JP5159042B2 - 発光素子、発光装置及び電子機器 - Google Patents

発光素子、発光装置及び電子機器 Download PDF

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Description

本発明は一対の電極間に複数の層が挟まれた構成を有する発光素子、並びにそれを具備する発光装置及び実装した電子機器に関する。
より詳しくは、本発明は、駆動電圧が低く、かつ素子寿命が長く、しかも製造歩留まりの高い発光素子、並びにそれを具備する発光装置及び実装した電子機器に関する。
エレクトロルミネッセンス素子(発光素子)からの発光を利用した発光装置は、表示用または照明用の装置として注目されている。
発光装置に用いられる発光素子としては、一対の電極間に発光性化合物を含む層が挟まれた構成を有するものがよく知られている。
このような発光素子では、一方の電極は陽極として、他方の電極は陰極としてそれぞれ機能し、陽極側から注入された正孔と、陰極側から注入された電子とが再結合して励起状態の分子を形成し、それが基底状態に戻るときに光を放出する。
ところで、近年急速に開発が進んだ各種情報処理機器に組み込むための表示用装置においては特に低消費電力化への要求が高く、低消費電力化を達成するために発光素子の低駆動電圧化が試みられている。
また、商品化を踏まえれば、低駆動電圧化のみならず発光素子の長寿命化もまた重要であり、長寿命化を達成するための発光素子の開発が進められている。
例えば、特許文献1ではモリブデン酸化物等の仕事関数の高い金属酸化物を陽極に用いることで発光素子の低駆動電圧化を達成している。
さらに長寿命化に対する効果も得ている。
しかし、特に長寿命化について述べれば、特許文献1に示された手段のみでは十分であるとは言えず、さらなる長寿命化を達成するための技術開発を必要としていた。
また、発光素子は通常、サブミクロン程度の薄膜で形成されるため、上下の電極間で短絡しやすいという問題を抱えている。
特に、発光素子の作製工程で発生するゴミによる歩留まりの低さが問題となっている。
特開平9−63771号公報
本発明は、上記問題を解消すべく鋭意検討し、その結果開発に成功したものである。
したがって、本発明は、駆動電圧が低く、かつ素子寿命の長い発光素子を提供することを発明の解決すべき課題とするものである。
さらに、本発明は、製造歩留まりの高い発光素子、並びに該発光素子を具備する発光装置及び実装する電子機器を提供することも解決すべき課題とするものである。
本発明は、前記したとおり発光素子、発光装置及び電子機器を提供するものであり、その発光素子は、1つのフェニル基と2つのアリール基が窒素原子に結合した2つのアリールアミンがそれぞれのフェニル基を介してビスフェニル結合を形成しているアリールアミン化合物の2分子が平行配列して2分子体を形成し、金属酸化物に前記2分子体が配位したクラスターを含む層を有することを特徴とするものである。
そのクラスターを含む層は発光素子において電極に隣接して配置されるのが好ましい。
また、本発明の発光装置は前記発光素子を具備するものであり、電子機器は前記発光素子を表示部として実装するものである。
本発明の発光素子は、1つのフェニル基と2つのアリール基が窒素原子に結合した2つのアリールアミンがそれぞれのフェニル基を介してビスフェニル結合を形成しているアリールアミン化合物の2分子が平行配位して2分子体を形成し、前記2分子体に金属酸化物が配接したクラスターを含む層を有することにより、駆動電圧を低減することができる。
また、素子寿命の長い発光素子を提供することが可能となる。
さらに、クラスターを含む層は、厚膜化しても駆動電圧の上昇を抑制することができるため、クラスターを含む層を厚膜化して上下の電極間の短絡を抑制することができる。
そのため製造工程で発生するゴミによる歩留まりの低下を抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明はその形態によって何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載によって特定されるものであることはいうまでもない。
なお、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解されるところであり、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
本発明において発光素子の一対の電極のうち、陽極として機能する電極とは当該電極の電位の方が高くなるように電圧をかけた際、発光が得られる方の電極を言い、もう一方の電極を陰極と言う。
[発光素子の形態の概要((発光素子の第1の形態)実施の形態1ともいう)]
ここでは、発光素子の形態の概要を図1を利用して第1の形態に基づいて説明するが、それに加えて図2も利用して発光素子の第1の形態に関し詳述する。
その形態は発光素子の2つの電極のうち、一方の電極にのみ、それに隣接してクラスターを含む層を有する場合である。
本発明の発光素子は、一対の電極間に複数の層を有するものである。
当該複数の層は、電極から離れたところに発光領域が形成されるように、つまり電極から離れた部位でキャリアの再結合が行われるように、キャリア注入性の高い物質やキャリア輸送性の高い物質からなる層を組み合わせて積層されたものである。
本発明の発光素子の一形態について図1(A)を用いて以下に説明する。
本形態において、発光素子は、これを支持するための基板101上に設けられており、第1の電極102と、第1の電極102の上に順に積層した第1の層103、第2の層104、第3の層105、第4の層106と、さらにその上に設けられた第2の電極107とから構成されている。
なお、本形態では第1の電極102は陽極として機能し、第2の電極107は陰極として機能するように構成されている。
基板101としては、例えばガラス、またはプラスチックなどを用いることができる。 なお、発光素子の作製工程において支持体として機能するものであれば、これら以外のものでもよい。
第1の電極102は、仕事関数の大きい(仕事関数4.0eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物などで形成されていることが好ましい。
具体的には、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素を含有したインジウム錫酸化物、酸化インジウムに2〜20wt%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したIZO(Indium Zinc Oxide)の他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、又は金属材料の窒化物(TiN)等を用いることができる。
なお、本発明の発光素子において、第1の電極102は仕事関数の大きい材料に限定されず、仕事関数の小さい材料を用いることもでき、それには例えばアルミニウム(Al)、銀(Ag)等を用いることができる。
第1の層103は、ビフェニル骨格を有するアリールアミン化合物が、平行配位して2分子体を形成し、前記2分子体に金属酸化物が配接しているクラスターを含む層である。 第1の層103に含まれる金属酸化物の具体例としては、モリブデン酸化物(MoOx)、バナジウム酸化物(VOx)、ルテニウム酸化物(RuOx)、タングステン酸化物(WOx)等が挙げられる。
この他インジウム錫酸化物(ITO)や亜鉛酸化物(ZnO)を用いることができる。 なお、ここに示したものに限らず、その他の物質を用いてもよい。
また、アリールアミン骨格を有する有機材料としては、例えば4,4'−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:α−NPD)や4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:TPD)、4,4'−ビス[N−(4−ビフェニリル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BBPBなどの芳香族アミン系(即ち、ベンゼン環−窒素の結合を有する)の化合物を用いることができる。
なお、ここで述べた物質は、主に10-6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質であるが、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。
また、前記した第1の層103は、単層のものであったがそれだけではなく、例えば半導体と正孔輸送性の高い化合物を含み、その混合比が異なる層が二層以上積層した構造としてもよい。
第2の層104は、正孔輸送性の高い物質、例えばα−NPDやTPD、4,4',4''−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4',4''−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)などの芳香族アミン系(即ち、ベンゼン環−窒素の結合を有する)の化合物からなる層である。
ここに述べた物質は、主に10-6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。
但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であればこれら以外のものを用いてもよい。 なお、第2の層104も、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものであってもよい。
第3の層105は、発光性の高い物質を含む層である。
例えば、N,N'−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)や2H−クロメン−2−オン(略称:クマリン)等の発光性の高い物質とトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)や9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)等のキャリア輸送性が高く膜質がよい(つまり結晶化しにくい)物質とを自由に組み合わせて構成される。
但し、Alq3やDNAは発光性も高い物質であるため、これらの物質を単独で用いた構成とし、第3の層105としても構わない。
第4の層106は、電子輸送性の高い物質、例えばトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、トリス(5−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる層である。
さらに、この他にビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。
また、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。
なお、 ここで述べた物質は、主に10-6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質である。
また、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を第4の層106として用いても構わない。
さらに、第4の層106は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
第2の電極107(陰極)を形成する物質としては、仕事関数の小さい(仕事関数3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。
このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の1族または2族に属する元素、すなわち、リチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、及びこれらを含む合金(Mg:Ag、Al:Li)が挙げられる。
しかしながら、第2の電極107と発光層との間に、電子注入を促す機能を有する層を、当該第2の電極と積層して設けることにより、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、ITO、珪素を含むITO等様々な導電性材料を第2の電極107として用いることができる。
なお、電子注入を促す機能を有する層としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の化合物を用いることができる。
また、この他、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有させたもの、例えばAlq3中にマグネシウム(Mg)を含有させたもの等を用いることができる。
さらに、第1の層103、第2の層104、第3の層105、第4の層106の形成方法は、蒸着法以外の方法でもよい。
例えばインクジェット法またはスピンコート法など用いても構わない。
さらに、各電極または各層ごとに異なる成膜方法を用いて形成しても構わない。
以上のような構成を有する本発明の発光素子は、第1の電極102と第2の電極107との間に生じた電位差により電流が流れ、発光性の高い物質を含む層である第3の層105において正孔と電子とが再結合し、発光するものである。
つまり、第3の層105に発光領域が形成されるような構成となっている。
但し、第3の層105の全てが発光領域として機能する必要はなく、例えば、第3の層105のうち第2の層104側又は第4の層106側にのみ発光領域が形成されるようなものであってもよい。
その発光した光は、第1の電極102又は第2の電極107のいずれか一方または両方を通って外部に取り出される。
従って、第1の電極102及び第2の電極107のいずれか一方又は両方は、透光性を有する物質で成る。
第1の電極102のみが透光性を有するものである場合、図1(A)に示すように、発光は第1の電極102を通って基板側から取り出される。
また、第2の電極107のみが透光性を有するものである場合、図1(B)に示すように、発光は第2の電極107を通って基板と逆側から取り出される。
第1の電極102及び第2の電極107がいずれも透光性を有するものである場合、図1(C)に示すように、発光は第1の電極102及び第2の電極107を通って、基板側及び基板と逆側の両方から取り出される。
なお、第1の電極102と第2の電極107との間に設けられる層の構成は、上記のものには限定されない。
発光領域と金属とが近接することによって生じる消光が抑制されるように、第1の電極102及び第2の電極107から離れた部位に正孔と電子とが再結合する領域を設けた構成であり、且つ本発明のクラスターを含む層を有するものであれば、上記以外のものでもよい。
つまり、層の積層構造については特に限定されず、電子輸送性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、正孔注入性の高い物質、バイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質等から成る層を、本発明のクラスターを含む層と自由に組み合わせて構成すればよい。
また、例えば極薄の酸化珪素膜等からなる層を設けることによってキャリアの再結合部位を制御したものであってもよい。
例えば図2に示すような構成であってもよい。
但し、層構成はこれらのものに限定されない。
図2に示す発光素子は、陰極として機能する第1の電極302の上に電子輸送性の高い物質からなる第1の層303、発光性の高い物質を含む第2の層304、正孔輸送性の高い物質からなる第3の層305、ビフェニル骨格を有するアリールアミン化合物の2分子が、平行配位して2分子体を形成し、前記2分子体に金属酸化物が配接しているクラスターを含む第4の層306、陽極として機能する第2の電極307とが順に積層された構成となっている。
なお、301は基板である。
本実施の形態においては、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に発光素子を作製している。
一基板上にこのような発光素子を複数作製することで、パッシブ型の発光装置を作製することができる。
また、ガラス、プラスチックなどからなる基板以外に、例えば薄膜トランジスタ(TFT)アレイ基板上に発光素子を作製してもよい。
これにより、TFTによって発光素子の駆動を制御するアクティブマトリクス型の発光装置を作製できる。
なお、TFTの構造は、特に限定されない。
スタガ型のTFTでもよいし逆スタガ型のTFTでもよい。
また、TFTアレイ基板に形成される駆動用回路についても、N型およびP型のTFTからなるものでもよいし、若しくはN型またはP型のいずれか一方からのみなるものであってもよい。
本発明の発光素子は、ビフェニル骨格を有するアリールアミン化合物の2分子が平行配位して2分子体を形成し、前記2分子体に金属酸化物が配接しているクラスターを含む層を有することにより、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れており、低電圧駆動化が実現する。
つまり、クラスターを含む層は、キャリア密度が高いため、電極とオーム接触することが可能であり、電極との接触抵抗が小さい。
そのため駆動電圧を低減することができる。
また、クラスターを含む層は、厚膜化しても駆動電圧の上昇を抑制することができ、その結果クラスターを含む層を厚膜化して上下の電極間の短絡を抑制することができる。
そのため製造工程で発生するゴミによる欠陥を抑制し、歩留まりを向上させることができる。
しかも、クラスターを含む層を厚膜化することにより、衝撃等による短絡を防止することができるため、信頼性の高い発光素子を得ることができる。
例えば、発光物質を含む層(第1の層303、第2の層304及び第3の層305が該当)は通常100〜150nmであるのに対し、クラスターを含む層は50〜1000nm、好ましくは100〜500nmとすることができる。
さらに、本発明の発光素子に用いているクラスターを含む層は、キャリア密度が高いため、電極とオーム接触することが可能である。
つまり、電極との接触抵抗が小さい。
そのため、仕事関数等を考慮することなく電極材料を選ぶことができる。
つまり、電極材料の選択肢が広がる。
そして、本発明のクラスターを含む層は、真空蒸着で形成することができるため、発光物質を含む層も真空蒸着で形成する場合は、いずれの層も同一の真空装置内で成膜することが可能であり、真空状態を破る必要がない。
よって、製造工程におけるゴミの付着を防ぐことができ、歩留まりを向上させることができる。
また、本発明のクラスターを含む層は、有機材料と金属酸化物とを含んでいるため、電極と、発光物質を含む層との間に生じる応力差を小さくすることができる。
[クラスターに関する実施の形態(実施の形態2ともいう)]
本実施の形態では、実施の形態1で示したクラスター及びそれを含む層の形態に関し、より詳しく説明する。
本発明の発光素子に用いられているクラスターを含む層は、ビフェニル骨格を有するアリールアミン化合物の2分子が平行配位して2分子体を形成し、前記2分子体に金属酸化物が配接しているクラスターを含んでいる。
本実施の形態では、α−NPDと酸化モリブデンとを含むクラスター、及びTPDと酸化モリブデンとを含むクラスターを用いて説明する。
厚さ0.7mmからなる5インチサイズのガラス基板を水洗し、十分乾燥させた後、蒸着機にセットした。
その後、真空チャンバー内の圧力が1×10-3Pa以下となるまで排気を行った。
排気後、抵抗加熱方式である蒸着源に予めセットしておいた有機材料であるα−NPD及び無機材料である酸化モリブデンを加熱し同時に蒸着する、いわゆる共蒸着を行い、サンプルの作製を行った。
ここで、α−NPDの蒸着レートを0.4nm/sとして、表1の水準で酸化モリブデンの濃度を制御した。
なお、膜厚は全て100nmとした。
Figure 0005159042
吸収スペクトルのグラフを図11に示す。
酸化モリブデンの濃度の変化に合わせてスペクトルの形状は変化しているが、400nm付近で等吸収点が現れていることがわかる。
このことから、α−NPDと酸化モリブデンとの間には平衡反応が存在し、新規物質が生成していることが示唆される。
一方、水準No.6のサンプルにおける近赤外領域の吸収スペクトルを図12に示す。 比較として、α−NPD、及び酸化モリブデン単膜のサンプルの結果も示す。
図12からわかるように、α−NPDと酸化モリブデンの共蒸着を行った水準No.6のサンプルでは、波長1400nm(エネルギーで0.88eVに相当)付近に、α−NPD、及び酸化モリブデン単膜のサンプルにはみられないピークが存在していることがわかる。
そのため、α−NPDと酸化モリブデンの共蒸着を行ったサンプルでは、α−NPD、酸化モリブデン単体には存在しない新規物質が生成していると考えることができる。
次いで、α−NPDと同様の骨格を有するTPDと酸化モリブデンの共蒸着を行いサンプルを作製した。
TPDと酸化モリブデンの共蒸着を行ったサンプルの吸収スペクトルを図13に示す。 TPDと酸化モリブデンの共蒸着を行ったサンプルについても波長1400nm(エネルギーで0.88eVに相当)付近に、TPD及び酸化モリブデン単膜のサンプルにはみられないピークが存在していることがわかる。
そのため、TPDと酸化モリブデンの共蒸着を行ったサンプルでも、α−NPDと酸化モリブデンの共蒸着を行ったサンプルと同様に、TPD、及び酸化モリブデン単体には存在しない新規物質が生成していると考えることができる。
さらに、α−NPDと酸化モリブデンの共蒸着を行ったサンプルのX線結晶解析の結果を図14に示す。
その図14は、2θ_ω(「2θ/ω」ということもある)スキャン測定の結果を示している。
図14では、結晶ピークが観測されなかったため、α−NPDと酸化モリブデンを共蒸着したサンプルは、アモルファス状態であると考えられる。
また、図38〜50にToF−SIMS(Time of Flight−Secondary Ion Mass Spectrometry)の結果を示す。
そのToF−SIMSの結果から、負イオン分析では、酸化モリブデン(MoOx)として、MoO3、MoO4H、Mo26、Mo27、Mo36、Mo37、Mo38、Mo39、Mo310、Mo410、Mo411、Mo412、Mo413、Mo510、Mo511、Mo512、Mo513、Mo514、Mo515、Mo612、Mo613、Mo614、Mo615、Mo616、Mo618、Mo619の存在が確認できる。
さらに、正イオン分析では、有機分子2個とモリブデン原子1個に対応するピークが確認できる。
以上から、α−NPDと酸化モリブデンとの共蒸着及びTPDと酸化モリブデンとの共蒸着においては、それぞれ新規物質が生成されていると考えられるが、これは有機化合物と酸化モリブデンの相互作用により生じたものと考えられる。
そのようなことから以下のシミュレーションを行った。
TPD及びα−NPDはともにホール輸送材料であるため、プラス電荷を有しても安定な構造をとり易い。
そこで、TPDのカチオンラジカルの吸収に注目してシミュレーションを行った。
カチオンラジカルの吸収は、最高占有分子軌道(HOMO)から電子を1つ取り除いて形成される半占有分子軌道(SOMO)のエネルギー準位と最低非占有分子軌道(LUMO)のエネルギー準位間のバンドギャップに対応する。
TPDの単分子体及びTPDの二分子体について、それぞれにおけるカチオンラジカル電子状態を分子力学法(MM2)を用いて構造緩和を行なった。
その後、半経験的分子軌道法による計算を行い、構造最適化を行なった。
その計算を行う際には、半経験的分子軌道計算プログラムとして、WinMOPAC3.5を用い、キーワードとして、EF(geometry optimization)、AM1(ハミルトニアン)、及びCHARGE=1(+1の電荷)を用いた。
なお、計算コストが高くなるため、配置間相互作用(CI)は指定しなかった。
TPD単分子体の最適構造としては、2面角(dihedral angle)を変化させた5種類の初期構造(1a〜5a)を設定し、最も安定な構造を採用した。
なお、この計算の際には、簡略化するためTPDのメチル基を水素原子に変えて計算を行なった。
TPDのメチル基を水素原子に変えても、吸収スペクトルの位置はほとんど変化しない(すなわち、HOMO、LUMO間のエネルギーギャップは変わらない)。
そのためメチル基を水素原子に変えて計算を行った。
TPD単分子体の計算結果を図18〜図27に示す。
その計算の際の初期(入力)構造に関し以下において説明する。
下記式のように番号を付けたベンゼン環において、構造1aはベンゼン環2とベンゼン環3の平面のなす角度を90度及びベンゼン環4とベンゼン環5の平面のなす角度を90度にしたもの、構造2aはベンゼン環3の平面に対するベンゼン環1とベンゼン環2の平面が90度及びベンゼン環4の平面に対するベンゼン環5とベンゼン環6の平面がなす角度が90度であるもの、構造3aは構造2aの構造に加えてベンゼン環3とベンゼン環4の平面がなす角度が90度であるもの、構造4aはベンゼン環3とベンゼン環4の平面角が0度であり、かつベンゼン環3とベンゼン環4が作る平面に対するベンゼン環1、ベンゼン環2、ベンゼン環5、ベンゼン環6の平面がなす角度が90度であるもの、構造5aは全てのベンゼン環の平面がなす角度を0度としたものである。
これらの構造についてAM1で最適化計算し、その結果を図18〜27に示す。
Figure 0005159042
それぞれ、構造1aを初期構造とした計算結果(構造1b)を図18及び図19に、構造2aを初期構造とした計算結果(構造2b)を図20及び図21に、構造3aを初期構造とした計算結果(構造3b)を図22及び図23に、構造4aを初期構造とした計算結果(構造4b)を図24及び図25に、構造5aを初期構造とした計算結果(構造5b)を図26及び図27に示す。
構造1b〜構造5bのうち、構造1aを初期構造にした構造1bが最も生成熱が小さい構造であった。
よって、生成熱が最も小さい構造1bをカチオンラジカル電子状態の計算に用いた。
構造1bのカチオンラジカル電子状態の計算結果を図32に示す。
また、TPD二分子体についても、3つのモデル構造(分子配置)を仮定し、最も安定な構造を採用した。
その計算結果を図28〜図31に示す。
計算の際には、簡略化するためTPDのメチル基を水素原子に変えて計算を行なった。
すなわち、TPDのメチル基を水素原子に変えても、吸収スペクトルの位置はほとんど変化しない(HOMO、LUMO間のエネルギーギャップは変わらない)。
そのためメチル基を水素原子に変えて計算を行った。
図28の構造11はTPD分子が互いに直交している構造であり、構造12はビフェニルの芳香環の面同士が互いに向かい合っていない構造、構造13はビフェニルの芳香環の面同士が互いに向かい合っている構造である。
計算により求めた理論生成熱を比較したものを表2に示す。
その表2より、ビフェニル平面が互いに向かい合っている構造13が、生成熱が最も小さく安定な構造であるという計算結果を得た。
したがって、本計算では最も安定な構造13をTPD二分子体のカチオンラジカルの計算に用いた。
Figure 0005159042
それら計算より求めたTPD単分子のカチオンラジカル、及びTPD二分子体のカチオンラジカルにおける、SOMO準位、LUMO準位、及びそのバンドギャップエネルギーを表3に示す。
また、TPD単分子のカチオンラジカルの計算結果を図32に、TPD二分子体のカチオンラジカルの計算結果を図33に示す。
Figure 0005159042
図13に示した吸収スペクトルから得られたバンドギャップエネルギーは0.88eVであり、本シミュレーションで得られたTPD二分子体カチオンラジカルのバンドギャップエネルギーと非常に良く一致していることがわかる。
そのため、TPDと酸化モリブデンとの共蒸着で生成した新規物質は、TPDが平行配列した二分子体のカチオンラジカルが関与していると考えられる。
また、TPDと酸化モリブデンがどのように結合するかについても計算を行った。
なお、この計算においても、TPDのメチル基を水素原子に変えて計算を行なった。
すなわち、TPDのメチル基を水素原子に変えても、吸収スペクトルの位置はほとんど変化しない(HOMO、LUMO間のエネルギーギャップは変わらない)。
そのため、メチル基を水素原子に変えて計算を行った。
蒸着により成膜した場合、膜中の酸化モリブデンは様々な価数をとりうるが、蒸着の際にセットする初期材料である三酸化モリブデン(MoO3)として計算を行った。
その結果を図34〜図37に示す。
構造21の結果を図35に、構造22の結果を図36に、構造23の結果を図37に示す。
その計算を行った結果を図34に示す。
なお、三酸化モリブデンの初期配置によって、構造21ないし構造23の三種類の結果が得られた。
いずれの場合においても、TPDにMoO3が(図34の実線による丸囲い部)接近すると、TPDの芳香環の電子が奪われ、最終的にN原子(図34の中の破線による丸囲い部)がプラス電荷を持ちTPDはカチオンラジカルとなる。
なお、図34に示した3つのモデルのうち、構造22が最も安定である計算結果が得られた。
本明細書中では、このように有機材料と金属酸化物が配位していることをクラスターを形成していると言う。
TPDの芳香環とMoO3とが電子の授受を行なう理由を以下に示す。
非共有電子対を有するN原子は、電子供与性があるため共役を通じて芳香環にマイナス電荷を部分的に渡し、芳香環の電子密度は高くなり求核性が高くなっている。
MoO3は、TPDの芳香環の立体障害によりN原子と接近することができない。
そこで、MoO3はTPDの求核性のある芳香環から電子を受け取り、電子が足りなくなった芳香環はプラス電荷を持つようになるが、共役を通じてN原子が不対電子を持つようになり、TPDカチオンラジカル構造の安定化が図られると考えられる。
また、TPDとMoO3で電荷の授受が起こりやすい理由としては、TPDのHOMO準位と、MoO3の空いているバンドや準位(例えば、伝導帯など)が接近しているためであると考えられる(図15)。
α−NPDの吸収スペクトルもTPDの吸収スペクトルとほぼ同じ波長にピークを有するため、α−NPDと酸化モリブデンを共蒸着したサンプルについてもTPDと酸化モリブデンを共蒸着したサンプルと同様な状態であるといえる。
つまり、α−NPDにMoO3が接近すると、α−NPDの芳香環の電子が奪われ、最終的にN原子がプラス電荷を持ちα−NPDはカチオンラジカルとなる。
[発光素子の第2の形態(実施の形態3ともいう)]
本実施の形態では、実施の形態1に示した構成とは異なる構成を有する発光素子について、図3及び図4を用いて説明する。
この実施の形態は、実施の形態1とは異なり、発光素子の2つの電極にそれぞれ隣接してクラスターを含む層を有する場合である。
図3(a)に本発明の第2の形態(実施の形態3)の発光素子の構造の一例を示す。
第1の電極201と、第2の電極202との間に、発光物質を含む層は狭持されている構成となっている。
発光物質を含む層は、第2の層212、第3の層213が積層された構成となっている。
本実施の形態では、第1の電極201が陽極として機能し、第2の電極202が陰極として機能する場合について説明する。
第1の電極201、第2の電極202は、実施の形態1と同じ構成を適用することができる。
また、第1の層211は実施の形態2で示したクラスターを含む層であり、第2の層212は発光性の高い物質を含む層である。
第3の層213は電子供与性物質と電子輸送性の高い化合物とを含む層であり、第4の層214は実施の形態2で示したクラスターを含む層である。
第3の層213に含まれる電子供与性物質としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属及びそれらの酸化物や塩であることが好ましく、具体的には、リチウム、セシウム、カルシウム、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物、炭酸セシウム等が挙げられる。
このような構成とすることにより、図3(a)に示した通り、電圧を印加することにより第3の層213及び第4の層214の界面近傍にて電子の授受が行われ、電子と正孔が発生し、第3の層213は電子を第2の層212に輸送すると同時に、第4の層214は正孔を第2の電極202に輸送する。
すなわち、第3の層213と第4の層214とを合わせて、キャリア発生層としての役割を果たしている。
その第4の層214は正孔を第2の電極202に輸送する機能を担っていると言える。
なお、第4の層214と第2の電極202との間に、さらに第2の層および第3の層を再び積層することで、タンデム型の発光素子とすることも可能である。
また、クラスターを含む層である第1の層211や第4の層214は、極めて高い正孔注入性、正孔輸送性を示す。
したがって、本実施の形態の発光素子は、発光機能を担う第2の層の両側を非常に厚くすることが可能となり、その結果発光素子の短絡を効果的に防止できる。
さらに、図3(a)を例に取ると、第2の電極202をスパッタリングにより成膜する場合などは、発光性の物質が存在する第2の層212へのダメージを低減することもできる。
また、第1の層211と第4の層214を同じ材料で構成することにより、発光物質を含む層の両側が同じ材料で構成されることになるため、応力歪みを抑制する効果も期待できる。
なお、本実施の形態の発光素子においても、第1の電極201や第2の電極202の種類を変えることで、様々な構造を有する。
その模式図を図3(b)、図3(c)及び図4に示す。
なお、図3(b)、図3(c)及び図4では、図3(a)の符号を引用する。
それら図において200は、本発明の発光素子を担持する基板である。
前記したとおり図3は、基板200側から第1の層211、第2の層212、第3の層213、第4の層214の順で構成されている場合の例である。
この例においては、第1の電極201を光透過性とし第2の電極202を遮光性(特に反射性)とすることで、図3(a)のように基板200側から光を射出する構成となる。
また、第1の電極201を遮光性(特に反射性)とし、第2の電極202を光透過性とすることで、図3(b)のように基板200の逆側から光を射出する構成となる。
さらに、第1の電極201、第2の電極202の両方を光透過性とすることで、図3(c)に示すように基板200側と基板200の逆側の両方に光を射出する構成も可能となる。
そして、図4は、基板200側から第4の層214、第3の層213、第2の層212、第1の層211の順で構成されている場合の例である。
この例においては、第1の電極201を遮光性(特に反射性)とし、第2の電極202を光透過性とすることで図4(a)のように基板200側から光を取り出す構成となる。
逆に、第1の電極201を光透過性とし、第2の電極202を遮光性(特に反射性)とすることで、図4(b)のように基板200と逆側から光を取り出す構成となる。
さらに、第1の電極201、第2の電極202の両方を光透過性とすることで、図4(c)に示すように、基板200側と基板200の逆側の両方に光を射出する構成も可能となる。
また、第1の層211が、電子供与性物質と電子輸送性の高い化合物とを含み、第2の層212は発光性の物質を含み、第3の層213が実施の形態2で示したクラスターを含み、第4の層214が、電子供与性物質と電子輸送性の高い化合物とを含む構成にすることも可能である。
なお、本実施の形態における発光素子を作製する場合には、湿式法、乾式法を問わず、公知の方法を用いることができる。
さらに、第1の電極201を形成した後、第1の層211、第2の層212、第3の層213、第4の層214を順次積層し、第2の電極202を形成してもよいし、第2の電極202を形成した後、第4の層214、第3の層213、第2の層212、第1の層211を順次積層し、第1の電極を形成してもよい。
[発光装置の回路構成及び駆動方法の実施の形態(実施の形態4ともいう)]
本実施の形態では、表示機能を有する発光装置の回路構成及び駆動方法の形態について図5〜8を用いて説明する。
その図5は、本発明の発光素子を適用した発光装置を上面からみた模式図であり、該図5において、基板6500上には、画素部6511と、ソース信号線駆動回路6512と、書込用ゲート信号線駆動回路6513と、消去用ゲート信号線駆動回路6514とが設けられている。
そのソース信号線駆動回路6512と、書込用ゲート信号線駆動回路6513と、消去用ゲート信号線駆動回路6514とは、それぞれ配線群を介して外部入力端子であるFPC(フレキシブルプリントサーキット)6503と接続している。
その結果、該ソース信号線駆動回路6512と、書込用ゲート信号線駆動回路6513と、消去用ゲート信号線駆動回路6514とは、それぞれ、FPC6503からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。
さらに、FPC6503にはプリント配線基盤(PWB)6504が取り付けられている。
それら駆動回路部は、上記のように必ずしも画素部6511と同一基板上に設けられている必要はなく、例えば、配線パターンが形成されたFPC上にICチップを実装したもの(TCP)等を利用し、基板外部に設けられていてもよい。
その画素部6511には、列方向に延びた複数のソース信号線が行方向に並んで配列しており、更に電流供給線も行方向に並んで配列している。
また、画素部6511には、行方向に延びた複数のゲート信号線が列方向に並んで配列しており、更に発光素子を含む一組の回路が複数配列している。
前記した図6は、一画素を動作するための回路を表した図である。
その図6に示す回路には、第1のトランジスタ901と第2のトランジスタ902と発光素子903とが含まれている。
その第1のトランジスタ901と、第2のトランジスタ902とは、それぞれ、ゲート電極と、ドレイン領域と、ソース領域とを含む三端子の素子であり、ドレイン領域とソース領域の間にチャネル領域を有する。
ここで、ソース領域とドレイン領域とは、トランジスタの構造や動作条件等によって変わるため、いずれがソース領域又はドレイン領域であるかを限定することが困難である。
そこで、本形態においては、ソースまたはドレインとして機能する領域を、それぞれ第1電極、第2電極と表記する。
その図6において、ゲート信号線911と、書込用ゲート信号線駆動回路913とはスイッチ918によって電気的に接続又は非接続の状態になるように設けられている。
そのゲート信号線911と、消去用ゲート信号線駆動回路914とはスイッチ919によって電気的に接続又は非接続の状態になるように設けられている。
また、その図においてソース信号線912は、スイッチ920によってソース信号線駆動回路915又は電源916のいずれかに電気的に接続するように設けられている。
さらに、第1のトランジスタ901のゲートはゲート信号線911に電気的に接続している。
そして、第1のトランジスタの第1電極はソース信号線912に電気的に接続し、第2電極は第2のトランジスタ902のゲート電極と電気的に接続している。
その第2のトランジスタ902の第1電極は電流供給線917と電気的に接続し、第2電極は発光素子903に含まれる一の電極と電気的に接続している。
なお、スイッチ918は、書込用ゲート信号線駆動回路913に含まれていてもよい。
さらに、スイッチ919についても消去用ゲート信号線駆動回路914の中に含まれていてもよいし、スイッチ920についてもソース信号線駆動回路915の中に含まれていてもよい。
前記した画素部におけるトランジスタや発光素子等の配置については特に限定されることはないが、例えば図7の上面図に表すように配置することができる。
その図7において、第1のトランジスタ1001の第1電極はソース信号線1004に接続し、第2の電極は第2のトランジスタ1002のゲート電極に接続している。
また、第2トランジスタの第1電極は電流供給線1005に接続し、第2電極は発光素子の電極1006に接続している。
なお、ゲート信号線1003の一部は第1のトランジスタ1001のゲート電極として機能する。
以上の発光装置の回路構成に続いて、発光装置の駆動方法について説明する。
図8は時間経過に伴ったフレームの動作について説明する図である。
その図8において、横方向は時間経過を表し、縦方向はゲート信号線の走査段数を表している。
本発明の発光装置を用いて画像表示を行うとき、表示期間においては、画面の書き換え動作と表示動作とが繰り返し行われる。
この書き換えの回数に関しては特に限定はないが、画像をみる人がちらつき(フリッカ)を感じないように少なくとも1秒間に60回程度とすることが好ましい。
ここで、一画面(1フレーム)の書き換え動作と表示動作を行う期間を1フレーム期間という。
1フレームは、図8に示すように、書き込み期間501a、502a、503a、504aと保持期間501b、502b、503b、504bとを含む4つのサブフレーム501、502、503、504に時分割されている。
発光するための信号を与えられた発光素子は保持期間において発光状態となっている。 各々のサブフレームにおける保持期間の長さの比は、第1のサブフレーム501:第2のサブフレーム502:第3のサブフレーム503:第4のサブフレーム504=23:22:21:20=8:4:2:1となっている。
これによって4ビット階調を表現することができる。
なお、ビット数及び階調数はここに記すものに限定されず、例えば8つのサブフレームを設け8ビット階調を行えるようにしてもよい。
その1フレームにおける動作について説明する。
まず、サブフレーム501において、1行目から最終行まで順に書き込み動作が行われる。
従って、行によって書き込み期間の開始時間が異なる。
書き込み期間501aが終了した行から順に保持期間501bへと移る。
当該保持期間において、発光するための信号を与えられている発光素子は発光状態となっている。
また、保持期間501bが終了した行から順に次のサブフレーム502へ移り、サブフレーム501の場合と同様に1行目から最終行まで順に書き込み動作が行われる。
以上のような動作を繰り返し、サブフレーム504の保持期間504b迄終了する。
サブフレーム504における動作を終了したら次のフレームへ移る。
このように、各サブフレームにおいて発光した時間の積算時間が、1フレームにおける各々の発光素子の発光時間となる。
この発光時間を発光素子ごとに変えて画素部内で様々に組み合わせることによって、明度及び色度の異なる様々な表示色を形成することができる。
前記サブフレーム504のように、最終行目までの書込が終了する前に、既に書込を終え、保持期間に移行した行における保持期間を強制的に終了させたいときは、保持期間504bの後に消去期間504cを設け、強制的に非発光の状態となるように制御することが好ましい。
その強制的に非発光状態にした行については、一定期間、非発光の状態を保つ(この期間を非発光期間504dとする)。
そして、最終行目の書込期間が終了したら直ちに、一行目から順に次の(またはフレーム)の書込期間に移行する。
これによって、サブフレーム504の書き込み期間と、その次のサブフレームの書き込み期間とが重畳することを防ぐことができる。
なお、本形態では、サブフレーム501ないし504は保持期間の長いものから順に並んでいるが、必ずしも本実施例のような並びにする必要はなく、例えば保持期間の短いものから順に並べられていてもよいし、または保持期間の長いものと短いものとがランダムに並んでいてもよい。
また、サブフレームは、さらに複数のサブフレームに分割されていてもよい。
つまり、同じ映像信号を与えている期間、ゲート信号線の走査を複数回行ってもよい。
次に、書込期間及び消去期間における図6で示す回路の動作について説明する。
まず、書込期間における動作について説明する。
書込期間において、n行目(nは自然数)のゲート信号線911は、スイッチ918を介して書込用ゲート信号線駆動回路913と電気的に接続し、消去用ゲート信号線駆動回路914とは非接続である。
また、ソース信号線912はスイッチ920を介してソース信号線駆動回路915と電気的に接続している。
ここで、n行目(nは自然数)のゲート信号線911に接続した第1のトランジスタ901のゲートに信号が入力され、第1のトランジスタ901はオンとなる。
この時点において、1列目から最終列目迄のソース信号線に同時に映像信号が入力される。
なお、各列のソース信号線912から入力される映像信号は互いに独立したものである。
そのソース信号線912から入力された映像信号は、各々のソース信号線に接続した第1のトランジスタ901を介して第2のトランジスタ902のゲート電極に入力される。
この第2のトランジスタ902に入力された信号によって、電流供給線917と発光素子903との導通又は非導通が決まり、発光素子903の発光又は非発光が決まる。
例えば、第2のトランジスタ902がPチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にLow Levelの信号が入力されることによって発光素子903が発光する。
逆に、第2のトランジスタ902がNチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にHigh Levelの信号が入力されることによって発光素子903が発光する。
続いて、消去期間における動作について説明する。
その消去期間においては、n行目(nは自然数)のゲート信号線911は、スイッチ919を介して消去用ゲート信号線駆動回路914と電気的に接続し、書込用ゲート信号線駆動回路913とは非接続である。
なお、その際ソース信号線912はスイッチ920を介して電源916と電気的に接続している。
ここで、n行目のゲート信号線911に接続した第1のトランジスタ901のゲートに信号が入力され、第1のトランジスタ901はオンとなる。
さらに、その際1列目から最終列目迄のソース信号線に同時に消去信号が入力される。 そのソース信号線912から入力された消去信号は、各々のソース信号線に接続した第1のトランジスタ901を介して第2のトランジスタ902のゲート電極に入力される。
この第2のトランジスタ902に入力された信号によって、電流供給線917と発光素子903とが非導通状態となる。
その結果、発光素子903は強制的に非発光となる。
例えば、第2のトランジスタ902がPチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にHigh Levelの信号が入力されることによって発光素子903は非発光となる。
逆に、第2のトランジスタ902がNチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にLow Levelの信号が入力されることによって発光素子903は非発光となる。
なお、消去期間では、n行目(nは自然数)については、以上に説明したような動作によって消去する為の信号を入力する。
しかし、前述のように、n行目が消去期間であると共に、他の行(m行目(mは自然数)とする。)については書込期間となる場合がある。
このような場合、同じ列のソース信号線を利用してn行目には消去の為の信号を、m行目には書込の為の信号を入力する必要があるため、以下に説明するような動作をさせることが好ましい。
先に説明した消去期間における動作によって、n行目の発光素子903が非発光となった後、直ちに、ゲート信号線と消去用ゲート信号線駆動回路914とを非接続の状態とすると共に、スイッチ920を切り替えてソース信号線とソース信号線駆動回路915と接続させる。
その接続と共にゲート信号線と書込用ゲート信号線駆動回路913とを接続させる。
その結果、書込用ゲート信号線駆動回路913からm行目の信号線に選択的に信号が入力され、第1のトランジスタがオンすると共に、ソース信号線駆動回路915からは、1列目から最終列目迄のソース信号線に書込の為の信号が入力される。
この信号によって、m行目の発光素子は、発光又は非発光となる。
以上のようにしてm行目について書込期間を終えたら、直ちに、(n+1)行目の消去期間に移行する。
そのためにゲート信号線と書込用ゲート信号線駆動回路913を非接続とすると共に、スイッチ920を切り替えてソース信号線を電源916と接続する。
また、ゲート信号線と書込用ゲート信号線駆動回路913を非接続とすると共に、ゲート信号線については、消去用ゲート信号線駆動回路914と接続状態にする。
その消去用ゲート信号線駆動回路914から(n+1)行目のゲート信号線に選択的に信号を入力して第1のトランジスタをオンするための信号を入力する共に、電源916から消去信号が入力される。
このようにして、(n+1)行目の消去期間を終えたら、直ちに、m行目の書込期間に移行する。
以下、同様に、消去期間と書込期間とを繰り返し、最終行目の消去期間まで動作させればよい。
なお、本形態では、n行目の消去期間と(n+1)行目の消去期間との間にm行目の書込期間を設ける態様について説明したが、これに限らず、(n−1)行目の消去期間とn行目の消去期間との間にm行目の書込期間を設けてもよい。
また、本実施の形態では、サブフレーム504のように非発光期間504dを設ける際に、消去用ゲート信号線駆動回路914と或る1つのゲート信号線とを非接続状態にすると共に、書込用ゲート信号線駆動回路913と他のゲート信号線とを接続状態にする動作を繰り返している。
このような動作は、特に非発光期間を設けないフレームにおいて行っても構わない。
[本発明の発光素子を含む発光装置の断面構造の形態(実施の形態5)]
本発明の発光素子を含む発光装置の断面構造の一態様について、図9を用いて実施の形態として説明する。
その図9において、点線で囲まれているのは本発明の発光素子12を駆動するために設けられているトランジスタ11である。
その発光素子12は、第1の電極13と第2の電極14との間に発光物質を含む層が積層された層15を有する本発明の発光素子である。
そのトランジスタ11のドレインと第1の電極13とは、第1層間絶縁膜16(16a、16b、16c)を貫通している配線17によって電気的に接続されている。
また、発光素子12は、隔壁層18によって、隣接して設けられている別の発光素子と分離されている。
このような構成を有する本発明の発光装置は、本形態において、基板10上に設けられている。
その図9に図示されたトランジスタ11は、半導体層を中心として基板と逆側にゲート電極が設けられたトップゲート型のものである。
そのトランジスタ11の構造については特に限定されることはなく、例えばボトムゲート型のものでもよい。
また、ボトムゲート型の場合には、チャネルを形成する半導体層の上に保護膜が形成されたもの(チャネル保護型)でもよいし、或いはチャネルを形成する半導体層の一部が凹状になったもの(チャネルエッチ型)でもよい。
そのトランジスタ11を構成する半導体層は、結晶性、非結晶性のいずれのものでもよく、またセミアモルファス等でもよい。
そのセミアモルファスな半導体とは、次のようなものである。
すなわち、非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造を有し、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質な領域を含んでいるものである。
また、その半導体層の膜中の少なくとも一部の領域には、0.5〜20nmの結晶粒を含んでいる。
その半導体膜のラマンスペクトルは520cm-1よりも低波数側にシフトしている。
X線回折ではSi結晶格子に由来するとされる(111)、(220)の回折ピークが観測される。
未結合手(ダングリングボンド)を終端化させるために水素またはハロゲンを少なくとも1原子%又はそれ以上含ませている。
所謂微結晶半導体(マイクロクリスタル半導体)とも言われている。
その半導体膜は珪化物を含む気体をグロー放電分解(プラズマCVD)して形成する。
珪化物を含む気体としては、SiH4、その他にもSi26、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などを用いることができる。
この珪化物を含む気体をH2、又はH2とHe、Ar、Kr、Neから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈しても良く、その希釈率は2〜1000倍の範囲がよい。
その放電分解時の圧力は概略0.1Pa〜133Paの範囲、電源周波数は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHzがよい。
その際の基板加熱温度は300℃以下でよく、好ましくは100〜250℃がよい。
その膜中の不純物元素として、酸素、窒素、炭素などの大気成分の不純物は1×1020/cm3以下とすることが望ましく、特に、酸素濃度は5×1019/cm3以下、好ましくは1×1019/cm3以下とする。
なお、セミアモルファス半導体を用いたTFT(薄膜トランジスタ)の移動度はおよそ1〜10m2/Vsecとなる。
また、半導体層が結晶性のものの具体例としては、単結晶または多結晶性の珪素、或いはシリコンゲルマニウム等から成るものが挙げられる。
これらはレーザー結晶化によって形成されたものでもよいし、例えばニッケル等を用いた固相成長法による結晶化によって形成されたものでもよい。
なお、半導体層が非晶質の物質、例えばアモルファスシリコンで形成される場合には、トランジスタ11及びその他のトランジスタ(発光素子を駆動するための回路を構成するトランジスタ)は全てNチャネル型トランジスタで構成された回路を有する発光装置であることが好ましい。
それ以外については、Nチャネル型又はPチャネル型のいずれか一のトランジスタで構成された回路を有する発光装置でもよいし、両方のトランジスタで構成された回路を有する発光装置でもよい。
さらに、その発光装置における第1層間絶縁膜16は、図9(A)、(C)に示すように多層(16a、16b、16c)でもよいし、又は単層でもよい。
それが多層である場合には、例えば16aは酸化珪素や窒化珪素のような無機物から成り、16bはアクリルやシロキサン(シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む有機基を有する物質)、塗布成膜可能な酸化珪素等の自己平坦性を有する物質からなる。
16cはアルゴン(Ar)を含む窒化珪素膜からなる。
その第1層間絶縁膜16の各層を構成する物質については、特に限定はなく、ここに述べたもの以外のものを用いてもよい。
また、これら以外の物質から成る層をさらに組み合わせてもよい。
このように第1層間絶縁膜16は、無機物又は有機物の両方を用いて形成されたものでもよいし、または無機物と有機物のいずれか一で形成されたものでもよい。
その発光装置における隔壁層18は、エッジ部において、曲率半径が連続的に変化する形状であることが好ましく、それは、アクリルやシロキサン、レジスト、酸化珪素等を用いて形成される。
なお、その隔壁層18は、無機物と有機物のいずれか一で形成されたものでもよいし、または両方を用いて形成されたものでもよい。
また、図9(A)、(C)では、第1層間絶縁膜16のみがトランジスタ11と発光素子12の間に設けられた構成であるが、図9(B)のように、第1層間絶縁膜16(16a、16b)の他、第2層間絶縁膜19(19a、19b)が設けられた構成のものであってもよい。
図9(B)に示す発光装置においては、第1の電極13は第2層間絶縁膜19を貫通し、配線17と接続している。
その発光装置における第2層間絶縁膜19は、第1層間絶縁膜16と同様に多層でもよいし、又は単層でもよい。
その多層の場合における19aはアクリルやシロキサン(シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む有機基を有する物質)、塗布成膜可能な酸化珪素等の自己平坦性を有する物質からなり、19bはアルゴン(Ar)を含む窒化珪素膜からなる。
その各層を構成する物質については特に限定はなく、ここに述べたもの以外のものを用いてもよく、これら以外の物質から成る層を更に組み合わせてもよい。
このように、第2層間絶縁膜19は、無機物又は有機物の両方を用いて形成されたものでもよいし、また無機物と有機物のいずれか一で形成されたものでもよい。
発光素子12において、第1の電極及び第2の電極がいずれも透光性を有するものである場合、図9(A)の白抜きの矢印で表されるように第1の電極13側と第2の電極14側の両方から発光を取り出すことができる。
また、第2の電極14のみが透光性を有するものである場合、図9(B)の白抜きの矢印で表されるように第2の電極14側のみから発光を取り出すことができる。 この場合には、第1の電極13は反射率の高い材料で構成されているか、または反射率の高い材料から成る膜(反射膜)が第1の電極13の下方に設けられていることが好ましい。
さらに、第1の電極13のみが透光性を有するものである場合には、図9(C)の白抜きの矢印で表されるように第1の電極13側のみから発光を取り出すことができる。
この場合、第2の電極14は反射率の高い材料で構成されているか、または反射膜が第2の電極14の上方に設けられていることが好ましい。
また、発光素子12は、第1の電極13の電位よりも第2の電極14の電位が高くなるように電圧を印加したときに動作するように層15が積層されたものであってもよいし、或いは第1の電極13の電位よりも第2の電極14の電位が低くなるように電圧を印加したときに動作するように層15が積層されたものであってもよい。
前者の場合、トランジスタ11はNチャネル型トランジスタであり、後者の場合、トランジスタ11はPチャネル型トランジスタである。
以上のように、本実施の形態では、トランジスタによって発光素子の駆動を制御するアクティブ型の発光装置について説明したが、この他、トランジスタ等の駆動用の素子を特に設けずに発光素子を駆動させるパッシブ型の発光装置であってもよい。
そのパッシブ型の発光装置においても、低駆動電圧で動作する本発明の発光素子を含むことによって低消費電力で駆動させることができる。
[本発明の発光素子を実装した電子機器の実施の形態(実施の形態6ともいう)]
本発明の発光素子を含む発光装置は良好な画像を表示することができるため、本発明の発光素子を有する発光装置を電子機器の表示部に適用することによって、優れた映像を提供できる電子機器を得ることができる。
また、本発明の発光素子を含む発光装置は低消費電力で駆動するため、本発明の発光素子を含む発光装置を電子機器の表示部に適用することによって、消費電力の少ない電子機器を得ることができ、例えば、待受時間等の長い電話機等を得ることができる。
本発明を適用した発光装置を実装した電子機器の具体例を実施の形態6として図10に示す。
図10(A)は、本発明を適用して作製したノート型のコンピュータであり、本体5521、筐体5522、表示部5523、キーボード5524などによって構成されている。
本発明の発光素子を有する発光装置を表示部として組み込むことでコンピュータを完成できる。
図10(B)は、本発明を適用して作製した電話機であり、本体5552には表示部5551と、音声出力部5554、音声入力部5555、操作スイッチ5556、5557、アンテナ5553等によって構成されている。
本発明の発光素子を有する発光装置を表示部として組み込むことで電話機を完成できる。
図10(C)は、本発明を適用して作製したテレビ受像機であり、表示部5531、筐体5532、スピーカー5533などによって構成されている。
本発明の発光素子を有する発光装置を表示部として組み込むことでテレビ受像機を完成できる。
以上のように本発明の発光素子を有する発光装置は、各種電子機器の表示部として用いるのに非常に適している。
なお、本実施の形態では、コンピュータ、電話機及びテレビ受像機について述べたが、この他に、ナビゲイション装置或いは照明機器等に本発明の発光素子を有する発光装置を実装しても構わない。
以下に、本発明に関し実施例に基づいて更に詳しく説明するが、本発明はこの実施例によって何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲によって特定されるものであることはいうまでもないことである。
まず、有機金属錯体の合成例を実施例1として記載し、次いで本発明の発光素子の作製方法の具体例を実施例2として記載する。
本実施例1では、実施の形態2で示したクラスターを含む層の一例として、α−NPDと酸化モリブデンを電極の表面に生成させる、クラスターの合成例及びその電流−電圧特性の測定例について説明する。
厚さ0.7mmからなる5インチサイズのガラス基板上に、膜厚110nmのITOをスパッタリングにより成膜、フォトリソグラフィーによるパターニングを行い、電極を形成した。
前記ITO電極を有する基板を水洗し、十分乾燥させ、蒸着機に基板をセットした後、真空チャンバー内の圧力が1×10-3Pa以下となるまで排気を行った。
次いで、その圧力下で150℃、30分の基板加熱を行い、その状態のまま30分以上の冷却を行った。
その冷却後、有機材料としてα−NPD、及び無機材料として酸化モリブデンの共蒸着を行った。
ここで、α−NPDの蒸着レートを0.4nm/sとし、酸化モリブデンの濃度は27wt%となるように制御した。
なお、膜厚は100nmとした。
その後膜厚200nmのアルミニウムを蒸着して素子1を作製した。
ITOを陽極、アルミニウムを陰極とした場合における、素子1の電流−電圧特性を図16に示す。
なお、比較として、α−NPDと酸化モリブデンの共蒸着の代わりに、α−NPDのみを蒸着した素子を作製した結果も示す。
素子1の電流−電圧特性は、図16に図示するように電圧の一次に比例しており、オーム電流が流れていることがわかる。
そのため、ITO電極との接触はオーム接触と考えることができる。
他方、α−NPDのみを蒸着した膜では、電圧の一次には比例しない。
この電流はショットキー注入電流と考えることができる。
このように、α−NPDと酸化モリブデンの共蒸着から生成される、平行配位した二分子体に金属酸化物が配接したクラスターを有する膜は、不対電子が多数存在しているため、キャリア密度が高いという特徴を有する。
したがって、電極上に蒸着することで、オーム接触しやすくなるデバイスが可能である。
本実施例2では、本発明の発光素子の一例として、α−NPDと酸化モリブデンの共蒸着した層を用いた発光素子の作製方法を示す。
なお、比較のためにα−NPDのみを蒸着した層を用いた発光素子の作製方法も示す。
その実施例の作製方法は以下のとおりである。
まず、厚さ0.7mmからなる5インチサイズのガラス基板上に、膜厚110nmのITOをスパッタリングにより成膜、フォトリソグラフィーによるパターニングを行い、電極を形成した。
前記ITO電極を有する基板を水洗し、十分乾燥させ、蒸着機に基板をセットした後、真空チャンバー内の圧力が1×10-3Pa以下となるまで排気を行った。
その排気後、その圧力下で150℃、30分の基板加熱を行い、その状態のまま30分以上の冷却を行った。
その後、有機材料としてα−NPD、及び無機材料として酸化モリブデンの共蒸着を行った。
ここで、α−NPDの蒸着レートを0.4nm/sとし、酸化モリブデンの濃度は27wt%となるように制御した。
なお、膜厚は120nmとした。
次に、正孔輸送層としてα−NPDを10nm蒸着し、発光層としてAlq3にDMQdを0.3wt%ドープしたものを37.5nm蒸着し、電子輸送層としてAlq3のみを37.5nm蒸着し、電子注入層としてCaF2を1nm蒸着し、陰極としてアルミニウムを200nm蒸着して発光素子2を作製した。
なお、比較例の発光素子は、以下のとおり作製した。
すなわち、α−NPDと酸化モリブデンの共蒸着を用いず、ITO陽極上に正孔輸送層を兼ねたα−NPDを130nm蒸着し、発光層としてAlq3にDMQdを0.3wt%ドープしたものを37.5nm蒸着し、電子輸送層としてAlq3のみを37.5nm蒸着し、電子注入層としてCaF2を1nm蒸着し、陰極としてアルミニウムを200nm蒸着して発光素子3を作製した。
前記のとおりに作製した実施例2の発光素子2及び比較例の発光素子3の輝度−電圧特性を測定し、それを図17に示す。
比較例の発光素子3に対し、実施例2の発光素子2が大幅に低電圧化されていることがわかる。
このことから、α−NPD二分子体ラジカルカチオンを含む膜を成膜することで、発光素子の低抵抗化を図ることができる。
本発明の発光素子を説明する図。 本発明の発光素子を説明する図。 本発明の発光素子を説明する図。 本発明の発光素子を説明する図。 本発明を適用した発光装置について説明する図。 本発明を適用した発光装置に含まれる回路について説明する図。 本発明を適用した発光装置の上面図。 本発明を適用した発光装置のフレーム動作について説明する図。 本発明を適用した発光装置の断面図。 本発明を適用した電子機器の図。 α−NPDと酸化モリブデンとを共蒸着したサンプルの吸収スペクトルを示す図。 α−NPDと酸化モリブデンとを共蒸着したサンプルの吸収スペクトルを示す図。 TPDと酸化モリブデンとを共蒸着したサンプルの吸収スペクトルを示す図。 α−NPDと酸化モリブデンとを共蒸着したサンプルのX線結晶構造解析結果を示す図。 TPDと酸化モリブデンのエネルギー準位を示す図。 本発明のクラスターを含む層の電流−電圧特性を示す図。 本発明の発光素子の輝度−電圧特性を示す図。 TPD単分子の最適構造を示す図。 TPD単分子の電子状態の計算結果を示す図。 TPD単分子の最適構造を示す図。 TPD単分子の電子状態の計算結果を示す図。 TPD単分子の最適構造を示す図。 TPD単分子の電子状態の計算結果を示す図。 TPD単分子の最適構造を示す図。 TPD単分子の電子状態の計算結果を示す図。 TPD単分子の最適構造を示す図。 TPD単分子の電子状態の計算結果を示す図。 TPD二分子体の最適構造を示す図。 TPD二分子体の電子状態の計算結果を示す図。 TPD二分子体の電子状態の計算結果を示す図。 TPD二分子体の電子状態の計算結果を示す図。 TPD単分子カチオンラジカルの電子状態の計算結果を示す図。 TPD二分子体カチオンラジカルの電子状態の計算結果を示す図。 TPDと酸化モリブデンの最適構造を示す図。 TPDと酸化モリブデンの電子状態の計算結果を示す図。 TPDと酸化モリブデンの電子状態の計算結果を示す図。 TPDと酸化モリブデンの電子状態の計算結果を示す図。 α−NPDと酸化モリブデンとを共蒸着したサンプルのToF−SIMSの測定結果を示す図。 α−NPDと酸化モリブデンとを共蒸着したサンプルのToF−SIMSの測定結果を示す図。 α−NPDと酸化モリブデンとを共蒸着したサンプルのToF−SIMSの測定結果を示す図。 α−NPDと酸化モリブデンとを共蒸着したサンプルのToF−SIMSの測定結果を示す図。 α−NPDと酸化モリブデンとを共蒸着したサンプルのToF−SIMSの測定結果を示す図。 α−NPDと酸化モリブデンとを共蒸着したサンプルのToF−SIMSの測定結果を示す図。 α−NPDと酸化モリブデンとを共蒸着したサンプルのToF−SIMSの測定結果を示す図。 α−NPDと酸化モリブデンとを共蒸着したサンプルのToF−SIMSの測定結果を示す図。 α−NPDと酸化モリブデンとを共蒸着したサンプルのToF−SIMSの測定結果を示す図。 α−NPDと酸化モリブデンとを共蒸着したサンプルのToF−SIMSの測定結果を示す図。 α−NPDと酸化モリブデンとを共蒸着したサンプルのToF−SIMSの測定結果を示す図。 α−NPDと酸化モリブデンとを共蒸着したサンプルのToF−SIMSの測定結果を示す図。 α−NPDと酸化モリブデンとを共蒸着したサンプルのToF−SIMSの測定結果を示す図。
符号の説明
101 基板
102 第1の電極
103 第1の層
104 第2の層
105 第3の層
106 第4の層
107 第2の電極
200 基板
201 第1の電極
202 第2の電極
211 第1の層
212 第2の層
213 第3の層
214 第4の層

Claims (6)

  1. 第1の電極と第2の電極との間に、
    発光性の物質を含む層と、前記第1の電極と接するクラスターを含む第1の層と、前記第2の電極と接する前記クラスターを含む第2の層と、前記第2の層と接する電子供与性物質を含む層と、を有し、
    前記クラスターは、1つのフェニル基と2つのアリール基が窒素原子に結合した2つのアリールアミンがそれぞれのフェニル基を介してビスフェニル結合を形成しているアリールアミン化合物の2分子が平行配列して2分子体を形成し、金属酸化物に前記2分子体が配位していることを特徴とする発光素子。
  2. 前記クラスターのアリールアミン化合物のビスフェニル結合を形成している2つのフェニル基を形成する各ベンゼン環の6個の炭素原子が形成する面は、もう一つの、前者のアリールアミン化合物に平行するアリールアミン化合物のビスフェニル結合を形成している2つのフェニル基を形成する各ベンゼン環の6個の炭素原子が形成する面と互いに対面している配置になっている請求項1に記載の発光素子。
  3. 前記クラスターが、金属酸化物と、1つのフェニル基と2つのアリール基が窒素原子に結合した2つのアリールアミンがそれぞれのフェニル基を介してビスフェニル結合を形成しているアリールアミン化合物とを真空下で同時に気化させ、その気化した両物質を同時に固化させることにより作製されたものである請求項1又は2に記載の発光素子。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、
    前記電子供与性物質は、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物、又は炭酸セシウムであることを特徴とする発光素子。
  5. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の発光素子を具備する発光装置。
  6. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の発光素子を表示部として実装した電子機器。
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