JP5155247B2 - チューブポンプ - Google Patents

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本発明は、弾性を有するチューブを押圧して該チューブ内の被移送物を移送するチューブポンプに関する。
弾性を有するチューブをローラで押圧してチューブ内の被移送物を当該チューブの一端から他端へ移送するチューブポンプは他のポンプに比べて、単位時間当たりの流量は少ないものの、高い定量性を有し、またチューブ以外に前記被移送物への接触を防止することができるため、分析用、医療用等の多様な分野において利用されている(例えば、特許文献1参照)。
かかるチューブポンプは一般的に、ハウジング内にU字状の周壁を設けてなる凹部を形成して構成してある。この凹部内には、周壁の円弧状部分の中心軸周りに配した複数のローラが、前記周壁から所要の間隙を隔てて回転可能に設けてあり、各ローラはモータによって回転駆動されるようになっている。これらローラと前記周壁との間に適宜の弾性を有するチューブが前記周壁に沿って挿入してあり、回転駆動される各ローラがチューブをその一端側から他端側へ順次押圧することによってチューブ内の被移送物を移送するようになっている。
しかし、このようなチューブポンプにあっては、複数のローラが回転可能に設けてあるため、構造が複雑であり、チューブポンプを小型化するには限界があった。
そのため、後記する特許文献2には、内周面が円形状の円筒室を基板に設け、円筒室の内周面に添わせて弾性材料からなるチューブを配置すると共にチューブの内側にリング状の押圧部材を配置し、この押圧部材を円筒室の内周面に沿って円運動させてチューブを一方向に順次押圧することにより、チューブ内の流体を送出するように構成したチューブポンプが開示されている。
この場合、円筒室からチューブの両端部分を引き出すための引出溝が前記円筒室から延設してあり、該引出溝の幅寸法を前記押圧部材の直径より小さくすることによって、押圧部材が引出溝と円筒室との両角部においてチューブを同時に押圧し得るようになしてある。
このようなチューブポンプにあっては、円筒室の内に配設された一つの押圧部材によってチューブを押圧するようになしてあるため、構造が簡単であり、チューブポンプを容易に小型化することができるという利点を有する。
特開2008−208808号公報 特許第3294535号公報
しかしながら、このような従来のチューブポンプにあっては、一つの押圧部材の円運動によってチューブを一方向へ順次押圧するようになしてあるため、チューブの押圧部材に接触する部分が流体の吐出側へ引っ張られ、引出溝と円筒室との両角部においてそれぞれチューブに偏肉が発生する場合があり、それによってチューブ内の流体の移送が停止してしまう場合があるという問題があった。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、チューブの偏肉を防止して被移送物の移送停止を回避することができるチューブポンプを提供する。
(1)本発明に係るチューブポンプは、筐体の一面側に、円形状の第1部分及び該第1部分から前記筐体の側面に貫通する第2部分を有する鍵穴形状の凹部が設けてあり、前記第1部分内に、軸受を用いてなる環状の押圧部材が配設してあり、第1部分の内壁及び第2部分の内壁に沿って、その一部が第1部分の内壁と前記押圧部材との間に挿入されるように配置される弾性のチューブを、前記押圧部材によって前記第1部分の周方向へ順次押圧することによって、チューブ内の被移送物を移送させるチューブポンプにおいて、前記第1部分と第2部分との境界領域から前記第1部分の適宜位置に亘って、前記チューブの相対向する部分の間、及び前記チューブと押圧部材との間に介装され、当該チューブの長手方向への伸張及び/又は収縮を防止するシート状の伸縮防止部材と、前記第2部分の適宜位置に立設してあり、前記伸縮防止部材を支持する支持部とを備え、前記伸縮防止部材は有端の帯状をなしており、且つ、伸縮防止部材は、その長手方向の中途位置で前記支持部に支持され、正面視が支持部を頂とする屋根形状をなす配置とされて、前記チューブの相対向する一方の部分側及び当該チューブの相対向する他方の部分側に当接し得るようになしてあるものである。
本発明のチューブポンプにあっては、筐体の一面側に、円形状の第1部分及び該第1凹部から前記筐体の側面に貫通する第2部分を有する鍵穴形状の凹部が設けてあり、また第1部分内に、転がり軸受又は滑り軸受といった軸受を用いてなる環状の押圧部材が配設してある。そして、第1部分の内壁及び第2部分の内壁に沿って、その一部が第1部分の内壁と押圧部材との間に挿入されるように配置される弾性のチューブを、偏芯駆動される駆動輪が内嵌された押圧部材にて第1部分の周方向へ順次押圧することによって、チューブ内の被移送物を移送させるようになしてある。
かかる構成のチューブポンプにおいて、第1部分と第2部分との境界領域から第1部分の適宜位置に亘って、前記チューブの相対向する部分の間、及び前記チューブと押圧部材との間に、チューブの長手方向への伸張又は/及び収縮を防止するシート状の伸縮防止部材が介装してある。一方、前述した第2部分の適宜位置には支持部が立設してあり、この支持部によって前述した伸縮防止部材が支持されている。
このようにチューブの相対向する部分の間、及びチューブと押圧部材との間に伸縮防止部材が介装されるため、第1部分と第2部分との境界を含む適宜の領域たる境界領域において、押圧部材がチューブに直接接触することが防止される。また、かかるチューブと押圧部材との間には適宜の潤滑剤が充填されるようになっており、押圧部材に周方向への回動が生じた場合であっても、伸縮防止部材と押圧部材との間において、押圧部材が良好に滑るのに加え、前記伸縮防止部材が支持部に固定されているため、押圧部材による周方向への力が伸縮保護部材にて遮断されてチューブには伝えられない。従って、押圧部材に周方向への回動が生じた場合であっても、第1部分と第2部分との境界領域においてチューブが長手方向へ伸張又は収縮することが防止される。これによって、チューブに偏肉が発生することが防止され、被移送物の移送停止を回避することができる。
また、本発明のチューブポンプにあっては、伸縮防止部材は帯状をなしており、その長手方向の中途位置で前記支持部に支持されている。そして、伸縮防止部材は、前記チューブの相対向する一方の部分側及び当該チューブの相対向する他方の部分側に当接し得るようになしてある。従って、伸縮防止部材は正面視が屋根形状をなしている。
これによって、一つの伸縮防止部材によって、第1部分と第2部分との境界領域のチューブの相対向する一方の部分側及び当該チューブの相対向する他方の部分側を共に、伸張又は収縮することを防止することができる。
)本発明に係るチューブポンプは必要に応じて、前記伸縮防止部材には前記支持部に取り付けるべく、伸縮防止部材の長手方向へ設けた複数の切込みが伸縮防止部材の幅方向へ適宜の距離を隔てて配してあることを特徴とする。
本発明のチューブポンプにあっては、前述した帯状の伸縮防止部材には、伸縮防止部材の長手方向へ設けた複数の切込みが伸縮防止部材の幅方向へ適宜の距離を隔てて配設してある。
このような伸縮防止部材にあっては、各切込み内に前述した支持部を貫通させることによって、伸縮防止部材を支持部に容易に取り付け、それに支持・固定することができる。
また、伸縮防止部材は帯状材に複数の切込みを設けることによって製造することができるため、製造が容易であり、製造コストも廉価である。従って、チューブポンプの製造コストの上昇を可及的に抑制することができる。
本発明に係るチューブポンプを示す外観斜視図である。 図1に示したチューブポンプの蓋部材を外した状体を示す斜視図である。 図1に示したチューブポンプの分解斜視図である。
図1は、本発明に係るチューブポンプを示す外観斜視図であり、図中、1はフッ素樹脂等、所要の耐久性を有する樹脂材を用いてなるハウジング(筐体)、2は該ハウジング1に取り付けられる蓋部材である。また、図2は、図1に示したチューブポンプの蓋部材2を外した状体を示す斜視図であり、図3は、図1に示したチューブポンプの分解斜視図である。
ハウジング1は適宜の形状になすことができるが、図1に示した場合にあっては所要の厚さ寸法を有し、正面視が鍵穴形状に成形してある。かかるハウジング1の正面側であってハウジング1の胴体部14には、後述する押圧部材7を格納する略円形の第1凹部(第1部分)11が設けてあり、ハウジング1の正面側であってハウジング1の首部15には、当該首部15をその端面から前記第1凹部11まで貫通する第2凹部(第2部分)12が設けてある。これら第1凹部11及び第2凹部12によってハウジング1の凹部が構成されている。なお、第2凹部12の幅寸法は押圧部材7の外径寸法より小さくなしてある。
ハウジング1の胴体部14であって第1凹部11の周囲には、複数の螺子受部16,16,…が互いに適宜の寸法を隔てて設けてあり、各螺子受部16,16,…内には雌螺子が形成してある。ハウジング1の正面には該ハウジング1の第1凹部11及び第2凹部12を覆う蓋部材2が当接されるようになっており、該蓋部材2によって第1凹部11及び第2凹部12が塞止される。蓋部材2の前記螺子受部16,16,…に対向する位置には、当該蓋部材2を貫通する貫通孔26,26,…がそれぞれ開設してあり、各貫通孔26,26,…を貫通させた固定螺子6,6,…を前記螺子受部16,16,…の雌螺子に各別に螺合させることによって蓋部材2をハウジング1に着脱可能に固定するようになっている。
ところで、前述した第1凹部11の略中央には回転軸4が第1凹部11の底部を貫通する様態で立設してあり、該回転軸4には、ハウジング1の背面側に固定されたモータ3の出力軸が連結してある。
一方、ハウジング1内の回転軸4には円盤状の駆動輪5が外嵌してある。回転軸4は駆動輪5の中心から外周方向へ所定寸法だけ異なる位置に取り付けてあり、これによって駆動輪5は偏芯駆動されるようになっている。この駆動輪5には、転がり軸受又は滑り軸受等の軸受を用いてなる環状の押圧部材7が外嵌してあり、駆動輪5の回転力が押圧部材7の外周縁に可及的に伝わらないようになしてある。
押圧部材7とハウジング1の胴体部14の内壁との間には適宜の間隙が形成されるようになっている。この間隙には例えばシリコンゴムを用いてなり、適宜の弾性を有するチューブTの中途領域が押圧部材7に掛け回すように挿入されるようになっており、該チューブTの両端近傍の部分はそれぞれ、前述した第2凹部12をその両内側壁に沿って挿通させて、首部15の端からハウジング1の外方へ延出させるようになっている。
このようなチューブポンプにあっては、モータ3によって駆動輪5が偏芯駆動されると、押圧部材7と第1凹部11の内壁との間の寸法が、第1凹部11の周方向へ順次狭くなった後に元に戻ることを繰り返し、これによって第1凹部11内のチューブTが第1凹部11の周方向へ順次押圧された後に復帰する動作を繰り返すので、チューブT内の被移送物がチューブTの長手方向へ移送される。
ところで、第1凹部11と第2凹部12との境界又は当該境界より少し第2凹部12側の領域である境界領域の適宜位置にはピンといった柱状の支持部8が立設してあり、この支持部8とハウジング1の内壁との間にそれぞれ前記チューブTの両端側の部分が挿入されている。この支持部8に、シート状部材を帯状に成形してなり、前記境界領域におけるチューブTの長手方向への伸張又は/及び収縮を防止する伸縮防止部材9が取り付けてある。
図2及び図3に示したように、伸縮防止部材9は、第1凹部11の深さ寸法と略同じ幅寸法を有する帯状に成形してあり、長手方向の略中央位置に、長手方向と平行な切込み19,19が伸縮防止部材9の幅方向へ適宜の距離を隔てて設けてある。かかる伸縮防止部材9は、例えばフッ素樹脂といった所要の硬度、可撓性、耐久性及び動摩擦係数を有する材料を用いて、例えば0.2mm程度から0.5mm程度のシート状に形成してある。
このような伸縮防止部材9にあっては、伸縮防止部材9の切込み19,19に前述した支持部8を貫通させることによって、支持部8に固定してある。
この伸縮防止部材9は図2に示したように、第1凹部11と第2凹部12との境界領域から第1凹部11の適宜位置に亘って、第2凹部12におけるチューブTの相対向する部分の間、及び第1凹部11におけるチューブTと押圧部材7との間に介装するようになしてある。そして、伸縮防止部材9は支持部8を頂とする屋根形状をなすように、前述した第1凹部11と第2凹部12との境界領域から第1凹部11の適宜位置に亘って、チューブTの相対向する一方の部分側及び当該チューブTの相対向する他方の部分側に当接し得るようになっている。これによって、一つの伸縮防止部材9によって、チューブTの相対向する一方の部分側及び当該チューブTの相対向する他方の部分側を共に、伸張又は収縮を防止することができる。
ここで、第1凹部11及び第2凹部12内には、例えばHP−500(東レダウコーニング社製)といった適宜の潤滑剤(図示せず)が充填されるようになっており、伸縮防止部材9と押圧部材7との間の摩擦、及びチューブTと押圧部材7との摩擦を可及的に低減するようになっている。
このようなチューブポンプにあっては、チューブTと押圧部材7との間に介装された伸縮防止部材9によって、第1凹部11と第2凹部12との境界を含む所要領域において、押圧部材7がチューブTに直接接触することが防止される一方、押圧部材7に周方向への回動が生じた場合であっても、前述した潤滑剤によって伸縮防止部材9と押圧部材7との間において、押圧部材7が良好に滑るのに加え、支持部8に固定された伸縮防止部材9が長手方向への伸張・収縮が殆ど生じない所要の硬度を有しており、これによって押圧部材7による周方向への力が伸縮防止部材9にて遮断されて、第1凹部11と第2凹部12との境界領域にあるチューブTには伝えられない。これによって、押圧部材7に周方向への回動が生じた場合であっても、第1凹部11と第2凹部12との境界領域においてチューブTが長手方向へ伸張又は収縮することが防止される。従って、チューブTに偏肉が発生することが回避され、被移送物の移送停止を回避することができる。
一方、伸縮防止部材9は所要の可撓性を有するため、押圧部材7の押圧力によって撓み、第1凹部11と第2凹部12との境界領域にあっても、押圧部材7の押圧力がチューブTに伝えられ、これによってチューブT内の被移送物が移送される。
ところで、前述した伸縮防止部材9は、各切込み19,19内に支持部8を貫通させることによって、伸縮防止部材9を支持部8に容易に取り付け、それに支持・固定させることができる。
また、伸縮防止部材9は帯状材に複数の切込み19,19を設けることによって製造することができるため、製造が容易であり、製造コストも廉価である。従って、チューブポンプの製造コストの上昇を可及的に抑制することができる。
なお、本実施の形態では、長手方向の中央位置に、長手方向と平行な切込み19,19が伸縮防止部材9の幅方向に適宜の距離を隔てて設けてある伸縮防止部材9を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば伸縮防止部材の長手方向の適宜位置に筒部を伸縮防止部材の幅方向と平行に突設した伸縮防止部材を用いることもできる。この場合、前記筒部に支持部8を挿通させることによって、当該伸縮防止部材を支持部8に取り付ける。
1 ハウジング
2 蓋部材
3 モータ
4 回転軸
5 駆動輪
7 押圧部材
8 支持部
9 伸縮防止部材
11 第1凹部(第1部分)
12 第2凹部(第2部分)
14 胴体部
15 首部
19 切込み
T チューブ

Claims (2)

  1. 筐体の一面側に、円形状の第1部分及び該第1部分から前記筐体の側面に貫通する第2部分を有する鍵穴形状の凹部が設けてあり、前記第1部分内に、軸受を用いてなる環状の押圧部材が配設してあり、第1部分の内壁及び第2部分の内壁に沿って、その一部が第1部分の内壁と前記押圧部材との間に挿入されるように配置される弾性のチューブを、前記押圧部材によって前記第1部分の周方向へ順次押圧することによって、チューブ内の被移送物を移送させるチューブポンプにおいて、
    前記第1部分と第2部分との境界領域から前記第1部分の適宜位置に亘って、前記チューブの相対向する部分の間、及び前記チューブと押圧部材との間に介装され、当該チューブの長手方向への伸張及び/又は収縮を防止するシート状の伸縮防止部材と、
    前記第2部分の適宜位置に立設してあり、前記伸縮防止部材を支持する支持部とを備え
    前記伸縮防止部材は有端の帯状をなしており、且つ、伸縮防止部材は、その長手方向の中途位置で前記支持部に支持され、正面視が支持部を頂とする屋根形状をなす配置とされて、前記チューブの相対向する一方の部分側及び当該チューブの相対向する他方の部分側に当接し得るようになしてあることを
    特徴とするチューブポンプ。
  2. 前記伸縮防止部材には、前記支持部に取り付けるべく、伸縮防止部材の長手方向へ設けた複数の切込みが伸縮防止部材の幅方向へ適宜の距離を隔てて配してある、
    請求項1記載のチューブポンプ。
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