JP2008180108A - 予混合圧縮着火内燃機関の燃焼方法および装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】有害排出ガス(NOx)やススの排出量が減少し、予混合圧縮着火内燃機関のメリットを活かす。
【解決手段】燃焼室内に複数の種類の可燃混合気を噴射する燃焼方法、燃焼構造である。複数の燃料と空気を混合した可燃混合気の濃度を均質にしたまま、混合気温度を層状化して行う。そのために燃焼室内に噴射する可燃混合気は、濃度が同一であって、かつオクタン価の異なる複数種類の可燃混合気を使用する。また、ひとつの空間である燃焼室には、噴射した複数種類の可燃混合気の混合を困難にする構造を形成する。
【選択図】図3

Description

本発明は、予混合圧縮着火内燃機関の燃焼方法および装置に関するものである。
予混合圧縮着火内燃機関において混合気温度を層状化すること、すなわち燃焼室内の位置によって、混合気温度に差を与えると、燃焼時間を延長させ、緩慢化に有効であることが分かっている。
これは、混合気温度に差を与えるとピストンの圧縮によって両者の温度が共に上昇するが、初期温度が高いほうが先に例えば850℃に到達して着火する。続いて混合気温度の低かったほうが850℃に達し、遅れて着火する。このように、混合気温度に差を与える事で結果的に着火時期に差を与えることができ、その結果燃焼時間が延長し、緩慢化する。
特開2004−100603号公報 特表2006−509149号公報 特開2004−346882号公報
上記のような燃焼の緩慢化をはかるために、同一燃料を時間差を設けて噴射する構造(特許文献1)、エンジンの性能を監視してオクタン価を制御する構造(特許文献2)、異種燃料を選択して供給する構造(特許文献3)、あるいは異種燃料を事前に混合する構造などが知られている。
このような従来の燃焼方法や燃焼装置にあっては、濃度を不均質にすることで、温度分布の層状化を図っている。
しかし、濃度が不均質であると、有害排出ガス(NOx)やススの排出量が増大し、予混合圧縮着火内燃機関のメリットを活かすことができないという問題がある。
上記のような課題を解決するために、本発明の予混合圧縮着火内燃機関の燃焼方法は、燃料と空気とをあらかじめ混合して可燃混合気を形成し、これらの可燃混合気を燃焼室に噴射して燃焼させる燃焼方法であって、燃料と空気とを均質に混合した可燃混合気を複数種類、形成し、ひとつの可燃混合気と他の可燃混合気とは、濃度が均一であり、かつ、各可燃混合気の混合が困難な状態で、混合気温度に差を与えて燃焼を行うことを特徴としたものである。
さらに本発明の本発明の予混合圧縮着火内燃機関の燃焼方法は、燃料と空気とをあらかじめ混合して可燃混合気を形成し、これらの可燃混合気を燃焼室に噴射して燃焼させる内燃機関であって、燃料と空気とを均質に混合した可燃混合気を複数種類、形成し、ひとつの可燃混合気と他の可燃混合気とは、濃度が均一であり、かつ、各可燃混合気の混合が困難な状態で燃焼室内に噴射することを特徴としたものである。
さらに本発明の予混合圧縮着火内燃機関の燃焼方法は、燃料と空気とをあらかじめ混合して可燃混合気を形成し、これらの可燃混合気を燃焼室に噴射して燃焼させる内燃機関であって、燃焼室内に噴射する可燃混合気は、燃料と空気とを均質に混合した複数種類の可燃混合気であり、ひとつの可燃混合気と他の可燃混合気とは、濃度が同一であって、かつオクタン価の異なる燃料と空気を均質に混合した可燃混合気であり、かつ、燃焼室は、噴射した複数種類の可燃混合気の混合を困難にする構造として形成したことを特徴としたものである。
本発明の予混合圧縮着火内燃機関の燃焼方法および装置は以上説明したようになるから、有害排出ガス(NOx)やススの排出量を大幅に減少させることができ、予混合圧縮着火内燃機関のメリットを活かすことができる。
以下図面を参照にしながら本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
<1>前提条件。
前記したように、予混合圧縮着火内燃機関において、燃焼温度を「層状化」すること、すなわち、燃焼室内の複数領域、例えば2領域の混合気の混合気温度に差を与え、燃焼室全体で瞬時に燃焼するのではなく、燃焼位置を2個所に分割して燃焼させることが燃焼の緩慢化に有効である、ことが分かっている。
<2>基本構成。
本発明では、有害排出ガス(NOx)やススの排出量が減少し、予混合圧縮着火内燃機関のメリットを活かすためのものである。
なお「予混合燃焼」とは、燃料と空気をあらかじめ混合して可燃混合気を形成し、この可燃混合気を燃焼室内に噴射して燃焼させる構造である。
空気だけを圧縮してその中に軽油を噴射する構成とは異なり、予混合によれば、燃料と空気とは均質に、かつ十分に混合することが知られている。
本発明の基本の構成は、燃焼室内のどの位置においても可燃混合気の濃度が均質(可燃混合気Aも、可燃混合気Bも燃料と空気とは均質に混合されている)であるが、しかし可燃混合気Aと可燃混合気Bとは相互に混合することなく、その結果、燃焼時には混合気温度に差を設ける(層状化)ことができる構造である。
なお、この明細書で「混合気」とは、各燃料と空気の混合した各可燃気体(軽油A+空気)、(軽油B+空気)のことを示す表現であり、「可燃混合気A」と「可燃混合気B」が混合した気体を意味するものではない。
混合気Aと混合気Bとの混合を困難にする構成の実施例として、複数種類の混合気を、複数の噴射弁からひとつの燃焼室へ噴射する構成を採用することができる。(図1)
なお、ここで「濃度」とは燃料の性質、種類によって表現が異なるが、例えば「空気と燃料の混合比」、「当量比」、あるいは「発熱量比」などを意味する。
<3>燃料の使い分け。
複数の種類の燃料を使用する理由は、燃焼室内に噴射された複数種類の可燃混合気の混合気温度を層状化するためである。
混合気温度の層状化をはかるための手段として、濃度が同一で、かつオクタン価の異なる複数種類の燃料を使用する。
すなわち、例えば二種類の燃料を使用する場合には次のような使い分けをする。
ひとつは着火性がよい、オクタン価低い燃料を使用する。
他のひとつは、前者と比較して着火性がよくない、オクタン価高い燃料を使用する。
そのような複数種類の燃料と空気を各々均質に混合した複数の可燃混合気を、ひとつの燃焼室1に、ピストン2のヘッドに向けて複数の噴射弁3から供給する。
すなわち、可燃混合気Aと可燃混合気B、可燃混合気C・・・・の濃度は同一であるが、しかし可燃混合気Aと可燃混合気B、可燃混合気C・・・とは混合することはなく、燃焼室の内部で独立した範囲にとどまっている。
この結果、濃度の均質化と、混合気温度の層状化の両者を達成することができる。(図1)
その場合に可燃混合気を供給するひとつの噴射弁3と、他の噴射弁3とはその設置位置を離し、かつ噴射角度はほぼ並行、あるいは離れる方向へ噴射することによって、両可燃混合気の混合までの時間を延長させて上記の目的を達成することができる。
<4>可燃混合気の混合を困難にする構造。
本発明の特徴は、ひとつの空間に複数種類の可燃混合気を噴射し、かつそれらの混合が困難であることから成立する。
そのために図1の実施例のように複数の箇所に設置した噴射弁3からオクタン価の異なった燃料と空気の可燃混合気を、通常のピストン2に向けて噴射することによっても成立するが、さらに複数の可燃混合気の混合をより困難にして混合までの時間をより延長させるためには、次のような構成を採用することもできる。
すなわち、そのひとつは、噴射弁3を筒内直噴射方式とし、各噴射弁3から噴射された複数系統の可燃混合気供給手段に対応した燃焼ゾーンを形成し、燃焼ゾーンの中間に混合を困難にするガイド21を設ける構造である。
他にひとつは、複数の吸気バルブのポートから可燃混合気を供給し、縦渦や横渦によって各可燃混合気の混合を困難にする構造である。
以下、各構造について説明する。
<5>噴射流のガイド21を設ける構造。
図2の実施例では、二種類の可燃混合気をひとつの燃焼室1に同時に噴射して、かつ短時間での混合を困難にさせるために、燃焼ゾーンの間に可燃混合気の流れを案内するガイド21を設ける構造の一例を示す。
そのために、図6に示すように、ピストン2ヘッドの表面を平滑な平面ではなく、その中央に横断する状態で峰状のガイド21を突設する構成を採用することができる。
噴射弁3が3箇所、4箇所の場合にはこのガイド21は、平面的に中心から3方向に延長する峰状のガイド、あるいは田の字状に仕切るガイド21となる。
あるいは図7に示すようにピストン2のヘッドに皿状にへこんだ皿状部22を形成することもできる。
この皿状部22を、各噴射弁3に対する位置にひとつづつ形成する。
噴射弁3が2箇所であれば、皿状部22は二箇所に形成される。
すると、一方の皿状部22と他方の皿状部22との中間には相対的に噴射弁3側へ突出した峰状のガイド21が、可燃混合気の流れを仕切る、不完全な仕切りとして形成される。
その結果、二箇所の可燃混合気の流れ、すなわち二箇所の燃焼ゾーンが形成される。
この皿状部22から峰状のガイド21へ至る傾斜面23を、流体が流れやすい曲面として形成しておく。
このような形状のピストン2ヘッドに向けて、二箇所の噴射弁3から噴射した可燃混合気は、皿状部22と皿状部22との間に位置する峰状のガイド21が混合を阻害する抵抗となり、二種類の流れが形成され、可燃混合気の短時間での混合を困難にする。
特にピストンの速度は非常に速いために、可燃混合気がピストンに到達するまでに混ざることは困難である。
<6>燃焼の遅延化。
次に可燃混合気を噴射した際の燃焼行程について説明する。
前記で説明したように、濃度が同一でオクタン価が異なる複数種類の可燃混合気を使用する。
二箇所の噴射弁3からオクタン価の異なる燃料と空気を混合した可燃混合気A、Bを、図1、図2の実施例では平滑なピストン2のヘッドへ向けてほぼ平行に、図3の実施例では皿状部2に向けて噴射する。
この際に、特に吸気工程で噴射すると各可燃混合気A、Bともに燃料と空気とが均質に混合した可燃混合気が得られる。
各可燃混合気A、Bは独立した燃焼ゾーン内にとどまり、両燃焼ゾーンの可燃混合気の混合はスムーズに行われない。
ピストン2が圧縮工程に入り、一定以上の圧縮が進行すると、オクタン価が低い、冷炎を生じやすいほうの可燃混合気が冷炎を発生し、温度上昇が起きる。
それに対して他方の、オクタン価の高い、冷炎を生じにくいほうの可燃混合気は冷炎を生じないために温度上昇がほとんど生じない。
この差によって冷炎を生じやすい可燃混合気を供給した燃焼ゾーン側で先に燃焼が起こる。
この燃焼が、隣接する燃焼ゾーンに伝わり、他方の燃焼ゾーンではそれに遅れて燃焼が生じる。
こうして長い燃焼時間を得ることができ、かつ濃度は均一であるために有害排出ガスであるNOxとススの発生を抑えて運転をすることができる。
<7>縦渦で混合を困難にする構造。
燃焼室内に縦渦を発生させて二種類、あるいは複数種類の可燃混合気の混合を困難にする構造を採用する。
すなわち図8に示すように、吸気ポートに隔壁を設ける。
この隔壁を利用して、隔壁の片側にはオクタン価の低い着火しやすい可燃混合気を、隔壁の反対側にはオクタン価の高い、着火しにくい可燃混合気を、ほぼ並行する状態で供給する構造である。
異なったオクタン価の複数の可燃混合気がほぼ並行に燃焼室1内に噴射されるので、両者は混合しにくく、長い燃焼時間を得ることができる。
しかも濃度は均一であるために有害排出ガスであるNOxとススの発生を抑えて運転をすることができる。
<8>横渦で混合を困難にする構造。
図9に示すように、燃焼室1の周囲の壁面に沿ってオクタン価の高い燃料と空気を均質に混合した可燃混合気を供給し、燃焼室1の中心や他の位置からオクタン価の低い燃料と空気を均質に混合した可燃混合気を噴射する構成を採用することもできる。あるいはその反対の配置も可能である。
その場合に、燃焼室1の断面の円の接線方向からひとつの可燃混合気Aを供給し、中心部などからは、壁面に沿って移動しない方向、例えば燃焼室1の中心線に近い位置と方向で他の可燃混合気Bを供給する。
すると、接線方向から供給した可燃混合気Aは、燃焼室1の壁面に沿って回転しながらピストン面に到達し、他の方向から、例えは中心線に沿って供給した側の可燃混合気Bは、燃焼室1を直線的に進んでピストン面に到達する。
したがって、両可燃混合気A、Bは容易に混合せず、上記したような効果を達成することができる。
なお、図の実施例では燃焼室1の壁面に沿わない噴射弁3は1箇所だけに記載してあるが、これを図1の実施例のように複数個所に採用することも可能である。
その場合に図6、図7に示すように峰状のガイド21を形成し、可燃混合気の移動を案内するピストンを採用することも可能である。
本発明の予混合圧縮着火内燃機関の実施例の説明図。 他の実施例における吸気行程の説明図。 冷炎の発生前の圧縮行程の説明図。 圧縮行程において、冷炎が発生した状態の説明図。 膨張行程の説明図。 ピストンヘッドの一例の斜視図。 ピストンヘッドの他の例の斜視図。 縦渦によって可燃混合気の混合を困難にする構成の説明図。 横渦によって可燃混合気の混合を困難にする構成の説明図。
符号の説明
1:燃焼室
2:ピストン
21:ガイド
3:噴射弁

Claims (6)

  1. 燃料と空気とをあらかじめ混合して可燃混合気を形成し、これらの可燃混合気を燃焼室に噴射して燃焼させる燃焼方法であって、
    燃料と空気とを均質に混合した可燃混合気を複数種類、形成し、
    ひとつの可燃混合気と他の可燃混合気とは、濃度が均一であり、
    かつ、各可燃混合気の混合が困難な状態で、
    混合気温度に差を与えて燃焼を行う、
    予混合圧縮着火内燃機関の燃焼方法。
  2. 燃料と空気とをあらかじめ混合して可燃混合気を形成し、これらの可燃混合気を燃焼室に噴射して燃焼させる内燃機関であって、
    燃料と空気とを均質に混合した可燃混合気を複数種類、形成し、
    ひとつの可燃混合気と他の可燃混合気とは、濃度が均一であり、
    かつ、各可燃混合気の混合が困難な状態で燃焼室内に噴射する、
    予混合圧縮着火内燃機関。
  3. 燃料と空気とをあらかじめ混合して可燃混合気を形成し、これらの可燃混合気を燃焼室に噴射して燃焼させる内燃機関であって、
    燃焼室内に噴射する可燃混合気は、燃料と空気とを均質に混合した複数種類の可燃混合気であり、
    ひとつの可燃混合気と他の可燃混合気とは、
    濃度が同一であって、かつオクタン価の異なる燃料と空気を均質に混合した可燃混合気であり、
    かつ、燃焼室は、噴射した複数種類の可燃混合気の混合を困難にする構造として形成した、
    予混合圧縮着火内燃機関の構造。
  4. 請求項3に記載の複数種類の可燃混合気の混合を困難にする構造として、
    複数系統の可燃混合気供給手段に対応した燃焼ゾーンを形成し、
    燃焼ゾーンの中間に可燃混合気の流れを案内するガイドを設けて構成する、
    予混合圧縮着火内燃機関の構造。
  5. 請求項3に記載の複数種類の可燃混合気の混合を困難にする構造として、
    複数のポートから燃焼室内へ、ほぼ並行に可燃混合気を供給し、縦渦によって各可燃混合気の混合を困難にする、
    予混合圧縮着火内燃機関の構造。
  6. 請求項3に記載の複数種類の可燃混合気の混合を困難にする構造として、
    複数のポートから燃焼室内へ可燃混合気を供給するに際し、
    ひとつの可燃混合気は燃焼室の壁面に沿って噴射し、
    他の可燃混合気は燃焼室の中心軸にほぼ並行に噴射して、各可燃混合気の混合を困難にする、
    予混合圧縮着火内燃機関の構造。
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