本発明の各実施形態について、図面を参照して説明すると以下のとおりである。なお、各図面を通して、同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記して、それらを重複して説明することを省略する。
〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について、図1〜図5を用いて説明すると以下のとおりである。
図1は、本発明に係る実施形態の一例を示しており、電子回路配線板および電子回路配線板上に隣接配置される2つの枠体から構成される構造体を示す分解斜視図である。また、図2は、図1において2つの枠体を電子回路配線板上に隣接して搭載した状態を示す斜視図である。
また、図3は、図2に示したB−B線における矢視断面図であり、図4は、図2に示す2つの枠体の隣接部分の一部について詳細に示した斜視図である。
そして、図5は、図2に示す2つの枠体の隣接部分の全体を抽出した上面図である。
(電子回路配線板の構成部材について)
本実施形態に係る構造体M1は、電子回路配線板(基体)1と、接地パターン2と、枠体10a、10bとを備える構成である。
電子部品を搭載するための電子回路配線板1は、必要な電子部品等を搭載するための略長方形形状の基板であり、いわゆるプリント基板である。電子回路配線板1上に、電子部品等が搭載されることにより、所望の機能を実現する回路が構成される。電子回路配線板1には、例えば、表面実装技術(SMT;Surface Mount Technology)を用いて電子部品が搭載される。プリント基板には、配線パターンが印刷されており、電子部品どうしは、配線パターンにより相互に接続される。
また、電子回路配線板1の表面上には、領域3a、3bと、接地パターン2とが設けられている。
領域3a、3bは、電子回路配線板1に電子部品等を搭載するための領域であり、本実施形態では、領域3a、3bを、例示的に、略長方形の領域としている。また、領域3a、3bは、例示的に、同じ形状の領域としている。
接地パターン2は、周囲に壁を備える枠体10a、10bを電子回路配線板1に実装するためのものであり、領域3a、3bの周囲を取り囲むように連続的に設けられる。
そして、領域3aと、3bとは、接地パターン2の領域Aをはさんで設けられる。
枠体10a、10bは、周囲に側壁を備える枠形状の部材であり、それぞれ略長方形の領域3a、3bの周囲に沿うようにして、接地パターン2上に取り付けられる。この際、枠体10a、10bは、接地パターン2の領域Aにおいて隣接している。
また、枠体10aの上記側壁は、電子回路配線板1に対して垂直方向に延びた隣接側壁14(隣接部)aおよび非隣接側壁13aにより構成されている。本実施形態では、例示的に、枠体10a、10bは同一形状としている。つまり、枠体10bの上記側壁も、電子回路配線板1に対して垂直方向に延びた隣接側壁(隣接部)14bおよび非隣接側壁13bにより構成されている。
ここで、図中では、枠体10a、10bの上面には、中央部が開口した天板16aが設けられている。このため、図3に示すように、枠体10aの断面は、逆L字型となっている。しかしながら、これに限られず、枠体10a、10bは、枠体10a、10bの上面全域を塞ぐ天板を備えていてもかまわない。枠体10a、10bは、周囲に壁を備えた形状であればその形は制限されず用途に応じて変更可能である。
枠体10aの隣接側壁14aには、開口部12aが設けられている。つまり、枠体10aの隣接側壁14aは、開口部(間隙部)12aと、開口部12a以外の部分側壁(取付部、仕切り板)11aとから構成される。
また、枠体10bの隣接側壁14bについても、同様に、開口部12bが設けられている。つまり、枠体10bの隣接側壁14bは、開口部12bと、開口部12b以外の部分側壁11bとから構成される。
枠体10a、10bの非隣接側壁13a、13bには、隣接側壁14a、14bが備えるような開口部は設けられておらず、3辺に渡って連続する壁面が形成されている。なお、本実施形態では、枠体10a、10bの非隣接側壁13a、13bには、3辺に渡って連続する壁面が形成されているものとしたが、これに限られず、用途によって適宜変更可能であり、穿孔されていてもよく、スリットが設けられていてもよい。
枠体10a、10bは、電子回路配線板1と、その上方に設けた別の基板との間の空間を保持するスペーサとして機能することができる。この場合、枠体10a、10bは、十分な剛性、例えば、電子回路配線板1より高い剛性を有することが望ましい。
枠体10a、10bを、スペーサとして機能させる場合、枠体10a、10bが十分な剛性を備えていれば、その周囲に電子回路配線板1に対して垂直方向に延びる壁を備えているため、上記別の基板から力が加わっても押しつぶされることがなく、枠体10a、10bは上記別の基板の受け台として機能することができる。
また、枠体10a、10bは電子回路配線板1より高い剛性を有する材料を用いることで電子回路配線板1の破壊強度を高めることができる。
なお、本実施形態において示した枠体10a、10bは、飽くまで一例であり、周囲に壁を備えた枠体どうしは隣接する側壁を備えていれば何箇所でも何部品でも電子回路配線板上に設けてもよいし、その組み合わせは制限されない。
また、枠体10a、10bの隣接側壁14a、14bおよび非隣接側壁13a、13bは、接地パターン2に接続するための接続端子を兼ねる。
図4に示すように、部分側壁11aと11bの間には、クリアランス18が設けられる。
(隣接側壁の詳細について)
次に、隣接側壁の詳細について説明する。
上述のとおり、枠体10a、10bは、接地パターン2の領域Aにおいて、それぞれの側壁が隣接するように配置される。すなわち、枠体10a、10bは、4面ある側壁のうち、1面において隣接している。
隣接側壁14a、14bには、複数の開口部12a、12bがそれぞれ設けられている。
枠体10aから見れば、隣接側壁14aに設けられた開口部12aに、隣接する枠体10bの部分側壁11bが挿入され、枠体10aおよび10bが配置される。すなわち、枠体10aの開口部12aは、枠体10bの部分側壁11bが配置されるための隙間部分である。
一方、枠体10bから見れば、隣接側壁14bに設けられた開口部12bに、隣接する枠体10aの部分側壁11aが挿入され、枠体10aおよび10bが配置される。すなわち、枠体10bの開口部12bは、枠体10aの部分側壁11bが配置されるための隙間部分である。
本実施形態では、図5に示すように、枠体10aおよび10bの隣接部分において、枠体10aの部分側壁11aと、枠体10bの部分側壁11bとが交互に、C―C線上において略一直線上に一列に並ぶように配置される。ここで、図4に示すように、一列に配置された部分側壁11aおよび部分側壁11bの間には、クリアランス18が設けられる。このように、クリアランス18を設けるのは、枠体10aおよび10bの搭載位置のずれや、寸法公差などが原因で、部分側壁11aと、部分側壁11bとが干渉して構造体が形成できなくなるような不都合や、衝突破損することを低減するためである。
なお、電子回路配線板1と枠体10a、10bの接合は溶融導電金属、上述のように、例えば、はんだペーストなどを用いて、他の電子部品を電子回路配線板に実装するのと同様に行うことができる。
また、このように、枠体10aが備える隣接側壁14aならびに非隣接側壁13aおよび枠体10bが備える隣接側壁14bならびに非隣接側壁13bの下部は、はんだを用いて電子回路配線板1の接地パターン2に接合され、これにより電子回路配線板1と機構的に固定される。そして、枠体10a、10bと、電子回路配線板1とは、電子部品を搭載した構造体を構成する。
(作用・効果)
以上のように、本実施形態に係る構造体M1では、電子回路配線板1に2つの枠体10a、10bが設けられた構造体M1において、枠体10a、10bは、互いに隣接する隣接側壁14a、14bをそれぞれ有しており、隣接側壁14a、14bは、上記基体に取り付けられる複数の部分側壁11a、11bを備えており、かつ、一方の枠体における隣り合う部分側壁が電子回路配線板1にそれぞれ取り付けられる取付位置どうしを結ぶ線上に、他方の枠体における部分側壁が取り付けられるような形状となっている。
また、換言すれば、構造体M1の特徴は、周囲に電子回路配線板1に対して垂直方向に延びる側壁を備えた枠体10a、10bが、互いに隣接する隣接側壁14a、14bを備え、当該隣接側壁14a、14bにおいて、複数の開口部12a、12bが設けられ、開口部以外の部分側壁11a、11bが交互に配置される点にある。つまり、本実施形態では、枠体10a、10bが隣接する箇所において、枠体10a、10bの部分側壁11a、11bは、向かい合う位置には配置されていない。
さらに別の表現では、本実施形態に係る枠体10a、10bは、その隣接部分において部分側壁11a、11bが排他的に交互に配置される、ということもできる。
この特徴点により、接地パターン2の幅W3は、枠体10a、10bどちらか1枚分の厚みW1と、その片側あるいは両側に設けるフィレット作成領域の幅W2a、W2bとをあわせた幅で済む。
これに対し、図21を用いて示したとおり、従来技術では、接地パターンの幅W105として、金属枠体110a、110cの遮蔽壁部2枚分の厚みW101a、W101bと、接続端子の搭載領域W102と、金属枠体110a(110c)と接続端子111c(111a)との間の実装位置ずれクリアランスW103と、金属枠体110a、110cの片側あるいは両側に設けるフィレット作成領域W104a、W104bとをあわせた幅が必要であった。
従って、本実施形態に係る構造体M1では、図21を用いて示した従来技術に比べ、接地パターン2の幅W3に、金属枠体1枚分の厚みW101a(またはW101b)と、接続端子の搭載領域W102と、実装位置ずれクリアランスW103とを含めなくてもよくなり、より実装占有面積を低減できるため省面積な実装が可能となる。この結果、電子回路配線板1自体の小型化を図ることも可能である。
なお、本発明では、領域3a、3bに搭載する電子部品の間に最低限確保すべき幅W5は、上記接地パターン2の幅W3と、接地パターン2と領域3a、3bの各々に搭載された電子部品との間に設ける絶縁クリアランスW4a、W4bとあわせた幅で済む。
また、印刷クリアランスについて検討すると次のとおりである。
図18〜図21を用いて示した上記従来技術の例では、電磁波遮蔽部品110a、110b、110cと、電子回路配線板101との接続において、接続端子111a、111b、111cが、電子回路配線板101に対して水平になる構成である。
これに対し、本実施形態では接続端子としての部分側壁11a、11bを、電子回路配線板1と垂直に構成している。
従って、上記従来技術の例のほうが、少なくとも接続端子111a、111b、111cの面積の分、電子回路配線板に対する接触面積が大きくなってしまう。
このため、はんだ印刷後にその上から電磁波遮蔽部品を搭載するときに、はんだを押し広げる面積は、上記従来技術のほうが大きく、多くのはんだ印刷クリアランスを確保する必要があった。
これに対し、本実施形態では、はんだ印刷後に部品を搭載しても、電子回路配線板に対する接触面積が上記従来技術のものよりも小さいため、はんだを押し広げる量が少なくなり、これに応じて、必要なはんだ印刷クリアランスが少なくなる。
このため、本実施形態では、印刷クリアランスを特に設けなくても、フィレット作成領域を含んだ上記接地パターン2の幅で足りるように構成することも可能である。
このように、本発明によれば、枠体どうしが隣接する部分での省スペース化を図ることができるという効果を奏する。
さらには、本実施形態では、上記従来技術のものよりも、接触面積を小さくできるので、枠体10a、10bを電子回路配線板1に実装するために必要なはんだ等の溶融導電物質の使用量を低減することができ、枠体の実装工程におけるコストダウンを図ることができる。
また、本実施形態では、図1に示す枠体10a、10bは、同じ形状のものを使用している。よって、例えば、同一の金型を用いて、枠体10a、10bを作成することも可能である。このように、枠体に関しては、部品を共通化することができ、このため、部品製造コストの増大を抑制することも可能である。
(変形例)
なお、電子回路配線板1は、必ずしも回路を搭載する基板でなくともよく、また、形状も限定されない。本実施形態で示した電子回路配線板1は、板状の基体であったが、この他にも、例えば、曲面を備える基体を用いることも可能である。
また、接地パターン2は、上記の例のように、領域3a、3bの周囲を取り囲むように連続的に設けてもよいし、上記の例とは異なり、領域3a、3bの周囲を取り囲むように断続的に設けてもよい。例えば、隣接側壁14a、14bでは、接地パターン2が、一方の部分側壁と、他方の部分側壁との間で、断続的になっていてもよい。すなわち、隣接側壁14a、14bでは、接地パターン2が、クリアランス18において断続的になっていてもよい。
また、枠体10a、10bを作成するための材料に限定はなく、例えば、金属材料であってもよいし、木材、樹脂材料等の非金属材料を用いてもよく、用途によって適宜選択することができる。
また、本実施形態では、枠体を、はんだ付けにより基体に取り付けていたが、枠体の材料を、上記変形例にて示した材料に変更する場合、それぞれの材料に応じた手段を適宜選択し、枠体を基体に接合すればよい。例えば、木材、樹脂材料等の枠体の場合には、接着剤を用いて枠体を基体に接着してもよい。
また、本実施形態では、枠体の隣接部において、一方の枠体の部分側壁と、他方の枠体の部分側壁との間に、クリアランスを設ける構成であった。しかしながら、これに限られず、クリアランスを設けず、各部分側壁体どうしを隙間無く並べる構成としてもよい。この場合、枠体30a、30bは、隣接部分において、互いに嵌合する形になり、これにより枠体30a、30bどうしを機構的に固定することができる。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図6を用いて、説明すると以下のとおりである。本実施形態では、図1〜図5を用いて示した構造体M1において、電磁波を遮蔽する材料で形成され、或いは当該材料で被覆されている枠体を用いて、さらに枠体上面に、電磁波を遮蔽する電磁波遮断カバーを装着した構造について説明する。また、これにより、各枠体の上面を被覆することで、外界からの電磁波を遮断し、各領域に搭載された電子部品が電磁波の影響を受けないようにできること以下に示す。
(構成例)
まず、図6を用いて、その構成の詳細について説明する。図6は、図1〜図5に示す枠体10a、10bの上面に装着する電磁波遮蔽カバー(カバー、固定部)15を示す分解斜視図である。
本実施形態では、図1〜図5に示す枠体10a、10bを、電磁波の遮断が可能な、例えばSUS(Stainless Used Steel)等の導電性材料或いは当該材料で被覆されている材料により構成する。このため、枠体10a、10bは、電磁波の遮蔽効果(以下、シールド効果と称する)を有する電磁波遮蔽部品として機能する。つまり、枠体10aの隣接側壁14aが備える部分側壁11a、非隣接側壁13aおよび天板16aと、枠体10bの隣接側壁14bが備える部分側壁11b、非隣接側壁13bおよび天板16bとは、シールド効果を有する。
ここで、隣接側壁14aが備える開口部12a、隣接側壁14bが備える開口部12bは、シールド効果をもたないが、隣接側壁14aが備える部分側壁11aと、隣接側壁14bが備える部分側壁11bとが、お互いの開口部に挿入される形で、交互に一列に配置されることにより、側面方向に行き来する電磁波を遮断することができる。
図6において、その他の構造的特徴は、前述した構造体M1と同様であるので、その説明を省略する。
また、枠体10a、10bは、領域3a、3bを囲むようにして接地パターン2に取り付けられる。本実施形態では、枠体10a、10bの取り付けは、枠体10a、10bを、溶融導電金属、例えば、はんだペーストなどを用いることにより接地パターン2に接合することにより行われる。これにより、枠体10a、10bは電子回路配線板1上に設けられた接地パターン2と導電接続される。
電磁波遮蔽カバー15は、シールド効果を有する材料により構成されており、枠体10a、10b上面に装着されることにより、枠体10a、10b上面の開放された領域を、被覆し、枠体10a、10bを機構的に固定するとともに、これにより、電磁波遮蔽カバー15、枠体10a、10bは、電磁的に遮断された空間を内部に有する電磁波遮蔽構造体を構成する。従って、電磁波遮蔽構造体内部の各領域に搭載された電子部品は、電磁波の影響を免れ得る。
このように、図中では、枠体10a、10bそれぞれは、その上面に、開口した天板を備える枠形状をしているため、枠体10a、10bの上面を電磁気的に遮蔽する電磁波遮蔽カバー15を装着することにより、領域3a、3bに対するシールド効果を得る電磁波遮蔽構造体を構成するようになっている。
しかしながら、これに限られず、枠体10a、10bそれぞれが、その上面全域を塞ぐことができ、これにより電磁気的に遮蔽することができるような天板を備えていてよく、この場合には、電磁波遮蔽カバー15を省略することもできる。
また、枠体10a、10bと、電磁波遮蔽カバー15との連結方法は、限定されず、例えば、ネジ留め、突起および嵌合穴を設けたはめ込み方式などがある。
(作用・効果)
本実施形態に係る構造体の特徴は、構造体M1の構成において、枠体10a、10bを、電磁波遮蔽材料により構成し、さらに、電磁波遮蔽カバー15を設ける点にある。ゆえに、本実施形態に係る構造体は、上記実施形態の作用効果に加え、以下の作用効果を奏する。
[修復作業の容易性について]
上記構成によれば、本発明の電磁波遮蔽部品である枠体10a、10bは、隣接側壁14a、14bにおいて、開口部12a、12bが設けられているので、はんだ付け処理を行う際に必要なスペースを確保することが容易であり、また、はんだ付け不完全が発生した時の修理性に優れる構造となっている。
例えば、リフロー炉などではんだを溶かして、隣接側壁14a、14bの部分側壁11a、11bと、電子回路配線板1とを接合する場合、はんだを溶かすときの熱によって、電子回路配線板1が、例えば、反り返るなどして変形することがある。電子回路配線板1が変形すると、隣接側壁14a、14bの下部の形状が、変形した電子回路配線板1の形状と整合しなくなり、この結果、部分側壁11a、11bと、電子回路配線板1との間に隙間が生じることがある。そして、このような隙間が生じた部分では、はんだ付けが不完全になってしまう。
このように、はんだ付けが不完全な部分に対しては、例えば、はんだ小手などを用いて局所的に熱を加えたり、はんだを新しく与えたりして正常な接合状態にする修復作業が行われる。
一般に、シールド効果があるような部品は、電磁波遮蔽効果を備えるため、電磁波を遮蔽する材料で形成されているか、或いは当該材料で被覆されている材料が用いられている。このような材料としては、主として金属材料が用いられるが、金属材料は、電磁波遮蔽効果に加えて、熱伝導率が高く、また放熱効果も高い。
よって、このような放熱効果が大きい部品に対して局所的に熱を与えても、熱が放散してしまい、はんだを溶融するための温度上昇に多くの熱量と時間が必要となる。
このため、上述の修復作業において、長時間、はんだ小手によって熱を加えることにより、部分側壁11a、11bと電子回路配線板1の接地パターン2とを接合している溶融導電物資の劣化がおこり、十分な導電特性や接続強度が保てないなどの接合信頼性の低下や、周辺に搭載された電子部品に不要な熱が加わることにより破損するおそれがある。よって、修復作業の作業効率の向上が望まれる。
特に、特許文献1に開示されている電磁波遮蔽部品110a、110b、110cの構造では、電子回路配線板101と各電磁波遮蔽部品の接続用端子111a、111b、111cの対向箇所の周辺において金属材料が展開されており放熱効果が極めて高くなっている。
これに対して、本発明は、電子回路配線板1と枠体10a、10bの部分側壁11a、11bは、上記特許文献1記載の技術に比べて、接合部分の近接箇所では金属材料の展開される領域が小さくなっており、これに伴い、はんだ小手などで局所的に熱を加えたときの電磁波遮蔽部品の放熱効果は弱くなっている。
従って、本発明によれば、修復作業において、上記特許文献1記載の技術に比べて、少ない熱量と時間ではんだを溶融することができので、修復作業の作業効率が向上する。
このため、導電溶融物資の劣化による導電特性や接合強度など信頼性の低下およびはんだ付け状態の修復に関わる周囲の部品破損を抑制することができる。
さらに、枠体10a、10bは、図3に示すように断面が逆L字型の形状であり、また図2に示すように枠形状に形成されている。これにより、接続用端子11a、11bはその両側が広く開放された構成となり、両側からはんだ小手などの修理装置を当てることができるなど作業性を高めることができる。
[放熱性について]
本実施形態に係る構造体が、電子回路配線板1に搭載された電子部品が発生する不要な熱の放熱性に優れることについて説明する。
電子回路配線板1に搭載された電子部品は電流を流すために少なからず発熱する。電子部品、特に半導体は周囲の温度が高くなると誤動作を起こす原因になるため、できるだけ放熱できる構造であることが望ましい。
特許文献1に開示の構造では電磁波遮蔽部品110a、110b、110cは電磁波遮蔽カバー120を被せることで電磁波の遮蔽が必要な部品が搭載された領域103a、103b、103c上の空間およびその隣接部分の空間において空気が封止され、空気の流れが制限される。このため、領域103a、103b、103cの1つに搭載されている電子部品が発熱した場合には、当該1つの領域を囲む電磁波遮蔽部品を覆う、電磁波遮蔽カバー120の一部分から外部に放熱することになる。
これに対して、本発明による構造では、図6を用いて示したように、電子回路配線板1上の電子部品が搭載された領域3a、3bについてのシールド効果を得るために、枠体10a、10bの上面に電磁波遮蔽カバーを装着しているものの、部分側壁11aと、11bとの間には、クリアランス18が設けられている。このため、領域3a、3bの間は、完全には密閉されておらず、このクリアランス18を通して、領域3a、3bの間において、空気が対流することができる。また、例えば、領域3aを囲む枠体10a内の領域は、枠体10aと10bとが隣接する箇所において、枠体10aだけでなく10bの隣接側壁11bとも隣接している。従って、領域3a、3bの1つに搭載されている電子部品が発熱した場合には、当該1つの領域を囲む枠体を覆う、電磁波遮蔽カバー15の一部分からのみではなく、枠体10aと10bとの両方を覆う、電磁波遮蔽カバー15の全体から外部に放熱することができる。これにより、放熱領域が大きくなるため、特許文献1に開示の例に比べ放熱特性に優れた構造となっている。
[電磁波遮蔽特性について]
また、前述のとおり、本実施形態の構成によれば、枠体11a、11bの間には図4に示すようにスリット状の開口部であるクリアランス18が設けられている。このクリアランス18における最も長い開口長さを領域3a、3bに搭載された電子部品の互いに遮蔽したい電磁波の波長に対して十分小さくとれば電磁波の遮蔽効果を維持することができる。なおシールド効果と開口長さ、遮蔽したい電磁波の波長の関係は従来技術である特許文献1の図5に記載があるので省略する。
このように、遮蔽したい電磁波の波長や必要なシールド効果によっては、クリアランス18のサイズを、大きくすることができるため、実装難易度の低下につなげることができる。
なお、図4に示す形態における最も長い開口長さはクリアランス18の対角長さである。
また、電磁波遮蔽カバー15は、電子回路配線板1よりも高い剛性を有していることが望ましく、また、枠体10a、10bと同等もしくはそれ以上の剛性を有していることが望ましい。電磁波遮蔽カバー15を、枠体10a、10b上面に装着することにより、枠体10a、10bは、電磁波遮蔽カバー15が装着されない場合よりも、より強固に連結され、枠体10a、10bが個別に移動することを抑止することができる。
このため、例えば、電子回路配線板1に応力が加わったとしても、枠体10a、10bの隣接部分に応力が集中することを防ぎ、枠体10a、10bの隣接部分が応力により破損することを低減する。
このように、電磁波遮蔽カバー15は、電磁波を遮蔽する機能と、各枠体の移動を制限する機能とを兼ね備える。よって、これらの機能を得るために個別の部品を用意しなくても済み、構造体を構成する部品点数が増加することを抑止し、これに伴い製造するためのコストを抑制できる。
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、図7を用いて、説明すると以下のとおりである。これまでに示した実施形態では、電子部品を搭載する領域は2つであった。これに対して、本実施形態では、電子回路配線板1において、3つ以上の領域が設けられる場合について説明する。図7は、4つの枠体を隣接させる場合の構成例について示した上面図である。
本実施形態に係る構造体M2は、図示のとおり、電子回路配線板1と、接地パターン22と、枠体20a、20b、20c、20dと、電磁波遮蔽カバー(不図示)を備える構成である。
電子回路配線板1の表面上には、電子部品を搭載するための領域21a、21b、21c、21d、21eが設けられ、それらを囲むように接地パターン22が設けられている。また、枠体20a、20b、20c、20dは、周囲に側壁を備える枠形状の部材であり、上記実施形態で説明したような電磁波遮蔽材料からなる。
つまり、本実施形態では、4つの枠体により、5つの領域が囲まれる。より詳細には、枠体20a、20b、20cは、それぞれ、領域21a、21b、21cを囲むようにして接地パターン22に接合される。また、枠体20dは、領域21dおよび21eの2領域を囲むようにして接地パターン22に取り付けられる。
ここで、枠体20dの中央部には、領域21dおよび21eを隔てる間仕切り23が設けられ、枠体20dの内側を2つの領域に分割している。間仕切り23も、上記実施形態で説明したような電磁波遮蔽材料からなり、このように、枠体20dの内部が間仕切り23により仕切られることで、領域3d、3e間の電磁波の遮蔽を行うことができる。
図7に示すように、電子回路配線板1の上面から見れば、枠体20a、20bおよび20dの形状は、略四角形である。枠体20cは、電子回路配線板1の上面から見れば、L字型の形状をしている。
また、枠体20a、20b、20c、20dは、上面に天板が設けられているが、外周周辺部以外は、開口されており、領域21a、21b、21c、21d、21eが開放された状態になっている。
そして、枠体20a、20b、20c、20dの上面を被覆するように、上記実施形態において既に説明したような電磁波遮蔽カバー(不図示)が装着される。
このように、電子回路配線板1に設けられた枠体20a、20b、20c、20dと、電磁は遮蔽カバー(不図示)とは、領域21a、21b、21c、21d、21eの相互間を行き来する電磁波を遮蔽する構造体M2を構成する。
続いて、枠体20a、20b、20c、20dの位置関係について説明する。
図7に示すように、枠体20aと、20bとが、その1辺において隣接しており、隣接する枠体20aおよび20bは、長方形を構成する。
ここで、枠体20aおよび枠体20bが構成する長方形の1辺と、枠体20cの1辺とが隣接する。また、枠体20cの2辺と、枠体20dの2辺の一部とが隣接する。
各枠体間の隣接部分の構造については、上述のとおりであるのでその説明を省略する。
(変形例)
なお、本実施形態では、電子回路配線板1上に設ける電磁波の遮蔽が必要な部品を搭載する領域の数は、5つであったが、これに限られず、電子回路配線板1上に実装可能な限り、いくつであってもよい。この場合、枠体は必要な数だけ用意する。
また、このとき、上述のように枠体の内側に、電磁波を遮蔽することができる間仕切りを設けて、複数の領域に分割することも可能である。このように間仕切りを設けることにより、領域の数よりも少ない数の枠体で、領域間の電磁波の遮蔽を行うことができる。また、領域および枠体の数、領域および枠体の形状、枠体に設ける間仕切りについては、適宜変更することができ、その組み合わせは制限されない。
また、枠体20a、20b、20c、20dを、シールド効果を有する導電性材料からなるものとして説明したが、これに限られず、シールド効果が必要ない場合には、導電性材料以外の材料を用いることも可能である。また、シールド効果が必要ない場合には、電磁波遮蔽カバーを省略することもできる。
〔実施形態4〕
本発明のさらなる実施形態について、図8〜図10を用いて、説明すると以下のとおりである。本実施形態では、2つの電子回路配線板上に、それぞれ1つの枠体を設けて、この枠体が設けられた電子回路配線板2つを、枠体が設けられている面が向かい合うように重ね合わせるとともに、電子回路配線板それぞれに設けられた枠体を隣接配置させる場合の一例について示す。
図8は、本発明に係る実施形態の一例を示しており、枠体が設けられた2つの電子回路配線板が重ね合わせられることによって、枠体どうしが隣接配置された構造を有する構造体を示す分解斜視図である。また、図9は、図8において2つの枠体を電子回路配線板上に隣接して搭載した状態を示す斜視図である。そして、図10は、図9において、電子回路配線板(第2基体)31bの図示を省略した図である。
(構造体の部分体について)
本実施形態に係る構造体M3は、電子回路配線板(第1基体)31a、接地パターン32a、および枠体(第1枠体)40aからなる部分体M3aと、電子回路配線板(第2基体)31b、接地パターン32b、および枠体(第2枠体)40bからなる部分体M3bとを備え、部分体M3aと、部分体M3bとが重ね合わされた構造を有する。
まず、部分体M3a、M3bが重ね合わされる前の構成について、以下に説明する。なお、本実施形態では、例示的に、電子回路配線板31a、接地パターン32a、枠体40aと、電子回路配線板31b、接地パターン32b、枠体40bとは、それぞれ同一形状、同一特性とする。
従って、部分体M3bは、部分体M3aに準じた構成となるので、以下では、例として、部分体M3aを構成する電子回路配線板31a、接地パターン32a、枠体40aについて説明し、部分体M3bについてはその説明を省略する。
図8において、電子部品を搭載するための電子回路配線板31aは、必要な電子部品等を搭載するための略長方形形状の基板であり、いわゆるプリント基板である。上記各実施形態と同様、電子回路配線板31a上に、電子部品等が搭載されることにより、所望の機能を実現する回路が構成される。電子回路配線板31aには、例えば、SMTを用いて電子部品が搭載される。
電子回路配線板31aの表面上には、領域33a、33cと、接地パターン32aとが設けられ、この接地パターン32a上に、領域33aを囲むように枠体40aが搭載される。
電子回路配線板31aに設けられた領域33a、33cは、電子部品等を搭載するための領域である。
領域33cは、電子回路配線板31a、31bが重ね合わせられたときには、他方の電子回路配線板に設けられている枠体によって囲まれる領域である。
本実施形態においても、例えば、図1〜図5を用いて示した実施形態と同様、領域33a、33cを、例示的に、略長方形の領域としている。また、領域33a、33cは、例示的に、同じ形状の領域としている。
また、領域33aと、33cとは、接地パターン32aの領域D1をはさんで配置される。
接地パターン32aは、それぞれ、周囲に壁を備える枠体40aを、電子回路配線板31aに実装するためのものであり、領域33a、33cを取り囲むように設けられる。
枠体40aは、周囲に側壁を備える枠形状の部材である。枠体40aは、電子回路配線板31aにおいて、領域33aの周囲を囲むようにして、接地パターン32a上に取り付けられる。
また、枠体40aの側面は、電子回路配線板31aに対して垂直方向に延び、隣接側壁(隣接部)44aおよび非隣接側壁43aにより構成されている。
隣接側壁44aには、開口部42aが設けられている。つまり、枠体40aの隣接側壁44aは、開口部42aと、開口部42a以外の部分側壁(取付部)41aとから構成される。
枠体40aの非隣接側壁43aには、隣接側壁44aが備えるような開口部は設けられておらず、3辺に渡って連続する壁面が形成されている。
ここで、図8に示すように、枠体40aの上面には、中央部が開口された天板45aが設けられている。
しかしながら、これに限られず、枠体40aは、枠体40aの上面全域を塞ぐ天板を備えていてもかまわない。また、枠体40aは、周囲に壁を備えた形状であればその形は制限されず用途に応じて変更可能である。
なお、前述のとおり、部分体M3aについての説明は、部分体M3bにも当てはまる。図8において、部分体M3aにおける、枠体40a、電子回路配線板31a、接地パターン32a、領域33a、33c、隣接側壁44a、非隣接側壁43a、開口部42a、部分側壁41a、天板45aは、それぞれ、部分体M3bにおける、枠体40b、電子回路配線板31b、接地パターン32b、領域33b、33d、隣接側壁44(隣接部)b、非隣接側壁43b、開口部42b、部分側壁41(取付部)b、天板45bと対応する。
(構造体について)
続いて、部分体M3aと、部分体M3bとを重ね合わされた構造を有する構造体M3について説明する。
図9、10等に示すとおり、構造体M3は、部分体M3aの枠体40aと、部分体M3bの領域33dとが対向し、かつ部分体M3bの枠体40bと、部分体M3aの領域33cとが対向するように重ね合わせられた構造である。また、これにより、構造体M3において、部分体M3aの枠体40aと、部分体M3bの枠体40bとは領域D1、D2において隣接する配置となっている。
すなわち、構造体M3は、部分体M3aの電子回路配線板31aと部分体M3bの電子回路配線板31bとが対向し、部分体M3aの枠体40aと部分体M3bの枠体40bとが隣接した構造である。
これにより、枠体40aおよび枠体40bの隣接部分では、枠体40aの部分側壁41aおよび枠体40bの部分側壁41bが、交互に、領域D1、D2において略一直線上に一列に並ぶように配置される。
このように、構造体M3は、電子回路配線板31aおよび電子回路配線板31bの間に、枠体40aおよび枠体40bを備える構成であるので、電子回路配線板31aおよび電子回路配線板31bの間隔を一定に保つことができる。すなわち、枠体40aおよび枠体40bは、電子回路配線板31a、31b間の間隔を一定に保つスペーサとして機能する。
なお、本実施形態では、電子回路配線板31aおよび電子回路配線板31bを、別々の基板として構成したが、これに限られない。例えば、電子回路配線板31aおよび電子回路配線板31bを、1枚の折り曲げ可能なフレキシブル基板に変更可能である。この場合、フレキシブル基板上に、枠体40a、40b、接地パターン32a、32bを設けて、フレキシブル基板を折り曲げることにより、枠体40aと、40bとを対向させて隣接配置させた構造を有する構造体を得ることができる。
また、本実施形態では、電子回路配線板31a、31bの片面のみに、枠体40a、40b、接地パターン32a、32bを設ける構成としたが、これに限られず、両面に上記のような枠体および接地パターンを設けてもよい。枠体および接地パターンが両面に設けられた電子回路配線板は、複数積み重ねることができ、これにより、電子回路配線板と、枠体とが交互に配置される積層構造を有する構造体を得ることができる。また、このとき、電子回路配線板に搭載する電子部品については、電子回路配線板の両面に搭載してもよいし、片面のみに搭載してもよく、任意に設計変更が可能である。
(作用・効果)
本実施形態に係る構造体M3は、枠体40aが設けられた電子回路配線板31aと、枠体40bが設けられた電子回路配線板31bとが対向し、枠体40aと枠体40bとが隣接するように配置されることにより、電子回路配線板31a、31bに設けられた各枠体が互いに隣接する隣接側壁44a、44bを備え、隣接側壁44a、44bは、電子回路配線板31a、31b上の接地パターンに取り付けられる部分側壁41a、41bを備えており、かつ、一方の電子回路配線板に設けられた枠体における隣り合う部分側壁が、当該一方の電子回路配線板にそれぞれ取り付けられる取付位置どうしを結ぶ線が対向する、他方の基体における線上に、他方の電子回路配線板に設けられた枠体における部分側壁が取り付けられるような形状である。
従来、一方の隣接部の取付領域と他方の隣接部の取付領域とは、別々の線上に並んでおり、2つの線の間隙が存在していた。これに対し、本発明では、2つの電子回路配線板上の取付位置が、それぞれ互いに対向している線上に並ぶことになるので、上記間隙が無くなり、その結果、枠体どうしが隣接する部分での省スペース化を図ることができるという効果を奏する。
また、本実施形態の構成によれば、部分側壁41a、41bが対向する線上で交互に並べられている配置であるので、枠体40a、40bの隣接する箇所の占有容積が隣接壁一枚分で済む。
より具体的には、各枠体が隣接する部分において、従来、各枠体の隣接側壁2枚分の厚みと、枠体どうしのクリアランス(特に枠体40a、40bがそれぞれ電子回路配線板31a、31bにはんだなどで導電接続される際に電子回路配線板との接続強度を上げるために形成されるフィレットとのクリアランス)とを合わせた領域を必要としたのに対して、本実施形態の構成によれば、枠体の隣接側壁1枚分の厚みの領域だけを準備するだけで済む。これにより、占有面積を低減することができる。
(変形例)
上記構造体M3において、接地パターン32aは、領域33a、33cの周囲を取り囲むように連続的に設けてもよいし、領域33a、33cの周囲を取り囲むように断続的に設けてもよい。同様に、上記構造体M3において、接地パターン32bは、領域33b、33dの周囲を取り囲むように連続的に設けてもよいし、領域33b、33dの周囲を取り囲むように断続的に設けてもよい。
上記構造体M3において、枠体の隣接部において、部分側壁41aおよび部分側壁41bの間に、クリアランスを設けず、隙間無く部分側壁41aおよび部分側壁41bを並べる構成としてもよい。
この場合、枠体40a、40bは、隣接部分において、互いに嵌合されて機構的に固定される。
より具体的には、隣り合う隣接側壁41a、41bが接していることにより、隣接側壁41a、41bが並ぶ方向への移動が抑制される。
また、枠体40aの隣接側壁41aは、接地パターン32aに取り付けられた部分において、枠体40bの開口部42bの上面に設けられている天板45bと接しているため、枠体40a、40bどうしが近づく方向の移動が抑制される。また、枠体40bの隣接側壁41bについても、これと同様である。
これにより、特定方向への力が加わっても電子回路配線板40aと40bとの間の相対位置関係を保持することができる。
〔実施形態5〕
本発明のさらなる実施形態について、図8〜図10を用いて、説明すると以下のとおりである。本実施形態では、上記実施形態にて示した構造体M3において、各部分構造が備える枠体を、導電性材料等により構成した構造体M3´について説明する。
以下、その構成の詳細について説明する。
本実施形態に係る構造体M3´では、図8〜図10において示す枠体40a、40bを、電磁波の遮断が可能な、例えばSUS等の導電性材料により構成する。このため、枠体40a、40bは、シールド効果を有する電磁波遮蔽部品として機能する。つまり、枠体40aの隣接側壁44a、非隣接側壁43aおよび天板45aと、枠体40bの隣接側壁44b、非隣接側壁43bおよび天板45bとは、シールド効果を有する。
また、電子回路配線板31a、31bの表層または内層には、電子回路配線板31a、31bがシールド効果を得るためGND層を設けている。
そして、枠体40a、40bは、それぞれ領域33a、33bを囲むようにして接地パターン32a、32bに取り付けられる。枠体40a、40bの取り付けは、前述したとおり、溶融導電金属、例えば、はんだペーストなどを用いて行うことができる。これにより、枠体40a、40bは、電子回路配線板31a、31b上に設けられた接地パターン32a、32bと接合される。これにより、枠体40a、40bは電子回路配線板1に設けられた接地パターン32a、32bと導電接続される。
なお、枠体40aが囲む領域33aおよび領域33dには、互いに電磁波を遮蔽する必要が無い電子部品等が搭載される。ここで、領域33aおよび領域33dのいずれか一方にのみ電子部品等を搭載してもよい。同様に、枠体40bが囲む領域33bおよび領域33cについても、領域33bおよび領域33cそれぞれに、互いに電磁波を遮蔽する必要が無い電子部品等が搭載されてもよいし、領域33bおよび領域33cのいずれか一方にのみ電子部品等が搭載されてもよい。
このとき枠体40a、40bは、各々領域33d、33cに搭載された電磁波遮蔽部品と電子回路配線板間を導電接続する目的の電子部品と接触させてもよい。
導電接続する目的の電子部品とは、例えば、一般的に”接点バネ”と称される板バネ状の導電性のコネクタ部品等であって、枠体40a、40bと、電子回路配線板1とを接触させるような構成をとる部品のことを指す。
このように、はんだによって接地パターン32a、32bに電気的接続する以外に、枠体40a、40bを、導電接続する目的の電子部品に接触させることで、当該電子部品と、電子回路配線板1との間の接続インピーダンスを下げることができ、枠体40a、40bのグランド特性をより良好に、かつより安定したものにすることができる。
なお、枠体40a、40bのそれぞれは、領域33d、33cに搭載される電子部品であって導電接続する目的以外の電子部品とは、接触しないように構成する。
図8〜図10において、その他の構造的特徴は、前述した構造体M3と同様であるので、その説明を省略する。
このようにして構成した構造体M3´において、電子回路配線板31a、31bおよび枠体40aと、電子回路配線板31a、31bおよび枠体40bとは、それぞれ、外部からの電磁波が遮断された空間を形成する。
この構造体M3´の構造により、領域33aおよび33dに搭載された電子部品と、領域33bおよび33cに搭載された電子部品との間における電磁波の遮蔽を実現することができる。
また、枠体40aの部分側壁41aと、枠体40bの部分側壁41bとの間には、部品の寸法公差などが原因で隙間が発生することがある。
すなわち、枠体40aの部分側壁41aと、枠体40bの部分側壁41bと、電子回路配線板31a、31bにより開口部が形成される。
この開口部の対角線の長さが、実施形態2と同様、領域33a、33b、33c、33dに搭載された電子部品の互いに遮蔽したい電磁波の波長に対して十分小さければ、所望のシールド効果を維持することができる。
(作用・効果)
以上のように、本実施形態に係る構造体M3´は、構造体M3において、電子回路配線板31a、31bの表層または内層に、電磁波を遮蔽する電磁波遮蔽層を設けて、枠体40a、40bを、導電性材料または電磁波の遮断することが可能なように表面加工された材料により構成したものである。
本実施形態に係る構造体M3´によれば、構造体M3が奏する作用・効果に加えて、次の作用・効果を奏する。
また、本実施形態では、図8に示すように、枠体40a、40bの上面に、側壁との接続部分周辺の縁部分を除く中央部分が開口された天板45a、45bを設ける構成としている。ここで、構造体M3´は、枠体40a、40bが対向して、重ね合わされる構造となっており、一方の電子回路配線板が、他方の電子回路配線板に設けられた枠体の上面を被覆し、かつ電磁波を遮蔽する電磁波遮断カバーとして機能する。
このため、図6を用いて示したような電磁波遮蔽カバー15のような、各枠体を被覆するための部材を別途用意する必要がない。
この構造体M3´の構造により、電磁波遮蔽カバーを別途用意する必要なく、このため部品点数の増加を抑えることが可能であり、これに伴い製造コストを抑えることができる。
また、領域33cや33dに部品実装を行うことで領域33aや33bの電子部品実装箇所の上面に存在する空間を有効に利用し部品配置を行うことができる。このため、電子回路配線板上の領域を部品搭載のために効率的に利用することができる。
なお、本実施形態では、枠体40a、40bが備える天板45a、45bには開口部が設けられているが、領域33c、33dには電子部品を搭載しないのであれば、天板45a、45bに開口部を設けず、天板45a、45bにより、領域33a、33bの上部が被覆されるような構成としてもよい。
〔実施形態6〕
本発明の別の実施形態について、図11〜図13を用いて、説明すると以下のとおりである。本実施形態では、上記各実施形態において示したような枠体を有する構造体において、枠体が個別に移動しないように、枠体が隣接する部分に、移動を制限する機構を設けた構造体M4について例示する。以下では、枠体を有する部分構造体M4bに、移動を制限する機構として、クリップ部材M4aを設けて、構造体M4を構成する例について説明する。
図11は、本実施形態で使用するクリップ部材を3つの方向から示した形状図であり、(a)は、クリップ部材の一の側面を示し、(b)は、クリップ部材を、上面から見たものを示し、(c)は、クリップ部材の他の側面を示す。
図12は、上記各実施形態において示したような構造体に係る枠体の隣接部分を上面から見た拡大図である。
図13は、上記各実施形態において示したような構造体に係る枠体の隣接部分に、図11に示すクリップ部材が取り付けられた状態を、枠体の隣接部分の上面から見た拡大図である。
(クリップ部材の構成)
まず、図11を用いて、クリップ部材M4aの構成について、説明する。
図11に示すように、クリップ部材M4aは、枠体50a、50bの隣接部分に、組み込まれることにより、枠体50a、50bを挟持し、これにより枠体50a、50bどうしを固定するための部材である。
クリップ部材M4aは、細長い平板を、その中央付近でU字型に折り曲げたような形状をしており、その間に、枠体50a、50bの部分側壁(取付部)52a、52b1枚分の厚みを挟み込めるようになっている。
本実施形態では、クリップ部材M4aは、例示的に、SUSなどの導電性材料で形成されている。
また、クリップ部材M4aを構成する平板上には、複数の板ばね部56、57が形成されている。このため、クリップ部材M4aは、枠体50a、50bの隣接部分に組み込まれたとき、板ばね部56、57の弾性により、枠体50a、50bを相互に固定することができる。また、板ばね部56、57は導電性材料で形成されているので、枠体50a、50bの隣接部分に組み込まれたとき、枠体50a、50bと導電接続するための接続部を兼ねる。
なお、クリップ部材M4aは、応力が加わっても容易に変形を起こさないように、枠体50a、50bと同等かそれ以上の剛性を持つことが望ましい。
(構造体の構成)
続いて、図12を用いて、クリップ部材M4aを、部分構造体M4bが備える枠体50a、50bの隣接部分に組み込み構造体M4を構成する手法について説明する。
図12に示すように、部分構造体M4bは、電子回路配線板1、接地パターン2、枠体50a、50bを備える。
枠体50a、50bは、電子回路配線板1上に設けられた接地パターン2に実装されている。なお、枠体50a、50bは、例示的に、上記実施形態にて説明したような、シールド効果を有する材料により構成される。
ここで、枠体50a、50bは、それぞれ、隣接側壁51a、51bを備える。隣接側壁51a、51bは、部分側壁52a、52bおよび開口部53a、53bを備える。
これら、隣接側壁51a、51b、部分側壁52a、52b、開口部53a、53bの特徴点については、それぞれ、図1を用いて示した隣接側壁14a、14b、部分側壁11a、開口部12aと同様であり、また、部分構造体M4bの天板(不図示)、非隣接側壁(不図示)の特徴・機能は、上記各実施形態におけるものと同様であるので、その説明を省略する。
ここで、図2を用いて示した構造体M1と、部分構造体M4bとの相違点について説明すると次のとおりである。構造体M1とは異なり、図12に示すように、部分構造体M4bでは、枠体50a、50bの隣接部分の側面に、クリップ部材M4aを組み込むための嵌挿開口部55が設けられている。
(クリップ部材の組み込み)
クリップ部材M4aは、枠体50a、50bの隣接部分の一側面から、嵌挿開口部55に嵌挿されることで枠体50a、50bの隣接部分に組み込まれる。このように、構造体M4は、電子回路配線板1上に設けられた接地パターン2に実装されている枠体50a、50bを備える部分構造体M4bにクリップ部材M4aが組み込まれることにより構成される。
図13に示すように、クリップ部材M4aが、枠体50a、50bの隣接部分に組み込まれると、板ばね部56は、ばねの弾性により、部分側壁52bに含まれるの3つの側壁を領域3bの側から領域3aの側へ付勢することになる。また、同様に、板ばね部57は、ばねの弾性により、部分側壁52aに含まれる2つの側壁を領域3aの側から領域3bの側へ付勢することになる。また、これにより、クリップ部材M4aは、枠体50a、50bと導電接続されるとともに、枠体50a、50bを介して、接地パターン2と接続される。
(作用・効果)
以上のように、本実施形態に係る構造体M4は、部分構造体M4aにおいて、隣接部分の部分側壁52a、52bを、クリップ部材M4aにより挟持したものである。
上記構成により、枠体50a、50bが、クリップ部材M4aに挟み込まれて固定されている状態であるので、電子回路配線板1、枠体50a、50b等に応力が加わっても、枠体50a、50bの隣接部分に設けられている部分側壁52a、52bが個別に移動し、例えば、離間してしまうようなことを抑制することができる。
また、クリップ部材M4aは、枠体50a、50bの隣接部分に組み込まれたとき、開口部53a、53bを塞ぐ形となるので、より良好な電磁遮蔽特性を得ることができる。
(変形例)
なお、本実施形態では、クリップ部材M4aは、枠体50a、50bの側面方向片側から、嵌挿開口部55に嵌挿されることとしたが、これに限られない。枠体50a、50bの側面方向両側から、クリップ部材M4aを組み込めるように、クリップ部材M4aを構成してもよいし、枠体50a、50bの形状によっては、クリップ部材を途中から組み込むことも可能である。
また、本実施形態では、クリップ部材M4aは、枠体50a、50bを介して、接地パターン2と接続されることとしていた。しかしながら、クリップ部材M4aと、接地パターン2との接続は、電子回路配線板1のGNDと同電位の接続ができれば上記の例に限られない。
また、上記構成において、クリップ部材M4aは、枠体50a、50bと、領域3a、3bに搭載される電子部品とのクリアランスの領域に収まるサイズであることが望ましい。これにより、クリップ部材M4aを組み込むためのスペースを別途用意することなく、枠体50a、50bと、領域3a、3bに搭載される電子部品とのクリアランスの領域を有効活用でき、デッドスペースも広がらない。
また、本実施形態では、クリップ部材M4aを導電性材料により構成したが、これに限られず、電磁波を遮蔽する必要が無い場合などには、非導電性材料により構成してもよい。枠体50a、50bその他各部材についても同様である。
また、本実施形態では、電子回路配線板1上に隣接して搭載された枠体50a、50bをクリップ部材M4aにより挟み込むことにより、枠体50a、50bが電子回路配線板1上で個別に移動しないように機構的に制限を設けた構造を説明したが、その方式は上記の内容に制限されるものではない。例えば、別途、キャビネット、筐体、その他の外装が存在する場合、外装等で電子回路配線板および電磁波遮蔽部品を強く挟み込み、ひとつの剛体とすることで上記と同様な作用を得ることができる。
なお、本実施形態に係るクリップ部材M4aは、上記各実施形態にて開示した構造体において、嵌挿開口部55を設けることで適用可能である。
〔実施形態7〕
本発明のさらに別の実施形態について、図14を用いて、説明すると以下のとおりである。本実施形態では、電子回路配線板上に設けられた接地パターンに2つ枠体が隣接する部分において、隣接側壁を一直線上に配置しない構造について説明する。そして、この構造により、隣接側壁を一直線上に配置する構造よりも、電子回路配線板において、変形に対する剛性等の作用効果を得ることができることについて説明する。
図14は、本実施形態に係る構造体が備える枠体の隣接部分を詳細に示した上面図である。同図に示すように、構造体M6は、電子回路配線板1、接地パターン2、枠体60a、60bを備える。構造体M6において、枠体60a、60bは、電子回路配線板1上に設けられた接地パターン2に実装されている。なお、枠体60a、60bは、例示的に、図6を用いて示した枠体10a、10bのように、シールド効果を有する材料により構成される。
また、構造体M6には、開口部66が設けられている。開口部66は、形状的には、構造体M5が有する嵌挿開口部55と同様のものである。
構造体M6は、接地パターン2が設けられた電子回路配線板1を備える。接地パターンには、2つの枠体60a、60bが搭載されている。枠体60a、60bは、一部分において隣接しており、隣接する部分において、それぞれ、隣接側壁(隣接部)61a、61bを備える。
また、隣接側壁61aは、部分側壁(取付部)62a〜62eと、開口部63a〜63eとを備える。隣接側壁61bは、部分側壁(取付部)64a〜64eと、開口部65a〜65eとを備える。
隣接側壁61a、61b、部分側壁62a〜62e、64a〜64e、開口部63a〜63e、65a〜65eの特徴点については、図12を用いて示した部分側壁52a、52b、開口部53a、53bの数が異なることを除き、部分側壁52a、52b、開口部53a、53bそれぞれと同様である。なお、構造体M6の天板(不図示)、非隣接側壁(不図示)の特徴・機能は、上記各実施形態におけるものと同様であるので、その説明を省略する。
(隣接部分の形状)
図14に示すように、隣接側壁61aの部分側壁62a、62bは、隣接側壁61bの開口部65a、65bに挿入される形で、1本の直線G1−G1上に並んで配置されている。一方、同図において、隣接側壁61bの部分側壁64a、64bは、隣接側壁61aの開口部63a、63bに挿入される形で、1本の直線G1−G1上に並んで配置されている。これにより、隣接側壁61aおよび61bの部分側壁62a、62bおよび部分側壁64a、64bは、それぞれ、直線G1−G1において、部分側壁62a、部分側壁64a、部分側壁62b、部分側壁64bの順番で、一列に配置される。
また、図14に示すように、隣接側壁61aの部分側壁62d、62eは、隣接側壁61bの開口部65d、65eに挿入される形で、1本の直線G3−G3上に並んで配置されている。一方、同図において、隣接側壁61bの部分側壁64d、64eは、隣接側壁61aの開口部63d、63eに挿入される形で、1本の直線G3−G3上に並んで配置されている。これにより、隣接側壁61aおよび61bの部分側壁62d、62eおよび部分側壁64d、64eは、それぞれ、直線G3−G3において、部分側壁62d、部分側壁64d、部分側壁62e、部分側壁64eの順番で、一列に配置される。
図14に示すように、隣接側壁61aの部分側壁62cと、隣接側壁61bの部分側壁64cとは、互いに他の開口部に挿入される形となっており、これにより、隣接側壁61aの部分側壁62cと、隣接側壁61bの部分側壁64cとが、1本の直線G2−G2上に並んで配置されている。
また、隣接側壁61aの部分側壁62cと、隣接側壁61bの部分側壁64cとがなす直線G2−G2は、部分側壁62a、64a、62bおよび64bがなす直線G1−G1に対して、領域3a側に屈曲している。
また、その一方で、直線G2−G2は、部分側壁64e、62e、64d、および62dがなす直線G3−G3に対して、領域3b側に屈曲している。
このように、部分側壁62a〜62e、64a〜64eは、一直線上には、配置されておらず、部分側壁64bおよび部分側壁62cの間と、部分側壁64cおよび部分側壁62dの間とにおいて屈曲して配置されている。
(作用・効果)
本実施形態において示した構造体M6は、2つの枠体の隣接部分において、それぞれの部分側壁が交互に配置されるものの、一直線上には配置されない。
2つの枠体の隣接部分において、それぞれの部分側壁が一直線上には配置されないことによる効果について説明する前に、基体上に補強板を設けた場合における、基体の補強効果について説明する。
[補強効果について]
図15を用いて、基体上に設けられた補強板と、補強効果との関係について説明する。図15は、基体上に補強板を設けた場合の補強効果について説明した模式図である。図15の(a)は、補強板を設けた基体の一側面を示す正面図であり、(b)は、補強板を設けた基体を上方から示した上面図である。
なお、(a)は、基体81を、(b)における矢印K2の向きに見た正面図であり、(b)は、基体81の上面図である。
ここで、まず、基体81に、図15に示すような補強板80が設けられていなかった場合について説明すると、この場合、基体81の(a)に示す矢印K3の方向への変形に対する剛性は、(b)に示す矢印K1の方向および矢印K2方向への変形に対する剛性に比べて弱い状態となる。
そこで、図15の(a)、(b)に示すように、基体81において、板状の補強板80を、基体81に対して垂直方向に延びるように設けた場合には、一般的に、次のような補強効果が得られる。なお、補強板80の剛性は、基体81の剛性よりも強いものとする。
まず、補強板80を設けることにより、補強板80の一方の側面R1および他方の側面R2と交差する直線を軸として屈曲するような力が加わることにより生じる変形に対しての補強効果が得られる。
特に、補強板80の剛性は、基体81の剛性よりも強いので、矢印K1方向への変形に比べて、矢印K3方向への変形に対する剛性が強化される。
例えば、図15の(b)に示す直線L1〜L3は、補強板80の側面R1、R2と交差するので、補強板80を設けることにより直線L1〜L3をそれぞれ軸とする屈曲に対しての剛性が向上する。
これに対して、図15の(b)に示す直線L4〜L6は、補強板80の側面R1、R2と交差していないため、直線L4〜L6を軸とする屈曲についてはさほど補強効果が得られない。
特に直線L4を軸とする屈曲については、補強板80が、板状であり、矢印K1方向の厚みをあまり持たないので、補強板80の側面R1および側面R2付近に屈曲による変形力が分散する。その結果として、補強板80と、基体81との接続部分において、基体81の変形が起こりやすくなってしまう。
以下、このように、補強板80自体と交差しない直線、および補強板80と交差するが、補強板80の側面R1および側面R2と交差しない直線の両方をまとめて、単に補強板80と交差しない直線と称する。
また、一般的に、補強板による補強は、補強板からの距離が遠くなればなるほど、補強効果が弱まるため、1枚の補強板によるものだけではなく、複数の補強板を設けて補強することが望ましい。
具体的には、補強すべき領域の両側を挟み込むようにして、補強板を設けることが好ましい。さらには、補強板は、補強すべき領域の四方を、囲い込む枠体であることがより好ましい。これにより、枠体の補強板によって囲い込まれた領域内において、補強板からの距離をより均一化でき、補強が弱い箇所を減らすことができる。
[枠体による補強効果について]
続いて、再び図2、図4および図12を参照して、枠体による補強効果について検討する。
図2によれば、補強板としての枠体10a、10bにより、補強したい領域3a、3bが、その四方を囲まれており、好ましい補強効果が得られるといえる。
ここで、補強効果に寄与するのは、枠体10a、10bの非隣接側壁13a、13bおよび部分側壁11aおよび11bである。つまり、例えば、図4では、クリアランス18の部分には、部分側壁11a、11bが配置されないため、クリアランス18の部分は、クリアランス18を通るような直線を軸とする屈曲に対しては、補強効果に寄与しない。
しかし、図2を参照すれば、クリアランス18を通るような直線であっても、当該直線の延長線上では、非隣接側壁13a、13bと交差することになる。このため、実質的には、当該直線を軸とする屈曲に対しても、非隣接側壁13a、13bの存在により補強効果を得ることができる。
一方、図12に示した部分構造体M4bでは、嵌挿開口部55を設けているので、クリップ部材M4aが嵌挿される箇所付近で、補強効果が弱い箇所が存在する。具体的には、クリップ部材M4aが嵌挿される方向である直線E−E方向は、補強板としての部分側壁52a、52bと交差しない方向となる。このため、直線E−E方向については、補強効果が弱くなる。
このため、直線E−E方向は、部分側壁52a、52bと交差する方向よりも補強効果が比較的弱い箇所にあたる。つまり、図12における直線E−E方向は、図15でいえば、直線L4方向に相当する。
なお、補強板としての部分側壁52a、52bと交差しない方向についても、枠体50a、50bの存在により、ある程度の補強効果が見込める。このような方向の強度については、枠体50a、50bの天板のL字型形状の形状を維持する力、枠体50a、50bの曲げに対する強さ、および枠体50a、50bと、電子回路配線板1との接続強度に依存する。
図12に示す直線E−E方向を軸に屈曲するような力が加わると、部分側壁51aは、領域3aの方向に、枠体50aとともに引っ張られる状態となり、部分側壁51bは、領域3bの方向に、枠体50bとともに引っ張られる状態となる。
これにより、枠体50a、50bが、接地パターン2の取り付け部分から剥離してしまったり、枠体50a、50bが変形してしまったりする。あるいは、直線E−Eを中心として、電子回路配線板1が破断するおそれもある。
枠体50a、50bの剥離について、より具体的に説明すると次のとおりである。上記のとおり、接地パターン2上で、クリアランス部18の両側では、部分側壁51aおよび部分側壁51bが、それぞれ逆方向に引っ張られる状態となる。このため、部分側壁51aおよび部分側壁51bの間の距離が短いほど、より枠体50a、50bが、接地パターン2の取り付け部分から剥離してしまいやすくなる。
また、枠体50a、50bの変形について、具体例を示すと、天板のL字型部分が、変形して伸びてしまったり、部分側壁51a、51bが曲がったりしてしまうことが挙げられる。
[部分側壁が一直線上には配置されないことによる効果]
次に、2つの枠体の隣接部分において、それぞれの部分側壁が一直線上には配置されないことによる効果について説明する。
まず、上述のとおり、2つの枠体の隣接部分において、それぞれの部分側壁が一直線上に配置されている場合には、当該直線を軸とする屈曲に対しては、補強効果が得られていなかったが、枠体によって囲い込まれた領域内において、2つの枠体の隣接部分において、それぞれの直線を軸とする屈曲に対しての剛性を得られるような補強効果が得られる。
例えば、部分側壁64bおよび部分側壁62cの間で、隣接部分が屈曲しているため、直線G1−G1は、符号Hが指す箇所において補強板としての非隣接側壁と交差することになる。このため、直線G1−G1を軸に屈曲するような力が加わった場合でも、補強効果を得ることができる。直線G3−G3についても、直線G1−G1と対称であるので、同様の補強効果を得ることができる。
また、直線G2−G2についても、図14では、略記しているが、その直線上で、補強板としての非隣接側壁と交差することになるため、直線G2−G2を軸に屈曲するような力が加わった場合でも、同様に、補強効果を得ることができる。
なお、このように、構造体M6は、開口部66が設けられていても、構造体M5の場合とは異なり、開口部の開口方向に延びる直線が、補強板としての非隣接側壁と交差することになるので補強効果を得ることができる。
しかしながら、これに限られず、構造体M6において、開口部66を設けない構成としてもよい。この場合、枠体60a、60bの一部が、開口部の開口方向に延びる直線と交差することになるので、枠体60a、60bの一部が存在することによる補強効果を、ある程度得ることができる。
そして、ここで、電子回路配線板1と、枠体60a、60bとの接続の強度が、枠体60a、60bの曲げに対する剛性よりも大きい場合は、さらに次の効果が得られる。
まず、枠体60bについていえば、電子回路配線板1に、直線G1−G1を軸に屈曲するような力が加わった場合、直線G1−G1上に並ぶ部分側壁64bは、矢印J1の向きに引っ張られる状態となる。これに対して、直線G2−G2上に並ぶ部分側壁64cは、矢印J2の向きに引っ張られる状態となる。ここで、部分側壁64bを、矢印J1の向きに引っ張る力をf1とし、直線G2−G2と、直線G1−G1とがなす角を角度θとすると、部分側壁64cを引っ張る力f2は、f1のcosθ倍となり、f1よりも小さくなる。
つまり、2つの枠体の隣接部分において、それぞれの部分側壁が一直線上には配置されないことにより、電子回路配線板1を屈曲するような力が加わったときにおいて屈曲部に加わる力を軽減することができる。
この結果として、屈曲するような力に対する剛性を向上させることができる。
また、一直線上に配置される場合よりも、隣接部分の長さを長くすることができる。この隣接部分の長さの分だけ、電子回路配線板1を反り返らせるような応力に対する剛性を得ることができる。
このため、2つの枠体の隣接部分において、電子回路配線板1を反り返らせるような応力が加えられても、その応力を隣接部分において分散させることができる。
また、各部分側壁の特定の箇所に、応力が集中的に加わることを防ぐことができ、この結果、電子回路配線板1および電子回路配線板1に搭載された電子部品などが破損することを低減することができる。
このように、部分側壁の配置は、屈曲した線上における配置であってもよい。部分側壁の配置は、例えば、領域3a、3bの形状に合わせて適宜変更することができる。このため、構造体M6は、2つの枠体の隣接部分における、部分側壁の配置の設計に係る自由度を上げることができるという効果を奏する。
さらには、部分側壁の配置は、このように屈曲していてもよいので、枠体60a、60bに囲まれる領域3a、3bの設計の自由度が向上する。
〔実施形態8〕
本発明のさらに別の実施形態について、図16および図17を用いて、説明すると以下のとおりである。本実施形態では、電子回路配線板上に設けられた接地パターンに搭載された、互いに隣接する2つの枠体上に、板状の導電接続端子を設けた構造を有する構造体M7について説明する。
図16は、本実施形態に係る構造体が備える2つの枠体の隣接部分の全体を抽出した上面図である。また、図17は、図16に示したF−F線における矢視断面図である。
構造体M7は、接地パターン2が設けられた電子回路配線板1を備える。接地パターンには、2つの枠体70a、70bが搭載されている。枠体70a、70bは、一部分において隣接しており、隣接する部分において、それぞれ、隣接側壁(隣接部)71a、71bを備える。なお、本実施形態では、枠体70a、70bが備える各構成は、導電性材料により構成される。
隣接側壁71a、71bは、部分側壁(取付部)72a、72bと、開口部73a、73bと、導電接続端子(導電接触部)74a、74bとを備える。
隣接側壁71a、71b、部分側壁72a、72b、開口部73a、73bは、上記各実施形態において説明したものと同様のものであるので、その説明を省略する。
導電接続端子74a、74bは、それぞれの隣接側壁71a、71bの間に設けられた、板状の部材であり、図17に示すように、導電接続端子74a、74bは、斜め外側方向に屈曲されている。
また、導電接続端子74a、74bは、導電性材料により構成されているので、枠体70a、70bは、枠体70a、70bの上面に配置される回路等の導電接続部品と、導電接続することができる。
例えば、図6を用いて示した電磁波遮蔽カバー15が、枠体70a、70bの上部に装着される場合には、電磁波遮蔽カバー15と導電接続することができる。
また、例えば、図8等を用いて示した構造体M3においては、重ね合わせられる他方の電子回路配線板の接地パターン32aまたは32bと導電接続することができる。
導電接続端子74a、74bは、前述したような電磁波遮蔽カバー15の装着時または他方の電子回路配線板の重ね合わせ時に、上面から付勢され接続される形となるが、これにより、導電接続端子74a、74bは、板ばねとして機能し、良好な接続を得ることができる。
この結果、本実施形態に係る構造体M7は、より良好な電磁波遮蔽特性を備える。
なお、導電接続端子74a、74bは、次のようにして作成することができる。例えば、隣接側壁71a、71bに、開口部73a、73bを設ける手法としては、1枚の連続する板状の隣接側壁71a、71bに切り込みを設けて、開口することが考えられる。
この手法を用いる場合、開口部を設けるべき部分に当たる壁面を全部取り除くのではなく、導電接続端子74a、74bを作成するのに活用することができる。すなわち、開口部を設けるべき部分に当たる壁面の一部を取り除き、残りを斜め上方向に引き起こすことにより、導電接続端子74a、74bを作成することができる。
〔むすび〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。