JP5166367B2 - 基板材の表面処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、基板材の表面処理装置に関する。すなわち、電子回路基板の製造工程、例えばエッチング工程で使用され、基板材を処理液にて表面処理する、表面処理装置に関するものである。
《技術的背景》
プリント配線基板,その他の電子回路基板の代表的な製造工程では、電解銅やメッキ銅製の銅張り積層板よりなる基板材の外表面に、→まず、液状やドライフィルム状の感光性レジストが、塗布又は張り付けられる。
→それから、回路のネガフィルムを当てて露光した後、→回路形成部分以外のレジストを、現像により溶解除去し、→もって、露出した回路形状部分以外の銅箔を、エッチングにより溶解除去してから、→回路形成部分のレジストを、剥離により溶解除去する。
→このようなプロセスを辿ることにより、図6の(1)図に示したように、基板材Aの外表面に残った銅箔にて、電子回路Bが形成され、電子回路基板Cが製造されていた。
そして、上述した現像工程,エッチング工程,剥離工程等では、それぞれ、図7に示したように現像装置,エッチング装置,剥離装置等の表面処理装置1において、基板材Aに対し、スプレーノズル2から現像液,エッチング液,剥離液等の処理液Dが、噴射される。もって基板材Aが、現像,エッチング,剥離等、表面処理されていた。
図7中、3は、基板材Aを搬送するコンベア4のホイールである。5は処理液Dの液槽、6はポンプ、7はフィルター、8は配管、9はシャワー管である。10は、チャンバー(処理室)である。
《従来技術》
ところで、この種の表面処理装置1にあっては、前後左右に多数配設されたスプレーノズル2から基板材Aに噴射される処理液Dが、順次新鮮な液へと更新されて、基板材Aを表面処理することが、重要である。
これに対し、基板材Aを表面処理して劣化した処理液Dが、滞留,干渉して、新鮮な処理液Dへの更新が滞ると、表面処理に遅速,過不足,バラツキが発生し、もって表面処理が不均一化し、処理精度低下して、均一な回路B形成に支障が生じる。
そこで、基板材A上面に関しては、処理液Dの更新促進,滞留解消,干渉回避をめざし、例えば、上側のスプレーノズル2を左右の幅方向Eに順次傾斜させ、もって左右への処理液Dの流れを形成させる方式等の対策が、開発されていた(例えば、図3の(1)図を参照)。
これに対し、基板材A下面に関しては従来、このような開発は行われていなかった。すなわち、下側のスプレーノズル2から基板材A下面に噴射される処理液Dに関しては、表面処理後に直ちに自然落下,自重落下するとして、基板材A上面のような対策は何ら講じられることなく、放置されていた。
基板材A上面について対策を講じたこの種の表面処理装置1としては、例えば、次の特許文献1,2中に示されたものが挙げられる。
特開2004−158765号公報 特開2005−232494号公報
《従来例の課題について》
ところで、この種従来例の表面処理装置1については、基板材A下面に関し、次のa,bの課題が指摘されていた。
まずa.前後の処理液D間での干渉が指摘されていた。
すなわち、下側のスプレーノズル2から、基板材A下面に噴射された新鮮な処理液Dは、→基板材A下面を表面処理した後、→劣化すると共に、噴射圧にて基板材A下面に押し付けられて、すぐには落下せずに、→基板材A下面を伝って、前後の搬送方向Fにも流れる。
→そして、前後のスプレーノズル2から基板材A下面に噴射される新鮮な処理液Dに、流入,干渉して、→その処理液Dの新鮮さを損わしめ、処理能力を低下させてしまう。→これにより、新鮮な処理液Dへの更新が妨げられる箇所が発生する、という問題が指摘されていた。
このように、基板材A下面についても、劣化した処理液Dの流入,干渉により、表面処理の遅れ,不足箇所が発生していた。
他方b.左右の処理液D間での干渉も指摘されていた。
すなわち、基板材A下面に噴射された新鮮な処理液Dは、→上述したように、基板材A下面に押し付けられて、すぐには落下せず、→基板材A下面を伝って、左右方向Eにも流れる。
→そして、左右のスプレーノズル2から噴射されて同様に流れる処理液Dと、左右でぶつかり,衝突し合い、→もって、新鮮な処理液Dへの更新が妨げられる箇所が発生する、という問題が指摘されていた。
このように、左右に同列に並んだスプレーノズル2から噴射された処理液Dが、左右間で干渉し合うことにより、表面処理後の左右への排出流れがスムーズに形成されず、新鮮な処理液Dによる処理の妨げとなり、この面からも、表面処理の遅れ,不足箇所が発生していた。
上記a,bのように、基板材A下面について、表面処理(例えばエッチング処理)の遅速,過不足,バラツキ(例えばエッチング量の面内バラツキ)が発生していた。
すなわち、処理遅れ,処理不足(例えばエッチング不足)箇所が発生した場合、→これをカバーすべく、全体の処理量(例えばエッチング処理量)を増やすと、→今度は、他の箇所が過剰処理(例えばオーバーエッチング)となっていた。
例えばエッチング処理の場合、基板材A下面に形成される回路Bが、すべて図6の(3)図に示した断面形状とはならず、オーバーエッチングにより、図6の(4)図に示した略富士山状・急傾斜台形状の断面形状箇所が発生してしまっていた。
このように回路B幅が細く狭くなる箇所が発生すると、通電容量,抵抗値が変動し、信号伝達に支障が生じ、発熱の原因ともなる。
この種従来例の表面処理装置1については、基板材A下面についても、このような表面処理の不均一、処理精度の低下、均一な回路B形成への支障発生、等の問題が指摘されていた。
《本発明について》
本発明の基板材の表面処理装置は、このような実情に鑑み、上記従来例の課題を解決すべくなされたものである。
そして本発明は、第1に、基板材下面での処理液の前後の相互干渉が、規制されると共に、第2に、基板材下面での処理液の左右間での相互干渉がなくなり、排出流れがスムーズに形成される、基板材の表面処理装置を提案することを、目的とする。
《請求項について》
このような課題を解決する本発明の技術的手段は、次のとおりである。
この基板材の表面処理装置は、電子回路基板の製造工程で使用され、搬送される基板材に対し、スプレーノズルから処理液を噴射して表面処理する。
該表面処理装置は、現像工程,エッチング工程,剥離工程,又は洗浄工程で使用される。該スプレーノズルは、現像液,エッチング液,剥離液,又は洗浄液を、該処理液として噴射する。下側の該スプレーノズルは、前後の搬送方向および左右の幅方向に多数配設され、もって該基板材下面に対し水平にて対向位置している。
そして、下側の該スプレーノズルから該基板材下面に噴射された該処理液が該基板材下面を伝って前後に流れることを、規制,阻止する規制ローラーが設けられている。
該規制ローラーは、下側の前後の該スプレーノズルにて形成されるスプレーゾーン間に、仕切りローラーとして設けられている。もって、該スプレーノズルから噴射された該処理液が、その前後の該スプレーゾーンのスプレーノズルから噴射される該処理液に流入して前後で相互干渉することなく、該基板材下面を新鮮で遅速なく均一に表面処理すべく機能する。
該基板材は、上下のホイール群を備えたコンベアにて、水平搬送される。該ホイールは、肉厚薄の略車輪状をなしており、該スプレーゾーンのエリアを除き、前後左右にピッチ間隔を存しつつ多数配設されている。
該規制ローラーは、該ホイールより小径の長円柱状のストレートローラーよりなり、下側の該ホイールの前後に位置しつつ、左右の幅方向に軸を向けて配設され、もって、該基板材下面に当接可能となっている。かつ該規制ローラは、1つの該スプレーゾーンについて前後2個1対で配設されると共に、該スプレーゾーンに対し前後の該ホイールを介し外側両サイドに位置している。
又、各該規制ローラー上には、対応ローラーがそれぞれ置きローラーとして対峙配設されている。該対応ローラーは、搬送される該基板材を該規制ローラーとの間で挟み込んで送り、もって該基板材の落下を防止して安定搬送させるべく機能する。
更に、下側の該スプレーノズルは、水平面において左右の幅方向から前後の搬送方向に向け、若干傾斜して配設されている。もって、左右の各該スプレーノズルから噴射された該処理液が、左右間でぶつかり,衝突して相互干渉することなく、排出流れが左右斜め方向に形成されて、該基板材下面を新鮮で遅速なく均一に表面処理すべく機能する。
該スプレーノズルは、スプレーパターンが横長状となるフラットタイプよりなり、その長辺側を左右方向から前後方向に向け若干傾斜して配設されていること、を特徴とする。
《作用等について》
本発明は、このような手段よりなるので、次のようになる。
(1)この表面処理装置は、電子回路基板の製造工程で使用される。
(2)もって、スプレーノズルから処理液を噴射して、基板材を表面処理する。
(3)そして、本発明の表面処理装置では、規制ローラーが採用されており、下側のスプレーノズルから噴射された処理液が、基板材下面を伝って前後に流れることが、規制,阻止される。
(4)従って、劣化した処理液が、前後で噴射される新鮮な処理液に流入,干渉して、新鮮さを損わしめ,処理能力を低下させる前後での相互干渉がなく、新鮮な処理液への更新が阻害される箇所は、発生しなくなる。
(5)更に、本発明の表面処理装置では、フラットタイプの下側のスプレーノズルは、左右方向から前後方向に若干向けられており、基板材下面に噴射された処理液の左右斜め方向への排出流れが、スムーズに形成される。
(6)従って、基板材下面に噴射された処理液が、左右間でぶつかり,衝突して,左右間で相互干渉し合うことがなくなり、新鮮な処理液への更新が阻害される箇所は、発生しなくなる。
(7)さてそこで、本発明の基板材の表面処理装置は、次の効果を発揮する。
《第1の効果》
第1に、基板材下面について、噴射された処理液の前後での相互干渉が規制され、もって処理精度が向上する。
すなわち、本発明の表面処理装置では、規制ローラーが採用されており、処理液が基板材下面を伝って前後に流れることは、規制,阻止される。もって、前述したこの種従来例のように、劣化した処理液が、前後で噴射される新鮮な処理液に流入,干渉することは、なくなる。
このようにして、基板材下面について、処理液の更新が促進され、表面処理の遅れ,不足箇所の発生は回避され、もって、処理の遅速,過不足,バラツキ等が防止され、処理の均一化,処理精度の向上,均一な回路形成が実現される。
例えば、エッチング装置でのエッチング処理に際しては、エッチング不足,オーバーエッチング,エッチング量の面内バラツキ等は発生せず、回路幅が細く狭くなる箇所が形成されることもなく、均一で精度高いエッチングが実現される。
《第2の効果》
第2に、基板材下面について、噴射された処理液の左右での相互干渉がなくなり、排出流れもスムーズに形成され、もってこの面からも処理精度が向上する。
すなわち、本発明の表面処理装置では、下側のフラットタイプのスプレーノズルを、左右方向から前後方向に若干向けた構成を採用したので、噴射された処理液の排出流れが、スムーズに形成される。
このようにして、この面からも基板材下面について、処理液の更新が促進され、前述したこの種従来例のように、表面処理の遅れ,不足箇所の発生は回避され、均一で精度の高い表面処理が実現される。
このように、この種従来例に存した課題がすべて解決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
本発明に係る基板材の表面処理装置について、発明を実施するための形態の説明に供し、要部の側面説明図である。 同発明を実施するための形態の説明に供し、規制ローラーの配設例を示し、要部の側面説明図である。そして、(1)図は、本発明の例を示す。なお(2)図は、本発明には属さない参考例を、(3)図も、本発明には属さない他の参考例を示す。 同発明を実施するための形態の説明に供し、(1)図は、正面説明図(コンベアは図示省略)、(2)図は、下側のスプレーノズルの拡大した平面説明図である。 同発明を実施するための形態の説明に供し、スプレーノズルのスプレーパターンを示す。そして(1)図,(2)図,(3)図は、本発明に係るフラットタイプの説明に供し、(1)図は側面説明図、(2)図は正面説明図、(3)図は平面説明図である。(4)図,(5)図は、本発明には属さない参考例のフルコーンタイプの説明に供し、(4)図は側面(正面)説明図、(5)図は平面説明図である。 基板材の表面処理装置の説明に供し、ホイール群を備えたコンベアの平面説明図である。 基板材(電子回路基板)の説明に供する。そして(1)図は、その1例の平面説明図である。(2)図,(3)図,(4)図は、形成される回路の断面説明図であり、(2)図は理想例を、(3)図は良い例を、(4)図は悪い例を示す。 基板材の表面処理装置の説明に供し、(1)図は正面説明図(コンベアは図示省略)、(2)図は側面説明図である。
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。
《表面処理装置1について》
まず、図1,図3の(1)図,図7等を参照して、本発明の適用対象である表面処理装置1について、一般的に説明しておく。
この基板材Aの表面処理装置1は、電子回路基板Cの製造工程で使用され、搬送される基板材Aに対し、上側のスプレーノズル2や下側のスプレーノズル2から、処理液Dを噴射して、表面処理する(製造工程等については、前述した背景技術欄も参照)。
すなわち表面処理装置1は、代表的にはエッチング工程や現像工程、更には剥離工程や、これらの各工程に付随して設けられる洗浄工程等において、エッチング装置,現像装置,剥離装置,又は洗浄装置等として、使用される。
又、代表的には、前述したサブトラクティブ法(ウェットプロセス法)において、その(パターン)エッチング工程,現像工程,その他の工程に適用されるが、それ以外の電子回路基板Cの製造方法、例えばセミアディティブ法において、その現像工程や後処理の(クイック)エッチング工程にも適用される。
更に、これらの各種工程の前提となる表面粗化処理工程にも、適用可能である。すなわち、銅張り積層板よりなる基板材Aについて、その銅箔表面を予め粗化処理しておく(ソフト)エッチング工程にも、適用可能である。
そして表面処理装置1では、そのチャンバー10内において、コンベア4により、前後の搬送方向Fに水平搬送される基板材Aに対し、エッチング液,現像液,剥離液などの薬液,又は洗浄液、等の処理液Dが噴射される。もって、処理液Dがスプレーされた基板材Aが、所定の薬液処理や洗浄処理される等、表面処理される。
基板材Aとしては、600×500mmサイズや500×400mmサイズのものが代表的である。チャンバー10の前後の搬送方向の長さは、例えば1.92mであり、コンベア4の搬送スピードは、例えば1.3m/minである。
《コンベア4について》
表面処理装置1のコンベア4について、更に詳述する。図示のコンベア4は、前後左右に多数配設された上下のホイール3群を備えている。
すなわち、図1,図5,図7の(2)図等に示したように、ホイール3は、径が例えば32mm程度で、肉厚薄の略コマ状・車輪状をなし、左右方向Eに軸を向け水平配設された上下のコンベアシャフト11に、それぞれ、左右ピッチ間隔を存しつつ複数個取付けられている。
そして、このような上下のホイール3,3付のコンベアシャフト11,11が、前後方向Fに前後ピッチ間隔を存しつつ、多数本列設されている。各コンベアシャフト11,11は、ギア12や駆動軸13を介し、モータ等の駆動機構に接続されている(図示せず)。前後の各ホイール3間は、前後で若干ラップし噛み合う位置関係で配設されている。
基板材Aは、このようなコンベア4の上下で対応位置するホイール3,3群に挟み込まれ、その回転駆動により前後の搬送方向Fに水平搬送される。
《スプレーノズル2について》
表面処理装置1のスプレーノズル2について、更に詳述する。図1,図3の(1)図,図7等に示したように、上下のスプレーノズル2は、搬送される基板材Aに処理液Dを噴射すべく、前後方向Fおよび左右方向Eに多数配設され、もって基板材A上面,下面にそれぞれ対応位置している。
すなわち、上側のスプレーノズル2および下側のスプレーノズル2は、左右方向Eに軸を向けて水平配設された上下のシャワー管9,9に、それぞれ左右ピッチ間隔を存しつつ複数個、例えば11個列設されている。
そして、このようなスプレーノズル2,2付の上下のシャワー管9,9が、前後方向Fに向け、例えば8本〜12本程度、図示例では175mm程度のピッチ間隔で列設されている。
そこで処理液Dは、上下のシャワー管9からスプレーノズル2へと圧送された後、→スプレーノズル2から、上下方向Gに例えば116mmや85mm程度の間隔を存して搬送される基板材Aに対して、噴射される。スプレーノズル2の噴射圧は、例えば0.15MPa、スプレーノズル2の噴射圧は、例えば0.12MPaである。
→そして、上側のスプレーノズル2から基板材A上面に噴射された処理液Dは、噴射対象の基板材A上面を表面処理した後、基板材A上面を左右方向Eに流れて、左右両サイドから自重流下,排出される。
これに対し、下側のスプレーノズル2から基板材A下面に噴射された処理液Dは、噴射対象の基板材A下面を表面処理した後、噴射圧で基板材A下面に押し付けられつつ前後左右に流れてから、徐々に自然落下,自重落下,排出される。
→そして処理液Dは、液槽5へと回収,貯留された後、→ポンプ6,フィルター7,配管8等を経由して、→再び上下のシャワー管9からスプレーノズル2へと、循環供給されて再使用される。
なお図1中、Hはスプレーゾーンであり、処理液Dは、スプレーノズル2から、スプレーゾーンHを介して基板材Aに噴射される。
上側のスプレーゾーンHと下側のスプレーゾーンHとは、上下で対向位置せず搬送方向Fにずれて位置している。又、スプレーゾーンHのエリアについては、ホイール3は配設されず、1本又は2本のコンベアシャフト11が、抜かれて欠如せしめられている。
表面処理装置1は概略、このように構成されている。
《本発明の概要》
以下、本発明の表面処理装置1について、図1,図2,図3等を参照して説明する。まず、その概要について述べる。
第1の特徴として、この表面処理装置1には、下側のスプレーノズル2から基板材A下面に噴射された処理液Dが、基板材A下面を伝って前後に流れることを規制,阻止する、規制ローラー14が設けられている。
すなわち、下側のスプレーノズル2は、前後の搬送方向Fおよび左右の幅方向Eに多数配設され、もって、基板材A下面に対向位置している。
規制ローラー14は、前後のスプレーノズル2にて形成されるスプレーゾーンH間に、設けられ、もって、スプレーノズル2から噴射された処理液Dが、前後で相互干渉することなく、基板材A下面を新鮮で遅速なく均一に表面処理する。
そして基板材Aは、ホイール3,3群を備えたコンベア4にて、水平搬送される。規制ローラー14は、ホイール3より小径のストレートローラーよりなり、ホイール3の前や後に位置しつつ、左右の幅方向Eに軸を向けて配設され、もって、基板材A下面に当接可能となっている。
第2の特徴として、この表面処理装置1では、下側のスプレーノズル2は、水平面において、左右の幅方向Eから前後の搬送方向Fに向け若干傾斜して配設されている。もって、各スプレーノズル2から噴射された処理液Dが、左右で相互干渉することなく、基板材A下面を新鮮で遅速なく均一に表面処理する。
そして、このスプレーノズル2は、スプレーパターンが横長状となるフラットタイプよりなり、その長辺側を左右斜めに向けて配設されている。スプレーノズル2の上記若干傾斜した角度は、0.5度から10度程度、代表的には3度から5度に設定される。
本発明の概要は、このようになっている。
《本発明の詳細:規制ローラー14について》
本発明の表面処理装置1について、更に詳述する。まず、図1,図2等を参照して、規制ローラー14について述べる。
規制ローラー14は、例えば径が16mm程度の小径で長円柱状のストレートローラーよりなり、軸を左右方向Eに向けると共に、前後方向Fに向け多数本が水平配設されている。
そして規制ローラー14は、搬送される基板材A下面に、対向位置して当接可能となっており、もって、基板材A下面に噴射された処理液Dが、基板材A下面を伝って前後の搬送方向Fに流れることを、規制,阻止する。
すなわち規制ローラー14は、前後に列設された下側のスプレーノズル2にて形成される各スプレーゾーンH間に、仕切りローラーとして設けられており、もって、スプレーゾーンHで噴射された処理液Dが、前後間で流入,流出して相互干渉するのを、強制的に遮断する。
又、規制ローラー14は次の位置関係で配設される。すなわち、図1や図2の(1)図に示したように、左右方向Eに列をなす1つのスプレーゾーンHについて、前後2個1対の規制ローラー14が配設されている。これと共に、この規制ローラー14対は、そのスプレーゾーンHに対し、前後のホイール3を介し外側両サイドに位置している。
なお、図2の(2)図に示した本発明には属さない参考例では、1つのスプレーゾーンHについて、前後1対の規制ローラー14が配設されている。しかしながら、第1例とは異なり、この規制ローラー14対は、前後のホイール3より内側で、直にスプレーゾーンHに臨んで両サイドに位置している。
図3の(3)図に示した本発明には属さない他の参考例では、各スプレーゾーンH間に、1個ずつの規制ローラー14が配設されており、この規制ローラー14は、各スプレーゾーンHに対し、ホイール3を介して位置している。
規制ローラー14は、このようになっている。
《本発明の詳細:下側のスプレーノズル2の向きについて》
次に、図3,図4等を参照して、スプレーノズル2の向きについて述べる。
まず、下側のスプレーノズル2としては、図4の(1)図,(2)図,(3)図に示したように、基板材Aに噴射される際のスプレーパターンが、横長の太膜状,略楕円状となるフラットタイプ(スリットタイプ)のものが、使用される。
本発明の適用対象となるスプレーノズル2は、フラットタイプよりなり、基板材A下面に噴射された処理液Dの左右斜めへの排出流れが、極めてスムーズに形成される。因に、図4の(1)図,(2)図は、本発明には属さない参考例を示し、スプレーパターンが円状となるフルコーンタイプよりなる。
そして、この下側のスプレーノズル2は、水平搬送される基板材A下面に対し、水平にて対向位置している。
すなわちスプレーノズル2は、上下方向Gにその噴射軸を向け垂直に配設されて、基板材Aに対峙している。因に、図3の(1)図において、上側のスプレーノズル2は、上下方向(垂直センター)Gに対し、傾斜して配されている。
そして、この下側のスプレーノズル2は、図3の(2)図に示したように、水平面において、左右方向Eから前後方向Fに向け、若干傾けられている。
すなわち、スプレーノズル2としては、フラットタイプのものが使用されるが、その長辺側を、左右方向Eに一致させることなく、左右方向Eから前後方向Fに向け角度Jだけ傾けられ、もって左右斜めに向けて配設されている。
つまり水平面において、シャワー管9やコンベアシャフト11の軸に対し、平行から前後に角度Jをつけて取付けられており、この角度Jとしては、3度〜5度程度が代表的あるが、0.5度〜10度の範囲での設定も可能である。
スプレーノズル2は、このように角度J設定されていることにより、基板材A下面に噴射された処理液Dが、左右間でぶつかり,衝突することが防止され、左右斜めへの排出流れが形成されるようになる。角度Jが、上記より大きいか小さいと、この流れ形成が困難化する。
スプレーノズル2は、このように向けられている。
《作用等》
本発明の基板材Aの表面処理装置1は、以上説明したように構成されている。そこで、以下のようになる。
(1)この表面処理装置1は、電子回路基板Cの製造工程で使用される。例えば、その中核をなすエッチング工程や現像工程において、エッチング装置や現像装置として、使用される。
(2)そして表面処理装置1は、ワークである基板材Aを、処理液Dにて回路B形成用に表面処理する。
すなわち、搬送される基板材Aについて、各スプレーノズル2から、例えばエッチング液や現像液等の処理液Dを噴射して、エッチングや現像等、表面処理する(図1,図3の(1)図,図7等を参照)。
(3)さて、本発明の表面処理装置1では、まず、規制ローラー14が採用されている(図1,図2を参照)。
規制ローラー14は、下側のスプレーノズル2から基板材A下面に噴射された処理液Dが、噴射対象の基板材A下面を表面処理した後、噴射圧に基づき基板材A下面を伝って、上流や下流に向けて流れることを、規制,阻止,遮断する(勿論、流れが遮断された処理液Dは、その後、落下,排出される)。
(4)従って、基板材A下面を表面処理した後の劣化した処理液Dが、前後のスプレーノズル2から噴射される新鮮な処理液Dに、流入,干渉することは阻止される。その新鮮さを損わしめ、処理能力を低下させ、もって新鮮な処理液Dへの更新が阻害される箇所の発生は、回避される。
(5)更に、本発明の表面処理装置1では、角度J付のスプレーノズル2が採用されている(図3の(2)図を参照)。下側のスプレーノズル2は、フラットタイプよりなると共に、水平面において、左右方向Eから前後方向Fに向け、角度Jだけ傾けられている。
そこで、噴射対象の基板材A下面を表面処理した処理液Dは、このように角度Jがつけられていることに基づき、基板材A下面での左右斜め方向への規制的な排出流れが、スムーズに形成された後、落下,排出される。
(6)従って、基板材A下面について、同じシャワー管9に付設された左右の各スプレーノズル2から噴射されて、表面処理した後の劣化した処理液Dが、左右間でぶつかり,衝突して,干渉し合う事態は回避される。新鮮な処理液Dへの更新が阻害される箇所の発生は、防止される。
(7)本発明の表面処理装置1では、このように、規制ローラー14や角度J付のスプレーノズル2の採用により、基板材A下面について、遅速,過不足,バラツキのない表面処理が、順次更新される新鮮な処理液Dにて、実現される。
前述したこの種従来例のように、基板材A下面について、新鮮な処理液Dへの更新不足,処理遅れ,処理不足箇所が発生し、もってこれらをカバーすべく全体の処理量を増加させると、残りの他の箇所が過剰処理となるような事態発生は、回避される。
(8)例えば、エッチング処理の場合については、次のとおり。図6の(2)図は、形成される回路Bの理想例の断面形状であるが、図6の(3)図に示したように、これに近い断面形状の回路Bが、均一に形成されるようになる。
すなわち、発生したエッチング不足箇所をカバーすべく、→全体的にエッチング処理量を増加させた結果、→図6の(4)図に示したように、残りの箇所がオーバーエッチングとなり、→略富士山状・急傾斜台形状の断面形状の回路Bとなってしまうことは、回避される。エッチング量の面内バラツキ発生は、回避される。
(9)なお、図1中、15は対応ローラーである。この対応ローラー15は、各規制ローラー14上にそれぞれ対峙配設されており、その他の構成,配設等は規制ローラー14に準じる。
そして対応ローラー15は、搬送される基板材Aを、規制ローラー14との間で挟み込んで送る置きローラーとして機能し、もって基板材Aが安定搬送されるようになる。
すなわち、この表面処理装置1では、ホイール3を使用したコンベア4による搬送方式が採用されているが、極薄化の進む基板材Aの落下事故は、未然に防止される。規制ローラー14は、このように対応ローラー15と共に使用することにより、基板材Aの安定搬送に資することが可能である。
《本発明の意義》
ところで電子回路基板Cは、a.小型軽量化,極薄化,フレキシブル化の進展がめざましく、b.形成される回路Bの微細化,高密度化の進展も顕著である。
そこでa.表面処理装置1のコンベア4についても、極薄基板材A(例えば、その絶縁コア材は肉厚40μm程度まで極薄化が進展)の搬送に対応すべく、前後方向Fのコンベアシャフト11のピッチや、左右方向Eのホイール3のピッチが、それぞれ、より狭くなる(例えばシャフトピッチ25mm)傾向にある(図5等を参照)。
もってその分だけ、多数で密となったホイール3(ホイール3も径32mmと小径化が進展)の陰となるエリアが増え、ホイール3が邪魔になりスプレーゾーンH(図1を参照)が、狭くなってきている。
又b.形成される回路Bに関しては、図6の(2)図〜(4)図に示したように、(回路幅Lや回路間スペースSで15μm〜40μm程度まで、)微細化,高密度化が進行している。
上記a,bの状況に鑑み、最近の電子回路基板Cの製造工程では、処理液Dによる緻密かつ正確な表面処理が、一段と強く要求されており、本発明の表面処理装置1により、遅速,過不足,バラツキのない表面処理が実現される意義は、大なるものがある。
そして特に、コンベアシャフト11の前後方向Fのピッチが短くなり、その分、前後のスプレーゾーンHが、より接近する最近の傾向に鑑み、規制ローラー14採用の意義は、特に大きい。
すなわち、接近した前後のスプレーゾーンH間では、従来にも増して、基板材A下面を伝っての処理液Dが流入,流出が、一段と顕著化するので、規制ローラー14にて、これを規制,阻止するメリットは大きい。
又、前後方向Fのコンベアシャフト11のピッチが短くなり、これを1〜2本抜いて欠如せしめて形成されるスプレーゾーンHのエリア面積も、前後寸法が小さく狭くなる最近の傾向に鑑み、角度J付のスプレーノズル2採用の意義も、特に大である。
すなわち、狭いスプレーゾーンHでは、基板材A下面に噴射された処理液Dの左右間でのぶつかり,衝突,干渉が、一段と顕著化しており、角度J付のスプレーノズル2により、これを防止できるメリットは大きい。
1 表面処理装置
スプレーノズル(上側)
スプレーノズル(下側)
ホイール(上側)
ホイール(下側)
4 コンベア
5 液槽
6 ポンプ
7 フィルター
8 配管
シャワー管(上側)
シャワー管(下側)
10 チャンバー
11コンベアシャフト(上側)
11コンベアシャフト(下側)
12 ギア
13 駆動軸
14 規制ローラー
15 対応ローラー
A 基板材
B 回路
C 電子回路基板
D 処理液
E 左右方向(幅方向)
F 前後方向(搬送方向)
G 上下方向
H スプレーゾーン
J 角度
L 回路幅
S 回路間スペース

Claims (1)

  1. 電子回路基板の製造工程で使用され、搬送される基板材に対し、スプレーノズルから処理液を噴射して表面処理する、基板材の表面処理装置において、
    該表面処理装置は、現像工程,エッチング工程,剥離工程,又は洗浄工程で使用され、該スプレーノズルは、現像液,エッチング液,剥離液,又は洗浄液を、該処理液として噴射し、下側の該スプレーノズルは、前後の搬送方向および左右の幅方向に多数配設され、もって該基板材下面に対し水平にて対向位置しており、
    下側の該スプレーノズルから該基板材下面に噴射された該処理液が該基板材下面を伝って前後に流れることを、規制,阻止する規制ローラーが設けられており、
    該規制ローラーは、下側の前後の該スプレーノズルにて形成されるスプレーゾーン間に、仕切りローラーとして設けられ、もって、該スプレーノズルから噴射された該処理液が、その前後の該スプレーゾーンのスプレーノズルから噴射される該処理液に流入して前後で相互干渉することなく、該基板材下面を新鮮で遅速なく均一に表面処理すべく機能し、
    該基板材は、上下のホイール群を備えたコンベアにて水平搬送され、該ホイールは、肉厚薄の略車輪状をなしており、該スプレーゾーンのエリアを除き、前後左右にピッチ間隔を存しつつ多数配設されており、
    該規制ローラーは、該ホイールより小径の長円柱状のストレートローラーよりなり、下側の該ホイールの前後に位置しつつ、左右の幅方向に軸を向けて配設され、もって、該基板材下面に当接可能となっており、かつ該規制ローラは、1つの該スプレーゾーンについて前後2個1対で配設されると共に、該スプレーゾーンに対し前後の該ホイールを介し外側両サイドに位置しており、
    又、各該規制ローラー上には、対応ローラーがそれぞれ置きローラーとして対峙配設されており、該対応ローラーは、搬送される該基板材を該規制ローラーとの間で挟み込んで送り、もって該基板材の落下を防止して安定搬送させるべく機能し、
    更に、下側の該スプレーノズルは、水平面において左右の幅方向から前後の搬送方向に向け、若干傾斜して配設されており、もって、左右の各該スプレーノズルから噴射された該処理液が、左右間でぶつかり,衝突して相互干渉することなく、排出流れが左右斜め方向に形成されて、該基板材下面を新鮮で遅速なく均一に表面処理すべく機能し、
    該スプレーノズルは、スプレーパターンが横長状となるフラットタイプよりなり、その長辺側を左右方向から前後方向に向け若干傾斜して配設されていること、を特徴とする基板材の表面処理装置。
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