以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造の概略を示す図である。画像形成装置1は例えば、コピー、プリンタ、スキャナ及びファクシミリの機能を有するデジタル複合機に適用することができる。画像形成装置1は装置本体100、装置本体100の上に配置された原稿読取部200、原稿読取部200の上に配置された原稿給送部300、装置本体100の上部前面に配置された操作表示部400、及び装置本体100の用紙搬出側、例えば左側に配置された用紙後処理部500を備える。
原稿給送部300は原稿載置部301、給紙ローラ303、原稿搬送部305及び原稿排出部307を備える。給紙ローラ303は原稿載置部301にセットされた原稿を1枚ずつ繰り出す。原稿搬送部305は繰り出された原稿を原稿読取部200に搬送する。原稿は原稿読取部200で読み取られて原稿排出部307に排出される。このように原稿給送部300は自動原稿送り装置として機能し、原稿載置部301に置かれた複数枚の原稿を連続的に原稿読取部200に送ることができる。
原稿読取部200はCCD(Charge Coupled Device)センサ及び露光ランプ等を搭載したキャリッジ201、ガラス等の透明部材により構成された原稿台203、及び原稿読取スリット205を備える。原稿台203に載置された原稿を読み取る場合、キャリッジ201を原稿台203の長手方向に移動させながらCCDセンサにより原稿を読み取る。これに対して、原稿給送部300から給送された原稿を読み取る場合、キャリッジ201を原稿読取スリット205と対向する位置に移動させて、原稿給送部300から送られてきた原稿を、原稿読取スリット205を通してCCDセンサにより読み取る。CCDセンサは読み取った原稿を画像データとして出力する。
装置本体100は用紙貯留部101、画像形成部103及び定着部105を備える。用紙貯留部101は装置本体100の最下部に配置されており、用紙の束を貯留することができる用紙トレイ107を備える。用紙トレイ107に貯留された用紙の束において、最上位の用紙がピックアップローラ109の駆動により、用紙搬送部111へ向けて繰り出される。用紙は用紙搬送部111を通って、画像形成部103へ搬送される。
画像形成部103は搬送されてきた用紙にトナー画像を形成する。画像形成部103は感光体ドラム113、露光部115、現像部117及び転写部119を備える。露光部115は画像データ(原稿読取部200から出力された画像データ、パソコンから送信された画像データ、ファクシミリ受信の画像データ等)に対応する光を生成し、一様に帯電された感光体ドラム113の周面に照射する。これにより、感光体ドラム113の周面には画像データに対応する静電潜像が形成される。この状態で感光体ドラム113の周面に現像部117からトナーを供給することにより、周面には画像データに対応するトナー画像が形成される。このトナー画像は転写部119によって先ほど説明した用紙貯留部101から搬送されてきた用紙に転写される。
トナー画像が転写された用紙は定着部105に送られる。定着部105において、トナー画像と用紙に熱と圧力が加えられて、トナー画像を用紙に定着させる。これにより、用紙への画像の印刷が完了する。この印刷済用紙に対して後処理がされる場合、印刷済用紙は装置本体100の用紙排出口121から用紙後処理部500へ送られる。これに対して後処理がされない場合、印刷済用紙は排紙トレイ123に排紙される。
用紙後処理部500では印刷済用紙に対して、ソート、ステープル、パンチ、中綴じ等の後処理がされる。用紙後処理部500は用紙搬入口501、用紙搬送部503、用紙搬出口505及びスタックトレイ507等を備える。用紙搬送部503は用紙排出口121から用紙搬入口501に搬入された印刷済用紙を順次搬送し、後処理がされた印刷済用紙を用紙搬出口505からスタックトレイ507へ搬出する。スタックトレイ507は用紙搬出口505から搬出された上記用紙の集積枚数に応じて矢印方向に上下動可能な構成を有する。
操作表示部400は操作キー部401と表示部403を備える。操作表示部400について図2を用いて説明する。図2は操作表示部400の拡大平面図である。表示部403はタッチパネルであり、ソフトキーを含む画面が表示される。ユーザは画面を見ながらソフトキーを操作することによって、コピー等の機能の実行に必要な設定等をする。
操作キー部401はハードキーからなる操作キーを備えており、具体的にはヘルプキー405、スタートキー407、テンキー409及び機能切換キー411等を備える。ヘルプキー405はヘルプ画面を表示部403に表示させるキーである。ヘルプ画面とはスキャナ、ファクシミリ、プリンタ、コピー等の機能に関する操作方法が表示された画面である。
スタートキー407はコピー、ファクシミリ送信等の動作を開始させるキーである。テンキー409はコピー部数、ファクシミリ番号等の数字を入力するキーである。
機能切換キー411はコピーキー413、送信キー415及びボックスキー417等を備えており、コピー機能、送信機能、ボックス機能等を相互に切り替えるキーである。
コピーキー413を操作すれば、コピーの初期画面が表示部403に表示される。送信キー415を操作すれば、ファクシミリ送信及びメール送信の初期画面が表示部403に表示される。
ボックスキー417を操作すれば、ドキュメントボックスの初期画面が表示部403に表示される。ドキュメントボックス機能とはドキュメントボックスに記憶されているデータを読み出して印刷する機能である。ドキュメントボックスは画像形成装置1の各ユーザに割り当てることができ、原稿読取部200で読み取られた原稿の画像データ、電子メール、ファイル等のデータが記憶される。画像形成装置1は後述するHDD(Hard Disk Drive)700を備えており、HDD700の記憶領域の一部がドキュメントボックスとして利用される。
ワークフローキー419はワークフローのモードを選択するためのキーである。ワークフローとは複数のワークを組み合わせて構成されたものであり、画像形成装置1を利用して実行される。上述したように例えば「雑誌を作成」のワークフローでは、雑誌を作成するのに必要なワーク(両面コピー、ステープル、表紙付加等)を組み合わせたものを用意する。これにより、画像形成装置1を利用して雑誌を作成したいユーザの利便性を向上させる。ワークフローは予め用意されており、メーカが用意してもよいし、ユーザが用意してもよい。
ワークフローは設定の組み合わせ(例えば両面コピーの設定、集約コピーの設定及び用紙の設定)、機能の組み合わせ(原稿読取部200での原稿の読み取る機能及び読み取った原稿の画像データを外部のパソコンのメモリに格納する機能)、設定と機能の組み合わせのいずれもよい。
ワークフローキー419を操作すれば、ワークフローのモードの画面が表示部403に表示される。ユーザはその画面を利用して、ワークフローの実行、ワークフローの新規作成、ワークフローの変更、ワークフローの削除等をすることができる。
図3は図1に示す画像形成装置1の電気的な構成を示すブロック図である。画像形成装置1は装置本体100、原稿読取部200、原稿給送部300、操作表示部400、用紙後処理部500、制御部600、HDD700及び通信部800がバスによって相互に接続された構成を有する。装置本体100、原稿読取部200、原稿給送部300及び用紙後処理部500に関しては既に説明したので、説明を省略する。
制御部600はCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び画像メモリ等を備える。CPUは画像形成装置1を動作させるために必要な制御を、画像形成装置1を構成する上記ハードウェアに対して実行する。ROMは画像形成装置1の動作の制御に必要なソフトウェアを記憶している。RAMはソフトウェアの実行時に発生するデータの一時的な記憶及びアプリケーションソフトの記憶等に利用される。画像メモリは画像データ(原稿読取部200から出力された画像データ、パソコンから送信された画像データ、ファクシミリ受信の画像データ等)を一時的に記憶する。
制御部600は操作画面記憶部601、ワークフロー記憶部602、表示制御部603、基準値記憶部605、ジョブ受付部607、残り値決定部609、比較判定部611、一覧画面生成部613及びデフォルト処理部615を備える。
操作画面記憶部601はワークフローを構成する各ワークで受け付ける設定項目への操作入力に用いられる、それぞれの操作画面のデータを予め記憶している。これらの操作画面はウィザード形式で表示部403に表示される。
ワークフロー記憶部602は複数のワークを組み合わせて構成されるワークフローが予め記憶されている。操作画面記憶部601とワークフロー記憶部602を一つの記憶部とすれば、この記憶部は画像形成装置1で実行可能な機能についての各処理項目(各ワーク)の組み合わせでなるテンプレートを複数記憶する。このテンプレートは例えば、コピー動作等の機能毎に、各機能で適用する部数、用紙サイズ、倍率、濃度、集約印刷、原稿画質、両面分割等の処理項目の組み合わせである。
テンプレートは、コピー動作等の機能を実行するために登録が必要な各設定入力をユーザに案内する処理を行うためのワークフロー、又は、コピー動作等の機能を実行する際に適用される各処理項目の設定内容(設定値)を記憶して当該各設定内容でコピー動作等の機能を実行させるワークフローに用いられる。
表示制御部603は操作画面記憶部601に記憶されている複数の操作画面のデータを用いて、ワークフローをなす操作画面をウィザード形式で複数の操作画面を順番に表示部403に表示させる制御をする。
基準値記憶部605はワークフローの操作画面の表示時におけるユーザからの操作入力と、画像形成装置1に外部から割り込まれたジョブの実行とのいずれを優先させるかの基準値のデータを予め記憶している。基準値については後で説明する。
ジョブ受付部607は画像形成装置1に外部から割り込まれたジョブを受け付ける。例えば外部装置であるパソコンからの印刷ジョブを受け付ける。
残り値決定部609はワークフローの操作入力中に画像形成装置1に外部から割り込まれたジョブがジョブ受付部607で受け付けられた場合、ワークフローをなす複数の操作画面の中で設定項目への操作入力がされていない残りの操作画面の数を基にして残り値を決定する。残り値の決定については後で説明する。
比較判定部611は残り値決定部609で決定された残り値を基準値記憶部605に記憶されている基準値と比較し、残り値が基準値より小さければワークフローの操作入力を優先させる判定をし、残り値が基準値より大きければ画像形成装置1に外部から割り込まれたジョブの実行を優先させる判定をする。
一覧画面生成部613はワークフローの操作入力中に画像形成装置1に外部から割り込まれたジョブがジョブ受付部607で受け付けられた場合、ワークフローをなす複数の操作画面のうち、操作入力がされていない残りの操作画面に入力される設定項目の一覧を示す一覧画面用のデータを生成する。比較判定部611が画像形成装置1に外部から割り込まれたジョブの実行を優先させる判定をした場合、表示制御部603は一覧画面生成部613によって生成された一覧画面用のデータを用いて、残りの操作画面で入力される設定項目の一覧画面を表示部403に表示させる。
デフォルト処理部615は、比較判定部611が画像形成装置1に外部から割り込まれたジョブの実行を優先させる判定をした場合における表示部403に表示された一覧画面に含まれる残りの操作画面に設けられている設定項目について、デフォルト値に設定する処理をする。
操作表示部400は第1及び第2の指示受付部の機能を有する。第1の指示受付部はデフォルト処理部615によって残りの操作画面に設けられている設定項目についてデフォルトに処理された状態で、ユーザによるワークフローの操作入力が途中までされたワークフローの実行の指示を受け付ける。
第2の指示受付部はデフォルト処理部615で処理されたデフォルトについてユーザによる変更する指示を受け付ける。
HDD700は原稿読取部200から出力された画像データ、パソコンから送信された画像データ、ファクシミリ受信の画像データ等のデータの保存に利用される。上述したようにHDD700の記憶領域の一部はドキュメントボックスとして利用される。
通信部800はファクシミリ通信部801及びネットワークI/F部803を備える。ファクシミリ通信部801は相手先ファクシミリとの電話回線の接続を制御するNCU(Network Control Unit)及びファクシミリ通信用の信号を変復調する変復調回路を備える。ファクシミリ通信部801は電話回線805に接続される。
ネットワークI/F部803はLAN(Local Area Network)807に接続される。ネットワークI/F部803はLAN807に接続されたパソコン等の端末装置との間で通信を実行するための通信インターフェイス回路である。
次に、画像形成装置1を利用したワークフローの実行に必要な操作の一例を説明する。図4はこの操作において表示部403に表示される操作画面の遷移を示す図である。操作画面はウィザード形式が採用されている。操作画面の表示及び切り換えの制御は、図3の表示制御部によって実行される。
ユーザが図2のワークフローキー419を操作することよってワークフローモードとなる。表示部403には操作画面11が表示される。操作画面11は以下のソフトキーを含む。ワークフローの実行キー21aはワークフローの実行モードを選択するキーである。ワークフローの新規作成キー21bはワークフローの新規作成モードを選択するキーである。ワークフローの変更キー21cはワークフローの変更モードを選択するキーである。ワークフローの削除キー21dはワークフローの削除モードを選択するキーである。次にキー23は次の操作画面に切り換えるキーである。終了キー25はワークフローのモードを終了させるキーである。
ユーザはワークフローに基づく画像形成装置1の動作を実行する場合、ワークフローの実行キー21aを操作した後、次にキー23を操作する。これにより、表示部403に表示される画面は、操作画面11から操作画面13に切り換わる。
操作画面13は複数のワークフローからユーザにワークフローを選択させる画面である。本実施形態では九つのワークフローが予め用意されている。具体的には「キレイにコピー」、「大量にコピー」、「省エネでコピー」、「プレゼン資料を作成」、「雑誌を作成」、「ポスターを作成」、「まとめてコピー」、「かさねてコピー」及び「分割してコピー」のワークフローである。
操作画面13は次にキー23及び終了キー25に加えて、以下のソフトキーを含む。前へキー27は前の操作画面に切り換えるキーである。キレイにコピーキー29aはキレイにコピーするモードを選択するキーである。大量にコピーキー29bは大量にコピーするモードを選択するキーである。省エネでコピーキー29cは省エネでコピーするモードを選択するキーである。プレゼン資料を作成キー29dはプレゼン資料を作成するモードを選択するキーである。雑誌を作成キー29eは雑誌を作成するモードを選択するキーである。ポスターを作成キー29fはポスターを作成するモードを選択するキーである。まとめてコピー29gはまとめてコピーするモードを選択するキーである。かさねてコピーキー29hはかさねてコピーするモードを選択するキーである。分割してコピーキー29iは分割してコピーするモードを選択するキーである。
例えば、「まとめてコピー」のワークフローを例に説明する。両面コピー及び集約コピーを組み合わせたものを、「まとめてコピー」と称している。ユーザが「まとめてコピー」のワークフローを実行したい場合、まとめてコピーキー29gを操作する。そしてユーザが次にキー23を操作することにより、表示部403に表示される画面は、操作画面13から操作画面15に切り換わる。
操作画面15は集約の設定についての画面である。操作画面15は次にキー23、終了キー25及び前キー27に加えて以下のソフトキーを含む。設定しないキー31aは集約の設定をしないことを選択するキーである。2in1キー31bは2in1の集約の設定を選択するキーである。4in1キー31cは4in1の集約の設定を選択するキーである。ここでは、2in1キー31bが操作されたとする。ユーザが2in1キー31bを操作することにより、表示部403に表示される画面は、操作画面15から操作画面17に切り換わる。
操作画面17は両面コピーの設定についての画面である。操作画面17は次にキー23、終了キー25及び前へキー27に加えて以下のソフトキーを含む。設定しないキー33aは両面コピーを設定しないことを選択するキーである。設定するキー33bは両面コピーを設定することを選択するキーである。ここでは、設定するキー33bが操作されたとする。ユーザは次にキー23を操作することにより、表示部403に表示される画面は、操作画面17から操作画面19に切り換わる。
操作画面19は「まとめてコピー」の設定が完了した画面であり、設定内容が表示されている。操作画面19は終了キー25及び前へキー27を含む。ユーザが図2に示すスタートキー407を操作することにより、画像形成装置1を利用した「まとめてコピー」が実行される。以上が画像形成装置1を利用したワークフローの実行に必要な操作の一例の説明である。
本実施形態の一つ特徴は、ワークフローの操作入力中に画像形成装置1に外部からジョブが割り込まれた場合、ワークフローの操作入力が比較的早く終了すると判定されればワークフローの操作入力を優先させ、これに対してワークフローの操作入力が比較的遅く終了すると判定されれば外部から割り込まれたジョブの実行を優先させる。これについて主に図5、図6及び図7を用いて説明する。図5は本実施形態に係るワークフローの操作入力と画像形成装置1に外部から割り込まれたジョブの実行との優先順位の判定処理について説明するフローチャートである。図6はワークフローの操作入力中に画像形成装置1に外部からジョブが割り込まれた場合の操作画面の表示処理の一例を示し、図7は表示処理の他の例を示している。
図6及び図7を参照して、ワークフローが設定項目として、例えばサイズ、部数、集約、両面、原稿の画質及びステープルを有するとする。このワークフローの操作入力では、1番目に操作画面SC-1でサイズの設定がされ、2番目に操作画面SC-2で部数の設定がされ、3番目に操作画面SC-3で集約の設定がされ、4番目に操作画面SC-4で両面の設定がされ、5番目に操作画面SC-5で原稿の画質の設定がされ、6番目に操作画面SC-6でステープルの設定がされる。符号のハイフン及びその次の数字は省略して記載することがある。例えば、操作画面SC-1〜SC-6のそれぞれを区別する必要がなければ、操作画面SCと記載することがある。
ユーザは1番目の操作画面SC-1から順番に操作画面SCにおいて、設定項目へのワークフローの操作入力をする(ステップS1)。画像形成装置1に外部からジョブの割り込みがあるか否か判断される(ステップS3)。画像形成装置1に外部から割り込まれたジョブがジョブ受付部607で受け付けられた場合は、画像形成装置1に外部からジョブの割り込みがあると判断され、受け付けられていない場合は、画像形成装置1に外部からジョブの割り込みがないと判断される。
画像形成装置1に外部からジョブの割り込みがなければ(ステップS3でNo)、最後の操作画面SC-6において設定項目への操作入力が完了したか、制御部600で判断される(ステップS5)。操作入力が完了していなければ(ステップS5でNo)、ステップS1に戻る。操作入力が完了していれば(ステップS5でYes)、ユーザは図2に示すスタートキー407を操作することにより、ワークフローが実行される(ステップS7)。
ステップS3において外部からジョブの割り込みがあると判断された場合(ステップS3でYes)、残り値決定部609によって残り値が決定される(ステップS9)。残り値とは、ワークフローの操作入力中に画像形成装置1に外部から割り込まれたジョブがジョブ受付部607で受け付けられた場合、6つの操作画面SC-1〜SC-6の中で設定項目への操作入力がされていない残りの操作画面SCの数を基にして決定された値である。一つの操作画面SCでの操作入力に要する時間を例えば7秒とすれば、図6に示す残りの操作画面SCの数が2つ(操作画面SC-5,SC-6)であれば残り値は14秒であり、図7に示す残りの操作画面SCの数が3つ(操作画面SC-4,SC-5,SC-6)であれば残り値は21秒である。残り値はユーザがワークフローの操作入力を終えるために必要と想定される残り操作量である。
一つの操作画面SCでの操作入力に要する時間のデータは、図3に示す制御部600に含まれる記憶部に予め記憶されている。残り値決定部609はその記憶部に記憶されている時間のデータを取り出し、そして表示制御部603から残りの操作画面SCの数のデータを受け取り、これらから残り値を決定する。
次に、比較判定部611によって、残り値が基準値より小さいか否か判断される(ステップS11)。ワークフローの操作入力中に画像形成装置1に外部からジョブが割り込まれた場合に、基準値と残り値を比較して、ワークフローの操作入力を優先するのか、画像形成装置1に外部から割り込まれたジョブの実行を優先するのか判定するのである。
基準値とは、ワークフローの操作入力と画像形成装置1に外部から割り込まれたジョブの実行とのいずれを優先させるかの値である。画像形成装置1に外部からジョブが割り込まれた時点で、6つの操作画面SCの中で設定項目への操作入力がされていない残りの操作画面SCでの操作入力に要する時間について、基準値を例えば20秒と予め決めておく。
基準値のデータは基準値記憶部605に予め記憶されている。比較判定部611は基準値記憶部605に記憶されている基準値のデータを取り出し、そして残り値決定部609から残り値のデータを受け取り、これらを比較する。
残り値が基準値より小さい場合(ステップS11でYes)を図6で説明する。図6では、4番目の操作画面SC-4での操作入力中に外部からジョブの割り込みが発生している。残りの操作画面SCの数が2つ(操作画面SC-5,SC-6)なので、残り値は14秒となる。基準値は20秒なので、残り値が基準値より小さくなる。したがって、残りの操作画面SC-5,SC-6に設けられている設定項目への操作入力を可能にしてワークフローの操作入力を優先させる判定が、比較判定部611でなされる(ステップS13)。この判定により外部から割り込まれたジョブは実行されず、待機状態となる。そしてステップS1に戻る。
残り値が基準値より小さくない場合(ステップS11でNo)を図7で説明する。残り値が基準値より小さくない場合とは、残り値が基準値より大きい場合又は等しい場合である。残り値が基準値と等しい場合の取り扱いについて、本実施形態では残り値が基準値より大きい場合と同じ処理にしているが、残り値が基準値より小さい場合と同じ処理にしてもよい。
図7では、3番目の操作画面SC-3での操作入力中に外部からジョブの割り込みが発生している。残りの操作画面の数が3つなので、残り値は21秒となる。基準値は20秒なので、残り値が基準値より大きくなる。したがって、比較判定部611によって外部から割り込まれたジョブの実行が優先される判定がされる(ステップS15)。この判定がされた場合、表示制御部603は3番目の操作画面SC-3での操作入力が完了後に、一覧画面生成部607によって生成された一覧画面用のデータを基にして、図8に示す一覧画面41を表示部403に表示させる(ステップS17)。ワークフローの操作入力がされていない設定項目については、デフォルト処理部615によってデフォルトにする処理がされる。
ここで図8に示す一覧画面41,53について説明する。一覧画面41は操作入力がされていない残りの操作画面SCに設けられている設定項目の一覧を示す画面である。これに対して、一覧画面53は操作入力がされた操作画面SCに設けられている設定項目の一覧を示す画面である。
一覧画面41は設定項目表示領域43を有する。設定項目表示領域43には操作入力がされていない設定項目の文字画像が含まれる。ここでは「両面」、「原稿の画質」、「ステープル」の文字画像が含まれる。デフォルト処理部615によって各設定項目について、デフォルトにする処理がされている。
一覧画面41は以下のソフトキーを含む。変更キー、ここでは変更キー45a,45b,45cが設定項目に対応して設けられている。ユーザはデフォルトを変更したければ、外部から割り込まれたジョブの実行の終了後に、変更キーを操作して、その設定項目への入力をデフォルトからユーザの希望する設定に変更することができる。スタートキー47はワークフローの実行の指示をするキーである。スタートキー47についてはステップS19で説明する。
キャンセルキー49はワークフローの操作入力を取り消すキーである。ユーザはワークフローの操作入力を止める場合又は最初からやり直す場合は操作されるキーである。前へキー51は前の一覧画面に切り換えるキーである。
前へキー51を操作すれば、一覧画面41から一覧画面53に切り替わる。一覧画面53は設定項目表示領域55を有する。設定項目表示領域55には操作入力がされた設定項目の文字画像が含まれる。ここでは「サイズ」、「部数」、「集約」の文字画像が含まれる。各設定項目はユーザによる操作入力が既にされている。一覧画面53は一覧画面41と同様に変更キー45a,45b,45c、スタートキー47及びキャンセルキー49を含む。一覧画面53はソフトキーとして次にキー57を操作する。次にキー57を操作すれば、一覧画面41に切り替わる。以上が一覧画面41,53の説明である。
ステップS19について説明する。画像形成装置1に外部から割り込まれたジョブの実行が優先されていても、一覧画面41,53に含まれるスタートキー47を操作すれば(ステップS19でYes)、比較判定部611はワークフローの操作入力で設定完了された動作を画像形成装置1に外部から割り込まれたジョブの実行よりも優先させる判定をする。これによりワークフローを実行させることができる(ステップS7)。なお、スタートキー47の操作は、ユーザによるワークフローの実行の指示が第1の指示受付部で受け付けられた場合に相当する。
この場合、ワークフローの操作入力の途中であるが、操作入力がされていない設定項目についてはデフォルト処理部615によってデフォルトにされているので、ユーザによるワークフローの操作入力が完了していなくても、ワークフローを実行することができる。以上説明したように、一覧画面41,53に含まれるスタートキー47は第1の指示受付部に相当する。第1の指示受付部はデフォルト処理部615によって残りの操作画面SCに設けられている設定項目についてデフォルトに処理された状態で、ユーザによるワークフローの操作入力が途中までされたワークフローの実行の指示を受け付ける。
デフォルトにされた設定項目について、ユーザが変更したい場合はスタートキー47を操作せず(ステップS19でNo)、外部から割り込まれたジョブの実行が終了するのを待つ。外部から割り込まれたジョブの実行が終了しなければ(ステップS21でNo)、ステップS17へ戻る。
外部から割り込まれたジョブが終了すれば(ステップS21でYes)、ユーザはデフォルトを希望の設定に変更したい操作項目について、対応する変更キー(図8に示す一覧画面41に含まれる変更キー45a,45b,45cであり、これらのキーは第2の指示受付部に相当する)を操作する。これにより、すなわち第2の指示受付部でユーザによる変更する指示が受け付けられた場合、表示制御部603はデフォルト処理された設定項目へのユーザによる操作入力に用いられる操作画面(図示せず)を表示部403に表示させる制御をする。その操作画面を利用して、ユーザはデフォルトを希望の設定に変更する(ステップS23)。そして、ユーザがスタートキー47を操作することにより(ステップS19でYes)、ワークフローが実行される(ステップS7)。
図5に示すフローチャートと重複するが、図7に示す一覧画面41を表示する処理シーケンスについて説明する。図9はこのシーケンスを示す図である。
外部割り込み制御アプリケーション61はジョブ受付部607を制御するアプリケーションである。タッチパネル制御アプリケーション63は表示制御部603、残り値決定部609、比較判定部611及び一覧画面生成部613を制御するアプリケーションである。データ制御アプリケーション65は基準値記憶部605を制御するアプリケーションである。タッチパネル表示アプリケーション67は表示部403であるタッチパネルを表示するアプリケーションである。
画像形成装置1に外部から割り込まれたジョブがジョブ受付部607で受け付けられると、外部割り込み制御アプリケーション61は割り込み通知をタッチパネル制御アプリケーション63に送る(ステップS31)。
タッチパネル制御アプリケーション63は、複数の操作画面SCの中で設定項目への操作入力がされていない残りの操作画面SCの数を確認する(ステップS33)。ここでは残りの操作画面SCの数は3つ(操作画面SC-4,SC-5,SC-6)である。そして、データ制御アプリケーション65を利用して基準値記憶部605に記憶されている基準値のデータを取得する(ステップS35)。ここでの基準値は20秒である。
タッチパネル制御アプリケーション63は、残りの操作画面SCの数を基にして残り値を決定する(ステップS37)。ここでは3×7=21秒である。3は残りの操作画面SCの数である。7は一つの操作画面SCでの操作入力に要する時間である。
タッチパネル制御アプリケーション63は、残り値(21秒)を基準値(20秒)と比較して、外部から割り込まれたジョブの実行を優先させる判定をする(ステップS39)。タッチパネル制御アプリケーション63は、タッチパネル表示アプリケーション67を利用して、残りの操作画面SCに設けられている設定項目を示す一覧画面41を表示部403に表示させる(ステップS41)。
本実施形態の主な効果を説明する。
(1)ステップS3、ステップ9、ステップS11、ステップS13及びステップS15で説明したように、本実施形態によれば、ワークフローの操作入力中に画像形成装置1に外部からジョブが割り込まれた場合、6つの操作画面SCの中で設定項目への操作入力がされていない残りの操作画面SCの数を基にして残り値を決定する。残り値が基準値より小さければ、ワークフローの操作入力が比較的早く終了するものとして、ワークフローの操作入力を優先させる。一方、残り値が基準値より大きければ、ワークフローの操作入力が比較的遅く終了するものとして、外部から割り込まれたジョブの実行を優先させる。このように、残り値に応じてワークフローの操作入力と外部から割り込まれたジョブの実行との優先順位を変えることにより、ワークフローの操作入力中に外部からジョブの割り込みが要求された場合にそれらを効率的に処理することができる。
また、ワークフローの操作入力が優先させられる場合はワークフローの操作入力中に外部からジョブが割り込まれても、ジョブが割り込まれたことを知らせる通知ウィンドウが表示部403に表示されることはないので、ワークフローの操作入力をスムーズに継続することができる。
(2)ステップS15及びステップS17で説明したように、外部から割り込まれたジョブの実行を優先させる判定がされた場合、ワークフローの操作入力がされていない残りの操作画面SCに設けられている設定項目の一覧を含む一覧画面41が表示部403に表示される。これにより、ワークフローの操作入力において、操作入力がされていない残りの操作画面SCに設けられている設定項目をユーザに認識させることができる。
(3)ステップS17で説明したように、外部から割り込まれたジョブの実行を優先させる判定がされた場合、ワークフローの操作入力がされていない残りの操作画面SCに設けられている設定項目について、デフォルトにする処理がされている。これにより、ユーザによるワークフローの操作入力が途中であり、まだ完了していなくても、ワークフローの実行を可能にすることができる。
(4)ステップS19で説明したように、外部からのジョブの実行が優先された場合でも、図8に示すスタートキー47(第1の指示受付部)を操作すれば、ワークフローを優先させることができる。したがって、ユーザが残りの操作画面SCに設けられている設定項目がデフォルトでも問題ないと判断すれば、スタートキー47を操作することにより、残りの操作画面SCへの操作入力に要する時間を省略してワークフローの実行を優先させることができる。よって、外部から割り込まれたジョブを滞留させることなく、ワークフローの実行を優先させることができる。
(5)ステップS23で説明したように、ユーザはデフォルトを希望の設定に変更したい操作項目について、対応する変更キー(図8に示す変更キー45a,45b,45cであり、これらのキーは第2の指示受付部に相当する)を操作することにより、デフォルトを希望の設定に変更することができる。したがって、外部から割り込まれたジョブの実行が優先される場合にワークフローの操作入力を最初からやり直す必要をなくすことができる。
なお、本実施形態では残り値として時間を用いたが、残りの操作画面SCの数自体を残り値にしてもよい。例えば、基準値を2と予め決めておき、残りの操作画面の数が3であれば、外部から割り込まれたジョブの実行が優先され、残りの操作画面の数が1であれば、ワークフローの操作入力を優先させる。基準値と残り値が等しい場合にいずれを優先させるかは、予め決めておく必要がある。