JP2012506048A - マウスにおける循環乳癌細胞の連続的変化を監視するための前臨床方法 - Google Patents

マウスにおける循環乳癌細胞の連続的変化を監視するための前臨床方法 Download PDF

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Abstract

セルトラックス(CellTracks)(登録商標)システムが、血液中のCTCの計数を行うシステムを提供する。このシステムは、上皮細胞を免疫磁気的に濃縮し、細胞に蛍光標識し、かつCTCの識別及び定量を行う。腫瘍を有する場合に末梢血に検出されるCTCの絶対数は、部分的に、生存率の予測、病状進行の時間、及び治療に対する反応における因子である。循環腫瘍細胞(CTC)の前臨床研究は、動物モデルにおいてCTCを繰り返し監視することが不可能であることにより、制限されてきた。本発明は、患者におけるCTCの定量のためのインビトロ診断システムに類似したプロトコルを用い、生きたマウスから採取した血液検体におけるCTCの計数を行う方法を提供する。したがって、この技法は、ヒト乳癌のマウス異種移植腫瘍モデルにおいてCTCの連続的監視用に適合させることができる。

Description

開示の内容
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、米国特許仮出願第61/001,418号(出願日2007年11月1日)に対する優先権を主張する非仮出願である。上記の出願は、参照により全文が本明細書に組み込まれる。
〔背景〕
〔発明の分野〕
本発明は一般に、形態学的に完全な形状の血液中の循環癌細胞(CTC)の存在に基づき、転移性癌患者の癌の疾患進行を監視及び評価することに関する。より具体的には、動物モデルにおいて循環癌細胞の評価を行うための方法、試薬及び装置について記述される。
〔背景技術〕
150年以上前に乳癌患者の血液中において非血液原性の上皮腫瘍細胞が初めて確認された。それ以来、CTCは原発癌(治癒が可能な疾患段階)と転移疾患(多くの悪性腫瘍において死亡の主要因であり続けている)との間の重要な関連を示すものになっている。臨床研究により、CTCは転移性乳癌において予後及び予測の強力なバイオマーカーであることが示されており、前立腺癌及び結腸直腸癌においても同様の結果が報告されている。このデータから、CTCは潜在する生物学的促進性転移癌を表わすことが示されており、これらの細胞を更に細胞分析及び分子分析することにより、転移の分子調節並びに治療に対する反応について、新しい洞察を明らかにできることが示唆されている。
転移におけるCTCの役割に関する研究と、薬物動態学的及び薬力学的研究におけるバイオマーカーとしてのそれらの利用拡大は、薬剤開発の臨床段階に制限されてきた。多くの癌患者は、原発腫瘍によって死亡するのではなく、転移によって死亡することが広く認識されており、広がった複数の腫瘍コロニーは、元の腫瘍から分離し、体内を(しばしば遠い部位まで)移動した悪性細胞によって形成される。癌において最も好結果が得られる治療戦略は、器官内に留まっているうちに、腫瘍を早期に発見し外科的に除去することである。癌の早期発見は、特に、子宮頸癌のパップスメア検査、乳癌のマンモグラフィー、及び前立腺癌の血清前立腺特異的抗原(PSA)などの適切な診断検査が存在するような、一部の癌については実行可能であることが証明されている。しかしながら、早期段階に発見された癌は、多くの場合、外科的切除の前に微小転移が起こっている。このように、癌の悪性潜在性を早期かつ正確に検出することが、適切な治療法を選択する際には重要である。
原発腫瘍が十分早期に発見されていれば、しばしば、外科手術、放射線、若しくは化学療法、又は幾つかのこれらの治療の組み合わせによって除去することが可能である。残念なことに、転移コロニーは発見及び除去が難しく、しばしば、すべてのコロニーをうまく治療することは不可能である。したがって、転移は癌の自然な進行において最終的な事象であると見なすことができる。更に、転移能力は、悪性腫瘍を固有に特徴付ける特性である。
癌及び癌転移の複雑さと、何年にもわたる癌患者治療のフラストレーションに基づき、転移又は再発に対する治療の指針となり、かつそのような治療の効果を監視するための診断検査を開発しようと、数多くの試みが行われている。
腫瘍診断の有用な検査を開発する初期の試みの1つは、癌胎児性抗原(CEA)のイムノアッセイの処方である。この抗原は胎児の細胞に見られ、特定の癌の腫瘍細胞に再び現われるものである。CEA並びに数多くの「腫瘍」抗原、例えば組織検体又は血液のいずれかにおいて可溶性の細胞破片の形で見出される、前立腺特異抗原(PSA)、CA 15.3、CA 125、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、CA 27.29、p27の有用性を評価するため、数多くの取組みが行われている。
癌患者において腫瘍の進行を予測するのに使用される他の検査では、生検採取した腫瘍検体におけるテロメラーゼ活性などの関連する酵素の指標に注目している(米国特許第5,693,474号、同第5,639,613号)。この種の分析において酵素活性を評価するには、ゲル電気泳動又はウェスタンブロット分析などの時間のかかる検査手順が含まれ得る。また、検体分析における信号対ノイズ比及び感度は、腫瘍の発生源によって変動する。このような欠点にもかかわらず、血液中の特異的可溶性腫瘍マーカーは、治療の初期に治療戦略を開発するための迅速かつ効果的なアプローチを提供することができる。例えば、転移性乳癌患者における血清HER−2/neu及び血清CA 15−3の検出は、転移性乳癌の予後因子となることが示されている(アリ(Ali)S.M.、ライツェル(Leitzel)K.、チンチリ(Chinchilli)V.M.、イングル(Engle)L.、ディマーズ(Demers)L.、ハーヴィー(Harvey)H.A.、カーニー(Carney)W.、アラード(Allard)J.W.及びリプトン(Lipton)A.、「転移性乳癌患者における血清HER−2/neu及び血清CA15−3の関係(Relationship of Serum HER-2/neu and Serum CA 15-3 in Patients with Metastatic Breast Cancer)」、Clinical Chemistry、48(8)巻、1314〜1320頁(2002年))。HER−2/neuの増加は、ホルモン治療に対する反応の低下をもたらし、ホルモン受容体陽性の転移性乳癌に対する反応の予測において、顕著な予後因子である。このように、HER−2/neu腫瘍形成遺伝子生成物が関連する悪性腫瘍において、濃度増加に基づいて治療監視又はリスク評価を行う方法が記述されている(米国特許第5,876,712号)。しかしながら、いずれの場合においても、緩解状態、又はたとえ健康な標準状態においても、基準濃度が比較的高く、患者に見出される濃度に重なり合うことがあるため、患者依存性の基準及びカットオフ濃度を確立するために複数の検査及び監視が必要となることがある。
前立腺癌においては、血清中のPSA濃度が早期発見に有用であることが証明されている。PSA試験は、追跡健康診断及び生検と共に使用することにより、前立腺癌の早期段階(治療に最適)での発見が改善されている。
しかしながら、PSA又はこれに関連するPSMA検査は、かなり改善の余地がある。例えば、PSA濃度の増加は、疾患段階との弱い関連性があるのみで、腫瘍の転移性能力の信頼すべき指標にはならないと見られる。これは一部分、PSAが正常な前立腺組織及び良性の前立腺過形成(BHP)組織の構成成分であるという事実によるものであり得る。更に、局部的前立腺癌を有すると見られ、これに対応して低い血清PSA濃度を有している患者のうち約30%が、転移性疾患を有している可能性がある(モレノ(Moreno)ら、Cancer Research、52巻、6110頁(1992年))。
遺伝子マーカー:
悪性前立腺腫瘍細胞の存在を判定するためのアプローチの1つが、血中のPSAからのメッセンジャーRNA発現を検査することである。これは、血液検体から全mRNAを分離し、逆転写酵素PCRを実施する検査手順によってなされる。血液中に剥落した腫瘍細胞の存在と、より強い治療によってどの患者が利益を得られるかを判断する能力との間には、明らかな相関関係は記述されていない(ゴメラ(Gomella)LG.、J of Urology、158巻、326〜337頁(1997年))。加えて、この技法を用いると、偽陽性がしばしば観察される。他にも欠点があり、すなわち、検体サイズにより、この技法の感度には有限の実際的な限度が存在する。この検査は典型的には、干渉する赤血球から分離された10〜10個の細胞について実施されるが、これは、信号を検出するのに、血液0.1mLあたり腫瘍細胞1個(血液1mLあたり腫瘍細胞約10個)の実際的な感度下限に対応している。血液から分離された腫瘍細胞におけるhK2 RNAを検出することによって、より高い感度が得られることが示唆されている(米国特許第6,479,263号、同第6,235,486号)。
血液系のヌクレオチドマーカーを用いた定量RT−PCRに基づく研究を使用して、手術前血液中でCEA mRNA陽性の患者が疾患なしで生存する可能性は、CEA mRNAが陰性の患者よりも低くなることが示されている(ハーディンガム(Hardingham)J.E.、ヒューイット(Hewett)P.J.、セイジ(Sage)R.E.、フィンチ(Finch)J.L.、ナッタル(Nuttal)J.D.、コタゼル(Kotasel)D.及びダブロビッチ(Dovrovic)A.、「結腸直腸癌患者及び良性腸疾患患者における血中上皮細胞の分子検出(Molecular detection of blood-borne epithelial cells in colorectal cancer patients and in patients with benign bowel disease)」、Int.J.Cancer、89巻、8〜13頁(2000年):タニグチ(Taniguchi)T.、マキノ(Makino)M.、スズキ(Suzuki)K.、カイバラ(Kaibara)N.、「結腸直腸癌腫患者の腫瘍ドレナージ血及び末梢血における癌胎児性抗原mRNA濃度の逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応測定の予後における意義(Prognostic significance of reverse transcriptase-polymerase chain reaction measurement of carcinoembryonic antigen mRNA levels in tumor drainage blood and peripheral blood of patients with colorectal carcinoma)」、Cancer、89巻、970〜976頁(2000年))。この終点の予後値は、CEA mRNA濃度に依存するが、これもまた、G−CSF、サイトカイン、ステロイド、又は環境要因によって健康な個体において誘導される。ゆえに、CEA mRNAマーカーは特異性に欠如しており、明らかに、循環結腸直腸癌細胞に対して固有なものではない。
上記の研究は、実験条件下では予後を示すものであるように見られるが、長期的な追跡期間での、又は満足な特異性を有する一貫したデータを提供するものではない。したがって、これらの取組みは、血中に抗原のmRNAが出現することが一般に多くの癌を示唆するものとはなっておらず、しばしば、患者にほとんど希望が残されていない段階で検出されるため、ある意味で無駄であることが証明されている。
それにもかかわらず、リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)は、循環腫瘍細胞の定量的検出と患者の予後とを関連付けると報告されている、これまでで唯一の方法である。リアルタイムRT−PCRは、結腸直腸癌患者の末梢血におけるCEA mRNAの定量に使用されている(イトウ(Ito)S.、ナカニシ(Nakanishi)H.、ヒライ(Hirai)T.、カトウ(Kato)T.、コデラ(Kodera)Y.、フェン(Feng)Z.、カサイ(Kasai)Y.、イトウ(Ito)K.、アキヤマ(Akiyama)S.、ナカオ(Nakao)A.、及びテラマツ(Tatematsu)M.、「ライトサイクラー上でリアルタイムRT−PCRを用いた、結腸直腸癌患者の手術中の末梢血中におけるCEA発現遊離腫瘍細胞の定量的検出(Quantitative detection of CEA expressing free tumor cells in the peripheral blood of colorectal cancer patients during surgery with real-time RT-PCR on a Light Cycler)」、Cancer Letters、183巻、195〜203頁(2002年))。これらの結果から、腫瘍細胞は剥落して血流に入り(可能性としては手術中に、又は手術時にすでに存在している微小転移により)、結腸直腸癌患者に良くない患者予後をもたらすことが示唆されている。この検査の感度は、従来のRT−PCRに対する感度と同様の、再現可能な検出可能範囲を提供した。前述のように、この検出範囲は、生成物を増幅して腫瘍細胞数に換算するという不確かな方法に基づいている。外挿された細胞数には、転移性増殖ができない、損傷したCTCも含まれ得る。更に、PCRによる検査は、検体汚染の可能性があること、並びに腫瘍細胞を定量することが不可能であることから、限定的である。更に重要なこととして、PCR、フローサイトメトリー、細胞質酵素及び循環腫瘍抗原に基づく方法は、基本的な形態学的情報を提供することができず、推定されるCTCが有する転移能力の根拠となる構造的完全性を確認することができないため、したがって、一部本発明で実施されている高い感度の画像手法に比べ、機能的により信頼性の低い代替検査を構成することになる。
血液中の無傷の腫瘍細胞を検出することにより、原発腫瘍の切除を受けた癌患者における転移疾患の再発に対する直接的な関連性が提供される。残念ながら、悪性細胞の広がりは、従来の腫瘍段階判別手順と同様、依然として見逃される。最近の研究では、癌患者の骨髄中に1つでも癌腫細胞が存在することが、転移再発に関する独立した予後因子であることが示されている(ディール(Diel)IJ、カウフマン(Kaufman)M、ゴアナー(Goerner)R、コスタ(Costa)SD、カウル(Kaul)S、バスタート(Bastert)G.「原発乳癌患者の骨髄中の腫瘍細胞の検出:遠位転移の予後因子(Detection of tumor cells in bone marrow of patients with primary breast cancer: a prognostic factor for distant metastasis)」J Clin Oncol、10巻、1534〜1539頁、1992年)。しかしながら、これらの侵襲的手法は、血中に散った上皮腫瘍細胞を検出するのに比べ、日常的手順又は複数回実施する臨床検査としては望ましくないか、又は受け入れがたいと考えられる。
別のアプローチでは、免疫磁気分離技術を取り入れ、無傷の循環癌細胞の明白な検出という点で、より大きな感度と特異性を提供している。記述されているように(米国特許第6,365,362号、同第6,551,843号、同第6,623,982号、同第6,620,627号、同第6,645,731号、国際特許第WO 02/077604号、同第WO 03/065042号、同第WO 03/019141号)、この単純ながら感度の高い診断ツールは、CTCを列挙するための前臨床動物モデルを提供するため、本発明において使用されている。
この検査は、患者から採取した保存血液検体の取得に依存している。癌患者からの血液検体(国際特許第WO 03/018757号)は、上皮細胞表面抗原、例えばEpCAM、に対する抗体でコーティングされた磁気ビーズと共にインキュベートされる。抗EpCAMコーティング磁気ナノ粒子で標識した後、この磁気で標識された細胞は、磁気分離器を使用して分離される。免疫磁気的に濃縮された画分は更に、続いて行われる免疫細胞化学的分析(downstream immunocytochemical analysis)又は画像サイトメトリー(例えば、セルトラックス(CellTracks)(登録商標)システム(ヴェリデックス社(Veridex LLC)、ニュージャージー州))用に処理される。この磁気画分は、続いて行われる免疫細胞化学的分析、RT−PCR、PCR、FISH、フローサイトメトリー、又はその他のタイプの画像サイトメトリーに使用することもできる。
セルトラックス(CellTracks)(登録商標)システムは、免疫磁気的な選択及び分離を利用し、全血検体に存在する任意の上皮細胞を高度に濃縮(enrich and concentrate)することができる。捕捉された細胞は、検出可能なように、白血球特異性マーカーと、1つ以上の腫瘍細胞特異性蛍光モノクローナル抗体とで標識され、これにより捕捉されたCTCの識別と計数が可能になり、機械的又は視覚的に標的外細胞の混入と明確に区別することができる。この検査により、腫瘍重量が少ない早期段階においても、腫瘍細胞の検出が可能になる。本発明の実施形態は、このセルトラックス(CellTracks)(登録商標)システムに限定されるものではなく、匹敵する感度と特異性を有する任意の分離及び画像プロトコルが含まれる。
現在利用可能な前臨床プロトコルは、転移性乳癌(MBC)の進行の評価においてCTCを反復監視するための一貫して信頼できる方法を提示してはいない。癌研究において診断及び治療の進歩を評価するための信頼できるマウスモデルが開発されれば、これらの分野の更なる研究開発に手段をもたらし得る。このように、MBCだけでなく、一般的な転移性癌の、転移能力を備えた癌細胞の正確な検出には、明らかなニーズが存在する。加えて、このニーズは所与の患者に最も有効な治療を選択するというニーズによって更に強調される。
乳癌及び他の癌の前臨床動物モデルにおいて利用できる少量の血液では、CTCを反復監視することができないため、末梢血採取から得られる検体を分析する利用は制限されている。このことから、マウスなどの生きた動物モデルにおける腫瘍の進行及び治療中のCTCの一時的変化の研究は確立されていない。しかしながら、マウスにおいてCTCを連続的に検査するこの技術を使用すれば、CTCの評価を前臨床並びに臨床研究に組み込むことが可能になる。これらの細胞についての特異的分子マーカーの更なる特徴付けにより、標的を絞った治療のための「コンパニオン」となる診断用検査の早期開発が可能になり、これにより、新しい検査プロトコルを患者での臨床試験に、ひいては臨床利用に移行させるのが加速され得る。
〔発明の概要〕
本発明は、セルトラックス(CellTracks)(登録商標)システムなどの臨床分析ツールを組み込むことにより、異種移植マウスにおける癌転移の前臨床モデリングのための方法及び手段を提供するものであり、転移性癌患者の循環上皮細胞の絶対数、変化、又はその両方の組み合わせに基づくものである。このシステムは免疫磁気的に上皮細胞を濃縮し、その細胞を蛍光標識し、ヒト乳癌の異種移植腫瘍モデルにおける陽性計数のための、CTCの識別及び定量を行う。
ヒト腫瘍細胞として捕捉された対象物を確認するのに使用されるセルトラックス(CellTracks)(登録商標)蛍光分析プロファイル。チェックマークは、合成画像に基づく陽性腫瘍細胞を意味する。合成画像は、上皮細胞マーカー(EC−PE)及び核染料(NADYE)の陽性の選択から得られる。白血球マーカー(L−APC)及び対照(CNTL)については陰性の選択も必要。 マウス血液検体中のヒト乳癌細胞の定量。GFPの安定的な形質導入がない、又は形質導入がある、ヒト乳癌細胞MDA−MB−231を、腫瘍異種移植されていないマウスから採取した血液検体100μLに加えた。検体を固定し、上皮細胞を、上皮細胞接着分子に対する抗体を使用した免疫磁気ビーズ分離によって濃縮した。回収した細胞を、サイトカイン(8、18、及び19)に対する抗体で染色し、上皮細胞を識別し、CD45で染色された白血球からも区別した。有核細胞は、蛍光核酸染料4,2−ジアミジノ−2−フェニルインドール二塩酸塩(DAPI)での染色によって識別された。癌細胞上のGFPは、FITCチャンネルで検出された。回収された乳癌細胞の代表的な画像を示す。 マウス血液検体中のヒト乳癌細胞の定量。ヒト乳癌細胞MDA−MB−231の異種移植を受けたマウスの末梢血検体を、心臓穿刺によって取得し、CTCの分析を行った。CTCの数が、キャリパーで測定した腫瘍体積に対してプロットされている。 マウスにおけるCTCの連続的分析。マウスには、ヒト乳癌細胞SUM−159(A)又はSKBR−3(B)の同所腫瘍異種移植を行い、腫瘍負荷のためマウスが安楽死されるまで、ほぼ毎週の間隔での心臓穿刺により、約100μLの血液検体におけるCTCが測定された。CTCデータは体積100μLに標準化され、それぞれの腫瘍体積に対してプロットされている。CTCの平均値は、30日目において、それ以前の日に比べて顕著に大きくなった(p<0.05)。
〔発明の詳細な説明〕
血液中のCTCを分離、濃縮、及び分析するための、いかなる効果的なメカニズムも適切であるが、循環腫瘍細胞を採取するための1つの方法では、最初の血液採取の後、免疫磁気的濃縮技法、免疫蛍光標識技法と、適切な分析プラットフォームとを組み合わせる。付随する検査は、全血の検体中のそれらの稀少細胞を検出するため、並びに上皮由来の悪性腫瘍における疾患の臨床経過におけるそれら細胞の役割を調べるための、感度及び特異性を有していることが示されている。全血の検体から、稀少細胞は、動物モデルにおける疾患進行のモデリングにおいてそれらを採取及び使用することが可能になるような感度と特異性をもって、検出される。
循環腫瘍細胞(CTC)は、検出可能な量で血液中に存在することが示されている。これにより、癌患者の末梢循環血における上皮由来細胞の意味を調べるためのツールが製作されている(レイシラ(Racila)E.、ユーハス(Euhus)D.、ワイス(Weiss)A.J.、ラオ(Rao)C.、マカネル(McConnell)J.、タースタッペン(Terstappen)L.W.M.M.及びウーア(Uhr)J.W.、「血液中癌細胞の検出と特徴付け(Detection and characterization of carcinoma cells in the blood)」、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、95巻、4589〜4594頁(1998年))。この研究では、これらの血液由来細胞が、癌の病理生理学において重要な役割を有している可能性が示された。患者血液5mLあたり上皮細胞1個の検出感度を有するこの検査は、検体の迅速かつ感度の高い分析のために、免疫磁気検体濃縮及び蛍光モノクローナル抗体染色、続いてフローサイトメトリーが組み込まれた。
以前は、ヒト血液検体から循環上皮腫瘍細胞を分離及び計数するためにセルサーチ(CellSearch)(商標)システム(ヴェリデックス社(Veridex LLC)、ニュージャージー州))が使用されていた2。これは、磁気ビーズに結合させた上皮細胞接着分子に対する抗体を用いて、上皮細胞を濃縮する自動システムである。分離した細胞を次に、蛍光核酸染料4,2−ジアミジノ−2−フェニルインドール二塩酸塩(DAPI)で染色し、有核細胞を識別する。回収された細胞を続いて、CD45(APCチャンネル)及びサイトケラチン8、18、19(PEチャンネル)に対する蛍光で識別されたモノクローナル抗体で染色し、上皮細胞と白血球とを区別する。有核上皮細胞を次に、循環腫瘍細胞として定量する。標準のセルサーチ(CellSearch)(商標)検査の一部ではないFITCのための追加の蛍光チャンネルも存在し、これを腫瘍細胞の更なる特徴付けに使用することが可能である。
実施例1に示すように、この検査は更に、画像サイトメトリー分析のために構成され、これにより免疫磁気的に濃縮された検体が、セルトラックス(CellTracks)(登録商標)システムによって分析される。これは蛍光による顕微鏡画像解析システムであり、フローサイトメトリー分析とは対照的に、事象の視覚化を可能にし、更に対象物を識別するための形態学的特徴の評価を行う。
(実施例1)
循環サイトケラチン陽性細胞の計数
セルトラックス(CellTracks)(登録商標)システムは、血液から分離された細胞の自動計数のための自動蛍光顕微鏡システムを指す。このシステムには、一体化したコンピュータ制御蛍光顕微鏡と、使い捨て検体カートリッジを保持する磁気ヨークアセンブリを備えた自動化ステージとが含まれる。磁気ヨークは、検体チャンバー内にある磁性流体標識された腫瘍細胞の候補を、顕微鏡観察のために検体カートリッジの上部観測表面に磁気的に集めることを可能にするよう設計されている。ソフトウェアは、サイトケラチンに対する抗体で標識され、かつ上皮由来である疑わしい癌細胞を、最終選択のためにオペレーターに提示する。
セルトラックス(CellTracks)(登録商標)システムのための腫瘍細胞の分離は、当該技術分野において既知である任意の方法によって達成することができるが、1つの実施形態では、生体の検体から腫瘍細胞を分離するために、免疫磁気的濃縮が使用される。上皮細胞特異性の磁気粒子を加え、20分間インキュベートする。磁気的分離後、免疫磁気的に結合した抗体に結合した細胞は、試験管の壁に磁気的に保持される。結合していない検体を吸引除去し、等張液を加えて、検体を再懸濁させる。核酸染料、サイトケラチンに対するモノクローナル抗体(上皮細胞のマーカー)及びCD45(広域スペクトルの白血球マーカー)を検体と共にインキュベートする。磁気分離後、結合していない画分を再び吸引除去し、結合かつ標識された細胞を0.2mLの等張液に再懸濁させる。検体は細胞観察チャンバー内で懸濁され、磁気装置内に配置され、この装置の磁場が、磁気的に標識された細胞を、セルトラックス(CellTracks)(登録商標)システムで蛍光顕微鏡検査のために位置付ける。細胞はセルトラックス(CellTracks)(登録商標)システム内で自動的に識別され、循環腫瘍細胞の候補が、チェックリスト計数のためにオペレーターに提示される。計数チェックリストは、完全な細胞を構成する既定の形態学的基準からなる。
サイトケラチン陽性細胞は、ヒトから採取した全血の検体7.5mLを使用して、免疫磁気的濃縮によって分離される。上皮細胞特異性の免疫磁性流体を加え、20分間インキュベートする。20分間の磁気的分離後、免疫磁気的に結合した抗体に結合した細胞は、試験管の壁に磁気的に保持される。結合していない検体を吸引除去し、等張液を加えて、検体を再懸濁させる。核酸染料、サイトケラチンに対するモノクローナル抗体(上皮細胞のマーカー)及びCD45(広域スペクトルの白血球マーカー)を検体と共に15分間インキュベートする。磁気分離後、結合していない画分を再び吸引除去し、結合かつ標識された細胞を0.2mLの等張液に再懸濁させる。検体は細胞観察チャンバー内で懸濁され、磁気装置内に配置され、この装置の磁場が、磁気的に標識された細胞を、セルトラックス(CellTracks)(登録商標)システムで蛍光顕微鏡検査のために位置付ける。細胞は、セルトラックス(CellTracks)(登録商標)システム内で自動的に識別され、対照細胞がシステムによって計数され、循環腫瘍細胞候補はオペレーターに提示され、オペレーターが図1に示すチェックリストを使用して計数を行う。
(実施例2)
ヒト上皮細胞のインビトロでの回収
これを実施するために、500個のMDA−MB−231乳癌細胞を、腫瘍のないマウスから採取した血液検体100μLに接種した。臨床の場での検査では、血液を、抗凝固剤と防腐剤の両方が入った独自の真空管(セルセーブ(CellSave)管など)に採取する必要があるため、その分に比例して量が減少したセルセーブ溶液が、検体に加えられた。次に接種した検体を調製し、CTCの定量が行われ、パーセント回収率が計算された。陽性対照として、GFPを安定的に形質導入したMDA−MB−231細胞を使用した追加検体が調製された。GFPからの蛍光がシステムのオープンチャンネル(FITC)で検出され、これにより、マウス血液に添加された231−GFP細胞に対応する上皮細胞として全細胞が定量されたことが確認された。陰性対照として、癌細胞を含まないマウス血液検体が採取され、同じ方法で処理され、分析が行われた。マウス血液(n=4検体)に加えられた500個の細胞のうち、検体あたり482〜526個の細胞が回収され、これはこの濃度での接種実験について希釈誤差の範囲である(図2)。231−GFP細胞を使用した検体について、上皮細胞として識別された全ての細胞はまた、GFPも発現し、これらがヒト乳癌細胞であること、混入したマウス上皮細胞ではないことが確認された。正常なマウス血液からは上皮細胞は回収されず、この検査の特異性が確認された。
(実施例3)
マウスの異種移植片からのCTCの回収
ヒト乳癌のマウスモデルにおいてCTCを連続的に監視するための好ましい方法には、セルトラックス(CellTracks)(登録商標)システムの使用が組み込まれる。上記で論じたように、このシステムでは、血液からの上皮細胞の免疫磁気的分離と、更に白血球から上皮癌細胞を差別化するための免疫蛍光染色が使用される。セルトラックス(CellTracks)(登録商標)システムは本来、7.5〜30mLのヒトの血液を処理するよう開発されたものであるため、この検査を用いて少量のマウス血液からヒト上皮乳癌細胞が十分な信頼性で回収されるようにすることが必要である(実施例2を参照)。
このシステムは、MDA−MB−231細胞の同所腫瘍異種移植片から循環内に自発的に異物侵入する(intravasate)CTCを識別するために使用された。マウスを10週時点で腫瘍負荷のために安楽死させた時点で、左心室の穿刺によって各マウスから0.7〜1mLの血液検体を採取した。CTCの合計数は、血液1mLあたり細胞数が約100〜1000個の範囲であった(図3)。腫瘍異種移植されていないマウスから採取された血液検体からは、CTCは回収されなかった(データの図示なし)。CTCの数は、原発腫瘍の大きさとの相関関係はなかった。これらのデータから、CTCの数は、さまざまな原発腫瘍の根底にある生物学的条件を反映したものであることが示されており、これは、MDA−MB−231細胞が、転移能力の変化を伴う部分母集団を含むというこれまでの研究に一致している。同じ方法を使用して、CTCはMCF−7の腫瘍異種移植をしたマウスにおいても検出可能であり、MCF−7細胞は線維芽細胞増殖因子(FGF)、SUM−159、及びSKBR−3細胞株に安定に取り込まれていた。
このシステムでは、血液を採取するのに心臓穿刺を用いてCTCを検出するのに成功したが、この手順は、マウスの血液検体を他の部位から採取するのに比べて侵襲的である。本発明の1つの態様では、CTCの分析のために血液検体が繰り返し採取され、血液検体は外側尾部静脈及び眼窩静脈叢から得られ、これにより心臓穿刺の侵襲的な性質が回避される。同所MDA−MB−231腫瘍異種移植を受けているマウス又は受けていないマウスが、直接心臓検体採取と比較された。腫瘍異種移植片の存在に依存せず、外側尾部静脈のいずれの検体においても、上皮細胞は検出されなかった。腫瘍を有するマウスにおいてCTCを検出するのに失敗したことについて、1つの可能な説明としては、外側尾部静脈から採取できた血液が少量(25μL以下)であったことが挙げられる。眼窩静脈叢からはより多くの血液(50〜75μL)を得ることができたが、腫瘍のないマウスにおいて、この部位から採取した3つの血液検体のうち3つに、上皮細胞(5〜500個)が含まれていた。これらの混入細胞は、血液採取中に毛細血管によって剥がれた正常なマウス上皮細胞であった。このように、眼窩静脈叢を経由した検体採取では、腫瘍を有するマウスにおいてCTCを高い信頼性で識別することが不可能になり得る。比較により、腫瘍異種移植を受けていないマウスの心臓穿刺によって得た血液検体にはCTCが存在しなかったが、CTCは、MDA−MB−231異種移植を受けたマウスの左心室心臓穿刺によって得た血液には検出され得た。
(実施例4)
マウスにおけるCTCの一時的分析
検査及び血液採取経路の検証を行った後、SUM−159(n=3)又はSKBR−3(n=4)細胞の同所腫瘍異種移植を受けたマウスを使用して、CTCの一時的変化検出の実行可能性を調べた。腫瘍負荷のためマウスを安楽死させるまでの1ヶ月間、血液検体75〜100μLを週に約1回採取した。MDA−MB−231及びSKBR−3ヒト乳癌細胞を、10%ウシ胎児血清、1%L−グルタミン、0.1%ペニシリン/ストレプトマイシンと共にDMEM中で培養した。SUM−159細胞を、5%ウシ胎児血清(FBS)、5μg/mLインスリン、1μg/mLハイドロコルチゾン、及び0.1%ペニシリン/ストレプトマイシンを添加したハム(Ham)F12培地(インビトロゲン(Invitrogen)中で培養した。細胞は37℃で、5%COのインキュベーター内に保持された。選択された実験について、MDA−MB−231細胞は、GFPを安定して発現する細胞を確立するため、レンチウイルスベクターpSicoで形質導入された。形質導入の効率は、位相差及び蛍光顕微鏡によって測定され、100%であった。
マウスに腫瘍異種移植を行う際は、5〜6週齢のメスのNcrヌード(タコニック(Taconic))又はSCID(ジャクソン(Jackson))マウスが使用された。細胞株由来のヒト乳腫瘍異種移植は、当該技術分野において既知の方法によって、1×10個の細胞をマウスの両側の鼠経乳房脂肪帯に同所的に注入した。ヒト乳癌細胞の臨床的分離物での腫瘍異種移植については、マウスの第四鼠経乳房脂肪帯に1〜5×10個の細胞を移植した。乳癌の臨床的分離物を移植したマウスはまた、1錠の60日間持続放出性17−β−エストラジオールの皮下ペレット(イノベーティブ・リサーチ・オブ・アメリカ(Innovative Research of America))も投与された。腫瘍の体積は、2次元でのキャリパー測定の積として定量され、幅(mm)×幅(mm)×長さ(mm)×0.52の式によって計算された。CTCの連続的検査については、図の凡例に示されているように、ほぼ毎週の間隔で、血液検体が左心室から採取された。
検査結果では、初期の検体(8〜23日目)ではCTC濃度が低く(細胞0〜7個)(図4)、30日目には、腫瘍体積の増加に対応して、7匹のマウスのうち6匹においてCTCの数が顕著に増加した(細胞26〜55個)(p<0.05)ことが示される。これらの研究から、乳癌のマウスモデルにおいてCTCの連続的検査について、検査を首尾良く使用できることが確立された。
異種移植を受けたマウスにおけるCTCの測定すべてについて、原発乳癌細胞は、患者の生検標本から入手された。血液検体(200μL〜800μL)は、腫瘍負荷のためマウスを安楽死させた時点で、心臓穿刺によって採取された。6人の異なる患者から得た乳癌細胞はマウスにおいて腫瘍を形成し、これらの腫瘍すべてがCTCを生成した。CTCの数は血液1mLあたり細胞4〜805個の範囲であり、平均値は細胞118個±67個(n=6)であった。特に、これらの動物のいずれも、明らかな転移、又は組織学的に検出可能な転移は起こさず(データの図示なし)、これは原発の臨床標本によって作成されたCTCの大半は、マウス又はヒトのいずれにおいても、転移を形成する能力がない可能性を示唆している。これらのデータは、乳癌臨床分離物の異種移植はマウスにおいてCTCを作成することができ、これにより、転移に関与するヒト乳癌細胞の特性及び部分母集団を研究するためのモデルシステムを提供することができることを示している。
本発明の好ましい実施形態の特定のものは、上記の記述で具体的に例示されているが、本発明がこれらの実施形態に限定されることを意図するものではない。本発明の本質から逸脱することなく、さまざまな修正をこれに行うことが可能であり、この改良の全範囲が、下記の請求項に明確に記述されている。
〔実施の態様〕
(1) 前臨床腫瘍異種移植マウスモデルにおける転移性循環稀少細胞を分析するための方法において、
a)異種移植マウスモデルから100μLの血液試料を得ることであって、前記試料が、前記稀少細胞を含むことが疑われる混ざり合った細胞群を含む、血液試料を得ることと、
b)前記試料の画分を濃縮することであって、前記画分が前記稀少細胞を含む、画分を濃縮することと、
c)前記稀少細胞の構造的完全性が無傷であることを確認することと、
d)前記無傷の稀少細胞を分析することと、
e)疾患の進行を評価するためにa〜dのステップを繰り返すことと、を含む、方法。
(2) 前記異種移植マウスモデルが、MDA−MB−231細胞、SUM−159細胞、SKBR−3細胞及びこれらの組み合わせの同所腫瘍異種移植片からCTCが循環内に自発的に異物侵入する(intravates)マウスに由来する、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記異種移植マウスモデルが、マウスに臨床的な乳癌の分離物を移植することによって作製される、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記マウスが、持続放出性17−β−エストラジオールの皮下ペレット投与を受けた、実施態様3に記載の方法。
(5) 前記血液試料が、心臓穿刺によって採取される、実施態様1に記載の方法。
(6) 前記画分が、前記稀少細胞に特異的に結合する生物学的特異的なリガンドに結合する常磁性体粒子を、他の群を実質的に除外して、区別するよう、外部的に印加される磁場を用いた免疫磁気的な濃縮によって得られる、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記構造的完全性が、免疫細胞化学的手順、FISH手順、フローサイトメトリー手順、画像サイトメトリー手順、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される手順によって測定される、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記試料に存在する前記無傷の稀少細胞の数の増加が、疾患の進行に対応する、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記稀少細胞が、転移性乳癌細胞、転移性前立腺癌細胞、膀胱癌細胞、転移性結腸癌細胞、及びこれらの組み合わせからなる群に由来する、実施態様1に記載の方法。

Claims (9)

  1. 前臨床腫瘍異種移植マウスモデルにおける転移性循環稀少細胞を分析するための方法において、
    a)異種移植マウスモデルから100μLの血液試料を得ることであって、前記試料が、前記稀少細胞を含むことが疑われる混ざり合った細胞群を含む、血液試料を得ることと、
    b)前記試料の画分を濃縮することであって、前記画分が前記稀少細胞を含む、画分を濃縮することと、
    c)前記稀少細胞の構造的完全性が無傷であることを確認することと、
    d)前記無傷の稀少細胞を分析することと、
    e)疾患の進行を評価するためにa〜dのステップを繰り返すことと、を含む、方法。
  2. 前記異種移植マウスモデルが、MDA−MB−231細胞、SUM−159細胞、SKBR−3細胞及びこれらの組み合わせの同所腫瘍異種移植片からCTCが循環内に自発的に異物侵入するマウスに由来する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記異種移植マウスモデルが、マウスに臨床的な乳癌の分離物を移植することによって作製される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記マウスが、持続放出性17−β−エストラジオールの皮下ペレット投与を受けた、請求項3に記載の方法。
  5. 前記血液試料が、心臓穿刺によって採取される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記画分が、前記稀少細胞に特異的に結合する生物学的特異的なリガンドに結合する常磁性体粒子を、他の群を実質的に除外して、区別するよう、外部的に印加される磁場を用いた免疫磁気的な濃縮によって得られる、請求項1に記載の方法。
  7. 前記構造的完全性が、免疫細胞化学的手順、FISH手順、フローサイトメトリー手順、画像サイトメトリー手順、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される手順によって測定される、請求項1に記載の方法。
  8. 前記試料に存在する前記無傷の稀少細胞の数の増加が、疾患の進行に対応する、請求項1に記載の方法。
  9. 前記稀少細胞が、転移性乳癌細胞、転移性前立腺癌細胞、膀胱癌細胞、転移性結腸癌細胞、及びこれらの組み合わせからなる群に由来する、請求項1に記載の方法。
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