JP5166441B2 - 癌治療用イミダゾリジノニルアミノピリミジン化合物 - Google Patents

癌治療用イミダゾリジノニルアミノピリミジン化合物 Download PDF

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Description

本発明は、イミダゾリジノニルアミノピリミジン化合物に関する。
Plk1は、ポロボックス領域として公知のホスホセリン/トレオニン結合ドメインによって特徴づけられる、プロテインキナーゼの小ファミリーに属する。Plk1は、細胞周期の調節において中心的役割を果たす。Plk1の機能は、特に、有糸分裂(癌細胞が分裂する段階)の開始、進行及び脱出を制御すると考えられる。したがって、癌細胞においてPlk1を妨害することにより、それらの分裂又は有糸分裂が防止される。
ビンカアルカロイド(NAVELBINE(登録商標))、タキソイド(TAXOTERE(登録商標))及びトポイソメラーゼII阻害剤(ADRIAMYCIN(登録商標))などの、有糸分裂を妨害する強力な抗癌剤が同定されている。VELCADE(登録商標)は、26Sプロテオゾームを阻害する抗癌剤である。しかしながらこれらの薬剤は、分裂しない通常の細胞にも顕著な副作用を生じさせる。Plk阻害剤は分裂細胞を特異的に標的とするため、望ましくない毒性を回避することができる。
Plk1阻害剤は、従来技術において公知である。例えば特許文献1:国際公開第06/066172号を参照のこと。更に特許文献2:国際公開第06/021548号は、Plk1阻害剤として、特定のジヒドロプテリジノン類似体(例えばBI−2536)を開示している。最近では、BI−2536は第2フェーズの臨床試験が行われているが、それは高いクリアランス(CL>1000mL/分)を示し、またヒトの腫瘍抑制への投与に限定されている。改良された薬効又は薬物動態特性を有する、更なるPlk1阻害化合物に対するニーズが今なお存在する。経口投与可能なPlk1阻害剤を提供することもまた有利である。
国際公開第06/066172号パンフレット 国際公開第06/021548号パンフレット
本発明は、Plk1の阻害による癌の治療に使用できる、新規なイミダゾリジノニルアミノピリミジン化合物の提供に関する。これらの化合物の幾つかは、特許文献1:国際公開第06/066172号で開示される化合物を凌ぐ効力を有すると考えられる。更に、これらの化合物の中の幾つかは、BI−2536よりも改善された薬物動態特性を有すると考えられる。更に、試験された本発明の化合物が有する経口バイオアベイラビリティのため、これらの化合物の中の幾つかは経口投与できるものと考えられる。
本発明は、式Iの化合物
Figure 0005166441
(式中、Rは水素、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基、ハロ基、メチル基、フルオロメチル基、C−Cアルコキシ基、アミノ基又はメチルアミノ基であり、
は水素、ハロ基又はシアノ基であり、
は水素又はハロ基であり、
但しR、R及びRのうちの少なくとも1つが水素であり、
は水素、ハロ基又はメチル基である)、
又はその薬理学的に許容できる塩の提供に関する。
本発明は、哺乳動物における、肺非小細胞癌、食道癌、口咽頭癌、胃癌、黒色腫、皮膚扁平上皮癌、胸部癌、卵巣癌、子宮内膜癌、結腸直腸癌、神経膠腫、神経膠芽腫、甲状腺癌、頸部癌、膵臓癌、前立腺癌、肝芽腫及び非ホジキンリンパ腫からなる群から選択される癌を治療する方法であって、かかる治療を必要とする哺乳動物に有効量の式Iの化合物又はその薬理学的に許容できる塩を投与するステップを有してなる方法の提供に関する。
本発明はまた、薬理学的に許容できる賦形剤、担体又は希釈剤との組み合わせで、式Iの化合物又はその薬理学的に許容できる塩を含んでなる医薬組成物の提供に関する。
本発明はまた、薬剤の調製用の、式Iの化合物又はその薬理学的に許容できる塩の提供に関する。更に本発明は、哺乳動物における、肺非小細胞癌、食道癌、口咽頭癌、胃癌、黒色腫、皮膚扁平上皮癌、胸部癌、卵巣癌、子宮内膜癌、結腸直腸癌、神経膠腫、神経膠芽腫、甲状腺癌、頸部癌、膵臓癌、前立腺癌、肝芽腫及び非ホジキンリンパ腫からなる群から選択される癌の治療用薬剤の調製への、式Iの化合物又はその薬理学的に許容できる塩の提供に関する。更に本発明は、肺非小細胞癌、食道癌、口咽頭癌、胃癌、黒色腫、皮膚扁平上皮癌、胸部癌、卵巣癌、子宮内膜癌、結腸直腸癌、神経膠腫、神経膠芽腫、甲状腺癌、頸部癌、膵臓癌、前立腺癌、肝芽腫及び非ホジキンリンパ腫からなる群から選択される癌の治療に適する医薬組成物であって、1つ以上の薬理学的に許容できる賦形剤、担体又は希釈剤との組み合わせで、式Iの化合物又はその薬理学的に許容できる塩を含んでなる組成物の提供に関する。
本発明はまた、次式の化合物
Figure 0005166441
(式中、Rは水素、ヒドロキシ基、ハロ基、メチル基、C−Cアルコキシ基、アミノ基又はメチルアミノ基であり、
は水素、ハロ基又はシアノ基であり、
は水素又はハロ基であり、
は水素、ハロ基又はメチル基であり、
但しR、R、R及びRのうちの少なくとも2つが水素であり、
は水素、ハロ基又はメチル基である)、
又はその薬理学的に許容できる塩の提供に関する。
上記の式において使用する一般的な化学用語は、それらの通常の意味で用いる。例えば、用語「(C−C)アルコキシ基」とは、メトキシ基及びエトキシ基を意味する。「ハロ基」という用語は、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基及びヨード基を意味する。
当業者であれば、本発明の化合物のほとんど又は全てが塩を形成できることを理解するであろう。本発明の化合物はアミンであり、したがって、多くの無機酸及び有機酸のうちのいずれかと反応して、薬理学的に許容できる酸付加塩を形成する。かかる薬理学的に許容できる酸付加塩及びそれらを調製するための一般的な方法論は公知技術である。例えば、P.Stahlら、HANDBOOK OF PHARMACEUTICAL SALTS: PROPERTIES,SELECTION AND USE,(VCHA/Wiley−VCH,2002)、S.M.Bergeら、“Pharmaceutical Salts,“Journal of Pharmaceutical Sciences,Vol 66,No.1,January 1977を参照のこと。好適な式Iの化合物は、
a)Rが水素又はメチル基である。
b)Rが水素又はハロ基である。
c)Rが水素又はハロ基である。
d)Rがハロ基である。
e)Rがメチル基である。
f)Rが水素である。
g)Rが水素であり、Rがクロロ基であり、Rが水素であり、かつRが水素である。
h)Rがメチル基であり、Rが水素であり、Rがフルオロ基であり、かつRがフルオロ基である。並びに、
i)Rがメチル基であり、Rが水素であり、Rがフルオロ基であり、かつRがメチル基である。
(反応式)当業者であれば、本発明の化合物の置換基の全てが、化合物の合成に使用される特定の反応条件を許容できるわけではないことを認識するであろう。これらの部分は、合成経路上のいかなるタイミングで導入してもよく、又はそれらを必要に応じて保護し、更に脱保護してもよい。当業者であれば、保護基が本発明の化合物の合成経路中のいかなる工程においても除去できることを認識するであろう。窒素及び酸素の保護基を導入し、除去する方法は公知である。例えば、Greene and Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd Ed.,John Wiley and Sons,New York,Chapter 7(1999)を参照のこと。更に当業者であれば、多くの場合、それらの基を導入する順序は特定のものに限定されないことを認識するであろう。本発明の化合物の調製に必要となるステップの特定の順序は、合成される特定の化合物、開始化合物及び置換された基の相対的な不安定に依存しうる。
本発明の化合物は、後述する少なくとも2つの変形化合物を用いることにより調製できる。特に明記しない限り、以下の反応式中の全ての置換基は、上記で定義したとおりであり、また適切な試薬は当該技術分野で公知であり一般的に用いられている。反応式2において、Yはハロ基であり、Zはホウ酸である。
Figure 0005166441
式(1)の化合物は、2−(アミノエチル)−1,3−ジヒドロ−イミダゾール−オン(2)と反応して、求核置換反応を経て式(5)の化合物となる。かかる反応は、適切な溶媒(例えばnブタノール、ジオキサン、N−メチルピロリジン−2−オン(NMP)など)中で実施される。一般に、上記の反応は、油浴又はマイクロ波反応器を用いて、約120℃〜150℃の温度で実施される。この反応の典型的な化学量論は、式(3)の化合物に基づくものであり、約2当量の2−(アミノエチル)−1,3−ジヒドロ−イミダゾール−オンが用いられる。アミン塩基(例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなど)が使用可能である。
Figure 0005166441
式(3)の化合物を、スズキ反応において、塩基(例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)の存在下で、適切なパラジウム触媒(例えばテトラキス(トフェニルホスフィン)パラジウム(0)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)など)を使用して、式(4)の化合物と反応させる。かかる反応は、適切な溶媒(例えばTHF、ジオキサン、水など)中で実施される。一般に、上記の反応は、油浴又はマイクロ波反応器を用いて、約100℃〜150℃の温度で実施される。
任意のステップにおいて、本発明の化合物の薬理学的に許容できる塩が形成される。かかる塩の形成は、当該技術分野で公知で一般に行われている。
当業者に自明のように、式(1)及び(3)の化合物は、周知の、当該技術分野で周知の確立された手順を用いることにより、本願明細書に記載された方法と同様の方法で容易に調製できる。例えば、式(1)の化合物は、任意に置換されたピリジニル化合物と、任意に置換されたベンゾチオフェニル化合物とを、上記の通り、スズキカップリング法によりカップリングして調製することができる。得られるスズキ付加物を、公知技術の方法によりホウ素化し、更に、上記と同様のスズキカップリング法により、任意に置換されたハロゲン化ピリミジンとカップリングする。式(3)の化合物は、公知技術の方法により、任意に置換されたベンゾチオフェニル化合物をホウ素化し、更に、得られるホウ酸/エステルに対して、求核芳香族置換反応によって2−(アミノエチル)−1,3−ジヒドロ−イミダゾール−オン(2)を付加することにより調製される。また、式(1)又は(3)の化合物の調製に必要なステップは、式(1)又は(3)の部分化合物と、式(2)及び/又は式(4)の化合物との反応を含む、いかなる順序によっても実施できることは認識されており、その後、炭素−炭素結合の形成、カップリング反応などを実施することにより、本発明の化合物が得られる。
本発明を、以下の実施例及び調製例で更に詳細に示す。これらの実施例及び調製例は、例示のみを目的とするものであり、いかなる形であれ本発明を限定することを目的とするものでもない。特に明記しない限り、実施例及び調製例において使用する用語は、それらの通常の意味を有する。下記に例示される化合物は、ChemDraw(登録商標)(Version 10)を使用して命名した。
調製1:2−ベンゾ[b]チオフェン−7−イル−4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボラン:
7−ブロモ−ベンゾ[b]チオフェン(426mg、2mmol)ビス(ピナコラト)ジボロン(756mg、3mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)のジクロロメタンとの錯体(1:1)(81mg、0.1mmol)、酢酸カリウム(294mg、3mmol)を、フラスコ内のジメチルスルホキシド(DMSO)(10mL)中で混合した。混合物を5分間窒素でバブリングした。フラスコを密封し、100℃で4時間油浴中で加熱した。混合物をクロロホルム/イソプロパノール(3/1)で希釈した。飽和塩化ナトリウム水溶液で溶液を洗浄した。硫酸ナトリウム上で溶液を乾燥させた。真空中で溶液を濃縮し、暗色残渣を得た。カラムクロマトグラフィ(ヘキサン〜20%の酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、無色の固体として標題化合物(342mg、66%)を得た。MS(ES)m/z261[M+1]
調製2:ベンゾ[b]チオフェン−7−ホウ酸:
撹拌機を備えた12Lのモートンフラスコ内の、無水テトラヒドロフラン(THF)(4000mL)中に、7−ブロモベンゾ[b]チオフェン(300g、1.41mmol)及びトリイソプロピルボレート(403.6g、2.15mmol)を添加し、窒素雰囲気下、ドライアイス/アセトン浴内で−70℃に冷却した。内部温度が−67.5℃より低い温度に維持される速度で、n−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M、714g、1.68mmol)を滴加した。添加終了後、反応混合物をこの温度で1時間撹拌した。冷却浴槽を取り外し、4Lの水を徐々に添加した。溶液のpHがpH=2付近になるまで、濃HCl(75mL)を添加した。スラリーを1時間撹拌した。混合物に充分な量の5N NaOH水溶液を添加し、約pH=12のpHに調整した。層を分離させ、水性層を保存した。有機層を4Lのメチル−tert−ブチルエーテルで希釈し、1Lの5N NaOH水溶液で抽出した。層を分離させた。水性層を前の水性抽出物と混合した。更にメチル−tert−ブチルエーテル(4L)で水性層を洗浄した。層を分離させ、撹拌機を備えた12Lの3口の丸底フラスコ中に水性層を移した。溶液を氷水浴で+5℃に冷却した。溶液のpHがpH=2付近になるまで、徐々に濃HClを添加した。混合物を30分間撹拌し、得られる固体を濾取した。漏斗内の固体を2Lの水で2回洗浄し、30分間空気乾燥させた。50℃で真空オーブン内に固体を置き、真空下で一晩乾燥させた。2Lのn−ヘプタンで乾燥固体を30分間スラリー化することにより、黄色の着色を除去した。再度固体を濾取し、30分間空気乾燥させ、40℃で一晩真空乾燥させ、白色固体として標題化合物(188.8g、75%)を得た。H NMR(400MHz,CDOD) δ7.86(d,J=8Hz,1H),7.49−7.57(m,2H),7.30−7.39(m,2H)。
調製3:(6−フルオロ−ピリジン−3−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
マグネチックスターラー、熱電対で制御された加熱マントル、濃縮器及び窒素雰囲気を備えた、100mLの3口の丸底フラスコを準備した。5−アミノ−2−フルオロ−ピリジン(5g、44.6mmol)、THF(50mL)4−ジメチルアミノピリジン(549mg、4.5mmol、10モル%)及びジ−tert−ブチル−ジカーボネート(10.7g、49mmol)を添加した。混合物を50℃で4時間加熱した。冷却し、真空中で濃縮した。残留物をジクロロメタン/水に溶解させ、濾過した。濾過液を分離漏斗へ移し、ジクロロメタン層を分離させた。硫酸ナトリウム上でジクロロメタンを乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。シリカ上でクロマトグラフィを行い、10%イソプロパノール/90%ジクロロメタンのイソクラティック混合液で抽出し、黄褐色の透明な油状物として標題化合物(1.64g、17%)を得た。真空乾燥して凝固させた。MS(EI)m/z261 M
調製4:(2−フルオロ−ピリジン−3−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
適切な出発原料を使用し、(6−フルオロ−ピリジン−3−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルの調製に基本的に従い、標題化合物を調製した。GCMS(EI)m/z212 M
調製5:N−(4−ヨード−ピリジン−3−イル)−2,2−ジメチル−プロピオンアミド:
マグネチックスターラー、熱電対、ドライアイス/アセトン浴槽、窒素雰囲気及び滴下漏斗を備えた250mLの3口の丸底フラスコを準備した。2,2−ジメチル−N−ピリジン−3−イル−プロピオンアミド(3.0g、16.8mmol)、ジエチルエーテル(67mL)、テトラメチレンジアミン(4.68g、6.08mL、40.3mmol)を添加した。反応液を−78℃に冷却した。10分にわたり、ガラスシリンジにより、n−ブチルリチウム(ヘキサン中の2.5Mの溶液、16.2mL、40.3mmol)を徐々に添加した。反応液を2時間かけて−13℃に昇温させた。反応液を−78℃に冷却した。滴下漏斗を介して反応液にヨード液(8.5g、20mLのTHF中、33.6mmol)を添加し、−68℃で2.5時間混合した。飽和NHCl水溶液(40mL)を添加し、反応をクエンチした。酢酸エチル(100mL)で抽出し、水性相を廃棄した。飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(100mL)及び飽和塩化ナトリウム水溶液で有機層を洗浄した。硫酸ナトリウム上で有機相を乾燥させ、濾過した。真空中で濃縮し、茶色の油状物を得た。シリカ(80g)上でクロマトグラフィを行い、100%ジクロロメタン〜70%酢酸エチル/30%ジクロロメタンの勾配で溶出し、標題化合物(1.19g、23%)を得た。MS(ES)m/z305[M+1]+
適切な出発原料を使用して、N−(4−ヨード−ピリジン−3−イル)−2,2−ジメチル−プロピオンアミドの調製に基本的に従い、以下の化合物を調製した。
Figure 0005166441
調製8:3−メトキシメトキシ−ピリジン
THF(20.6mL)及びジメチルホルムアミド(34.4mL)中に3−ヒドロキシピリジン(7g、74mmol)を溶解させ、−15℃に冷却した。カリウムtert−ブトキシド(8.3g、74mmol)を添加し、−15℃で30分間撹拌した。40分間にわたり、混合液にクロロメチルメチルエーテル(5.81mL、77mmol)を滴加して処理した。添加終了後、更に−15℃で1時間混合物を撹拌した。氷浴を取り除き、混合液を徐々に15℃に加温した。混合液を飽和塩化ナトリウム水溶液に注入し、10分間激しく撹拌した。得られる溶液を、酢酸エチルで3度にわたり抽出した。有機抽出液を合わせ、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。それ以上精製せずに、得られる生成物を使用した。H NMR(400MHz,CDCl)δ8.42(d,J=3Hz,1H),8.28(d,J=5Hz,1H),7.37−7.42(m,1H),7.21−7.27(m,1H),5.20(s,2H),3.49(s,3H)。
調製9:2−クロロ−5−メトキシメトキシ−ピリジン
水素化ナトリウム(3.7g、93mmol)をDMF(50mL)中に懸濁させ、45分にわたり、DMF(20mL)中に2−クロロ−5−ヒドロキシピリジン(10g、77mmol)を含有する溶液を滴加した。室温で1.5時間、得られる溶液を撹拌した。45分間にわたり、クロロメチルメチルエーテル(6.6mL、86mmol)を滴加した。室温で12時間、得られる混合液を撹拌した。混合液を酢酸エチル、水及び飽和塩化ナトリウム水溶液で希釈した。有機溶液を分離し、水で3回、飽和塩化ナトリウム水溶液で1回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。330gのシリカゲル上のカラムクロマトグラフィにより、ヘキサン〜30%の酢酸エチル/ヘキサンの勾配で20分溶出させることにより粗生成物を精製し、次に30%の酢酸エチル/ヘキサンに30分間保持し、透明な油状物として標題化合物(10.8g、81%)を得た。MS(ES)m/z174.0[M+1]
2−クロロ−5−メトキシメトキシ−ピリジンで使用したのと同様の方法に従い、以下の中間体を調製した。
Figure 0005166441
調製11:2−クロロ−4−ヨード−5−メトキシメトキシ−ピリジン
THF(300mL)中の2−クロロ−5−メトキシメトキシ−ピリジン(10.8g、62mmol)の溶液に、tert−ブチルリチウム(ペンタン中の1.7M、72mL、123mmol)を、−70℃で10分間にわたり、滴加した。−70℃で30分間、得られる溶液を撹拌した。30分間にわたり、THF(150mL)中にヨウ素(23g、92mmol)を含有する溶液を滴加した。−70℃で1時間、得られる溶液を撹拌した。氷浴を取り除き、反応液を室温に加温した。混合液を酢酸エチル及び水で希釈して、相分離させた。酢酸エチルで2回、水性相を抽出した。有機抽出液を合わせ、チオ硫酸ナトリウム水溶液で2回、水で1回、飽和塩化ナトリウム水溶液で1回洗浄し、硫酸ナトリウムを通じて乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。得られる固体をヘキサンで粉末状にした。減圧濾過により固体を回収し、ヘキサンで固体を洗浄した。真空下で固体を乾燥させ、茶色の固体として標題化合物(10.8g、58%)を得た。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ8.08(s,1H),7.98(s,1H),5.43(s,2H),3.40(s,3H)。
2−クロロ−4−ヨード−5−メトキシメトキシ−ピリジンの手順に基本的に従い、以下の中間体を調製した。
Figure 0005166441
調製13:6−クロロ−4−ヨード−ピリジン−3−オール
THF(40mL)中の2−クロロ−4−ヨード−5−メトキシメトキシ−ピリジン(8.1g、27mmol)の溶液を、3N HCl(61mL)で処理した。得られる混合液を60℃で3時間加熱した。室温に混合液を冷却し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液を徐々に添加し、pHを7に合わせた。混合液を、酢酸エチルで3回抽出した。有機抽出液を合わせ、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮し、茶色の固体として標題化合物(6.8g、98%)を得た。それ以上精製せずに使用した。H NMR(400MHz,DMSO− d)δ11.04(s,1H),7.81−7.87(m,2H)。
基本的に6−クロロ−4−ヨード−ピリジン−3−オールにおける手順を使用し、以下の中間体を調製した。
Figure 0005166441
調製15:2−クロロ−5−エトキシ−4−ヨード−ピリジン
ジメチルホルムアミド(50mL)中に6−クロロ−4−ヨード−ピリジン−3−オール(4.9g、19mmol)及び炭酸カリウム(8.0g、58mmol)を含有する溶液を、ヨウ化エチル(4.7mL、58mmol)で処理した。60℃で3時間加熱した。混合液を室温に冷却し、濾過した。混合液を酢酸エチルで希釈し、10%のクエン酸水溶液で洗浄した。水溶液を合わせ、酢酸エチルで更に2回抽出した。有機抽出液を合わせ、水で3回、飽和塩化ナトリウム水溶液で1回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮し、茶色の固体として標題化合物(5.1g、93%)を得た。それ以上精製せずに使用した。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ8.00(s,1H),7.93(s,1H),4.18(q,J=7Hz,2H),1.35(t,J=7Hz,3H)。
調製16:4−ベンゾ[b]チオフェン−7−イル−2−クロロ−ピリジン
フラスコ中で、7−ブロモ−ベンゾ[b]チオフェン(1.7g、12mmol)、2−クロロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボラン−2−イル)−ピリジン(1.6g、7mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)のジクロロメタンとの錯体(1:1)(285mg、0.3mmol)、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル(63mg、0.2mmol)、炭酸ナトリウム(2M、8mL、16mmol)及びTHF(20mL)を混合した。100℃で3時間、混合液を加熱した。混合液をクロロホルム/イソプロパノール(3/1)で希釈した。飽和塩化ナトリウム水溶液で溶液を洗浄した。硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶液を真空中で濃縮し、暗色残渣を得た。カラムクロマトグラフィ(ジクロロメタン〜20%のTHF/ジクロロメタン)で精製し、黄色の固体として標題化合物(1.14g、66%)を得た。MS(ES)m/z246[M+1]
DMSOを使用し、4−ベンゾ[b]チオフェン−7−イル−2−クロロ−ピリジンで使用したのと同様の方法に従い、以下の化合物を調製した。
Figure 0005166441
調製18:4−ベンゾ[b]チオフェン−7−イル−2−フルオロ−5−メチル−ピリジン
フラスコ中で、2−フルオロ−4−ヨード−5−メチル−ピリジン(355mg、1.5mmol)、2−ベンゾ[b]チオフェン−7−イル−4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボラン(282mg、1.8mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)のジクロロメタンとの錯体(1:1)(61mg、0.07mmol)、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル(13mg、0.04mmol)、炭酸ナトリウム(2M、1.5mL、3mmol)及びTHF(10mL)を混合した。油浴中で100℃で3時間、混合液を加熱した。混合液をクロロホルム/イソプロパノール(3/1)で希釈した。飽和塩化ナトリウム水溶液で溶液を洗浄した。硫酸ナトリウム上で乾燥させた。真空中で濃縮させ、暗色残渣を得た。カラムクロマトグラフィ(20%の酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、黄色の油状物として標題化合物(300mg、82%)を得た。MS(ES)m/z244[M+1]
適切な出発原料を使用し、4−ベンゾ[b]チオフェン−7−イル−2−フルオロ−5−メチル−ピリジンの調製に基本的に従い、以下の中間体を調製した。
Figure 0005166441
調製24:4−ベンゾ[b]チオフェン−7−イル−3−メトキシメトキシ−ピリジン:溶液A:
tert−ブチルリチウム(ペンタン中の1.7M、10mL、18mmol)を滴加し、ジエチルエーテル(90mL)中の3−メトキシメトキシ−ピリジン(2.5g、18mmol)の溶液を、−70℃で10分にわたり処理した。−70℃で40分間混合液を撹拌し、5分間にわたり、THF(10mL)中のトリイソプロピルボレート(5mL、22mmol)の溶液を滴状添加した。−70℃で1時間混合液を撹拌し、氷浴を取り除き、混合液を徐々に室温に加温した。
溶液B:
1,4−ジオキサン(30mL)中に、7−ブロモ−ベンゾ[b]チオフェン(3.8g、18mmol)、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル(268mg、0.90mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)のジクロロメタンとの錯体(1:1)(732mg、0.90mmol)を含有する溶液を、2Mの炭酸ナトリウム水溶液(72mL、36mmol)で処理した。溶液Aが室温に達した後、溶液を80℃まで加熱した。10分間にわたり溶液Aを滴加して、溶液Bを処理した。混合溶液を85℃で5時間加熱した。混合液を室温に冷却し、酢酸エチル及び水で希釈した。水及び飽和塩化ナトリウム水溶液で有機相を洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。120gのシリカゲル上のカラムクロマトグラフィで、ジクロロメタン〜酢酸エチル勾配で溶出して粗生成物を精製し、開始原料の3−メトキシメトキシ−ピリジンを若干含む標題化合物(3.8g)を得た。それ以上精製せずに生成物を使用した。H NMR(400MHz,CDCl)δ8.68(s,1H),8.42(d,J=4Hz,1H),7.88(d,J=8Hz,1H),7.33−7.50(m,5H),5.12(s,2H),3.36(s,3H)。
調製25:2−クロロ−4−[7−(2−クロロ−ピリジン−4−イル)−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル]−ピリミジン
500mLの丸底フラスコにおいて、窒素雰囲気下で、THF(150mL)中の4−ベンゾ[b]チオフェン−7−イル−2−クロロ−ピリジン(13g、53.1mmol)とトリイソプロピルボレート(20g、106mmol)の溶液を−70℃に冷却した。冷却した溶液に、30分間にわたり、リチウムジイソプロピルアミド(THF中の2M、53mL、106mmol)を徐々に添加した。冷却浴中で更に1時間、混合液を連続的に撹拌した。上記の混合液を、2,4−ジクロロ−ピリミジン(12g、106mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)のジクロロメタン(1:1)との錯体(2.2g、53mmol)及び炭酸ナトリウム(35mL、3M、106mmol)を含有するTHF(150mL)の還流溶液に、30分間にわたり徐々に移した。更に1時間還流した。混合液を室温に冷却し、500mLのクロロホルム/イソプロパノール(3/1)及び200mLの水で希釈した。得られる固体を濾過して回収し、クロロホルム/イソプロパノール/水混合液を保存した。ジクロロメタンで固体を洗浄し、真空下でそれを乾燥させた。クロロホルム/イソプロパノール/水混合液の層を分離させた。水及び飽和塩化ナトリウム水溶液で有機相を洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮し、茶色の残渣を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィ(ジクロロメタンの10%のメタノール)によって残渣を精製し、更なる生成物を得た。2つの生成物を合わせ、標題化合物(13g、68%)MS(ES)m/z358[M+1]を得た。
適切な出発原料を使用して、2−クロロ−4−[7−(2−クロロ−ピリジン−4−イル)−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル]−ピリミジンの調製に基本的に従い、以下の中間体を調製した。
Figure 0005166441
Figure 0005166441
調製39:4−[2−(2−クロロ−5−フルオロ−ピリミジン−4−イル)−ベンゾ[b]チオフェン−7−イル]−ピリジン−3−オール
THF(10mL)中に2−クロロ−5−フルオロ−4−[7−(3−メトキシメトキシ−ピリジン−4−イル)−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル]−ピリミジン(4g、10mmol)を含有する溶液を、5N HCl(3mL)で処理した。室温で6時間、混合液を撹拌した。真空中で反応液を濃縮し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液及びジクロロメタンで希釈した。層を分離させ、各層を濾過した。有機相から得た固体を、ジクロロメタンで洗浄し、黄褐色の固体として標題化合物(300mg)を得た。水性層から得た固体を水で洗浄し、乾燥させ、黄褐色の固体として標題化合物(300mg)を得た。これらの固体を合わせ、黄褐色の固体として標題化合物(600mg、17%)を得た。MS(ES)m/z358[M+1]
調製40:2−クロロ−4−[7−(3−エトキシ−ピリジン−4−イル)−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル]−5−フルオロ−ピリミジン:
4−[2−(2−クロロ−5−フルオロ−ピリミジン−4−イル)−ベンゾ[b]チオフェン−7−イル]−ピリジン−3−オール(100mg、0.28mmol)及び炭酸セシウム(100mg、0.28mmol)のジメチルホルムアミド(1mL)溶液を、ヨウ化エチル(44mg、0.28mmol)で処理した。室温で12時間、混合液を撹拌した。混合液を酢酸エチルで希釈し、溶液を水で3回、飽和塩化ナトリウム水溶液で1回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。12gのシリカゲル上のカラムクロマトグラフィを用い、ジクロロメタン〜酢酸エチルの勾配で溶出することにより粗生成物を精製し、茶色の固体として標題化合物(48mg、45%)を得た。MS(ES)m/z386[M+1]
調製41:2−クロロ−5−フルオロ−4−[7−(3−メトキシ−ピリジン−4−イル)−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル]−ピリミジン
適切な出発原料を使用して、2−クロロ−4−[7−(3−エトキシ−ピリジン−4−イル)−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル]−5−フルオロ−ピリミジンの調製に基本的に従い、標題化合物を調製した。MS(ES)m/z372[M+1]
調製42:1−{2−[4−(7−ブロモ−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−5−フルオロ−ピリミジン−2−イルアミノ]−エチル}−イミダゾリジン−2−オン
1,4−ジオキサン(650mL)中で、1−(2−アミノエチル)−2−イミダゾロン(100g、774mmol)を、4−(7−ブロモ−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−2−クロロ−5−フルオロ−ピリミジン(90g、262mmol)と混合し、窒素雰囲気下で3時間、撹拌しながら90℃に加熱した。反応液を室温に冷却した。濾過し、水(3×500mL)及びジエチルエーテル(500mL)で固体を洗浄した。50℃で真空乾燥させ、黄色の固体として標題化合物(59.2g、52%)を得た。MS(ES)m/z436[M+1]
適切な出発原料を使用して、1−{2−[4−(7−ブロモ−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−5−フルオロ−ピリミジン−2−イルアミノ]−エチル}−イミダゾリジン−2−オンの調製に基本的に従い、以下の中間体を調製した。
Figure 0005166441
調製46:5−ブロモメチル−2−フルオロ−4−ヨード−ピリジン
フラスコにおいて、2−フルオロ−4−ヨード−ピコリン(10.0g、42.19mmol)、N−ブロモスクシンイミド(9.76g、54.85mmol)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(3.46g、21.10mmol)及び無水CCl(100mL)を混合した。窒素雰囲気下で16時間、70℃で加熱した。室温に冷却した。ジクロロメタンで希釈し、水及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。層を分離させ、硫酸マグネシウム上で有機層を乾燥させた。真空中で濃縮し、粗生成物を得た。カラムクロマトグラフィ(1%〜15%の酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(8.27g、62%)を得た。MS(EI)m/z315M
調製47:1−(2−{5−フルオロ−4−[7−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボラン−2−イル)−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル]−ピリミジン−2−イルアミノ}−エチル)−イミダゾリジン−2−オン
フラスコ中、1−{2−[4−(7−ブロモ−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−5−フルオロ−ピリミジン−2−イルアミノ]−エチル}−イミダゾリジン−2−オン(5.5g、12.6mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(3.84g、15.3mmol)、(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン)ジクロロパラジウム(II)(1.0g、1.3mmol)、酢酸カリウム(2.5g、25mmol)をDMSO(80mL)中で混合した。混合液を10分間窒素でバブリングした。フラスコを密封し、油浴中に入れ、85℃で一晩加熱した。混合液をクロロホルム/イソプロピルアルコール(3/1)で希釈した。飽和塩化ナトリウム水溶液で上記溶液を洗浄した。硫酸ナトリウム上でそれを乾燥させた。真空中で溶液を濃縮し、暗色残渣を得た。カラムクロマトグラフィ(ヘキサン〜20%の酢酸エチル/ヘキサン〜10%のメタノール/ジクロロメタン)で残渣を精製し、茶色の固体(5g、82%)として生成物を得た。MS(ES)m/z484[M+1]
調製48:(6−フルオロ−4−ヨード−ピリジン−3−イル)−メタノール
5−ブロモメチル−2−フルオロ−4−ヨード−ピリジン(0.9g、2.85mmol)、ニトロメタン(15mL、278mmol)、銀テトラフルオロボレート(721mg、3.7mmol)及びジメチルホルムアミド(5mL)を、丸底フラスコ中で混合した。室温で一晩、混合液を撹拌した。混合液に炭酸ナトリウム(1.81g、17.1mmol)及びメタノール(10mL)を添加した。更に4時間室温で撹拌した。反応混合液をクロロホルムで希釈し、水及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を水性層から分離し、MgSO上で乾燥させた。濾過後、真空中で有機溶媒を蒸発させ、粗生成物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィ(10%のメタノール/ジクロロメタンで溶出)により粗生成物を精製し、所望の生成物(0.6g、83%)を得た。MS(ES)m/z254[M+1]
調製49:2−フルオロ−5−フルオロメチル−4−ヨード−ピリジン
窒素雰囲気下で、丸底フラスコ中、(6−フルオロ−4−ヨード−ピリジン−3−イル)−メタノールのジクロロメタン(25mL)溶液に、ジエチルアミノサルファトリフルオライド(892mg、4mmol)を滴加し、次に0〜5℃でエタノール(0.3mL)を添加した。混合液を3時間撹拌した。反応混合液を飽和炭酸水素ナトリウム溶液に注入した。クロロホルムで生成物を抽出し、水及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を水性層から分離し、MgSO上で乾燥させた。濾過後、真空中で有機溶媒を蒸発させ、粗生成物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィ(10%のメタノール/ジクロロメタン)で粗製物を精製し、標題化合物(0.32g、53%)を得た。MS(ES)m/z256[M+1]
実施例1:1−(2−{4−[7−(2−クロロ−ピリジン−4−イル)−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル]ピリミジン−2−イルアミノ}エチル)イミダゾリジン−2−オン
Figure 0005166441
圧力容器中で、2−クロロ−4−[7−(2−クロロ−ピリジン−4−イル)−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル]−ピリミジン(9g、25.1mmol)と2−(アミノエチル)−1,3−ジヒドロ−イミダゾール−オン(6.4g、50.2mmol)とを、n−ブタノール(200mL)中で混合した。120℃で5時間、油浴中で混合液を加熱した。混合液をクロロホルム/イソプロパノール(3/1)で希釈した。飽和塩化ナトリウム水溶液で溶液を洗浄した。硫酸ナトリウム上でそれを乾燥させた。真空中で溶液を濃縮し、暗色残渣を得た。カラムクロマトグラフィ(ジクロロメタン〜10%のメタノール/ジクロロメタン)で精製し、黄色の固体として標題化合物(9g、93%)を得た。MS(ES)m/z451[M+1]
適切な出発原料を使用して、1−(2−{4−[7−(2−クロロ−ピリジン−4−イル)−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル]ピリミジン−2−イルアミノ}−エチル)−イミダゾリジン−2−オンの調製に基本的に従い、以下の実施例を調製した。
Figure 0005166441
Figure 0005166441
Figure 0005166441
実施例12:1−(2−(5−クロロ−4−(7−(ピリジン−4−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)エチル)イミダゾリジン−2−オン
Figure 0005166441
1−{2−[4−(7−ブロモ−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−5−クロロ−ピリミジン−2−イルアミノ]−エチル}−イミダゾリジン−2−オン(81.6mg、0.18mmol)、ピリジン−4−ホウ酸(36.8mg、0.3mmol)及び重炭酸ナトリウム(18.1mg、0.2mmol)を、水(1mL)及びDMSO(1mL)の混合液中で混合した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(10.4mg、0.009mmol)を添加した。マグネチックスターラーで撹拌しながら、150℃で15分間、混合液を放射線照射した。強力なカチオン交換(SCX)(10g)カラム上に、粗反応混合液を注いだ。メタノール(40mL)中に2Nアンモニアを含有する溶液で、所望の生成物を溶出し、減圧下で濃縮した。逆相クロマトグラフィ(30〜90%の勾配、80mL/分で11分間、30×100mm、5mm、C18MS Xterra(登録商標)カラム、溶媒A:0.01Mの重炭酸アンモニウム水溶液、溶媒B:アセトニトリル)で精製し、標題化合物(20.4mg、25.1%)を得た。MS(ES)m/z451[M+1]
実施例13:1−(2−{5−クロロ−4−[7−(5−クロロ−2−フルオロピリジン−4−イル)−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル]ピリミジン−2−イルアミノ}エチル)イミダゾリジン−2−オン
Figure 0005166441
マイクロ波バイアルにおいて、THF(3mL)及び水(1.5mL)中で、1−{2−[4−(7−ブロモ−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−5−クロロ−ピリミジン−2−イルアミノ]−エチル}−イミダゾリジン−2−オン(500mg、1.1mmol)、5−クロロ−2−フルオロピリジン−4−ホウ酸(578mg、3.3mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)とジクロロメタン(1:1)との錯体(90mg、0.11mmol)、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル(20mg、0.066mmol)及び炭酸ナトリウム(350mg、3.3mmol)を混合した。混合液を5分間窒素でバブリングした。混合液を100℃で10分間加熱した。真空中で、有機層を濃縮して乾固させた。得られた固体をジクロロメタン/メタノール中でスラリー化し、カラムクロマトグラフィ(1% 2Nアンモニア/メタノール溶液/ジクロロメタン〜10% 2Nアンモニア/メタノール溶液/ジクロロメタン)で精製し、標題化合物を得た。更なる精製のため、DMSO中に生成物を溶解させ、逆相カラムでクロマトグラフィ精製し(50%アセトニトリル/水(0.03%のHClを含有)〜95%アセトニトリル/水(0.03%のHClを含有))、標題化合物(146mg、26%)を得た。MS(ES)m/z503[M+1]
適切な出発原料を使用して、1−(2−{5−クロロ−4−[7−(5−クロロ−2−フルオロピリジン−4−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−イル]−ピリミジン−2−イルアミノ}エチル)イミダゾリジン−2−オンの調製に基本的に従い、以下の実施例を調製した。
Figure 0005166441
Figure 0005166441
Figure 0005166441
実施例24:4−(2−(2−(2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エチルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンゾ[b]チオフェン−7−イル)ピコリノニトリル
Figure 0005166441
1−(2−{4−[7−(2−クロロ−ピリジン−4−イル)−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル]−ピリミジン−2−イルアミノ}−エチル)−イミダゾリジン−2−オン(100mg、0.22mmol)、シアン化亜鉛(51mg、0.44mmol)トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(10mg、0.01mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン(6mg、0.01mmol)を、DMSO(6mL)中で混合した。100℃で4時間、混合液を加熱した。混合液を室温に冷却し、シリカカラム上へロードした。10%メタノール/ジクロロメタンでカラムから溶出させ、黄色の油状物として標題化合物(0.7g、72%)を得た。MS(ES)m/z442[M+1]
実施例25:1−(2−{4−[7−(3−アミノ−ピリジン−4−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−イル]−5−フルオロピリミジン−2−イルアミノ}エチル)イミダゾリジン−2−オン
Figure 0005166441
N−{4−[2−(2−クロロ−5−フルオロ−ピリミジン−4−イル)−ベンゾ[b]チオフェン−7−イル]−ピリジン−3−イル}−2,2−ジメチル−プロピオンアミド(330mg、0.75mmol)、2−(アミノエチル)−1,3−ジヒドロ−イミダゾロン(386mg、3.0mmol)及び1,4−ジオキサン(6mL)を、キャップ付バイアル中で混合し、85℃で4時間加熱した。真空中で濃縮した。ジクロロメタン及び水で混合液を希釈した。水で有機溶液を洗浄した。硫酸ナトリウム上で有機溶液を乾燥させた。濾過し、真空中で溶液を濃縮し、暗色残渣を得た。カラムクロマトグラフィ(ジクロロメタン〜7%のメタノール/ジクロロメタン)で精製し、N−[4−(2−{5−フルオロ−2−[2−(2−オキソ−イミダゾリジン−1−イル)−エチルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−ベンゾ[b]チオフェン−7−イル)−ピリジン−3−イル]−2,2−ジメチル−プロピオンアミドを得た。
40mLのセプタムキャップ付バイアル中に、中間体アミドを移した。マグネチックスターラーバーを加え、バイアルに水(20mL)及び濃HSO(5mL)を添加した。油浴中で、90℃で5時間バイアルを加温した。反応液を室温に冷却し、SCX(10g)カラムを通過させた。水/メタノール(1:1)、次に100%メタノール、次にジクロロメタン/メタノール(1:1)で溶出させ、最後に上記生成物をメタノール中10% 2Mアンモニア/90%ジクロロメタンで溶出させた。真空中で濃縮した。シリカ(80g)上でクロマトグラフィを行い、0%〜10% 2Mのアンモニア/メタノール溶液/ジクロロメタンの勾配で溶出させた。42℃で2時間、真空オーブン中で乾燥させ、金色の固体として標題化合物(192.6mg、48%)を得た。MS(ES)m/z450[M+1]
適切な出発原料を使用して、1−(2−{4−[7−(3−アミノ−ピリジン−4−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−イル]−5−フルオロピリミジン−2−イルアミノ}−エチル)イミダゾリジン−2−オンの調製に基本的に従い、以下の実施例を調製した。
Figure 0005166441
実施例29:1−(2−{4−[7−(5−アミノ−2−フルオロピリジン−4−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−イル]ピリミジン−2−イルアミノ}エチル)イミダゾリジン−2−オン
Figure 0005166441
{4−[2−(2−クロロ−ピリミジン−4−イル)−ベンゾ[b]チオフェン−7−イル]−6−フルオロ−ピリジン−3−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(813mg、1.77mmol)、2−(アミノエチル)−1,3−ジヒドロ−イミダゾール−オン(919mg、7.11mmol)及び1,4−ジオキサン(22mL)を、キャップ付バイアル中で混合し、70℃で15時間加熱した。真空中で濃縮した。ジクロロメタン及び水で混合液を希釈した。水で有機溶液を洗浄した。硫酸ナトリウム上で有機溶液を乾燥させた。濾過し、真空中で溶液を濃縮し、暗色残渣を得た。カラムクロマトグラフィ(ジクロロメタン〜酢酸エチル)で精製し、[6−フルオロ−4−(2−{2−[2−(2−オキソ−イミダゾリジン−1−イル)−エチルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−ベンゾ[b]チオフェン−7−イル)−ピリジン−3−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルを得た。
[6−フルオロ−4−(2−{2−[2−(2−オキソ−イミダゾリジン−1−イル)−エチルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−ベンゾ[b]チオフェン−7−イル)−ピリジン−3−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルをジクロロメタン中に溶解させ、真空中で濃縮し、シリカゲル(10g)上へ吸着させた。高真空下で24時間乾燥させた。丸底フラスコ中にシリカゲルを入れ、高真空下で2時間、温度制御された油浴中で98〜99℃に加熱した。室温に冷却した。10% 7Nアンモニア/メタノール/90%のジクロロメタンにより、シリカゲルから生成物を抽出した。真空中で濃縮した。シリカ上でクロマトグラフィを行い、100%ジクロロメタン〜7% 2Nアンモニア/メタノール/93%ジクロロメタンの勾配によって溶出させ、標題化合物(65.2mg、8.2%)を得た。MS(ES)m/z450[M+1]
実施例30:1−(2−{4−[7−(3−アミノ−2−フルオロピリジン−4−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−イル]ピリミジン−2−イルアミノ}エチル)イミダゾリジン−2−オン
Figure 0005166441
適切な出発原料を使用して、1−(2−{4−[7−(5−アミノ−2−フルオロ−ピリジン−4−イル)−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル]−ピリミジン−2−イルアミノ}−エチル)−イミダゾリジン−2−オンの調製に基本的に従い、標題化合物を調製した。MS(ES)m/z450[M+1]
実施例31:1−(2−{5−フルオロ−4−[7−(2−フルオロ−5−ヒドロキシメチル−ピリジン−4−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−イル]ピリミジン−2−イルアミノ}エチル)イミダゾリジン−2−オン
Figure 0005166441
圧力反応チューブ内の5mLのジオキサン中で、1−(2−{5−フルオロ−4−[7−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボラン−2−イル)−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル]−ピリミジン−2−イルアミノ}−エチル)−イミダゾリジン−2−オン(120mg、0.25mmol)、(6−フルオロ−4−ヨード−ピリジン−3−イル)−メタノール(100mg、0.32mmol)、(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム(II)塩化物(10.14mg、0.01mmol)、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル(2mg、0.01mmol)及び炭酸ナトリウム(2M、0.2mL、0.4mmol)を混合した。油浴中で、100℃で一晩、混合液を加熱した。混合液を室温に冷却し、クロロホルム−イソプロピルアルコール(3/1)で希釈した。飽和塩化ナトリウム水溶液で有機相を洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮し、油状の残渣を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィ(10%のメタノール/ジクロロメタン)で粗製物を精製し、標題化合物(25mg、21%)を得た。MS(ES)m/z483[M+1]
実施例32:1−(2−{5−フルオロ−4−[7−(2−フルオロ−5−(フルオロメチル)ピリジン−4−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−イル]ピリミジン−2−イルアミノ}エチル)イミダゾリジン−2−オン
Figure 0005166441
密封された圧力反応チューブ内の5mLのジオキサン中で、1−(2−{5−フルオロ−4−[7−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボラン−2−イル)−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル]−ピリミジン−2−イルアミノ}−エチル)−イミダゾリジン−2−オン(120mg、248.26μmol)、2−フルオロ−5−フルオロメチル−4−ヨード−ピリジン(100mg、392.15μmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(11.37mg、12.41μmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(2.09mg、7.45μmol)、リン酸カリウム(105.39mg、496.51μmol)を混合した。油浴中で、100℃で3時間、混合液を加熱した。LC−MSは485でピークを示した。反応混合液を室温に冷却し、クロロホルム−イソプロピルアルコール(3/1)で希釈した。飽和塩化ナトリウム水溶液で有機溶液を洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮し、粗製物を得た。フラッシュクロマトグラフィ(10%のメタノール/ジクロロメタン)で粗製物を精製し、標的生成物(70mg、58.2%)を得た。MS(ES)m/z485[M+1]
アッセイ:
Plk1は、多くのヒトの腫瘍、例えば肺非小細胞癌、食道癌、口咽頭癌、胃癌、黒色腫、皮膚扁平上皮癌、胸部癌、卵巣癌、子宮内膜癌、結腸直腸癌、神経膠腫、神経膠芽腫、甲状腺癌、頸部癌、膵臓癌、前立腺癌、肝芽腫及び非ホジキンリンパ腫において過剰に発現することが示されている。更に、Plk1発現は、肺非小細胞癌、食道癌、口咽頭癌、黒色腫、結腸直腸癌、肝芽腫及び非ホジキンリンパ腫の予後において重要な意味を有する(Strebhardt,K及びA.Ullrich(2006).Nature Reviews Cancer 6(4):321−30)。Plk1でリン酸化された基質は、中心体の成熟、有糸分裂の開始、姉妹染色分体分離及び細胞質分裂を調整することにより、有糸分裂の進行を調整する(Eckerdt及びStrebhardt 2006、Strebhardt及びUllrich 2006、van de Weerdt,B.C.及びR.H.Medema(2006).Cell Cycle 5(8):853−64)。抗体注入、ドミナントネガティブなPlk1の発現、及びアンチセンスmRNAによる抑制を使用したPlk1機能の阻害により、単極のスピンドルの生成及び有糸分裂後期の停止が生じ、それにより、腫瘍細胞系では有糸分裂細胞死に至るが、通常の形質転換されない初代細胞系では可逆的なG2停止が生じる。
更に、Plkがラブドイド腫瘍の治療において有用であることが報告されている(Morozov A.ら、Clinical Cancer Research.13(16):4721−30,(Aug15,2007))。
BI−2536は、HCT116、A549及びNCIH460ネズミ異種移植片を使用した前臨床モデルにおいて、活性を示すことが報告されている(Baum,A.,P.Garin−Chesaら、(2006).#C191 In vivo activity of BI 2536,a potent and selective inhibitor of the mitotic kinase PLK1,in a range of cancer xenografts.AACR−NCI−EORTC International Conference on ”Molecular Targets and Cancer Therapeutics”,Philidelphia,PA)。
以下のアッセイの結果から、本発明の化合物が抗癌剤として有用であることが証拠される。
Plk1の発現及び精製:
ヒトPlk1 cDNA(Incyte(アクセス番号:NM_005030)など、多くの給源から得られる)を、その1つの末端において、Hisタグ(例えばC末端FLAG−Hisタグ)を発現するポリヌクレオチド配列と直接連結し、適切な発現ベクター(例えばpFastBac(商標)ベクター(Invitrogen社))に挿入し、適切な系(例えばxPlkk1の場合、Yue−Wei Qianら,Science 282,1701(1998)により報告されたのと同様のバキュロウイルス)にトランスフェクションすることができる。ウイルス発現システムを用いる場合、ウイルス(例えばPlk1−Flag−Hisタグポリヌクレオチド構築物を担持するバキュロウイルス)を、培養した適切な宿主細胞(例えばSf9細胞)に感染させる。Plk1−Flag−Hisタグ融合タンパク質の充分量が発現したとき(例えば感染後約46時間)には、培養組織を充分な時間(例えば3時間)オカダ酸(0.1μM)で処理するべきである。Plk1−Flag−Hisタグ融合タンパク質は、金属親和性樹脂(例えばTALON(商標)(Clontech、Catalog# 635503)を使用して、公知の方法で、細胞ペレットから精製する。精製したPlk1−Flag−Hisタグ融合タンパク質を、使用直前まで、少量を含むアリコートとして、−80℃で、適切な溶媒(例えば10mMのHEPES、150mMのNaCl、0.01%のTRITON(登録商標)X−100、1mMのジチオスレイトール(DTT)、10%のグリセロール(pH7.5))中に保存する。精製したPlk1−Flag−Hisタグ融合タンパク質の同定を、MALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)により確認する。
GST−Cdc25C(1−206)の発現及び精製:
ヒトCdc25C cDNA(Incyte(登録番号:AY497474)など、あらゆる適切な給源から得られる)を、あらゆる簡便な発現系において発現させることができ、その後、Bin Ouyangら,Oncogene,18,6029−6036(1999)に記載の方法と同様の公知の方法で精製できる。1つの便利な系では、ヒトCds25CのcDNAが導入されたpGEX−2Tベクター(Amersham社)で形質転換した大腸菌BL21を18℃で一晩増殖させ、1mMのイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシドを使用して発現を誘導させることを行う。発現されたGST−Cdc25C(1−206)(Plk1の基質)を、グルタチオンセファロース(登録商標)4Bで精製し、少ない量のアリコートとして、適切な溶液(例えば10mMのHEPES、100mMのNaCl(pH7.5))中で−80℃で保存することができる。
Plk1阻害アッセイ:
Plk1キナーゼ反応液は、50mMのHEPES(pH7.3)、1.0mMのジチオスレイトール、5.0μMのATP、10mMのMgCl、0.01%のTRITON(登録商標)X−100、0.4μCiの33P−ATP及び0.06μg/μLのGST−Cdc25c(1−206)ペプチドを含むバッファ中に、Plk1−Flag−Hisタグ融合酵素(0.2ng/μL)を含有する。化合物を、DMSO中の10mMのストックとして調製する。化合物を、20%のDMSOで1:3で連続的に希釈して10点からなる濃度反応曲線を作成し、その後反応混合液で1:5で希釈し(4%の最終DMSO濃度中、20μM〜0.001μMの最終濃度)、化合物の活性を測定する。室温で60分間反応を実施し、次に10.0%のHPOを60μL添加してクエンチする。10.0%のHPO 30μLで事前に湿らせた96ウェルホスホセルロースフィルタープレートに、反応混合液(85μL)を移し、室温で20〜30分間インキュベートし、次に0.5%のHPOで3回洗浄する。ウェルを乾燥させ、その後MicroScint(商標)20(Packard社)を40μL添加し、次にWallac MICROBETA(登録商標)Jetで計測する。それを基に、10点における濃度反応データからの阻害値(%)を、例えば4−パラメータロジスティック方程式により、ACTIVITY BASE(商標)ソフトウェア(IDBS)を使用して分析する。得られる曲線に代入し、IC50絶対値を算出する。例示される全ての化合物は、3.6の最小有意比(Minimum Significant Ratio(MSR))で、100nM未満のIC50を示す。例えば、実施例13は約23nMのIC50を示す。
pHH3(S10)、有糸分裂細胞及びDNA含量のアッセイ:
American Type Culture Collection(ATCC)から入手したHeLa細胞を、96ウェルのBeckman Dickinson BIOCOAT(商標)プレート上に、200細胞/ウェルで播き、37℃、5%のCO条件で24時間、10%のFBS(ウシ胎児血清)を含有するMEM(最小必須培地(例えばGIBCO社、カタログ#11095))中でインキュベートする。10点の、0.5μM〜0.0098μMの投与量範囲にわたる化合物(0.25%のDMSO中)を培地に添加し、細胞を処理する。23時間化合物に曝露した後、細胞を固定(例えばPREFER(商標)固定化剤[Anatech LTD.社、カタログ#414]で30分間処理)し、次にリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の0.1%のTRITON(登録商標)X100で15分間浸透化させる。細胞をPBSで3回洗浄し、次に50μg/mL RNAseで消化する。1%のウシ血清アルブミン(BSA)を含有するPBSで1:500希釈した、一次抗体であるホスホヒストンH3(Upstate社、Cat#06−570)を細胞に添加し、4℃で一晩インキュベートする。PBSで3回洗浄した後、室温で1時間、Alexa488で標識した二次的抗体(Invitrogen社、カタログ#A11008)で細胞をインキュベートする。再びPBSで3回洗浄し、次に15μMのヨウ化プロピジウム(Molecular Probe社、カタログ#P3566)を添加し、30分間核を染色する。蛍光プレートをACUMEN EXPLORER(商標)[レーザースキャン蛍光マイクロプレートサイトメーター(488nmのアルゴンイオンレーザによる励起、及び複数の光電子倍増管による検出を含む)(TTP LABTECH LTD製)]でスキャンし、ホスホヒストンH3、DNA含量及び有糸分裂細胞を測定する(DNAの凝集として測定する)。画像分析は、細胞からの蛍光シグナルに基づき、異なる部分集団から細胞を同定することにより行う。pHH3(S10)陽性細胞は、閾値を上回る500〜530nmの平均強度により同定される。ヨウ化プロピジウム/DNAからの655〜705nmの総強度を用いて、個別の細胞(2N〜4NのDNA含量の細胞)及び細胞周期にある部分集団(2N細胞、4N細胞)を同定する。575〜640nmのピークの強度を用いて、ほぼ4Nの状態の細胞の有糸分裂を同定するための標識として用いられるDNA凝集を同定する。アッセイ結果を、各同定された部分集団のパーセンテージ、pHH3(%)、2N(%)、4N(%)、有糸分裂(%)及び総細胞数として算出する。EC50を、ACTIVITY BASE(商標)を使用して、結果ごとに4パラメータロジスティック曲線に代入して決定する。PHH3(s10)、DNA含量及び有糸分裂において得られたEC50は、各々2.6、2.4及び2.5のMSRを示す。例えば実施例13は、pHH3(s10)EC50=42nM(n=2)、DNA含量EC50=40nM(n=2)、及び有糸分裂EC50=45nM(n=1)を示す。
抗増殖アッセイ:
細胞増殖に対する化合物の効果は、当該技術分野で公知の細胞及び細胞増殖法を使用して測定できる(Robert C.Squatritoら,Gynecological Oncology,58,101−105,(1995))。例えば、HCT116細胞(ATCCから入手できる)を、96ウェルプレート中に〜2000細胞/ウェルで播き、37℃の湿潤COインキュベータ内で一晩かけて付着させることができる。20〜24時間インキュベートした後、半対数的に連続的に希釈した化合物を添加し、プレートをインキュベータに戻す。適切な時間(例えば72時間)曝露した後、周知の方法を使用して細胞増殖を推定する。1つの方法においては、Alamar Blue(商標)などのテトラゾリウム塩を10μL、細胞プレートに添加する。適切な時間色素へ曝露した後、蛍光(530nmの励起、580nmの放出)を測定する。得られるIC50は3.1のMSRである。例えば実施例13は11nM(n=3)のIC50を示す。
本発明の化合物は好ましくは、様々な経路で投与される医薬組成物として製剤化される。最も好ましくは、かかる組成物は経口投与用である。かかる医薬組成物及びその調製方法は公知技術である。REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY(A.Gennaroら編,19th ed.,Mack Publishing Co.,1995)を参照のこと。
式Iの化合物は通常、広い投与量範囲において効果的である。例えば、1日あたりの投与量は通常、約0.01〜約20mg/kg体重(好ましくは0.1〜20mg/kgの体重)の範囲である。若干の例においては、上記の範囲の下限値以下の投与量レベルでも十分過ぎる効果を示すこともあり、他の場合には、より多くの投与量を用いても有害な副作用を起こさないこともあるため、上記の投与量範囲は、いかなる形であれ本発明の範囲を限定するものではない。化合物の実際の投与量は、治療しようとする症状、選択された投与経路、実際に投与される1つ以上の化合物、個々の患者の年齢、体重及び反応、並びに患者の症状の重篤度などの関連する状況を考慮し、医師により決定されることが理解されよう。

Claims (3)

  1. 次式の化合物:
    Figure 0005166441
    (式中、Rは水素、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基、ハロ基、メチル基、フルオロメチル基、C−Cアルコキシ基、アミノ基又はメチルアミノ基であり、
    は水素、ハロ基又はシアノ基であり、
    は水素又はハロ基であり、
    但しR、R及びRのうちの少なくとも1つが水素であり、
    は水素、ハロ基又はメチル基である)、
    又はその薬理学的に許容できる塩。
  2. 薬理学的に許容できる担体、希釈剤又は賦形剤との組み合わせで、請求項の化合物又はその薬理学的に許容できる塩を含んでなる医薬組成物。
  3. 非小細胞癌、食道癌、口咽頭癌、胃癌、黒色腫、皮膚扁平上皮癌、胸部癌、卵巣癌、子宮内膜癌、結腸直腸癌、神経膠腫、神経膠芽腫、甲状腺癌、頸部癌、膵臓癌、前立腺癌、肝芽腫及び非ホジキンリンパ腫からなる群から選択される癌を治療するための、請求項1の化合物又はその薬理学的に許容される塩を含んでなる医薬組成物。
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