JP5161085B2 - 筒状編地のシミュレーション装置とシミュレーション方法及びシミュレーションプログラム - Google Patents

筒状編地のシミュレーション装置とシミュレーション方法及びシミュレーションプログラム Download PDF

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Description

この発明は筒状編地のシミュレーションに関し、特に筒状編地の表裏を反転した状態のシミュレーションに関する。
発明者は筒状編地の3Dシミュレーションを提案した(特許文献1(WO2005/082186))。即ち、編成データでの編目の配置を自然な配置に近づけるように初期的に変形し、筒状編地の3D画像を生成する。次いで生成した3D画像を人体に着装させるように変形し、筒状編地を人が着た状態をシミュレーションする。
ところで筒状編地の裏側、即ち編地を表裏反転し、筒の内側を外側に出した状態をシミュレーションできると便利である。例えば表側でも裏側でも着用可能なリバーシブルな筒状編地のデザインでは、筒の裏側のデザインをシミュレーション画像で評価することが重要である。またジャカードやインターシャジャカードのように、筒状編地の裏側にミス操作による渡り糸が多量に発生するデザインでは、渡り糸の状態を評価できることが好ましい。例えば余りに長い渡り糸が手袋やセーターの内側に有ると指やボタンなどが引っ掛かる。
関連する先行技術を示すと、特許文献2(特開平9−78411),特許文献3(WO2004/022828)は筒状編地のデザインにおいて、前編地のデザインを左右反転して後編地にコピーすることを示している。さらに特許文献2は、後編地を筒状編地の後方の後ベッド側から見た状態でデザインし、次いで後編地の編目位置を左右反転し、編目の種類と振りの方向を反転して、後編地の編成データとすることを開示している。しかしながら特許文献2は、筒状編地を表裏反転してシミュレーションすることを検討していない。また特許文献1では、筒状編地は3Dでシミュレーションするので、首や袖の開口から筒の内部を覗くことができる。しかしこれは筒状編地の表裏を反転して表示するものではない。
WO2005/082186 特開平9−78411 WO2004/022828
この発明の課題は、筒状編地を表裏反転した状態のシミュレーション画像を得ることにある。
この発明は、前編地と後編地とを筒状に連結した編地を、前編地と後編地との編成データに基づきシミュレーションする筒状編地のシミュレーション装置において、
前記編成データでの、前編地/後編地の前後関係を反転するための前/後の属性反転手段と、
前/後の属性反転後の編成データに基づいて、編地のシミュレーション画像を発生させるためのシミュレーション画像発生手段と、
前記シミュレーション画像に対する視点を180°変換するための視点変換手段と、
視点変換後のシミュレーション画像を、筒状編地の表裏を反転した画像としてモニタに表示するための表示手段、とを設けたことを特徴とする。
またこの発明は、前編地と後編地とを筒状に連結した編地を、前編地と後編地との編成データに基づきシミュレーションする筒状編地のシミュレーション方法方法において、
前記編成データ中の前編地/後編地の前後関係の属性を反転し、
前/後の属性を反転した編成データに基づいて、編地のシミュレーション画像を発生させ、
発生したシミュレーション画像に対する視点を180°変換し、
視点変換後のシミュレーション画像を、筒状編地の表裏を反転した画像としてモニタに表示することを特徴とする。
この発明はさらに、筒状編地をデザインする装置に記憶されて、前編地と後編地とを筒状に連結した編地を前編地と後編地との編成データに基づきシミュレーションする、筒状編地のシミュレーションプログラムにおいて、
前記編成データ中の前編地/後編地の前後関係の属性を反転するための、前/後の属性反転命令と、
前/後の属性反転後の編成データに基づいて、編地のシミュレーション画像を発生させるためのシミュレーション画像発生命令と、
発生したシミュレーション画像に対する視点を180°変換するための視点変換命令と、
視点変換後のシミュレーション画像を、筒状編地の表裏を反転した画像としてモニタに表示するための表示命令、とを設けたことを特徴とする。
好ましくは、筒状編地の表裏を反転したシミュレーション画像として、3Dシミュレーション画像を発生させる。
また好ましくは、筒状編地の表裏を反転したシミュレーション画像と表裏を反転しないシミュレーション画像とをモニタに並列に表示し、
ユーザが、モニタ上で前記のいずれかのシミュレーション画像にアクセスして、筒状編地のデザインを変更するための、マニュアルインプットと、
マニュアルインプットからのデザイン変更に従って、筒状編地の編成データを変更し、
変更後の編成データに基づいて、表裏反転したシミュレーション画像と表裏未反転のシミュレーション画像とを前記モニタに再表示する。
好ましくは、筒状編地での渡り糸の長さが所定値を超える部分を検出し、筒状編地の表裏を反転したシミュレーション画像上に、渡り糸の長さが所定値を超える部分を表示する。
この明細書でのシミュレーション装置に関する記載は、特に断らない限り、シミュレーション方法やシミュレーションプログラムにもそのまま当てはまる。また逆に、シミュレーション方法に関する記載は、特に断らない限り、シミュレーション装置やシミュレーションプログラムにも当てはまる。
この明細書では、編地のコース方向を左右あるいは幅方向、コースに直角なウェール方向を上下方向という。
筒状編地の編成データでは、編地に前/後の属性(関係)があり、前の属性を持つ編地は後の属性を持つ編地よりも、前に存在する。なおここでの前や後は、例えば横編機の正面を前、背面を後として定める。編地の前/後の属性を反転すると、前編地が後編地よりも後方にあることになるので、前編地の表裏が反転する。同様に後編地が前編地よりも前方にあることになるので、後編地の表裏が反転する。そこで編地の前/後の属性を反転した編成データに対して、出来上がりの筒状編地をシミュレーションすると、表裏が反転した、即ち筒の内部が外に表れ、筒の外側が内部に隠れた編地の画像が得られる。
このシミュレーション画像では、後編地が前に、前編地が後にあるので、筒状編地の前後も反転している。そこでシミュレーション画像に対する視点を180°反転すると、前編地が筒の前に、後編地が筒の後に表れ、筒状編地の前後も正しくなる。以上のようにしてこの発明では、筒状編地を表裏反転した状態を簡単にシミュレーションできる。なおシミュレーション画像は2D画像でも良いが、前後の編地の接続部が見えにくいし、任意の視点から見ることもできない。3D画像は視点変換が容易で、前後の編地の接続部等も容易に見ることができる。
筒状編地の表裏の反転では、表裏反転前のシミュレーション画像を3D画像で作成し、筒の内部を表側に引き出すように、特に人の手でセーターやワンピース、手袋などの表裏を反転するように、3D画像を変形することも考えられる。しかしながら人手による編地の表裏反転を模するように、3D画像での編目を移動させることは困難である。そして少なくともこのようなアルゴリズムで、リアルタイムに実行可能なものは知られていない。
筒状編地の表裏を反転してシミュレーションできると、リバーシブルな編地、即ち表裏何れでも着用可能な編地に対し、表側と裏側の双方のデザインを確認できる。またジャカードやインターシャジャカードなどで編地の裏側に配置される渡り糸の状態を確認でき、着用上の問題を確認できる。さらに前後の編地間の境界部の状況を裏側から確認できる。
ここで、表側からシミュレーションした画像と裏側からシミュレーションした画像とを並列にモニタに表示し、一方を修正すると他方もリアルタイムに修正して表示すると、筒状編地の表側と裏側とを同時に確認しながら、筒状編地をデザインできる。
また裏面側での渡り糸が長いと、着用時に指が渡り糸に引っ掛かるなどの問題がある。そこで所定長以上の渡り位置を検出し、裏側のシミュレーションに検出箇所を表示すると、このような問題を解決できる。
実施例のニットシミュレーション装置のブロック図 実施例での表裏反転を模式的に示す図で、 1)は表裏反転前の筒状編地の編成を模式的に示し、 2)は前後の編地属性を反転した際に編成される筒状編地を示し、 3)は前後の編地属性を反転した筒状編地を3D画像でシミュレーションし、視点を180°変換することを示し、 4)は表裏反転後の筒状編地のシミュレーション画像を模式的に示す 実施例での筒状編地の表裏反転に伴う、編成データの変更を示す図 実施例のニットデザイン方法を示すフローチャート 実施例での視点変更アルゴリズムを示すフローチャート 実施例でのズームアルゴリズムを示すフローチャート 実施例でのデザイン修正アルゴリズムを示すフローチャート 実施例での渡り糸チェックのアルゴリズムを示すフローチャート 実施例でのニットデザインプログラムのブロック図 実施例での、ガーメントの表裏2つのシミュレーション画像を示す図 実施例での、手袋の表裏2つのシミュレーション画像を示す図 実施例での表裏2つの画像表示とデータ変更を模式的に示す図
符号の説明
2 ニットシミュレーション装置 4 バス 6 スタイラス
8 カラーモニタ 10 キーボード 12 ディスクドライブ
14 LANインターフェース 16 カラープリンタ
18 ライブラリー 20 ツール記憶部 22 裏面チェック部
24 編成データ記憶部 26,28 3Dシミュレーション画像記憶部
30 表裏反転部 32 3Dシミュレーション部 33 視点変更部
34 ズーム部 36 デザイン変更部 40 前ベッド 41 後ベッド
42 キャリッジ 44 筒状編地 45 前編地 46 後編地
47,48 マーク 51 属性反転後の前編地 52 属性反転後の後編地
54,64 3Dシミュレーション画像 56 中心軸 58 ネックホール
60,62 袖 90 ニットデザインプログラム 91 デザイン編集命令
92 表裏反転命令 93 3Dループシミュレーション命令
94 視点変更命令 95 ズーム命令 96 デザイン変更命令
97 渡り糸のチェック命令 100,102 シミュレーション画像
104〜106 接続部 110,112 シミュレーション画像
113 中心軸 114 渡り糸 120,125 表示
122,126 表側表示 123,127 裏側表示
以下にこの発明を実施するための最良の形態を示すが、これに限るものではない。
図1〜図12に、実施例のニットシミュレーション装置2とその動作を示す。ニットシミュレーション装置2にはバス4が設けられ、6はスタイラスで、ユーザがマニュアルで筒状編地のデザインを入力し、8はカラーモニタで、デザインデータやシミュレーション画像を表示し、10はキーボードである。ディスクドライブ12はディスクとの間でデータを読み書きし、LANインターフェース14は図示しないLANとの間でデータを通信する。カラープリンタ16はデザインデータやシミュレーション画像をカラープリントし、ライブラリー18はデザインデータや編成データのライブラリーを記憶する。ツール記憶部20は、筒状編地のデザインや、デザインデータから編成データへの変換に必要なツールを記憶し、裏面チェック部22は筒状編地の裏面側に対し、渡り糸の長さが所定値を越えるものがあるかどうかチェックする。
編成データ記憶部24は、デザインデータに対応する編成データを記憶する。3Dシミュレーション画像記憶部26は筒状編地を表側から見た状態のシミュレーション画像を記憶し、3Dシミュレーション画像記憶部28は筒状編地を裏側から見た状態のシミュレーション画像を記憶する。表裏反転部30は筒状編地の編成データに対し、前編地の属性を後編地に、後編地の属性を前編地にすることにより、前後の編地属性を反転する。
3Dシミュレーション部32は、編成データ記憶部24の筒状編地の編成データを用いて、3Dシミュレーション画像を発生する。またこの編成データを表裏反転部30で前後の編地属性を反転したものに対し、同様に3Dシミュレーション画像を発生する。視点変更部33は、3Dシミュレーション画像に対する視点変更を行い、ズーム部34はズーム中心に関し、指定された倍率で、シミュレーション画像のズームあるいは縮小を行う。デザイン変更部36は、カラーモニタ8上で筒状編地のデザインが変更された際に、編成データを変更する。そして変更後の編成データに対し、表裏反転部30での処理を行い、3Dシミュレーション部32で新たなシミュレーション画像を発生させる。
図2に、実施例での表裏反転の原理を示す。2枚ベッドあるいは4枚ベッドなどの横編機を想定し、40はその前ベッド、41は後ベッド、42はキャリッジである。筒状編地44に対して、45は前編地、46は後編地で、47,48は前後の境界を示す仮想的なマークである。また図の破線や波線により、編地の表裏を示す。編地45,46にはそれぞれの編成データがあり、編地は前編地か後編地かの属性を持ち、前編地の属性を持つ編地45は、後編地の属性を持つ編地46よりも、前ベッド40側に存在する。編地45,46への編成データは、前ベッド40側から編地45,46を見た際を基準に、編目の種類や左右が定義されている。例えば後編地46に対し、編成データ上の表目は、前ベッド40側から見た際の表目で、後ベッド41側から見ると裏目である。なお前編地45の表目は前ベッド40で、裏目は後ベッド41で編成され、後編地46の表目は後ベッド41で、裏目は前ベッド40で編成される。編地46での左右は、前ベッド40側から見た際の左右で、後ベッド41側から見ると左右が反転する。タックやミス、重ね目などにより編目が重なる場合、重なりの上下関係は、前ベッド40側から見た状態で編成データに記述されているので、後ベッド41側から見ると、重なり合わせの上下が反転する。
前後の属性を編地45,46に対して反転する。51は属性反転後の元の前編地、52は属性反転後の元の後編地で、50は表裏反転後の筒状編地である。編地50は図2の2)のように編成され、編地51,52はそれぞれ表裏が反転している。なおマーク47,48の位置は変わらない。編地46の編成データで裏目であった編目は、後ベッド41側から見ると表目であり、デザイン上は表目である。編地46の前/後の属性を反転した編地52では、同じ編目を前ベッド40側から見るので、デザイン上は裏目である。このようにデザイン上での編目の種類が反転する。同様に編目の重なりでの、上下関係も反転する。
前後の編地属性を反転した編成データに対して、3Dシミュレーション画像54を作成すると、図2の3)のようになる。56は編地の中心軸で鉛直方向を向き、58はネックホール、60,62は袖である。3Dシミュレーション画像54では、筒状編地を後編地側から見た状態になっているので、視点を中心軸56に関して180°変換すると、図2の4)のように、前編地側から見た画像となり、属性反転前の筒状編地の表裏を反転した3Dシミュレーション画像64が得られる。なお中心軸56に沿っての高さ方向の座標をz、前編地の表面から見た視点方向をθで表す。
図2の処理での編成データの変化を、図3に示す。編成データには、編地属性として前/後があり、編目の種類として表/裏がある。またニット以外の編目の種類としてタック/ミスがある。さらに個々の編目のIDとして編目番号がある。ミスした編目の上に通常の編目が重なるなどの場合、複数の編目が重なるので、これらのデータとして上/下があり、3つ以上の編目が重なる場合、上/中/下などのように重なりを表現する。編目が振られている場合、振りの方向を右/左で表し、振りの目数を1目あるいは2目などと表す。各編目には上下左右に接続された編目が存在するので、これらの編目番号により上下左右の編目を指定する。さらに各編目の編成方向を左/右で表し、編成に用いた糸を表すデータとしてキャリア番号を割り当てる。後編地の場合も前編地の場合も、これらのデータは前ベッド側から見た際を基準に指定する。
編地属性を変更することにより、前編地か後編地かのデータが変更される。前編地か後編地かの属性を変更した編成データに対し、3Dシミュレーション画像を作成して、視点を中心軸56に関し180°回転すると、編目の種類が反転し、編目の重なり具合の上下が反転し、振りの方向や左右の接続方向も反転し、また左右の編成方向も反転する。ただし上下の接続方向は不変である。なお後編地に対し後ベッド側から見た際の状態で編成データを記述する場合、前後の編地に対し編地属性を反転した際に、編目の種類並びに編目感の重なりでの上下、振りの方向、編目の接続での左右、編成方向での左右をそれぞれ反転する。
図4に実施例のニットデザイン方法を示す。モニタ8やスタイラス6などを用いて筒状編地をデザインし、この段階のデータをデザインデータとする。デザインデータを編成データに変換し、表裏反転しない側のシミュレーションでは、編成データをそのまま用いて3Dシミュレーション画像を発生させる。表裏反転をする側では、編地の前後の属性を反転し、反転した編成データに基づき3Dシミュレーション画像を発生させて、視点を180°回転する。得られた2つの3Dシミュレーション画像を並列にカラーモニタ8に表示する。
追加の処理として視点変更、ズーム、デザイン修正、渡り糸のチェックがあり、視点変更では図5に示すように、2つのシミュレーション画像のいずれか一方に対し、視点変更の入力を受け付ける。他方の画像に対しては、z座標が同様に変更されたものとし、θ座標が正負逆に変更されたものとして、2つの画像に対し共に視点を変更する。視点変更の向きは、高さ方向が共通でθ方向が正負逆である。変更後の視点から見た2つの3Dシミュレーション画像をカラーモニタに並列に表示する。
図6に示すように、ズームでは、2つのシミュレーション画像の一方に対し、ズームの中心と倍率をユーザが入力する。他方の画像に対し、ズーム中心のz座標と倍率が共通で、ズーム中心のθ座標を正負反転する。そして2つの3Dシミュレーション画像を共にズームし表示する。
図7に示すように、デザイン修正では、2つのシミュレーション画像のいずれか一方に対し、スタイラスなどのマニュアルインプットからデザイン変更を入力する。デザイン変更に応じて編成データを変更し、2つの3Dシミュレーション画像を再発生させる。ここでデザイン変更に応じて修正する編成データは、例えば表裏反転前のものとするが、表裏反転後のものでもよい。表裏反転前の編成データを、表裏反転後のシミュレーション画像から変換するには、シミュレーション画像に対するユーザのデザイン変更を、編目の種類、重なりでの上下、振りや編成方向での左右を反転して、表裏反転前の編成データへの修正に変換する。
図8に渡り糸のチェックアルゴリズムを示す。筒状編地の表裏を反転した裏面画像に対し渡り糸の長さを求め、所定長以上の箇所があれば、該当箇所を例えば色を変えて、あるいはその周囲をマークなどで囲んで、カラーモニタ上でアラーム表示する。
図9に実施例でのニットデザインプログラム90を示す。91はデザイン編集命令で、ユーザが入力したデザインを編集し、編成データに変換する。表裏反転命令92は、編成データ中の編地の前後の属性を反転する。3Dループシミュレーション命令93は、前後の編地属性を反転していない編成データと、反転した編成データとに対し、それぞれ3Dループシミュレーション画像を発生させる。視点変更命令94は3Dシミュレーション画像に対する視点変更を行う。ズーム命令95はシミュレーション画像に対するズームを行う。なお図9には示さないが、得られた2つのループシミュレーション画像は常時カラーモニタに並列に表示する命令を設ける。デザイン変更命令96は、2つのシミュレーション画像の一方に対し、デザイン変更が行われると、編成データを修正し、2つのループシミュレーション画像を再発生させる。渡り糸のチェック命令97は、裏面画像に対し所定長以上の渡り糸の有無をチェックする。命令92〜97の処理の詳細は図1〜図8に示したものである。
図10に、セーターのシミュレーション画像100と、このセーターを表裏反転したシミュレーション画像102とを示す。56は筒状編地の中心軸で、104〜106は前後の編地の接続部である。図10のセーターは表裏どちら側でも着用可能なデザインで、シミュレーション画像100,102をカラーモニタ8に並列に表示すると、表裏双方のデザインを確認できる。このことは、リバーシブルなガーメントやマッサージ下着などの裏面側が重要なデザイン、あるいはジャカードなどで、渡り糸の状態が商品性に直結するデザインで、重要である。また画像102から、筒状編地の裏側での前後の境界間の接続や糸の状態などを観察できる。
図11は手袋の表裏のシミュレーション画像110,112を示し、113は手袋の中心軸,114は渡り糸である。手袋に限らず、渡り糸114が長い場合、着用時に指などが引っ掛かることがあるが、画像112から渡り糸の長さを確認できる。なお図10のセーターなどの場合、ジャカードやインターシャジャカードなどで、編地の裏側を糸が渡る部分が発生する。このような場合も、渡り糸の長さを裏面画像から確認できる。
図12に、カラーモニタ8への表裏の画像の表示を模式的に示す。表示120では筒状編地の表側表示122と裏側表示123を並列に表示する。スタイラス6などのマニュアルインプットで、表示122,123の一方のデザインを修正すると、表示122,123に対する編成データを修正し、これに応じて新たな表示125として、新たな表側表示126と裏側表示127を並列に表示する。
実施例では以下の効果が得られる。
(1) 筒状編地の裏側を簡単にシミュレーションできる。
(2) 筒状編地の前後の接続部の情報を省略しないシミュレーションができる。
(3) これらによって筒状編地のデザインが容易になり、特に裏面側でのデザインや問題点をチェックできる。例えば長い渡り糸(糸飛び部)の存在をチェックできる。
(4) 表裏のシミュレーション画像を並列に表示し、一方を修正すると他方も修正されるようにすると、リアルタイムに筒状編地の表裏を確認しながらデザインできる。

Claims (10)

  1. 前編地と後編地とを筒状に連結した編地を、前編地と後編地との編成データに基づきシミュレーションする装置において、
    前記編成データでの、前編地/後編地の前後関係を反転するための前/後の属性反転手段と、
    前/後の属性反転後の編成データに基づいて、編地のシミュレーション画像を発生させるためのシミュレーション画像発生手段と、
    前記シミュレーション画像に対する視点を180°変換するための視点変換手段と、
    視点変換後のシミュレーション画像を、筒状編地の表裏を反転した画像としてモニタに表示するための表示手段、とを設けたことを特徴とする、筒状編地のシミュレーション装置。
  2. シミュレーション画像発生手段は編地の3Dシミュレーション画像を発生させることを特徴とする、請求項1の筒状編地のシミュレーション装置。
  3. 前記表示手段は、筒状編地の表裏を反転したシミュレーション画像と表裏を反転しないシミュレーション画像とを、前記モニタに並列に表示し、
    ユーザが、モニタ上で前記のいずれかのシミュレーション画像にアクセスして、筒状編地のデザインを変更するための、マニュアルインプットと、
    マニュアルインプットからのデザイン変更に従って、筒状編地の編成データを変更するための手段、とをさらに設けて、
    変更後の編成データに基づいて、表裏反転したシミュレーション画像と表裏未反転のシミュレーション画像とを前記モニタに再表示するようにしたことを特徴とする、請求項1の筒状編地のシミュレーション装置。
  4. 筒状編地での渡り糸の長さが所定値を超える部分を検出するための検出手段をさらに設けて、筒状編地の表裏を反転したシミュレーション画像上に、渡り糸の長さが所定値を超える部分を表示するようにしたことを特徴とする、請求項1の筒状編地のシミュレーション装置。
  5. 前編地と後編地とを筒状に連結した編地を、前編地と後編地との編成データに基づきシミュレーションする方法において、
    前記編成データ中の前編地/後編地の前後関係の属性を反転し、
    前/後の属性を反転した編成データに基づいて、編地のシミュレーション画像を発生させ、
    発生したシミュレーション画像に対する視点を180°変換し、
    視点変換後のシミュレーション画像を、筒状編地の表裏を反転した画像としてモニタに表示することを特徴とする、筒状編地のシミュレーション方法。
  6. シミュレーション画像として、編地の3Dシミュレーション画像を発生させることを特徴とする、請求項5の筒状編地のシミュレーション方法。
  7. 筒状編地の表裏を反転したシミュレーション画像と表裏を反転しないシミュレーション画像とを、モニタに並列に表示し、
    ユーザが、マニュアルインプットにより、モニタ上で前記のいずれかのシミュレーション画像にアクセスして、筒状編地のデザインを変更することを受け付け、
    マニュアルインプットからのデザイン変更に従って、筒状編地の編成データを変更し、
    変更後の編成データに基づいて、表裏反転したシミュレーション画像と表裏未反転のシミュレーション画像とを、モニタに再表示することを特徴とする、請求項5の筒状編地のシミュレーション方法。
  8. 筒状編地での渡り糸の長さが所定値を超える部分を検出し、筒状編地の表裏を反転したシミュレーション画像上に、渡り糸の長さが所定値を超える部分を表示することを特徴とする、請求項5の筒状編地のシミュレーション方法。
  9. 筒状編地をデザインする装置に記憶されて、前編地と後編地とを筒状に連結した編地を前編地と後編地との編成データに基づきシミュレーションする、プログラムにおいて、
    前記編成データ中の前編地/後編地の前後関係の属性を反転するための、前/後の属性反転命令と、
    前/後の属性反転後の編成データに基づいて、編地のシミュレーション画像を発生させるためのシミュレーション画像発生命令と、
    発生したシミュレーション画像に対する視点を180°変換するための視点変換命令と、
    視点変換後のシミュレーション画像を、筒状編地の表裏を反転した画像としてモニタに表示するための表示命令、とを設けたことを特徴とする、筒状編地のシミュレーションプログラム。
  10. 前記表示命令では、筒状編地の表裏を反転したシミュレーション画像と表裏を反転しないシミュレーション画像とを、前記モニタに並列に表示し、
    ユーザがマニュアルインプットにより、モニタ上で前記のいずれかのシミュレーション画像にアクセスして、筒状編地のデザインを変更すると、該デザイン変更に従って、筒状編地の編成データを変更するための命令をさらに設けて、
    変更後の編成データに基づいて、表裏反転したシミュレーション画像と表裏未反転のシミュレーション画像とを前記モニタに再表示するようにしたことを特徴とする、請求項9の筒状編地のシミュレーションプログラム。
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