JP2021110664A - 癌被験体の予後を予測する方法 - Google Patents

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篤史 森本
惇 野口
Atsushi Noguchi
惇 野口
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瑠依 畑下
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健太 兜坂
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泰之 秋山
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Abstract

【課題】癌被験体の予後を予測する方法を提供すること。【解決手段】癌被験体より得られた試料中の、細胞核を有し、かつ白血球マーカーおよび上皮系マーカー陰性の腫瘍細胞クラスタの個数を測定する工程と、前記個数と前記被験体の予後とを関連付ける工程を含む方法により、前記課題を解決する。【選択図】なし

Description

本発明は、癌被験体の予後を予測する方法に関する。
癌患者の予後を明らかにする診断は、治療方針や治療効果のモニタリングにおいて重要な情報を与えることから、最適な治療方法の選択を行なう上での有用な指標となる。予後診断は、患者が抱える病状における危険性や生存の確率に関する情報を医師に与え、最適な治療方法が選択できるため、不必要な治療を患者に行なうリスクを低減できる。そのため、不必要な治療に対する費用の節約だけでなく、最適な治療による患者の予後改善に寄与できる。
癌患者の予後を予測する方法として、従来より可溶性腫瘍抗原を用いた方法が行なわれている。可溶性腫瘍抗原は、腫瘍細胞から分泌されるため、患者血液中または患者由来の組織試料中で検出できる。そのため、治療効果のモニタリングなど多くの診断に対する試みがなされている。例えば、消化器癌に対する腫瘍マーカーとしてCEA(Carcinoembryonic Antigen)やCA19−9(Carbohydrate Antigen 19−9)が用いられている。しかし、可溶性腫瘍抗原は腫瘍細胞の破壊によっても放出されるため、癌患者の予後を十分に反映しているとは限らない。
可溶性腫瘍抗原に代わる、癌患者の予後を予測する方法として、患者血液由来の試料中に存在する循環腫瘍細胞(Circulating Tumor Cell、以下CTC)を用いた方法が知られている。CTCの検出には、一般的には、サイトケラチンやEpCAM(Epithelial cell adhesion molecule)などの上皮系マーカーが用いられている。すなわち、CTCは、上皮系マーカー陽性の細胞として検出されている。特許文献1には、上皮系マーカーであるEpCAM(Epithelial Cell Adhesion Molecule)に対する抗体を結合した磁性粒子を用いて、血液由来の試料中に存在するCTCを免疫磁気的に濃縮後、別の上皮系マーカーであるサイトケラチンに対する蛍光標識抗体を用いてCTCを検出し、転移性乳癌患者における当該CTCの絶対数やその変化を評価することで、疾患増悪および死亡率に関する予後指標を提供する方法を開示している。また、特許文献2には、胃癌患者から得られた血液試料中に含まれる、細胞核を有し、かつ白血球マーカーおよび上皮系マーカーを実質的に発現していない、一細胞状態のCTCを検出および計数し、計数されたCTC数と予後とを関連付けることで、当該患者の予後予測が可能である旨、開示している。また、特許文献3には、CTCクラスタは、単細胞CTCよりも転移能が高く、CTCクラスタの存在が予後不良と相関することが開示されている。
特表2008−533487号公報 特開2017−129584号公報 特表2016−536303号公報
本発明の課題は、癌被験体の予後を精度良く予測する方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、癌患者から得られた試料中の上皮系マーカー陰性の腫瘍細胞クラスタの個数が癌患者の予後と強く相関することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は以下の通り例示できる。
[1]
被験体の予後を予測する方法であって、
(A)被験体より得られた試料中の標的細胞の個数を測定する工程、および
(B)前記個数と前記被験体の予後とを関連付ける工程
を含み、
前記被験体が、癌被験体であり、
前記標的細胞が、細胞核を有し、かつ白血球マーカーおよび上皮系マーカー陰性の腫瘍細胞クラスタである、方法。
[2]
前記上皮系マーカーが、サイトケラチンである、前記方法。
[3]
前記白血球マーカーが、CD45である、前記方法。
[4]
前記試料が、血液由来試料である、前記方法。
[5]
前記腫瘍細胞クラスタが、循環腫瘍細胞クラスタである、前記方法。
[6]
前記腫瘍細胞クラスタが、細胞核を有し、かつ白血球マーカーおよび上皮系マーカー陰性の腫瘍細胞を2個以上含む、前記方法。
[7]
前記被験体が、ヒトである、前記方法。
[8]
前記工程(A)の前に、さらに、前記試料中の標的細胞を濃縮して濃縮懸濁液を得る工程を含み、
前記濃縮懸濁液を用いて前記工程(A)が実施される、
前記方法。
本発明により、癌被験体の予後を精度よく予測できる。
本発明で利用可能な細胞保持装置の一態様を説明するための図である。 本発明で利用可能な細胞保持装置の別の態様を説明するための図である。 図1に示す細胞保持装置を備えた細胞検出装置の一態様を説明するための図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の予測方法は、被験体の予後を予測する方法である。
本発明の予測方法は、被験体より得られた試料中の標的細胞の個数を測定する工程、および前記個数と前記被験体の予後とを関連付ける工程を含む。前者の工程を「測定工程」、後者の工程を「関連付け工程」ともいう。関連付け工程は、具体的には、被験体より得られた試料中の標的細胞の個数と被験体の予後とを関連付けることにより被験体の予後を
予測する工程であってよい。
被験体は、癌被験体である。「癌被験体」とは、癌に罹患していたか、癌に罹患している被験体を意味する。被験体は、癌の治療前の被験体であってもよく、癌の治療中の被験体であってもよく、癌の治療後の被験体であってもよい。被験体は、特に、癌の治療後の被験体であってよい。被験体は、ヒトであってもよく、ヒト以外の動物であってもよい。ヒト以外の動物としては、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、サル、チンパンジー、鳥が挙げられる。被験体は、特に、ヒトであってよい。
癌の種類は、特に制限されない。癌は、原発癌でもよく、転移癌であってもよい。癌としては、造血細胞悪性腫瘍、頭頚部癌、脳腫瘍、乳癌、子宮体癌、子宮頚癌、卵巣癌、食道癌、胃癌、虫垂癌、大腸癌、肝癌、胆嚢癌、胆管癌、膵癌、腎癌、副腎癌、消化管間質腫瘍、中皮腫、甲状腺癌、肺癌、骨肉腫、骨癌、前立腺癌、精巣腫瘍、膀胱癌、皮膚癌、肛門癌が挙げられる。造血細胞悪性腫瘍としては、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫が挙げられる。リンパ腫としては、ホジキンリンパ腫や非ホジキンリンパ腫が挙げられる。頭頚部癌としては、口腔底癌、歯肉癌、舌癌、頬粘膜癌、唾液腺癌、副鼻腔癌が挙げられる。癌としては、特に、前立腺癌が挙げられる。
試料は、標的細胞を含有し得るものであれば、特に制限されない。試料としては、血液(全血)、希釈血液、血清、血漿、髄液、臍帯血、成分採血液等の血液試料;尿、唾液、精液、糞便、痰、羊水、腹水等の血液成分を含有し得る試料;肝臓、肺、脾臓、腎臓、皮膚、腫瘍、リンパ節等の組織の断片の懸濁液(組織懸濁液);それらの分画物が挙げられる。組織懸濁液は、例えば、組織の断片を液体媒体で懸濁することにより取得できる。液体媒体としては、水や水性緩衝液が挙げられる。分画物としては、上記のような試料に由来する、細胞を含有する画分が挙げられる。分画物として、具体的には、上記のような試料を密度勾配遠心等の遠心分離に供することで得られる、細胞を含有する画分が挙げられる。試料としては、特に、血液試料、血液成分を含有し得る試料、およびそれらの分画物(以下、総称して「血液由来試料」ともいう)が挙げられる。血液由来試料は、被験体からの採取が比較的容易であり得る。試料は、例えば、そのまま、あるいは適宜、希釈または濃縮等の操作に供してから、測定工程に用いてよい。試料は、例えば、懸濁液の形態で測定工程に用いてよい。
試料には、例えば、添加剤が添加されていてよい。添加剤は、特に、血液由来試料に添加されてよい。添加剤としては、抗凝固剤、抗血小板剤、ホルムアルデヒドドナー化合物(加水分解を受けることでホルムアルデヒドを放出可能な化合物)、ポリエチレングリコールが挙げられる。抗凝固剤としては、クエン酸やエチレンジアミン四酢酸(EDTA)等のキレート剤が挙げられる。これらの添加剤は、例えば、標的細胞の安定化に寄与し得る。添加剤としては、1種の添加剤を用いてもよく、2種またはそれ以上の添加剤を組み合わせて用いてもよい。添加剤は、例えば、被験体からの試料の採取時に添加されてもよく、被験体からの試料の採取後に添加されてもよい。2種またはそれ以上の添加剤を用いる場合、それらの添加剤は、同時に試料に添加してもよく、そうでなくてもよい。例えば、2種またはそれ以上の添加剤を含有する溶液を試料に添加してもよく、それらの添加剤のそれぞれを含有する溶液を個別に試料に添加してもよい。ホルムアルデヒドドナー化合物、抗血小板剤、および抗凝固剤を添加した血液由来試料(保存処理した血液由来試料)は、試料が凍らない低温から室温(例えば0℃から30℃)で少なくとも7日間は安定に保存可能であり得る。
試料は、例えば、細胞の固定処理や膜透過処理等の処理に供してから測定工程に用いてもよい。固定処理剤としては、ホルムアルデヒド、ホルムアルデヒドドナー化合物、グルタルアルデヒド等のアルデヒド類、メタノール、エタノール等のアルコール類、重金属を
含有する溶液が挙げられる。膜透過処理剤としては、メタノール、エタノール等のアルコール類や、サポニン等の界面活性剤が挙げられる。
標的細胞は、典型的には、試料中にごくわずかしか含有されない。よって、試料は、特に、試料中の標的細胞を濃縮してから測定工程に用いてよい。すなわち、測定工程に用いられる試料は、例えば、標的細胞が濃縮された試料であってよい。言い換えると、測定工程は、例えば、標的細胞が濃縮された試料を用いて実施されてよい。標的細胞が濃縮された試料は、上記のような分画物の一例でもあり得る。標的細胞が濃縮された試料を測定工程に用いることにより、例えば、標的細胞の明瞭な検出および計数ができ得る。本発明の予測方法は、測定工程の前に、さらに、試料中の標的細胞を濃縮する工程を含んでいてよい。同工程を「濃縮工程ともいう」。濃縮工程は、具体的には、試料中の標的細胞を濃縮して濃縮懸濁液を得る工程であってよい。濃縮懸濁液は、言い換えると、標的細胞が濃縮された試料である。「標的細胞の濃縮」には、試料中の標的細胞の細胞密度の増大に限られず、試料中の全細胞の個数に対する標的細胞の個数の比率の増大も包含される。標的細胞の濃縮は、例えば、試料中の夾雑細胞を除去することにより実施できる。「夾雑細胞」とは、標的細胞以外の細胞を意味する。夾雑細胞としては、赤血球や白血球が挙げられる。赤血球や白血球は、特に、血液由来試料に含有され得る。赤血球を除去する方法としては、赤血球を破砕(溶血)する方法、標的細胞と赤血球の大きさの違いに基づき濾過により赤血球を除去する方法、標的細胞と赤血球の比重の大きさに基づき密度勾配遠心より赤血球を除去する方法が挙げられる。溶血は、例えば、塩化アンモニウム、界面活性剤、または低張溶液の添加により実施できる。溶血は、特に、標的細胞の損傷が少ないと期待される点で、塩化アンモニウムの添加により実施してよい。白血球を除去する方法としては、白血球マーカー(CD45など)に対する抗体を固定化した担体に白血球を結合させて除去する方法が挙げられる。これらの除去操作は、単独で実施してもよく、適宜組み合わせて実施してもよい。
標的細胞は、細胞核を有し、かつ白血球マーカーおよび上皮系マーカー陰性の腫瘍細胞クラスタである。「細胞クラスタ」とは、2個以上の細胞で構成されるクラスタ(集塊)を意味する。細胞クラスタを構成する細胞の個数は、2個以上であれば特に制限されないが、例えば、2個以上、3個以上、4個以上、または5個以上であってもよく、15個以下、12個以下、10個以下、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、または4個以下であってもよく、それらの矛盾しない組み合わせの範囲であってもよい。細胞クラスタを構成する細胞の個数は、特に、3個以上であってもよい。細胞クラスタを構成する細胞の個数は、具体的には、例えば、2〜15個、3〜10個、または3〜8個であってもよい。「腫瘍細胞クラスタ」とは、腫瘍細胞を1個以上含む細胞クラスタを意味する。また、「或る特徴を有する腫瘍細胞クラスタ」とは、特記しない限り、腫瘍細胞を1個以上含む細胞クラスタであって、該1個以上の腫瘍細胞が、当該特徴を有するものを意味する。すなわち、例えば、「細胞核を有し、かつ白血球マーカーおよび上皮系マーカー陰性の腫瘍細胞クラスタ」とは、腫瘍細胞を1個以上含む細胞クラスタであって、該1個以上の腫瘍細胞が、細胞核を有し、かつ白血球マーカーおよび上皮系マーカー陰性であるものを意味する。なお、細胞クラスタを構成する細胞であって、細胞核を有し、かつ白血球マーカーおよび上皮系マーカー陰性である細胞は、腫瘍細胞とみなすものとする。すなわち、細胞クラスタを構成する「細胞核を有し、かつ白血球マーカーおよび上皮系マーカー陰性である細胞」は、細胞クラスタを構成する「細胞核を有し、かつ白血球マーカーおよび上皮系マーカー陰性である腫瘍細胞」と同義である。腫瘍細胞クラスタは、腫瘍細胞に加えて、腫瘍細胞以外の細胞を含んでいてもよく、いなくてもよい。すなわち、腫瘍細胞クラスタにおいては、例えば、腫瘍細胞に腫瘍細胞以外の細胞がさらに接着していてもよい。同様に、或る特徴を有する腫瘍細胞クラスタは、当該特徴を有する腫瘍細胞に加えて、当該特徴を有する腫瘍細胞以外の細胞を含んでいてもよく、いなくてもよい。腫瘍細胞以外の細胞としては、白血球が挙げられる。なお、特記しない限り、1個の細胞クラスタを1個
の標的細胞とカウントするものとする。標的細胞は、例えば、標的細胞であることの判定のしやすさの観点から、細胞核を有し、かつ白血球マーカーおよび上皮系マーカー陰性である腫瘍細胞を2個以上含む細胞クラスタであってもよい。標的細胞は、例えば、特に、3個以上の細胞で構成される細胞クラスタであって、細胞核を有し、かつ白血球マーカーおよび上皮系マーカー陰性である腫瘍細胞を2個以上含むものであってもよい。細胞クラスタを構成する細胞の個数が多いほど、細胞クラスタの検出が容易になり得る。図2に示す装置を用いて測定工程を実施する場合、例えば、微細孔のサイズに応じて検出する細胞クラスタのサイズを制限できる。例えば、微細孔の直径が直径30μm、深さ30μmである場合、3〜8個程度の細胞で構成される細胞クラスタを好適に検出できる。
腫瘍細胞クラスタとしては、循環腫瘍細胞(Circulating Tumor Cell;CTC)クラスタが挙げられる。すなわち、標的細胞は、例えば、細胞核を有し、かつ白血球マーカーおよび上皮系マーカー陰性のCTCクラスタであってもよい。CTCクラスタは、特に、血液由来試料に含有され得る。血液由来試料中の腫瘍細胞クラスタは、典型的には、CTCクラスタとみなしてよい。CTCクラスタを指標とすることにより、単一細胞として存在するCTCを指標とする場合より、高精度な予後予測が可能であり得る。
上皮系マーカーとしては、サイトケラチン(CK)やEpCAM(Epithelial cell adhesion molecule)が挙げられる。上皮系マーカーとしては、特に、CKが挙げられる。CKとしては、CK1からCK20(すなわち、CK1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20)が挙げられる。上皮系マーカーとしては、1つの上皮系マーカーを用いてもよく、2つまたはそれ以上の上皮系マーカーの組み合わせを用いてもよい。2つまたはそれ以上の上皮系マーカーの組み合わせを用いる場合、標的細胞においては、少なくとも1つの上皮系マーカーが陰性であればよい。すなわち、2つまたはそれ以上の上皮系マーカーの組み合わせを用いる場合、「上皮系マーカー陰性」とは、少なくとも1つの上皮系マーカーが陰性であることを意味してよい。2つまたはそれ以上の上皮系マーカーの組み合わせを用いる場合、標的細胞においては、2つまたはそれ以上の上皮系マーカーが陰性であってもよい。
白血球マーカーとしては、CD45が挙げられる。白血球マーカーとしては、1つの白血球マーカーを用いてもよく、2つまたはそれ以上の白血球マーカーの組み合わせを用いてもよい。2つまたはそれ以上の白血球マーカーの組み合わせを用いる場合、標的細胞においては、少なくとも1つの白血球マーカーが陰性であればよい。すなわち、2つまたはそれ以上の白血球マーカーの組み合わせを用いる場合、「白血球マーカー陰性」とは、少なくとも1つの白血球マーカーが陰性であることを意味してよい。2つまたはそれ以上の白血球マーカーの組み合わせを用いる場合、標的細胞においては、2つまたはそれ以上の白血球マーカーが陰性であってもよい。
試料中の標的細胞の個数は、試料中の標的細胞を検出してその個数をカウントすることにより、測定できる。標的細胞は、試料中の細胞(具体的には試料中の細胞クラスタを構成する細胞)の細胞核、上皮系マーカー、および白血球マーカーを測定することにより、検出できる。すなわち、測定工程は、試料中の細胞の細胞核、上皮系マーカー、および白血球マーカーを測定し、細胞核を有し、かつ白血球マーカーおよび上皮系マーカー陰性の腫瘍細胞クラスタの個数(すなわち標的細胞の個数)を測定する工程であってもよい。標的細胞の個数は、例えば、単位量(例えば、単位重量または単位体積)の試料当たりの標的細胞の個数として算出されてよい。
細胞核を有することは、例えば、細胞核染色試薬を用いて確認することができる。細胞
核染色試薬としては、4’,6−diamidino−2−phenylindole(DAPI)やHoechst 33342(商品名)が挙げられる。
白血球マーカーや上皮系マーカー等のマーカーを測定する方法は、特に制限されない。「マーカーの測定」とは、マーカーの発現の測定を意味してよい。マーカーの発現の測定は、例えば、定性的な測定(例えば、マーカーの発現の有無の測定)であってもよく、定量的な測定(例えば、マーカーの発現の程度の測定)であってもよい。マーカーの発現の測定は、例えば、マーカーの発現産物を測定することにより、実施できる。マーカーの発現産物としては、マーカーの転写産物(すなわち、マーカータンパク質をコードするmRNA)やマーカーの翻訳産物(すなわち、マーカータンパク質)が挙げられる。マーカーの発現産物としては、特に、マーカータンパク質が挙げられる。マーカーの発現産物の測定は、例えば、定性的な測定(例えば、発現産物の有無の測定)であってもよく、定量的な測定(例えば、発現産物の存在量の測定)であってもよい。測定を「検出」ともいう。
標的細胞は、通常、標的細胞が保持するマーカーの発現産物を測定することにより、直接的に検出されてよい。また、マーカーの発現産物の分泌等により標的細胞外にマーカーの発現産物が存在する場合、標的細胞は、標的細胞外に存在するマーカーの発現産物を測定することにより、間接的に検出されてもよい。
マーカーの発現産物を測定する方法は、特に制限されない。マーカーの発現産物は、発現産物の種類に応じた適切な手法により測定することができる。マーカーの発現産物は、例えば、mRNAまたはタンパク質を定量する公知の手法により測定することができる。
マーカータンパク質は、例えば、マーカータンパク質に対する抗体、マーカータンパク質に対するアプタマー、またはマーカータンパク質に特異的に染色可能な色素(例えば化学発光色素や蛍光色素)を利用して検出することができる。マーカータンパク質は、特に、マーカータンパク質に対する抗体を利用して検出してよい。マーカータンパク質に対する抗体を利用することにより、例えば、マーカータンパク質を簡便、高感度、かつ特異的に検出でき得る。抗体やアプタマーは、いずれも、適宜、標識物質で修飾されていてよい。標識物質としては、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、フィコエリスリン(PE)、Alexa Fluor(商品名)等の蛍光物質や、アルカリホスファターゼやホースラディッシュペルオキシダーゼ等の酵素、放射性物質が挙げられる。抗体またはアプタマーと標識物質との結合態様は、特に制限されない。抗体またはアプタマーは標識物質と直接結合していてもよく、そうでなくてもよい。例えば、抗体は、標識物質と化学結合等により直接結合していてもよく、標識物質と結合した二次抗体(標識二次抗体)と結合することによって間接的に標識物質と結合していてもよい。マーカータンパク質は、具体的には、例えば、マーカータンパク質に対する抗体を利用した、EIA(Enzyme Immunoassay)法またはウェスタンブロット法により、検出することができる。EIA法としては、ELISA(Enzyme−Linked ImmunoSorbent Assay)法、CLEIA(Chemiluminescent Enzyme Immunoassay)法、FEIA(Fluorescence Enzyme Immunoassay)法が挙げられる。マーカータンパク質は、手動で検出してもよく、測定装置を用いて自動的に検出してもよい。測定装置としては、AIA−900(東ソー)などのエンザイムイムノアッセイ装置やAIA−CL2400(東ソー)などの化学発光酵素免疫測定装置が挙げられる。
マーカータンパク質をコードするmRNAは、例えば、同mRNAに特異的にハイブリダイズするプローブを利用したハイブリダイゼーション法により検出することができる。また、マーカータンパク質をコードするmRNAは、同mRNAを特異的に増幅できるプライマーセットを利用した、PCR法、RT−PCR法、TRC(Transcription Reverse transcription Concerted)法、NA
SBA(Nucleic Acid Sequence−Based Amplification)法、またはTMA(Transcription−Mediated Amplification)法等により増幅して検出することもできる。マーカータンパク質をコードするmRNAは、試料を直接塩基配列解析に供して検出することもできる。
標識した標的細胞の検出および計数は、具体的には、例えば、顕微鏡、光学検出器、またはフローサイトメーターを用いて実施できる。顕微鏡としては、蛍光顕微鏡が挙げられる。なお、顕微鏡または光学検出器により標的細胞を検出および計数する場合、例えば、標的細胞を含む試料を、前記細胞を保持可能な保持部を有した細胞保持手段に導入し、前記保持部に前記細胞を保持させた後、顕微鏡または光学検出器で観察を実施してよい。保持部の例として、前記細胞を収納可能な孔や、前記細胞を固定可能な材料(例えば、ポリ−L−リジン)で覆われた面があげられる。
標的細胞の検出および計数工程で利用可能な装置の一例として、図1および3に示す細胞保持装置100があげられる。図1および3に示す細胞保持装置100は、試料(または前述した濃縮工程で得られた濃縮液)中に含まれる細胞を保持するための保持部170(貫通孔111・121)を複数有した構造体であって、平板状の基板141上面に設けている。なお(下部)基板141および上蓋基板142を透光性材料とし、かつ基板141の保持部170(上面)側および上蓋基板142の下面に設ける電極をITO(酸化インジウムすず)などの透明電極とすると好ましい。前記態様により、保持部170に保持された標識された細胞から発せられる光を基板141・142の上面または下面から観察できる。なお電極として、基板141の上面に、互いに異なる保持部に対応する位置にそれぞれ配置される一対の電極(櫛状電極141a・141b)を設けてもよい(図2)。
図1および3に示す細胞保持装置100に有する保持部170は、絶縁膜110および遮光膜120を貫通した構造である。遮光膜120を設けることで絶縁膜110自体の自家蛍光に起因するバックグラウンドノイズや、隣接する保持部170からの漏れ光に起因するクロストークノイズなどの光ノイズを低減できる。したがって各保持部170に保持された標識された細胞から発せられる光500のみを、検出部200で高感度かつ高精度に検出できる。
図1および3に示す細胞保持装置100には、保持部170の上面に試料(または前述した濃縮工程で得られた濃縮液)を導入する導入部131と試料(または前記濃縮液)を排出する排出部132と貫通部133とを有したスペーサ130を設けている。
図1および3に示す細胞保持装置100に設けた保持部170へ細胞を保持させる方法の一例として、誘電泳動力を利用した方法があげられる。前記方法は、細胞保持装置100に導入した細胞300を極めて短い時間(数秒程度)で保持部170に保持できる。誘電泳動力400を細胞300に作用させるには、保持部170を含む細胞保持装置100内の空間を試料(または前述した濃縮工程で得られた濃縮液)で満たした状態で、保持部170の部分に電気力線が集中するよう、交流電源160により、所定の波形を有する交流電圧を、導線150を通じて電極141・142に印加すればよい。なお保持部170をアレイ状に配置すると、電極141・142間に印加した電圧によって生じる電界がすべての保持部170にほぼ均等に生じるため、すべての保持部に対して一様に細胞を誘導し保持させることができる。なお図2に示す細胞保持装置100を用いる場合は、所定の波形を有する交流電圧を、櫛状電極の+極141aと−極141bに、交流電源により印加すればよい。印加する交流電圧は、電圧の正負の値を数ナノ秒から数百ミリ秒で繰り返す電圧であれば特に制限はない。具体例として、ピーク電圧が1Vから20V程度で、周波数100kHzから3MHz程度の正弦波、矩形波、三角波、台形波等の波形の交流電圧があげられる。印加時間は、ピーク電圧が1Vから20V程度の場合、30分以下が好
ましく、15分以下がより好ましい。
標識した標的細胞は、例えば、染色像(例えば蛍光像)に基づいて検出および計数してよい。染色像(例えば蛍光像)に基づく標的細胞の検出および計数は、例えば、手動で実施してもよく、標的細胞を自動で読み取るソフトウェアを用いて自動で実施してもよい。なお、標識した標的細胞の検出および計数の際には、例えば、染色像(例えば蛍光像)に加えて、明視野像による観察結果を参考にしてもよい。
複数のマーカーを測定する場合、それらのマーカーは、例えば、それぞれ別個に測定してもよく、まとめて同時に測定してもよい。
マーカーの測定は、例えば、複数個の細胞または細胞クラスタを含有する試料に対して実施してもよいし、試料から分離した単一の細胞または細胞クラスタに対して実施してもよい。また、マーカーの測定は、例えば、細胞クラスタ全体に対して実施してもよいし、細胞クラスタから分離した単一または複数個の細胞に対して実施してもよい。マーカーの測定は、典型的には、細胞クラスタ全体に対して実施してよい。
マーカーの発現産物を測定する方法は、特に制限されない。マーカーの発現産物は、発現産物の種類に応じた適切な手法により測定することができる。マーカーの発現産物は、例えば、mRNAまたはタンパク質を定量する公知の手法により測定することができる。
マーカーの陰性/陽性の判断基準は、所望の程度に標的細胞を検出できる限り、特に制限されない。陰性/陽性の判断基準は、例えば、標的細胞の検出の目的等の諸条件に応じて適宜設定できる。
例えば、マーカーの発現が全く認められない場合(例えば、マーカーの検出シグナルが全く認められない場合)に当該マーカーが陰性であると判断してよい。また、例えば、マーカーの発現レベルが所定の閾値未満である場合(例えば、マーカーの検出シグナルの強度が所定の閾値未満の場合)に当該マーカーが陰性であると判断してもよい。また、例えば、マーカーの発現レベルが陰性対照細胞におけるマーカーの発現レベルと同等以下である場合(例えば、マーカーの検出シグナルの強度が陰性対照細胞におけるマーカーの検出シグナルと同等以下である場合)に当該マーカーが陰性であると判断してもよい。また、例えば、マーカーの発現レベルが陽性対照細胞におけるマーカーの発現レベルの半分未満、1/3未満、1/5未満、または1/10未満である場合(例えば、マーカーの検出シグナルの強度が陽性対照細胞におけるマーカーの検出シグナルの半分未満、1/3未満、1/5未満、または1/10未満である場合)に当該マーカーが陰性であると判断してもよい。
例えば、マーカーの発現が少しでも認められる場合(例えば、マーカーの検出シグナルが少しでも認められる場合)に当該マーカーが陽性である判断してよい。また、例えば、マーカーの発現レベルが所定の閾値以上である場合(例えば、マーカーの検出シグナルの強度が所定の閾値以上の場合)に当該マーカーが陽性であると判断してもよい。また、例えば、マーカーの発現レベルが陽性対照細胞におけるマーカーの発現レベルと同等以上である場合(例えば、マーカーの検出シグナルの強度が陽性対照細胞におけるマーカーの検出シグナルと同等以下である場合)に当該マーカーが陽性であると判断してもよい。また、例えば、マーカーの発現レベルが陰性対照細胞におけるマーカーの発現レベルよりも有意に高い場合(例えば、マーカーの検出シグナルの強度が陰性対照細胞におけるマーカーの検出シグナルよりも一定の値以上高い、またはマーカーの検出シグナルの強度が陰性対照細胞におけるマーカーの検出シグナルの平均値+2SD以上、平均値+3SD以上、または平均値+4SD以上である場合)に当該マーカーが陽性であると判断してもよい。
「陰性対照細胞」とは、マーカーが陰性である細胞を意味する。「陽性対照細胞」とは、マーカーが陽性である細胞を意味する。上皮系マーカーや白血球マーカーについての陰性対照細胞としては、血管内皮細胞や間葉系幹細胞が挙げられる。白血球マーカーについての陽性対照細胞としては、白血球が挙げられる。
被験体より得られた試料中の標的細胞の個数と被験体の予後との関連付けは、被験体より得られた試料中の標的細胞の個数と被験体の予後との相関を示すデータ(以下、「相関データ」ともいう)に基づいて実施することができる。相関データは、例えば、癌個体群より得られた試料中の標的細胞の個数を測定し、それら癌個体群の予後を追跡調査し、標的細胞の個数と予後との相関を解析することで作成できる。相関データを作成するための個体については、被験体についての記載を準用できる。例えば、「癌個体」とは、癌に罹患していたか、癌に罹患している個体を意味する。相関データを作成するための個体数は、特に制限されないが、例えば、2個体以上、5個体以上、10個体以上、20個体以上、50個体以上、または100個体以上であってよい。相関データは、例えば、識別表やグラフ等の、扱いやすい形態で関連付けに使用されてよい。
例えば、被験体より得られた試料中の標的細胞の個数が少ないほど、予後が良いと予測してよい。また、例えば、被験体より得られた試料中の標的細胞の個数が所定の閾値と比較して少ない場合に、予後が予測と判断してよい。また、例えば、被験体において試料中の標的細胞の個数の減少が認められた場合に、予後が良いと予測してよい。また、例えば、被験体において、試料中の標的細胞の個数の減少の程度が大きい程、または試料中の標的細胞の個数の増加の程度が小さい程、予後が良いと予測してよい。
また、例えば、被験体より得られた試料中の標的細胞の個数が多いほど、予後が悪いと予測してよい。また、例えば、被験体より得られた試料中の標的細胞の個数が所定の閾値と比較して多い場合に、予後が悪いと予測してよい。また、例えば、被験体において試料中の標的細胞の個数の増加が認められた場合に、予後が悪いと予測してよい。また、例えば、被験体において、試料中の標的細胞の個数の減少の程度が小さい程、または試料中の標的細胞の個数の増加の程度が大きい程、予後が悪いと予測してよい。
具体的には、例えば、被験体より得られた試料中の標的細胞の個数が、1mLの試料当たり、10個以上、15個以上、20個以上、30個以上、50個以上、100個以上、200個以上、500個以上、1000個以上、2000個以上、または5000個以上である場合に予後が悪いと判断してよい。また、具体的には、例えば、被験体より得られた試料中の標的細胞の個数が、1mLの試料当たり、10個以上、15個以上、20個以上、30個以上、50個以上、100個以上、200個以上、500個以上、1000個以上、2000個以上、または5000個以上増加した場合に予後が悪いと判断してよい。なお、試料が採取後に希釈または濃縮されている場合は、試料の体積は希釈または濃縮前の試料の体積を意味してよい。
予後の予測は、例えば、定性的な予測(例えば、予後が良または不良となるかどうかの予測)であってもよく、定量的な予測(例えば、予後が良または不良となる可能性の程度の予測や、予後が良または不良となる場合の良または不良の程度の予測)であってもよい。例えば、予後が良いと予測することとしては、予後が良となると予測すること、予後が良となる可能性が高いと予測すること、予後が良となる場合の良の程度が大きいと予測することが挙げられる。また、例えば、予後が悪いと予測することとしては、予後が不良となると予測すること、予後が不良となる可能性が高いと予測すること、予後が不良となる場合の不良の程度大きいと予測することが挙げられる。
予後は、癌に関連するものであれば、特に制限されない。予後としては、生存期間、生存率、癌の悪化の有無や可能性、癌の改善の有無や可能性、癌の再発の有無や可能性、癌の転移の有無や可能性が挙げられる。予後の予測の際には、標的細胞の個数に加えて、他のパラメータを考慮してもよい。他のパラメータとしては、根治群/再発群/要治療群等の治療状態、ステージI/II/III/IV等の進行度、1年/3年/5年/10年生存率等の生存率、グリーソンスコア(Gleason score)等の悪性度が挙げられる。すなわち、予後として、具体的には、根治群/再発群/要治療群等の治療状態に基づく予後、ステージI/II/III/IV等の進行度に基づく予後、1年/3年/5年/10年生存率等の生存率に基づく予後、グリーソンスコア(Gleason score)等の悪性度に基づく予後も挙げられる。グリーソンスコアは、例えば、前立腺癌の悪性度の判定に用いられる。治療状態、進行度、生存率、悪性度等のパラメータと標的細胞の個数を組み合わせて評価することにより、正確に予後を予測することができると期待される。予後は、特に、治療予後であってよい。すなわち、例えば、癌の治療後の被験体に対して本発明の予測方法を実施することにより、治療予後を予測することができる。
関連付け工程は、例えば、医師が実施してもよく、医師以外の者が実施してもよい。関連付け工程は、例えば、医療補助者等の、医師以外の医療関係者が実施してもよい。また、関連付け工程は、コンピュータ(具体的には、例えば、測定装置やプログラム)により自動で実施してもよい。本発明の予測方法による予測結果は、例えば、医師等の医療関係者が被験体の予後を診断するために利用することができる。したがって、本発明の予測方法は、被験体の予後を診断するための予備的方法とみなしてもよい。
本発明の予測方法によれば、治療方針の決定や治療効果のモニタリングにおいて精度よい情報を提供できる。本発明の予測方法によれば、被験体が抱える病状における危険性や生存の確率に関する情報を医師に与えることで、最適な治療方法を選択できるため、不必要な治療を被験体に行なうリスクの低減に繋がる。そのため、本発明の予測方法によれば、不必要な治療に対する費用の節約だけでなく、最適な治療選択による被験体の予後改善に寄与できる。例えば、本発明の予測方法によって要治療群または低い生存率と予測された被験体には、さらに、抗癌剤投与、放射線療法、外科手術等の適切な医療行為を実施してよい。また、本発明の予測方法は、被験体の予後診断だけでなく、例えば、被験体における腫瘍の早期発見や転移診断にも展開可能であり、また、健常者に対する癌診断のスクリーニングにも展開できる。
<2>本発明のプログラム
本発明は、本発明の方法に含まれる工程をコンピュータに実行させるプログラムを提供する。同プログラムを、「本発明のプログラム」ともいう。「本発明の方法」とは、本発明の予測方法を意味してよい。
すなわち、本発明においては、本発明の方法に含まれる工程をコンピュータが実行してもよい。コンピュータは、本発明の方法に含まれる工程の一部または全部を実行してよい。コンピュータは、例えば、測定工程および/または予測工程を実行してよい。
具体的には、例えば、医療関係者は、被験体から血液由来試料等の試料を取得し、必要により前処理を行い、測定装置にセットすることができる。コンピュータは、測定装置に試料中の細胞の白血球マーカーや上皮系マーカー等のマーカーや細胞核の有無を測定させ、標的細胞を検出することができる。コンピュータは、さらに、標的細胞の検出結果に基づいて被験体の予後を予測することができる。コンピュータは、さらに、そのようにして得られた予測結果を出力することができ、以て医療関係者は予測結果を取得して被験体の予後の診断に利用することができる。
本発明のプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録され、提供されてよい。「コンピュータが読み取り可能な記録媒体」とは、データやプログラム等の情報が電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用等により蓄積され、さらに蓄積された情報をコンピュータから読み取ることのできる記録媒体をいう。そのような記録媒体としては、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R/W、DVD-ROM、DVD-R/W、DVD-RAM、DAT、8mmテープ、メモリカード、ハードディスク、ROM(リードオンリーメモリ)、SSDが挙げられる。また、本発明のプログラムは、コンピュータにより実行される各ステップが別個のプログラムとして記録されていてもよい。
以下、非限定的な実施例を参照して本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1 CK陰性の腫瘍細胞クラスタ数と病態の相関
(1)インフォームドコンセントを得た前立腺癌患者4名から、それぞれEDTA−2K採血管(VP−DK050K、テルモ社製)に10mL採血した。採血後、前記採血管に保存剤(イミダゾリジニル尿素7.7%、ポリエチレングリコール0.77%、EDTA 1mg/mL、チロフィバン0.64mg/mL、トロロックス0.76mg/mL)を添加し、十分に撹拌、混合し、希釈血液試料を調製した。
なお、前立腺癌患者4名の病態情報は下記の通りである。
患者A:エンザルタミド(Enzalutamide)抵抗性であり、ドセタキセル(Docetaxel)治療を実施、骨転移および肝転移進行にて死去(予後不良)
患者B:カバジタキセル(Cabazitaxel)治療を実施、骨転移進行にて死去(予後不良)
患者C:アビラテロン(Abiraterone)治療を実施、骨転移および肝転移進行にて死去(予後不良)
患者D:エンザルタミド治療中、臓器転移は確認されていない(病態安定)
(2)(1)で調製した希釈血液試料3.45mLに、0.9%(w/v)塩化アンモニウムと0.1%(w/v)炭酸水素カリウムとを含む水溶液を、総量90mLとなるまで添加後、室温で5分間静置することで赤血球を破砕(溶血)した。溶血処理後、900×gで5分間、25℃で遠心分離した。
(3)遠心分離後の上清を88mL除去後、ピペッティングにより腫瘍細胞クラスタを含むペレットを上清残液に懸濁させた。
(4)ポリエチレングリコールを結合したBSA(PEG−BSA、特開2016−106622号公報)をBSAとして0.1%(w/v)または2%(w/v)含むPBS(リン酸緩衝生理食塩水)を、総量30mLとなるまで(3)の懸濁液に添加後、600×gで5分間、25℃で遠心分離した。得られた上清を29mL除去し、ピペッティングによりペレットを上清残液に再懸濁させた。
(5)抗CD45抗体修飾磁性粒子懸濁液(Dynabeads CD45、Thermo Fisher Scientific社製)100μLと抗CD15抗体修飾磁性粒子懸濁液(Dynabeads CD15、Thermo Fisher Scientific社製)100μLとを混合後、磁石を用いて分散媒を除去し磁性粒子を濃縮した。濃縮した磁性粒子と(4)で得られた細胞懸濁液全量とを混合させた後、室温で5分間回転撹拌し、磁性粒子に結合した白血球を磁石により除去した。
(6)(5)で白血球を除去した懸濁液を、PEG−BSA(BSAとして0.1%(
w/v))および280mMキシリトールを含む溶液30mLで再懸濁した。
(7)再懸濁液を600×gで5分間、25℃で遠心分離後、上清を除去し、再度、腫瘍細胞クラスタを含むペレットを、PEG−BSA(BSAとして0.1%(w/v))および280mMキシリトールを含む溶液30mLで再懸濁した。当該操作は、血小板を含む血液成分を除去し、標的とする腫瘍細胞クラスタを濃縮するための操作である。
(8)再懸濁液を600×gで5分間、25℃で遠心分離後、上清を除去した懸濁液を図1および3に示す細胞保持装置100に導入し、交流電源160から(下部)基板141および上蓋基板142に交流電圧(1MHz、20Vp−p)を10分間印加することで装置100に有する保持部170に腫瘍細胞クラスタを保持させた。本実施例で用いた細胞保持装置100は、直径30μmの貫通孔111を複数有した絶縁膜110と直径30μmの貫通孔121を複数有した遮光性のクロム膜(遮光膜120)と基板141とを上から絶縁膜110−遮光膜120−基板141の順に密着して設け、さらに絶縁膜110の上面に試料の導入部131、排出部132および貫通部133を有する厚さ1mmのスペーサ130を、スペーサ130の上面に上蓋基板142を、それぞれ密着して設けてなる装置である。なお貫通孔111・121および上蓋基板142により、直径30μm、深さ30μmからなる細胞300を保持可能な保持部170が形成されている。
(9)導入部131から、0.01%(w/v)ポリ−L−リジンを含む280mMキシリトール水溶液を、前記交流電圧を印加しながら導入し、3分間静置後、前記交流電圧の印加を停止し、排出部132から前記水溶液を吸引除去した。
(10)導入部131から、1wt%ホルマリンを含むPBS溶液を導入し、10分間静置することで細胞を固定後、排出部132から前記試薬を吸引除去した。その後、導入口8から、0.05%(w/v)Tween 20(商品名)を含むPBS溶液(以下PBS−T)を導入することで、残留した前記試薬を洗浄した。
(11)導入部131から、95%(v/v)エタノールを含む水溶液を導入し、10分間静置することで細胞を膜透過後、排出部132から前記試薬を吸引除去した。その後、導入部131から、PBS−Tを導入することで、残留した前記試薬を洗浄した。
(12)導入口8から、10%(v/v)Goat Serum(ヤギ血清)および3%(w/v)BSAを含むPBS溶液を導入し、10分間静置することでブロッキング後、排出部132から前記試薬を吸引除去した。
(13)導入部131から、抗サイトケラチン(CK)マウス抗体(Miltenyi
Biotec社製)、10%(v/v)Goat Serumおよび3%(w/v)BSAを混合した細胞標識試薬を導入し、30分間静置することで細胞を標識した後、排出部132から前記試薬を吸引除去した。その後、導入部131から、PBS−Tを導入することで、残留した前記試薬を洗浄した。
(14)導入部131から、Alexa Fluor 488標識抗マウスIgG1抗体(Thermo Fisher Scientific社製)、PE(フィコエリスリン)標識抗CD45抗体(Miltenyi Biotec社製)、DAPI(4’,6−DiAmidino−2−PhenylIndole)(同仁化学研究所社製)、10%(v/v)Goat Serumおよび3%(w/v)BSAを混合した細胞染色試薬を導入し、20分静置することで細胞を染色した。その後、排出部132から細胞染色試薬を吸引除去した。その後、導入部131から、PBS−Tを導入することで、残留した前記試薬を洗浄した。
(15)保持部に保持された全ての細胞を観察するために、コンピューター制御式電動ステージおよびCMOSカメラ(浜松ホトニクス社製ORCA−Flash4.0)を備えた蛍光顕微鏡(Olympus社製IX71)を用いて全ての保持部の明視野像および蛍光画像を撮影した。
(16)(15)で撮影した画像を解析ソフトウェアLabVIEW(National Instruments社製)を用いて解析を行ない、細胞核を有していることを示すDAPIで染色され(細胞核を有し)、かつPEでは染色されない(白血球マーカーであるCD45を発現しない)細胞を検出した。
(17)(16)で撮像した細胞の中から、DAPIで染色されており(DAPI陽性)、CD45に対する標識抗体では染色されず(CD45陰性)、かつ上皮系の性質を有していることを示すCKに対する抗体でも染色されない(CK陰性)腫瘍細胞を二以上含む集塊を計数した。
比較例1 DAPI陽性/CD45陰性/CK陽性細胞の検出
実施例1(15)において撮像した細胞の中から、DAPI陽性であり、CD45陰性であり、CK陽性であり、かつ一細胞として存在する腫瘍細胞(CTC)を計数した他は、実施例1と同様な方法で検出および計数を行なった。
比較例2 前立腺癌腫瘍マーカーPSAの測定
実施例1(1)で採血した血液を用いて、前立腺癌における腫瘍診断時の診断マーカーとして従来から用いられているPSA(前立腺特異抗原)の値を測定した。
実施例1ならびに比較例1および2の結果をまとめて表1に示す。なお表1において、1回目、2回目は時系列を意味する(2回目が後)。細胞核を有し、かつ上皮系マーカーであるCKを実質的に発現しない(CK陰性)腫瘍細胞クラスタ数(実施例1)は、予後不良の患者(患者A/B/C)において、顕著な増加が認められた(血液1mLあたりの腫瘍細胞クラスタ数で、患者Aは22個から240個、患者Bは18個から13526個、患者Cは2168個から6134個)。一方、病態安定の患者(患者D)では、前記腫瘍細胞クラスタ数の変動は認められなかった(血液1mLあたりの腫瘍細胞クラスタ数で、2回とも8個)。以上の結果から、細胞核を有し、かつ上皮系マーカーを実質的に発現しない腫瘍細胞クラスタ数が患者の予後と相関していることを示しており、前記クラスタ数に基づく精度のよい予後予測が可能であることを示唆している。
なお、上皮系マーカーであるCKを発現する(CK陽性)腫瘍細胞数(比較例1)は、患者C(予後不良)において、前記細胞数の変動がほとんど認められず(血液1mLあたりの腫瘍細胞クラスタ数で、88個から90個)、PSA値(比較例2)も、患者BおよびCにおいて、前記値の変動がほとんど認められかった(患者B:72ng/mLから87ng/mL、患者C:50ng/mLから49ng/mL)。このことから、上皮系マーカーを発現する腫瘍細胞数(比較例1)やPSA値(比較例2)に基づく予後予測方法は、細胞核を有し、かつ上皮系マーカーを実質的に発現しない腫瘍細胞クラスタ数に基づく予後予測方法(実施例1)と比較し、予測精度が劣ることがわかる。
Figure 2021110664
<符号の説明>
100:細胞保持装置
110:絶縁膜
120:遮光膜
111および121:貫通孔
130:スペーサ
131:導入部
132:排出部
133:貫通部
141および142:基板(電極)
141a:+極
141b:−極
150:導線
160:交流電源
170:保持部
200:検出部
300:細胞
400:誘電泳動力
500:光

Claims (8)

  1. 被験体の予後を予測する方法であって、
    (A)被験体より得られた試料中の標的細胞の個数を測定する工程、および
    (B)前記個数と前記被験体の予後とを関連付ける工程
    を含み、
    前記被験体が、癌被験体であり、
    前記標的細胞が、細胞核を有し、かつ白血球マーカーおよび上皮系マーカー陰性の腫瘍細胞クラスタである、方法。
  2. 前記上皮系マーカーが、サイトケラチンである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記白血球マーカーが、CD45である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記試料が、血液由来試料である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記腫瘍細胞クラスタが、循環腫瘍細胞クラスタである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記腫瘍細胞クラスタが、細胞核を有し、かつ白血球マーカーおよび上皮系マーカー陰性の腫瘍細胞を2個以上含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記被験体が、ヒトである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記工程(A)の前に、さらに、前記試料中の標的細胞を濃縮して濃縮懸濁液を得る工程を含み、
    前記濃縮懸濁液を用いて前記工程(A)が実施される、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
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