JP5167109B2 - 傾斜測定用冶具及び傾斜測定方法 - Google Patents
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また、ボーリングマシンを使用するBH(Boring Hole)工法において、削孔した掘削孔に建て込んだ芯材の地上部分の傾斜を測定することで、施工精度を管理することが行われている。
ただし、ロッドの内径とガイド管の外径とに差があり、ロッド内でガイド管ががたつくなどして姿勢が安定しないと、正確な傾斜測定を行うことができないという問題がある。また、ロッド内に密接するサイズのガイド管であり、ロッドとガイド管の間に土砂が入り込んでしまうと、土砂によってロッドとガイド管とが噛み合わさってしまうので、ロッド内にガイド管を挿入することやロッドからガイド管を抜き出すことが困難となったり、その際にロッドを損傷してしまったりすることがあるという問題がある。
傾斜計が挿入されるガイド管を中空の掘削軸内に配設させる傾斜測定用冶具であって、
前記ガイド管の外周面に着脱可能に取り付けられる固定部と、
前記固定部の周方向に略等間隔に設けられ、その固定部から前記掘削軸の内周面に向かって延在する少なくとも3つの支持部と、
を備え、
前記支持部は、前記掘削軸の軸心と前記ガイド管の軸心を一致させるように、前記内周面に当接することを特徴とする。
前記支持部は、前記固定部に設けられる回転体支持部材と、
前記掘削軸の軸方向および前記掘削軸の径方向と直交する軸を有し、前記回転体支持部材の先端側で回転可能に軸支されて、前記内周面に当接する回転体と、
を備えることを特徴とする。
前記支持部のうちの少なくとも1つは、前記掘削軸と前記ガイド管とが接離する方向に弾性変形可能な回転体支持部材を備えることを特徴とする。
請求項1〜3の何れかに記載の傾斜測定用冶具を用いる傾斜測定方法であって、
地盤を掘削する掘削部を先端に備える中空の掘削軸を回転させて掘削した掘削孔内に配された前記掘削軸の内側に、前記傾斜測定用冶具を長手方向に所定間隔あけて取り付けたガイド管を配設させて、そのガイド管内に傾斜計を挿入して前記掘削孔の傾斜を測定することを特徴とする。
そして、ガイド管に傾斜計を挿入して傾斜の測定を行うことで、ガイド管を介するように掘削軸の傾斜を測定することができる。
特に、掘削孔を形成し終えた姿勢のまま、その掘削孔内に配されている掘削軸内に傾斜測定用冶具を装着したガイド管を配設することによって、ガイド管と掘削軸を介するように、掘削孔の傾斜を好適に測定することができる。
また、ガイド管の長手方向に所定間隔をあけて、少なくとも2つの傾斜測定用冶具を取り付けるようにすることで、掘削軸内でのガイド管の姿勢がより安定するので、掘削軸とガイド管の軸心をより好適に一致させることができ、より一層好適な傾斜測定が可能になる。
図1に示すように、ボーリングマシン10は、先端に掘削部であるビット11を備えた掘削軸であるボーリングロッド12を回転させつつ下降させ、地盤Gに掘削孔Hを形成する装置である。
この掘削の際に、ウォータースイベル13を介して供給される安定液を、中空なボーリングロッド12を通じてビット11から噴出させている。掘削により生じた土砂と安定液との混合液は、サンドポンプ14により汲み上げられる。汲み上げられた混合液はサイクロンスクリーン15によって安定液と土砂とに分離されて、安定液は安定液タンク16に貯留され、土砂は残土タンク17に回収される。安定タンク16に貯留された安定液は、グラウトポンプ18によってウォータースイベル13に送給される。
なお、ボーリングマシン10による地盤Gの掘削は、従来公知の技術と同様であるのでここでは詳述しない。
なお、深度を示す指標35の間隔が、例えば50cmである場合、この傾斜計30による測定区間長は、50cmとなる。
なお、ガイド管20内に傾斜計30を挿入しての傾斜測定は、従来公知の手法と同様であるので、ここでは詳述しない。
第一固定部材2aと第二固定部材2bとがビス8で締結されてなる固定部2の内径は、ガイド管20の外径とほぼ同じサイズを有する。つまり、第一固定部材2aの内面部分と第二固定部材2bの内面部分とで、ガイド管20の外面を挟み込むようになっている。
なお、第一固定部材2aに2つの支持部3が設けられ、第二固定部材2bに1つの支持部3が設けられている。
第一支持部3aは、固定部2(第一固定部材2a)に設けられる回転体支持部材である板材4aと、板材4aの先端側において掘削軸12の軸方向および径方向と直交する軸6によって回転可能に軸支される回転体であるタイヤローラ5等を備えている。
第二支持部3bは、固定部2(第二固定部材2b)に設けられる回転体支持部材であるばね材4bと、ばね材4bの先端側において掘削軸12の軸方向および径方向と直交する軸6によって回転可能に軸支される回転体であるタイヤローラ5等を備えている。
なお、各支持部3(第一支持部3a、第二支持部3b)におけるタイヤローラ5の軸6は、ガイド軸20の軸方向および径方向とも直交するようになっている。
この第一支持部3aと第二支持部3bにおける固定部2からタイヤローラ5の外端までの長さは、それぞれ同じとなるように設計されている。
但し、第二支持部3bのばね材4bは、弾性変形可能なバネ鋼(例えば、SUS材2t(厚さ2mm))からなるので、ばね材4bが弾性変形することで、第二支持部3bのタイヤローラ5が固定部2に対して接離する方向に微動するようになっている。
特に、支持部3における軸6は、掘削軸12及びガイド軸20の軸方向と径方向とに直交する向きに配されているので、掘削軸12の内周面に当接したタイヤローラ5は、掘削軸12の軸方向に沿い好適に回転可能となり、傾斜測定用冶具1が取り付けられたガイド管20を掘削軸12内に配設する際に、スムーズに送り込むことができる。
その際に、掘削軸12の内周面に若干の凹凸があっても、第二支持部3bのばね材4bは、掘削軸12とガイド管20とが接離する方向に弾性変形可能なため、ガイド管20を掘削軸20内に送り込み、好適に配設することができる。
例えば、図4(b)に示すように、ガイド管20の上下方向に所定間隔あけて、2つの傾斜測定用冶具1を取り付けることで、掘削軸12内でのガイド管20の姿勢が安定し、掘削軸12の軸心とガイド管20の軸心とがずれにくくなる。
この掘削時には、中空なボーリングロッド12を通じて送給した安定液をビット11から噴出させている。なお、掘削孔Hを形成した直後であれば、掘削孔Hの孔底に著しくスライムは堆積していないと考えられるが、掘削孔Hの掘削深度が大きいほど、スライムが短時間で堆積しやすい。堆積したスライムが傾斜測定にどのような影響を及ぼすことが明らかにされていないことから、スライム処理を傾斜測定の前に実施してもよい。例えば、正循環方式と呼ばれるものであって、ボーリングロッド12を利用して、大容量の安定液をビット11から噴出させることでスライム処理を行う方法がある。このため、ボーリングロッド12を抜管しなくてもそのままの状態でスライム処理を行うことができる。その後で、後述する傾斜測定を行ってもよい。
この際、傾斜測定用冶具1の支持部3のタイヤローラ5がボーリングロッド12の内周面に当接しつつ回転することで、ガイド管20がボーリングロッド12内にスムーズに挿入される。なお、予め幾つかのガイド管20を繋げて延長しておけば、ボーリングロッド12(掘削孔H)の全長に亘るガイド管20の設置を速やかに行うことが可能になる。
そして、ボーリングロッド12内に配設されたガイド管20の軸心は、そのガイド管20に取り付けられた傾斜測定用冶具1によって、ボーリングロッド12の軸心と一致している。なお、ガイド管20がボーリングロッド12内で回転してしまわないように、ガイド管20とボーリングロッド12の口元どうしを固定することが好ましい。
ここで、ボーリングロッド12は、掘削孔Hを形成し終えた姿勢のまま掘削孔H内に配されているので、ボーリングロッド12の傾斜方向と、掘削孔Hの傾斜方向とは一致しているといえる。そして、ボーリングロッド12の軸心とガイド管20の軸心とが一致しているので、ガイド管20における傾斜測定によって、ガイド管20とボーリングロッド12を介するように、掘削孔Hの傾斜を測定することができるのである。
傾斜測定後、傾斜計30をガイド管20から抜き出し、さらに、ガイド管20をクレーンなどによって引き上げる。なお、引き上げられたガイド管20や傾斜測定用冶具1は、他の掘削孔Hの傾斜測定に繰り返し使用される。
そして、掘削孔H内に流し込まれるスライムと安定液の混合物を、エアーパイプEPによりエアーリフトパイプP1内に空気を送り込みつつ、そのエアーリフトパイプP1によって吸い上げるスライム処理を行う(図5の(d)工程)。この方法は、一般に逆循環方式と呼ばれている。このように、前述の正循環方式と逆循環方式によるスライム処理方法がある。
なお、前述したように、傾斜測定の前にスライム処理を行った場合、例えば、深さ20mあたり、およそ1時間程度の傾斜測定時間を要するため、その傾斜測定後では、孔底にスライムが堆積している可能性が高い。よって、この後の工程で流し込むコンクリートの品質を維持するためにもスライム処理を再度実施することが望ましい。
更に、トレミーパイプP2を通じて掘削孔H内に生コンクリートを流し込み打設する(図5の(f)工程)。
こうして所定位置にコンクリート杭を施工することができる。
このように施工されたコンクリート杭は、傾斜管理された掘削孔Hに設けられており、その施工精度は良好となる。
そして、そのガイド管20内に傾斜計30を挿入して傾斜測定することにより、ガイド管20を介してボーリングロッド12の傾斜を測定することができる。
特に、掘削孔Hを形成し終えた姿勢のまま掘削孔H内に配されているボーリングロッド12内に傾斜測定用冶具1を装着したガイド管20を配設することによって、ガイド管20とボーリングロッド12を介するように、掘削孔Hの傾斜を好適に測定することができる。
このように、ボーリングロッド12を使用する工法であれば、適宜、傾斜測定用冶具1を装着したガイド管20を配設することによって、傾斜測定に適用できる。従って、本発明はBH(Boring Hole)工法に限定されるものではない。
なお、ガイド管20の外径に応じた内径サイズの固定部2を有する傾斜測定用冶具や、掘削軸12の内径サイズおよび固定部2のサイズに応じた長さの支持部3を有する傾斜測定用冶具など、各種タイプの傾斜測定用冶具を装備すれば、様々な傾斜測定(例えば、ガイド管20やボーリングロッド12の太さが異なる場面での傾斜測定)に対応することが可能になる。
また、各支持部3は固定部2の周方向に沿って等間隔に設けられることに限らず、例えば、ガイド管20とボーリングロッド12との断面を同心円状に配して、ガイド管20の軸心とボーリングロッド12の軸心とを一致させることが可能となる配置であれば、支持部3の間隔は任意であってもよい。
また、ボーリングロッド12の内周面が十分に円滑な面を有すれば、支持部3のタイヤローラ5は全て板材4aによって支持されるようにしてもよい。
2 固定部
2a 第一固定部材
2b 第二固定部材
3 支持部
3a 第一支持部
3b 第二支持部
4a 板材(回転体支持部材)
4b ばね材(回転体支持部材)
5 タイヤローラ(回転体)
6 軸
8 ビス
10 ボーリングマシン
11 ビット(掘削部)
12 ボーリングロッド(掘削軸)
20 ガイド管
30 傾斜計
31 傾斜計本体
32 上車輪
33 下車輪
34 通信ケーブル
35 指標
G 地盤
H 掘削孔
Claims (4)
- 傾斜計が挿入されるガイド管を中空の掘削軸内に配設させる傾斜測定用冶具であって、
前記ガイド管の外周面に着脱可能に取り付けられる固定部と、
前記固定部の周方向に略等間隔に設けられ、その固定部から前記掘削軸の内周面に向かって延在する少なくとも3つの支持部と、
を備え、
前記支持部は、前記掘削軸の軸心と前記ガイド管の軸心を一致させるように、前記内周面に当接することを特徴とする傾斜測定用冶具。 - 前記支持部は、前記固定部に設けられる回転体支持部材と、
前記掘削軸の軸方向および前記掘削軸の径方向と直交する軸を有し、前記回転体支持部材の先端側で回転可能に軸支されて、前記内周面に当接する回転体と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の傾斜測定用冶具。 - 前記支持部のうちの少なくとも1つは、前記掘削軸と前記ガイド管とが接離する方向に弾性変形可能な回転体支持部材を備えることを特徴とする請求項2に記載の傾斜測定用冶具。
- 請求項1〜3の何れかに記載の傾斜測定用冶具を用いる傾斜測定方法であって、
地盤を掘削する掘削部を先端に備える中空の掘削軸を回転させて掘削した掘削孔内に配された前記掘削軸の内側に、前記傾斜測定用冶具を長手方向に所定間隔あけて取り付けたガイド管を配設させて、そのガイド管内に傾斜計を挿入して前記掘削孔の傾斜を測定することを特徴とする傾斜測定方法。
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