JP5154842B2 - 熱交換器の継ぎ手構造 - Google Patents
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Description
前記継ぎ手の上面を、前記熱交換器の上面と同一面に設定し、
前記継ぎ手に有する冷媒入口管接続穴と冷媒出口管接続穴は、2つの管接続穴中心位置を2つのタンク穴中心位置よりも下側位置にオフセットし、
前記2つの管接続穴中心位置のオフセット量は、冷媒入口管と冷媒出口管の内径全域が第1タンクと第2タンクの内径全域に含まれる範囲内に設定したことを特徴とする。
継ぎ手に有する冷媒入口管接続穴と冷媒出口管接続穴は、2つの管接続穴中心位置を2つのタンク穴中心位置よりも下側位置にオフセットした。このため、継ぎ手の上面と熱交換器の上面を面一化しながらも、接続穴中心位置とタンク穴中心位置を一致させる場合に比べ、2つの管接続穴を除く継ぎ手の取り付け面積が広く確保される。つまり、取り付け面積の広さに左右される継ぎ手の取り付け性を確保することができる。
2つの管接続穴中心位置のオフセット量は、冷媒入口管と冷媒出口管の内径全域が第1タンクと第2タンクの内径全域に含まれる範囲内に設定した。このため、管接続穴の中心位置を、対応するタンク穴の中心位置から下側方向に乖離した位置設定とする場合のような冷媒の偏流が抑制される。つまり、冷媒が継ぎ手を通過する際に、通過抵抗を抑えてスムーズに冷媒を流通させることができる。
この結果、レイアウト性の向上と、継ぎ手の取り付け性確保と、通過抵抗となる冷媒偏流の抑制を併せて達成することができる。
図1は実施例1の継ぎ手構造が適用された積層型エバポレータ(熱交換器の一例)を示す全体正面図である。
積層型エバポレータ1の構成を説明すると、一対のチューブシート11,11の間に図外のインナーフィンを挟み込んだ背中合わせ状態でコア要素を形成する。このコア要素を形成することで内部には、中央部の仕切部を隔てて冷媒を垂直方向に流す2本の通路が形成され、該2本の通路の端部に積層方向に連通するタンク部が形成される。そして、このコア要素を多数積層して互いにロウ付け固定することで、上端部と下端部にそれぞれ2本のタンクが形成され、上部タンクと下部タンクと両タンク間を連通する通路によりコア部としての入口側熱交換部と出口側熱交換部が送風方向に隣接して構成される。入口側熱交換部は、積層型エバポレータ1を設置したときの風下側に配置され、出口側熱交換部は、積層型エバポレータ1を設置したときの風上側に配置される。そして、入口側熱交換部と出口側熱交換部のそれぞれは、仕切り等の設定により、熱交換効率を高めるべく複数のパスに区画されている。
つまり、冷媒入口管接続穴21a,22aの穴下端位置は、図4及び図5に示すように、入口側上部タンク15の穴下端位置よりも僅かに上方位置とし、限界近くのオフセット量OFF1とする設定としている。また、冷媒出口管接続穴21b,22bの穴下端位置は、図4及び図6に示すように、出口側上部タンク16の穴下端位置と一致させ、限界のオフセット量OFF2とする設定としている。
このように設定することで、図4に示すように、2つの管接続穴中心位置OP1,OP2を結ぶ線が、2つのタンク穴中心位置OT1,OT2を結ぶ線に対して傾斜し、所定の傾斜角θ(例えば、5°程度)を持たせている。なお、2つのタンク穴中心位置OT1,OT2を結ぶ線は、積層型エバポレータ1のコア部上面1aと平行となるため、図3に示すように、2つの管接続穴中心位置OP1,OP2を結ぶ線は、積層型エバポレータ1のコア部上面1aに対しても傾斜し、所定の傾斜角θを持たせたことになる。
一般に、冷媒配管接続用の継ぎ手を有する積層型エバポレータにおいては、図7に示すように、継ぎ手がエバポレータのコア部上面から突出している構造になっている。
したがって、組立てられた積層型エバポレータを空調ケースに収納する場合、継ぎ手がエバポレータのコア部上面から突出していると空調ケースの小型化が阻まれる。つまり、空調ユニットをコンパクト化する場合の阻害要因となっている。
さらに、積層型エバポレータのコア部上面と継ぎ手の上面に段差が生じている場合、気密シール材(=インシュレータ)として、積層型エバポレータの外周部に巻き付ける気密シール材以外に、継ぎ手の外周に巻き付ける気密シール材が別個に必要となり、組付け性や気密性に劣り部品費用も向上する。
しかし、例えば、冷媒入口管接続穴の位置がタンク穴の位置に対し乖離した設定である場合、継ぎ手の内部に、2つの穴を連通させる通路を熱交換器の側面に沿った方向に形成する必要がある。このため、図8の矢印に示すように、冷媒入口管からタンク方向に流れ込んだ冷媒は、継ぎ手内の通路に衝突し、流れの方向を熱交換器の側面に沿った方向に90度変え、再び、継ぎ手内の通路に衝突し、流れの方向を90度変えた後、タンクに導入されるというように、冷媒が中心流線から偏って流れ、継ぎ手を流通する冷媒に通過抵抗を与える。この結果、冷却性能低下や異音発生等の要因となる。
上記着目点に基づき、下記の構成を採用した。
・冷媒入口管の内径中心位置(冷媒流入路)と冷媒出口管の内径中心位置(冷媒流出路)をタンクの内径中心位置からずらす。つまり、エバポレータの上面に対して配管接続を傾斜化する。
・冷媒流入路と冷媒流出路の中心位置をずらすことで継ぎ手の上面を平面とし、エバポレータのコア部上面と面一とする。
・冷媒流入路と冷媒流出路に接続する配管内径下端位置をチューブシートのタンク穴内径下端と一致(或いはその範囲内)とする。
上記構成を採用することにより、空調ユニットの小型コンパクト化の要求に応えてレイアウト性の向上を図りながら、継ぎ手の取り付け性確保と通過抵抗となる冷媒偏流の抑制を併せて達成する積層型エバポレータの継ぎ手構造を得ることができた。
以下、実施例1の積層型エバポレータ1の継ぎ手構造における作用を、「製造作用」、「組み付け作用」、「熱交換作用」に分けて説明する。
積層型エバポレータ1は、チューブシート11を多数枚積層し、この多数枚積層されたチューブシート11の両側にサイドプレート12,13を設定し、かつ、チューブシート11にアウターフィン14を設定することで組み立てる。そして、サイドプレート12に継ぎ手2の台座部材21を設定した状態で、ロウ材を必要部分に塗布し、炉の中に入れて加熱し、ロウ材を溶融させて各部品を接合する。
以上により、継ぎ手2と冷媒入口管4と冷媒出口管5を備えた積層型エバポレータ1が製造される。
継ぎ手2と冷媒入口管4と冷媒出口管5を備えた積層型エバポレータ1を、空調ケースに組み付ける際には、図1に示すように、1枚の気密シート3を積層型エバポレータ1の外周及び継ぎ手2の外周に沿って巻き付け、これを外周部に接着する。
そして、空調ケース内のエバポレータ取り付け枠に気密シート3を巻き付けた積層型エバポレータ1を設定することで、積層型エバポレータ1の組付けを行うことができる。
エアコン作動時、図外の膨張弁から送られてきた液化冷媒は、冷媒入口管4から継ぎ手2を経過して積層型エバポレータ1の入口側上部タンク15に導入される。積層型エバポレータ1では、導入された液化冷媒が入口側熱交換部を蛇行した後、入口側下部タンクから出口側下部タンクに移行し、さらに、出口側熱交換部を蛇行することで通過する空気から熱を奪うという熱交換作用を行い、気化が進行する。そして、気化が進行した冷媒は、出口側上部タンク16から継ぎ手2を経過して冷媒出口管5に排出され、図外のコンプレッサへ供給する。
実施例1の積層型エバポレータ1の継ぎ手構造にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
1a コア部上面(上面)
11 チューブシート
12,13 サイドプレート
12a 入口側上部タンク連通穴
12b 出口側上部タンク連通穴
14 アウターフィン
15 入口側上部タンク(第1タンク)
16 出口側上部タンク(第2タンク)
2 継ぎ手
2a 上面
21 台座部材
21a 冷媒入口管接続穴
21b 冷媒出口管接続穴
21c,21d ビス止めネジ穴
22 フランジ部材
22a 冷媒入口管接続穴
22b 冷媒出口管接続穴
22c,22d ビス穴
3 気密シール材
4 冷媒入口管
4a カシメつば部
4b O−リング溝
5 冷媒出口管
6,7 ビス
8,9 O−リング
OP1,OP2 管接続穴中心位置
OT1,OT2 タンク穴中心位置
OFF1,OFF2 オフセット量
EP1,EP2 冷媒入口管4と冷媒出口管5の内径全域
ET1,ET2 入口側上部タンク15と出口側上部タンク16の内径全域
θ 傾斜角
C 管接続穴中心位置OP1,OP2を結ぶ線
Claims (5)
- 上端位置に第1タンクと第2タンクを横並列に配置した熱交換器の一側面に冷媒入口管と冷媒出口管を接続する継ぎ手を備え、冷媒入口管から継ぎ手を経過して冷媒を第1タンクに導入し、第2タンクから継ぎ手を経過して冷媒を冷媒出口管に排出する熱交換器の継ぎ手構造において、
前記継ぎ手の上面を、前記熱交換器の上面と同一面に設定し、
前記継ぎ手に有する冷媒入口管接続穴と冷媒出口管接続穴は、2つの管接続穴中心位置を2つのタンク穴中心位置よりも下側位置にオフセットし、
前記2つの管接続穴中心位置のオフセット量は、冷媒入口管と冷媒出口管の内径全域が第1タンクと第2タンクの内径全域に含まれる範囲内に設定し、
前記継ぎ手に有する冷媒入口管接続穴と冷媒出口管接続穴は、冷媒入口管接続穴の穴径より冷媒出口管接続穴の穴径が大径であり、かつ、2つの管接続穴中心位置を、それぞれについてオフセット量の限界あるいは限界近くまで2つのタンク中心位置よりも下側位置にオフセット設定することで、2つの管接続穴中心位置を結ぶ線を、2つのタンク穴中心位置を結ぶ線に対して傾斜化させたことを特徴とする熱交換器の継ぎ手構造。 - 請求項1に記載された熱交換器の継ぎ手構造において、
前記熱交換器は、両側にサイドプレートを有し、両サイドプレートのうち、片側のサイドプレートの上部位置に第1タンク連通穴と第2タンク連通穴を開口し、
前記継ぎ手は、第1タンク連通穴と第2タンク連通穴を開口した片側のサイドプレートの上部位置にロウ付け固定された台座部材と、該台座部材にビス止め固定されたフランジ部材により構成され、
前記台座部材とフランジ部材には、傾斜配置した冷媒入口管接続穴と冷媒出口管接続穴に挟まれた領域に2つのビス止めネジ穴と2つのビス穴を設定したことを特徴とする熱交換器の継ぎ手構造。 - 請求項1又は請求項2に記載された熱交換器の継ぎ手構造において、
前記熱交換器は、継ぎ手を含めた外周部に沿って1枚の気密シール材を巻き付けたことを特徴とする熱交換器の継ぎ手構造。 - 請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載された熱交換器の継ぎ手構造において、
前記継ぎ手は、冷媒入口管接続穴と冷媒出口管接続穴の2つの管接続穴中心位置を結ぶ線に対し線対称形状に設定したことを特徴とする熱交換器の継ぎ手構造。 - 請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載された熱交換器の継ぎ手構造において、
前記熱交換器は、車両の空調ケース内に冷房用熱交換器として設置され、冷媒の流通により通過する風から熱を奪う積層型エバポレータであることを特徴とする熱交換器の継ぎ手構造。
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