JP5162883B2 - 光記録媒体の記録層製膜用スパッタリングターゲット及びその製造方法、並びに光記録媒体の製造方法 - Google Patents
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Description
本出願人は先願(特許文献1参照)において、Bi、Fe、及びOを含む膜を用いた追記型光記録媒体が優れた特性を示すことを開示した。また、この層を形成する方法としてスパッタリング法を用いることも開示した。また、Bi、Fe、及びOを含むスパッタリングターゲットについて特願2005−113466などで開示した。
スパッタリング法は薄膜の気相形成法の1つとして従来から広く知られており、工業的な薄膜製造にも利用されてきた。スパッタリング法では、目的とする膜の成分と同じ成分のターゲット材を用意し、通常は、このターゲット材にグロー放電で発生させたアルゴンガスイオンを衝突させてターゲット材の構成原子を叩き出し、基板上に原子を堆積させることにより製膜が行われる。酸化物は一般に融点が高いため、蒸着法などの方法は好ましくなく、高周波を印加する高周波スパッタリングがよく用いられる。酸化物のような抵抗が高い材料は、直流スパッタリングでの製膜が困難であるため、高周波スパッタリングが用いられる。
従来、高周波スパッタリング法を直流スパッタリング法に切り替える試みとしては、(1)ターゲット材料に導電性を持たせ直流スパッタリングを可能にする方法、(2)直流電源波形を改良する方法が行われており、更には、これら(1)(2)の方法の併用が進められている。
一方、上記(2)の試みとしては、継続して直流電圧を印加する代わりに間欠的に直流電圧を印加する方法(特許文献5)や間欠的に負の電圧を印加する方法(特許文献6)などにより、アーキング等の異常放電を防ぐことなどが試みられている。また、この電源からの試みに関しては、ターゲットが絶縁性のままではターゲット表面のチャージをキャンセルする必要があるため、ターゲット材料の低抵抗化と同時に実施するか、又は、逆バイアスとなる電位を加える(特許文献7)などの手段がとられている。
この問題を解決するため、特許文献8には、直流マグネトロンスパッタリングのための導電性ターゲットとして、非晶質炭素及びターゲットの総重量比基準で少なくとも35体積%のイットリアを含むターゲットが開示されている。また、ここでは非晶質炭素の形成方法として、有機結合体を焼成により炭素以外の成分を熱分解によって飛散させて形成する。炭素以外の成分が飛散した後の孔に炭素皮膜が形成されターゲットは導電性となる。また、ターゲットの密度は理論値に対し約45〜70%のものであるとしている。
この導電性ターゲットによれば、導電性を持たせる材料が炭素の場合、固体となる炭素の酸化物や窒素化物はないので、ターゲット表面の導電性の変化は少ないように思われる。しかし、この発明では炭素以外の成分が飛散した後の孔のため、異常放電の発生が懸念される。更に、孔が生じるのを防ぐことはできないため、ターゲットの密度、強度を高くできない。その結果、機械強度が低くなり、焼結体とバッキングプレートを接合するボンディングの際に割れてしまったり、高出力スパッタを行うとターゲットの割れが発生するため高速製膜を実現できないなどの問題点が懸念される。
また、ダイヤモンド構造を含まない炭素、又は金属以外の導電性無機化合物を混合し、抵抗を小さくする試みも特許文献9で行われている。
Bi、Fe、Oを含む膜を製膜する際、上述のような従来の方法を用いれば、直流スパッタリングで製膜が可能となることは容易に想像できるが、記録層としての特性が確保できるかどうかは不明である。
また、例えば特許文献10に、誘電体膜形成用のスパッタリングターゲットとしてBi系の酸化物のターゲットが開示されている。しかし、この文献にはFeを含むターゲットについての記述はない。構成元素の種類が異なれば、上記ターゲットの組成や構成化合物と膜の構造、組成の関係も異なるため、ターゲットの構成を変える必要があり、この文献
に開示された知見は本発明の参考にはならない。
また、特許文献11には、Bi3Fe5O12の薄膜製造用のターゲットの記述がある。しかし、この文献は、磁気光学効果が大きい、いわゆるガーネット構造の薄膜を製造するためのもので、イオンビームスパッタリング用のターゲットであり、直流スパッタリングが可能となるスパッタリングターゲットの記述はない。
高密度記録が可能な追記型光記録媒体を実現するには、Bi、Fe、及びOを含み、安定した組成、構造を持つ膜が必要となるが、そのためには適切なスパッタリングターゲットが必要となる。しかし、ターゲットを構成する化合物の形態、構造、不純物などが、形成される膜の組成、結晶性などに影響するため、ターゲットを構成する化合物を、必要な膜の特性に適したものとする必要がある。更に、追記型光記録媒体を低コストで作製する必要があるため、直流スパッタリングで製膜を行う必要がある。
しかし、ターゲットの強度、製膜速度の向上という課題が解決できるかは不明である。
<1> BiとFeを含み、比抵抗が10Ωcm以下であることを特徴とするスパッタリングターゲットである。
<2> Bi、Fe、及びOを含み、更に導電性を付与する物質を含むことを特徴とするスパッタリングターゲットである。
<3> BiとFe、又は、Bi、Fe、及びOを含み、化学量論組成よりも酸素が少ない化合物を含む前記<1>から<2>のいずれかに記載のスパッタリングターゲットである。
<4> 酸素を除いた元素のうち、Biが28原子%以上である前記<1>から<3>のいずれかに記載のスパッタリングターゲットである。
<5> 化合物ではなく、金属状態のBiとFeのうち少なくとも1つを含む前記<1>から<4>のいずれかに記載のスパッタリングターゲットである。
<6> 炭素を含む前記<1>から<5>のいずれかに記載のスパッタリングターゲ
ットである。
<7> In、Zn、及びSnのうち少なくとも一種類の元素の酸化物を含む前記<1>から<6>のいずれかに記載のスパッタリングターゲットである。
<8> BiとFe以外の少なくとも1種類の金属を含む前記<1>から<7>のいずれかに記載のスパッタリングターゲットである。
<9> B、Si、Ge、希土類元素、及びその酸化物のうち少なくとも一種類を含む前記<1>から<8>のいずれかに記載のスパッタリングターゲットである。
<10> 充填密度が90%以上である前記<1>から<9>のいずれかに記載のス
パッタリングターゲットである。
<11> 前記<1>から<10>のいずれかに記載のスパッタリングターゲットの製造方法であって、焼結法を用いることを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法である。
<12> 前記<1>から<10>のいずれかに記載のスパッタリングターゲットを用いて製膜したBi、Fe、及びOを含む記録層を有することを特徴とする光記録媒体である。
<13> 前記<1>から<10>のいずれかに記載のスパッタリングターゲットを用いて、直流スパッタリングにより記録層を製膜することを特徴とする光記録媒体の製造方法である。
本発明1は、BiとFeを含み、比抵抗が10Ωcm以下であるスパッタリングターゲットに関する。スパッタリングターゲットの比抵抗が10Ωcm以下になると直流スパッタリングが可能となる。更に1Ωcm以下では、ターゲットの経時変化が起きにくくなり好ましい。更に0.1Ωcm以下では、異常放電が起きにくくなり、直流の投入電力を大きくできるため製膜速度が向上し一層好ましい。比抵抗を10Ωcm以下にするには、例えば、ターゲットに導電性を持たせるような物質を添加したり、酸素を欠損させて抵抗を低くする方法を用いることができる。直流スパッタを行うためには、抵抗率は低いほど好ましいが、10μΩcmより小さくなると、そのスパッタリングターゲットを用いて製膜した光記録媒体の特性が悪くなるため好ましくないので、下限は10μΩcmとする。
BiとFeの割合は、後述するように製膜後の記録層の特性(ジッタ値)から判断すると、Biが28原子%以上で良好な記録特性を示すので、ほぼ100%に至るまで効果があると考えられる。また、記録感度の点からは、Biが50原子%程度以上、ほぼ100%までの範囲が好ましい。酸素は、直流スパッタリングが可能な程度の比抵抗の範囲であれば含んでいても構わない。他の元素は、必要に応じて、Biの割合に配慮しつつ添加すればよい。記録特性、製膜の効率、スパッタリングターゲットの密度、製膜速度の点などを総合的に勘案すると、Bi:Fe=2:1の近傍が最も好ましく、6:5〜3:1の範囲で効果が大きい。この範囲よりもBiが多くなると、記録マークが消え易くなるので好ましくない。
BiとFeは、もともと構成元素として存在するため、膜の特性に影響を及ぼすことが少ない。製膜時にはスパッタリングガスとしてArと酸素の混合ガスを用いて酸素量を制御することで特性の制御が可能である。
焼成法としては、ホットプレス法やHIP法などの加圧加熱焼成法を用いることができる。焼成温度に関しては、ターゲット強度を向上させるためには高温であることが好ましいが、混合物の融点に応じて、融点を超えないように制御する必要がある。
例えば、Bi酸化物、Fe酸化物、及び炭素を混合し、焼結する場合は、最も低融点であるBi酸化物の融点の800℃程度を超えない温度で焼結することが必要である。
このターゲットを用いて、直流スパッタリングで記録層を製膜し、良好な追記型光記録媒体を作製できる。直流スパッタリングで製膜を行うとき、Arと酸素の混合ガスをスパッタガスとして用い製膜することで、安定性の高い記録層が得られる。
記録層の製膜時には、Arと酸素の混合ガス中での製膜により、Bi、Fe、及びOの良好な記録層を作製することができる。
なお、ここでいう充填密度とは、実際に作製したターゲットの重量と、ターゲットの体積を100%目的の物質で占めたときの重量(計算で求める)の比である。即ち、充填密度は次の式で表される。
充填密度=(作製したターゲットの重量/計算で求めた重量)×100(%)
上述したように、組成に該当する化合物があれば、その密度から充填密度を決定するが、組成に該当する物質がなければ、Bi2O3とFe2O3などのように単純な物質の密度を使って充填密度を決定する。例えば、Bi2O3とFe2O3が1:1の組成とする。この組成では、BiFeO3という安定化合物が存在するので、その化合物が生成されているとしてその化合物の密度を文献値と測定値とを比べ、充填密度を計算する。このように化合物が存在しない組成では、X線回折で含まれている物質を決定し、組成を分析してその割合で化合物が含まれているとして充填密度を決定する。例えば、Bi2O3とFe2O3が2:1の組成では、Bi2O3とBiFeO3が1:2で存在しているとして充填密度を計算する。複数の結晶系が存在しているような複雑な系になる組成では、BiとFeの存在する比率でBi2O3とFe2O3が存在しているとして充填密度を計算することができる。
これらのターゲットを用い、酸素ガスを添加して製膜したBiFeO膜を記録層に用いた光記録媒体は良好な特性を示す。
特に効果の高い金属としては、その効果により4グループに分けることができる。
第1は、In、Zn、及びSnのグループ、第2は、Pd、Cu、Ni、Zn、Co、及びLiのグループ、第3は、V、Mo、W、Sn、Ti、Al、Cr、Na、Mg、及びCaのグループ、第4は、Sb及びTeのグループである。第1のグループは、金属として添加することで導電性を付与できるが、もし酸化物となってしまっても、その酸化物は抵抗が低いため、直流スパッタリングが可能である。また、これらの元素を添加することにより、記録特性、保存安定性の向上の効果もある。第2のグループのうちから少なくとも一つの金属元素を添加したものは、特に、ターゲットの強度について効果があり、製膜時に印加する直流電力が大きくなってもターゲットは割れにくく、結果として製膜速度を早くすることが可能であり、そのターゲットを用いて作製した光記録媒体は記録特性も良好であり、効果が大きい。第3のグループのうち少なくとも一つの元素を含むものは、記録層として製膜した光記録媒体の特性を向上させる効果が大きい。第4のグループの元素の少なくとも一つを添加すると、そのターゲットを用いて製膜した後の膜が安定であり、特に非晶質状態の安定性が向上するため、保存安定性の向上の効果が期待できる。また、これらの元素が記録層に取り込まれても記録特性に影響を及ぼさず、むしろ、記録特性、保存安定性が向上する効果もある。Arと酸素ガスの混合ガス中で製膜を行うことにより、製膜された膜は、酸化物の形になり、良好な特性が得られ効果がある。
これらの元素を添加することで、導電性が付与され、直流スパッタリングが可能となるという効果がある。第2のグループは、B及びSiであり、それ自身には導電性はない。しかし、Bi、Fe、B、及びOを含む記録層、又はBi、Fe、Si、及びOを含む記録層は良好な特性を示す。第3のグループは、B、Ge、Y、Ce、Nd、Sm、Gd、Tb、及びDyであり、このグループは、ターゲットの強度を向上させる効果がある。しかし、酸化物の形態で添加されている場合には、酸素を欠損させるためのBiやFeが金属で存在しているなどの方法で導電性を付与することが不可欠となる。B及びGeを酸化物の形で添加した場合、記録特性、保存安定性の向上の効果があると共にターゲットの強度が高くなり、製膜速度の向上効果もあり、効果が大きい。これらの何れの場合にも、製膜中に酸素ガスを適度に導入して製膜することが必要である。
B、Si、及びGeの添加量は0.1〜5重量%程度が好ましい。例えばBの場合を例にとると、Bi:Fe:B=10:4:1〜10:1:4程度の範囲で効果が大きい。Si、Geに関しても同様である。
充填密度が低いスパッタリングターゲットは、強度も低く製膜速度も大きくできない。充填密度が90%以上になると強度が著しく高くなり、製膜速度も向上する。充填密度が70〜80%程度でも、そのターゲットを用いて製膜した光記録媒体は、良好な記録特性を示す場合もある。しかし、この程度の充填密度では、ターゲットは脆く、強度が低いため、製膜時の投入電力を高くできず、製膜速度を大きくできない。80%以上の充填密度では、ターゲットの強度は少し改善されるが、90%以上になると、ターゲットの強度は大きくなる。また、製膜速度が2倍になる場合もあり、効果が大きい。
製造工程の大まかな流れとしては、原料の秤量、乾式ボールミル混合、ホットプレス、成型加工、ボンディングという工程を用いることが可能である。また、秤量、湿式ボールミル混合、スプレードライヤー、ホットプレス、成型加工、ボンディングという手順を用いることも可能である。
これらの粉末を乾式又は湿式で粉砕し、分級して粒径の揃った粉末にする。次いで混合し加熱加圧成型して形状を整えたのち焼成を行う。焼成は大気中で750℃に保持する。一度焼成したものを再度粉砕し加熱加圧成型を行うという工程を繰り返すことによりターゲットの強度を向上させることも可能である。このようにして焼成したターゲットを金属ボンディング又は樹脂ボンディングにより無酸素銅製のバッキングプレートにボンディングすることにより、スパッタリングターゲットが得られる。
ポリカーボネートなどの樹脂基板の上に必要な膜を製膜し光記録媒体とする。樹脂基板にはトラッキングなどの制御を行うための溝やピットを形成しても良い。
真空中でアルゴン及び酸素ガスを導入し、直流電力を印加することによりBi、Fe、及びOを含む記録膜を製膜する。他に反射層としての金属膜や特性向上のための保護層などを設けても良い。
本発明13は、本発明1〜10のスパッタリングターゲットを用いて、直流スパッタリングにより記録層を製膜する光記録媒体の製造方法に関する。これにより、短い製膜時間で製膜が可能となり、光記録媒体のコストを下げることができる。
BiとFe2O3の粉末をBiとFeの原子比が2:1になるように混合し、ボールミルで1時間乾式混合した。この混合粉末をホットプレス法により100〜200MPaで加圧成型し、Ar中270℃で5時間焼成することにより、スパッタリングターゲットを作製した。ターゲットの大きさは、直径76.2mm、厚さ4mmとした。このターゲットを金属ボンディングにより無酸素銅製のバッキングプレートにボンディングし、スパッタリングターゲット1を得た。このターゲットの充填密度は91%、比抵抗は4mΩcmであった。
実施例1で作製したスパッタリングターゲットを用いて光記録媒体を作製した。
案内溝(溝深さ21nm、トラックピッチ0.43μm)を有するポリカーボネート基板上に、スパッタリング法で、膜厚15nmのAl2O3からなる下引層、膜厚13nmのBiFeO膜からなる記録層、膜厚20nmのZnSSiO2(モル比80:20)からなる上引層、膜厚100nmのAlTi(Ti:1重量%)からなる反射層を順に設け、その上にスピンコート法で紫外線硬化型樹脂(サンノプコ社製:ノプコキュア134)からなる膜厚約5μmの保護層を設けて追記型光記録媒体を得た。スパッタリングには、芝浦メカトロニクス製のスパッタリング装置(CFS−8EP−55)を用いた。BiFeO膜の製膜は、Arと酸素の混合ガス中(Ar流量:40sccm、酸素流量:2sccm)、直流スパッタリングで行った。
上記光記録媒体に対し、パルステック工業(株)製の光ディスク評価装置DDU−1000(波長:405nm、NA:0.65)を用いて、以下の条件で二値記録を行った。
・変調方式 : 1−7変調
・記録線密度 : 最短マーク長(2T)=0.204(μm)
・記録線速度 : 6.61(m/s)
その結果、連続記録部において、記録パワーが6.4mWで6.2%という良好なジッタ値(リミットイコライザ使用)が得られ、かつ変調度(Modulated amplitude)62%で、記録極性がHigh to Lowである良好な記録再生特性を実現することができた。また、HD DVD−R規格に準拠した評価では(基板のトラックピッチを0.40μmとした)PRSNR=23、SbER=5.8×10−7となり、非常に良好な記録再生特性が実現できた。なお、PRSNR(Partial Response Signal to Noise Ratio)は、HD DVD−R規格に基づく信号品質を評価する指標である。また、SbER(Simulated bit Error Rate)は、HD DVD−R規格におけるエラーレートを示す値である。
BiとFeの粉末を、BiとFeの原子比が2:1になるように混合し、ボールミルで1時間乾式混合した。この混合粉末をホットプレス法により100〜200MPaで加圧成型し、真空中270℃で5時間焼成することによりスパッタリングターゲットを作製した。ターゲットの大きさは、直径76.2mm、厚さ4mmとした。このターゲットを金属ボンディングにより無酸素銅製のバッキングプレートにボンディングし、スパッタリングターゲット2を得た。このターゲットの充填密度は93%、比抵抗は、83μΩcmであった。
実施例3で作製したスパッタリングターゲットを用いて光記録媒体を作製した。
案内溝(溝深さ21nm、トラックピッチ0.43μm)を有するポリカーボネート基板上に、スパッタリング法で、膜厚15nmのAl2O3からなる下引層、膜厚8nmのBiFeO膜からなる記録層、膜厚14nmのZnSSiO2(モル比80:20)からなる上引層、膜厚100nmのAlTi(Ti:1重量%)からなる反射層を順に設け、その上にスピンコート法で紫外線硬化型樹脂(サンノプコ社製:ノプコキュア134)からなる膜厚約5μmの保護層を設けて追記型光記録媒体を得た。スパッタリングには、芝浦メカトロニクス製のスパッタリング装置(CFS−8EP−55)を用いた。BiFeO膜の製膜は、Arと酸素の混合ガス中(Ar流量:40sccm、酸素流量:1sccm)、直流スパッタリングで行った。
上記光記録媒体に対し、パルステック工業(株)製の光ディスク評価装置DDU−1000(波長:405nm、NA:0.65)を用いて、以下の条件で二値記録を行った。
・変調方式 : 1−7変調
・記録線密度 : 最短マーク長(2T)=0.204(μm)
・記録線速度 : 6.61(m/s)
その結果、連続記録部において、記録パワーが5.6mWで5.2%という良好なジッタ値(リミットイコライザ使用)が得られ、かつ変調度(Modulated amplitude)65%で、記録極性がHigh to Lowである良好な記録再生特性を実現することができた。また、HD DVD−R規格に準拠した評価では(基板のトラックピッチを0.40μmとした)PRSNR=19、SbER=4.3×10−6となり、非常に良好な記録再生特性が実現できた。
Bi2O3とFeの粉末をBiとFeの原子比が15:5になるように混合し、ボールミルで1時間乾式混合した。この混合粉末をホットプレス法により100〜200MPaで加圧成型し、Ar中780℃で3時間焼成することによりスパッタリングターゲットを作製した。ターゲットの大きさは、直径76.2mm、厚さ4mmとした。このターゲットを金属ボンディングにより無酸素銅製のバッキングプレートにボンディングし、スパッタリングターゲット3を得た。このターゲットの充填密度は95%、比抵抗は0.8Ωcmであった。
実施例5で作製したスパッタリングターゲットを用いて光記録媒体を作製した。
案内溝(溝深さ21nm、トラックピッチ0.43μm)を有するポリカーボネート基板上に、スパッタリング法で、膜厚15nmのAl2O3からなる下引層、膜厚5nmのBiFeO膜からなる記録層、膜厚20nmのZnSSiO2(モル比80:20)からなる上引層、膜厚100nmのAlTi(Ti:1重量%)からなる反射層を順に設け、その上にスピンコート法で紫外線硬化型樹脂(サンノプコ社製:ノプコキュア134)からなる膜厚約5μmの保護層を設けて追記型光記録媒体を得た。スパッタリングには、芝浦メカトロニクス製のスパッタリング装置(CFS−8EP−55)を用いた。BiFeO膜の製膜は、Arと酸素の混合ガス中(Ar流量:40sccm、酸素流量:2sccm)、直流スパッタリングで行った。
上記光記録媒体に対し、パルステック工業(株)製の光ディスク評価装置DDU−1000(波長:405nm、NA:0.65)を用いて、以下の条件で二値記録を行った。
・変調方式 : 1−7変調
・記録線密度 : 最短マーク長(2T)=0.204(μm)
・記録線速度 : 6.61(m/s)
その結果、連続記録部において、記録パワーが5.8mWで6.5%という良好なジッタ値(リミットイコライザ使用)が得られ、かつ変調度(Modulated amplitude)66%を有する、記録極性がHigh to Lowである良好な記録再生特性を実現することができた。また、HD DVD−R規格に準拠した評価では(基板のトラックピッチを0.40μmとした)PRSNR=21、SbER=2.1×10−6となり、非常に良好な記録再生特性が実現できた。
Bi2O3、Fe2O3、In2O3の粉末をBi、Fe、Inの原子比が10:1:6になるように混合し、エタノールを加え、ボールミルで1時間湿式混合した。この混合粉末をホットプレス法により50〜100MPaで加圧成型し、真空中780℃で5時間焼成することによりスパッタリングターゲットを作製した。ターゲットの大きさは、直径76.2mm、厚さ4mmとした。このターゲットを金属ボンディングにより無酸素銅製のバッキングプレートにボンディングし、スパッタリングターゲット4を得た。このターゲットの充填密度は94%、比抵抗は、8.4Ωcmであった。
実施例7で作製したスパッタリングターゲットを用いて光記録媒体を作製した。
案内溝(溝深さ21nm、トラックピッチ0.43μm)を有するポリカーボネート基板上に、スパッタリング法で、膜厚15nmのAl2O3からなる下引層、膜厚13nmのBiFeInO膜からなる記録層、膜厚20nmのZnSSiO2(モル比80:20)からなる上引層、膜厚100nmのAlTi(Ti:1重量%)からなる反射層を順に設け、その上にスピンコート法で紫外線硬化型樹脂(サンノプコ社製:ノプコキュア134)からなる膜厚約5μmの保護層を設けて追記型光記録媒体を得た。スパッタリングには、芝浦メカトロニクス製のスパッタリング装置(CFS−8EP−55)を用いた。BiFeInO膜の製膜は、Arと酸素の混合ガス中(Ar流量:40sccm、酸素4sccm)、直流スパッタリングで行った。
上記光記録媒体に対し、パルステック工業(株)製の光ディスク評価装置DDU−1000(波長:405nm、NA:0.65)を用いて、以下の条件で二値記録を行った。
・変調方式 : 1−7変調
・記録線密度 : 最短マーク長(2T)=0.204(μm)
・記録線速度 : 6.61(m/s)
その結果、連続記録部において、記録パワーが6.2mWで5.8%という良好なジッタ値(リミットイコライザ使用)が得られ、かつ変調度(Modulated amplitude)60%で、記録極性がHigh to Lowである良好な記録再生特性を実現することができた。また、HD DVD−R規格に準拠した評価では(基板のトラックピッチを0.40μmとした)PRSNR=27、SbER=1.1×10−8となり、非常に良好な記録再生特性が実現された。
Bi2O3、Fe2O3、ZnO、In2O3の粉末をBi、Fe、Zn、Inの原子比が10:1:1:5になるように混合し、エタノールを加え、ボールミルで1時間湿式混合した。この混合粉末を、ホットプレス法により50〜100MPaで加圧成型し、真空中780℃で5時間焼成することによりスパッタリングターゲットを作製した。ターゲットの大きさは、直径76.2mm、厚さ4mmとした。このターゲットを金属ボンディングにより無酸素銅製のバッキングプレートにボンディングし、スパッタリングターゲット5を得た。このターゲットの充填密度は93%、比抵抗は、0.02Ωcmであった。
実施例9で作製したスパッタリングターゲットを用いて光記録媒体を作製した。
案内溝(溝深さ21nm、トラックピッチ0.43μm)を有するポリカーボネート基板上に、スパッタリング法で、膜厚15nmのAl2O3からなる下引層、膜厚13nmのBiFeZnInO膜からなる記録層、膜厚20nmのZnSSiO2(モル比80:20)からなる上引層、膜厚100nmのAlTi(Ti:1重量%)からなる反射層を順に設け、その上にスピンコート法で紫外線硬化型樹脂(サンノプコ社製:ノプコキュア134)からなる膜厚約5μmの保護層を設けて追記型光記録媒体を得た。スパッタリングには、芝浦メカトロニクス製のスパッタリング装置(CFS−8EP−55)を用いた。BiFeZnInO膜の製膜は、Arと酸素の混合ガス中(Ar流量:40sccm、酸素4sccm)、直流スパッタリングで行った。
上記光記録媒体に対し、パルステック工業(株)製の光ディスク評価装置DDU−1000(波長:405nm、NA:0.65)を用いて、以下の条件で二値記録を行った。
・変調方式 : 1−7変調
・記録線密度 : 最短マーク長(2T)=0.204(μm)
・記録線速度 : 6.61(m/s)
その結果、連続記録部において、記録パワーが6.2mWで5.8%という良好なジッタ値(リミットイコライザ使用)が得られ、かつ変調度(Modulated amplitude)60%で、記録極性がHigh to Lowである良好な記録再生特性を実現することができた。また、HD DVD−R規格に準拠した評価では(基板のトラックピッチを0.40μmとした)PRSNR=26、SbER=9.1×10−8となり、非常に良好な記録再生特性が実現できた。
Bi2O3、Fe2O3、カーボンの粉末をBi、Fe、カーボンの原子比が10:5:3になるように混合し、エタノールを加え、ボールミルで1時間湿式混合した。この混合粉末をホットプレス法により50〜100MPaで加圧成型し、Ar中810℃で5時間焼成することによりスパッタリングターゲットを作製した。ターゲットの大きさは、直径76.2mm、厚さ4mmとした。このターゲットを金属ボンディングにより無酸素銅製のバッキングプレートにボンディングし、スパッタリングターゲット6を得た。このターゲットの充填密度は92%、比抵抗は、1.3mΩcmであった。
実施例11で作製したスパッタリングターゲットを用いて光記録媒体を作製した。
案内溝(溝深さ21nm、トラックピッチ0.43μm)を有するポリカーボネート基板上に、スパッタリング法で、膜厚10nmのAl2O3からなる下引層、膜厚13nmのBiFeO膜からなる記録層、膜厚20nmのZnSSiO2(モル比80:20)からなる上引層、膜厚100nmのAlTi(Ti:1重量%)からなる反射層を順に設け、その上にスピンコート法で紫外線硬化型樹脂(サンノプコ社製:ノプコキュア134)からなる膜厚約5μmの保護層を設けて追記型光記録媒体を得た。スパッタリングには、芝浦メカトロニクス製のスパッタリング装置(CFS−8EP−55)を用いた。BiFeO膜の製膜は、Arと酸素の混合ガス中(Ar流量:40sccm、酸素:2sccm)、直流スパッタリングで行った。
上記光記録媒体に対し、パルステック工業(株)製の光ディスク評価装置DDU−1000(波長:405nm、NA:0.65)を用いて、以下の条件で二値記録を行った。
・変調方式 : 1−7変調
・記録線密度 : 最短マーク長(2T)=0.204(μm)
・記録線速度 : 6.61(m/s)
その結果、連続記録部において、記録パワーが6.5mWで5.9%という良好なジッタ値(リミットイコライザ使用)が得られ、かつ変調度(Modulated amplitude)60%で、記録極性がHigh to Lowである良好な記録再生特性を実現することができた。また、HD DVD−R規格に準拠した評価では(基板のトラックピッチを0.40μmとした)PRSNR=24、SbER=9.1×10−8となり、非常に良好な記録再生特性が実現できた。
実施例3と同様にしてBiとFeを用いてスパッタリングターゲットを作製した。但し、Biの割合を表1に示したように変化させたものを作製した。Biの割合が17(原子%)のターゲットの充填密度は、97%、比抵抗は、27.68μΩcmであり、Biの割合が28.6(原子%)のターゲットの充填密度は、90%、比抵抗は、39.89μΩcmであり、Biの割合が37.5(原子%)のターゲットの充填密度は、85%、比抵抗は、49.25μΩcmであり、Biの割合が44.4(原子%)のターゲットの充填密度は、81%、比抵抗は、56.51μΩcmであり、Biの割合が50(原子%)のターゲットの充填密度は、88%、比抵抗は、62.4μΩcmであり、Biの割合が54.5(原子%)のターゲットの充填密度は、91%、比抵抗は、67.13μΩcmであり、Biの割合が87.5(原子%)のターゲットの充填密度は、96%、比抵抗は、101.85μΩcmであり、Biの割合が99(原子%)のターゲットの充填密度は、99%、比抵抗は、113.95μΩcmである。
これらのスパッタリングターゲットを用いて光記録媒体を作製した。
案内溝(溝深さ50nm、トラックピッチ0.46μm)を有するポリカーボネート基板上に、スパッタリング法で、膜厚20nmのZnSSiO2(モル比80:20)からなる下引層、膜厚10nmのBiFeO膜からなる記録層を順に製膜し、その上に、スピンコート法で、〔化1〕で示される色素からなる有機材料薄膜(平均膜厚約30nm)を設け、その上に、スパッタリング法で膜厚150nmのAg反射層を設け、更にその上に、スピンコート法で紫外線硬化型樹脂(サンノプコ社製:ノプコキュア134)からなる膜厚約5μmの保護層を設けて追記型光記録媒体を得た。スパッタリングには、ULVAC製のスパッタリング装置(SBH−2306E)を用いた。BiFeO膜の製膜は、Arと酸素の混合ガス中(Ar流量:40sccm、酸素:0.8sccm)、直流スパッタリングで行った。
・変調方式 : 8−16変調
・記録線密度 : 最短マーク長(3T)=0.275(μm)
・記録線速度 : 6.0(m/s)
記録パワー(Pw)、各ターゲット中のBiの割合(原子%)、即ち、100×Bi/(Bi+Fe)、ノーマルイコライザを用いて得られた各光記録媒体のジッタ値を表1に示した。また、Biの割合とジッタ値の関係を図1に示した。
本実施例の各スパッタリングターゲットは、全て直流スパッタリングが可能であるが、Biが28原子%程度以上でジッタ値が小さくなり、その後、Biの割合が増加してもほぼ一定の値をとり、Biが99原子%においても良好な低ジッタ値を保っている。また、Biターゲットを用いて上記と同様にして追記型光記録媒体を作製し記録を行った場合のジッタ値は、9.2%となる。これらの結果から、ジッタ値からみた好ましいBiの範囲は、0.28≦Bi/(Bi+Fe)となる。
なお、本実施例では、BiとFeからなるスパッタリングターゲットを用いたが、Bi、Fe、Oを含み更に導電性を付与する物質を含む場合、BiとFe、又は、Bi、Fe、Oを含み、化学量論組成よりも酸素が少ない化合物を含む場合においても、同様な傾向にある。
Bi2O3、Bi、Fe3O4の粉末をモル比が27:6:10になるように混合し、ボールミルで1時間乾式混合した。この混合粉末をホットプレス法により100〜200MPaで加圧成型し、真空中270℃で5時間焼成することにより、スパッタリングターゲットを作製した。ターゲットの大きさは、直径76.2mm、厚さ4mmとした。このターゲットを金属ボンディングにより無酸素銅製のバッキングプレートにボンディングし、スパッタリングターゲットを得た。これと同様に粉末の比だけを変えて作製したスパッタリングターゲットの充填密度、比抵抗などを表2に示した。
これらのスパッタリングターゲットを用いて、Arと酸素の混合ガス中(流量比Ar:O2=40:0.8)で直流スパッタリングによりBiFeO記録層を製膜した。
その結果、1〜10Ωcm程度の比抵抗を持つものは直流でスパッタリングが可能であったが、高い直流電力では異常放電が起き製膜できなかった。低い電力では正常な放電が可能であったが、時間を経るとともに電流が流れにくくなり異常放電するようになった。
これに対し、比抵抗が0.1〜1Ωcmでは、放電が不可能になるような異常放電はなくなり、継続的な製膜が可能となった。比抵抗が0.1Ωcm以下では、異常放電が起きることはなかった。
Bi3NiとFeNi3の粉末をBiとFeの原子比が2:5になるように混合し、ボールミルで1時間乾式混合した。この混合粉末をホットプレス法により100〜200MPaで加圧成型し、Ar中450℃で10時間焼成することにより、スパッタリングターゲットを作製した。ターゲットの大きさは、直径76.2mm、厚さ4mmとした。このターゲットを金属ボンディングにより無酸素銅製のバッキングプレートにボンディングし、スパッタリングターゲットを得た。このターゲットの充填密度は、98%、ターゲットの比抵抗は、10μΩcm程度であった。
このスパッタリングターゲットを用いて記録層を製膜した点以外は、実施例1と同様にして光記録媒体を作製し評価したところ、ジッタ値9.6と良好な特性を示した。
本実施例16では図2のようにターゲット表面に溝を設けた。これにより、溝から磁束が漏れやすくなり、マグネトロンスパッタリングによる製膜が容易になる。
Bi2O3とα−Fe2O3の粉末をBiとFeの原子比が2:1になるように混合し、エタノールを加え、ボールミルで1時間湿式混合した。この混合粉末をホットプレス法により、50〜100MPaで加圧成型し、真空中、810℃で5時間焼成した。その後、溝を形成するなどの加工を行ってターゲットを作製した。ターゲットの大きさは、直径76.2mmφ、厚さ4mmとした。このターゲットを金属ボンディングにより無酸素銅製のバッキングプレートにボンディングし、ターゲットを得た。真空中で焼結したため、ターゲットの充填密度は92%、比抵抗は、8.5Ωcmであり、酸素が欠損したため、若干強磁性的な性質となった。
実施例16で作製したターゲットを用いて光記録媒体を作製した。
案内溝(溝深さ21nm、トラックピッチ0.43μm)を有するポリカーボネート基板上に、スパッタリング法で、膜厚10nmのAl2O3層、膜厚13nmのBiFeO層、膜厚20nmのZnS・SiO2層、膜厚100nmのAg層を順に設け、更にその上に、スピンコート法で、紫外線硬化型樹脂(サンノプコ社製:ノプコキュア134)からなる膜厚約5μmの保護層を設けて追記型光記録媒体を得た。スパッタリング製膜には、UNAXIS製のスパッタリング装置(DVD Sprinter)を用いた。スパッタリング条件は、Ar流量:20sccm、電力:1.2kWである。ターゲットをボンディングした無酸素銅製のバッキングプレートの裏面には、マグネトロンスパッタリング用のマグネットが配置されている。BiFeO層の製膜は、Arと酸素の混合ガス中(Ar流量:40sccm、酸素流量:4sccm)でRFマグネトロンスパッタリングにより行った。 上記光記録媒体に対し、パルステック工業(株)製の光ディスク評価装置DDU−1000(波長:405nm、NA:0.65)を用いて、以下の条件で二値記録を行った。
・変調方式 : 1−7変調
・記録線密度 : 最短マーク長(2T)=0.204(μm)
・記録線速度 : 6.61(m/s)
その結果、連続記録部において、記録パワーが9.8mWで5.2%というジッタ値(リミットイコライザ使用)が得られ、かつ変調度(Modulated amplitude)55%で、記録極性がHigh to Lowである良好な記録再生特性を実現することができた。また、HD DVD−R規格に準拠した評価では(基板のトラックピッチを0.40μmとした)、PRSNR=27、SbER=2.3×10−8が得られ、非常に良好な記録再生特性が実現できた。
Bi2O3とFe2O3の粉末をBiとFeの原子比が2:1になるように混合し、ボールミルで1時間乾式混合した。この混合粉末を、ホットプレス法により、100〜200MPaで加圧成型し、大気中780℃で5時間焼成することによりスパッタリングターゲットを作製した。ターゲットの大きさは、直径200mmφ、厚さ6mmとした。このターゲットを金属ボンディングにより無酸素銅製のバッキングプレートにボンディングし、スパッタリングターゲットを得た。このターゲットの充填密度は97%、比抵抗は1,000Ωcm以上であった。比抵抗が大きいため、高周波スパッタリングにより製膜を行った。
また、Bi2O3とFeの粉末をBiとFeの原子比が2:1になるように混合し、ボールミルで1時間乾式混合した。この混合粉末をホットプレス法により100〜300MPaで加圧成型し、Ar中800℃で5時間焼成することにより、スパッタリングターゲットを作製した。ターゲットの大きさは、直径200mmφ、厚さ6mmとした。このターゲットを金属ボンディングにより無酸素銅製のバッキングプレートにボンディングし、スパッタリングターゲットを得た。このターゲットは、酸素欠損状態であり、このターゲットの充填密度は96%、比抵抗は6mΩcmであった。Arと酸素の混合ガス中で直流スパッタリングによりBi―Fe―O記録層を製膜した。直流スパッタリングを用いることにより、製膜速度が上記比較例1の1.3倍となった。また、酸素を導入して製膜を行うことにより、膜中の酸素量制御が良好となり、再現性良く光記録媒体を量産可能となった。また、酸素量を若干酸素欠損させることにより、光記録媒体への記録時の感度も向上するという効果もあった。
また、Bi2O3とFe2O3と炭素の粉末をモル比が6:1:3になるように混合し、ボールミルで1時間乾式混合した。この混合粉末をホットプレス法により100〜300MPaで加圧成型し、大気中800℃で5時間焼成することにより、スパッタリングターゲットを作製した。ターゲットの大きさは、直径200mmφ、厚さ6mmとした。このターゲットを金属ボンディングにより無酸素銅製のバッキングプレートにボンディングし、スパッタリングターゲットを得た。このターゲットの充填密度は96%、比抵抗は7mΩcmであった。Arガス中で直流スパッタリングにより記録層を製膜した。記録層での光の吸収が大きくなり、光記録媒体への記録時の感度も向上するという効果があった。
また、Bi2O3とFe2O3とZnOの粉末をモル比が6:1:3になるように混合し、ボールミルで1時間乾式混合した。この混合粉末をホットプレス法により100〜300MPaで加圧成型し、大気中800℃で5時間焼成することにより、スパッタリングターゲットを作製した。ターゲットの大きさは、直径200mmφ、厚さ6mmとした。このターゲットを金属ボンディングにより無酸素銅製のバッキングプレートにボンディングし、スパッタリングターゲットを得た。このターゲットの充填密度は99%、比抵抗は7mΩcmであった。Arガス中で直流スパッタリングによりBi―Fe―Zn−O記録層を製膜した。製膜速度が上記比較例1の1.7倍となり、生産性が向上する効果があった。また、ターゲットの充填密度が96%よりも高いので、再現性良く光記録媒体を量産することができる。また、記録層での光の吸収が大きくなり、光記録媒体への記録時の感度も向上するという効果もあった。
また、Bi2O3とFe2O3とAlの粉末をモル比が6:2:2になるように混合し、ボールミルで1時間乾式混合した。この混合粉末をホットプレス法により100〜300MPaで加圧成型し、大気中600℃で5時間焼成することにより、スパッタリングターゲットを作製した。ターゲットの大きさは、直径200mmφ、厚さ6mmとした。このターゲットを金属ボンディングにより無酸素銅製のバッキングプレートにボンディングし、スパッタリングターゲットを得た。このターゲットの充填密度は96%、比抵抗は3mΩcmであった。Arと酸素の混合ガス中で直流スパッタリングにより記録層を製膜した。
また、BiとB2O3とFe2O3の粉末をモル比が6:3:1になるように混合し、ボールミルで1時間乾式混合した。この混合粉末をホットプレス法により100〜300MPaで加圧成型し、大気中270℃で5時間焼成することにより、スパッタリングターゲットを作製した。ターゲットの大きさは、直径200mmφ、厚さ6mmとした。このターゲットを金属ボンディングにより無酸素銅製のバッキングプレートにボンディングし、スパッタリングターゲットを得た。このターゲットの充填密度は96%、比抵抗は10mΩcmであった。Arと酸素の混合ガス中で直流スパッタリングにより記録層を製膜した。
Bi2O3とFe2O3の粉末をBiとFeの原子比が2:1になるように混合し、ボールミルで1時間乾式混合した。この混合粉末をホットプレス法により100〜200MPaで加圧成型し、大気中780℃で5時間焼成することにより、スパッタリングターゲットを作製した。ターゲットの大きさは、直径76.2mm、厚さ4mmとした。このターゲットを金属ボンディングにより無酸素銅製のバッキングプレートにボンディングし、スパッタリングターゲットを得た。このターゲットの充填密度は71%、比抵抗は1MΩcm以上であった。
このスパッタリングターゲットを用いて直流スパッタリングを試みたが、プラズマ放電が起きず、製膜できなかった。
Bi2O3とFe2O3の粉末をBiとFeの原子比が2:5になるように混合し、ボールミルで1時間乾式混合した。この混合粉末を100〜200MPaで加圧成型し、Ar中810℃で5時間焼成することによりスパッタリングターゲットを作製した。ターゲットの大きさは、直径200mmφ、厚さ4mmとした。このターゲットを金属ボンディングにより無酸素銅製のバッキングプレートにボンディングし、スパッタリングターゲットを得た。このターゲットの充填密度は94%、比抵抗は1,000Ωcm以上であった。
次いで、上記のターゲットを用いて追記型光記録媒体を作製した。
即ち、案内溝(溝深さ21nm、トラックピッチ0.43μm、図示せず)を有するポリカーボネート基板上に、スパッタリング法を用いて、膜厚15nmのAl2O3からなる下引層、膜厚13nmのBiFeOからなる記録層、膜厚20nmのZnSSiO2(モル比80:20)からなる上引層、膜厚100nmのAlTi(Ti:1重量%)からなる反射層を順に設け、更にその上に、スピンコート法で紫外線硬化型樹脂(日本化薬社製アクリル樹脂:A081)からなる膜厚約5μmの保護層を設けて追記型光記録媒体を得た。スパッタリングには、Unaxis製のDVDスプリンタ装置を用いた。
この「Unaxis製のDVDスプリンタ装置」という記述は、「Unaxis社製のDVD sprinterという製膜装置」を意味する。なお、直径76.2mmのターゲットの場合は、CFS−8EP−55という製膜装置を用いて製膜し、直径200mmのターゲットの場合は、Unaxis社製のDVD sprinterという製膜装置を用いて製膜する。
上記光記録媒体に対し、パルステック工業(株)製の光ディスク評価装置DDU−1000(波長:405nm、NA:0.65)を用いて、以下の条件で二値記録を行った。
・変調方式 : 1−7変調
・記録線密度 : 最短マーク長(2T)=0.204(μm)
・記録線速度 : 6.61(m/s)
そして、1,000枚おきに10枚抜き取って特性を比較した結果、2,000枚目以降は、連続記録部において、PRSNR=20未満となった。
Claims (10)
- Bi、Fe、Bi酸化物、及びFe酸化物を混合し焼結して得られ、Bi、Fe、O、及び化学量論組成よりも酸素が少ない化合物を含むことを特徴とする光記録媒体の記録層製膜用スパッタリングターゲット。
- 酸素を除いた元素のうち、Biが28原子%以上である請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
- 化合物ではなく、金属状態のBiとFeのうち少なくとも1つを含む請求項1から2のいずれかに記載のスパッタリングターゲット。
- 炭素を含む請求項1から3のいずれかに記載のスパッタリングターゲット。
- In、Zn、及びSnのうち少なくとも1種類の元素の酸化物を含む請求項1から4のいずれかに記載のスパッタリングターゲット。
- BiとFe以外の少なくとも1種類の金属を含む請求項1から5のいずれかに記載のスパッタリングターゲット。
- B、Si、Ge、希土類元素、及びその酸化物のうち少なくとも1種類を含む請求項1から6のいずれかに記載のスパッタリングターゲット。
- 充填密度が90%以上である請求項1から7のいずれかに記載のスパッタリングターゲット。
- 請求項1から8のいずれかに記載の光記録媒体の記録層製膜用スパッタリングターゲットの製造方法であって、焼結法を用いることを特徴とする光記録媒体の記録層製膜用スパッタリングターゲットの製造方法。
- 請求項1から8のいずれかに記載の光記録媒体の記録層製膜用スパッタリングターゲットを用いて、直流スパッタリングにより記録層を製膜することを特徴とする光記録媒体の製造方法。
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