JP5164629B2 - 皮革調外面を有する金属缶 - Google Patents

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Description

本発明は、外面に皮革調の塗装が施された皮革調外面を有する金属缶及びその製造方法に関する。
例えば、ビールや清涼飲料等を充填する飲料用金属缶の缶胴塗装は、缶基体の外面に金属地を隠蔽するために必要に応じて下地塗装(ベースコート層)を行い、更に、所定の意匠を金属印刷用インキで印刷したのち、それを保護するためにトップコートを塗装するのが一般的である。
このような缶胴塗装において、製品の外面の意匠性を高めるために従来より様々な塗装が行われている。例えば、特開平11−151853号公報は、インキで印刷されることにより形成されたインキ層上に、マットニス等の艶消し剤を含有したトップコート層を形成することにより、マット調の質感を出す方法を開示している(特許文献1)。
また、特開平10−250209号公報は、インキ層として発泡性マイクロカプセルを含有する光遮蔽性層を形成し、トップコート層として光透過性層を形成し、その後、加熱してマイクロカプセルを発泡させることにより、表面に凹凸を形成する方法を開示している(特許文献2)。
特開平11−151853号公報 特開平10−250209号公報
而して、このような金属缶の缶胴塗装では、製品を差別化するために常に新たな意匠性が求められている。
そこで本発明は、新たな意匠性を有する金属缶として、皮革調外面を有する金属缶及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明は以下の手段を提供する。
[1] 金属製缶基体上にインキで印刷されたインキ層が形成されるとともに、前記インキ層上に艶消し剤を含有する塗料でトップコート層が形成され、
前記インキは、前記トップコート層用塗料をはじくはじきインキであることを特徴とする皮革調外面を有する金属缶。
[2] 前記トップコート層の表面に、多数のクレーター状の凹部が形成されるとともに、
前記凹部の平均直径が0.1〜2.0mmの範囲に設定されている前項1記載の皮革調外面を有する金属缶。
[3] 前記トップコート層の表面積に対して前記凹部の占める割合が10%以上に設定されるとともに、
前記トップコート層の表面積1cm2当たりの前記凹部の数が10個以上に設定されている前項2記載の皮革調外面を有する金属缶。
[4] 前記トップコート層の表面粗さRyが2μm以上に設定されている前項1〜3のいずれかに記載の皮革調外面を有する金属缶。
[5] 前記トップコート層の60°鏡面光沢度が35以下に設定されている前項1〜4のいずれかに記載の皮革調外面を有する金属缶。
[6] 前記トップコート層の厚さは、3〜10μmの範囲であり、
前記インキ層の厚さは、前記トップコート層の厚さに対して5%以上に設定されており、
前記インキの表面張力は、前記トップコート層用塗料の表面張力よりも5mN/m以上低く設定されている前項1〜5のいずれかに記載の皮革調外面を有する金属缶。
[7] 前記艶消し剤は、粒子状であり、
前記艶消し剤の前記トップコート層用塗料への含有率は、前記トップコート層用塗料における艶消し剤を除く樹脂成分に対して2〜5質量%の範囲に設定されている前項1〜6のいずれかに記載の皮革調外面を有する金属缶。
[8] 前記インキにはカーボン顔料が含有されるとともに、前記カーボン顔料の表面が絶縁処理されている前項1〜7のいずれかに記載の皮革調外面を有する金属缶。
[9] 前記缶基体上における前記インキ層形成領域とは異なる領域に、第2インキで印刷された第2インキ層が形成されるとともに、前記トップコート層が前記インキ層及び前記第2インキ層上に形成されており、
前記第2インキは、前記トップコート層用塗料をはじかないインキである前項1〜8のいずれかに記載の皮革調外面を有する金属缶。
[10] 金属製缶基体上にインキで印刷することによりインキ層を形成するインキ層形成工程と、
前記インキ層上に艶消し剤を含有する塗料でトップコート層を形成するトップコート層形成工程と、を含み、
前記インキとして、前記トップコート層用塗料をはじくはじきインキを用いることを特徴とする皮革調外面を有する金属缶の製造方法。
[11] 前記トップコート層の厚さは、3〜10μmの範囲であり、
前記インキ層の厚さは、前記トップコート層の厚さに対して5%以上に設定されており、
前記インキの表面張力は、前記トップコート層用塗料の表面張力よりも5mN/m以上低く設定されている前項10記載の皮革調外面を有する金属缶の製造方法。
[12] 前記艶消し剤は、粒子状であり、
前記艶消し剤の前記トップコート層用塗料への含有率は、前記トップコート層用塗料における艶消し剤を除く樹脂成分に対して2〜5質量%の範囲に設定されている前項10又は11記載の皮革調外面を有する金属缶の製造方法。
[13] 前記インキにはカーボン顔料が含有されるとともに、前記カーボン顔料の表面が絶縁処理されている前項10〜12のいずれかに記載の皮革調外面を有する金属缶の製造方法。
[14] 前記缶基体上における前記インキ層形成領域とは異なる領域に、第2インキで印刷することにより第2インキ層を形成する第2インキ層形成工程を含み、
前記トップコート層形成工程では、前記トップコート層を前記インキ層及び前記第2インキ層上に形成し、
前記第2インキとして、前記トップコート層用塗料をはじかないインキを用いる前項10〜13のいずれかに記載の皮革調外面を有する金属缶の製造方法。
本発明は以下の効果を奏する。
[1]の発明では、インキ層のインキがトップコート層用塗料をはじくはじきインキであることにより、トップコート層の表面に多数のクレーター状の凹部がランダムに形成される。さらに、艶消し剤を含有する塗料(いわゆるマット塗料)でトップコート層を形成することにより、トップコート層の表面に艶消し感が付与される。このように、トップコート層の表面に、多数のクレーター状の凹部がランダムに形成され且つ艶消し感が付与されることにより、金属缶の外面を目視にて皮革調に形成することができ、即ち、外面に皮革調の塗装が施された金属缶を提供できる。
[2]の発明では、トップコート層の表面に形成された多数のクレーター状の凹部の平均直径が所定の範囲に設定されることにより、金属缶の外面を皮革調に確実に形成することができる。
さらに、凹部の形状がクレーター状であることから、次のような利点がある。
すなわち、上述した特開平11−151853号公報(特許文献1)に記載の方法のようにトップコート層に艶消し剤を含有させたものや、特開平10−250209号公報(特許文献2)に記載の方法のようにインキ層にマイクロカプセルを含有させてこれを発泡させたものでは、内容物が充填された金属缶を冷蔵庫等の冷所から手で取り出す際に、金属缶の外面が水滴で濡れているため、金属缶の外面が滑り易いという難点がある。これに対して、[2]の発明では、凹部の形状がクレーター状であるため、金属缶の外面が滑り難く、金属缶を手で持ち易いという利点がある。
[3]〜[7]の発明では、いずれも、金属缶の外面を皮革調に更に確実に形成することができる。
[8]の発明では、外面に皮革調の塗装が施された金属缶について耐食性を向上させることができる。
[9]の発明では、金属缶の外面に、皮革調の塗装が施された領域とマット調の塗装が施された領域とを互いに塗り分け状態に形成することができる。
[10]の発明では、金属缶の外面を皮革調に形成することができる。
[11]及び[12]の発明では、金属缶の外面を皮革調に確実に形成することができる。
[13]の発明では、外面に皮革調の塗装が施された金属缶について耐食性を向上させることができる。
[14]の発明では、金属缶の外面に、皮革調の塗装が施された領域とマット調の塗装が施された領域とを互いに塗り分け状態に形成することができる。
次に、本発明の一実施形態について図面を参照して以下に説明する。
図1Aは、本発明の一実施形態に係る金属缶をトップコート層形成工程終了後の状態で示す正面図であり、図1Bは、同金属缶の完成品の正面図である。これらの図において、1は、本実施形態の金属缶である。
この金属缶1は、アルミニウム(その合金を含む。以下同じ)製のものであり、有底円筒状缶胴2と円板状缶蓋とからなるいわゆる2ピース缶である。缶胴2は、DI加工によって成形されたものである。この金属缶1は、内容物としてビールや清涼飲料等が充填される飲料用のものである。
図1Bに示すように、この金属缶1の缶胴2の外面の少なくとも長さ方向中間部には塗装が施されており、これにより図2及び3に示すように当該部分に塗膜4が形成されている。詳述すると、金属缶1の缶胴2の外面の長さ方向中間部には、皮革調の塗装が施された領域10(この領域を「皮革調領域10」という。)が形成されるとともに、当該缶胴2の外面の皮革調領域10よりも下側部分には、マット調の塗装が施された領域11(この領域を「マット調領域11」という。)が皮革調領域10とは重ならないで塗り分けられた状態に形成されている。なお本実施形態では、皮革調の塗装として、なめし皮調の塗装が施されている。
金属缶1の外面の皮革調領域10において、図2に示すように、金属缶1の缶基体3上には金属印刷用インキ(第1インキ)で所定の図柄(模様や文字を含む。以下同じ。)が印刷されることによりインキ層5が形成されるとともに、このインキ層5上にトップコート層6が塗膜4の最外層として形成されている。すなわち、塗膜4はインキ層5とトップコート層6とを備えている。
トップコート層6は、缶基体3の金属色を隠蔽してインキ層5の色彩を鮮明に見せるため、あるいは/更に、インキ層5を保護するための層である。このトップコート層6は、粒子状の艶消し剤7を含有する塗料で形成されたものである。
トップコート層用塗料は、熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等の樹脂を主成分とするものであり、必要に応じてワックス成分を含有している。
トップコート層用塗料において、熱硬化性樹脂としては、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、フラン−ホルムアルデヒド樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、アミノ樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂(例:ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスマレイミド樹脂、トリアリルシアヌレート樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、油性樹脂等が用いられる。さらに、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との組成物を用いても良い。この場合、熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル−マレイン酸−酢酸ビニル共重合体、アクリル重合体、飽和ポリエステル樹脂等が用いられる。これらの樹脂は、単独でも2種以上を組み合せても使用できる。また、これらの樹脂組成物には、必要に応じて、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の公知の酸触媒が添加されていても良い。酸触媒を用いる場合は、酸触媒は樹脂に対して0.5〜1質量%添加するの望ましい。また、これらの樹脂のうち、特に、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂と飽和ポリエステル樹脂との組成物や、熱硬化性アクリル樹脂とメラミン−ホルムアルデヒド樹脂との組成物を用いることが塗膜性能面で望ましい。
トップコート層用塗料において、紫外線硬化性樹脂としては、例えば、カチオン硬化型樹脂、ラジカル硬化型樹脂等が用いられる。カチオン硬化型樹脂としては、紫外線硬化型エポキシ樹脂と光カチオン重合触媒との組成物等が用いられる。
トップコート層用塗料において、上記の樹脂に架橋剤や増感剤を必要に応じて添加しても良い。架橋剤としては、種々のポリオール類(例:ε−カプロラクトントリオール)等が用いられる。増感剤としては、チオキサントン誘導体等が用いられる。
さらに、トップコート層用塗料に、滑りを補うために、ワックス成分として天然系、石油系、合成系のワックス剤を単独で又は複合して添加しても良い。
さらに、トップコート層6の表面のレベリング剤として、あるいは/更に、塗料状態での安定性を高めるためや初期滑り性をトップコート層6に付与するために、各種のシリコーンオイルをトップコート層用塗料に添加しても良い。
また、図2に示すように、金属缶1の外面の皮革調領域10において、トップコート層6の表面には、多数のクレーター状の凹部8がランダムに形成されている。これらの凹部8は、後述するインキ層5のインキによってトップコート層用塗料がはじかれることにより形成されたものである。凹部8の底部はトップコート層6の他の表面よりも局部的に低くなっており、そのため、トップコート層6における凹部形成部分6aの厚さは局部的に薄くなっている。また、凹部8の外周縁部には、凹部8を包囲する環状の隆起部8aが形成されている。ここで、凹部8の外周縁部の隆起部8aの頂部位置における直径を、凹部8の直径dと定義する。凹部8の直径dは所定の分布でばらついており、凹部8の平均直径は0.1〜2.0mmに設定されている。凹部8の平均直径が上記の範囲に設定されることにより、トップコート層6の表面に目視による皮革調の質感を確実に醸し出すことができる。凹部8の平均直径の特に望ましい下限は0.2mm以上である。
さらに、金属缶1の外面の皮革調領域10において、トップコート層6の表面積に対して凹部8の占める割合(この割合を「凹部8の面積率」という。)は10%以上に設定されており、且つ、トップコート層6の表面積1cm2当たりの凹部8の数が10個以上に設定されている。これにより、トップコート層6の表面に皮革調の質感を更に確実に醸し出すことができる。ここで、凹部8の面積率を算出する場合には、凹部8における隆起部8aの頂部が描く形状の面積を、凹部8の面積として凹部8の面積率を算出する。
なお本発明では、凹部8の面積率の上限については特に限定されるものではないが、49%以下(特に望ましくは20%以下)であることが良い。また、トップコート層6の表面積1cm2当たりの凹部8の数の好適範囲は10〜430個(特に望ましくは50〜430個)である。
さらに、トップコート層6の表面粗さRyは2μm以上に設定されている。これにより、トップコート層6の表面に皮革調の質感を更に確実に醸し出すことができる。ここでRyの値は、JIS(日本工業規格) B0601−1994に準拠して測定した値である。
なお、Ryの好適範囲は2.0〜6.0μm(特に望ましくは5.0〜6.0μm以下)である。
艶消し剤7は、上述したように粒子状のものである。この艶消し剤7を含有する塗料でトップコート層6を形成することにより、トップコート層6の表面の光沢度が低下し、もってトップコート層6の表面に皮革調の質感を更に確実に醸し出すことができる。
さらに、トップコート層6の60°鏡面光沢度は35%以下に設定されている。これにより、トップコート層6の表面に皮革調の質感を更に確実に醸し出すことができる。この光沢度の特に望ましい上限は25%以下である。なお本発明では、この光沢度の下限については特に限定されるものではないが、15%以上であることが良い。
ここで、60°鏡面光沢度の値は、JIS Z8741に準拠して測定した値である。
艶消し剤7は、トップコート層6中にできるだけ均一に分散状態に含有されていることが望ましい。艶消し剤7としては、粒子状の無機や有機シリカ等が用いられる。詳述すると、艶消し剤7として、塗布用ローラから缶基体3に転移させ易くするために、トップコート層用塗料における樹脂成分に近い比重を持つものを用いることが好ましく、更に、皮革調の質感を確実に醸し出させるために、光を散乱させるものを用いることが望ましい。これらの観点から、艶消し剤7として、ガラス、シリカ、樹脂等の粒子を用いることが良く、更に、表面に凹凸を有する多孔質粒子を用いることが良い。多孔質粒子は、光を吸収又は分散させることにより一定方向の光を弱めて、艶消し感を増大させる効果がある。したがって、艶消し剤7として多孔質粒子を用いることにより、表面に凹凸のない艶消し剤を用いるよりも少量で同等の艶消し感が得られ、艶消し剤7の含有量を減らすことでトップコート層6の耐剥離性を高めることができる。
艶消し剤7の好ましい平均粒径は2〜8μmであり、更に、艶消し剤7の好ましいD90は12μm以下である。艶消し剤7の平均粒径を2〜8μmの範囲に設定することにより、皮革調の質感を確実に醸し出すことができるし、更に、艶消し剤7をトップコート層6に含有させることによるトップコート層6の耐剥離性の低下を確実に防止することができる。
艶消し剤7のトップコート層用塗料への含有率は、トップコート層用塗料における艶消し剤7を除く樹脂成分に対して2〜5質量%の範囲に設定されることが望ましい。こうすることにより、トップコート層6の表面に光沢が出ることで皮革調の質感が低下するのを確実に防止できるし、更に、トップコート層6が白濁することで印刷図柄が見え難くなるのを確実に防止できる。
金属缶1の外面の皮革調領域10において、インキ層5のインキは、上述したように金属印刷用のものである。インキの顔料(色料)としては、各種の有機顔料や無機顔料が用いられる。さらに、このインキには、墨色顔料としてカーボン顔料が含有されていても良い。この場合、カーボン顔料として、粒子状のカーボン顔料の表面がその全面に亘って絶縁処理されたものを用いるのが望ましい。その理由は次のとおりである。
すなわち、金属缶1はその内容物を冷却するために冷水中に浸漬されることがある。このとき、表面が絶縁処理されていないカーボン顔料がインキに含有されていると、カーボン顔料と水との間に電位差が発生する。ここで、上述したように、トップコート層6における凹部形成部分6aの厚さは局部的に薄くなっている(図2参照)。そのため、カーボン顔料と水との間の電位差によって、トップコート層6における局部的に薄肉の凹部形成部分6aから金属缶1が腐食し、ひいてはその内容物が漏出する問題が生じる。この問題を解決するため、カーボン顔料として、表面が絶縁処理されたものを用いることが望ましい。これにより、トップコート層6に凹部8が形成されていても、金属缶1の腐食を防止することができ、即ち耐食性を向上させることができる。
表面が絶縁処理されたカーボン顔料としては、ポリマー(エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ビニル樹脂、ロジンエステル)、ワックス(天然系、石油系、合成系)、有機顔料、染料(塩基性、油溶)等でカーボン顔料の表面が絶縁処理されたものが用いられる。
インキ層5のインキのビヒクルは、熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等の樹脂を主成分とするものである。熱硬化性樹脂としては、アルキッド型又はポリエステル型の樹脂等が用いられる。紫外線硬化性樹脂としては、紫外線ラジカル重合型、紫外線カチオン重合型の樹脂等が用いられる。さらに、インキには添加剤が含有されていても良い。添加剤としては、艶消し剤、ワックス類(天然系、石油系、合成系)、乾燥剤、分散剤、湿潤剤、架橋剤、ゲル化剤、増粘剤、皮張り防止剤、安定剤、消泡剤、光重合開始剤等が用いられる。
ここで、インキ層5の厚さT1は、トップコート層6の厚さ(詳述すると、トップコート層6における凹部8及び隆起部8aが形成されていない部分の厚さ)T2に対して5%以上に設定されることが望ましく、特に20%以上に設定されることが良い。さらに、トップコート層6の厚さT2は、3〜10μmの範囲に設定されるのが望ましい。
さらに、インキ層5のインキとしては、トップコート層用塗料をはじくはじきインキを用いる必要がある。このインキの表面張力は、トップコート層用塗料の表面張力よりも5mN/m以上低く設定されていることが望ましい。換言すると、インキの表面張力がトップコート層用塗料の表面張力よりも低く、且つ、インキとトップコート層用塗料との間の表面張力差が5mN/m以上であることが望ましい。
はじきインキとしては、例えば、通常のインキにシリコーンを添加することにより表面張力を低下させ、トップコート層用塗料をはじくようにしたものが用いられる。
このようなはじきインキを用いて、トップコート層6の厚さT2に対して5%以上(特に望ましくは20%以上)の厚さT1のインキ層5を形成することにより、トップコート層用塗料を確実にはじくことができ、もってトップコート層6の表面に、皮革調の質感を醸し出し得る多数のクレーター状の凹部8を確実に形成することができる。
なお本発明では、トップコート層6の厚さT2に対するインキ層5の厚さT1の割合(即ちT1/T2の値の百分率)の上限は特に限定されるものではなく、例えば70%以下である。また、インキとトップコート層用塗料との間の表面張力差の上限は特に限定されるものではなく、例えば10mN/m以下である。
また、金属缶1の外面の皮革調領域10は、金属缶1の缶胴2の下端から8mm上側に離れた位置に形成されることが望ましい。こうすることにより、塗膜4(即ち、インキ層5及びトップコート層6)の耐剥離性を高めることができる。ただし本発明では、金属缶1における皮革調領域10の形成位置は上記の位置であることに限定されるものではなく、金属缶1の外面に施すデザインに応じて様々に設定されるものである。例えば、皮革調領域10は缶胴2やネック部2aに形成されていても良い。また同じく、マット調領域11は缶胴2やネック部2aに形成されていても良い。なお、トップコート層6は、皮革調領域10やマット調領域11の有無に拘わらず、ネック部2aを含む缶胴2の外面全体に亘って形成されるのが通常である。
一方、図3に示すように、金属缶1の外面のマット調領域11において、金属缶1の缶基体3上には金属印刷用第2インキで所定の図柄が印刷されることにより第2インキ層9が形成されるとともに、この第2インキ層9上に上記トップコート層6が塗膜4の最外層として形成されている。第2インキ層9の厚さは、上記インキ層5の厚さT1と略等しく設定されている。また、第2インキ層9は、缶基体3上における上記インキ層5と同一平面上に上記インキ層5と重ならないで形成されている。
第2インキ層9の第2インキとしては、トップコート層用塗料をはじかないインキが用いられている。具体的には、第2インキとして、表面張力がトップコート層用塗料の表面張力と等しいか又はそれよりも高いインキが用いられている。そのため、トップコート層6の表面にはクレーター状の凹部は形成されておらず、トップコート層6の質感はマット調になっている。
次に、本実施形態の金属缶1の缶基体3への塗装方法について以下に説明する。
まず、図1Aに示すように、上端が開口した有底筒状の缶胴2を有する金属缶1を準備する。そして、缶胴2の缶基体3上における皮革調の塗装を施したい領域に、インキで所定の図柄を印刷することによりインキ層5を形成する[インキ層形成工程]。インキとしては、上述したはじきインキを用いる。また、インキ層5の厚さT1は、上述したようにトップコート層6の厚さT2に対して5%以上(特に望ましくは20%以上)に設定されるのが望ましい。
このインキ層形成工程と同時に、缶基体3上におけるインキ層形成領域とは異なる領域に、第2インキで所定の図柄を印刷することにより第2インキ層9を形成する[第2インキ層形成工程]。第2インキとしては、上述したようにトップコート層用塗料をはじかないインキを用いる。
次いで、インキ及び第2インキが乾燥しないうちに迅速にインキ層5及び第2インキ層9を含む缶胴2外面全体にトップコート層用塗料を塗布することにより、インキ層5及び第2インキ層9上にトップコート層6を形成する[トップコート層形成工程]。
トップコート層用塗料としては、艶消し剤7を含有した上記塗料が用いられる。艶消し剤7のトップコート層用塗料への含有率は、上述したように、トップコート層用塗料における艶消し剤7を除く樹脂成分に対して2〜5質量%の範囲に設定されるのが望ましい。また、トップコート層6の厚さT2は、上述したように3〜10μmの範囲に設定されるのが望ましい。また、インキに墨色顔料としてカーボン顔料を用いる場合には、上述したように、カーボン顔料として、表面が絶縁処理されているものを用いることが望ましい。
このトップコート層形成工程において、インキ層5上にトップコート層用塗料を塗布することにより、トップコート層用塗料がインキによってはじかれ、その結果、トップコート層6の表面に皮革調の質感を醸し出し得る多数のクレーター状の凹部8がランダムに形成される。一方、第2インキ層9上にトップコート層用塗料が塗布されても、トップコート層用塗料ははじかれない。したがって、第2インキ層9上のトップコート層6の表面には、クレーター状の凹部は形成されず、その結果、マット調の質感が醸し出される。
次いで、インキ層5、第2インキ層9及びトップコート層6を一括して焼付け処理する。
以上の工程を経ることにより、金属缶1の缶胴2の外面に、皮革調の塗装が施された領域10(皮革調領域)と、マット調の塗装が施された領域11(マット調領域)とが互いに塗り分けられた状態に形成される。その後、缶胴2の内面を塗装したのち、二次焼付け処理が行われる。次いで、缶胴2の上端開口部にネック加工及びフランジ加工を施すことにより缶胴2が最終形状となり、この缶胴2に内容物が充填され蓋が巻締められることにより、図1Bに示した金属缶1が得られる。
而して、本実施形態の金属缶1によれば、インキ層5のインキがトップコート層用塗料をはじくはじきインキであることにより、トップコート層6の表面に多数のクレーター状の凹部8がランダムに形成される。さらに、艶消し剤7を含有する塗料でトップコート層6を形成することにより、トップコート層6の表面に艶消し感が付与される。このように、トップコート層6の表面に、多数のクレーター状の凹部8がランダムに形成され更に艶消し感が付与されることにより、金属缶1の外面を目視にて皮革調に形成することができ、即ち、金属缶1の外面に皮革調の塗装を施すことができる。これにより、他の金属缶に対する差別化を図ることができる。
さらに、凹部8の形状がクレーター状であるため、金属缶1の外面が水滴で濡れている場合であっても、金属缶1の外面が滑り難く、金属缶1を手で持ち易いという利点がある。
以上で本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に示したものであることに限定されるものではなく、様々に変更可能である。
例えば、本発明では、缶基体3とインキ層5との間、及び/又は、缶基体3と第2インキ層9との間に、ベースコート層(図示せず)が配置されていても良い。
また、本発明に係る金属缶は、アルミニウム缶であることに限定されるものではなく、その他に例えばスチール缶であっても良い。
また、本発明に係る金属缶は、いわゆる着脱自在なキャップを有するボトル缶であっても良い。
次に、本発明の具体的な実施例及び比較例を以下に示す。
(1)皮革調の質感に関する試験
図1Aに示した金属缶1としてのアルミニウム缶の缶胴2(外径:66mm、肉厚最薄部:0.11mm、長さ:115mm)の外面に、塗装条件を様々に変更して塗装を施した。この塗装の際に適用した塗装条件、すなわちインキ層5及びトップコート層6の形成条件を表1に示す。次いで、ガスオーブンでインキ層5及びトップコート層6を190℃×60sの条件で焼付け処理した。次いで、缶胴2の内面を塗装したのち、200℃×60sの条件で二次焼付け処理を行った。
次いで、金属缶1の外面の塗膜4における60°鏡面光沢度、表面粗さRy、凹部8の平均直径、凹部8の数及び凹部8の面積率をそれぞれ測定し、各測定項目における皮革調の質感を評価した。さらに、総合的に皮革調の質感を評価した。その結果を表1に示す。
Figure 0005164629
表1中の「トップコートの種類」欄において、「マット塗料」とは、艶消し剤7を含有するトップコート層用塗料を意味している。「通常塗料」とは、艶消し剤7を含有していないトップコート層用塗料を意味している。
「インキの種類」欄において、「はじきインキ」とは、インキがトップコート層用塗料をはじくはじきインキであることを意味している。「発泡インキ」とは、発泡剤を含有するインキを意味している。「通常インキ」とは、インキがはじきインキではなく、更に発泡剤を含有していないインキを意味している。
「インキ層の厚さの割合」とは、トップコート層6の厚さT2に対するインキ層5の厚さT1の割合(即ち、T1/T2の値の百分率)を意味している。
「表面張力差」とは、トップコート層用塗料の表面張力からインキの表面張力を減算した値である。なお、各表面張力は20℃での値である。
「光沢度」とは、60°鏡面光沢度を意味し、その測定は、Gardner社製の光沢計「micro TRI gloss」を用いてJIS Z8741に準拠して行った。
「凹部の数」とは、トップコート層6の表面積1cm2当たりの凹部8の数を意味している。
「凹部の面積率」とは、トップコート層6の表面積に対して凹部8の占める割合を意味しており、即ち、トップコート層6の単位表面積をS、そこに存在する凹部8の全面積をAとするとき、凹部の面積率R(単位:%)をA/Sで算出した。
表面粗さRyの測定は、(株)ミツトヨ製の表面粗さ測定器「SJ-301」を用いてJIS B0601−1994に準拠して0.8mm×5区間(4.0mm)で行った。なお、もしトップコート層6の表面にクレーター状の凹部8が形成されていた場合には、測定範囲内に少なくとも1個の凹部8を含むようにして測定を行った。
各「評価」欄に記された符号の意味は次のとおりである。
○:皮革調の質感を得るための条件を満たしていた。
×:皮革調の質感を得るための条件を満たしていなかった。
「総合評価」欄に記された符号の意味は次のとおりである。
○:皮革調の質感が得られた。
×:皮革調の質感が得られなかった。
以下に、表1に示した実施例1〜4並びに比較例1〜8におけるインキ層5及びトップコート層6の形成条件と、皮革調の質感についての総合評価とを示す。なお、「%」とは、質量%を意味している。
<実施例1>
[トップコート層](マット塗料)
樹脂成分:ポリエステル30%、アクリル13%、アミノ55%、エポキシ2%
ワックス:石油系0.3%、天然系1%、合成系0.2%(樹脂成分に対し)
シリコーンオイル(混合):0.15%(樹脂成分に対し)
艶消し剤:多孔質シリカ粒子(平均粒径4μm)5%(樹脂成分に対し)
表面張力:33mN/m
厚さ:5μm
[インキ層](はじきインキ)
主樹脂:アルキッド樹脂
顔料:TiO2
表面張力:28mN/m
厚さ:2μm
[総合評価]
皮革調の質感に対する条件を全て満足しており、皮革調の質感が得られた。
<実施例2>
実施例1に対し、次の点を変更した。
トップコート層の厚さ:3μm
インキ層の厚さ:2μm
[総合評価]
皮革調の質感に対する条件を全て満足しており、皮革調の質感が得られた。
<実施例3>
実施例1に対し、次の点を変更した。
トップコート層の厚さ:10μm
インキ層の厚さ:2μm
[総合評価]
皮革調の質感に対する条件を全て満足しており、皮革調の質感が得られた。
<実施例4>
インキの墨色顔料として表面が絶縁処理されたカーボン顔料を用いたことを除いて、実施例1と同じ条件でインキ層5及びトップコート層6を形成した。
なお、カーボン顔料の表面の絶縁処理の方法は次のとおりである。
ポリエチレンワックスを100°で加熱溶融させ、これに同質量のカーボン顔料を添加して、分散混合機で15分間混合したのち、放冷して再固化させた。これによりカーボン顔料の表面を絶縁処理した。
[総合評価]
皮革調の質感に対する条件を全て満足しており、皮革調の質感が得られた。
<比較例1>
実施例1に対し、次の点を変更した。
トップコート層の厚さ:2μm
インキ層の厚さ:2μm
[総合評価]
トップコート層6の表面にクレーター状の凹部8が形成されず、そのため皮革調の質感が得られなかった。
<比較例2>
実施例1に対し、次の点を変更した。
トップコート層の厚さ:12μm
インキ層の厚さ:2μm
[総合評価]
トップコート層6の表面にクレーター状の凹部8は形成されたが、凹部8の平均直径が大きすぎ、更に、トップコート層6の表面積1cm2当たりの凹部8の数も少ないため、皮革調の質感が得られなかった。
<比較例3>
実施例1に対し、次の点を変更した。
トップコート層の厚さ:5μm
インキ層の厚さ:0.2μm
[総合評価]
トップコート層6の表面にクレーター状の凹部8が形成されず、そのため皮革調の質感が得られなかった。
<比較例4>
実施例1に対し、次の点を変更した。
トップコート層の厚さ:5μm
インキ層の厚さ:2μm
インキ層の表面張力:30mN/m
[総合評価]
トップコート層6の表面にクレーター状の凹部8が形成されず、そのため皮革調の質感が得られなかった。
<比較例5>
[トップコート層](通常塗料)
樹脂成分:ポリエステル30%、アクリル13%、アミノ55%、エポキシ2%
ワックス:石油系0.3%、天然系1%、合成系0.2%(樹脂成分に対し)
シリコーンオイル(混合):0.15%(樹脂成分に対し)
艶消し剤:なし
表面張力:33mN/m
厚さ:5μm
[インキ層](発泡インキ)
主樹脂:アルキッド樹脂
顔料:TiO2
発泡剤:平均粒径10μm(焼付け処理前)、含有率4.5%(固形分に対し)
表面張力:31mN/m
厚さ:2μm
なお、発泡剤としては発泡性マイクロカプセルを用いた。この発泡性マイクロカプセルは、樹脂からなる球形の外殻の中に低沸点の炭化水素(ブタン、プロパン等)を封入したものであり、焼付け処理時の加熱によって粒径が数倍に膨張するものである。
[総合評価]
トップコート層6の表面にクレーター状の凹部8は形成されたが、凹部8の平均直径が小さすぎるために凹部8を目視で確認することができず、更に、光沢度が高すぎるため、皮革調の質感が得られなかった。
<比較例6>
[トップコート層](通常塗料)
樹脂成分:ポリエステル30%、アクリル13%、アミノ55%、エポキシ2%
ワックス:石油系0.3%、天然系1%、合成系0.2%(樹脂成分に対し)
シリコーンオイル(混合):0.15%(樹脂成分に対し)
艶消し剤:なし
表面張力:33mN/m
厚さ:5μm
[インキ層](はじきインキ)
主樹脂:アルキッド樹脂
顔料:TiO2
表面張力:28mN/m
厚さ:2μm
[総合評価]
トップコート層6の表面にクレーター状の凹部8は形成されたが、光沢度が高すぎるため、皮革調の質感が得られなかった。
<比較例7>
[トップコート層](マット塗料)
樹脂成分:ポリエステル30%、アクリル13%、アミノ55%、エポキシ2%
ワックス:石油系0.3%、天然系1%、合成系0.2%(樹脂成分に対し)
シリコーンオイル(混合):0.15%(樹脂成分に対し)
艶消し剤:多孔質シリカ粒子5%(樹脂成分に対し)
表面張力:33mN/m
厚さ:5μm
[インキ層](通常インキ)
主樹脂:アルキッド樹脂
顔料:TiO2
表面張力:31mN/m
厚さ:2μm
[総合評価]
トップコート層6の表面にクレーター状の凹部8が形成されず、そのため皮革調の質感が得られなかった。
<比較例8>
[トップコート層](通常塗料)
樹脂成分:ポリエステル30%、アクリル13%、アミノ55%、エポキシ2%
ワックス:石油系0.3%、天然系1%、合成系0.2%(樹脂成分に対し)
シリコーンオイル(混合):0.15%(樹脂成分に対し)
艶消し剤:なし
表面張力:33mN/m
厚さ:5μm
[インキ層](通常インキ)
主樹脂:アルキッド樹脂
顔料:TiO2
表面張力:31mN/m
厚さ:2μm
[総合評価]
トップコート層6の表面にクレーター状の凹部8が形成されず、更に、光沢度が高すぎるため、皮革調の質感が得られなかった。
(2)金属缶の外面の滑り難さに関する試験
実施例1の金属缶と比較例5の金属缶とについて、それぞれ金属缶の外面が水で濡れている状態での滑り難さを評価した。
その結果、実施例1の金属缶は、その表面粗さRyが比較例5の金属缶よりも小さいにも拘わらず、比較例5の金属缶の外面よりも実施例1の金属缶の外面の方が滑り難く、そのため実施例1の金属缶の方が手で持ち易かった。
(3)耐食性に関する試験
<実施例5>
実施例1と同じ条件でインキ層5及びトップコート層6を形成した。この際、インキの墨色顔料として表面が絶縁処理されていないカーボン顔料を用いた。
<実施例6>
実施例4と同じ条件でインキ層5及びトップコート層6を形成した。この際、インキの墨色顔料として表面が絶縁処理されたカーボン顔料を用いた。
<比較例9>
比較例8と同じ条件でインキ層5及びトップコート層6を形成した。この際、インキの墨色顔料として表面が絶縁処理されていないカーボン顔料を用いた。
[耐食試験]
実施例5、6及び比較例9の金属缶をそれぞれ1%食塩水(温度:40℃)中に浸漬して4日間放置した。その後、ニチバン株式会社製粘着テープ「セロテープ(登録商標)」を缶胴に貼付し、剥がして、缶胴の外面塗膜の剥離状態を目視で観察して腐食の有無を調べた。その結果を表2に示す。
Figure 0005164629
表2中の「皮革調の質感」欄に記された符号の意味は次のとおりである。
○:皮革調の質感が得られた。
×:皮革調の質感が得られなかった。
「耐食性」欄に記された符号の意味は次のとおりである。
○:腐食が発生していなかったため、剥離なし。
×:腐食が発生したため、剥離あり。
表2に示すように、比較例9の金属缶では、耐食性に優れている反面、皮革調の質感を得ることができかなった。実施例5の金属缶では、皮革調の質感を得ることができたが、耐食性に乏しかった。これに対して、実施例6の金属缶では、皮革調の質感を得ることができるし、更に、耐食性に優れていた。したがって、インキの墨色顔料として表面が絶縁処理されたカーボン顔料を用いることにより、外面に皮革調の塗装が施されている金属缶であっても、当該金属缶の耐食性を向上させ得ることを確認し得た。
本発明は、外面に皮革調の塗装が施された皮革調外面を有する金属缶及びその製造方法に利用可能である。
図1Aは、本発明の一実施形態に係る金属缶をトップコート層形成工程終了後の状態で示す正面図である。 図1Bは、同金属缶の完成品の正面図である。 図2は、同金属缶の外面の皮革調領域の拡大図及びX−X線断面図である。 図3は、同金属缶の外面のマット調領域における図2に対応する断面図である。
符号の説明
1:金属缶
2:缶胴
3:缶基体
4:塗膜
5:インキ層
6:トップコート層
7:艶消し剤
8:クレーター状の凹部
9:第2インキ層
10:皮革調領域
11:マット調領域

Claims (10)

  1. 金属製缶基体上にインキで印刷されたインキ層が形成されるとともに、前記インキ層上に艶消し剤を含有する塗料でトップコート層が形成され、
    前記インキは、前記トップコート層用塗料をはじくはじきインキとして、表面張力が前記トップコート層用塗料の表面張力よりも5mN/m以上低く設定されたインキであり、、且つ、前記トップコート層の厚さが3〜10μmの範囲であり、且つ、前記インキ層の厚さが前記トップコート層の厚さに対して5%以上に設定され、且つ、前記トップコート層の表面に、前記トップコート層用塗料が前記インキではじかれることにより多数のクレーター状の凹部がランダムに形成され、且つ、前記凹部の平均直径が0.1〜2.0mmの範囲に設定され、且つ、前記トップコート層の60°鏡面光沢度が35以下に設定されており、これにより、外面に皮革調の塗装が施されていることを特徴とする、皮革調外面を有する金属缶。
  2. 前記トップコート層の表面積に対して前記凹部の占める割合が10%以上に設定されるとともに、
    前記トップコート層の表面積1cm当たりの前記凹部の数が10個以上に設定されている請求項記載の皮革調外面を有する金属缶。
  3. 前記トップコート層の表面粗さRyが2μm以上に設定されている請求項1又は2記載の皮革調外面を有する金属缶。
  4. 前記艶消し剤は、粒子状であり、
    前記艶消し剤の前記トップコート層用塗料への含有率は、前記トップコート層用塗料における艶消し剤を除く樹脂成分に対して2〜5質量%の範囲に設定されている請求項1〜のいずれかに記載の皮革調外面を有する金属缶。
  5. 前記インキにはカーボン顔料が含有されるとともに、前記カーボン顔料の表面が絶縁処理されている請求項1〜のいずれかに記載の皮革調外面を有する金属缶。
  6. 前記缶基体上における前記インキ層形成領域とは異なる領域に、第2インキで印刷された第2インキ層が形成されるとともに、前記トップコート層が前記インキ層及び前記第2インキ層上に形成されており、
    前記第2インキは、前記トップコート層用塗料をはじかないインキとして、表面張力が前記トップコート層用塗料の表面張力と等しいか又はそれよりも高く設定されたインキである請求項1〜のいずれかに記載の皮革調外面を有する金属缶。
  7. 金属製缶基体上にインキで印刷することによりインキ層を形成するインキ層形成工程と、
    前記インキ層上に艶消し剤を含有する塗料でトップコート層を形成するトップコート層形成工程と、を含み、
    前記インキは、前記トップコート層用塗料をはじくはじきインキとして、表面張力が前記トップコート層用塗料の表面張力よりも5mN/m以上低く設定されたインキを用い、前記トップコート層の厚さが3〜10μmの範囲になるように、且つ、前記インキ層の厚さが前記トップコート層の厚さに対して5%以上になるように、且つ、前記トップコート層の表面に、前記トップコート層用塗料が前記インキではじかれることにより多数のクレーター状の凹部がランダムに形成されるように、且つ、前記凹部の平均直径が0.1〜2.0mmの範囲になるように、且つ、前記トップコート層の60°鏡面光沢度が35以下になるように、前記インキ層形成工程及び前記トップコート層形成工程を行うことにより、外面に皮革調の塗装を施すことを特徴とする、皮革調外面を有する金属缶の製造方法。
  8. 前記艶消し剤は、粒子状であり、
    前記艶消し剤の前記トップコート層用塗料への含有率は、前記トップコート層用塗料における艶消し剤を除く樹脂成分に対して2〜5質量%の範囲に設定されている請求項記載の皮革調外面を有する金属缶の製造方法。
  9. 前記インキにはカーボン顔料が含有されるとともに、前記カーボン顔料の表面が絶縁処理されている請求項7又は8記載の皮革調外面を有する金属缶の製造方法。
  10. 前記缶基体上における前記インキ層形成領域とは異なる領域に、第2インキで印刷することにより第2インキ層を形成する第2インキ層形成工程を含み、
    前記トップコート層形成工程では、前記トップコート層を前記インキ層及び前記第2インキ層上に形成し、
    前記第2インキは前記トップコート層用塗料をはじかないインキとして、表面張力が前記トップコート層用塗料の表面張力と等しいか又はそれよりも高く設定されたインキを用いる請求項7〜9のいずれかに記載の皮革調外面を有する金属缶の製造方法。
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