JP5162534B2 - 二方向クラッチ - Google Patents

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本発明は、ロック状態においてインナーロータからアウターロータへの任意の回転方向のトルク伝達と、アウターロータからインナーロータへの任意の回転方向のトルク伝達とが可能であり、かつフリー状態においてインナーロータおよびアウターロータ間のトルク伝達を完全に遮断することが可能な二方向クラッチに関する。
かかる二方向クラッチは、下記特許文献1により公知である。
この二方向クラッチは、駆動部材および従動部材間に係合子を保持する保持器を配置し、保持器を従動部材に結合してフリー状態を実現する位置と、保持器を従動部材から結合解除してロック状態を実現する位置との間を油圧で移動可能な結合部材を設け、この結合部材を前記二つの位置の一方にスプリングの弾発力で保持するとともに、前記二つの位置の他方に電磁マグネットの吸着力で保持するようになっている。
特許第3535622号公報
ところで上記従来のものは、二方向クラッチがフリー状態あるいはロック状態にある間、電磁マグネットを継続的に作動させることでスプリングの弾発力に抗して結合部材を吸着し続けなくてはならず、電磁マグネットの消費エネルギーが増加する問題があった。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、二方向クラッチのフリー状態およびロック状態を切り替えるアクチュエータの消費エネルギーを節減することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、共通の軸線まわりに相互に独立して回転可能に配置されたアウターロータおよびインナーロータと、前記アウターロータの内周面および前記インナーロータの外周面間に配置された複数の係合子と、前記アウターロータの内周面および前記インナーロータの外周面間に配置されて前記係合子を所定の位相に保持するケージと、軸線方向に前後進して前記ケージに凹凸係合可能なスライダと、前記凹凸係合を確立すべく前記スライダを前進方向に駆動するアクチュエータと、前記凹凸係合を解除すべく前記スライダを後進方向に付勢するスプリングと、前記アウターロータおよび前記インナーロータの一方のロータに軸線方向移動不能に支持されたロータリガイドと、前記ロータリガイドに相対回転不能かつ軸線方向移動可能に支持されてアクチュエータの駆動力を前記スライダに伝達するロータリカムと、前記ロータリカムおよび前記ロータリガイドと前記スライダとが当接する部分に形成されたカム面とを備え、前記スライダが前記アクチュエータの駆動力で前進した後に前記スプリングの弾発力で後進する度に、前記カム面に発生する円周方向の荷重で、前記スライダが前記ロータリガイドおよび前記ロータリカムに対して所定角度ずつ相対回転して第1位置関係および第2位置関係で交互に停止し、前記第1位置関係において前記スライダは前記ロータリガイドに対して前記凹凸係合を確立する位置にあり、前記一方のロータに前記ケージを拘束することで前記アウターロータおよび前記インナーロータの両方向の相対回転を可能にし、前記第2位置関係において前記スライダは前記ロータリガイドに対して前記凹凸係合を解除する位置にあり、前記一方のロータから前記ケージを解放することで前記アウターロータおよび前記インナーロータの両方向の相対回転を不能にすることを特徴とする二方向クラッチが提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記インナーロータの外周面が非円形形状であり、前記ケージは前記インナーロータに結合されることを特徴とする二方向クラッチが提案される。
また請求項3に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記アウターロータの内周面が非円形形状であり、前記ケージは前記アウターロータに結合されることを特徴とする二方向クラッチが提案される。
また請求項4に記載された発明によれば、前記一方のロータに径方向摺動可能に支持されたピンを備え、前記スライダは前記ピンを介して前記ケージに凹凸係合することを特徴とする二方向クラッチが提案される。
また請求項5に記載された発明によれば、請求項1〜請求項4の何れか1項の構成に加えて、前記インナーロータは軸部を一体に備え、前記軸部の外周に前記スライダ、前記ロータリカムおよび前記ロータリガイドを支持したことを特徴とする二方向クラッチが提案される。
尚、実施の形態のローラ14は本発明の係合子に対応し、実施の形態のコイルスプリング18は本発明のスプリングに対応する。
請求項1の構成によれば、スライダが前進して係合子を保持するケージをアウターロータおよびインナーロータの一方のロータに結合すると、アウターロータおよびインナーロータ間のトルク伝達が遮断されて両ロータは自由に相対回転できるようになり、逆にスライダが後進して係合子を保持するケージを前記一方のロータから結合解除すると、アウターロータおよびインナーロータ間のトルク伝達が可能になって両ロータは一体に回転できるようになる。
前記一方のロータに対して軸線方向移動不能なロータリガイドに相対回転不能かつ軸線方向移動可能に支持したロータリカムを、アクチュエータでスプリングの弾発力に抗して前進方向に駆動する度に、ロータリカムおよびロータリガイドとスライダとが当接する部分に形成されたカム面の作用で、ロータリカムおよびロータリガイドが所定角度ずつ回転して第1位置関係および第2位置関係で交互に停止する。ロータリガイドが第1位置関係で停止したときにはスライダは凹凸係合を確立する位置にあり、前記一方のロータにケージを拘束することで両ロータの両方向の相対回転を可能にするフリー状態を確立し、ロータリガイドが第2位置関係に停止したときにはスライダは前記凹凸係合を解除する位置にあり、前記一方のロータからケージを解放することで両ロータの両方向の相対回転を不能にするロック状態を確立する。アクチュエータは、前記フリー状態および前記ロック状態を切り替えるときだけスプリングの弾発力に抗して作動すれば良く、前記フリー状態または前記ロック状態の確立中に継続的に作動する必要がないため、その消費エネルギーを大幅に節減することができる。
また請求項2の構成によれば、インナーロータの外周面を非円形形状とし、そのインナーロータにケージを結合するので、インナーロータおよびアウターロータ間に係合子を噛み込ませてインナーロータおよびアウターロータの両方向の相対回転を不能にすることができる。
また請求項3の構成によれば、アウターロータの内周面を非円形形状とし、そのアウターロータにケージを結合するので、インナーロータおよびアウターロータ間に係合子を噛み込ませてインナーロータおよびアウターロータの両方向の相対回転を不能にすることができる。
また請求項4の構成によれば、アウターロータおよびインナーロータの一方のロータにピンを径方向摺動可能に支持し、スライダがピンを介してケージに凹凸係合するので、スライダをケージの径方向内側に配置して二方向クラッチの軸線方向寸法を短縮することができる。
また請求項5の構成によれば、インナーロータと一体の軸部の外周にスライダ、ロータリカムおよびロータリガイドを支持したので、インナーロータに対するスライダ、ロータリカムおよびロータリガイドの位置精度が向上してスムーズな作動が可能になるだけでなく、インナーロータおよび軸部を別部材で構成する場合に比べて二方向クラッチの軸線方向寸法を小型化することができる。
二方向クラッチの組立状態での斜視図(第1の実施の形態)。 二方向クラッチの分解斜視図(第1の実施の形態)。 ロック状態に対応する図1の3−3線断面図(第1の実施の形態)。 図3の4−4線断面図(第1の実施の形態)。 図3の5−5線断面図(第1の実施の形態)。 図3の6−6線断面図(第1の実施の形態)。 図3の7−7線断面図(第1の実施の形態)。 スライダの単品図(第1の実施の形態)。 押圧状態に対応する図1の3−3線断面図(第1の実施の形態)。 図9の10−10線断面図(第1の実施の形態)。 図9の11−11線断面図(第1の実施の形態)。 作用説明図(第1の実施の形態)。 作用説明図(第1の実施の形態)。 フリー状態に対応する図1の3−3線断面図(第1の実施の形態)。 ロック状態に対応する二方向クラッチの縦断面図(第2の実施の形態)。 図15の16−16線断面図(第2の実施の形態)。 図16の17−17線断面図(第2の実施の形態)。 押圧状態に対応する二方向クラッチの縦断面図(第2の実施の形態)。 フリー状態に対応する二方向クラッチの縦断面図(第2の実施の形態)。
以下、図1〜図14に基づいて本発明の第1の実施の形態を説明する。
図1〜図7に示すように、二方向クラッチCは、軸線L上に回転自在に配置されたインナーロータ11と、インナーロータ11の外周面を囲むように軸線L上に配置されたアウターロータ12と、インナーロータ11の外周面およびアウターロータ12の内周面間に配置された環状のケージ13と、ケージ13に所定間隔で回転自在に保持された12個のローラ14…と、インナーロータ11と一体の軸部11aの外周面に支持されたスライダ15、ロータリカム16およびロータリガイド17と、スライダ15をロータリカム16に向けて後方に付勢するコイルスプリング18とを備える。尚、本明細書では、図1〜図3に矢印で示す方向を前方および後方と定義する。
アウターロータ12の内周面はハウジング19にボールベアリング20を介して回転自在に支持され、インナーロータ11の外周面はアウターロータ12の内周面にボールベアリング21を介して回転自在に支持され、インナーロータ11の軸部11aはハウジング19にボールベアリング22を介して回転自在に支持される。よって、インナーロータ11およびアウターロータ12はハウジング19に各々独立に回転自在に支持される。
ケージ13はアウターロータ12の内周面の段部12a(図3参照)に当接してクリップ23で軸線L方向に固定されており、この状態でケージ13の外周面はアウターロータ12の内周面に摺動自在に当接するとともに、ケージ13の内周面はインナーロータ11の外周面に摺動自在に当接する。アウターロータ12の内周面は完全な円筒面であるが、インナーロータ11の外周面は円筒面上の12個所に円弧状のローラ保持凹部11b…を備えており、このローラ保持凹部11b…に、ケージ13に支持された複数のローラ14…の一部が僅かな隙間を介して嵌合する。ケージ13の内周面には、軸線L方向に延びて後方に開口する4個の係止溝13a…が90°間隔で形成される。
スライダ15は、筒状部15aと、筒状部15の後面から径方向に延びるフランジ部15bと、筒状部15aの外周面に90°間隔で突設されて軸線L方向に延びる4個のガイド突起15c…と、フランジ部15bの後面に軸線Lを中心として45°間隔で径方向に放射状に延びる8本のカム突起15d…と、カム突起15d…の径方向内端から軸線L方向前方に延びる8本のガイド突起15e…と、フランジ部15bの外周部から前方に向かって90°間隔で突出する4個の係止突起15f…とを備える(図8参照)。
スライダ15の筒状部15aのガイド突起15c…は、インナーロータ11の内周面に90°間隔で軸線L方向に形成した4本のガイド溝11c…に摺動自在に嵌合し、インナーロータ11との間に配置したコイルスプリング18で後方に付勢される。従って、スライダ15はインナーロータ11に対して相対回転不能かつ軸線L方向摺動可能であり、コイルスプリング18の弾発力でスライダ15が後進すると、スライダ15の係止突起15f…がケージ13の係止溝13a…から外れることで、インナーロータ11とケージ13との結合が解除される(図3参照)。
この状態でインナーロータ11およびアウターロータ12が回転方向を問わずに相対回転しようとすると、ローラ14…がインナーロータ11のローラ保持凹部11b…の一方のエッジに噛み込むことで、インナーロータ11側からアウターロータ12側に、あるいはアウターロータ12側からインナーロータ11側にトルクが伝達し、両ロータ11,12は何れの方向にも一体回転可能な状態(ロック状態)となる。
一方、コイルスプリング18の弾発力に抗してスライダ15が前進すると、スライダ15の係止突起15f…がケージ13の係止溝13a…に係合することで、インナーロータ11とケージ13とがスライダ15を介して相対回転不能に一体化される。この状態では、ケージ13のローラ14…がインナーロータ11のローラ保持凹部11b…の中央に位置決めされるため、インナーロータ11およびアウターロータ12が任意の方向に相対回転しようとしても、ローラ14…はインナーロータ11のローラ保持凹部11b…のエッジに噛み込むことができず、インナーロータ11側からアウターロータ12側に、あるいはアウターロータ12側からインナーロータ11側にトルクが伝達されなくなり、両ロータ11,12は何れの方向にも自由に回転できる状態、つまりトルクを伝達できない状態(フリー状態)となる。
次に、スライダ15の係止突起15f…がケージ13の係止溝13a…に係合するフリー状態と、スライダ15の係止突起15f…がケージ13の係止溝13a…から離脱するロック状態とを切り替える構造を説明する。
ロータリガイド17は概略円筒状の部材であって、その内周面がインナーロータ11の軸部11aの外周面に相対回転自在に嵌合し、軸部11aの段部11d(図3参照)とクリップ24との間に挟まれて軸線L方向に位置決めされる。ロータリガイド17の外周面には、軸線L方向に延びる複数の深溝17a…および複数の浅溝17b…が交互に形成される。ロータリガイド17の深溝17a…はスライダ15のガイド突起15e…が嵌合可能な深さを有しているが、深溝17a…よりも浅い浅溝17b…にはガイド突起15e…は嵌合不能である。
ロータリカム16は概略円環状の部材であって、その内周面に軸線L方向に延びる複数のガイド突起16a…が形成されるとともに、その前面に複数の鋸歯状のカム突起16b…が形成される。ロータリカム16のガイド突起16a…はロータリガイド17の深溝17a…および浅溝17b…に係合しており、これによりロータリガイド17に対してロータリカム16は相対回転不能かつ軸線L方向移動可能となる。
ハウジング19の右端に形成された円環状のシリンダ19aに円環状のピストン25が摺動自在に嵌合しており、ピストン25の前面に固定した押圧部材26がスラストベアリング27を介してロータリカム16の後面に当接する。従ってピストン25の後方の油室19bに油圧を供給すると、ピストン25、押圧部材26およびスラストベアリング27がコイルスプリング18の弾発力に抗してロータリカム16を前進させる。前記シリンダ19aおよび前記ピストン25はロータリカム16を前進駆動するアクチュエータ28を構成する。
図7および図11から明らかなように、スライダ15のカム突起15d…およびガイド突起15e…の円周方向のピッチP1は、ロータリガイド17の深溝17a…間のピッチP2および浅溝17b…間のピッチP3と同一であり、かつロータリカム16の鋸歯状のカム突起16b…間のピッチP4の2倍である。
スライダ15のカム突起15d…の後端には軸線L方向に対して傾斜したカム面a…が形成される。一方、ロータリカム16のカム突起16b…の前端にはスライダ15のカム突起15d…のカム面a…に当接可能なカム面b…が形成されるとともに、ロータリガイド17の深溝17a…および浅溝17b…に挟まれた部分の前端には前記カム面b…と同一傾斜角のカム面c…が形成される。
次に、上記構成を備えた本発明の第1の実施の形態の作用を説明する。
図3〜図7に示すロック状態では、スライダ15が後進しており、スライダ15の係止突起15f…がケージ13の係止溝13a…から離脱している。このときスライダ15のガイド突起15e…がロータリガイド17の深溝17a…に嵌合することで(図5および図6参照)、スライダ15の後進が許容される。このロック状態では、インナーロータ11およびケージ13の結合が解除されるため、インナーロータ11およびアウターロータ12間の任意の方向のトルク伝達が可能になる。
例えば、図4においてアウターロータ12に対してインナーロータ11が矢印方向に相対回転しようとすると、図4の四角枠内に拡大して示すように、インナーロータ11のローラ保持凹部11bの左端のp点にローラ14が噛み込むことで、インナーロータ11がローラ14…を介してアウターロータ12に一体化されてトルク伝達が可能になる。
このロック状態から、図9〜図11および図12(A)に示すように、アクチュエータ28を駆動してロータリカム16を押圧すると、ロータリガイド17の深溝17a…および浅溝17b…にガイド突起16a…を案内されながらロータリカム16が前進し、そのカム突起16b…がスライダ15のカム突起15d…を押圧する。その結果、ガイド突起15c…をインナーロータ11のガイド溝11c…に案内されたスライダ15が前進し、その係止突起15f…がケージ13の係止溝13a…に係合し、スライダ15を介してインナーロータ11にケージ13が相対回転不能に結合される(押圧状態)。
このとき、ロータリカム16のカム突起16b…のカム面b…は、それらのカム面b…が当接するスライダ15のカム突起15d…のカム面a…から反力を受け、ロータリカム16およびロータリガイド17はインナーロータ11の軸部11aの周囲を、図11および図12(A)に白抜き矢印で示すように左方向に回転する。
この押圧状態からアクチュエータ28の油室19bの油圧を解除すると、コイルスプリング18の弾発力でスライダ15が後進する。その過程においても、ロータリカム16のカム突起16b…のカム面b…およびロータリガイド17のカム面c…は、それらが当接するスライダ15のカム突起15d…のカム面a…から反力を受け、ロータリカム16およびロータリガイド17はインナーロータ11の軸部11aの周囲を、図12(B)に白抜き矢印で示すように左方向に回転する。
その結果、ロータリカム16およびロータリガイド17はピッチP4だけ回転し、それまでスライダ15のガイド突起15e…に対向していたロータリガイド17の深溝17a…が位置ずれし、スライダ15のガイド突起15e…にロータリガイド17の浅溝17b…が対向することになる。このとき、スライダ15のガイド突起15e…はロータリガイド17の浅溝17b…に引っ掛かって嵌合することができないため、スライダ15は図3に示すロック状態に復帰することができず、図12(B)および図14に示すように、後進の途中で停止する(フリー状態)。
このフリー状態では、スライダ15の係止突起15f…がケージ13の係止溝13a…に依然として係合しているため、スライダ15を介してインナーロータ11にケージ13が相対回転不能に結合される。これによりローラ14…がインナーロータ11のローラ保持凹部11b…のエッジに噛み込むことが抑制され、インナーロータ11およびアウターロータ12は任意の方向に相対回転自在となり、トルクの伝達が遮断される。
上述したフリー状態から最初のロック状態に切り替えるには、図13(C),(D)に示すように、アクチュエータ28でロータリカム16を介してスライダ15を押圧して前記押圧状態にした後、アクチュエータ28の油圧を抜いてコイルスプリング18の弾発力でスライダ15を後進させれば良い。この場合も、前記カム面a…,b…,c…の作用でロータリカム16およびロータリガイド17はピッチP4だけ回転するため、それまでスライダ15のガイド突起15e…に対向していたロータリガイド17の浅溝17b…が位置ずれし、スライダ15のガイド突起15e…にロータリガイド17の深溝17a…が対向するため、スライダ15のガイド突起15e…はロータリガイド17の深溝17a…に嵌合することができる。これにより、スライダ15は図3に示すロック状態に復帰することができる。
以上のように、本実施の形態によれば、ロック状態→アクチュエータ駆動→押圧状態→アクチュエータ駆動解除→フリー状態→アクチュエータ駆動→押圧状態→アクチュエータ駆動解除→ロック状態のサイクルがシーケンシャルに繰り返されることになる。つまり、アクチュエータ28でコイルスプリング18の弾発力に抗してスライダ15を押圧状態に前進させるだけの僅かな駆動エネルギーで、ロック状態→フリー状態の切替え、あるいはフリー状態→ロック状態の切替えを行うことができ、ロック状態の継続中、あるいはフリー状態の継続中にアクチュエータ28はエネルギーを消費しないので、エネルギーの節減が可能になる。
またインナーロータ11と一体の軸部11aの外周にスライダ15、ロータリカム16およびロータリガイド17を支持したので、インナーロータ11に対するスライダ15、ロータリカム16およびロータリガイド17の位置精度が向上して二方向クラッチCのスムーズな作動が可能になるだけでなく、インナーロータ11および軸部11aを別部材で構成する場合に比べて二方向クラッチCの軸線L方向の寸法をコンパクト化することができる。
次に、図15〜図19に基づいて本発明の第2の実施の形態を説明する。第2の実施の形態において、第1の実施の形態の構成要素に対応する構成要素に同一の符号を付すことで、重複する説明を省略する。
図15〜図17に示すように、共通の軸線L上に一対のボールベアリング31,32で相対回転自在に支持されたインナーロータ11の外周面とアウターロータ12の内周面との間に、複数のローラ14…を保持するケージ13が配置される。インナーロータ11の軸部11aと反対側の端部にロータリガイド17が圧入等により回転不能に嵌合し、段部11dおよびクリップ33間に固定される。ロータリガイド17の内部に形成されたシリンダ17cにピストンを兼ねるロータリカム16が軸線L方向摺動自在に嵌合し、油室17dに油圧を供給することで前進方向に駆動される。ロータリカム16に形成したガイド孔16cにスライダ15の軸部15gが軸線L方向摺動自在に嵌合し、インナーロータ11との間に配置したコイルスプリング18で後進方向に付勢される。
第1の実施の形態と同様に、ロータリガイド17には深溝17a…および浅溝17b…が交互に形成される。ロータリカム16には、ロータリガイド17の深溝17a…および浅溝17b…に係合するガイド突起16a…が形成されるとともに、その前端に鋸歯状のカム突起16b…が形成される。またスライダ15には、ロータリカム16のカム突起16b…のカム面b…およびロータリガイド17のカム面c…に当接可能なカム面a…を備えたカム突起15d…と、ロータリガイド17の深溝17a…に嵌合可能で浅溝17b…に嵌合不能なガイド突起15e…とが形成される。
前記三つのカム面a…,b…,c…の係合関係は第1の実施の形態と同じであるが、第1の実施の形態では、インナーロータ11に相対回転不能に支持されたスライダ15に対してロータリガイド17およびロータリカム16がピッチP4ずつ間欠回転するのに対し、第2の実施の形態では、インナーロータ11に対して相対回転不能に支持されたロータリガイド17およびロータリカム16に対してスライダ15がピッチP4ずつ間欠回転する点で異なっている。
インナーロータ11には90°間隔で配置された4個のガイド孔11e…が径方向に貫通しており、ガイド孔11e…には、ケージ13に形成した4個の係止孔13b…に係合可能な4本のピン34…が摺動自在に支持される。4本のピン34…は環状のスプリング35で径方向内向きに付勢されており、ピン34…の径方向内端のカム面34a…が、スライダ15の前端のカム面15hに当接する。
しかして、図15〜図17に示すロック状態では、スライダ15がコイルスプリング18の弾発力で後進した位置にあり、ピン34…はスプリング35の弾発力で径方向内側に後進してケージ13の係止孔13b…から離脱するため、インナーロータ11に対するケージ13の拘束が解除されてロック状態が確立し、インナーロータ11およびアウターロータ12は両方向に一体に回転可能な状態となる。
図18は、アクチュエータ28でロータリカム16を駆動してスライダ15を前進させ、そのカム面15hでピン34…を径方向外側に押し上げてケージ13の係止孔13b…に係合させた押圧状態を示している。
図19は、アクチュエータ28の駆動を解除してコイルスプリング18の弾発力でスライダ15およびロータリカム16を後進させる過程を示している。スライダ15の前進過程および後進過程で、カム面a…,b…,c…の係合によりスライダ15がピッチP4だけ回転し、フリー状態ではロータリガイド17の深溝17a…に嵌合していたガイド突起15e…が、スライダ15のピッチP4の回転によりロータリガイド17の浅溝17b…に対向する。その結果、ガイド突起15e…が浅溝17b…の入口に引っ掛かることで、スライダ15はロック状態の位置まで戻りきらず、フリー状態の位置に停止する。このフリー状態では、ピン34…は依然としてケージ13の係止孔13b…に係合しているため、ケージ13はインナーロータ11に拘束され、インナーロータ11およびアウターロータ12は切り離されて相互に自由に相対回転可能になってトルク伝達が遮断される。
このフリー状態からロック状態に切り替えるには、アクチュエータ28を駆動してスライダ15を押圧状態まで前進させた後に、アクチュエータ28の駆動を解除すれば良い、その結果、スライダ15はカム面a…,b…,c…の係合によりピッチP4だけ回転し、そのガイド突起15e…がロータリガイド17の深溝17a…に嵌合することで、スライダ15は図15の位置まで後進してロック状態が確立する。
以上のように、本実施の形態によっても、アクチュエータ28でコイルスプリング18の弾発力に抗してスライダ15を押圧状態に前進させるだけの僅かな駆動エネルギーで、ロック状態→フリー状態の切替え、あるいはフリー状態→ロック状態の切替えを行うことができ、ロック状態の継続中、あるいはフリー状態の継続中にアクチュエータ28はエネルギーを消費しないので、エネルギーの節減が可能になる。
またスライダ15の移動をピン34…の径方向の移動に変換してケージ13の拘束および拘束解除を行うので、スライダ15をケージ13の径方向内側に配置して二方向クラッチCの軸線L方向寸法を短縮することができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、実施の形態ではインナーロータ11の外周面にローラ保持凹部11b…を形成しているが、アウターロータ12の内周面にローラ保持凹部を形成しても良く、ローラ保持凹部11b…を形成する代わりに、インナーロータ11の外周面あるいはアウターロータ12の内周面を多角形のような非円形形状にしても良い。
また実施の形態ではアクチュエータ28にとして油圧式のものを用いているが、電磁式のものを用いても良い。
11 インナーロータ
11a 軸部
12 アウターロータ
13 ケージ
14 ローラ(係合子)
15 スライダ
16 ロータリカム
17 ロータリガイド
18 コイルスプリング(スプリング)
28 アクチュエータ
34 ピン
a カム面
b カム面
c カム面
L 軸線

Claims (5)

  1. 共通の軸線(L)まわりに相互に独立して回転可能に配置されたアウターロータ(12)およびインナーロータ(11)と、
    前記アウターロータ(12)の内周面および前記インナーロータ(11)の外周面間に配置された複数の係合子(14)と、
    前記アウターロータ(12)の内周面および前記インナーロータ(11)の外周面間に配置されて前記係合子(14)を所定の位相に保持するケージ(13)と、
    軸線(L)方向に前後進して前記ケージ(13)に凹凸係合可能なスライダ(15)と、
    前記凹凸係合を確立すべく前記スライダ(15)を前進方向に駆動するアクチュエータ(28)と、
    前記凹凸係合を解除すべく前記スライダ(15)を後進方向に付勢するスプリング(18)と、
    前記アウターロータ(12)および前記インナーロータ(11)の一方のロータ(11)に軸線(L)方向移動不能に支持されたロータリガイド(17)と、
    前記ロータリガイド(17)に相対回転不能かつ軸線(L)方向移動可能に支持されてアクチュエータ(28)の駆動力を前記スライダ(15)に伝達するロータリカム(16)と、
    前記ロータリカム(16)および前記ロータリガイド(17)と前記スライダとが当接する部分に形成されたカム面(a,b,c)とを備え、
    前記スライダ(15)が前記アクチュエータ(28)の駆動力で前進した後に前記スプリング(18)の弾発力で後進する度に、前記カム面(a,b,c)に発生する円周方向の荷重で、前記スライダ(15)が前記ロータリガイド(17)および前記ロータリカム(16)に対して所定角度ずつ相対回転して第1位置関係および第2位置関係で交互に停止し、
    前記第1位置関係において前記スライダ(15)は前記ロータリガイド(17)に対して前記凹凸係合を確立する位置にあり、前記一方のロータ(11)に前記ケージ(13)を拘束することで前記アウターロータ(12)および前記インナーロータ(11)の両方向の相対回転を可能にし、
    前記第2位置関係において前記スライダ(15)は前記ロータリガイド(17)に対して前記凹凸係合を解除する位置にあり、前記一方のロータ(11)から前記ケージ(13)を解放することで前記アウターロータ(12)および前記インナーロータ(11)の両方向の相対回転を不能にすることを特徴とする二方向クラッチ。
  2. 前記インナーロータ(11)の外周面が非円形形状であり、前記ケージ(13)は前記インナーロータ(11)に結合されることを特徴とする、請求項1に記載の二方向クラッチ。
  3. 前記アウターロータ(12)の内周面が非円形形状であり、前記ケージ(13)は前記アウターロータ(12)に結合されることを特徴とする、請求項1に記載の二方向クラッチ。
  4. 前記一方のロータ(11)に径方向摺動可能に支持されたピン(34)を備え、前記スライダ(15)は前記ピン(34)を介して前記ケージ(13)に凹凸係合することを特徴とする、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の二方向クラッチ。
  5. 前記インナーロータ(11)は軸部(11a)を一体に備え、前記軸部(11a)の外周に前記スライダ(15)、前記ロータリカム(16)および前記ロータリガイド(17)を支持したことを特徴とする、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の二方向クラッチ。
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