JP5156280B2 - ポリ塩化ビフェニル分解処理方法 - Google Patents

ポリ塩化ビフェニル分解処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、油中に含有されているポリ塩化ビフェニルの分解処理方法に関し、より詳しくは、1−ブロモプロパンがポリ塩化ビフェニルとともに含有されている油中のポリ塩化ビフェニルの分解処理方法に関する。
従来、ポリ塩化ビフェニル(PCB)を含有する絶縁油が用いられた電気機器などからポリ塩化ビフェニルを除去する処理が行われている。
例えば、変圧器やコンデンサーなどにおいては、内部のポリ塩化ビフェニルを含む絶縁油を一旦抜油した後に解体され、さらに該解体物がノルマルパラフィンなどで洗浄されてポリ塩化ビフェニルが除去されたりしている。
さらに、この抜油された絶縁油に含まれるポリ塩化ビフェニルを分解して無害化させる処理が行われており、例えば、紫外線照射による光分解や、超臨界水などを用いた酸化分解や、アルカリ金属を用いた脱塩素化分解などが行われている。
このアルカリ金属を用いる方法としては、例えば、数μm程度の粒径に調整されたナトリウム粒子が鉱油などの分散媒中に分散されているナトリウム分散体を用いる方法が知られており、このナトリウム分散体を用いるポリ塩化ビフェニルの脱塩素化分解処理は、紫外線を用いる処理や、超臨界水を用いる処理に比べて、使用する装置や、処理のプロセスが簡易であることから広く用いられている。
このナトリウム分散体を用いるポリ塩化ビフェニルの脱塩素化処理においては、添加するナトリウム分散体の無駄な消費を抑えるために、通常、処理対象となるポリ塩化ビフェニルを含む油は、ナトリウム分散体との混合前に加熱や減圧蒸留などが実施されて水などのナトリウムと反応する成分が除去されている。
また、この水分除去が実施された後は、ナトリウムとポリ塩化ビフェニルとの反応を促進させるべく、ナトリウムの融点以上に加熱されたたナトリウム分散体を添加・混合して脱塩素化を実施させる方法が通常採用されている。
一方で、洗浄後の解体物については、該解体物に残留するポリ塩化ビフェニルの量を計測してその除染状況を判定すべく1−ブロモプロパンなどの判定液による洗浄が実施されたりしている(下記特許文献1参照)。
この解体物の洗浄に用いられた判定液には、ポリ塩化ビフェニルとともに電気機器に用いられていた絶縁油やノルマルパラフィンなどの油が含有されており、判定液は、これらを蒸留により分離することで再生されて繰り返して利用されている。
この蒸留により缶出液として判定液から分離されたポリ塩化ビフェニルを含む油は、蒸留により濃縮された状態でポリ塩化ビフェニルを含んでおり、この油についてもポリ塩化ビフェニルの分解処理が実施されることとなる。
このポリ塩化ビフェニルを含む油からは、前記蒸留操作によって判定液が除去されてはいるものの、通常、完全に除去されてはおらず、例えば、判定液としても用いられた1−ブロモプロパンなどが含有された状態となっている。
ところで、前述したように、ポリ塩化ビフェニルをナトリウム分散体により脱塩素化して無害化する場合には、水分などを予め除去することが好ましく、ポリ塩化ビフェニルの脱塩素化の際にはナトリウムを融点以上に加熱して実施することが好ましい。
しかし、1−ブロモプロパンは、71℃と低い沸点を有する物質であり、ポリ塩化ビフェニルを含む油をナトリウム分散体との混合前に減圧蒸留したり、あるいは、加熱条件下でポリ塩化ビフェニルを含む油とナトリウム分散体とを混合したりする際に揮発するおそれがある。
1−ブロモプロパンは、引火点も低く、空気中の水分などと反応し腐食性の臭化水素を発生させるおそれがあることからポリ塩化ビフェニルと1−ブロモプロパンとが含有されている油をナトリウム分散体で処理しようとすると揮発した1−ブロモプロパンを捕集するための設備や捕集のための工程を新たに設けることが必要となり処理に要する手間を増大させることとなる。また、発生した臭化水素による腐食を防止するため、装置に耐腐食性を付与する必要がある。
一方で、ポリ塩化ビフェニル含有油に1−ブロモプロパンが含有されることを抑制させつつ判定液の蒸留分離を実施することで脱塩素化時の1−ブロモプロパンの揮発を防止する方法も考え得るが、その場合には蒸留分離の精度を高める必要が生じることから、やはり手間を増大させてしまうということとなる。
なお、このような油に含まれるポリ塩化ビフェニルを、手間の増大を抑制させつつ、ナトリウム分散体で分解処理することが困難であることは、判定液の蒸留分離によって生じた油に限定されるものではなく、ポリ塩化ビフェニルと1−ブロモプロパンとが含有されている油中のポリ塩化ビフェニルをナトリウム分散体で分解処理する場合全てに共通する問題である。
特開2005−152714号公報
本発明は、ポリ塩化ビフェニルが含有されている油に1−ブロモプロパンがさらに含有されているような場合であっても、手間が増大することを抑制しつつナトリウム分散体での分解処理を実施させ得るポリ塩化ビフェニル分解処理方法の提供を課題としている。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、1−ブロモプロパンは、ポリ塩化ビフェニルとナトリウムとが反応し難い低温状態においてもナトリウムと反応して容易に脱臭素化を実施させ得ることを見出し本発明の完成に到ったのである。
本発明は、前記課題を解決すべく、ポリ塩化ビフェニルが含有されている油と、ナトリウム粒子が分散媒中に分散されてなるナトリウム分散体とを混合してポリ塩化ビフェニルとナトリウムとを反応させて前記油に含有されているポリ塩化ビフェニルの脱塩素化を実施するポリ塩化ビフェニル分解処理方法であって、1−ブロモプロパンがポリ塩化ビフェニルとともに含有されている油中のポリ塩化ビフェニルの分解処理に用いられ、前記油と前記ナトリウム分散体とを混合し、しかも、前記油と前記ナトリウム分散体との混合物の温度が70℃以下となるように混合して、前記混合物の温度が70℃以下の状態で1−ブロモプロパンとナトリウムとを反応させて1−ブロモプロパンの少なくとも一部を脱臭素化させた後に、前記混合物の温度が70℃を超える状態となるように前記混合物を昇温させて前記脱塩素化を実施させることを特徴とするポリ塩化ビフェニル分解処理方法を提供する。
本発明によれば、予め油中に含まれる1−ブロモプロパンを脱臭素化させることができることから、1−ブロモプロパンの揮発を抑制させつつ、1−ブロモプロパンがポリ塩化ビフェニルとともに含有されている油とナトリウム分散体との混合物を昇温させて脱塩素化分解を実施させ得る。
したがって、1−ブロモプロパンの揮発にともなう手間の増大などを抑制させつつナトリウム分散体での分解処理を実施させ得る。
(第一実施形態)
以下に、本発明の好ましい第一の実施の形態について、判定液として用いられた1−ブロモプロパンの蒸留分離によって生じた1−ブロモプロパンがポリ塩化ビフェニルとともに含有されている油(以下「被処理油」ともいう)をナトリウム分散体で無害化処理する場合を例に説明する。
本実施形態における被処理油の無害化処理においては、1)被処理油とナトリウム分散体とを混合する混合工程、2)該混合工程で作成された被処理油とナトリウム分散体との混合物を一定時間保持して該混合物に含まれている1−ブロモプロパンとナトリウムとを反応させて1−ブロモプロパンを脱臭素化させる脱臭素化工程、3)該脱臭素化工程後に、被処理油とナトリウム分散体との混合物を昇温させる昇温工程、4)該昇温工程後に、被処理油とナトリウム分散体との混合物を一定時間保持して該混合物に含まれているポリ塩化ビフェニルとナトリウムとを反応させてポリ塩化ビフェニルを脱塩素化分解させる脱塩素化工程を実施する。
1)混合工程
この混合工程においては、前記被処理油とナトリウム分散体との混合を実施する。
また、このとき、被処理油とナトリウム分散体との混合物の温度が70℃以下となるようにして被処理油とナトリウム分散体との混合を実施する。
この混合工程を混合物の温度が70℃以下となるようにして実施するのは、混合物の温度が70℃を超えると、この混合工程時に1−ブロモプロパンの揮発が発生するおそれを生じるためである。
なお、被処理油とナトリウム分散体との混合方法については、特に限定されるものではなく、例えば、被処理油中にナトリウム分散体を添加して攪拌するなどの方法を採用し得る。
2)脱臭素化工程
前記混合工程後には、混合工程で作成された被処理油とナトリウム分散体との混合物を一定時間保持して該混合物中の1−ブロモプロパンとナトリウムとを反応させて1−ブロモプロパンを脱臭素化させる脱臭素化工程を実施する。
この混合工程においては、1−ブロモプロパンとナトリウムとの反応熱などにより、通常、被処理油とナトリウム分散体との混合物が昇温することとなるが、前記混合物の温度が70℃を超える温度とならないように必要に応じて混合物の冷却を実施する。
この脱臭素化工程は、1−ブロモプロパンの含有量、ナトリウム分散体に含有されるナトリウム粒子の粒度や含有量、さらには前記混合物の温度などにもよるが、通常、30分〜3時間にわたって被処理油とナトリウム分散体との混合物が70℃を超える温度とならないように保持して実施させることができる。
なお、ナトリウムによる1−ブロモプロパンの脱臭素化反応をより促進させ得る点からは、混合物の温度をより高い温度とすることが好ましいが、1−ブロモプロパンの揮発をより確実に防止し得る点からは混合物の温度をより低い温度とすることが好ましい。
このようなことから、この脱臭素化工程を、混合物の温度が40〜60℃の状態で実施させることが好ましい。
すなわち、混合物の温度を40〜60℃の状態としつつ脱臭素化工程を実施することにより、1−ブロモプロパンの揮発を抑制しつつ脱臭素化の効率を向上させ得る。
また、この脱臭素化工程中においては、ナトリウム分散体に含有されているナトリウム粒子の表面に酸化ナトリウム、ならびに、臭化ナトリウムなどが析出されてナトリウム分散体の反応性が低下されるおそれがあることから、被処理油とナトリウム分散体との混合物に対して攪拌を実施するなどして、ナトリウムによる脱臭素化反応を促進させるとともにナトリウム粒子の表面に析出した酸化ナトリウム、あるいは、臭化ナトリウムを脱落させて、ナトリウム分散体の反応性を維持させることが好ましい。
3)昇温工程
該昇温工程は、被処理油に含有されるポリ塩化ビフェニルとナトリウムとを好適に反応させるべく被処理油とナトリウム分散体との混合物を所定の温度に昇温させるために実施するものであり、後段の脱塩素化工程におけるポリ塩化ビフェニルの脱塩素化分解を効率良く実施させ得る点からは、被処理油とナトリウム分散体との混合物をナトリウムの融点以上の温度とすることが好ましい。
一方で、あまり温度を上昇させると油が揮発したり、さらには、発火が起きたりするおそれがあることから、被処理油とナトリウム分散体との混合物は、90〜120℃に昇温させることが好ましい。
4)脱塩素化工程
前記昇温工程後には、被処理油とナトリウム分散体との混合物を、例えば、90〜120℃に一定時間保持して該混合物中のポリ塩化ビフェニルとナトリウムとを反応させてポリ塩化ビフェニルを脱塩素化分解させる脱塩素化工程を実施する。
このときも被処理油とナトリウム分散体との混合物に対して攪拌を実施するなどして、ナトリウムによる脱塩素化反応を促進させるとともにナトリウム粒子の表面に析出する酸化ナトリウム、塩化ナトリウムなどを脱落させてナトリウムを表面に露出させ、ナトリウム粒子を反応性が高い状態に維持させることが好ましい。
このようにして含有される1−ブロモプロパンの脱臭素化、ポリ塩化ビフェニルの脱塩素化を実施した後の、被処理油とナトリウム分散体との混合物は、例えば、そのままの状態で脱臭素化、脱塩素化の能力を有しているようであれば、新たな被処理油の処理のためのナトリウム分散体として再利用することができる。
また、脱臭素化、脱塩素化の能力が不足しているようであれば、新たに、ナトリウム分散体を加えて、新たな被処理油の処理のためのナトリウム分散体として用いることができる。
あるいは、脱臭素化、脱塩素化の能力を殆ど有していない状態であれば、例えば、水和処理するなどして系外に排出させることができる。
このような一連の処理については、例えば、壁面から収容物の加温・冷却を実施させるべく、熱媒を流通させるための二重構造壁(ジャケット部)を備え、さらに、収容物を攪拌するための攪拌装置を備えている密閉型反応槽と、この密閉型反応槽の前記二重構造壁に所定温度の熱媒を流通させるための熱媒流通手段と、前記密閉型反応槽の槽内を窒素パージさせたり、あるいは、減圧状態とさせたりするための給排気手段とを有する処理装置を用いて実施させることができる。
すなわち、予め前記給排気手段で窒素パージした密閉型反応槽内に、1−ブロモプロパン、ならびに、ポリ塩化ビフェニルが含有されている被処理油を導入させ、次いでナトリウム分散体を密閉型反応槽内に導入させて、前記攪拌装置で槽内攪拌を実施することで混合工程を実施し、引き続き攪拌装置での槽内攪拌を実施しつつ前記熱媒流通手段でジャケット部に冷却水を流通させて槽内を70℃以下(例えば、40〜60℃)とさせて脱臭素化工程を実施させることができる。
さらには、この脱臭素化工程後には、ジャケット部を流通させる熱媒を加熱蒸気などに切り替えて、槽内温度を90〜120℃に昇温させる昇温工程を実施して、ポリ塩化ビフェニルとナトリウムとを反応させてポリ塩化ビフェニルを脱塩素化分解させる脱塩素化工程を実施することができる。
なお、本実施形態においては、被処理油中にナトリウム分散体を添加する場合を例に混合工程を説明したが、本発明においては、混合工程をこのような手順で実施する場合に限定するものではなく、例えば、予めナトリウム分散体を反応槽内に導入しておき、該ナトリウム分散体に、被処理油を添加するようしても良い。
また、被処理油に対するナトリウム分散体の添加方法についても、本実施形態においては、混合工程において一度に全量を加える場合を例に説明したが、例えば、混合工程においては、被処理油に対するナトリウム分散体の添加量を脱臭素化に必要な量として、脱塩素化工程前に別途ナトリウム分散体を添加するといった複数回に分けたナトリウム分散体の添加方法を採用することもできる。
さらにナトリウム分散体中に被処理油を添加する場合においては、大過剰(例えば脱臭素化および脱塩素化に必要なナトリウムの2.5〜3.5倍)のナトリウム量となるナトリウム分散体中に被処理油を添加しても良く、あるいは、少量(例えば脱臭素化のみに必要なナトリウムの2.5〜3.5倍)のナトリウム量となるナトリウム分散体に被処理油を添加して、一度脱臭素化を実施した後に、脱塩素化に必要なナトリウム量となるナトリウム分散体を収容している別の反応器にこの脱臭素化実施後の被処理油と少量のナトリウム分散体との混合物を添加するようにしてもよい。
なお、ここでは詳述しないが、油中に含有されているポリ塩化ビフェニルをナトリウム分散体で脱塩素化分解処理する場合に用いられている各種手段や方法などの公知の技術を本発明の効果を損ねない範囲において本発明にも採用し得る。
(第二実施形態)
次いで、本発明の好ましい第二の実施の形態について、1−ブロモプロパンとポリ塩化ビフェニルとともに水が含有されている油(以下「含水被処理油」ともいう)をナトリウム分散体で無害化処理する場合を例に説明する。
1−ブロモプロパンは空気中の水分を吸収する可能性があり、1−ブロモプロパンを含有する被処理油は、例えば、その保管状態などによっては、少量(例えば、数百ppm〜1質量%)の水分を含有するおそれがある。
この含水被処理油は、従来の処理方法では、臭化水素などの発生を抑制しつつ処理することが特に困難である。したがって、このような含水被処理油の処理においては、本発明の効果をより顕著に発揮させ得る。
この含水被処理油に対しては、前記第一実施形態で説明したような処理方法をそのまま採用することも可能ではあるが、以下に説明する方法を採用することが好適である。
この第二実施形態のポリ塩化ビフェニル分解処理方法においては、1’)含水被処理油とナトリウム分散体とを混合する混合工程、2a’)該混合工程で作成された含水被処理油とナトリウム分散体との混合物を一定時間40℃未満に保持してナトリウムと水とを反応させて混合物中に水酸化ナトリウムを生成させる前処理工程、2b’)該前処理工程後に、前記混合物を40〜60℃に昇温させる一次昇温工程、2c’)一次昇温工程により昇温された混合物を40〜60℃の温度に一定時間保持して該混合物中の1−ブロモプロパンとナトリウムとを反応させて1−ブロモプロパンを脱臭素化させる脱臭素化工程、3’)該脱臭素化工程後に、前記混合物を70℃を超える温度に昇温させる二次昇温工程、4’)該二次昇温工程後に、前記混合物を70℃を超える温度に一定時間保持して該混合物中のポリ塩化ビフェニルとナトリウムとを反応させてポリ塩化ビフェニルを脱塩素化分解させる脱塩素化工程を実施する。
2a’)前処理工程
上記のように、この第二実施形態のポリ塩化ビフェニル分解処理方法は、前処理工程を脱臭素化工程前に実施する点において、前記第一実施形態と異なっている。
この前処理工程を実施することにより含水被処理油中の水分を減少させることができて、脱臭素化工程において、1−ブロモプロパンがこの油中の水と反応して臭化水素を発生させるおそれを抑制させ得る。
この前処理工程においては、混合物の温度をより低温に維持することで、前処理工程における1−ブロモプロパンと水との反応を抑制させることができ臭化水素の発生をいっそう抑制させ得る。
一方で、混合物の温度をあまり低温に維持させようとすると、混合物の冷却に要するエネルギーコストに見合った臭化水素発生抑制効果を得ることが困難となる。
このような点において、前処理工程は、混合物の温度を常温(20℃)以上40℃未満とすることが好ましい。
なお、この前処理工程の実施時間については、含水被処理油における水分含有量などにもよるが、通常、5〜30分とされる。
2b’)一次昇温工程
この前処理工程後の一次昇温工程については、特に限定されるものではなく、第一実施形態における昇温工程で説明した方法と同様の方法により実施することができる。
また、一次昇温工程に必要な熱量を、この前処理工程における、水とナトリウムとの反応熱などで十分確保できるような場合であれば、例えば、混合物を常温以上40℃未満となるように冷却しつつ前処理工程後を実施し、所定時間経過した後に、該冷却を中止して反応熱で40〜60℃の温度に混合物を昇温させる一次昇温工程を実施することも可能である。
この2a’)前処理工程、2b’)一次昇温工程、以外の、1’)混合工程、2c’)脱臭素化工程、3’)二次昇温工程、4’)脱塩素化工程については、それぞれ、第一実施形態において説明した、1)混合工程、2)脱臭素化工程、3)昇温工程、4)脱塩素化工程と同様の方法により実施することができる。
なお、この第二実施形態においては、ナトリウム分散体以外にアルカリ金属が用いられた材料を処理のために用いることを抑制させ得る点ならびに工程を簡略化できる点においてナトリウム分散体で前処理工程を実施しているが、ナトリウム分散体以外のもので前処理工程を実施することも可能である。
例えば、ナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属により粒子状や塊状に形成されたものや、無水の硫酸ナトリウムなど水を吸収して水和物を形成するアルカリ金属塩により粒子状や塊状に形成されたものなどを用いて前処理工程を実施することが出来る。
この場合には、通常、この前処理工程は、前記混合工程前に実施されることとなる。
すなわち、前記混合工程前にこの粒子状や塊状のアルカリ金属もしくはアルカリ金属塩を含水被処理油に添加して(あるいは、この粒子状や塊状のアルカリ金属もしくはアルカリ金属塩に含水被処理油を添加して)、この粒子状や塊状のアルカリ金属もしくはアルカリ金属塩が添加された含水被処理油を、例えば、40℃未満に一定時間維持して実施されることとなる。
なお、油中に含有されているポリ塩化ビフェニルをナトリウム分散体で脱塩素化分解処理する場合に用いられている各種手段や方法などの公知の技術を本発明の効果を損ねない範囲において採用し得る点においては、第一実施形態と同様であり、ナトリウム分散体を複数回に分けて添加するなどナトリウム分散体と含水被処理油との混合方法において種々の態様を採用し得る点においても第一実施形態と同様である。
(第三実施形態)
次いで、本発明の好ましい第三の実施の形態について、含水被処理油をナトリウム分散体で無害化処理する場合を例に説明する。
この第三実施形態のポリ塩化ビフェニル分解処理方法は、第二実施形態の含水被処理油に比べて多量(例えば、1〜5質量%)の水分を含有する含水被処理油(以下「含多水被処理油」ともいう)の処理に好適な処理方法である。
この第三実施形態のポリ塩化ビフェニル分解処理方法においては、0a”)含多水被処理油と、該含多水被処理油に対して大過剰なヘキサンなどの疎水性溶媒とを混合する疎水性溶媒混合工程、0b”)疎水性溶媒混合工程後に油水分離によって含多水被処理油に含まれていた水と1−ブロモプロパンとを除去する油水分離工程、1”)該油水分離工程により水と1−ブロモプロパンとが除去された後の油性成分とナトリウム分散体とを混合する混合工程、2a”)該混合工程で作製された油性成分とナトリウム分散体との混合物を一定時間40℃未満に保持して油水分離工程で油性成分中に残留した水とナトリウムとを反応させて混合物中に水酸化ナトリウムを生成させる前処理工程、2b”)該前処理工程後に、前記混合物を40〜60℃に昇温させる一次昇温工程、2c”)前記混合物を40〜60℃の温度に一定時間保持して油水分離工程で油性成分中に残留した1−ブロモプロパンとナトリウムとを反応させて1−ブロモプロパンを脱臭素化させる脱臭素化工程、2d”)該脱臭素化工程後の、前記混合物を減圧蒸留して、前記混合物からヘキサンなど疎水性溶媒を除去する減圧蒸留工程、3”)該減圧蒸留工程後に、疎水性溶媒が除去された前記混合物を70℃を超える温度に昇温させる二次昇温工程、4”)該二次昇温工程後に、前記混合物を70℃を超える温度に一定時間保持して前記混合物中のポリ塩化ビフェニルとナトリウムとを反応させてポリ塩化ビフェニルを脱塩素化分解させる脱塩素化工程を実施する。
0a”)疎水性溶媒混合工程
この疎水性溶媒混合工程に用いられる疎水性溶媒としては、上記に例示のヘキサン以外には、その他のノルマルパラフィンなどを挙げることができトリデカンなどを挙げることができる。
これらは、通常、混合液に対して体積で0.5〜2倍量となる大過剰な状態で含多水被処理油に混合する。
この疎水性溶媒は、後段において実施される減圧蒸留工程において、例えば、1−ブロモプロパンが残留しているような場合でもこの1−ブロモプロパンの揮発を防止しつつ当該疎水性溶媒のみを選択的に揮発させ得る点において、1−ブロモプロパンよりも沸点の低い物質が好適であり、次段の油水分離工程における水や1−ブロモプロパンの水性成分の分離性能に優れていることなどからもヘキサンが好適である。
0b”)油水分離工程
この油水分離工程は、通常、疎水性溶媒混合工程後の疎水性溶媒と含多水被処理油との混合物を、例えば、静置分離することにより実施することができる。
なお、この油水分離工程によって、通常、含多水被処理油に含まれている水と1−ブロモプロパンとの殆どが水性成分として除去されることとなるが、一部がポリ塩化ビフェニルを含む油性成分側に残留する場合があることから、この第三実施形態のポリ塩化ビフェニル分解処理方法においては、この油水分離工程後には、第二実施形態において説明した2a’)前処理工程、2b’)一次昇温工程、2c’)脱臭素化工程と同様にして2a”)前処理工程、2b”)一次昇温工程、2c”)脱臭素化工程を実施する。
また、水性成分として除去された水と1−ブロモプロパンとは、通常、別工程にて処理される。
2d”)減圧蒸留工程
この減圧蒸留工程においては、脱臭素化工程後の前記混合物を減圧蒸留して、前記混合物からヘキサンなど疎水性溶媒を除去する。
このときの圧力(真空度)などは、特に限定されるものではなく、要すれば、混合物を加温して減圧蒸留を実施させることも可能である。
このとき減圧蒸留されたヘキサンなど疎水性溶媒は、通常、そのままの状態で疎水性溶媒混合工程に再利用することができる。
その他、1”)混合工程、3”)二次昇温工程、4”)脱塩素化工程については、第二実施形態と同様にして実施することができる。
なお、油中に含有されているポリ塩化ビフェニルをナトリウム分散体で脱塩素化分解処理する場合に用いられている各種手段や方法などの公知の技術を本発明の効果を損ねない範囲において採用し得る点においては、第一実施形態、第二実施形態と同様であり、ナトリウム分散体を複数回に分けて添加するなどナトリウム分散体と含水被処理油との混合方法において種々の態様を採用し得る点においても第一実施形態、第二実施形態と同様である。

Claims (4)

  1. ポリ塩化ビフェニルが含有されている油と、ナトリウム粒子が分散媒中に分散されてなるナトリウム分散体とを混合してポリ塩化ビフェニルとナトリウムとを反応させて前記油に含有されているポリ塩化ビフェニルの脱塩素化を実施するポリ塩化ビフェニル分解処理方法であって、
    1−ブロモプロパンがポリ塩化ビフェニルとともに含有されている油中のポリ塩化ビフェニルの分解処理に用いられ、前記油と前記ナトリウム分散体とを混合し、しかも、前記油と前記ナトリウム分散体との混合物の温度が70℃以下となるように混合して、前記混合物の温度が70℃以下の状態で1−ブロモプロパンとナトリウムとを反応させて1−ブロモプロパンの少なくとも一部を脱臭素化させた後に、前記混合物の温度が70℃を超える状態となるように前記混合物を昇温させて前記脱塩素化を実施させることを特徴とするポリ塩化ビフェニル分解処理方法。
  2. 1−ブロモプロパンとポリ塩化ビフェニルとが含有されており、さらに水が含有されている油中のポリ塩化ビフェニルの分解処理に用いられる請求項1記載のポリ塩化ビフェニル分解処理方法。
  3. 前記混合物の温度が40〜60℃の状態で前記脱臭素化を実施する請求項1または2に記載のポリ塩化ビフェニル分解処理方法。
  4. アルカリ金属もしくはアルカリ金属塩と前記水とを40℃未満の温度で反応させてアルカリ金属の水和物を生成させた後に前記脱臭素化を実施する請求項3に記載のポリ塩化ビフェニル分解処理方法。
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