本発明は、対応するプレゼンスサーバと連係動作してプレゼンス情報を提供するプレゼンス提供アプリに対して、アプリ実行環境を提供する実行環境ソフトウェア、および該実行環境ソフトウェアを備えた端末装置に関する。また、プレゼンスサーバと連係動作してプレゼンス情報を提供するためのプレゼンス情報提供プログラムに関する。また、互いにネットワークで接続された、複数の端末装置、および複数の端末装置にプレゼンス情報を提供する複数のプレゼンスサーバを有するプレゼンス管理システムに関する。
近年、ブロードバンドの発展に伴い、様々なコミュニケーションサービスが提供されている。例えばインターネット電話やインスタントメッセージ(IM)サービス等もその一種である。このようなIP(Internet Protocol)ベースで運用されるサービスは、IMS(IP Multimedia Subsystem)と呼ばれる技術標準によって融合化されたサービスとしてユーザに提供される。IMSは、IPおよびSIP(Session Initiation Protocol)技術をベースにキャリア通信網上で種々のサービスを実現可能とする。
ここで、SIPを利用して提供されるサービスとして例えばプレゼンスサービスが知られている。プレゼンスとは、例えばインターネット電話上で通話する相手の状態を知るため、或いは自分の状態を相手に通知するための機能である。例えば下記特許文献1に、プレゼンス機能を実装した装置が開示されている。下記特許文献1によれば、プレゼンティティ(Presentity、すなわちプレゼンス情報を公開する側の端末、ユーザ)は、階層構造を有するプレゼンス情報を作成してウォッチャ(Watcher、すなわちプレゼンス情報を閲覧する側の端末、ユーザ)毎に異なるプレゼンス情報を公開することが可能である。なお、プレゼンスサービスにおいて各端末は、プレゼンティティおよびウォッチャとして相互に振る舞う。つまり、各端末は、他の端末に対してプレゼンス情報を公開するプレゼンティティとして振る舞うと同時に、他の端末のプレゼンス情報を閲覧するウォッチャとしても振る舞う。
特開2005−4567号公報
しかし、上記特許文献1の記載によれば、ユーザは、プレゼンス情報を階層的に作成しウォッチャ毎に異なる公開度を設定するといった極めて煩雑で高度な操作を強いられる。このような操作はプレゼンス情報を公開し合う相手が多くなれば多くなるほど、また、公開内容の精度を高めれば高めるほど複雑化していき、その結果、ユーザがプレゼンス情報を利用しなくなるといった不都合が起こり得る。
そこで、本発明は上記の事情に鑑みて、簡単な操作で精度の高いプレゼンス情報を提供するのに好適な実行環境ソフトウェア、プレゼンス情報提供プログラム、端末装置、およびプレゼンス管理システムを提供することを課題としている。
上記の課題を解決する本発明の一態様に係る実行環境ソフトウェアは、対応するプレゼンスサーバと連係動作してプレゼンス情報を提供するプレゼンス提供アプリに対して、アプリ実行環境を提供するソフトウェアである。実行環境ソフトウェアは、コンピュータを、所定のイベントの発生を検知するイベント検知手段、該検知されたイベントに対応するプレゼンス提供アプリに対して、連係先となるプレゼンスサーバのURI(Uniform Resource Identifier)を要求し取得するURI取得手段、該URIに対してプレゼンス情報の要求を送信し、当該要求に応じたプレゼンス情報を取得するプレゼンス情報取得手段、および該プレゼンス提供アプリに対して、該取得したプレゼンス情報をディスプレイに表示させるよう指示するプレゼンス情報表示手段として機能させるための実行環境ソフトウェアである。
このような実行環境ソフトウェアによれば、発生したイベントに対応するプレゼンス提供アプリとプレゼンスサーバとを連係動作させ、その結果得られるプレゼンス情報をディスプレイに表示させることができる。ユーザは、複雑な設定を強いられることなく、発生したイベント毎に異なるプレゼンスサービスを受けることができる。
ここで、上記実行環境ソフトウェアは、例えば該コンピュータを更に、該検知したイベントに対応する自己のプレゼンス情報を決定するプレゼンス情報決定手段、および該自己のプレゼンス情報がネットワーク上で公開されるよう該取得したURIにアップロードするアップロード手段として機能させる構成であっても良い。
また、上記の課題を解決する本発明の一態様に係る端末装置は、対応するプレゼンスサーバと連係動作してプレゼンス情報を提供するプレゼンス提供アプリに対して、アプリ実行環境を提供する実行環境ソフトウェアを備えた装置である。端末装置の実行環境ソフトウェアが、所定のイベントの発生を検知するイベント検知手段、該検知されたイベントに対応するプレゼンス提供アプリに対して、連係先となるプレゼンスサーバのURIを要求し取得するURI取得手段、該URIに対してプレゼンス情報の要求を送信し、当該要求に応じたプレゼンス情報を取得するプレゼンス情報取得手段、および該プレゼンス提供アプリに対して、該取得したプレゼンス情報をディスプレイに表示させるよう指示するプレゼンス情報表示手段として機能することを特徴とする。
このように構成された端末装置によれば、実行環境ソフトウェアにより、発生したイベントに対応するプレゼンス提供アプリとプレゼンスサーバとが連係動作され、その結果得られるプレゼンス情報をディスプレイに表示させることができる。ユーザは、複雑な設定を強いられることなく、発生したイベント毎に異なるプレゼンスサービスを受けることができる。
上記端末装置において、例えば実行環境ソフトウェアが更に、該検知したイベントに対応する自己のプレゼンス情報を決定するプレゼンス情報決定手段、および該自己のプレゼンス情報がネットワーク上で公開されるよう該取得したURIにアップロードするアップロード手段として機能する構成であっても良い。
また、上記端末装置は、例えば現在位置情報を測位する位置測位手段を備える構成であっても良い。このときの所定のイベントは、例えば所定の位置情報が該測位された位置情報と一致することである。
また、上記端末装置は、例えば外部端末と近距離通信する近距離通信手段を備える構成であっても良い。このときの所定のイベントは、例えば該外部端末とのセッション完了である。
また、上記端末装置は、例えば時刻を計時する計時手段を備える構成であっても良い。このときの所定のイベントは、例えば所定の時刻情報が該計時された時刻と一致することである。
また、上記の課題を解決する本発明の一態様に係るプレゼンス情報提供プログラムは、プレゼンスサーバと連係動作してプレゼンス情報を提供するためのプログラムである。プレゼンス情報提供プログラムは、コンピュータを、所定のイベントの発生を検知するイベント検知手段、該検知されたイベントに対応するプレゼンスサーバにプレゼンス情報の要求を送信し、当該要求に応じたプレゼンス情報を取得するプレゼンス情報取得手段、および該取得したプレゼンス情報をディスプレイに表示させるプレゼンス情報表示手段として機能させる。
また、上記の課題を解決する本発明の一態様に係るプレゼンス管理システムは、互いにネットワークで接続された、複数の端末装置と、複数の端末装置にプレゼンス情報を提供する複数のプレゼンスサーバとを有するシステムである。プレゼンス管理システムにおいて、端末装置は、所定のイベントの発生を検知するイベント検知手段と、該検知されたイベントに対応するプレゼンスサーバにプレゼンス情報の要求を送信するクライアント側送信手段とを備える。また、プレゼンスサーバは、端末装置から該要求を受信するサーバ側受信手段と、各端末装置に対応するプレゼンス情報を格納する格納手段と、該要求に応じたプレゼンス情報を格納手段の中から選択する選択手段と、該選択されたプレゼンス情報を端末装置に送信するサーバ側送信手段とを備える。端末装置は、更に、プレゼンスサーバから該プレゼンス情報を受信するクライアント側受信手段と、該受信したプレゼンス情報をディスプレイに表示する表示手段とを備える。
このように構成されたプレゼンス管理システムによれば、端末装置は、発生したイベントに対応するプレゼンスサーバと連係動作して、その結果得られるプレゼンス情報をディスプレイに表示させることができる。ユーザは、複雑な設定を強いられることなく、発生したイベント毎に異なるプレゼンスサービスを受けることができる。
なお、上記プレゼンス管理システムにおいて、端末装置は、例えば該検知されたイベントに対応する自己のプレゼンス情報を決定するプレゼンス情報決定手段と、該検知されたイベントに対応するプレゼンスサーバに該自己のプレゼンス情報をアップロードするアップロード手段とを更に備える構成であっても良い。
また、上記プレゼンス管理システムにおいて、端末装置の表示手段は、例えば該受信したプレゼンス情報を、プレゼンス情報要求先のプレゼンスサーバに対応する画面でディスプレイに表示する構成であっても良い。
本発明によれば、発生したイベントに対応するプレゼンス提供アプリとプレゼンスサーバとを連係動作させ、その結果得られるプレゼンス情報をディスプレイに表示させることができるため、ユーザは、複雑な設定を強いられることなく、発生したイベント毎に異なるプレゼンスサービスを受けることができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態のプレゼンス管理システム1の構成を模式的に示す図である。本実施形態のプレゼンス管理システム1は、複数の端末装置10A、10B、10C・・・、管理サーバ20、および複数のプレゼンスサーバ20A、20B、20C・・・で構成される。
各端末装置は例えば携帯電話であり、例えばインターネットやキャリア通信網で構成されるネットワーク30を介して管理サーバ20に接続される。また、管理サーバ20は例えばキャリアが管理するサーバである。或いは、本実施形態のプレゼンスサービスを提供するベンダが管理するサーバであっても良い。また、各プレゼンスサーバは、本実施形態のプレゼンスサービスを提供するベンダが管理するサーバ、或いは企業内やユーザの自宅に設置されたホームサーバである。プレゼンスサーバはネットワーク30を介して管理サーバ20に接続される。なお、管理サーバ20がキャリアによって管理されるサーバである場合、各端末装置は、それぞれ対応するキャリアが管理する管理サーバに接続する。従ってこの場合、管理サーバは、キャリアの数に応じて複数存在する。一方で、プレゼンスサーバは各キャリアで共通である。このため、全てのキャリアの管理サーバは、プレゼンスサーバ20A、20B、20C・・・と通信可能に構成される。
先ず、複数の端末装置10A、10B、10C・・・について説明する。なお、各端末装置は基本的な構成が同じであるため、端末装置10Aの説明をもって他の端末装置についての説明は省略するものとする。また、説明の便宜上、端末装置10A、10B、10Cのユーザをそれぞれ「加入者(Subscriber)A」、「加入者B」、「加入者C」という。
図2に、端末装置10Aの外観図を示す。また、図3に、端末装置10Aの構成をブロック図で示す。本実施形態において端末装置10Aは上述したように携帯電話であるが、別の実施の形態では例えばノートPC(Personal Computer)や、PDA(Personal Digital Assistants)、PHS(Personal Handy phone System)、或いは携帯ゲーム機等の種々の形態のモバイル端末が想定される。
端末装置10Aには、装置全体の制御を統括的に実行するCPU103が備えられる。CPU103にはバス119を介して各構成要素が接続される。CPU103は、バス119を介するデータ通信を行って各構成要素とやり取りすることにより各種機能を実現する。これらの構成要素には、ROM(Read-Only Memory)105、RAM(Random-Access Memory)107、ネットワークインタフェース109、ディスプレイ111、ユーザインタフェースデバイス113、フラッシュメモリ115、およびGPS(Global Positioning System)レシーバ117がある。
ROM105には各種プログラムや各種データが格納されている。ROM105に格納されるプログラムには例えばプレゼンスアプリケーション(後述)がある。RAM107は例えばROM105に格納されている各種プログラムの展開先である。ユーザインタフェースデバイス113を用いたユーザ・オペレーション(以下、単に「ユーザ・オペレーション」と記す)、又は所定のトリガー信号にしたがって、ROM105に格納されているプログラム(例えばプレゼンスアプリケーション)が読み出され、RAM107の所定領域に展開されて実行される。これによりプレゼンスアプリケーションが起動して、ユーザはプレゼンスサービスを享受することができる。なお、端末装置10Aには、ユーザインタフェースデバイス113として5ウェイキー、テンキー等が実装されている。CPU103にはユーザが押下する操作キーに応じた信号が入力し、CPU103がRAM107に展開したプログラムを用いて入力信号に対応した処理を行うことにより、プレゼンスを始めとする様々な機能が端末装置10Aで達成される。また、端末装置10Aは、ネットワークインタフェース109により通信可能に構成されており、ネットワーク30を介して管理サーバ20に接続される。
ここで、プレゼンスサービスを享受するためには、ユーザは、例えばキャリアやベンダに対してオンライン又はオフライン上で所定の手続を行い(例えばそれらのサイト上でフォームを入力する、申込書類を記入して郵送する等)、当該のサービスに加入する必要がある。ここでは、プレゼンスサービスに加入して当該サービスを享受可能となったユーザを「加入者」という。
管理サーバ20は、各加入者のプレゼンス情報を管理する。各端末装置と管理サーバ20は、例えばSIP(Session Initiation Protocol)を利用した通信によりプレゼンス情報をやり取りする。なお、プレゼンス情報とは、加入者の状態(例えば現在通話可能であるか等)を示す情報や加入者が開示したい内容を含む情報である。
プレゼンスサービスを利用可能な加入者は、端末装置を用いて他の加入者とプレゼンス情報を相互に公開することができる。具体的には、プレゼンスサービス内では各端末装置は、プレゼンティティとして振る舞うと同時にウォッチャとしても振る舞う。例えば端末装置A、BおよびCがプレゼンス情報を相互に公開する関係である場合、端末装置Aは、端末装置BおよびCに対してプレゼンティティであると同時に、端末装置BおよびCのウォッチャでもある。
図1に示されるように、管理サーバ20は、CPU21、記憶装置22、RAM23、通信制御部24、加入者DB(database)25、およびプレゼンス情報DB26で構成される。CPU21は、記憶装置22、RAM23、通信制御部24、加入者DB25、およびプレゼンス情報DB26の各構成要素を制御して、管理サーバ20全体の制御を統括的に実行する。
記憶装置22には各種プログラムや各種データが格納されている。記憶装置22に格納されるプログラムには、例えば各端末装置にプレゼンス情報を供給するためのプログラムがある。RAM23は、例えば記憶装置22に格納されている各種プログラムの展開先である。上記プログラムは、管理サーバ20が起動している限り、例えばRAM23に展開されて常駐した状態にある。すなわち管理サーバ20は、クライアントからのリクエストの有無を常に監視した状態にある。従って、管理サーバ20では、端末装置10A等からのリクエストに応じて上記プログラムが直ぐさま実行され、また、動的なレスポンスを生成して送出することも可能である。なお、通信制御部24が、端末装置やプレゼンスサーバとデータ通信するための機能を果たす。
管理サーバ20は、例えばオンラインフォームに入力された情報を、加入者に関する加入者情報として加入者DB25に格納しデータベース化する。具体的には、管理サーバ20は、プレゼンスサービス用のオンラインフォームをネットワーク30上に公開している。端末装置側で例えば氏名や住所等のフォーム中の各項目が入力され送信されると、管理サーバ20は、受け取った各項目の入力情報を加入者DB25中の対応する各フィールドにエントリし、それらの入力情報を関連付けた単一のレコードを作成する。作成された単一のレコードが当該ユーザの加入者情報となる。なお、上記送信時には入力情報と共に端末IDも送信され、作成されるレコードには当該端末IDの情報も含まれる。管理サーバ20は加入者DB25を更新すると、ユーザ登録が完了した旨の通知を端末装置に返す。
また、キャリアが管理するサーバ群では種々の情報が共有される。管理サーバ20は、例えばサーバ群を構成する他のサーバから情報を取得して加入者DB25の各レコードに結合させることができる。このような情報には、例えば携帯電話サービス利用者の家族情報が含まれる。例えば加入者AとBが家族であることを示す家族情報は、加入者AとBのレコードにコミュニティ情報として結合される。「コミュニティ情報」とは、プレゼンティティとウォッチャとの関係を示す情報であり、例えば何れの端末装置が何れの端末装置に対してプレゼンス情報を公開可能であるか、また、何れの端末装置が何れの端末装置のプレゼンス情報を閲覧可能であるか、といった情報である。本実施形態の管理サーバ20では、例えばこのように家族関係にある加入者をプレゼンティティとウォッチャとの関係に定義することができる。
なお、加入者は、ユーザ登録完了後、加入者DB25に格納された自分の加入者情報(例えばコミュニティ情報)を随時更新することができる。例えば加入者Aが加入者Cとプレゼンス情報を相互に公開するよう端末装置10Aから管理サーバ20にリクエストした場合、管理サーバ20は、当該のリクエストを承認するか否かを端末装置10Cに問い合わせる。加入者Cが承認してそのレスポンスを端末装置10Cから管理サーバ20に返すと、管理サーバ20は、加入者Aと加入者Cとが相互公開の関係にあることを示すコミュニティ情報を、加入者AおよびCに対応する両レコードに追加して更新する。これにより、加入者AとCは、プレゼンス管理システム1上でプレゼンティティとウォッチャの関係になる。
プレゼンス情報DB26は、各端末装置のプレゼンス情報を格納したデータベースである。各端末装置は、各自のプレゼンス情報をプレゼンス情報DB26にアップロードすることができる。プレゼンス情報DB26は、受け取ったプレゼンス情報を用いて送信元の加入者のプレゼンス情報を更新する。プレゼンス情報DB26に格納された加入者Aのプレゼンス情報は、コミュニティ情報で定義された各ウォッチャに公開される。一方で、加入者Aは、プレゼンス情報DB26に格納された、コミュニティ情報で定義された各プレゼンティティのプレゼンス情報を閲覧することができる。
管理サーバ20は、それ単体でも加入者に対してプレゼンスサービスを提供可能であるが、プレゼンスサーバ20A等と連係して動作することによって、より精細で動的なプレゼンスサービスを加入者に提供することができる。
各プレゼンスサーバは、管理サーバ20と同様の構成および機能を有し、CPU、記憶装置、RAM、通信制御部、加入者DB、およびプレゼンス情報DBで構成される。管理サーバ20との連係動作については後に詳説する。
ここで、本実施形態のプレゼンスサービスを利用可能な端末装置に実装されたプレゼンスサービス用のアプリケーション(以下、「プレゼンスアプリケーション200」という)について説明する。図4に、プレゼンスアプリケーション200の概念構成図を示す。
プレゼンスアプリケーション200は、キャリア通信網上でIPベースのサービスを提供するためのIMSコアアプリケーション300上に実装されたアプリケーションであり、第一プレゼンスアプリケーション210と第二プレゼンスアプリケーション220による構成を最小構成とする。プレゼンスアプリケーション200には、プレゼンスサービスを提供するための各種アプリ(以下、このようなアプリを「プレゼンス提供アプリ」という)を追加実装可能である。プレゼンスアプリケーション200は、プレゼンス提供アプリを追加実装することにより初めてプレゼンスサービスを提供できるようになる。
具体的には、第一プレゼンスアプリケーション210は、各種プレゼンス提供アプリが加入者にプレゼンスサービスを提供するためのアプリ実行環境を提供する。第二プレゼンスアプリケーション220は、第一プレゼンスアプリケーション210上に実装され、第一プレゼンスアプリケーション210が提供するアプリ実行環境の一部を負担する。なお、第一プレゼンスアプリケーション210と第二プレゼンスアプリケーション220は単一のアプリケーションとして構成されたものであっても良く、或いはより詳細な機能単位に分割されたモジュール群で構成されたものであっても良い。
プレゼンス提供アプリは、例えばサードパーティやプレゼンスサービスを利用する加入者等によって提供されるアプリである。加入者が端末装置10Aを用いて所定のURL(Uniform Resource Locator)にアクセスしてプレゼンス提供アプリをダウンロードすると、当該のプレゼンス提供アプリは、例えばフラッシュメモリ115の所定領域に格納される。所定領域に格納されたプレゼンス提供アプリは、プレゼンスアプリケーション200起動時にロードされ、第一プレゼンスアプリケーション210および第二プレゼンスアプリケーション220と連係して動作して、対応するプレゼンスサービスを加入者に提供する。
プレゼンスアプリケーション200には、大別して2タイプのプレゼンス提供アプリを追加実装可能である。1つはグループ別アプリであり、もう1つはサービス別アプリである。前者は第二プレゼンスアプリケーション220上に追加実装され、後者は第一プレゼンスアプリケーション210上に追加実装される。なお、プレゼンスアプリケーション200は、各タイプのプレゼンス提供アプリを複数追加実装可能である。
グループ別アプリは、加入者が、特定のグループ内においてプレゼンティティ−ウォッチャ関係にある他の加入者とプレゼンス情報を相互に公開するためのアプリである。また、サービス別アプリは、グループ別アプリが提供する機能に加えて様々な「もの」のプレゼンス情報を公開する機能を有する。以下、グループ別アプリやサービス別アプリのユースケースを記載した実施例を用いて、本発明の実施の形態のプレゼンスアプリケーション200について詳説する。
先ず、本発明の実施例1としてグループ別アプリのユースケースを説明する。
図5に、グループ別アプリ実装時に、プレゼンス管理システム1によって提供されるプレゼンスサービスを説明するためのシステムブロック図を示す。本実施例1では、加入者AとBが家族であり、加入者AとCが会社の同僚であるとする。プレゼンスサーバ20Dは、加入者AとCが勤める会社に設置されたサーバであり、管理サーバ20と同様にプレゼンスサービスを提供するための各種アプリケーションが実装されている。図4に示されるグループ別アプリ230Aは例えば管理サーバ20からダウンロードし、グループ別アプリ230Bは例えばサードパーティからプレゼンスサーバ20D向けにダウンロードしたものとする。図5(a)は加入者AとBが自宅H、加入者Cが会社CPにいる状態を示す。また、図5(b)は加入者AとCが会社CP、加入者Bが自宅Hにいる状態を示す。
グループ別アプリはスキンを有する。ここでいうスキンとは、「グループ別アプリに対応する専用画面そのもの」や「専用画面をディスプレイ111上に表示させるメソッド」を意味する。グループ別アプリ実行時には、対応するスキンがプレゼンス情報画面としてディスプレイ111に表示される。
本実施例1によれば、プレゼンスアプリケーション200とGPSレシーバ117とが連係して動作することにより、その動作結果に対応するグループ別アプリが起動する。なお、GPSレシーバ117は、周知の構成を有したユニットであり、地球を周回するGPS衛星から発信されるGPS信号を用いて現在位置を測位する機能を有する。GPSレシーバ117は例えば二次元測位を行い、端末装置10Aの現在位置情報を二次元座標で取得する。
図6に、グループ別アプリが起動する際に実行される処理のフローチャートを示す。図6を用いてこの処理について説明する。当該の処理によれば、プレゼンスアプリケーション200は、GPSレシーバ117の測位位置に応じたグループ別アプリを実行する。
グループ別アプリはそれぞれ異なる起動条件情報を有する。第一プレゼンスアプリケーション210は、第二プレゼンスアプリケーション220を介して、ロードされたグループ別アプリと通信し起動条件情報を取得する。起動条件情報は、例えばGPSレシーバ117で測位される位置情報と同じ座標系で表現される位置情報である。グループ別アプリ230Aの起動条件情報は自宅Hの位置情報であり、グループ別アプリ230Bの起動条件情報は加入者AやCの会社の位置情報である。附言するにこれらの起動条件情報では、自宅Hや会社の位置は二次元的な範囲で表現される。
第一プレゼンスアプリケーション210は、各グループ別アプリの起動条件情報と、GPSレシーバ117による測位位置とを定期的に比較する(ステップ1、以下、明細書及び図面においてステップを「S」と略記)。そして比較の結果、測位位置を含む起動条件情報を有するグループ別アプリに起動命令を出力する(S2)。このとき該当するグループ別アプリがない場合にはS1の処理に復帰して比較処理を再度実行する。図5(a)の例によれば、加入者Aは自宅Hにおり、GPSレシーバ117の測位位置も自宅Hを示すものとなる。従って、ここではグループ別アプリ230Aに起動命令が出力されて、当該のグループ別アプリ230Aが起動する(S3)。なお、測位位置が実行中のグループ別アプリに対応するものである場合には、第一プレゼンスアプリケーション210は起動命令を出力しない。
次に、図7に、図6のS3のサブルーチンを示す。図7を用いて図6のS3の起動処理を詳説する。
第一プレゼンスアプリケーション210は、グループ別アプリ230Aに対する起動命令出力に次いで、プレゼンス情報参照先のURLをグループ別アプリ230Aに問い合わせる(S11)。グループ別アプリ230Aはプレゼンス情報参照先の情報として管理サーバ20のURLを有しており、上記問い合わせに応答して管理サーバ20のURLを第二プレゼンスアプリケーション220に渡す。
第二プレゼンスアプリケーション220は例えば「home」、「studying」、「working」等のプレゼンス情報のパターンを有する。グループ別アプリ230Aは自宅Hに対応したアプリであるため、第二プレゼンスアプリケーション220は例えば「home」を選択し(S12)、受け取った管理サーバ20のURLと共に第一プレゼンスアプリケーション210に渡す。次いで、第一プレゼンスアプリケーション210がIMSコアアプリケーション300に送信要求して「home」を渡し、端末装置10Aと管理サーバ20とのセッションが確立すると、現在位置に応じたプレゼンス情報すなわち「home」がプレゼンス情報DB26にアップロードされる(S13)。なお、加入者Aは、ユーザ・オペレーションにより、任意の文字列から成るプレゼンス情報のパターンを第二プレゼンスアプリケーション220に追加して持たせることができる。また、各グループ別アプリが固有のプレゼンス情報のパターンを有しており、それを第二プレゼンスアプリケーション220に引き渡すといった形態も考えられる。
管理サーバ20は、送信元情報(すなわち送信元が端末装置10Aであるという情報)に基づいて、プレゼンス情報DB26中の加入者Aのプレゼンス情報を「home」に更新する(S21)。また、管理サーバ20には第一プレゼンスアプリケーション210からのプレゼンス情報の要求も届く。管理サーバ20はこの要求に応答し、プレゼンス情報DB26を参照して、加入者DB25のコミュニティ情報で定義される各ウォッチャ(例えば加入者B)のプレゼンス情報を端末装置10Aに送信する。それと同時に、各ウォッチャに更新情報(すなわち加入者Aのプレゼンス情報「home」)を送信する。
端末装置10Aが各ウォッチャのプレゼンス情報を受け取ると(S14)、それらのプレゼンス情報は第一プレゼンスアプリケーション210に渡される。次いで、第一プレゼンスアプリケーション210がプレゼンス情報をグループ別アプリ230Aに渡してスキンの実行を指示すると、グループ別アプリ230Aがスキンを実行する。これにより、ディスプレイ111には図8(a)のプレゼンス情報画面が表示される(S15)。すなわち、家族向けのスキン上に加入者Bを始めとする各家族のプレゼンス情報が表示される。なお、加入者Bは端末装置Bでグループ別アプリ230Aが起動された後、プレゼンス情報DB26に「studying」をアップロードしている。このため図8(a)のプレゼンス情報画面においては、加入者Bのプレゼンス情報が「studying」となっている。また、端末装置Bは管理サーバ20から上記更新情報を受信する。端末装置B側でも第一プレゼンスアプリケーション−グループ別アプリ間でデータの受渡しが行われ、更新情報により加入者Aのプレゼンス情報が「home」に更新される。
なお、図8に示されるように、プレゼンス情報には「Tel」、「Mail」、「PoC」の項目が含まれる。「Tel」は通話が可能か否か、「Mail」は電子メールを送受可能な状態か否か、「PoC」はプッシュトゥトーク(Push To Talk)可能な状態か否かを示す情報である。黒丸が付された項目は加入者がその方法で応答が可能な状態にあり、白丸が付された項目は加入者がその方法で応答ができない状態にあることを意味する。各項目設定は、例えば加入者が任意に変更可能である。これらの変更内容も「home」や「studying」と同様にプレゼンス情報DB26にアップロードされて各ウォッチャのスキン上に反映される。また、各項目のデフォルト設定はプレゼンス情報に応じて異なる。例えば「home」のデフォルト設定は加入者が全ての方法で応答が可能な設定であり、「working」のデフォルト設定は電子メール以外の応答ができない設定となる。
ここで、他のグループ別アプリ(グループ別アプリ230B、230C等)もプレゼンス情報参照先の情報として、対応するURLをそれぞれ有する。第一プレゼンスアプリケーション210は、図6および7の処理実行時にグループ別アプリ230Bや230Cに対してもURLを要求する。そして、取得したグループ別アプリ230Bや230CのURLも管理サーバ20に送信する。これにより、管理サーバ20は、加入者Aが利用するプレゼンスサービスを提供する全てのプレゼンスサーバのURLを取得する。これらのURLは、例えば加入者DB25中の加入者Aのレコードに、プレゼンスサービスのための参照先情報として追加される。また、管理サーバ20は、プレゼンスアプリケーション200とのデータの受渡しにおいて(例えばやり取りしたデータのヘッダ等を参照することにより)端末装置10Aでグループ別アプリ230Aが動的に起動したことを把握する。すなわち、GPSレシーバ117の位置情報をトリガーとしてグループ別アプリ230Aが起動し、加入者Aが自宅Hにいることを把握する。
図9に示されるフローチャートを用いて、図7のS21の更新処理時に管理サーバ20と他のプレゼンスサーバとが連係して実行する処理について説明する。
管理サーバ20は、加入者Aのプレゼンス情報を「home」に更新した際に、グループ別アプリ230Aが動的に起動したという情報を元に「private」というプレゼンス情報を生成する(S31)。次いで、加入者Aのレコードで参照先として指定された各URLに「private」をアップロードする(S32)。なお、代替的には、第一プレゼンスアプリケーション210が「private」を生成し、各グループ別アプリに対応するURLに「private」を送信するよう管理サーバ20に指示しても良い。
これにより、加入者Aのプレゼンス情報「private」が各URL(例えばプレゼンスサーバ20D)で受信される。プレゼンスサーバ20Dではプレゼンス情報DB中の加入者Aのレコードが「private」に更新されて(S41)、加入者DBのコミュニティ情報で定義される各ウォッチャ(例えば加入者C)に送信される。端末装置10Cでは例えばグループ別アプリ230Bが実行状態にあり、加入者Aのプレゼンス情報が「private」に更新されたプレゼンス情報画面が表示される(図8(b)参照)。管理サーバ20がプレゼンスサーバ20Dから更新完了通知を受け取ると(S33)、図9の処理は終了する。
なお、加入者Aが他のプレゼンス情報に更新したり他のグループ別アプリにマニュアル操作で切り替えて起動したりしても、他のグループ別アプリが動的に(GPSレシーバ117の位置情報をトリガーとして)起動しない限り、加入者Aは自宅Hにいることになる。このため、管理サーバ20(又は端末装置10Aの第一プレゼンスアプリケーション210)は、加入者Aの新たなプレゼンス情報を他のプレゼンスサーバに送信せず、この結果、端末装置10C側では加入者Aのプレゼンス情報は「private」のままである。
次に、加入者C側の立場で本実施例1を説明する。ここでは主として、端末装置10C−プレゼンスサーバ20D間でのデータの受渡しにより処理が実行される。なお、端末装置10C−プレゼンスサーバ20D間の処理は、管理サーバ20を経由して実行される点を除き、先に説明した端末装置10A−管理サーバ20間の処理と同様である。端末装置が管理サーバ20を介して他のプレゼンスサーバと通信するよう構成することにより、端末装置がオフライン(例えばキャリア通信網に接続されず通話できない状態)になることを防止している。
加入者Cが会社の敷地内に入ると、会社向けのグループ別アプリ230Bが起動して(又は他のグループ別アプリを実行状態であればグループ別アプリ230Bに切り替わり)、所定のプレゼンス情報が管理サーバ20経由でプレゼンスサーバ20Dのプレゼンス情報DBにアップロードされる。これにより、会社内にいる加入者であって、プレゼンスサーバ20Dにおいて加入者Cとプレゼンティティ−ウォッチャ関係にある加入者には、プレゼンスサーバ20Dのプレゼンス情報DBにアップロードされた、加入者Cのプレゼンス情報(例えば「desk」や「meeting」、「presentation」等の業務に関連する比較的詳細なプレゼンス情報)が公開される。また、端末装置10Cのディスプレイ111には、プレゼンスサーバ20Dにおいて加入者Cとプレゼンティティ−ウォッチャ関係にある各加入者が表示される。先に説明した例によれば、このとき表示される加入者Aのプレゼンス情報は「private」である。
一方、会社外にいる加入者であって、プレゼンスサーバ20Dにおいて加入者Cとプレゼンティティ−ウォッチャ関係にある加入者には、例えば「working」といった概略的なプレゼンス情報が公開される。具体的には、プレゼンスサーバ20Dは、端末装置10Cでグループ別アプリ230Bが動的に起動したという情報を元に「working」というプレゼンス情報を生成する。次いで、加入者Cのレコードで参照先として指定された各URLに管理サーバ20経由で「working」を送信する。ここでの宛先には管理サーバ20自体も含まれる。従って、管理サーバ20では加入者Cのプレゼンス情報が「working」に更新される。「working」を受信したプレゼンスサーバや管理サーバ20は、各々の加入者DBのコミュニティ情報で定義される各ウォッチャに「working」を送信する。なお、「working」には、加入者Cのプレゼンス情報であり、対応するアプリがグループ別アプリ230Bであることを記述したヘッダが付けられている。また、代替的には、端末装置10Cの第一プレゼンスアプリケーション210が「working」を生成し、各グループ別アプリに対応するURLに「working」を送信するよう管理サーバ20経由でプレゼンスサーバ20Dに指示しても良い。
端末装置10Aが「working」を受信すると、第一プレゼンスアプリケーション210により、対応するグループ別アプリ230Bが起動する。これにより、端末装置10Aのディスプレイ111には図8(c)に示されるプレゼンス情報画面が表示される。なお、端末装置10A上で他のグループ別アプリが実行状態である場合には、グループ別アプリ230Bの実行は一時的な割込処理で行われても良い。この場合、一定時間が経過すると元のグループ別アプリに復帰して、ディスプレイ111には元のグループ別アプリのプレゼンス情報画面が表示される。また、端末装置10Aで「working」が受信されてもグループ別アプリ230Bのスキンが実行されなくても良い。この場合、加入者Aがマニュアル操作によってグループ別アプリ230Bを起動させたときに初めて、ディスプレイ111には図8(c)に示されるプレゼンス情報画面が表示される。
次に、加入者Aが自宅Hを出て会社CPに向かうとする。加入者Aが自宅Hを出ると、第一プレゼンスアプリケーション210は、GPSレシーバ117による測位位置が何れのグループ別アプリの起動条件情報も満たさないと判定する。この場合、第一プレゼンスアプリケーション210は例えば加入者Aが外出中であると判断し、第二プレゼンスアプリケーション220から「commuting」や「outing」といったプレゼンス情報を取得する。次いで、第一プレゼンスアプリケーション210がIMSコアアプリケーション300に送信要求して「commuting」や「outing」を渡し、端末装置10Aと管理サーバ20とのセッションが確立すると、「commuting」や「outing」がプレゼンス情報DB26にアップロードされる。また、加入者Aのレコードで参照先として指定された各URLにも「commuting」や「outing」がアップロードされる。従って、加入者Aのプレゼンス情報は、端末装置10B上でも端末装置10C上でも「commuting」や「outing」となる。
図5(b)に示されるように加入者Aが会社CPに到着すると、端末装置10A上ではグループ別アプリ230Bが起動する。そして、加入者Cの例と同様に、加入者Aの業務に関連するプレゼンス情報が管理サーバ20経由でプレゼンスサーバ20Dのプレゼンス情報DBにアップロードされる。この結果、端末装置10C上で表示される加入者Aのプレゼンス情報、端末装置10A上で表示される加入者Cのプレゼンス情報は共に、「desk」や「meeting」、「presentation」等の業務に関連するものとなる。また、プレゼンスサーバ20Dは、プレゼンス情報「working」を生成し、加入者Aのレコードで参照先として指定された各URLに管理サーバ20経由で「working」を送信する。この結果、端末装置10B上では、加入者Aのプレゼンス情報として「working」が表示される。
次に、本発明の実施例2としてサービス別アプリのユースケースを説明する。
先ず、グループ別アプリとサービス別アプリとの違いについて説明する。本実施例1によれば、第二プレゼンスアプリケーション220が「home」といった基本的なプレゼンス情報のパターンをサポートし、その上に実装されるグループ別アプリは、それらの基本的なパターンを用いてプレゼンス情報を提供するよう動作していた。これに対してサービス別アプリは、第一プレゼンスアプリケーション210上に直接実装され、第二プレゼンスアプリケーション220が担う機能と同様の機能を含み、上記基本的なパターンに限定されない多様なプレゼンス情報(例えば「もの」に関するプレゼンス情報)を公開することができる。附言するにサービス別アプリは、グループ別アプリを機能拡張したものであり、より高度なプレゼンスサービスを提供する。換言すると、プレゼンスアプリケーション200は、グループ別アプリに対しては第二プレゼンスアプリケーション220を提供することによりアプリ作成者側の負担を軽減し、サービス別アプリに対しては第二プレゼンスアプリケーション220の機能も負担させることにより、アプリ作成者側がより多様なプレゼンスサービスを提供できるようにしている。サービス別アプリの一例として、電子チケットを兼ねたアプリが挙げられる。以下、電子チケットを兼ねたアプリを例に取り、サービス別アプリのユースケースを説明する。
端末装置10Aは、周知の電子チケットシステムを利用して電子チケットをダウンロードすることができる。簡単に説明すると、先ず、端末装置10Aが例えば遊園地等のWebサイトにアクセスして電子チケット購入を要求する。次いで、遊園地が管理するチケットサーバが、端末装置10Aの要求に応じたデジタル情報を作成して端末装置10Aに送信する。ここで作成されるデジタル情報がサービス別アプリであり電子チケットでもある。端末装置10Aにダウンロードされたサービス別アプリ(図4のサービス別アプリ240Aとする)は、第一プレゼンスアプリケーション210上に追加実装される。なお、電子チケット購入のトランザクションでチケットサーバが取得した端末装置10Aの情報(例えば氏名や、端末ID、購入時期等)は、遊園地が管理するサーバ群(後述のプレゼンスサーバ20EやゲートサーバGS等を含む)で共有される。
図10に、サービス別アプリ実装時に、プレゼンス管理システム1によって提供されるプレゼンスサービスを説明するためのシステムブロック図を示す。図10の例では、プレゼンスサーバ20Eは遊園地が管理するサーバであり、管理サーバ20やプレゼンスサーバDと同様にプレゼンスサービスを提供するための各種アプリケーションが実装されている。なお、図10は加入者Bが自宅H、加入者AとJが遊園地にいる状態を示す。また、加入者J(端末装置10J)は加入者Aとプレゼンティティ−ウォッチャ関係にあるものとする。
携帯装置10Aが例えばFeliCa(登録商標)等の非接触ICチップを搭載したものであれば、加入者Aは、遊園地の入口に設置されたゲートGTに携帯装置10Aをかざすだけで入場することができる。説明を加えると、ゲートGTにはリーダが付いており、携帯装置10Aとの近距離通信を行うことにより端末装置10A内のサービス別アプリ240Aを読み取る。次いで、読み取ったサービス別アプリ240Aの有効性を、遊園地が管理するゲートサーバGSに問い合わせる。ゲートサーバGSは、購入時期や入場履歴の有無等を条件に判定処理を行い(例えば購入時期から一定期間経過したサービス別アプリ240Aは無効と判定する等)、有効性ありと判断されたサービス別アプリ240Aを持つ加入者にだけ入場を許可するようゲートGTを遠隔制御する。第一プレゼンスアプリケーション210は、ゲートGTから入場許可の応答を受け取ると、入場許可に対応するアプリ、すなわちサービス別アプリ240Aを起動させる。なお、サービス別アプリ240Aは、例えば購入時期から一定期間経過した時点やゲートGTからの退場時に自動削除する構成であっても良い。
図7を援用して、サービス別アプリ240A起動時に実行される処理について説明する。第一プレゼンスアプリケーション210は、サービス別アプリ240に対して起動命令と、プレゼンス情報参照先のURLのリクエストを出力する(S11)。なお、このときの起動命令には、入場許可の受信に応じて出力されたことを示すデータ(これを「入場通知」と記す)が含まれる。
サービス別アプリ240Aは起動後、要求されたデータ、すなわちプレゼンスサーバ20EのURLを第一プレゼンスアプリケーション210に渡す。また、サービス別アプリ240Aは遊園地に関連する固有のプレゼンス情報(例えば「enter」、「A zone」、「B zone」等)を有しており、ここではその中から入場通知に対応するプレゼンス情報(例えば「enter」等)を選択して(S12)、第一プレゼンスアプリケーション210に渡す。次いで、第一プレゼンスアプリケーション210がIMSコアアプリケーション300に送信要求して「enter」を渡し、管理サーバ20経由でプレゼンスサーバ20Eのプレゼンス情報DBにアップロードされる(S13)。プレゼンスサーバ20Eがプレゼンス情報DB中の加入者Aのプレゼンス情報を「enter」に更新し配信すると(S21)、端末装置10J上では加入者Aのプレゼンス情報として「enter」が表示される(加入者Jは既に入場しているものとする)。また、プレゼンスサーバ20Eは、例えば「amusement park」といったプレゼンス情報を管理サーバ20のプレゼンス情報DBにアップロードし、これにより、端末装置10B上では加入者Aのプレゼンス情報として「amusement park」が表示される。
また、プレゼンスサーバ20Eは、各ウォッチャのプレゼンス情報を端末装置10Aに送信する。端末装置10Aが各ウォッチャのプレゼンス情報を受信すると(S14)、それらのプレゼンス情報は第一プレゼンスアプリケーション210に渡される。次いで、第一プレゼンスアプリケーション210により、サービス別アプリ240Aがスキンを実行し、これにより、ディスプレイ111にプレゼンス情報画面が表示される(S15)。
また、第一プレゼンスアプリケーション210は、GPSレシーバ117による測位位置をサービス別アプリ240Aに定期的に渡して、加入者Aの最新のプレゼンス情報を要求する。そして、例えば加入者Aが遊園地内を移動して園内の「Aゾーン」と称されるエリアに入ると、サービス別アプリ240Aはそれを検知して、加入者Aの現在位置に対応するプレゼンス情報「A zone」を第一プレゼンスアプリケーション210に渡す。次いで第一プレゼンスアプリケーション210により、加入者Aのプレゼンス情報として「A zone」がプレゼンスサーバ20Eのプレゼンス情報DBにアップロードされる。これにより、端末装置10J上では加入者Aのプレゼンス情報として「A zone」が表示される。なお、遊園地内の詳細な情報は管理サーバ20のプレゼンス情報DBにはアップロードされない。従って、端末装置10B上では加入者Aのプレゼンス情報として「amusement park」が表示されたままである。
ここまでの説明によれば、サービス別アプリ240Aの機能はグループ別アプリと同様である。次に、第一プレゼンスアプリケーション210がサービス別アプリ240Aと連係することにより提供される、より高度な機能について説明する。
第一プレゼンスアプリケーション210は、サービス別アプリ240Aの起動処理時に(および起動後定期的に)、各ウォッチャのプレゼンス情報だけでなく遊園地のアトラクションやレストラン等のプレゼンス情報もプレゼンスサーバ20Eに要求する。プレゼンスサーバ20Eはアトラクションやレストランに対応するプレゼンス情報DBを有しており、要求に応じてそれらのプレゼンス情報を端末装置10Aに送信する。第一プレゼンスアプリケーション210により、受信したプレゼンス情報を用いてサービス別アプリ240Aがスキンを実行する。これにより、例えば図11に示されるプレゼンス情報画面が表示される。つまり、プレゼンスアプリケーション200は、加入者だけでなくアトラクションやレストランといった「もの」に関するプレゼンス情報も取得することができる。
図11の例によれば、各種プレゼンス情報がそれぞれ異なるタブウィンドウで表示される。「ATTRACTION」のタブウィンドウではアトラクションのプレゼンス情報(例えば「congestion」、「vacant seat」、「breakdown」等)が表示され、「RESTAURANT」のタブウィンドウではレストランのプレゼンス情報が表示される。これにより、加入者Aは、アトラクションやレストランが混雑しているか否かといった情報を現地に行かなくても知ることができる。
なお、アトラクション等のプレゼンス情報は遊園地が管理するネットワークシステムによって収集される。一例を挙げると、各アトラクション入口付近には整理券(ファストパス等)を発券する発券端末が設置されており、加入者Aが発券端末に端末装置10Aをかざすと、発券端末−発券サーバ間での発券トランザクション実行後、整理券が発券される。発券サーバは、このときのトランザクションの履歴を情報収集サーバに転送する。情報収集サーバは、このようにして収集した情報に応じてアトラクションの混み具合等を判断し、例えば「congestion」といったプレゼンス情報を作成する。そして、作成したプレゼンス情報をプレゼンスサーバ20Eにアップロードする。これにより、プレゼンスサーバ20Eのプレゼンス情報DBが更新され、各加入者に「congestion」等のプレゼンス情報が提供される。
また、サービス別アプリ240Aには予約機能や問い合わせ機能も含まれる。例えば図11のプレゼンス情報画面において「book」が指定されると、発券サーバのURLおよび発券要求がサービス別アプリ240Aから第一プレゼンスアプリケーション210に渡される。そして、サービス別アプリ240A−発券サーバ間での発券トランザクション実行後、サービス別アプリ240Aは上記整理券と同じ効力を有する整理券情報を取得し保存する。加入者Aがアトラクションのゲートを通過する際にゲートに端末装置10Aをかざすと整理券情報の認証処理が行われ、認証後、加入者Aはゲートを通過してアトラクションを利用することができる。
また、加入者Aは、入場前にマニュアル操作でサービス別アプリ240Aを起動させて「PARKING」タブを選択することにより、遊園地の駐車場のプレゼンス情報を閲覧することができる。これにより加入者Aは、遊園地に行く前に駐車場が混雑しているか否かを知ることができる。この場合、第一プレゼンスアプリケーション210は、加入者Aが遊園地に入場していないため、プレゼンスサーバ20Eに対しては加入者Aのプレゼンス情報をアップロードしない。
また、携帯装置10Aが非接触ICチップを搭載しない機種である場合を想定して、例えばQRコード(登録商標)が表示される電子チケット画面をサービス別アプリ240Aに付加しても良い。この場合、加入者Aは、入場時にマニュアル操作でサービス別アプリ240Aを起動させて電子チケット画面を表示させてゲートGTを通過することになる。
次に、図5を援用して本実施例3のプレゼンス管理システム1について説明する。本実施例3によれば、例えば端末装置10Aや10Cの第一プレゼンスアプリケーション210は会社CP内にいる限り、プレゼンス情報のやり取りをプレゼンスサーバ20Dと直接行う。すなわち端末装置10Aや10Cでは、管理サーバ20を介することなく図6および7のフローチャートと同様の処理が実行される。
このときプレゼンスサーバ20Dは、端末装置10Aや10Cがオフライン(例えばキャリア通信網に接続されず通話できない状態)にならないよう管理サーバ20と通信する。具体的には、プレゼンスサーバ20Dは、端末装置10Aや10Cの端末IDを参照して各々のキャリアを特定し、特定したキャリアの管理サーバのURLにアクセスしてデータ通信を行う。すなわちプレゼンスサーバ20Dは、端末IDに基づいて端末装置毎に適切なキャリアの管理サーバを特定しデータ通信することにより、各端末装置がオフラインになることを防止している。また、プレゼンスサーバ20Dは加入者Aのプレゼンス情報として「working」を管理サーバ20に送信する。これにより、加入者Bには加入者Aのプレゼンス情報として「working」が提供される。なお、第一プレゼンスアプリケーション210は、GPSレシーバ117による測位位置に基づいて加入者Aが会社を出たことを検知すると、グループ別アプリ230Bからグループ別アプリ230Aへの切替処理を行い、管理サーバ20に直接アクセスするように動作する。
以上が本発明の実施の形態である。すなわちプレゼンス管理システム1によれば、所定のイベント(例えば加入者の居場所変更や遊園地への入場等)が発生すると、それを検知したプレゼンスアプリケーション200が、発生したイベントの内容に応じてプレゼンス情報を参照するサーバを切り替える。次いで、切替後の参照先サーバからプレゼンス情報をアップロードおよびダウンロードしてスキンが実行され、加入者にプレゼンス情報を提供する。つまり、加入者の状態に応じて参照先サーバが自動的に切り替わり、その参照先サーバに対応するグループや施設等のプレゼンス情報が加入者に動的に提供される。プレゼンス管理システム1では加入者のプレゼンス情報が参照先サーバ毎(プレゼンス提供アプリ毎)で管理され、複雑なプレゼンス情報の設定等を加入者に強いることがない。
また、参照先サーバ(又はプレゼンスアプリケーション200)は、例えば社内にいる加入者同士には業務に関連する詳細なプレゼンス情報を公開する。そしてその一方では、社外にいる他の加入者に対して「working」等といった概略的なプレゼンス情報を公開する。これにより、会社内における業務の詳細情報を社外の加入者に対して適切に隠蔽する。すなわちプレゼンス管理システム1は、プレゼンティティの状態に応じた適切なプレゼンス情報をウォッチャに動的に提供するのに極めて好適なシステムであると云える。
また、第一プレゼンスアプリケーション210により、プレゼンスサービス(参照先サーバ)毎に異なるスキンが実行される。例えば各スキンのプレゼンス情報画面がそれぞれ異なる色やレイアウト等で構成される場合、プレゼンスサービス毎に異なるユーザインタフェースが加入者に提供されることになる。このため加入者は、何れのプレゼンスサービスを利用しているかを視覚的に把握することができ、これにより、操作性向上の効果が期待される。
また、プレゼンスアプリケーション200は、上述したように各種プレゼンス提供アプリを追加実装可能であり、拡張性が高い。例えばプレゼンス提供アプリのクラスがサードパーティによって用意される場合、加入者は、プレゼンスサーバのURLや起動条件等の設定値をクラスに与えるだけで所望のプレゼンス提供アプリを容易に作成することができる。すなわち加入者は、固有のプレセンスサービスの環境を簡単に用意できる。このように本実施例のプレゼンス管理システム1は、拡張性が高く加入者に煩雑な作業を強いることがない点で極めて有益である。
なお、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく様々な範囲で変形が可能である。例えば本実施例1によれば、管理サーバ20又はプレゼンスアプリケーション200が加入者Aのプレゼンス情報として「private」を生成・配信するよう機能するが、別の実施の形態によれば、プレゼンスアプリケーション200が例えば加入者Aが会社外にいるときにはプレゼンスサーバ20Dとの接続をオフにするよう機能し、その一方でプレゼンスサーバ20Dが、オフラインとなった加入者のプレゼンス情報を「private」に更新するようにしても良い。
また、例えばモバイルSuica(登録商標)等を利用して駅構内の改札口を通過したときの履歴を利用してプレゼンス情報を提供するようにしても良い。例えば加入者Aが乗車するために改札口を通過すると端末装置10B上での加入者Aのプレゼンス情報が「train」となり、駅を出るために改札口を通過すると端末装置10B上での加入者Aのプレゼンス情報が乗車前の情報に戻るといった形態が考えられる。
また、第一プレゼンスアプリケーション210は、例えば端末装置の時計が計時する時刻の情報と、予め設定された時刻情報とを比較して、両方の時刻情報が一致した時点で対応するプレゼンス提供アプリを起動させたり切り替えたりするように機能することもできる。
本発明の実施の形態のプレゼンス管理システムの構成を模式的に示す図である。
本発明の実施の形態の端末装置の外観を示した図である。
本発明の実施の形態の端末装置の構成を示したブロック図である。
本発明の実施の形態のプレゼンスアプリケーションの概念構成図である。
本発明の実施例1のプレゼンス管理システムによって提供されるプレゼンスサービスを説明するためのシステムブロック図である。
グループ別アプリが起動する際に実行される処理のフローチャートを示す図である。
図6のS3のサブルーチンを示す図である。
グループ別アプリに対応するプレゼンス情報画面の一例を示す図である。
管理サーバとプレゼンスサーバとが連係して実行する処理を示す図である。
本発明の実施例2のプレゼンス管理システムによって提供されるプレゼンスサービスを説明するためのシステムブロック図である。
サービス別アプリに対応するプレゼンス情報画面の一例を示す図である。
符号の説明
1 プレゼンス管理システム
10A、10B、10C 端末装置
20 管理サーバ
20A、20B、20C、20D、20E プレゼンスサーバ
200 プレゼンスアプリケーション
210 第一プレゼンスアプリケーション
220 第二プレゼンスアプリケーション
230A、230B、230C グループ別アプリ
240A、240B サービス別アプリ