JP5164079B2 - 低誘電率絶縁膜の形成方法 - Google Patents

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本発明は、低誘電率絶縁膜の形成方法に係り、特に均質な膜質の低誘電率絶縁膜を高成膜速度で形成することを可能とする低誘電率絶縁膜の形成方法に関する。
半導体装置の高集積密度化と高速動作化に伴い、配線間容量を低減することが求められている。この配線間容量を低減するため、層間絶縁膜の誘電率を低減する技術が必要とされ、low−k膜と呼ばれる比誘電率が3.0以下の絶縁膜についての研究が行われている。
従来、low−k膜は、プラズマCVD法により製造されてきた。プラズマCVD法によると、チャンバー内のステージ上に基板を載置し、例えばCH基を含む原料ガスをチャンバー内に導入し、この原料ガスをプラズマ化して、重合反応によって基板上にlow−k膜を堆積している(例えば非特許文献1,2,3参照)
しかし、従来のプラズマCVD法によるlow−k膜の製造方法の場合、プラズマが発する高エネルギーの電子や紫外光(UV光)あるいはフォトンにより、原料ガスを構成する前駆体分子が必要以上に分解されてしまう。例えば、前駆体分子中のSi−CH結合からCH基が、電子やUV光あるいはフォトンの過剰なエネルギーにより過剰に離脱したり、基板上に堆積したlow−k膜から有機基が離脱したりし、緻密化が進行する。このように、プラズマ化によりガスの解離が促進された場合、所望の分子構造を有するCVD膜を形成することが出来ない。このため、所望の誘電率(k<2.2以下)や高強度(ヤング率≧4GPa)を有する膜を形成することが困難であった。
これに対し、原料ガス分子の構造を破壊することなく、その構造を堆積膜に反映させることが出来る手法として、基板表面に吸着した原料ガス分子に中性粒子ビ−ムを照射して、原料ガス分子を重合させ、基板上に絶縁膜を成膜するNBE−CVD法が提案されている。
NBE−CVD法では、従来のプラズマCVD法と異なり、イオンやUV光が原料ガス及び堆積膜に照射されないので、極めて低エネルギーの照射を実現することができ、原料ガスの分子構造を破壊せずに膜を合成することが可能である。特に、メトキシ基を有するSi−OCH系ガスでは、OとCH基の部分の結合エネルギーが最も弱く、この部分を選択的に切断することにより、SiOCH系Low−k膜を合成することが可能である。この手法によると、照射エネルギーが比較的低いので、Si−CH結合は切れにくく、膜中に高濃度のCHを含有することができる。
しかし、このNBE−CVD法は、原料ガス分子の基板表面への吸着現象を利用するため、成膜速度が遅いことが欠点の一つとなっている。この場合、原料ガスの分子量を大きくすることにより、基板表面への吸着確率が向上するため、成膜速度を改善することが出来る。しかし、中性粒子ビ−ムを連続照射すると、成膜の過程で基板温度が上昇し、原料ガス分子の吸着効率が低下してしまい、均質な膜が得られないという問題があった。
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされ、均質な膜質の低誘電率絶縁膜を高成膜速度で形成することを可能とする低誘電率絶縁膜の形成方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、原料ガス雰囲気に置かれた被成膜基板に中性粒子ビームを照射し、前記被成膜基板表面に吸着した原料ガスを解離して重合させ、低誘電率膜を成膜する工程を具備する低誘電率膜の形成方法において、前記被成膜基板への中性粒子ビームの照射を、1m秒未満の周期で間歇的に行うことを特徴とする低誘電率膜の形成方法を提供する。
かかる低誘電率膜の形成方法において、前記中性粒子ビームの照射時間Tonと照射間隔Toffを、Ton≦Toffとすることが出来る。また、Ton≧50μ秒、Toff≧100μ秒とすることが出来る。
前記原料ガスとして、シロキサン結合を有する化合物を用いることが出来る。このシロキサン結合を有する化合物は、2量体以上のメチルシロキサンであることが望ましい。この2量体以上のメチルシロキサンとしては、ジメトキシトリメチルジシロキサンを挙げることが出来る。
また、成膜中、前記被成膜基板を、0℃以下に冷却することが出来る。
本発明によると、均質な膜質の、2以下の誘電率及び5GPa以上のヤング率を有する低誘電率絶縁膜を高成膜速度で形成することが可能である。
本発明の第1の実施形態に係る絶縁膜形成方法におけるNBE−CVDのNB照射シーケンスを示す図。 本発明の第2の実施形態に係る絶縁膜形成方法におけるNBE−CVDのNB照射シーケンスを示す図。 本発明の第3の実施形態に係る絶縁膜形成方法におけるNBE−CVDのNB照射シーケンスを示す図。 本発明の一実施形態に係る低誘電率絶縁膜を構成する重合体の基本的な分子構造の第3の例を示す化学式。 DMOTMDSの分子構造、メチル基の離脱、及びジメチルシロキサン2量体の直鎖状の連結を示す化学式。 本発明の一実施形態に係る低誘電率絶縁膜の成膜のプロセスの概略を示す図。 パルスオフ時間を変化させた場合の絶縁膜の成膜速度を示す特性図。 パルスオフ時間を変化させて得た絶縁膜のSiO構造組成の変化を示す特性図。 パルスオフ時間を変化させて得た絶縁膜のk値、ヤング率、Si-(CH3)x及びSi-Oの相対密度の変化を示す特性図。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
本発明の一実施形態に係る低誘電率絶縁膜の形成方法は、中性粒子ビームを用いたCVD(以下、NBE-CVDと呼ぶ)法であって、原料ガスが供給された被成膜基板表面に、中性粒子ビームを間歇的に(パルス状に)1m秒未満の周期で照射することを特徴とする。
即ち、本発明者らは、NBE-CVD法による低誘電率絶縁膜の成膜について鋭意研究した結果、次のような知見を得た。即ち、シロキサン結合を有する化合物を原料ガスとして用いて、中性粒子ビームを連続的に照射するNBE-CVD法により、基板上に成膜したところ、基板温度が上昇し、原料ガスの吸着率が低下してしまい、成膜速度の低下や膜質の劣化が生じてしまう。原料ガスの重合反応は中性粒子ビームの照射による生ずるので、中性粒子ビームを連続的に照射することにより、成膜速度は上昇するかに思われるが、基板表面に吸着ガス分子がなければ重合反応は生じないため、成膜速度は低下してしまうのである。
また、成膜された絶縁膜は、成膜後のアニールによってHOやCH基を有する化合物などのガスを発生させてしまう。なお、2回目のアニールによってはこのようなガスが発生しないことから、ガスの発生は、絶縁膜中に残留する分子によるものと考えられる。
これに対し、本発明者らは、中性粒子ビームを1m秒未満の周期で間歇的に照射することにより、これらの問題をすべて解決し得ることを見出した。即ち、表面に原料ガスが供給された基板に中性粒子ビームを1m秒未満の周期で間歇的に照射する場合には、基板の温度上昇が抑制され、それによって基板表面への原料ガスの吸着量が増加することにより、成膜速度や膜質が向上し、また成膜後のアニールによるガスの発生も抑制される。
以上のような現象を図1を参照して説明する。
図1は、原料ガスを基板表面に供給しつつ、中性粒子ビーム(NB)を間歇的に照射して、基板上に成膜するNBE−CVDのNB照射シーケンスを示す。図1に示すように、基板上に原料ガスを一定の流量で供給し、中性粒子ビーム(NB)の照射をパルス状に、所定の間隔で間歇的に行うものとする。照射時間をTon、照射間隔をToffとすると、照射時間Tonにおいて、NBが一定の照射量で照射されると、基板表面に吸着された原料ガスの重合反応が進行し、成膜が行われる一方、基板温度が上昇するため、基板表面への原料ガスの吸着量は、次第に減少し、照射時間Tonの終点では最小となる。
次いで、照射間隔Toffでは、中性粒子ビームの照射が停止されているため、基板温度の上昇が抑えられ、また、原料ガスは供給されているため、基板表面への原料ガス分子の吸着量が増加し、Toffの途中で一定値となる。これらの現象が交互に生ずることにより、照射時間Tonでは基板表面には常に十分な量の原料ガス分子が吸着されているため、照射エネルギーを効率よく成膜に利用することができ、成膜速度及び膜質を向上させることが可能となる。
この場合、間歇的照射の周期(Ton+Toff)を1m秒未満、(通常は、数10μ秒〜サブμ秒)とする必要がある。間歇的照射の周期が1m秒以上であると、成膜が困難となる。また、Ton≦Toffであることが望ましい。Ton>Toffの場合には、基板温度が上昇し易くなり、成膜速度が低下する傾向となる。また、Ton≧50μ秒、Toff≧100μ秒であることが望ましい。Tonが50μ秒未満、Toffが100μ秒未満の場合には、やはり成膜速度が低下する傾向となる。
また、基板温度は低い方が原料ガスの基板への吸着効率を向上できるので、中性粒子ビームの間歇的照射に際し、基板を0℃以下に冷却することが望ましい。また、NBの照射を間歇的に行うだけでなく、原料ガスの供給も間歇的に行ってもよい。
なお、基板に照射されるNBのエネルギーは、基板表面でのエネルギー中心値が、好ましくは10eV以下、より好ましくは6eV以下となるようなものであるのがよい。後述するように、原料ガス分子の結合を切り離したい部分の結合エネルギーに合せて適宜選択することが望ましい。
以上説明した実施形態では、1種類の原料ガスを用いたが、2種類のガスを用い、成膜の途中で切り替えることも可能である。このように、原料ガスの種類を切り替える実施形態について、図2のNB照射シーケンスを参照して説明する。
図2において、最初に原料ガスAを供給して、図1に示す実施形態と同様にしてNBを間歇的に照射し、原料ガスAについての成膜を行う。次いで、原料ガスAの供給を停止し、原料ガスBを供給して、図1に示す実施形態と同様にしてNBを間歇的に照射し、原料ガスBについての成膜を行う。このようにして、2種類の膜の積層構造の絶縁膜を形成することが出来る。
図2に示す実施形態では、原料ガスAを供給する場合と原料ガスBを供給する場合のいずれにおいてもNB照射の周期を一定としたが、原料ガスAを供給する場合と原料ガスBを供給する場合とで、NB照射の周期を変えることも可能である。そのような実施形態について、図3のNB照射シーケンスを参照して説明する。
図3において、最初に原料ガスAを供給して、図2に示す実施形態と同様にしてNBを周期1で間歇的に照射し、原料ガスAについての成膜を行う。次いで、原料ガスAの供給を停止し、原料ガスBを供給して、周期1よりも長い周期2でNBを間歇的に照射し、原料ガスBについての成膜を行う。このようにして、膜質の異なる2種類の膜の積層構造の絶縁膜を形成することが出来る。
本発明の絶縁膜の形成方法では、原料ガスとして、シロキサン結合を有する化合物を用いることが出来る。シロキサン結合を有する化合物としては、例えば、ジメトキシトリメチルジシロキサン(DMOTMDS)、ジメチルジエトキシシラン(DMDEOS)、ジメチルジメトキシシラン(DMDMOS)を挙げることが出来る。また、これら以外にも、MTMOS(メチルトリメトキシシラン)、トリメチルシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、ビストリメトキシシリルエタン、ビスメチルジメトキシシリルエタン、ビスジメチルメトキシシリルエタン、ビストリエトキシシリルエタンなどを用いることも可能である。
以上の化合物のなかでは、2量体以上のメチルシロキサン、例えばジメトキシトリメチルジシロキサン(DMOTMDS)を用いることが望ましい。
NBE-CVD法によると、成膜されるべき基板を、例えばDMOTMDS雰囲気中に置くと、或いは成膜されるべき基板表面にDMOTMDSを供給すると、基板表面にDMOTMDSの分子が吸着し、この吸着面に中性粒子ビームを照射すると、DMOTMDSのメトキシ基部分が選択的に切断され、トリメチルジシロキサンからなる基本分子が優先的に形成され、これがSiO構造を有するバインダーを介して直鎖状に連結した重合体膜が得られる。この場合、中性粒子ビームの基板上でのエネルギーが、メトキシ基の結合エネルギー程度になるよう、加速エネルギーを調整する必要がある。
なお、中性粒子ビームの照射が連続的に行われると、基板温度が上昇してDMOTMDSの吸着量が減少するだけでなく、吸着したDMOTMDSが中性粒子ビームにより弾き飛ばされてしまう現象が生ずる。これに対し、中性粒子ビーム間歇的に照射することにより、基板温度の上昇を抑制するとともに、DMOTMDSの飛散が防止され、所定の吸着時間の確保により原料ガス分子の吸着確率が増加し、2SiO(CH直鎖構造をより効率的に膜中に取り込むことが出来る。その結果、2未満の低い誘電率kと5GPa以上の高いヤング率を有する低誘電率絶縁膜が形成される。このようにして、低誘電率と強度の両立を図ることが出来る。また、膜質が厚さ方向に均質化されるとともに、膜中に残留する分子の数が減少し、疎水性高い絶縁膜を得ることが出来る。なお、このような絶縁膜中のC濃度は40%にも達し、プラズマダメージ耐性が高いことがわかる。
本発明者らは、これまで実現できなかった低誘電率、高強度、高プラズナダメージ耐性の両立を実現できたのは、得られた絶縁膜特有の分子構造に起因すると考え、フーリエ変換赤外分光法により絶縁膜の構造解析をしたところ、低誘電率、高強度、高プラズナダメージ耐性を満たす構造的な要件が明確になった。
低誘電率絶縁膜をフーリエ変換赤外分光法により分析したところ、得られたスペクトルのピーク信号のうち、波数1020cm−1近傍に見られるリニア型SiO構造と、波数1080cm−1近傍に見られるネットワーク型SiO構造と、波数1120cm−1近傍に見られるケージ型SiO構造の3つのSiO構造が認められる。このうち、リニア型SiO構造は、直鎖状に連結した構造である。また、ネットワーク型SiO構造は、直鎖状の構造のバインダーのO原子を介して立体的に連結した構造がそれである。また、ケージ型SiO構造は、直鎖状の構造のバインダーの2つのO原子を介して立体的に連結し、ケージを形成した構造がそれである。
本発明の一実施形態に係る方法により形成された低誘電率絶縁膜は、以上のリニア型SiO構造、ネットワーク型SiO構造、及びケージ型SiO構造を含むものであるが、リニア型SiO構造が主要な構造をなす。即ち、低誘電率絶縁膜をフーリエ変換赤外分光法により分析して得たスペクトルのピーク信号のうち、波数1020cm−1近傍に見られるリニア型SiO構造を示す信号、波数1080cm−1近傍に見られるネットワーク型SiO構造を示す信号、及び波数1120cm−1近傍に見られるケージ型SiO構造を示す信号の3種の信号面積の総和を100%としたとき、リニア型SiO構造を示す信号の面積比が49%以上である。
このように、リニア型SiO構造を多く含む絶縁膜は、直鎖状分子がSiO構造をするバインダーで結合しながら密に充填した構造になるため、強度が高いものとなる。これに対し、リニア型SiO構造を示す信号の面積比が49%未満の場合には、ネットワーク型SiO構造及びケージ型SiO構造を多く含むため、密に充填した構造にはならず、強度が低いものとなる。
なお、リニア型SiO構造のみでは所望の強度を得ることが困難となり、10〜25%程度のケージ型SiO構造を含むことが望ましい。
また、本発明の一実施形態に係る方法により形成された低誘電率絶縁膜は、前記スペクトルのピーク信号のうち、波数7cm−1近傍に見られるSi(CH)を示す信号の信号量と、波数800cm−1近傍に見られるSi(CHを示す信号の信号量の総和を100%としたとき、Si(CHを示す信号の信号量が66%以上であることが望ましい。
このように、Si(CHの割合が高いことにより、低誘電率及び高ダメージ耐性を有する絶縁膜が得られる。これに対し、Si(CHを示す信号の信号量が66%未満の場合には、誘電率を所望の値に下げるに必要なCH濃度を得ることが困難となり、またC濃度が低いためプラズマダメージ耐性が低くなる。
次に、以上説明した本発明の各実施形態において、低誘電率絶縁膜を成膜するために用いる中性粒子照射型CVD(NBE-CVD)装置について、図4を参照して説明する。図4において、CVD反応室(以下、単に反応室と称す)10の例えば上部には、中性粒子ビーム生成部11が設けられている。
反応室10内には、処理対象である基板14が載置される支持台13が設けられている。支持台13は図示しない温度制御装置を備えており、基板14は所定の温度に制御されている。反応室10は、ガス導入口15と、排気機構16を有している。反応室10内は、排気機構16により所定の圧力に保持され、原料ガスは、ガス導入口15より支持台13上の基板14上に導かれる。
中性粒子ビーム生成部11は、例えば石英製のプラズマ室12から構成される。プラズマ室12の上部には、ガス導入口17が設けられ、このガス導入口17より希ガス、例えばアルゴン、ヘリウム、クリプトンなどの不活性ガスがプラズマ室12内に導入される。プラズマ室12の周囲にはコイル18が巻回されている。このコイル18の一端は接地され、他端は高周波源19に接続されている。プラズマ室12の内部且つ上部には、上部電極としてのアノード電極20が設けられ、このアノード電極20は、スイッチSW1を介して直流電源21の正極、及び高周波源19に接続されている。また、プラズマ室12の下部、且つ反応室10との境界部には、下部電極としてのカソード電極22が設けられている。このカソード電極22は、スイッチSW2を介して直流電源21の負極に接続されている。直流電源21は可変電源であり、この直流電源21により、アノード電極20とカソード電極22との間の電界が変化可能とされている。
カソード電極21は、正の荷電粒子を中性化して通過させ、且つプラズマから発生される電子やUV光あるいはフォトンを遮断する必要があるため、開口部22aのアスペクト比及び開口率が所定の値に規定されている。
さらに、反応室10内のガスがプラズマ室12内に流入することを防止するため、反応室10とプラズマ室12の圧力差を保持する必要がある。具体的には、反応室10の圧力は、例えば100mmTorr以上に設定され、プラズマ室12内の圧力は、例えば1Torr以上に設定される。したがって、反応室10からプラズマ室12へのガスの流入を抑制するため、プラズマ室12と反応室10の圧力差を10倍以上に設定する必要がある。このような圧力差を保持するためには、カソード電極22の開口部22aの開口率が30%近傍であることが好ましい。
図4に示すNBE-CVD装置による低誘電率絶縁膜の成膜は、次のようにして行われる。
先ず、プラズマ室12の圧力が例えば1Torr以上に設定され、プラズマ室12内に希ガス、例えばアルゴンガスが導入される。この状態において、スイッチSW1がオンとされ、高周波源19より高周波電力がコイル18に供給される。この高周波電力は、例えば周波数が13.56MHz、電圧が500V、電力が1kWである。プラズマ室12内の電子は、コイル18により発生された高周波電界により加速されてアルゴンガスに衝突し、ガスが分解されてプラズマが発生される。
この状態において、スイッチSW2がオンとされると、アノード電極20とカソード電極22との間に電界が発生され、プラズマ中の正の荷電粒子が電界により加速される。正の荷電粒子はカソード電極22において電子が供給されて中性化され、中性粒子ビーム(NB)が生成される。この中性粒子ビームは、複数の開口部22aを通過して反応室10内に導かれる。このとき、プラズマ源で発生した電子やUV光あるいはフォトンは、カソード電極22によって遮蔽され、反応室10には到達しない。
反応室10に導かれる中性粒子のエネルギーは、プラズマで発生したイオンの加速電圧によって制御され、この加速電圧は、直流電源21を制御することにより可変される。
この場合、中性粒子ビームは、間歇的に照射されるが、中性粒子ビームの間歇的な照射は、上述した高周波源19よりコイル18に供給される高周波電流に高周波パルスを重畳することにより行うことが出来る。或いはまた、カソード電極22に印加される電流にパルス電流を重畳することによっても行うことが可能である。
反応室10内において、基板14は、温度制御された支持台13上に載置されている。ガス導入口15から反応室10内に原料ガスとして、例えばDMOTMDSを導入すると、基板14の表面に吸着される。このDMOTMDSにプラズマ室12から導入された中性粒子ビームが照射される。これによる中性粒子の吸着DMOTMDSへの衝突により、その運動エネルギーが熱エネルギーに変換される。この熱エネルギーのアシストにより、基板に吸着されたガス分子の所定の結合の解離が促進され、活性化されたガスは、重合反応を生じて基板14上に順次堆積される。
図5(a)は、DMOTMDSの分子構造と結合エネルギーの関係を示している。DMOTMDSの場合、O−CHの結合エネルギーがほぼ3〜5eVであり、Si−CHの結合エネルギーがほぼ5〜10eVである。本実施形態においては、O−CHの結合を解離させる必要がある。このため、O−CHの結合エネルギー以上で、Si−CHの結合エネルギー以下のエネルギーを有する中性粒子ビームを基板14の表面に吸着されたDMOTMDS分子に照射することが望ましい。すなわち、直流電源21を制御して中性粒子ビームに5eV以下で3eV以上のエネルギーを与えてDMOTMDS分子に照射する。その結果、図5(a)に示す分子構造において、図5(b)に示すように、Oとメチル基(CH)の結合が解離され、ジメチルシロキサン(SiO(CH)からなる基本分子が2個結合した2量体(テトラメチルジシロキサン)が得られる。この2量体が、図5(c)に示すように、直鎖状に連結し、基板14上にSi原子、O原子、C原子を含む重合体からなる低誘電率絶縁膜が堆積される。
以上の低誘電率絶縁膜の成膜のプロセスの概略を図6に示す。図6から、DMOTMDSが基板表面に吸着し、中性粒子ビームの照射によりCH基が離脱し、SiO構造を含む重合体が堆積するプロセスがわかる。
実施例1
原料ガスとしてDMOTMDS(ジメトキシトリメチルジシロキサン)を用い、図4に示す中性粒子照射型CVD装置を用いて、シリコン基板上に絶縁膜を堆積した。中性粒子ビームは、パルスオン時間を50μsに固定し、パルスオフ時間を変化させて、パルス状に照射し、絶縁膜を成膜した。基板温度は−70℃とした。
パルスオフ時間の変化による成膜速度(nm/分)を求めたところ、図7に示す結果を得た。
図7から、パルスオフ時間が増加するに従って成膜速度が増加することがわかる。特に、100μ秒〜200μ秒のパルスオフ時間では、高い成膜速度が得られていることがわかる。このことは、パルスオフ時間の増加により、DMOTMDSの吸着が顕著に増加していることを意味する。
実施例2
実施例1と同様にして、パルスオン時間を50μsに固定し、パルスオフ時間を変化させて、中性粒子ビームをパルス状に照射し、絶縁膜を成膜した。形成された絶縁膜をフーリエ変換赤外分光法により分析し、SiO構造組成の変化を調べた。その結果、図8に示す結果を得た。
図8から、パルスオフ時間が増加するに従ってリニア構造の割合が増加することがわかる。特に、100以上のパルスオフ時間では、52%以上のリニア型SiO構造が得られ、一方、ネットワーク型SiO構造は減少した。その結果、絶縁膜のk値は1.3に減少し、ヤング率は5GPaを超える値が得られた。
実施例3
実施例1と同様にして、パルスオン時間を50μsに固定し、パルスオフ時間を変化させて、中性粒子ビームをパルス状に照射し、絶縁膜を成膜した。形成された絶縁膜のk値をHgプローブを用いて測定し、ナノインデンターを用いてヤング率を測定した。また、Si-(CH3)xとSi-Oの相対密度をそれぞれ測定した。その結果を図9に示す。
図9から、パルスオフ時間が増加するに従ってk値は低下し、Si-(CH3)xの相対密度は増加していることがわかる。なお、ヤング率及びSi-Oの相対密度は、それほど変化していない。
実施例4
原料ガスとしてDMOTMDS(ジメトキシトリメチルジシロキサン)を用い、図4に示す中性粒子照射型CVD装置を用いて、シリコン基板上に絶縁膜を堆積した。中性粒子ビームは、パルスオン時間を50μs、パルスオフ時間を100μsとして、パルス状に照射し、絶縁膜を成膜した。基板温度は−70℃とした。
その結果、誘電率k=1.7、ヤング率E=5GPa程度の絶縁膜が得られた。この絶縁膜のC濃度は40%程度であり、450Cまでの熱処理を行ってもガスが発生することがなく、水の吸収も殆ど検出されない良好な低誘電率膜であった。
実施例5
原料ガスとしてMTMOS(メチルトリメトキシシロキサン)を用いたことを除いて、実施例4と同様にして、100nmの膜厚の絶縁膜を成膜した後に、原料ガスをDMOTMDS(ジメトキシトリメチルジシロキサン)に切替え、実施例4と同様にして、100nmの膜厚の絶縁膜を成膜し、2層積層構造の絶縁膜を得た。
その結果、誘電率k=1.7、ヤング率E=5GPa程度の、下層と上層で膜質の異なる多様な積層絶縁膜が得られた。この積層絶縁膜のC濃度は40%程度であり、450Cまでの熱処理を行ってもガスが発生することがなく、水の吸収も殆ど検出されない良好な低誘電率膜であった。
実施例6
原料ガスとしてDMOTMDS(ジメトキシトリメチルジシロキサン)を用い、基板温度70℃で、中性粒子ビームを連続的に照射して100nmの膜厚の絶縁膜を成膜した後、中性粒子ビームを、パルスオン時間を50μs、パルスオフ時間を100μsとして、パルス状に照射し、100nmの膜厚の絶縁膜を成膜し、2層積層構造の絶縁膜を得た。
その結果、下層と上層とで膜質の異なる積層構造の絶縁膜を得ることが出来た。
本発明は、以上説明した実施形態及び実施例に限ることなく、原料ガスの種類、間歇状照射の周期、膜厚、基板温度などを任意に変え、組み合わせることが出来る。これらの適切な組み合わせによって、積層ハードマスク、エッチング選択性を有する2層構造の層間絶縁膜、側壁保護膜、及びポアシール膜などへの応用が可能である。
なお、以上の説明では、NBの間歇的な照射は、パルスオフとして照射を完全に停止した場合について示したが、本発明は、これに限らず、照射量を低減した場合、即ち、NBの間歇的な照射とは、高照射量と低照射量のNBの照射の繰り返しを含むものとする。
10…反応室、11…中性粒子ビーム生成部、12…プラズマ室、14…基板、19…高周波電源、20…アノード電極、21…直流電源、22…カソード電極、22a…開口部。

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  1. SiO構造を含む基本分子の複数個を直鎖状に結合した直鎖状分子と、この直鎖状分子の複数個を、間にSiO構造を含むバインダー分子を介在させて結合してなり、Si原子、O原子、C原子、及びH原子を含む重合体からなる低誘電率絶縁膜であって、該低誘電率絶縁膜をフーリエ変換赤外分光法により分析して得たスペクトルのピーク信号のうち、波数1020cm -1 近傍に見られるリニア型SiO構造を示す信号、波数1080cm -1 近傍に見られるネットワーク型SiO構造を示す信号、及び波数1120cm -1 近傍に見られるケージ型SiO構造を示す信号の3種の信号面積の総和を100%としたとき、リニア型SiO構造を示す信号の面積比が49%以上であり、かつ前記スペクトルのピーク信号のうち、波数7cm -1 近傍に見られるSi(CH 3 )を示す信号の信号量と、波数800cm -1 近傍に見られるSi(CH 3 2 を示す信号の信号量の総和を100%としたとき、Si(CH 3 2 を示す信号の信号量が66%以上であることを特徴とする低誘電率絶縁膜を形成するために、ジメトキシトリメチルジシロキサン、ジメトキシテトラメチルジシロキサンのような2量体以上のメチルシロキサンからなる原料ガス雰囲気に置かれた被成膜基板に中性粒子ビームを照射し、前記被成膜基板表面に吸着した原料ガスを解離して重合させ、低誘電率膜を成膜する工程を具備する低誘電率膜の形成方法において、
    前記被成膜基板への中性粒子ビームの照射を、1m秒未満の周期で間欠的に行うことを特徴とする低誘電率膜の形成方法。
  2. 前記中性粒子ビームの照射時間Tonと照射間隔Toffは、Ton≦Toffであることを特徴とする請求項1に記載の低誘電率膜の形成方法。
  3. on>50μ秒、Toff>100μ秒であることを特徴とする請求項2に記載の低誘電率膜の形成方法。
  4. 成膜中、前記被成膜基板は、0℃以下に冷却されていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の低誘電率膜の形成方法。
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