JP5163530B2 - 圧縮着火内燃機関 - Google Patents

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Description

この発明は、予混合圧縮着火燃焼、特にオクタン価の異なる2種の燃料をそれぞれ筒内に直接噴射して圧縮着火燃焼を行う圧縮着火内燃機関に関する。
特許文献1には、低オクタン価燃料と高オクタン価燃料とを筒内に個々に噴射するようにした内燃機関が開示されている。ここでは、2つの燃料噴射弁からオクタン価の異なる燃料を両者が実質的に重ならないように噴射することで、燃料濃度が均質でかつオクタン価分布のある混合気場を形成するようにしており、これによって広い運転領域で圧縮着火燃焼の実現を図っている。
特開2005−139945号公報
しかしながら、上記特許文献1の技術では、2つの燃料を別個に分布させることができる反面、中間のオクタン価となる混合した燃料分布を形成できないため、適用可能な運転領域が限定されてしまう。すなわち、特許文献1では、負荷の上昇に伴って、低オクタン価燃料と高オクタン価燃料の供給割合を、低オクタン価燃料が少なくなるように制御する旨開示されているが、2つの燃料が混合せずに負荷の上昇とともに高オクタン価燃料の量を増加させた場合、低オクタン価燃料によって着火した高オクタン価燃料が一斉に発火するため、燃焼後半が急峻燃焼になり、燃焼騒音が過大となる。また、負荷の上昇に対し低オクタン価燃料が過度に増加すると、低オクタン価燃料が一斉に発火し、燃焼の前半が急峻な燃焼となる。
本発明に係る圧縮着火内燃機関は、低オクタン価燃料および高オクタン価燃料をそれぞれ筒内に直接噴射して圧縮自己着火させる筒内直接噴射式のものであり、ピストン冠面には、吸気弁と排気弁の配列方向と直交する方向へ延びる稜線を有する凸部が形成されている。そして本発明は、上記凸部を利用して、この凸部の稜線よりも吸気弁側の領域や排気弁側の領域のそれぞれに適切な濃度やオクタン価の燃料を分布させることのできる新規な圧縮着火内燃機関を提供することを目的としている。
すなわち本発明では、上記低オクタン価燃料及び高オクタン価燃料をそれぞれ噴射する2本の燃料噴射弁を備え、一方の燃料噴射弁は、上記稜線よりも吸気弁側から排気弁側へ向けて斜めに燃料を噴射するように配置され、他方の燃料噴射弁は、上記稜線よりも排気弁側から吸気弁側へ向けて斜めに燃料を噴射するように配置されている。そして、各々の燃料噴射弁は、噴射時期が圧縮行程の途中までの早期噴射では、噴射された燃料が上記稜線を越えて当該燃料噴射弁の設置側と反対側の領域へ向けて飛翔し、噴射時期が圧縮行程の途中以降の後期噴射では、上記稜線よりも当該燃料噴射弁の設置側の領域へ向けて燃料が噴射されるように、燃料噴霧の指向方向等が設定されていることを特徴としている。
従って、各々の燃料噴射弁の噴射量と噴射時期とを制御することによって、上記稜線よりも吸気弁側の領域や排気弁側の領域に分布する燃料の濃度やオクタン価を機関運転条件に応じて適切に制御することが可能となる。
例えば低負荷域では、上記稜線よりも排気弁側または吸気弁側の一方のみに燃料を分布させる場合、一方の燃料噴射弁は早期噴射を行い、他方の燃料噴射弁は後期噴射を行えばよい。また、中負荷域など、凸部を挟んで排気弁側の領域と吸気弁側の領域の双方に燃料を分布させる場合、少なくとも一方の燃料噴射弁の燃料噴射を早期噴射と後期噴射の二回に分けて行えば良く、また、各噴射の噴射量を制御することで、各領域に分布する燃料の濃度やオクタン価を適宜に調整することができる。更に、高負荷域では、吸気行程中に高オクタン価燃料を噴射することによって、圧縮上死点近傍では高オクタン価燃料を燃焼室内に均質に分布させることができる。
以上のように本発明によれば、ピストン冠面に形成された凸部を利用し、この凸部を挟んで両側の吸気弁側の領域や排気弁側の領域に、機関運転条件に応じて適切な濃度やオクタン価の燃料を分布させることができ、幅広い機関運転域で良好な圧縮着火燃焼を実現することが可能となる。
本発明の第1実施例に係る圧縮着火内燃機関を示す断面図。 (A)が上記第1実施例のピストン形状を示す上面図及び断面図、(B)が更に成層用ボウルを凹設したピストン形状を示す上面図及び断面図。 機関負荷に応じた個々の燃料噴射弁の噴射量(P/W)・噴射時期,及び各領域に分布する燃料のオクタン価を示す説明図。 低負荷域における、個々の燃料噴射弁の噴射量・噴射時期,及び筒内の混合気生成の様子を模式的に示す説明図。 中負荷域における、個々の燃料噴射弁の噴射量・噴射時期,及び筒内の混合気生成の様子を模式的に示す説明図。 高負荷域における、個々の燃料噴射弁の噴射量・噴射時期,及び筒内の混合気生成の様子を模式的に示す説明図。 圧縮上死点近傍に着火用の低オクタン価燃料の微少量噴射を行う場合の、低負荷域における、個々の燃料噴射弁の噴射量・噴射時期,及び筒内の混合気生成の様子を模式的に示す説明図。 圧縮上死点近傍に着火用の低オクタン価燃料の微少量噴射を行う場合の、中負荷域における、個々の燃料噴射弁の噴射量・噴射時期,及び筒内の混合気生成の様子を模式的に示す説明図。 圧縮上死点近傍に着火用の低オクタン価燃料の微少量噴射を行う場合の、高負荷域における、個々の燃料噴射弁の噴射量・噴射時期,及び筒内の混合気生成の様子を模式的に示す説明図。 筒内のタンブルに対する燃料噴射弁の設置例を示す説明図。 本発明の第2実施例に係る圧縮着火内燃機関を示す断面図。
以下、図示実施例により本発明を説明する。なお、図中に記載の『INT』は吸気弁側、『EXH』は排気弁側、『RON』はオクタン価を表している。
図1は、この発明に係る圧縮着火内燃機関の第1実施例を示している。シリンダヘッド1とシリンダブロック2のシリンダ9とピストン3とによって燃焼室4が形成されている。この燃焼室4は、一対の吸気弁5を介して吸気ポート6と連通し、かつ一対の排気弁7を介して排気ポート8と連通する。吸気弁5および排気弁7は、それぞれ吸気弁用カム5A、排気弁用カム7Aによって開閉駆動される。燃焼室4には、2つの燃料噴射弁つまり高オクタン価燃料用燃料噴射弁11と低オクタン価燃料用燃料噴射弁12とが配置されている。
ピストン3のピストン冠面には、ペントルーフ型の燃焼室4の形状に対応して凸部13が形成されている。この凸部13は、吸気弁5と排気弁7の配列方向(図1の左右方向)とシリンダ軸方向(図1の上下方向)とに直交するピストンピン方向(図1の紙面直交方向)に沿う稜線14と、この稜線14より吸気弁側へ向けて斜め下方に傾斜又は湾曲する吸気弁側傾斜面15と、稜線14より排気弁側へ向けて斜め下方に傾斜又は湾曲する排気弁側傾斜面16と、を有している。つまり、ピストン冠面には凸部13を挟んで吸気弁側に吸気弁側凹部17,排気弁側に排気弁側凹部18がそれぞれ凹設された形となっている。これらの凹部17,18は、噴射された燃料を受け止めて、後述するように、その上方の領域Rint,領域Rexhにそれぞれ独立した成層混合気形成を行えるように、図2(A)に示すように、断面円弧状に窪んだものとなっている。あるいは、噴射された燃料をより確実に保持するように、図2(B)に示すように、凹部17,18の底面より更に深く凹設された成層用ボウル19,20を形成するようにしても良い。
従って、燃焼が行われる圧縮行程近傍では、ピストン冠面に設けられた凸部13や凹部17,18、更には成層用ボウル19,20によって、燃焼室4内が、凸部13の稜線14よりも吸気弁側の領域Rintと、排気弁側の領域Rexhと、に適宜に分け隔てられた形となっている。
高オクタン価燃料用燃料噴射弁11は、凸部13の稜線14、詳しくは稜線14を通ってシリンダ軸方向に沿う基準線14Aよりも吸気弁側に配置され、より具体的には2本の吸気ポート6間の中心付近の燃焼室肩部に設置され、吸気弁側より排気弁側へ向けて斜め下方に燃料を噴射するように、燃焼噴霧の指向方向すなわち噴射軸線11Aが設定されている。低オクタン価燃料用燃料噴射弁12は、稜線14(基準線14A)よりも排気弁側に配置され、より具体的には2本の排気ポート8間の中心付近の燃焼室肩部に設置され、排気弁側より吸気弁側へ向けて斜め下方に燃料を噴射するように、燃料噴霧の指向方向すなわち噴射軸線12Aが設定されている。
各々の燃料噴射弁11,12には、別個の燃料配管ならびに燃料ポンプ等(いずれも図示せず)を介して、高オクタン価燃料及び低オクタン価燃料が個々に供給されている。これら2つの燃料噴射弁11,12は、いずれも、その噴射軸線11A,12Aを中心とした円錐形の噴霧を形成するものであり、全体として円錐形の噴霧を形成するマルチホール型燃料噴射弁であってもよく、あるいは円錐形の噴霧を形成する単噴孔のものであってもよい。
[1]そして、各々の燃料噴射弁11,12は、噴射時期が圧縮行程の途中までの早期噴射においては、噴射された燃料が稜線14を乗り越えて当該燃料噴射弁の設置側と異なる側の領域へ飛翔・到達し、噴射時期が圧縮行程の途中以降の後期噴射においては、稜線14よりも当該燃料噴射弁の設置側の領域に向けて燃料が噴射され、この領域のピストン冠面上に到達・衝突するように、燃料噴霧の指向方向が設定されている。
構造的には、各々の燃料噴射弁11,12は、圧縮行程の途中までの早期噴射では、噴射軸線11A,12Aが稜線14よりも上方に位置し、つまり噴射軸線11A,12Aが稜線14よりも上側で基準線14Aと交差し、圧縮行程の途中以降の後期噴射では、噴射軸線11A,12Aが稜線14よりも下方に位置し、つまり噴射軸線11A,12Aが稜線14よりも下側で基準線14Aと交差するように設定されている。すなわち、各々の燃料噴射弁11,12の噴射軸線11A,12Aが、圧縮行程の途中で稜線14と交差するように設定されている。なお、噴射軸線が稜線14と交差するタイミング(クランク角)は各々の燃料噴射弁11,12で同じであっても異なるものであってもよい。
すなわち、本明細書において、『早期噴射』とは、噴射された燃料が稜線14を乗り越えて噴射弁設置側と反対側の領域へ分布することとなる燃料噴射を意味し、噴射軸線が稜線14よりも上方に位置する時期での燃料噴射を意味する。一方、『後期噴射』とは、噴射された燃料が稜線14を乗り越えることなく噴射弁設置側の領域へ向けて噴射され、この噴射弁設置側の領域に分布することとなる燃料噴射を意味し、噴射軸線が稜線14よりも下方に位置する時期での燃料噴射を意味する。
[2]従って、各々の燃料噴射弁11,12の噴射量と噴射時期(早期噴射,後期噴射)とを制御することによって、稜線14よりも吸気弁側の領域Rintと排気弁側の領域Rexhの少なくとも一方に分布する燃料の濃度及びオクタン価を機関負荷等に応じて適切に制御することが可能となり、幅広い運転域で良好な圧縮着火燃焼を実現することができる。
図3及び図4を参照して、機関負荷に応じた個々の燃料噴射弁11,12の燃料噴射量(燃料噴射パルス幅;P/W)及び噴射時期について説明する。基本的には、機関負荷が高くなるほど燃料噴射量が多くなり、かつ、筒内に分布する燃料の平均のオクタン価が高くなるように制御される。すなわち、低負荷側では燃焼安定性を確保するために燃料のオクタン価を低くし、高負荷側ではノッキングを生じることなく燃焼室内の当量比を高くするようにオクタン価を高くする。
[3]低負荷域では、図3(A)及び図4に示すように、吸気弁側に配置された高オクタン価燃料用燃料噴射弁11では早期噴射,排気弁側に配置された低オクタン価燃料用燃料噴射弁12では後期噴射を行うことによって、凸部13よりも排気弁側の領域Rexhにのみ、適宜な濃度・オクタン価の燃料の可燃混合気を形成する。具体的には、図4(A)に示すように、先ず吸気弁側に設置された高オクタン価燃料用燃料噴射弁11より高オクタン価燃料を早期噴射する。これにより噴射された高オクタン価燃料は凸部13の稜線14を越えて排気弁側の領域Rexhに分布する。次いで、図4(B)に示すように、吸気弁側に設置された低オクタン価燃料用燃料噴射弁12より低オクタン価燃料Flを排気弁側の領域Rexhへ向けて後期噴射する。この低オクタン価燃料Flは図4(C)に示すように、排気弁側傾斜面16に衝突し、この排気弁側傾斜面16によって上方へ跳ね上げられつつ排気弁側の領域Rexhに巻き返される形となって、この排気弁側の領域Rexhにおいて高オクタン価燃料と混ざり合い、図4(D)に示すように圧縮上死点の近傍では、両者の中間のオクタン価の燃料の可燃混合気が排気弁側の領域Rexhにのみ形成される。このように低負荷域では、可燃混合気を一方の排気弁側の領域のみに成層化して局所的に分布させることで、全体の燃料噴射量を抑えつつ、局所的な当量比を可燃範囲に維持し、安定した圧縮着火燃焼を行うことができる。
また、図3(A)及び(B)に示すように、低負荷域の範囲内で、負荷が高くなるほど高オクタン価燃料の量・割合が増えるように、負荷に応じて個々の燃料噴射量を増減することによって、筒内の平均のオクタン価を負荷に応じた適切なものとすることができる。
更に、高温な排気弁側の領域Rexhに可燃混合気を形成することで、温度の低い吸気弁側の領域Rintに可燃混合気を形成する場合に比して、未燃燃料の排出を抑えることができる。
[4]更に負荷が上昇して中負荷域となると、図3(C)に示すように、双方の燃料噴射弁11,12ともに早期噴射を行う。これによって、噴射された燃料がそれぞれ稜線14を越えて当該燃料噴射弁の設置側と反対側の領域へと飛翔・到達し、排気弁側の領域に高オクタン価燃料が分布するとともに、吸気弁側の領域に低オクタン価燃料が分布する(図5(B)参照)。このように、負荷が高くなり中負荷域となると、負荷に応じて燃料噴射量を増量しつつ、燃料が分布する領域を広げることで、各領域の局所的な当量比とオクタン価とを適切な範囲内に維持することができる。
この中負荷域において更に負荷が高くなると、図3(D),(E)及び図5に示すように、各々の燃料噴射弁11,12の燃料噴射を早期噴射と後期噴射の2回に分けて行う。先ず、各噴射弁11,12の1回目の早期噴射により噴射された燃料Fh1,Fl1は、それぞれ稜線14を乗り越えて噴射弁設置側と反対側の領域に分布する。続く各噴射弁11,12の2回目の後期噴射により噴射された燃料Fh2,Fl2は、噴射弁設置側の領域へ向けて噴射される。これら後期噴射の燃料Fh2,Fl2は、図5(C)に示すように、それぞれ凸部13の傾斜面15,16によって上方へ跳ね上げられつつ噴射弁設置側に巻き返される形となって、当該噴射弁設置側の領域で早期噴射の燃料とFh1,Fl1と混ざり合い、図5(D)に示すように圧縮上死点の近傍では、各領域Rint,Rexh毎に適宜な中間のオクタン価の燃料の成層混合気が形成される。
このように、個々の燃料噴射弁11,12の燃料噴射を早期噴射と後期噴射の2回に分けて行うとともに、個々の燃料噴射量を適切に制御することで、吸気弁側の領域Rintと排気弁側の領域Rexhとで異なるオクタン価の可燃混合気を形成しつつ、個々の領域の燃料の濃度やオクタン価を適切に調整することができる。例えば図3(D),(E)に示すように、負荷の上昇に応じて高オクタン価燃料の割合を高くすることで、ノッキングを招くことなく負荷の増加に応じて燃料噴射量を増量しつつ、両領域に分布する燃料の平均のオクタン価の差ΔRONを小さくすることで、オクタン価の差ΔRONによる着火の位相差を小さくしていくことができる。
[5]更に、全負荷を含む高負荷域では、図3(F)や図6に示すように、吸気行程中に高オクタン価燃料用燃料噴射弁11より高オクタン価燃料Fhのみを噴射する。これにより、吸気行程に続く圧縮行程でのピストン上昇に伴い筒内に高オクタン価燃料を均質に分布させることができる。また、必要であれば図9に示すように、圧縮上死点近傍に低オクタン価燃料用燃料噴射弁11より着火用の低オクタン価燃料Fl’を微少量噴射することで着火させ、火炎伝播により高オクタン価燃料を燃焼させる。
なお、図7〜図9に示すように、着火時期を安定的に制御するために、このような圧縮上死点近傍における着火用の低オクタン価燃料Fl’の微少量噴射を全ての負荷域で行うようにしても良い。
[6]また、吸気弁側に設置される燃料噴射弁11から噴射された燃料は吸気ポート6より流入する吸気により均質化が促進されることから、本実施例においては、高オクタン価燃料を噴射する高オクタン価燃料用燃料噴射弁11を吸気弁側に配置し、低オクタン価燃料を噴射する低オクタン価燃料用燃料噴射弁12を排気弁側に配置している。
[7]図10を参照して、筒内にタンブル(縦渦成分)Tが付与されるように構成された内燃機関における、燃料噴射弁11,12の設置について説明する。上記のタンブルTは、例えば吸気ポート形状により常に筒内に付与されるように構成される。あるいは、吸気通路内に設けられたタンブル制御弁などにより機関運転条件に応じて所定強度のタンブルTを付与するようにしても良い。なお、図10に示すタンブルTは、その上方側で吸気弁側から排気弁側へ旋回した後、ピストン冠面側へ向けて下方へ旋回する、いわゆる順タンブルである。
このタンブルTの上方側での流れ方向について上流側(つまり吸気弁側)に高オクタン価燃料用燃料噴射弁11が配置され、下流側に低オクタン価燃料用燃料噴射弁12が配置されている。これによって、上流側の高オクタン価燃料用燃料噴射弁11より噴射された高オクタン価燃料は、タンブルTによって、噴射弁設置側と異なる側である排気弁側の領域への飛翔が促進される形となり、例えば、上述した低負荷域における排気弁側の領域での成層化が促進され、かつ、高負荷域での均質化が促進される。一方、下流側の低オクタン価燃料用燃料噴射弁12より噴射された燃料は、タンブルTによって、主として下側、つまり噴射弁設置側である排気弁側の領域に偏向される形となり、例えば上述した低負荷域における排気弁側の領域での成層化が促進される。
[8]また、このタンブルTの上方側での流れ方向について上流側(つまり吸気弁側)に配置される高オクタン価燃料用燃料噴射弁11が、下流側(つまり排気弁側)に配置される低オクタン価燃料用燃料噴射弁12に比して、下向きに燃料を噴射するように設定されている。つまり、ピストン基準水平面に対する噴射軸線11A,11Bの下向きの角度θ1,θ2について、高オクタン価燃料用燃料噴射弁11の角度θ1が低オクタン価燃料用燃料噴射弁12の角度θ2よりも大きく設定されている(θ1>θ2)。
このように、上流側の高オクタン価燃料用燃料噴射弁11より噴射される燃料は、タンブルTによって上側に偏向されるために、噴射弁設置側つまり吸気弁側の領域に入り難い。従って、この高オクタン価燃料用燃料噴射弁11を相対的に下向きに設置する。一方、下流側の低オクタン価燃料用燃料噴射弁12より噴射される燃料は、タンブルTによって下側に偏向されるために、噴射弁設置側つまり排気弁側の領域に入り易く、噴射弁設置側と反対側つまり吸気弁側の領域に飛翔・拡散され難い。従って、この低オクタン価燃料用燃料噴射弁12を相対的に上向きに設置する。
[9]図11は、本発明の第2実施例に係る圧縮着火内燃機関を示している。この第2実施例では、一方の高オクタン価燃料用燃料噴射弁21を、燃焼室4の上方の中心部近傍に配置している。この高オクタン価燃料用燃料噴射弁21は、上記第1実施例と同様、凸部13の稜線14よりも吸気弁側に配置され、吸気弁側より排気弁側へ向けて斜め下方に燃料を噴射するように、その噴射軸線21Aが設定されている。従って、早期噴射では高オクタン価燃料用燃料噴射弁21より噴射された燃料が稜線14を越えて排気弁側へ飛翔して、排気弁側の領域Rexhに分布し、後期噴射では高オクタン価燃料用燃料噴射弁21より噴射された燃料が当該燃料噴射弁21が設置された吸気弁側のピストン冠面に衝突し、吸気弁側の領域に分布することとなる。低オクタン価燃料用燃料噴射弁12は、第1実施例と同様、一対の排気ポート8間の燃焼室肩部に設置される。
また、上記第2実施例とは逆に、低オクタン価燃料用燃料噴射弁を燃焼室4の上方の中心部近傍の排気弁側寄りに設置するようにしても良い。この場合、高温となり易い排気ポート8間に燃料噴射弁や燃料配管系を設けなくて良いので、適用が容易である。
以上のように本発明を具体的な実施例に基づいて説明してきたが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変形・変更を含むものである。例えば、各燃料噴射弁11,12に供給する燃料の性状を予め改質する改質器を有する構成としても良い。この場合、噴射される燃料のオクタン価を、予め適切なオクタン価に調整しておくことが可能である。従って、上述したように各燃料噴射弁11,12の燃料噴射を早期噴射と後期噴射の二回に分けて行うことなく、一回の燃料噴射(早期噴射又は後期噴射)により、吸気弁側・排気弁側の個々の領域の燃料の濃度やオクタン価を調整することができる。
3…ピストン
4…燃焼室
5…吸気弁
7…排気弁
11…高オクタン価燃料用燃料噴射弁
12…低オクタン価燃料用燃料噴射弁
13…凸部
14…稜線

Claims (10)

  1. 低オクタン価燃料および高オクタン価燃料をそれぞれ筒内に直接噴射し、圧縮自己着火させる筒内直接噴射式の圧縮着火内燃機関において、
    ピストン冠面に、吸気弁と排気弁の配列方向と直交する方向へ延びる稜線を有する凸部が形成され、
    上記低オクタン価燃料及び高オクタン価燃料をそれぞれ噴射する2本の燃料噴射弁を備え、一方の燃料噴射弁は、吸気弁側から排気弁側へ向けて斜めに燃料を噴射するように上記稜線よりも吸気弁側に配置され、他方の燃料噴射弁は、排気弁側から吸気弁側へ向けて斜めに燃料を噴射するように上記稜線よりも排気弁側に配置され、
    かつ、各々の燃料噴射弁は、噴射時期が圧縮行程の途中までの早期噴射では、噴射された燃料が上記稜線を越えて当該燃料噴射弁の設置側と反対側の領域へ向けて飛翔し、噴射時期が圧縮行程の途中以降の後期噴射では、上記稜線よりも当該燃料噴射弁の設置側の領域へ向けて燃料が噴射されるように設定されていることを特徴とする圧縮着火内燃機関。
  2. 各々の燃料噴射弁の噴射量と噴射時期とを制御することによって、上記稜線よりも吸気弁側の領域と排気弁側の領域の少なくとも一方に分布する燃料の濃度及びオクタン価を制御することを特徴とする請求項1に記載の圧縮着火内燃機関。
  3. 所定の低負荷域では、一方の燃料噴射弁では早期噴射を行い、他方の燃料噴射弁では後期噴射を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の圧縮着火内燃機関。
  4. 所定の中負荷域では、各々の燃料噴射弁で早期噴射と後期噴射の双方を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の圧縮着火内燃機関。
  5. 所定の高負荷域では、吸気行程中に高オクタン価燃料のみを噴射することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の圧縮着火内燃機関。
  6. 高オクタン価燃料を噴射する高オクタン価燃料用燃料噴射弁が吸気弁側に設置され、
    低オクタン価燃料を噴射する低オクタン価燃料用燃料噴射弁が排気弁側に設置されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の圧縮着火内燃機関。
  7. 筒内のタンブルの上方側での流れ方向について上流側に、高オクタン価燃料を噴射する高オクタン価燃料用燃料噴射弁が配置され、下流側に低オクタン価燃料を噴射する低オクタン価燃料用燃料噴射弁が配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の圧縮着火内燃機関。
  8. 筒内のタンブルの上方側での流れ方向について上流側に配置される燃料噴射弁が、下流側に配置される燃料噴射弁よりも下向きに燃料を噴射するように配置されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の圧縮着火内燃機関。
  9. 一方の燃料噴射弁が燃焼室の上方の中心部近傍に設置されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の圧縮着火内燃機関。
  10. 低オクタン価燃料および高オクタン価燃料をそれぞれ筒内に直接噴射し、圧縮自己着火させる筒内直接噴射式の圧縮着火内燃機関において、
    ピストン冠面に、吸気弁と排気弁の配列方向と直交する方向へ延びる稜線を有する凸部が形成され、
    上記低オクタン価燃料及び高オクタン価燃料をそれぞれ噴射する2本の燃料噴射弁を備え、一方の燃料噴射弁は、吸気弁側から排気弁側へ向けて斜めに燃料を噴射するように上記稜線よりも吸気弁側に配置され、他方の燃料噴射弁は、排気弁側から吸気弁側へ向けて斜めに燃料を噴射するように上記稜線よりも排気弁側に配置され、
    かつ、各々の燃料噴射弁は、圧縮行程の途中までの早期噴射では、噴射軸線が上記稜線よりも上方に位置し、圧縮行程の途中以降の後期噴射では、噴射軸線が上記稜線よりも下方に位置するように設定されていることを特徴とする圧縮着火内燃機関。
JP2009035983A 2009-02-19 2009-02-19 圧縮着火内燃機関 Expired - Fee Related JP5163530B2 (ja)

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