JP2002148259A - 被検試料の調製方法 - Google Patents

被検試料の調製方法

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JP2002148259A
JP2002148259A JP2000338740A JP2000338740A JP2002148259A JP 2002148259 A JP2002148259 A JP 2002148259A JP 2000338740 A JP2000338740 A JP 2000338740A JP 2000338740 A JP2000338740 A JP 2000338740A JP 2002148259 A JP2002148259 A JP 2002148259A
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cell killing
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Takuji Kadota
卓司 門田
Toshiyuki Kano
寿之 加納
Masao Hashimoto
将男 橋本
Kuniko Akagi
第子 赤木
Hachiro Yamanaka
八郎 山中
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Rohto Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Rohto Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】細胞膜、細胞骨格には直接作用せず、細胞の破
壊を実質的に伴わない、被検試料の調製方法、ならび
に、より迅速、簡便であり、かつ検出感度が高い被検試
料の検査方法およびそのキットを提供すること。 【解決手段】細胞の実質的な破壊を伴わない殺細胞作用
を有する物質(殺細胞剤)と被検組織とを接触させて、
被検試料を調製することを特徴とする、被検試料の調製
方法;前記調製方法により得られた被検試料を検査に供
することを特徴とする、被検試料の検査方法;ならびに
細胞の実質的な破壊を伴わない殺細胞作用を有する物質
(殺細胞剤という)を含有してなる、前記検査方法に用
いるための被検物質または残部組織の検査用キット。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被検試料の調製方
法、被検試料の検査方法およびそのキットに関する。さ
らに詳しくは、簡便かつ迅速に被検組織中の細胞間隙に
存在する被検物質を取り出すことができ、かつ該組織中
の細胞を実質的に破壊することがない、被検試料の調製
方法ならびに簡便、かつ迅速な被検試料の検査方法およ
びそのキットに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、癌等に対する治療法の進歩は著し
く、治癒率、生存率とも非常に向上してきている。その
中でも一般に固形癌といわれる各種癌疾患には、手術療
法による病巣の切除が最も効を奏している。かかる治療
法の進歩には、単に手術技術の進歩が寄与するだけでは
なく、早期に精度よく発見する診断法や、放射線療法、
化学療法、さらにはバイオテクノロジーを用いた補助療
法等の進歩も大きく寄与している。
【0003】癌等の悪性腫瘍疾患の診断においては、例
えば、採取された血液中の血清における腫瘍マーカー
(CEA、AFP、CA19−9等)の有無を指標の1
つとする場合がある。かかるマーカーによる診断に加
え、X線検査やMRI検査、問診、触診等の結果を総合
的に判断して診断が下されている。このようにして発見
された癌患者には、状況が許す限り外科手術による治療
が施されているが、該外科手術を行なった際には、摘出
した癌組織、周辺組織、近傍のリンパ節等に対して病理
組織検査を行なうことが規定されている。かかる病理組
織検査により、予後の良否が診断され、追加すべき治療
法等、その後のケアに対して重要な情報が提供されてい
る。
【0004】また、手術中に、癌の悪性度、浸潤域、転
移域の確認を要する場合、凍結切片法を用いた迅速病理
組織検査が実施される場合がある。しかしながら、かか
る迅速病理組織検査は、設備と人員の整った大病院での
実施に限定されるのが現状である。
【0005】また、現在、このような条件が整っていな
い中小医療施設でも、迅速病理組織検査にかわって実施
できるような簡易なベッドサイド検査法が検討されつつ
あるが、具体的な検査法がほとんど提示されていないの
が現状である。例えば、迅速RT−PCR法が提案され
ているが、この方法では核酸を抽出するために組織をホ
モジナイズするので、術後の病理組織検査に検体を供す
ることができなくなるという欠点を有する。手術後の摘
出組織の病理検査は、必須の実施事項であり、この検査
ができなくなるような方法または判定に悪影響を及ぼす
ような方法は受け入れられないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、細胞膜、細
胞骨格には直接作用せず、細胞の破壊を実質的に伴わな
い、被検試料の調製方法ならびに、より迅速、簡便であ
り、かつ検出感度が高い被検試料の検査方法およびその
キットを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の要旨は 〔1〕 細胞の実質的な破壊を伴わない殺細胞作用を有
する物質(殺細胞剤)と被検組織とを接触させて、被検
試料を調製することを特徴とする、被検試料の調製方
法、〔2〕 前記〔1〕記載の調製方法により得られた
被検試料を検査に供することを特徴とする、被検試料の
検査方法、並びに〔3〕 細胞の実質的な破壊を伴わな
い殺細胞作用を有する物質(殺細胞剤という)を含有し
てなる、前記〔2〕記載の検査方法に用いるための被検
物質または残部組織の検査用キット、に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の被検試料の調製方法は、
細胞の実質的な破壊を伴わない殺細胞作用を有する物質
(殺細胞剤)と被検組織とを接触させて、被検試料を調
製することを1つの特徴とする。本発明の調製方法にお
いては、被検物質を抽出又は分離する工程を含んでもよ
い。
【0009】本発明において「殺細胞剤」としては、細
胞の実質的な破壊を伴わない殺細胞作用を有する物質で
あり、例えば細胞膜、細胞骨格には直接作用せず、細胞
構造の実質的な破壊を伴わなわない化合物であればよ
い。さらに、かかる殺細胞剤は、被検組織内の細胞間隙
中もしくは組織内の体液中に存在するタンパク質の変
性、核酸の凝集等を抑制し、被検物質の分離を容易にし
うる化合物であってもよい。具体的には、アジ化ナトリ
ウム、塩化ベンザルコニウム等の界面活性剤、クロルヘ
キシジン及びその塩(例えば、グルコン酸クロルヘキシ
ジン、塩酸クロルヘキシジン等)等が挙げられる。殺細
胞作用とは、細胞の増殖阻止または細胞を死滅させる作
用を含む。
【0010】本明細書において、「被検試料」とは、被
検物質と、殺細胞剤による処理(殺細胞剤と被検組織と
の接触)により得られる残部の組織との両方を意味し、
被検物質はイムノアッセイ等による検出対象としての被
検試料として使用され、残部の組織は病理組織検査等に
供される被検試料として使用される。すなわち、本発明
においては、被検物質は、検査を行なうに十分な物質で
あり、残部組織は、病理組織検査を行なうに十分な組織
である点に1つの特徴がある。
【0011】本明細書における「被検物質」としては、
腫瘍マーカー物質、ペプチドホルモン類、ステロイド、
免疫グロブリン、その他生体成分およびそれらの代謝産
物等、生体内に存在する成分が挙げられる。かかる被験
物質としては、具体的には、特に限定されないが、例え
ば、CEA(癌胎児性抗原)が挙げられる。CEAは、
膜結合タンパク質として大腸癌細胞、乳癌細胞、胃癌細
胞、肺癌細胞等で発現し、細胞間隙に存在することが知
られている。その他の具体例としては、アルファフェト
プロテイン(AFP)、前立腺特異抗原(PSA)、C
A19−9等の腫瘍マーカー;ヒト絨毛性ゴナドトロピ
ン(hCG)、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホ
ルモン(FSH)、オキシトシン等の下垂体ホルモン;
トランスアミナーゼ、トリプシン、ペプシノーゲン、ウ
ロキナーゼ等の酵素;免疫グロブリンG(IgG)、フ
ィブリン−フィブリノーゲン分解産物(FDP、D−ダ
イマー)、抗トロンピン III(AT III)、トランスフ
ェリン等の血清蛋白成分;リウマチ因子、セロトニン、
フェリチン、サブスタンスP等の物質、その他生体成分
およびそれらの代謝産物等の多くの物質が挙げられる。
これらは、単独でまたは2つ以上を組み合わせて測定し
てもよい。
【0012】前記「残部の組織」は、殺細胞剤による処
理により得られるものであり、該処理は、細胞の破壊を
実質的に伴わないので、そのまま病理組織検査に供する
ことができる。即ち、被検物質の分離後の残部の組織
は、被検試料として、その後の病理組織検査にもそのま
ま用いられうる状態を保持する。したがって、本発明に
よれば、免疫学的検査、病理学的検査等の複数の検査を
同一組織について実施できるので、従来のように各検査
毎に被検組織から被検試料を調製する必要はないという
優れた効果を発揮する。
【0013】より具体的には、殺細胞剤として、アジ化
ナトリウム、クロルヘキシジン等を適切な濃度で用いた
場合、殺菌作用や静菌作用による防腐効果をもたらすと
共に、その細胞毒性による個々の細胞の微小な球状化お
よび収縮により、組織全体として密な組織構造を緩め、
例えば、細胞間隙に存在する被検物質の抽出・分離効率
を驚くべく向上させるという優れた効果を発揮する。
【0014】一方、また、適切な濃度の界面活性剤(例
えば、塩化ベンザルコニウム等)を用いた場合において
も、細胞骨格や裏打ち構造を含む大部分の膜構造を保持
したまま、脂質層を穿孔することにより細胞を死に至ら
しめる。これにより、前記と同様に、球状化および収縮
により、被検物質の抽出・分離効率を向上させるという
優れた効果を発揮する。
【0015】さらに、界面活性剤は、免疫クロマトグラ
フィーにおける展開を促進する効果を発揮しうるので、
本発明の調製方法により得られた被検試料を免疫クロマ
トグラフィーに供した場合、より被検物質の検出効率を
向上させるという優れた効果を発揮する。
【0016】なお、前記界面活性剤を用いる場合、得ら
れた残部の組織が、以下につづく病理組織検査に用いら
れ得、細胞を実質に破壊しない条件下に使用することが
望ましい。
【0017】界面活性剤としては、陽イオン性界面活性
剤、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両
イオン性界面活性剤が挙げられ、例えば、塩化ベンザル
コニウム、炭素数8〜16、好ましくは炭素数12〜1
4のアルキルジアミノエチルグリシン、ポリオキシエチ
レンオクチルフェニルエーテル〔例えば、ポリオキシエ
チレン(10)オクチルフェニルエーテル(Trito
n X−100)〕、Triton X−405、ポリ
オキシエチレンソルビタンモノラウレート〔例えば、ポ
リオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート
(Tween 20)〕、ポリオキシエチレンソルビタ
ンモノオレエート〔例えば、ポリオキシエチレン(2
0)ソルビタンモノオレエート(Tween 80)
等〕、ドデシル硫酸ナトリウム、CHAPSO、CHA
PS等が挙げられる。なかでもTriton X−10
0、Triton X−405、Tween 20およ
びTween 80が好ましい。
【0018】殺細胞剤の使用量は、アジ化ナトリウム、
クロルヘキシジン及びその塩の場合には、好ましくは
0.005〜0.5重量%、さらに好ましくは0.01
〜0.1重量%で使用することがさらに望ましい。ま
た、界面活性剤(例えば、塩化ベンザルコニウム等)の
場合、細胞膜、細胞内オルガネラまたは細胞骨格の破壊
の抑制ならびに非特異的な抗原抗体反応の抑制の観点か
ら低濃度で用いられることが望ましく、好ましくは0.
001〜0.2重量%、さらに好ましくは0.01〜
0.05重量%で使用することがさらに望ましい。
【0019】本発明の調製方法において、殺細胞剤は、
組織へのダメージを抑制し、被検物質を安定保持させる
ことを目的として、等張液(好ましくは、pH5〜8)
に溶解させて、例えば、生理食塩水;pH5〜7、好ま
しくはpH6〜8のリン酸緩衝液等の無機塩類を含む緩
衝液;pH6〜8、好ましくはpH6.8〜7.2のリ
ン酸緩衝生理食塩水等に溶解させて、調製用試薬として
用いてもよい。かかる調製用試薬も本発明の範囲に含ま
れる。
【0020】以下、本発明の調製方法の一例を説明する
が、本発明は、かかる例示に限定されるものではない。
【0021】まず、被検組織を採取する。
【0022】本発明の調製方法を適用しうる被検組織と
しては、特に限定されないが、例えば、リンパ節、大
腸、腸間膜、腹膜、肝臓、乳房、胃、肺、皮膚等由来の
組織が挙げられる。かかる組織には、大腸癌、乳癌、胃
癌、肺癌等の固形癌由来の組織;これらの癌の浸潤病巣
由来の組織;転移病巣由来の組織等も含まれる。例え
ば、被検物質がCEAである場合の被検組織としては、
CEAを産生する可能性のある癌組織が対象となり、前
記のように大腸癌、乳ガン、胃癌、肺癌およびこれらが
リンパ行性転移したリンパ節組織、ならびに遠隔転移を
起こした、腹膜組織、肝組織、骨髄組織等が挙げられ
る。
【0023】前記被検組織は、例えば、胃組織の場合、
胃がんの診断の際に、胃内視鏡を行ない直視下で胃粘膜
組織を採取すること;大腸組織の場合、経肛門的に採取
すること;肝臓や腎臓の場合、針を穿刺して採取するこ
と等により得ることができる。また、癌巣切除の手術に
おいても癌巣が確実に切除されたか否かを確定するため
には、組織は、例えば、大腸癌切除手術の場合、大腸の
癌巣を目視にて切除し、その周辺の組織数カ所から組織
を採取すること、または大腸に付属するリンパ節からも
組織片を採取することにより得ることができる。乳癌の
切除手術においても、組織は、例えば、乳房の癌巣を目
視にて切除し、その周辺の組織数カ所から組織を採取す
ること、または乳房に付属するリンパ節からも組織片を
採取すること等により得ることができる。なお、大腸癌
や乳癌は、ほとんどの場合において、まずリンパ行性転
移するため、切除手術において、所属するリンパ節を共
に採取して癌巣の存在を判定することが通常行われる。
【0024】前記被検組織は、ハサミ、メスまたは専用
の器具等を使用して採取されるが、組織の大きさや形態
は、組織により一様ではない。通常患者への負担を考慮
して検査のためのバイオプシーとしては、最小限に採取
されることが望ましいが、組織や症状によっては、内視
鏡または腹腔鏡手術により病巣部の全部を摘出する治療
法も行われている。
【0025】ついで、得られた被検組織と殺細胞剤とを
接触させる。
【0026】かかる接触は、前記の使用量となるよう
に、殺細胞剤と被検組織とを接触させることにより行な
われる。また、前記調製用試薬を用いる場合、有効成分
である殺細胞剤が前記使用量となるように用いればよ
い。具体的には、例えば殺細胞剤を含有する溶液中に被
検組織を浸漬することにより行うことができる。浸漬時
間は適宜選択され、特に限定されないが、好ましくは、
3時間以内であり、5〜30分程度であることがより望
ましい。
【0027】前記接触後、例えば、ピペットによる吸い
出し、デカンテーション等により、被検物質と残部の組
織のそれぞれを分取し、それにより被検試料を得ること
ができる。
【0028】被検物質分離後に得られた残部の組織は、
そのまま、固定、包埋して病理組織検査に用いることが
できる。また、得られた被検物質は、被検試料としてそ
のままイムノアッセイ等の検査に用いられうる。
【0029】したがって、本発明により、より迅速、簡
便な被検試料の検査方法が提供される。
【0030】本発明の被検試料の検査方法は、前記調製
方法により得られた被検試料を検査することを特徴とす
る。本発明の被検試料の検査方法によれば、組織の細胞
構造の破壊が抑制されているため、同一組織について、
複数の検査を行なうことができる。したがって、被検組
織の採取量が少量でよいため、より被検個体への負担を
軽減することができる。
【0031】被検試料の検査の手段としては、例えば、
イムノアッセイ、病理組織検査等が挙げられる。
【0032】前記イムノアッセイとしては、免疫クロマ
トグラフィー、ELISA等が挙げられる。なかでも、
免疫クロマトグラフィーは、調製方法において、界面活
性剤または該界面活性剤を含有した調製用試薬を用いた
場合、得られた被検物質を含有する被検試料をそのまま
用いることにより、特異性と検出感度の向上、検査時間
の短縮等が期待できる。
【0033】免疫クロマトグラフィーは、例えば、特公
平7−18876号公報、特公平7−78503号公
報、特公平7−36017号公報、特公平6−2773
8号公報、特開平1−244370号公報等に記載され
ている。
【0034】前記免疫クロマトグラフィーは、下記のよ
うな方法である:すなわち、液体が毛管現象で移動する
ことができる多孔性のシート状キャリア上で被検物質を
含む液体試料を展開し、検出する方法である。前記多孔
性のシート状キャリアは、例えば、その一部に、被検物
質に特異的に反応する抗体が固定化され、その上流に被
検物質に特異的な抗体であって、酵素または金コロイ
ド、ラテックス等着色粒子で標識された抗体(標識化抗
体)が液体試料の接触により離脱するようにキャリア上
に塗布乾燥等により配置されている。前記キャリアー上
の標識化抗体の上流から液体試料を添加すると、液体試
料は、キャリア中の毛管を伝わって浸透し、標識化抗体
を溶解し、さらにキャリア上の抗体固定化部分を通過し
てストリップの下流の吸収パッドに移動する。液体試料
中に被検物質が存在する場合には、該被検物質は、溶解
した標識化抗体とキャリアに固定化された抗体とのサン
ドイッチ反応により「標識化抗体−被検物質−固定化抗
体」複合体として検出される。未反応の標識化抗体は、
下流の吸収パッドに移動してしまうため、被検物質が存
在する場合にのみ、テストストリップの抗体を固定化し
た部分に酵素反応による着色または標識粒子による着色
が観察される。
【0035】病理組織検査としては、パラフィン切片を
ヘマトキシリン−エオジンで染色する方法、アザン染色
法、免疫組織化学法等が挙げられる。
【0036】本発明の被検試料の検査方法は、細胞の実
質的な破壊を伴わない殺細胞作用を有する物質(殺細胞
剤という)を含有した検査用キットを用いることによ
り、より簡便に行なうことができる。本発明の検査方法
に用いるための被検物質または残部組織の検査用キット
も本発明の範囲に含まれる。検査用キットには、さらに
イムノアッセイ用試薬を含んでいてもよい。
【0037】前記イムノアッセイ用試薬としては、前記
免疫クロマトグラフィー用テストストリップ、展開用試
薬および洗浄用試薬等が挙げられる。
【0038】展開用試薬としては、前記テストストリッ
プ上での被検試料の展開に適した試薬であればよく、生
理食塩水、リン酸緩衝液等の無機塩類を含む緩衝液、リ
ン酸緩衝生理食塩水等が挙げられる。
【0039】洗浄用試薬としては、被検物質を除く物質
の除去に適した試薬であればよい。
【0040】病理組織検査用の試薬としては、中性ホル
マリン等の固定液、染色液、免疫組織化学用抗体液、免
疫組織化学用標識抗体液、免疫組織化学用発色基質液等
が挙げられる。
【0041】
【実施例】本発明を以下の実施例等により、より詳細に
説明するが、本発明は、かかる実施例に限定されるもの
ではない。
【0042】実験例(殺細胞剤の細胞への影響) 正常細胞と、殺細胞剤に接触させた際の細胞との形態学
的差異を光学顕微鏡(Nikon社製、OPTIPHO
TO XF−TH−21)を用いて観察し、細胞への影
響を評価した。
【0043】リンパ節組織片を、半切して、2つの組織
片を得た。一方の組織片を1mlの1%アジ化ナトリウ
ム含有生理食塩水に15分間浸漬した(実施例)。他方
の組織片を、1mlの生理食塩水に15分間浸漬し、得
られた組織片を比較に用いた(比較例)。浸漬後に得ら
れた両組織片を10%中性ホルマリンで固定し、5μm
厚の切片を作製し、ヘマトキシリン−エオシン染色し
て、光学顕微鏡で観察した。結果を図1に示す。図1の
パネルaは、生理食塩水で処理した組織(比較例)の顕
微鏡写真を示す。また、図1のパネルbは、アジ化ナト
リウムで処理した組織(実施例)の顕微鏡写真を示す。
【0044】図1aとbとの比較の結果、細胞に殺細胞
剤を接触させた場合、細胞の形状、細胞核、細胞間隙に
関して、病理組織検査を行なうに十分な組織が得られる
ことがわかる。
【0045】調製例(イムノアッセイ検査装置の調製) (1)金コロイド分散液の調製 濃度0.15重量%の塩化金酸水溶液300mlを沸騰
させ、これに濃度2重量%のクエン酸ナトリウム水溶液
3mlを添加し、混合物を得た。ついで、前記混合物の
色が赤色に変わるまで、該混合物を約1時間加熱沸騰
し、金コロイド分散液(平均粒径約25nm)を得た。
【0046】(2)標識試薬パッドの作製 1M 炭酸カリウム溶液を用いて、前記(1)で得られ
た金コロイド分散液のpHを6.2に調整した。調整後
の分散液に、該分散液1mlあたり7μgのマウス抗ヒ
トCEA抗体〔OYメディックス社製、1mg/ml〕
を添加し、室温で1時間穏やかに攪拌して、混合物を得
た。ついで、前記混合物100mlに10重量% BS
A溶液0.5mlを添加し、室温で10分間穏やかに攪
拌し、懸濁液を得た。得られた懸濁液を4℃で8,20
0rpm、40分間遠心分離して上清を除去し、ペレッ
トを得た。得られたペレットを、OD(525nm)=
1.0となるように、終濃度0〜4.0重量%のポリエ
チレングリコール20000と終濃度0〜4.5重量%
のBSAと終濃度0〜4.5重量%のFicollTy
pe400とを含むTris−HCl緩衝液(pH8.
0)に懸濁し、金コロイド粒子標識抗体溶液を得た。得
られた金コロイド粒子標識抗体溶液を、グラスファイバ
ーシート(ワットマン社製)に68μl/cm3 となる
ように含浸させ、凍結乾燥させて標識試薬パッドを得
た。
【0047】(3)テストストリップの作製 マウス抗CEAモノクローナル抗体を50mM リン酸
緩衝化生理食塩水(pH7.2)に溶解し、終濃度4m
g/mlの抗体溶液を得た。ついで、8×50mmのニ
トロセルロースメンブラン(商品名:ハイフローメンブ
ランマイラーパック、ミリポア社製)の短辺(8mmの
辺)の端から10mmの位置に、前記抗体溶液を幅1m
mのライン状になるように塗布し、風乾した。以下、抗
体溶液を塗布した箇所側の端部を下流端とし、逆側の端
部を上流端とする。
【0048】前記ニトロセルロースメンブランの上流端
から8mmの部分に前記(2)で得られた標識試薬パッ
ドを貼り合わせ、同上流端から10mmの部分に試料受
容部材(商品名:ベンリーゼ、旭化成社製)、下流端か
ら11mmの部分に吸収部材〔商品名:アブソーベント
ペーパー(Absorbent Paper)、ジェ
ルマンサイエンス(Gelmanscience)社
製〕を貼り合わせた。これにより、テストストリップを
得た。
【0049】実施例および比較例(被検試料の調製) 手術で摘出したリンパ節を半切して、それぞれ2つの組
織片を得た。ついで、一方の組織片を1mlの生理食塩
水と、アジ化ナトリウムまたは界面活性剤(Tween
20、Tween 80、Triton X−405
もしくはTriton X−100)との混合液中に1
5分間浸漬して、被検試料として抽出液と残部の組織片
を得た。アジ化ナトリウムと界面活性剤の生理食塩水中
での濃度はそれぞれ0.02%、0.1%である。ま
た、他方の組織片を1mlの生理食塩水中に15分間浸
漬して、比較用の被検試料を得た。
【0050】試験例(大腸癌所属リンパ節中のCEA検
出試験) 実施例および比較例で得られた被検試料(抽出液)を用
いて、CEA検出試験を行なった。それぞれの被検試料
0.25mlについて、調製例で得られたイムノアッセ
イ検査装置を用いて、イムノクロマトグラフィーを行な
った。また、それぞれの被検試料に対応する浸漬処理後
の組織片について、病理組織染色を行い、病理専門医に
よる非癌・癌の判定を行なった。
【0051】実施例で得られた組織片の病理組織染色
は、比較例の組織片と同様に検査を行なうことができ、
各組織片における非癌・癌の判定は両者とも同一であっ
た。そして、実施例で得られた被検試料(抽出液)を用
いて免疫クロマトグラフィーを行なった場合、病理組織
染色により癌と判定されたリンパ節組織片のうち、17
個中の17個が陽性であった。一方、非癌と判定された
リンパ節組織片のうち、94個中の91個が陰性であ
り、検査開始から10分で検査を完了できた。また残っ
た組織片からはさらにRNAを抽出し、RT−PCR法
によって、癌細胞の存在を確認した。
【0052】一方、比較例で得られた被検試料を用いて
免疫クロマトグラフィーを行なった場合、病理組織染色
により癌と判定されたリンパ節組織片のうち、25個中
の22個が陽性であり、非癌と判定されたリンパ節組織
片のうち、209個中の184個が陰性であった。これ
は、生理食塩水のみによるCEAの抽出は十分でないた
めであると推定される。
【0053】この結果から、アジ化ナトリウムまたは界
面活性剤を含有した生理的食塩水を用いて調製した組織
片によれば、より迅速、正確かつ客観的に組織片中のC
EAを検出することができ、その組織片を採取した部位
の癌の存在を判定できることがわかった。
【0054】
【発明の効果】本発明の被検試料の調製方法によれば、
より迅速、簡便な診断を行なうのに適した被検試料を得
ることができるという優れた効果を奏する。これによ
り、迅速病理診断を可能にし、さらに、検査能率の向
上、検査時間の短縮等の優れた効果を奏する。また、本
発明の被検試料の検査方法により、同一組織について、
複数の検査を行なうことができるため、より被検個体へ
の負担を軽減することができるという優れた効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、殺細胞剤の細胞への影響を示す図であ
る。図中、図1のパネルaは、生理食塩水で処理した組
織(比較例)の顕微鏡写真を示す。また、図1のパネル
bは、アジ化ナトリウムで処理した組織(実施例)の顕
微鏡写真を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤木 第子 大阪市生野区巽西1丁目8番1号 ロート 製薬株式会社内 (72)発明者 山中 八郎 大阪市生野区巽西1丁目8番1号 ロート 製薬株式会社内 Fターム(参考) 2G045 AA24 AA26 BA13 BA14 BB01 BB29 BB60 CB01 CB02 CB09 CB26 FA16 FB03 FB06

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細胞の実質的な破壊を伴わない殺細胞作
    用を有する物質(殺細胞剤)と被検組織とを接触させ
    て、被検試料を調製することを特徴とする、被検試料の
    調製方法。
  2. 【請求項2】 被検試料が、被検物質および残部組織で
    ある、請求項1記載の調製方法。
  3. 【請求項3】 被検物質を抽出または分離する工程をさ
    らに含む、請求項1または2記載の調製方法。
  4. 【請求項4】 被検物質が検査を行なうに十分な物質で
    あり、残部組織が病理組織検査を行なうに十分な組織で
    ある、請求項1〜3いずれか1項に記載の調製方法。
  5. 【請求項5】 殺細胞剤が、アジ化ナトリウムおよび/
    またはクロルヘキシジンである、請求項1〜4いずれか
    1項に記載の調製方法。
  6. 【請求項6】 殺細胞剤が界面活性剤である、請求項1
    〜4いずれか1項に記載の調製方法。
  7. 【請求項7】 界面活性剤が、塩化ベンザルコニウム、
    炭素数8〜16のアルキルジアミノエチルグリシン、ポ
    リオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキ
    シエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチ
    レンソルビタンモノオレエート、Triton X−4
    05、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、コール酸、
    デオキシコール酸ナトリウム、CHPSOおよびCHA
    PSからなる群より選択された少なくとも1種である、
    請求項6記載の調製方法。
  8. 【請求項8】 被検組織が、リンパ節、大腸、腸間膜、
    腹膜、肝臓、乳房、胃、肺および皮膚からなる群より選
    択された組織である、請求項1〜7いずれか1項に記載
    の調製方法。
  9. 【請求項9】 被検組織が、大腸癌、乳癌、胃癌、肺癌
    からなる群より選択された少なくとも1種の固形癌由来
    の組織、これらの癌の浸潤病巣由来の組織または転移病
    巣由来の組織である、請求項1〜8いずれか1項に記載
    の調製方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9いずれか1項に記載の調
    製方法により得られた被検試料を検査に供することを特
    徴とする、被検試料の検査方法。
  11. 【請求項11】 検査が、イムノアッセイおよび/また
    は病理組織検査により行なわれる、請求項10記載の検
    査方法。
  12. 【請求項12】 細胞の実質的な破壊を伴わない殺細胞
    作用を有する物質(殺細胞剤という)を含有してなる、
    請求項10または11記載の検査方法に用いるための被
    検物質または残部組織の検査用キット。
  13. 【請求項13】 さらに、イムノアッセイ用試薬を含有
    する請求項12記載の検査用キット。
  14. 【請求項14】 イムノアッセイ用試薬が、免疫クロマ
    トグラフィー用テストストリップ、展開用試薬および洗
    浄用試薬を含む、請求項13記載の検査用キット。
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