添加し、室温で1時間インキュベートした。
5)上記3)と同様の洗浄操作を3回行なった。
6)ビオチン化0014抗体を1μg/mlに10%ブロックエース水溶液で希釈調製し、各ウェルに50μl分注し、1時間インキュベートした。
7)上記3)と同様の洗浄操作を3回洗浄した。
8)ペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン液(KPL社製)を10%ブロックエースで2000倍希釈し、各ウェルに50μlずつ分注し、30分インキュベートした。
9)上記3)の過程の洗浄を4回行なった。
10)TMB発色液(DAKO社製)を各ウェルに50μlずつ分注し、遮光下で10分間反応させた。
11)1規定硫酸を50μlずつ分注し、反応を停止させた。
12)マイクロタイタープレートリーダーで主波長450nm、副波長650nmで吸光度(OD)を測定した。
結果を表1に示す。ストリップテストと同様に室温下の非イオン性界面活性剤処理でも、加熱処理と同等の結果が得られた。
[実施例4]ストリップテストにおける加熱処理との比較
加熱処理との比較を行うために、白癬菌患者からの爪5例と、健常者からの爪5例について、加熱処理と室温下での2重量%NP−40処理とを行い、ストリップテストで検討を行なった。
結果を図3および図4に示す。患者No.1(Nos.1および11)、2(Nos.2および12)、4(Nos.4および13)、5(Nos.5および15)において、加熱処理、NP−40処理共にラインが出現した。患者No.3(Nos.3および13)は加熱処理、NP−40処理共にラインは見られなかった。健常者爪(Nos.6〜10、16〜20)は加熱処理、NP−40処理共にラインは見られなかった。
[実施例5]ELISA法における加熱処理との比較
加熱処理との比較を行うために、実施例4と同様に、白癬菌患者からの爪5例と、健常者からの爪5例について、加熱処理と室温下での2重量%NP−40処理とを行い、ELISA法で検討した。なお、ELISA法は実施例3と同じ方法で行った。
結果を表2に示す。患者No.1、2、3、4、5の加熱処理と、室温下でのNP−40処理は、ほぼ同等の結果が得られた。No.4においてNP−40で多少値が低いのは、分配した爪の量あるいは爪に含まれる白癬菌量の差によるものと思われる。また、ストリップテストでラインが得られなかった患者No.3のOD値は0.020前後で、僅かに白癬菌抗原の存在が示されるが、ストリップテストでは感度以下であったと考えられる。健常者では、加熱処理、室温下でのNP−40処理、共に全て陰性の結果であり、疑陽性も認められなかった。
No.3の患者で陽性の結果が得られなかったことの理由として、白癬菌患者であることを診断した際に用いた爪と実施例において用いた爪とが同一ではないため、診断に使用した爪には白癬菌がいたが、実施例で使用した爪には白癬菌がいなかった可能性が考えられる。
[実施例6]各種界面活性剤を用いた、ELISA法による抗原の検出
以下の3つの界面活性剤について検討した:
1. 両イオン性界面活性剤: 3-[(3-コールアミドプロピル)ジメチル-アンモニオ] プロパンスルホン酸 (CHAPS)
2. 陽イオン性界面活性剤: 1-ドデシルピリジニウムクロライド (DPC)
3. 非イオン性界面活性剤: n-オクチル-β-D-グルコシド(Glucoside)
それぞれ1%(w/v)と5%(w/v)との濃度の溶液を調製した。陽性コントロールとして2% NP−40を用いた。爪白癬患者(Case 29)の爪をほぼ7等分して、それぞれの溶液に入れて20分間攪拌した。その後、ELISA法にて抗原量を測定した。ELISA法は実施例3と同じ方法で行った。
結果を図6に示す。非イオン性界面活性剤のGlucosideではNP−40に次ぐ良好な検出感度が得られ、両イオン性界面活性剤のCHAPSでも陽性の結果を得ることができた。しかし、イオン性界面活性剤でのDPCでは、皮膚糸状菌を検出することはできなかった。
本発明によると、特定の界面活性剤で処理することによって、加熱処理と同等の感度で皮膚糸状菌を検出することが可能になる。従って、安全に、煩雑な工程を必要とせず皮膚糸状菌を検出することができる。
本願は、2006年3月20日に日本で出願された特願2006−077639を基礎としており、その内容は全て本明細書に包含される。

Claims (16)

  1. ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、n−オクチル−β−D−グルコシド及び3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチル−アンモニオ]プロパンスルホン酸からなる群より選択される界面活性剤を含有する処理液を用いて、試料から皮膚糸状菌成分を4℃〜45℃の温度で抽出する工程を含むことを特徴とする、皮膚糸状菌の非加熱検出方法。
  2. ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルを1.0〜5.0重量%で含有する処理液を用いる、請求項1記載の方法。
  3. ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルを1.0〜3.0重量%で含有する処理液を用いる、請求項2記載の方法。
  4. n−オクチル−β−D−グルコシドを0.5〜5.0重量%で含有する処理液を用いる、請求項1記載の方法。
  5. n−オクチル−β−D−グルコシドを0.5〜2.0重量%で含有する処理液を用いる、請求項4記載の方法。
  6. 3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチル−アンモニオ]プロパンスルホン酸を0.5〜5.0重量%で含有する処理液を用いる、請求項1記載の方法。
  7. 3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチル−アンモニオ]プロパンスルホン酸を0.5〜2.0重量%で含有する処理液を用いる、請求項6記載の方法。
  8. 皮膚糸状菌が、Tricophyton rubrum、Tricophyton mentagrophytes、MicrosporumcanisおよびEpidermophyton floccosumからなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 下記の工程:
    (a)ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、n−オクチル−β−D−グルコシド及び3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチル−アンモニオ]プロパンスルホン酸からなる群より選択される界面活性剤を含有する処理液を用いて試料から皮膚糸状菌成分を4℃〜45℃の温度で抽出する工程、
    (b)上記工程(a)で得られた皮膚糸状菌成分と、該成分を特異的に認識する抗体とを接触させて複合体を形成させる工程、および
    (c)上記工程(b)で形成された複合体を検出する工程
    を含む、皮膚糸状菌の非加熱検出方法。
  10. ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルを1.0〜5.0重量%で含有する処理液を用いる、請求項9記載の方法。
  11. ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルを1.0〜3.0重量%で含有する処理液を用いる、請求項10記載の方法。
  12. n−オクチル−β−D−グルコシドを0.5〜5.0重量%で含有する処理液を用いる、請求項9記載の方法。
  13. n−オクチル−β−D−グルコシドを0.5〜2.0重量%で含有する処理液を用いる、請求項12記載の方法。
  14. 3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチル−アンモニオ]プロパンスルホン酸を0.5〜5.0重量%で含有する処理液を用いる、請求項9記載の方法。
  15. 3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチル−アンモニオ]プロパンスルホン酸を0.5〜2.0重量%で含有する処理液を用いる、請求項14記載の方法。
  16. 抗体がハイブリドーマ0014(FERM P−19057)が産生する抗体である、請求項9〜15のいずれか1項に記載の方法
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