JP5153739B2 - 小動物捕獲装置 - Google Patents

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Description

本発明は、猪,鹿等の小動物を捕獲する足括り式の小動物捕獲装置に係る技術分野に属する。
最近、山地の荒廃や気候変動等を原因とした小動物の里地への進出が顕著になっている。このため、里地で耕作されている農作物に小動物による食害等の被害が増大し、農業経済に深刻な影響が出始めている。そこで、里地に進出した小動物を駆除する必要性が生じ、各種提供されている小動物捕獲装置を使用した捕獲駆除事業が実施されている。
小動物捕獲装置としては、小動物の足をワイアで縛る足括り式が広範に使用されている。足括り式の小動物捕獲装置は、小動物が踏板を踏むと踏板の周囲にループ状に広げられていたワイアが絞込まれて小動物の足を縛るように構成されるもので、コイルスプリング等のバネ材の強力な弾圧力でワイアを絞込むことから取扱いに安全性が要求されるものである。
従来、足括り式の小動物捕獲装置としては、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。
特許文献1には、ループ状に広げられて配置されたワイアを絞込んで小動物の足を縛る絞込部材と、絞込部材の絞込み動作を阻止する安全機構とを備え、絞込部材は内部にコイルスプリングが弾圧収容されたケーシングとケーシングの上部に嵌合されコイルスプリングの弾圧でワイアに沿って移動してワイアを絞込む可動部とからなり、安全機構は絞込部材のケーシング,可動体の嵌合部分にそれぞれ穿孔されたネジ孔と両ネジ孔に共通してネジ込まれる安全ピンとからなる小動物捕獲装置が記載されている。
特許文献1に係る小動物捕獲装置は、絞込部材の嵌合状態のケーシング,可動部を共通にネジ込まれた安全機構の安全ピンで固定し、絞込部材のコイルスプリングの弾圧に抗して嵌合状態のケーシング,可動部の不測の離脱を防止することで、取扱いの安全性を確保するものである。
特開平2007−37423号公報
特許文献1に係る小動物捕獲装置では、安全機構の安全ピンが絞込部材のケーシング,可動部の嵌合部分にネジ込まれるため、土中に埋設されてしまう絞込部材の側部に設けられ絞込部材の側部に直交する方向から操作せざるを得ないことから、安全機構の操作が面倒であるという問題点がある。また、土中に埋設されてしまう絞込部材のケーシング,可動部の嵌合部分に安全機構の安全ピンがネジ込まれるネジ孔を穿孔しなければならないため、絞込部材のケーシング,可動部の嵌合部分に土砂が侵入して絞込部材のワイアの絞込み動作が確実になされなくなることがあるという問題点がある。
本発明は、このような問題点を考慮してなされたもので、容易な操作で安全性を確保することができ、ワイアの絞込み動作に確実性が保障される小動物捕獲装置を提供することを課題とする。
前述の課題を解決するため、本発明に係る小動物捕獲装置は、特許請求の範囲の各請求項に記載の手段を採用する。
即ち、請求項1では、ループ状に広げられて配置されたワイアを絞込んで小動物の足を縛る絞込部材と、絞込部材の絞込み動作を阻止する安全機構とを備え、絞込部材は内部にコイルスプリングが弾圧収容されたケーシングとケーシングの上部に嵌合されコイルスプリングの弾圧でワイアに沿って移動してワイアを絞込む可動部とからなり、安全機構は絞込部材のケーシングに突出して取付けられたネジ孔付きのフランジに安全ピンがネジ込まれて絞込部材の可動部に突出して取付けられたフランジを押圧するものであることを特徴とする。
この手段では、土中に埋設されてしまうものの絞込部材のケーシングに突出して設けられたネジ孔付きのフランジに安全ピンがネジ込まれて絞込部材の可動部に突出して取付けられたフランジを押圧することで、絞込部材の絞込み動作を阻止する安全機構を絞込部材に沿った方向から操作することができる。また、安全機構の安全ピンがネジ込まれるネジ孔が絞込部材から突出されたフランジに設けられることで、絞込部材のケーシング,可動部の嵌合部分への土砂の侵入が避けられる。
また、請求項2では、請求項1の小動物捕獲装置において、安全機構の安全ピンはフランジのネジ孔に螺合されて絞込部材の可動部よりもかなり長く突出する長さを有していることを特徴とする。
この手段では、安全機構の安全ピンがかなりの長さを有していることで、絞込部材が埋設された土中から突出させて操作することができるようになる。
また、請求項3では、請求項2の小動物捕獲装置において、安全機構の安全ピンは下端部にネジ孔に螺合されるネジ部が刻設され上端部に手を掛けることのできる摘部が設けられていることを特徴とする。
この手段では、下端部にネジ部が刻設され上端部に摘部が設けられた長軸の安全ピン構造とされることで、ネジ込み箇所から離れた位置からの操作が可能になる。
また、請求項4では、請求項1〜3のいずれかの小動物捕獲装置において、安全機構の絞込部材のケーシングに取付けられたフランジは絞込部材の可動部に取付けられたフランジの側面に対面する回止部が設けられていることを特徴とする
この手段では、安全機構の回止部によって絞込部材のケーシング,可動部の相対的回動が阻止される。
本発明に係る小動物捕獲装置は、土中に埋設されてしまうものの絞込部材のケーシングに突出して設けられたネジ孔付きのフランジに安全ピンがネジ込まれて絞込部材の可動部に突出して取付けられたフランジを押圧することで、絞込部材の絞込み動作を阻止する安全機構を絞込部材に沿った方向から操作することができるため、容易な操作で安全性を確保することができる効果がある。また、安全機構の安全ピンがネジ込まれるネジ孔が絞込部材から突出されたフランジに設けられることで、絞込部材のケーシング,可動部の嵌合部分への土砂の侵入が避けられるため、ワイアの絞込み動作に確実性が保障される効果がある。
さらに、請求項2として、安全機構の安全ピンがかなりの長さを有していることで、絞込部材が埋設された土中から突出させて操作することができるようになるため、より容易な操作で安全性を確保することができる効果がある。
さらに、請求項3として、下端部にネジ部が刻設され上端部に摘部が設けられた長軸の安全ピン構造とされることで、ネジ込み箇所から離れた位置からの操作が可能になるため、絞込部材が埋設された土中から突出させて確実に操作することができる効果がある。
さらに、請求項4として、安全機構の回止部によって絞込部材のケーシング,可動部の相対的回動が阻止されるため、絞込部材と連係する部材の動作の正確性を確保することができる効果がある。
本発明に係る小動物捕獲装置を実施するための形態の設置作業状態の縦断面図である。 図1の要部の斜視図である。 図1の反対側の縦断面図である。 図1の平面図である。 図1の要部の斜視図である。 図1の他の要部の拡大図である。 図6の他動作図である。 図1の設置完了状態における捕獲動作を示す図である。 図8の要部の拡大断面図である。 図9の分解図である。 図8の要部拡大図である。 図8に続く動作を示す図である。
以下、本発明に係る小動物捕獲装置を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
この形態は、図1〜図3に示すように、踏板1,ワイア2,絞込部材3,応動部材4,安全機構5,踏抜穴用筒6,第1の挿通孔7,第2の挿通孔8,ピン状物9,棒状物10,ワイア固定部材11で構成されている。
踏板1は、木材,合成樹材等で円板形に形成されたもので、小動物の踏抜きの際の荷重で湾曲,破損が生じない程度の強度,厚さを有している。なお、踏板1の径については、捕獲対象とする小動物の大きさ,習性等に対応して選択される。
ワイア2は、多数本の金属線が撚合わされたもので、先端部に挿通によりループ状に広げることを可能にする小環状のフック部2aが設けられ(図4参照)、フック部2aから少し離れた部分にフック部2aへの通過が不能な大きさ(ループの最小を規制)の絞ストッパ2bが取付けられている。
絞込部材3は、弾圧構造体からなるもので、内部にコイルスプリング3aが弾圧収容された円筒形のケーシング3bの上部にコイルスプリング3aの弾圧でワイア2に沿って移動する円筒形の可動部3cが嵌合されている。コイルスプリング3aは、金属材で形成され中心にワイア2が挿通されるもので、可動部3cを素早くワイア2の絞ストッパ2bにまで到達させてループ状に広げられたワイア2を瞬時に絞込むことのできる強力な弾圧力を有している。ケーシング32は、金属材で形成され下端部でコイルスプリング3aを受けてワイア2が挿通される有底構造とされたもので、下端部にワイア2を固定するための固定用ネジ3dが取付けられ、上端部付近の周面に踏抜穴用筒5に係止される係止用フランジ3eが取付けられている。可動部3cは、金属材で形成され上端部でコイルスプリング3aを受けてワイア2が挿通される有天構造とされたもので、ケーシング3bに嵌合着脱が可能な軸長の短いキャップ形に形成されている。ケーシング3b,可動部3cの内部には、図9,図10に詳細に示されるように、絞込部材3のセットの際にコイルスプリング3aを扱いやすくするとともにケーシング3b,可動部3cの嵌合を案内するケーシング3b,可動部3cを一回り小さくした形状のインナースリーブ3f,3gが挿通されている。
応動部材4は、起伏構造体からなるもので、絞込部材3のケーシング3bに取付けられた支持板4aにアーム4bが起伏(回転)可能に支持され、アーム4bの先端部に受板4cが取付けられ、アーム4bの中途部に絞込部材3の可動部3cに取付けられたロックピン4dに係合するロック溝4eが設けられている。支持板4aは、絞込部材3の係止用フランジ3eとは逆側に絞込部材3のケーシング3bの断面円の接線方向に突出されている。アーム4bは、く字形に形成されて支持板4aに接合され支持板4aの突出端に支軸4fで支持され、絞込部材3のケーシング3bには衝突することなくロック溝4eが設けられたく字形の角部を上方に向けて支持板4aとは逆方向へ延びている。受板4cは、踏板1よりもかなり小さな円板形に形成され、アーム4bの先端部に設けられた軸受4gに回転可能に支持されている。ロックピン4dは、丸棒形に形成されて支持板4a(アーム4b)に対して直交するように絞込部材3の可動部3cから突出されている。ロック溝4eは、図7に詳細に示されるように、ロックピン4dの中心から支軸4fを通る直線Lよりも外側(離脱側)で少しの面で係合される弧面に形成されている。また、ロック溝4eは、図6に詳細に示されるように、ロックピン4dの円弧面よりもわずかに大きな円弧面または楕円弧面に形成されて、安全機構5を掛けた際に図7に示した係合部分がわずかに離間するように設定されている。なお、このロックピン4d,ロック溝4eの構成に対応して、図6に示した状態を許容するため、図7に示した状態の前述の絞込部材3においてケーシング3b,可動部3cの間とインナースリーブ3f,3gの間とにスペースSが形成されるように寸法設定されている(図9参照)。
安全機構5は、図2に詳細に示されるように、螺合構造体からなるもので、絞込部材3のケーシング3bに突出して取付けられたネジ孔5a付きのフランジ5bに絞込部材3の可動部3cに突出して取付けられた挿通孔5c付きのフランジ5dが相対され、挿通孔5cに挿通された安全ピン5eがネジ孔5aにネジ込まれるものとなっている。絞込部材3のケーシング3bに取付けられたフランジ5bは、L字形に屈曲されて絞込部材3の可動部3cに取付けられたフランジ5dの側面に対面されるように可動部3cの方向へ延びた回止部5fが設けられている。安全ピン5eは、金属棒材の下端部にネジ孔5aに螺合されるネジ部5eaが刻設され、上端部に手を掛けることのできる摘部5ebが湾曲加工され、中途部に挿通孔5cよりも径の大きなストッパ部5ecが設けられ、挿通孔5cに挿通されネジ孔5aに螺合された状態で絞込部材3の可動部3cよりもかなり長く上方へ突出する長さを有している。
踏抜穴用筒6は、合成樹脂材で円筒形に形成されてなるもので、踏板1の径とほぼ同一の内径を有し、上端縁から下方に向けて細幅の切欠部6aが設けられ、切欠部6aの下端縁が平坦面の受座6bとされている。切欠部6aは、外部から応動部材4のアーム4bの挿入を可能にする。受座6bは、絞込部材3の係止用フランジ3eが係止される。
第1の挿通孔7は、踏抜穴用筒6に穿孔された孔からなるもので、ピン状物9が挿通される径を有して踏抜穴用筒6の切欠部6aに対面する位置の上端部付近に1個が配置されている。
第2の挿通孔8は、踏抜穴用筒6に穿孔された孔からなるもので、ピン状物9が挿通される径を有して第1の挿通孔7から離れた位置の上端部付近に放射状に6個が配置されている。第2の挿通孔8の穿孔位置については、第1の挿通孔7よりも踏板1の厚さ分高く設定されている。
ピン状物9は、多少の荷重で破断する材質からなるもので、第1の挿通孔7,第2の挿通孔8に挿通されて踏板1の上下面に当接される長さを有している。このピン状物9については、具体的に爪楊枝が好適である。
棒状物10は、荷重に対してある程度の可撓性を有する材質からなるもので、踏抜穴用筒6の周囲のループ状に広げられたワイア2の内側の土に突刺されるものである。この棒状物10については、具体的に竹串が好適である。
ワイア固定部材11は、針金等からなるもので、踏抜穴用筒6の切欠部6a付近の上端部に取付けられワイア2のループ状の部分に絡ませることができる長さを有している。
この形態を設置するには、獣道等に踏抜穴用筒6の全体と絞込部材3等とを収容する踏抜穴Hを掘設する。そして、踏抜穴Hに踏抜穴用筒6を据付けた後、予め組付けておいたワイア2,絞込部材3,応動部材4,安全機構5を踏抜穴用筒6の内部,外部に設置する。
このとき、ワイア2の絞ストッパ2bの位置を調整してワイヤ2の絞込径を調整し、捕獲対象とする小動物よりも小さな動物(例えば、鳥,ウサギ)が足括りされないようにする。そして、ワイア2をループ状に広げてワイア2の絞込部材3への挿通長さを調整して絞込部材3の固定用ネジ3dで固定しておき、絞込部材3を踏抜穴用筒6の切欠部6aに位置させて直立するように土に押込み係止用フランジ3eを踏抜穴用筒6の受座6bに係止させる。即ち、絞込部材3の係止用フランジ3eと踏抜穴用筒6の受座6bとは、絞込部材3,踏抜穴用筒6の間の位置決め構造として機能する。
この結果、絞込部材3に組付けられている応動部材4のアーム4bが踏抜穴用筒6の内部に延びて受板4cが踏抜穴用筒6の内部で水平に支持される。この状態は、応動部材4のロックピン4d,ロック溝4eの係合よりも、安全機構5によって維持されているといえる。即ち、安全機構5の安全ピン5eのネジ部5eaが絞込部材3のケーシング3bに取付けられたフランジ5bのネジ孔5aに螺合されストッパ部5ecが絞込部材3の可動部3cに取付けられたフランジ5dを押圧していることで、絞込部材3のコイルスプリング3aの弾圧に抗してケーシング3b,可動部3cの離脱が阻止されている。
この後、第1の挿通孔7にピン状物9を挿通してから、踏抜穴用筒6の上端口から内部に踏板1を落込む。
この結果、踏板1が応動部材4の受板4cと第1の挿通孔7に挿通されたピン状物9とに当接されて下支えされ踏抜穴用筒6の内部の上端近くに支持される。
この後、第2の挿通孔8にピン状物9を挿通する。
この結果、踏板1が応動部材4の受板4cと第1の挿通孔7に挿通されたピン状物9とで下支えされた箇所以外で上面が第2の挿通孔8に挿通されたピン状物9によって下押しされ、踏板1のグラ付きが防止されて水平の姿勢が安定化される。
この後、ワイア2のループ状の部分を踏抜穴用筒6の内周側にはみださないようにして外周に沿わせワイア固定部材11を絡ませて浮上がりを阻止し、ワイア2のループ状の部分と踏抜穴用筒6の間に棒状物10を2本程度ほぼ垂直に突刺す。
このとき、棒状物10の突刺す位置をワイア2のループ状の部分の絞込部材3から離れた側に設定する。なお、第1の挿通孔7,第2の挿通孔8に挿通されたピン状物9がワイア2のループ状の部分を下支えして沈込みを阻止することになる。
この後、踏板1を含めて踏抜穴Hの開口の全面を土砂,枯葉等の隠蔽用土砂類Rで隠蔽し、安全機構5の安全ピン5eの摘部5ebを摘んで回動させ安全ピン5eをネジ孔5a,挿通孔5cから引抜くことで設置が完了する。
このとき、安全機構5の安全ピン5eが隠蔽用土砂類Rよりも上方に長く突出されているため、安全ピン5eの回動操作を容易に実施することができる。また、安全機構5の安全ピン5eに摘部5ebが設けられているため、安全機構5の安全ピン5eの回動操作を確実に行うことができる。また、特許文献1に係る小動物捕獲装置のように絞込部材3の側部から操作しないでよいため、隠蔽用土砂類Rを被せた後に安全機構5の安全ピン5eの引抜きを実行して、隠蔽用土砂類Rに人間の臭気が移ったり被せた隠蔽用土砂類Rが崩れたりするのを防止することができる。
なお、安全機構5が取外されると、応動部材4のロックピン4d,ロック溝4eが図7に示すように係合して絞込部材3のスペースSが解消される。このとき、絞込部材3,応動部材4から機械的な係合音が生ずるため、安全機構5の操作確認がなされる。
なお、絞込部材3のケーシング3bから外部に延びているワイア2の後端部については、土,枯葉等で隠蔽して付近の立木,岩まで配線して固定しておく。
この形態が設置された状態では、踏板1の径と踏抜穴用筒6の内径とがほぼ一致されて、踏板1と踏抜穴用筒6(踏抜穴H)との間に無用のスペースが形成されないため、踏板1を覆う隠蔽用土砂類Rが落下してしまったり、スペースを通じて空気が流通したりすることがなくなる。従って、小動物に警戒心を起こしにくくなる。
設置されたこの形態を小動物が踏抜いた際には、踏板1が踏抜穴用筒6の内部で水平状態のまま降下する。
このとき、踏板1に掛かった小動物の荷重が応動部材4の受板4cと第1の挿通孔7,第2の挿通孔8に挿通されたピン状物9とによって広範囲,広角度で受けられ、踏板1に掛かる荷重が偏位していても、踏板1の傾倒を阻止して水平状態のままの降下が確保される。そして、踏板1の水平状態のままの降下の動作付勢と同時に、第1の挿通孔7に挿通されたピン状物9が破断して、踏板1の水平状態のままの降下の障害物となる第1の挿通孔7に挿通されたピン状物9が踏抜穴用筒6の内部から消失する。なお、踏板1の下支えが第1の挿通孔7に挿通されたピン状物9によって補助されることで、必要以上に敏感な踏板1の動作が回避されるため、捕獲対象とされる小動物よりも小型の動物の踏抜きや木実等の落下物で応動部材4が動作してしまうのを防止することができる。
降下した踏板1は、応動部材4の受板4cを押下げる。押下げられた応動部材4の受板4cは、アーム4bを介して支軸4fを中心として傾倒することになる。
このとき、応動部材4の受板4cがアーム4bの先端部に設けられた軸受4gに回転可能に支持されているため、荷重の偏位等で降下する踏板1にわずかな傾斜が生じたとしても、受板4cが回転して傾斜に対応し確実に傾倒する。
応動部材4のアーム4bの傾倒は、ロックピン4dからのロック溝4eの離脱をもたらす。
このとき、支点である応動部材4の支軸4fが支持板4aの突出先端に設けられて力点である受板4cとの長さが充分に確保されているため、応動部材4の応動性が敏感になる。また、安全機構5の回止部5fが絞込部材3の可動部3cに取付けられているフランジ5dに当接することで、応動部材4のアーム4bの傾倒の応力によって絞込部材3のケーシング3bが回動してしまうのを阻止するため、応動部材4のロックピン4dからのロック溝4eの離脱が確実になされる。
応動部材4のロックピン4d,ロック溝4eの離脱は、絞込部材3にワイア2の絞込み動作を開始させる。
即ち、絞込部材3のケーシング3bに嵌合された可動部3cは、応動部材4のロックピン4d,ロック溝4eの離脱でコイルスプリング3aの弾圧を受けてワイア2に沿って移動する。この移動は、瞬時になされ絞込部材3の可動部3cが隠蔽用土砂類Rを跳上げて地上に突出し、ワイア2を絞ストッパ2bまで絞込んで踏板1を踏抜いた小動物の足を縛ることになる。なお、安全機構5の安全ピンcがネジ込まれるネジ孔5aが絞込部材3のケーシング3b,可動部3cから突出されたフランジ5bに設けられ、特許文献1に係る小動物捕獲装置の安全機構のように絞込部材3のケーシング3b,可動部3cの嵌合部分に土砂が侵入することがないため、絞込部材3のワイア2の絞込み動作が常に確実になされる。
踏板1,絞込部材3の動作を中継している応動部材4の動作については、主に踏抜穴用筒6の内部でなされ、スライドのような動作形態とならずに傾倒の動作形態となるため、絞込部材3に土砂が付着していても何等障害になることはない。従って、応動部材4の動作の円滑性が損なわれることがなく、絞込部材3のワイア2の絞込み動作に迅速性が保障される。なお、前述のように応動部材4の応動性が敏感になるように支点,力点の長さを長く設定してあることも、絞込部材3のワイア2の絞込み動作の迅速性の保障に寄与する。
絞込部材3のワイア2の絞込み動作では、図11に示すように、可動部3cによって絞込まれるワイア2のループ状の部分が踏抜穴用筒6の外側に突刺されている棒状物10によって上方に案内される。即ち、小動物が異常を感知して引上げようとする足に追従するように絞込まれるワイア2のループ状の部分を上昇させ、ワイア2のループ状の部分が単に横移動して足が引上げられた後に空で絞込まれることがないようにする。
また、足にワイア2が縛付けられた小動物が暴れた際には、図12に示すように、応動部材4が絞込部材3に沿うように傾倒されるため、地面等を引きずられても絞込部材3,応動部材4が損傷することがない。従って、何度も繰返し使用することができる。
小動物が捕獲されずにこの形態を撤収する場合には、隠蔽用土砂類Rに安全機構5の安全ピン5eを挿通して、安全ピン5eの摘部5ebを摘んで回動させネジ部5eaをネジ孔5aに螺合させストッパ部5ecを絞込部材3の可動部3cに取付けられているフランジ5dに押圧させる。この結果、絞込部材3の可動部3cがケーシング3bから不測に突出されことがなくなる。従って、踏抜穴Hからワイア2,絞込部材3,応動部材4,安全機構5等を安全に取出すことができる。
このとき、隠蔽用土砂類Rの上から安全機構5の絞込部材3に取付けられているフランジ5b,5dの位置の見当がつくため、隠蔽用土砂類Rを除去する必要がない。従って、隠蔽用土砂類Rの除去作業において、誤って踏板1,絞込部材3,応動部材4等に触れて、絞込部材3にワイア2の絞込み動作を開始させてしまうことがない。
この結果、絞込部材3の可動部3cがケーシング3bから不測に突出されことがなくなる。従って、踏抜穴Hからワイア2,絞込部材3,応動部材4,安全機構5等を安全に取出すことができる。
以上、図示した形態の外に、ピン状物9を踏抜穴用筒6に起伏可能に取付けたものとすることも可能である。
さらに、安全機構5の安全ピン5eの摘部5ebをさらに操作しやすい大きなハンドル形とすることもできる。
さらに、隠蔽用土砂類Rの中にある安全機構5のネジ孔5aの位置を把握しやすいように、安全機構5のフランジ5bや安全ピン5cを着磁して吸引案内されるようにすることも可能である。
本発明に係る小動物捕獲装置は、踏板1の径や絞込部材3のコイルスプリング3aの弾圧力を調整することで、かなり小さなものからかなり大きなものまでの広範な小動物を捕獲対象とすることができる。
1 踏板
2 ワイア
3 絞込部材
4 応動部材
5 安全機構
5a ネジ孔
5b フランジ
5e 安全ピン
5ea ネジ部
5eb 摘部
5f 回止部
6 踏抜穴用筒
7 第1の挿通孔
8 第2の挿通孔
9 ピン状物
10 棒状物
H 踏抜穴

Claims (4)

  1. ループ状に広げられて配置されたワイアを絞込んで小動物の足を縛る絞込部材と、絞込部材の絞込み動作を阻止する安全機構とを備え、絞込部材は内部にコイルスプリングが弾圧収容されたケーシングとケーシングの上部に嵌合されコイルスプリングの弾圧でワイアに沿って移動してワイアを絞込む可動部とからなり、安全機構は絞込部材のケーシングに突出して取付けられたネジ孔付きのフランジに安全ピンがネジ込まれて絞込部材の可動部に突出して取付けられたフランジを押圧するものであることを特徴とする小動物捕獲装置。
  2. 請求項1の小動物捕獲装置において、安全機構の安全ピンはフランジのネジ孔に螺合されて絞込部材が埋設された土中から突出させて操作することができる長さを有していることを特徴とする小動物捕獲装置。
  3. 請求項2の小動物捕獲装置において、安全機構の安全ピンは下端部にネジ孔に螺合されるネジ部が刻設され上端部に手を掛けることのできる摘部が設けられていることを特徴とする小動物捕獲装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかの小動物捕獲装置において、安全機構の絞込部材のケーシングに取付けられたフランジは絞込部材の可動部に取付けられたフランジの側面に対面する回止部が設けられていることを特徴とする小動物捕獲装置。
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