以下、本発明に係る動物捕獲用罠を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
図1に、本発明に係る動物捕獲用罠1の一実施例の全体構成を示す。本実施例によると、動物捕獲用罠1は、全体形状が矩形状とされる長手方向が幅方向より長くされた踏み板組立体(「上皿」と呼ぶこともある。)2と、この踏み板組立体2を収納し、着脱自在に担持するための、上方が開口された角形筒状の、即ち、横断面形状が矩形状とされ、長手方向が幅方向より長くされた所定高さを有した箱体とされる収納容器(「下皿」と呼ぶこともある。)3とを有する。
以下の説明では、踏み板組立体2及び収納容器3は、長さ寸法がより大きくされた方向(図1にてx−x方向)を長手方向と呼び、長手方向に直交する寸法がより小さくされた方向(図1にてy−y方向)を幅方向と呼ぶ。
(踏み板組立体)
上皿としての踏み板組立体2は、図2をも参照するとより良く理解されるように、概略矩形状とされる踏み板4と、この踏み板4に揺動自在に取り付けられた対をなすワイヤーガイドとしての二つのロープ掛けアーム5(5A、5B)とを備えている。踏み板4及びロープ掛けアーム5(5A、5B)は、軽量化のために、本実施例では、例えば、厚さ1〜2mmのアルミ材などの薄板状の軽量金属板材にて作製される。勿論、所望により、他の金属、木材、プラスチックなども使用可能である。
踏み板4は、概略矩形状をした平板状の踏み板基台部40と、この基台部40の幅方向(y−y方向)の両側部に設けられ、上方に垂直に突出した一対の支持板部41(41A、41B)とを有している。支持板部41A、41Bは、踏み板4の幅方向(y−y方向)に所定の距離だけ離間して形成されている。本実施例では、支持板部41は、板金加工により踏み板基台部40の両側部を上方へと折り曲げて、この基台部40より上方へと一体に突出して作製される。
各ロープ掛けアーム5(5A、5B)は、本実施例では、厚さ1〜2mm、幅10mm程度に切断された薄板帯状の軽量金属板材を板金加工により略U字形状に成形して作製され、互いに平行な脚部51、51と、本実施例では直線状とされる両脚部51の一端51aを連結した略直線状の連結部52とを有している。脚部51と連結部52との接続部52aは円弧状とされるが、本実施例では、円弧状部52aの半径Rは小さくされ、通常、5〜10mm程度とされる。従って、本実施例の説明では、この接続部52aをも含めて略直線状の連結部52というものとする。
二つのロープ掛けアーム5A、5Bは同じ形状、寸法とされる。脚部(51、51)の連結部52とは反対側の端部51bは、踏み板4の支持板部41(41A、41B)の基台部40より所定高さ位置に設けられた支持軸50にて支持板部41(41A、41B)に揺動自在に取付けられる。従って、各ロープ掛けアーム5(5A、5B)は、踏み板基台部40の上面より上方に位置した支持軸50の回りに略180度回転することができる。
なお、説明を容易とするために、各ロープ掛けアーム5(5A、5B)を支持軸50の回りに互いに離間する方向(図2にて矢印A方向)へと、即ち、踏み板4の長手方向(x−x方向)両端側へと揺動することを「外方へと揺動」するといい、逆に対向する方向(図2にて矢印B方向)へと、即ち、踏み板基台部40の長手方向(x−x方向)中心部へと揺動することを「内方へと揺動」する、というものとする。また、これら踏み板4の長手方向に沿った矢印A方向及びB方向への揺動を「揺動方向」ということもある。
なお、ロープ掛けアーム5(5A、5B)は、詳しくは後述するが、ロープ掛けアーム5(5A、5B)が互いに離間するように外方(図2にて矢印A方向)に揺動して踏み板4上へと位置された時、脚部51及び連結部52の外周囲にはワイヤーロープ手段70のワイヤーロープ71の先端わさ部72が掛け回される。従って、ロープ掛けアーム5(5A、5B)の外周囲には脚部51及び連結部52の全周囲或いは一部には、ロープ先端わさ部72を一時的に確実に保持し、ロープ先端わさ部72が不用意にロープ掛けアーム5(5A、5B)の外周から外れるのを防止するために、外側へと僅かに突出した保持鍔部(フランジ53及び規制板54)が形成される。
つまり、脚部51と、連結部52の接続部近傍領域から連結部52の外周囲に亘ってフランジ53が形成される。また、ロープ掛けアーム5(5A、5B)の連結部52の略中央部には、このフランジ53と対向して、連結部中央部に沿って所定の距離に亘って外方へと僅かに突出して規制板54が形成される。フランジ53は、板金加工によりロープ掛けアーム5(5A、5B)の脚部51及び連結部52に対して略直角に外方へと突出して形成される。一方、規制板54は、板金加工によりロープ掛けアーム連結部52に対して90度より大きい角度α(図4(a)参照)、例えば、120度程度の角度にて外方へと突出して形成される。
尚、図4(a)、(b)にて理解されるように、本実施例にて、ロープ掛けアーム5(5A、5B)の揺動支持軸50の位置は、平板状の踏み板基台部40の上面より上方へと移動した位置(H50)にあり両ロープ掛けアーム5A、5Bを互いに離れる方向へと、即ち、外方(図2にて矢印A方向)へと揺動させて踏み板基台部40上へと位置させたとき(図4(a)の状態)、両ロープ掛けアーム5A、5Bは、それぞれ、支持軸50から踏み板4の長手方向両端側へと低くなるように構成されている。つまり、両ロープ掛けアーム5A、5Bは、両ロープ掛けアーム5A、5Bのロープ先端わさ部72が巻回されるアーム外周囲位置、即ち、連結部52の位置と、支持軸50とを結ぶ仮想線55A、55Bが上方に凸状とされる、即ち、山形形状をなすように位置決めされる。
従って、両ロープ掛けアーム5A、5Bの外周に掛け回したロープ先端わさ部72は、ロープ掛けアーム5A、5Bの揺動支持軸50位置より下方に位置することとなる。
つまり、図1、図2、図4(a)、(b)を参照するとより良く理解されるように、各ロープ掛けアーム5A、5Bは、内方向には互いに近づくように90度以上回動し得るが、その反対方向には、即ち、外方向には二つのロープ掛けアーム5A、5Bのなす角度が180°より更に1°〜10°程度回動した山形状態にて停止するように形成される。つまり、各ロープ掛けアーム5A、5Bは、図4(a)にて、支持軸50とロープ先端わさ部72とを結ぶ両ロープ掛けアーム5A、5Bの仮想線55A、55Bのなす角度θが180°より小さく、例えば、170°〜179°となる山形形状の状態となり、それ以上は回動しないようにされる。角度θは、上記角度に限定されず、罠の仕様等により適宜所要の値に設定される。
本実施例では、踏み板基台部40の長手方向両端部40(40A、40B)は、僅かに下方へと曲げられ、突起部43(43A、43B)が形成されている。
つまり、本実施例では、図2、図4(a)、(b)に示すように、踏み板基台部40は、踏み板4の長手方向の両端部40A、40Bの幅方向(y−y方向)両側部に、基台部40と一体に形成された延長部であるフランジ42、42を有しており、山形形状をなす両ロープ掛けアーム5A、5Bが更に回転して踏み板4の面より下方へと移動するのを阻止するための規制部材として機能する。本実施例では、図示されるように、ロープ掛けアーム5A、5Bが、踏み板基台部40の長手方向におけるフランジ42の端面に形成した突起部43(43A、43B)の端縁上面に突き当たることによって規制されている。従って、各ロープ掛けアーム5A、5Bは、それぞれの連結部52が、各ロープ掛けアーム5A、5Bのなす角度θが180°より更に1°〜10°程度小さくなるように回動した状態にてフランジ42、即ち、突起部43(43A、43B)の上端縁に当接して停止する。
また、本実施例によると、踏み板基台部40の上表面に、表面が凹凸形状とされた凹凸部材44を貼り付け、この凹凸部材44及び踏み板基台部40を貫通して、略中央部に二つの小さな開口部45が形成されている。凹凸部材44としては、例えば、住友スリーエム株式会社より販売されているすべり止めテープなどを使用することができ、開口部45の直径としては、限定されるものではないが、20〜30mm程度とし得る。この構成により、動物の足が踏み板組立体2の踏み板4を踏んだとき、滑りをなくし、踏み板4を確実に踏み付けることができる。
勿論、踏み板基台部40に凹凸部材44を貼り付ける代わりに、踏み板基台部40に直径が5cm〜8cm程度の開口部を形成し、基台部40の上面に0.5cm×0.5cm〜2cm×2cm程度の目部(メッシュ)を有する網部材を取付けることも可能である。
(収納容器)
上記構成の上皿としての踏み板組立体2は、図1に示すように、下皿としての収納容器3内に収納されると共に、容器3内に着脱自在に担持される。このとき、上皿の踏み板組立体2は、ワイヤーロープ手段70の先端わさ部72に連結したその他の残余部分が収納容器3の側方外方へと引き出されるが、それ以外の踏み板組立体2の構成部材が下皿の収納容器3の上端開口部より上方外方へと、また、側方外方へと突出することはなく、収納容器内の所定位置に設置される。
本実施例にて下皿としての収納容器3は、図3に示すように、上方が開口した矩形の筒状容器、即ち、箱体とされる。本実施例では、厚さ1〜2mmのアルミ材などの薄板状の軽量金属板を板金加工により折り曲げることによって作製される。勿論、所望により、他の金属、木材、プラスチックなども使用可能である。
図3に示すように、本実施例にて収納容器3は、矩形状をした底板31と、底板31の上方に延在して形成された外周壁部材32、即ち、本実施例では、底板31の長手方向(x−x方向)両端にて底板31の上方へと垂直に形成した左、右側板32a、32bと、底板31の幅方向(y−y方向)両端にて底板31の上方へと垂直に形成した前、後側板32c、32dと、を有する。図4(b)、(c)を参照すると、通常、収納容器3の内側での長手方向(x−x方向)、幅方向(y−y方向)、及び底板より上方向(高さ方向)のそれぞれの寸法(L32、W32、及びH32)はL32=15〜30cm、W32=10〜20cm、及びH32=5〜7cmとされる。なお、本実施例では、左、右側板32a、32b、及び、前、後側板32c、32dは、分離された状態にて図示されているが、一体に接続されていても良いことは当然である。また、本実施例では、収納容器3は、底板31を有するものとして説明するが、底板31は省略することもできる。
本実施例では、長手方向両端部に形成した左、右側板32a、32bと、前、後側板32c、32dは、底板31からの高さ(H32)は同じとされているが、左、右側板32a、32bは、図1、図4(c)に一点鎖線にて示すように、前、後側板32c、32dより低くても構わない。ただ、本発明では、収納容器3に載置された踏み板組立体2が、収納容器3の左、右側板32a、32bを跨いで載置されることなく完全に収納容器3内に収容されることが確保されることが重要であり、従って、左、右側板32a、32bの高さは、少なくとも、図1、図4(c)にて一点鎖線にて示すように、、収納容器3内に載置された踏み板組立体2のロープ掛けアーム5A、5Bの連結部52を覆う高さ(H32’)とされ、本実施例では、連結部52の規制板54より高くされる。
なお、収納容器3の少なくとも幅方向手前側の前側板32cには、略中央部に位置して、即ち、収容された踏み板組立体2の二つのロープ掛けアーム5A、5Bの支持軸50、50の位置に対応して、図1、図2、図3をも参照すると理解されるように、二つのロープ掛けアーム5A、5Bにロープ先端わさ部72を巻き付けた後のワイヤーロープ張りばね73のリング部74部分の逃げを作るために、開口上端縁部3Aから深さ(H34)、及び、所定の幅(W34)にて切欠き部34が形成される。通常、幅(W34)が8cm、深さ(H34)が3cm程度とされる。
底板31には略直径が5〜8cm程度の円形の開口部(穴)36を複数個、本実施例では底板31の略中央部に2個、形成するのが好ましい。これは、重量を軽減するためであり、また、雨水などが溜まることを最小限に抑えるためである。場合によっては、開口部36は、収納容器3を固定するために使用することも可能である。
ここで、本発明の特徴ある構成の一つによれば、図3に示すように、収納容器3内には、収納容器3を構成する外周壁部材32の開口上端縁部3Aから下方の所定位置に、且つ、対向配置して、踏み板組立体2の長手方向(x−x方向)両端部を担持するための受け台60が設けられる。つまり、本実施例では、収納容器3を構成する左、右側板32a、32bに、水平部材60a及び垂直部材60bからなるアングル状の受け台60が固定される。受け台60は、例えば厚さ1〜2mmのアルミ材などの薄板状の軽量金属板を板金加工して作製される。勿論、所望により、他の金属、木材、プラスチックなども使用可能である。
図1、図4(b)に示すように、収納容器3に収容された踏み板組立体2は、受け台60の水平部材60aの上面に、ロープ先端わさ部72が巻き付けられた後のロープ掛けアーム5A、5Bの略直線状の連結部52領域が載置される。従って、連結部52領域を十分に担持するために、通常、受け台60の水平部材60aの幅(W60)は、8〜15mmとされる。斯かる構成により本実施例では、略直線状の連結部52は、受け台60に線接触的に接触して担持される。踏み板基台部40が受け台60、60により担持されることはない。即ち、図4(b)に示すように、踏み板基台部40の長手方向の両端面43A、43Bは、両受け台60、60の間の空間部に位置するようにされる。
つまり、図4(a)に示すように、踏み板組立体2の踏み板基台部40の端面、即ち、突起部43A、43Bから長手方向に突出した突出長さ△L2は、収納容器3の長手方向両端の左、右側板32a、32bに固定された受け台60の幅W60より大きく(△L2>W60)される。通常、△L2−W60=5〜10mmとされる。また、当然のことに、収納容器3に設けられた両受け台60、60の内側間の長さ(L60)は、踏み板基台部40の受け台60、60方向の長さ(L40)より大とされる。
また、図4(a)、(b)に示すように、収納容器3の左、右側板34、35の長手方向(x−x方向)内側間の距離(L32)は、二つのロープ掛けアーム5A、5Bを互いに離れる外方向へと外方に倒し、略水平状態に位置させたとき(図4(a)の一点鎖線にて示した状態)の、二つのロープ掛けアーム5A、5Bの両連結部52、52間の最大長さである距離(L2)より大とされる。通常、L32−L2=5〜10mmとされる。
また、踏み板組立体2の長手方向(x−x方向)に直交する幅方向(y−y方向)の最大の長さ、即ち、本実施例では、図4(c)に示すように、踏み板基台部40の両フランジ42、42間の幅方向(y−y方向)の長さ(W40)は、収納容器3の幅方向の前、後側板32c、32dの幅方向(y−y方向)内側間の距離W32より短く(W40<W32)とされる。通常、W32−W40=5〜10mmとされる。
本実施例によれば、図1、図4(b)などを参照した上記説明にて理解されるように、踏み板組立体2のロープ先端わさ部72が巻き付けられた後の二つのロープ掛けアーム5A、5Bの連結部52、52はほぼ全領域が、左、右側板32a、32bの内側に位置した受け台60の幅方向(y−y方向)の上面60aに線接触的に設置されることとなり、踏み板組立体2を安定して保持することができる。
従来は、図8にて理解されるように、各ロープ掛けアーム151は、載置台103の左、右側板の上端面に交差するように載置されており、そのため、各ロープ掛けアーム151は、各々、2点にて各側板の上端面に支持されていたが、これに対して、本実施例によれば、ロープ掛けアーム5A、5Bの略直線状とされる連結部52は全体が受け台60に線接触にて担持されている。そのため、本実施例では、例え、動物がロープ掛けアーム5A、5Bの連結部52の端部52a(ロープ掛けアーム5A、5Bにおける脚部51と連結部52との接続隅部)領域を踏んだとしても、連結部52は隅部52a領域も又受け台60に担持されており、従って、「空はじき」や踏み板4がぐら付き、上皿2が下皿3から外れる(再設置が必要となる)ことはない。
また、本発明では、上述したように、踏み板組立体2が収納容器3内に設置されたとき、ロープ掛けアーム5A、5Bにロープ先端わさ部72を巻付けたワイヤーロープ手段70のワイヤーロープ71及びワイヤーロープ張りばね73が切欠き部34を介して収納容器3から側方外方へと取り出されるが、踏み板組立体2のその他の構成部材が収納容器3から上方、側方の何れの外方へと突出することはない。従って、収納容器3を構成する外周壁部材32、即ち、本実施例では、左、右側板32a、32b及び前、後側板32c、32dは、踏み板板組立体2のが外周壁部材32の上端縁部3Aから上方外方、及び、側方外方へと突出しないように形成され、それにより踏み板組立体2は、収納容器3内に完全に収容されるように構成される。つまり、本発明によれば、図4(b)に示すように、収納容器3内に収容された踏み板組立体2は、本実施例では、踏み板基台部40から上方へと最も高く突出して位置する支持板部材41(41A、41B)が周壁部材32、即ち、前、後側板32c、32dの開口上端縁部3Aより△Hだけ下方に位置して設置されている。通常、△H=0〜5mmとされる。また、山形形状に設置されたロープ掛けアーム5A、5Bの受け台60上に載置された連結部52部分が左、右側板32a、32bから上方及び側方へと外方に突出することはない。従って、上皿の踏み板組立体2は、下皿の収納容器3に完全に収納された状態にて収納容器3内に設置されるので、不正確のまま、即ち、上皿2が下皿3の外側へと突出した状態で、或いは、不注意により設置の際、上皿2を下皿3の短辺壁部、即ち、左側板32a又は右側板32bを跨いで設置し、上皿2が傾斜状態で設置されることはない。従って、下皿3の開口上端縁部3Aから出ている上皿2を動物が踏んだり、触れたりして「空はじき」や上皿2が下皿3から外れる(再設置が必要となる)ことを防止することができる。つまり、本発明によれば、所定場所に設置された捕獲用罠1が、不用意に動物と接触するか、或いは、不完全状態にて作動してしまい、捕獲に失敗するようなことが大幅に防止される。
上述にて理解されるように、本発明の捕獲用罠1によれば、収納容器3の形状寸法は、容器内に収容した踏み板組立体2が踏み込まれたとき、山形状態にある二つのロープ掛けアーム5A、5Bが互いに近づくように内方へと揺動され立ち上がった状態となった場合には、踏み板組立体2の踏み板基台部40が、即ち、踏み板組立体2全体が収納容器3の内側に落下し得るような寸法形状とされる。
次に、本発明の他の特徴部について説明する。本発明の他の特徴部によれば、収納容器3の開口上端縁部3Aには、つまり、収納容器3を構成する左、右側板32a、32b及び前、後側板32c、32dからなる外周壁部材32の上端外周縁部3Aには、全周において、或いは、少なくとも必要とされる領域において、収納容器3の外側へと突出する鍔部材35が形成される。本実施例では、収納容器3の前、後側板32c、32dの上端縁部3Aに鍔部材35が形成される。つまり、鍔部材35は、本実施例では、図1、図3に図示するように、前、後側板32c、32dの上端部を板金加工により外方へと略90度にて水平方向に折り曲げ加工することにより作製されている。このように鍔部材35を形成することにより、下皿3の長辺部である前、後側板32c、32dをシカ、イノシシなどが踏み、側板32c、32dが2つのひづめの間に丁度入ってしまい、ひづめが下皿3の中に納められた上皿2を下側に押し下げて「空はじき」を生じさせることが防止される。本実施例では、左、右側板32a、32bには、鍔部材35は形成されていない。この点については後で説明する。
なお、上述したように、前側板32cには切欠き部34が形成されており、この切欠き部34を介して、ワイヤーロープ先端わさ部72のリング部74及びワイヤーロープ張りばね73が接続された踏み板組立体2の着脱を可能とするために、可動式の鍔部材、即ち、カバー部材37が配置される。カバー部材37は、本実施例では、厚さ1〜2mmのアルミ材などの薄板状の軽量金属材を板金加工することにより作製される。つまり、カバー部材37は、図1、図3に示すように、前側板32cの鍔部材35の上面に配置され、切欠き部34をカバーする平板状の蓋部材37aと、この蓋部材37aを揺動自在に支持するために蓋部材37aから、カバー部材37を閉じた状態(図1の状態)で下方へと略90度方向に折り曲げられた細幅の垂直部材37b、及び、この垂直部材37bの一端側に一体に形成された広幅の支持板部材37cとを有している。支持部材37cは、図4(c)に示すように、スペーサ37dを介して支持軸37eにて前側板32cに回転自在に取付けられている。従って、カバー部材37は、踏み板組立体2を収納容器3に装着する際には、図3に示すように、支持軸37eを中心として矢印C方向に回転して開放状態へと開いて、ワイヤーロープ手段70のワイヤーロープ張りばね73やリング部74部分を切欠き部34へと挿入設置可能とする。一方、踏み板組立体2を収納容器3に装着した後は、矢印C方向とは反対方向に閉鎖状態へと回転して、図1に示すように、蓋部材37を鍔部材35の上面に重ね合わせた状態として切欠き部34の上方を被覆することができる。斯かる構成により、従来、ワイヤーロープ171及びロープ張りばね73を外に逃がす下皿3の切欠き部34の上部を動物が踏んだり、触れたりしたときに「空はじき」が生じたり、或いは、上皿2が下皿3から外れる(再設置が必要となる)ことがあったが、このような不具合が防止される。
従来、本発明者らの研究実験の結果によると、図10(a)に示すように、踏み板組立体102が、踏み板組立体102を載置するための載置台103の外側壁部材上端縁103aから上方へと突出量△Hだけ突出して設置されたり、更には、図10(b)に示すように、踏み板組立体102を載置台103の上端に設置するときに正確に設置されておらず、載置台103上で傾いて装着されたりすることが生じることがあった。この場合には、踏み板組立体2が不用意に動物と接触するか、或いは、不完全状態にて作動してしまい、捕獲に失敗する場合があった。また、例え、踏み板組立体102が載置台103の上端縁103aから突出していない場合であっても、図10(c)にて示すように、シカの脚Fのひづめ部分f1、f2が載置台103の外側壁部材上端縁103aに挟まり、これによっても踏み板組立体102が不用意に作動して「空はじき」を生じさせる原因ともなっていた。
本発明によれば、収納容器2の上端縁3Aには鍔部材35が形成されていることから、シカの脚Fのひづめ部分f1、f2が収納容器3の板状壁部材32、特に、前、後側板32c、32dに挟まり、これによっても踏み板組立体が不用意に作動して「空はじき」を生じさせることも防止することができる。
本実施例において、例え、シカの脚Fのひづめ部分f1、f2が収納容器2の板状壁部材、特に、左、右側板32a、32bに挟まり、踏み板組立体2のロープ掛けアーム5A又は5Bの連結部52を踏み付けたとしても、本実施例では、ロープ掛けアーム5A又は5Bの連結部52は、受け台60により支持されており、従って、ロープ掛けアーム5A又は5Bが下方へと押下され、踏み板組立体2が不用意に作動して「空はじき」を生じさせることはない。そのため、本実施例においては、受け台60が形成された外周壁部材32、即ち、左、右側板32a、32bの上端には、必ずしも鍔部材35を形成する必要はなく、少なくとも、前、後側板32c、32dに設ければよい。
(体重調整手段)
本発明の動物捕獲用罠1が、例えば、シカ、イノシシといった動物を捕獲することを目的とした場合には、アナグマ、キツネ、タヌキ、ウサギ、イヌ、などの小型動物が誤って捕獲することを防止する必要がある。そのため、本実施例の動物捕獲用罠1は、簡易な体重調整手段を有しており、例え、シカ、イノシシといった動物以外の小型の動物が踏み板組立体2の上に乗ったとしても、踏み板組立体2が下方に落下しないようにした。
本実施例によれば、図1、図3、図4(b)、図5(a)などを参照すると、収納容器3に設置された踏み板板組立体2の踏み板基台部40の下面に位置して体重調整手段65が設けられている。体重調整手段65は、好ましくは、収納容器3にて左右、前後方向に対称配置にて設けられ、本実施例では概略矩形状とされる踏み板基台部40の4隅部に、つまり、フランジ42の領域に好適に設けられる。体重調整手段65は、前、後側板32c、32dに形成した貫通孔65bに挿通された細径の所定の荷重以上で折損容易な体重調整ピン部材65a、例えば、直径1〜3mm、長さ20〜50mmの楊枝のような木製ピンなどを利用することができる。つまり、所定以上の体重の捕獲動物が踏み板基台部40を踏み、下方に押下したしたときに折れる木製ピンであれば、折れる木製ピンの本数により体重調整をして、小型の動物の錯誤捕獲が回避できる。本実施例では、2本の楊枝6aが互いに20〜30mm離間して、踏み板基台部40のフランジ42の下面に近接して、即ち、下面に接触するか或いは僅かに離間して配置されている。
本発明者らの研究実験の結果によると、本実施例の上記構成の体重調整ピン部材65aを用いることにより、シカ、イノシシに比較してより小型のアナグマ、キツネ、タヌキ、ウサギ、イヌ、などを誤って捕獲することを防止し得ることが分かった。
なお、体重調整ピン部材65aは、前、後側板32c、32dに形成した貫通孔65bに水平に安定して保持されることが必要であり、そのため、貫通孔65bは出来るだけ調整ピン部材65aとの嵌合長さを長くすることが望ましい。そこで、本実施例では、1〜2mmの薄板にて作製される側板32c、32dに対して、所謂、バーリング加工を施すことによって、バーリング高さ(h)が2〜4mmの貫通孔65bを得ることができ、良好な結果を得ることができた。
(踏み板ぐら付き防止手段及び先端わさ部下方移動規制手段)
本実施例にて、動物捕獲用罠1は、動物が、収納容器3に設置された踏み板組立体2の踏み板基台部40を踏んだ際に、踏み板組立体2、即ち、踏み板基台部40は、設置された状態から速やかに収納容器3内にて下方へと落下し、一方、山形形状に維持されていた両ロープ掛けアーム5A、5Bは、踏み板基台部40より上方に揺動して互いに近接するように移動し、それによって、ワイヤーロープ先端わさ部72は、ワイヤーロープ張りばね73により踏み板組立体2から上方へと抜け出て絞り込まれることが必要である。
本発明者らの研究実験の結果によると、踏み板組立体2を収納容器3に装着するときに上皿2が斜めになったり、更には、動物が、収納容器3に設置された踏み板組立体2の踏み板基台部40を踏んだ際に、例えば、踏み板基台部40の中央部より偏った一つの隅部領域を踏んだ場合などには、反対側の隅部などが浮き上がり、上皿2が斜めになることがある。つまり、動物が、踏み板基台部40の隅部を踏んだ時に反対側が浮き上がり、上皿2が斜めになった状態で下方へと下がるとワイヤーロープ71が上皿2のロープ掛けアーム5A、5Bから外れずに下皿3の側板との間に挟まり作動しない等の不具合が生じる。結果として、誤作動を起こし、捕獲に失敗する例が見受けられた。
そこで、本実施例の捕獲用罠1では、図1、図3、図4(b)、図5、などを参照すると、収納容器3に設置された踏み板組立体2の踏み板基台部40の上面に、且つ、ロープ掛けアーム5A、5Bより下に位置して踏み板ぐら付き防止手段66が配置され、上皿2を下皿3と一体化させている。踏み板ぐら付き防止手段66は、好ましくは、収納容器3にて左右、前後方向に対称配置にて上記体重調整手段65に対応した位置に、即ち、本実施例では概略矩形状とされる踏み板基台部40の4隅部、つまり、フランジ42の領域に好適に設けられる。踏み板ぐら付き防止手段66は、踏み板基台部40のぐらつきを防止し、捕獲動物が踏み板ぐら付き防止手段66を踏み、下方に押下した際には折れるか曲がるかすることにより踏み板基台部40の下方への落下を可能とする。例えば、踏み板ぐら付き防止手段66は、前、後側板32c、32dに形成した貫通孔66bに挿通された細径のぐら付き防止ピン様部材66a、例えば、直径1〜3mm、長さ2〜5mmの楊枝のような木製ピンなどを利用することができる。木製ピン66aは、上皿2のぐらつきを抑え、ただし、動物が乗ったときは折れ(或いは曲がり)、罠の作動を妨げることがない。ただ、踏み板ぐら付き防止手段66は、上記体重調整手段65のピン部材65aと異なり、必ずしも折損する必要はないので、0.5〜1mm程度の細径の柔軟な針金を使用することができる。これら部材66aは、収納容器3内に踏み板組立体2を設置した後に貫通孔66bに挿入される。本実施例では、踏み板基台部40のフランジ42の上面に近接して、即ち、上面に接触するか、或いは、僅かに離間して、1本の木製ピン(例えば楊枝)を配置することにより、上皿2を下皿3と一体化させることができ、ただし、動物が直接上から踏んでも折れたり曲がることにより踏み板基台部40を下方へと押し下げるのを妨げることがなく、良好な結果を得ることができた。
なお、踏み板ぐら付き防止ピン様部材66aは、前、後側板32c、32dに形成した貫通孔66bに水平に安定して保持されることが必要であり、そのため、貫通孔66bは出来るだけ踏み板ぐら付き防止ピン様部材66aとの嵌合長さは長くすることが望ましい。そこで、本実施例では、1〜2mmの薄板にて作製される側板32c、32dに、所謂、バーリング加工を施すことによって、バーリング高さ(h)が2〜4mmの貫通孔66bを得ることができ、これにより、ピン様部材66aを水平に保持することが可能となり、上皿2の浮き上がり、及び、上皿2が斜めになることを有効に防止することが可能となり、良好な結果を得ることができた。
このように、上記簡単な構成とされる踏み板ぐら付き防止手段66を設けることにより、罠設置時に加え、動物が上皿2の隅を踏んだときに反対側が浮き上がり、上皿2が斜めになることを抑え、作動時に上皿面がぐらつかず、誤作動を抑えることができた。
更に、本発明者らの研究実験の結果によると、動物が収納容器3に設置された踏み板組立体2の踏み板基台部40を踏んだ際に、特に、後側板32d側の先端わさ部72が踏み板基台部40の落下により踏み板基台部40と共に下方へと引きずられて移動し、先端わさ部72の踏み板組立体2からの解放が若干遅れることがあることが分かった。そのため、罠を動物の脚Fの高い位置に掛けることができず、捕獲に失敗することがあった。
従って、本実施例では、図3、図4(b)、図5(c)に示すように、この先端わさ部72への下方への移動を阻止するために、後側板32dの長手方向略中央部において、且つ、収納容器3に設置された踏み板組立体2の外周囲に巻回された先端わさ部72の下方に近接して、即ち、先端わさ部72の下面に接触、或いは、僅かに離間して、先端わさ部下方移動規制手段67が配置される。本実施例では、先端わさ部下方移動規制手段67は、突起ピン部材67aとされ、後側板32dに形成した貫通孔67bに固定される。本実施例にて、突起ピン部材67aは、頭部67a1と軸部67a2を備えた柱状ピンとされるが、突起ピン部材67aの側板32dからの長さ(L67)は、収納容器3に設置された踏み板組立体2の外周囲に巻回された先端わさ部72の下方移動を規制するものであって、踏み板基台部40が収納容器下方へと落下するのを防止しない長さとされる。突起ピン部材67aを設けることにより、突起ピン部材67aが無い場合に比較すると早く罠を作動させ、動物の脚のより高い位置に掛けることができる。そのため、動物が罠を踏み込んだ時にワイヤーロープ71だけが掛かり、それ以上踏み板組立体2と一緒に下がらないようになる。
後側板32dに形成される貫通孔67bは、1〜2mmの薄板にて作製される側板32dに、所謂、バーリング加工を施すことによって、バーリング高さ(h)が2〜4mmとされる貫通孔67bを得ることができ、突起ピン部材67aを嵌合させることができる。又は、貫通孔67aの内面にネジ加工を施し、突起ピン部材67aとしてネジを使用して、螺合させることもできる。
このように、先端わさ部下方移動規制手段67を設けることにより、動物が踏み板組立体2の踏み板基台部40を踏んだ際に時間遅れをなくして、先端わさ部72をより早くロープ掛けアーム5A、5Bから上方へと抜け出させて罠が作動することを可能とする。これにより、動物の脚のより高い位置に先端わさ部72を掛けることができ、罠が作動しても取り逃がすといった捕獲の失敗をなくすことができる。
本発明者らの研究実験結果によると、先端わさ部下方移動規制手段67を設けなかった場合の、動物の脚における罠が掛かった位置の平均地上高は14.9cmであったのが、先端わさ部下方移動規制手段67を設けた場合には、罠が掛かった位置の平均地上高は16.9mmへと高くなるように改良されることが分かった。
(動物捕獲用罠のセット及び作動)
次に、図1、図2を参照して、本実施例の動物捕獲用罠1のセットの仕方(組立方法)について説明する。
動物捕獲用罠1は、図1、図2に示すように、先ず、上皿である踏み板組立体2の組立てが行なわれる。そのため、各ロープ掛けアーム5A、5Bの連結部52、52が、それぞれ、踏み板基台部40の長手方向両端のフランジ42の上面に当接して載置されるまで、二つのロープ掛けアーム5A、5Bをそれぞれ外方向(図2にてA方向)へと揺動して略水平状態とし、更に、図4(a)に示すように、互いに山形形状をなすように位置させる。
この状態にて、ロープ手段70の捕獲用ワイヤーロープ71の先端に設けられたリング部74を利用して形成された先端わさ部72が、互いに山形形状に配置されたロープ掛けアーム5A、5Bの外周囲を巻回して、踏み板組立体2の外周囲に設置される。この時、ロープ先端わさ部72は、ロープ掛けアーム5A、5Bの周辺フランジ53の上に位置し、且つ、二つのロープ掛けアーム5A、5Bの連結部52ではフランジ53と規制板54の間に位置するようにして設置される。
このような状態にて、踏み板組立体2の外周囲に先端わさ部72を巻回する。次いで、ワイヤーロープ71が貫通し、また、ワイヤーロープ張りばね73の一部或いは全てが挿入されてワイヤーロープ張りばね73の端部に係止した中空状の操作管75aを操作してワイヤーロープ張りばね73を所定位置まで圧縮する。つまり、先端わさ部72に隣接して設けられたワイヤーロープ張りばね73が、図1に示すように、所定位置まで圧縮され、その状態にストッパ75で固定される。従って、先端わさ部72が、ワイヤーロープ張りばね73の圧縮力により踏み板組立体2の外周囲に所定の巻き付け力(縮径力)にて取り付けられる。それにより、踏み板4に設置された両ロープ掛けアーム5A、5Bは、図4(a)にて角度θが例えば170°〜179°となる山形形状の状態に維持される。
このように、本実施例によれば、踏み板組立体2は、各ロープ掛けアーム5A、5Bのなす角度θが180°より小さくなるように、例えば1°〜10°程度さらに回動した山形形状の状態にワイヤーロープ張りばね73の圧縮力により付勢されて停止しているために、踏み板組立体2の外周囲から先端わさ部72が上方へと移動して外れることはない。また、先端わさ部72の下方或いは上方への移動は、ロープ掛けアーム5A、5Bに設けたフランジ53及び上述のようにロープ掛けアーム5A、5Bの連結部52の規制板54により阻止される。
つまり、上述したように、ロープ掛けアーム5A、5Bの外周に掛け回したロープ先端わさ部72は、全体として、ロープ掛けアーム5A、5Bの揺動支持軸50の位置より下方に設置される。また、先端わさ部72は、二つのロープ掛けアーム5A、5Bの連結部52においては、フランジ53と規制板54の間に位置するようにして設置され、また、連結部52の規制板54が僅かに外方へと曲げられていることにより、先端わさ部52が上方から抜け出し難くなっている。そのため、ロープ掛けアーム5A、5Bの外周に掛け回したロープ先端わさ部72により、水平状態に配置されているロープ掛けアーム5A、5Bが上方内方(図2にてB方向)へと揺動することはない。
図2に示すように、踏み板組立体2の外周囲にワイヤーロープ71の先端わさ部72を設置し、ワイヤーロープ張りばね73が所定位置まで圧縮された踏み板組立体2は、図1に示すように、収納容器3内に収容され、受け台60上に載置される。なお、図2に示すように、先端わさ部72には、動物の脚を締め付け過ぎないように、所定の長さを有した金属管とされる締め付け防止金具72aをワイヤーロープ71に取付けることができる。
このようにして収納容器3内に収容載置された踏み板組立体2は、収納容器3の長手方向への移動は、本実施例では、踏み板4の長手方向両端に設けた連結部52の突起部54などが側板32a、32bに係合することによっても長手方向への移動が阻止され、また、収納容器3の幅方向への移動は、踏み板フランジ42の幅方向端面が、収納容器3の前、後側板32c、32dの内面に突き当たることにより規制される。
上記捕獲用罠1の仕掛けの準備作業が終わると、捕獲用罠1を所定の場所に設置する。
ワイヤーロープ71の他端は、当業者には周知の固定具76(図1)を使用して、立木などに固定する。また、踏み板組立体2などには、カバー部材37の動作を妨げない程度に、落ち葉や少量の土などをかけて隠す。
本発明の動物捕獲用罠1は、上述したように、全体形状が、図4にて、長さ(L32)が15cm〜30cm(本実施例では24cm)、幅(W32)が10cm〜20cm程度(本実施例では12cm)とされ、ほぼ大人の靴の大きさ程度、或いは、それ以下にまで小さくすることができ、また、厚さ(H)は、本実施例では、6cm程度まで薄くすることができる。本実施例ではH=6cmとした。従って、可搬性に優れていると共に、罠を仕掛けるに際して、落ち葉などで覆うことにより、必ずしも、収納容器3及び踏み板組立体2などを土中に埋める必要はなく、仕掛けのための作業が極めて容易である。また、仕掛ける場所の環境をほぼ現状のままに維持した状態で罠を設置することができる。
次に、図6を参照して、上述のように構成される本実施例の動物捕獲用罠1の作動について説明する。
図6(a)は、図1と同様に、本発明の動物捕獲用罠1を組立て、仕掛けた状態を示す。この状態にて、図6(b)に示すように、動物の脚部Fが、踏み板4を踏むと、踏み板4が下方へと押し下げられ、動物の体重により体重調整手段65のピン65aが折れ、踏み板4は収納容器3内へと落し込まれる。このとき、動物が踏み板4の中央部でなく偏った場所を踏み込んだ場合であっても、踏み板4の例えば4隅に設けた踏み板ぐら付き防止手段66のピン66aにより、踏み板4はぐら付かずに下方に落下することができる。これにより、通常は両方のロープ掛けアーム5A、5Bが同時に、場合によっては一方のロープ掛けアーム5A又は5Bの方が他方より早く、支持軸50の回りに回転を行い踏み板4に対して相対的に内方へと回転する。
もし、踏み板4を踏み込んだ動物がより小形のキツネ、タヌキなどの場合は、体重調整手段65のピン65aが折れることはなく、従って、踏み板4は下方に落下することはなく、結果として捕獲用罠1は作動しない。
ワイヤーロープ先端わさ部72には、ワイヤーロープ張りばね73により常にその大きさが小さくなるように圧縮力が付勢されており、従って、ロープ掛けアーム5A、5Bには、図6(c)に示すように、ワイヤーロープ先端わさ部72からロープ掛けアーム5A、5Bが内方(矢印B方向)へと移動する力が加速度的に付加される。
これにより、ワイヤーロープ先端わさ部72は、踏み板組立体2の上方へと移動し、ロープ掛けアーム5A、5Bが、図2にて矢印Bの方へと回動すると、踏み板組立体2から上方へと抜け出る。ワイヤーロープ先端わさ部72は、図6(d)に示すように、ワイヤーロープ張りばね73により絞り込まれ、踏み板4を踏んだ動物の脚部Fを瞬時に括り付ける。このとき、先端わさ部下方移動規制手段67の突起ピン部材67a(図4(b)、図5(c)参照)により、先端わさ部72が踏み板4と共に下方へと引きずられて移動することはなく、先端わさ部72は、ロープ掛けアーム5A、5Bから直ちに解放され、その結果、動物の脚Fのより上部に巻き付けられる。従って、本発明の捕獲用罠1によれば、「空はじき」の発生が極めて少ない。
本実施例の上記構成とされる動物捕獲用罠1は、装置全体が小型であり、且つ、薄型とされ、罠を仕掛けるための設置作業が容易であり、狭い場所にも、現状を出来るだけ維持した状態で設置することができる。また、本実施例の動物捕獲用罠1は、可搬性に優れ、しかも、罠の操作が簡単であり、短時間にて罠設置作業が可能である。しかも、上述のように、「空はじき」の発生が極めて少ない。
本発明者らは、本発明に係る動物捕獲用罠の作用効果を立証するために、従来の構成の動物捕獲用罠との比較実験を行った。試験結果を下記表1に示す。
本発明に係る動物捕獲用罠としては、図1〜図5を参照して説明した上記実施例の構成の動物捕獲用罠を使用した。その構成の具体的寸法は下記の通りであった。
収納容器
使用材料:厚さ1mmのアルミ材
左、右側板32a、32b及び前、後側板32c、32dの寸法:H32=60mm、L32=240mm
前、後側板32c、32d間の内側寸法:W32=135mm
受け台60の幅:W60=12mm
受け台60は、左、右側板32a、32bの上端面から距離(H60)が23mmの位置に設置した。上皿である踏み板組立体2は、支持板部41(41A、41B)が側板32c、32dから上方へと突出することはなかった(即ち、図4(b)にて△H≒0)。
踏み板組立体
使用材料:踏み板4は1mm厚のアルミ材、ロープ掛けアーム5A、5Bは2mm厚のアルミ材
踏み板基台部40の寸法:W40=120mm、L40=205mm
支持軸50の間隔及び基台部40からの高さ:L50=60mm、H50=15mm
ロープ掛けアーム5A、5Bの幅:略10mm
両ロープ掛けアーム連結部52、52間の長手方向最大長さ:L2=230mm
比較例としての動物捕獲用罠は、上記本発明と同じ構成の踏み板組立体2を使用した。ただ、上記本発明で使用した収納容器3の代わりに、図8を参照して説明した載置台103と同様の構成に変更した載置台を使用した。つまり、上記構成の収納容器3にて、左、右側板32a、32bは、前、後側板32c、32dより20mm低くし、また、前、後側板間の長さL32は、両ロープ掛けアーム連結部52、52間の長手方向最大長さ(L2)より30mm小さくした。つまり、比較例の動物捕獲用罠においては、図10に示すように、踏み板組立体2は、両ロープ掛けアーム5A、5Bが左、右側板32a、32bから長手方向に△Lが15mmへと突出しており、また、支持板部41(41A、41B)が前、後側板32c、32dより上方へと△Hが3mm突出していた。
上記表1に示す試験結果より、本発明に係る動物捕獲用罠は、従来構成の捕獲用罠に比較すると、誤作動が少なく、捕獲成功率及び空はじき率において飛躍的に改良されていることが理解される。
実施例2
図7(a)、(b)、(c)に本発明の動物捕獲用罠1の他の実施例の全体構成を示す。本実施例において、動物捕獲用罠1は、実施例1と同様の構成とされるが、ただ、踏み板組立体2を収容する収納容器3が断面円形の円筒体とされ、それに従って、踏み板組立体2が、円筒体の収納容器3に収納可能となるように、全体形状が概略円形状とされる点で相違している。
従って、以下には本実施例の捕獲用罠1の概略構成について説明し、実施例1と同じ構造及び機能をなす部材には、同じ参照番号を付し、実施例1の説明を援用し、詳しい説明は省略する。
本実施例の動物捕獲用罠1にて、収納容器3は、円形状の底板31と、底板31から上方へと延在した横断面が円形状とされる上端が開口した円筒体である外周壁部材32にて形成される。所望により、底板31は、設けなくともよい。収納容器3の寸法は、通常、内径(D32)が15〜30cm、高さ(H32)が5〜7cmとされる。
円筒体収納容器3の内側には対向配置して、踏み板組立体2の両ロープ掛けアーム5A、5Bを担持する受け台60、60が設けられる。また、収納容器3には、2つの受け台60、60の中間部において、受け台60が設けられていない円筒体の領域に開口上端縁部3Aから下方に向かって切欠いた切欠き部34が形成されている。該切欠き部34からは、ロープ掛けアーム2の外周囲に巻回されたワイヤーロープ手段70の先端わさ部72に連結されたワイヤーロープ71及びワイヤー張りばね73などが収納容器3から側方外方へと引き出される。
本実施例にて、踏み板組立体2は、全体形状が概略円形状とされるが、実施例1で説明した概略矩形状とされる踏み板組立体2と同様の構造とされ、同じ機能を有している。
つまり、本実施例にて、踏み板組立体2は、二つの脚部51、51と脚部51の一端を連結する連結部52とを有し略U字形状に形成されたロープ掛けアーム5A、5Bが二つ対をなして配置されている。本実施例では、連結部52は、二つの脚部51、51から湾曲形状をなして形成されているが、この湾曲状連結部52が受け台60に担持される。受け台60は、湾曲状連結部52を出来るだけ長い範囲で担持するように、本実施例では、受け台60の最大幅W60は、10〜20mmとされる。ただ、これに限定されるものではない。なお、湾曲状連結部52が実施例1の場合と同様に、受け台60と線接触にて接触してより安定して担持されるように、受け台60の連結部担持面を湾曲状連結部52に沿って傾斜して形成するか、或いは、湾曲状連結部52を受け台60の担持面に沿うように傾斜させて形成することもできる。
本実施例においても、対向配置された対をなすロープ掛けアーム5A、5Bは、支持板部41(41A、41B)に各ロープ掛けアーム5A、5Bの連結部52とは反対側の脚部の他端を支持軸50にて揺動自在に支持され、連結部52が互いに離間する方向に揺動したとき支持軸50が連結部52より上方に位置した山形形状となるようにされる。ワイヤーロープ手段70の先端わさ部72が、山形形状に保持されたロープ掛けアーム5A、5Bの外周囲に巻回され、先端わさ部72にワイヤ張りばね73にて縮径力が付与される。
山形形状に保持された両ロープ掛けアーム5A、5Bの各連結部52、52の外側の最大の長さ(L2)及び踏み板基台部40の長手方向の最大長さ(W40)は、円筒体外周壁部材32の内径(D32)より小さくされる。また、円筒体に設けられた両受け台60、60の内側間の長さ(L60)は、踏み板基台部40の受け台60、60方向、即ち、ロープ掛けアーム5A、5Bの揺動方向の長さ(L40)より大とされる。従って、捕獲動物が踏み板基台部40を踏むことにより、踏み板基台部40が収納容器3内にて下方に落下することができる。
また、実施例1と同様に、踏み板基台部40は規制部材42を有しており、山形形状に設置された両ロープ掛けアーム5A、5Bが更に回転するのを規制する。また、各ロープ掛けアーム5A、5Bにはフランジ53及び規制板54が設けられており、両ロープ掛けアームの外周囲に巻き付けられたワイヤーロープ先端わさ部72が上方へと抜け出るのを防止している。
上述にて理解されるように、本実施例においても、踏み板組立体2が収納容器3内に載置されたとき、ワイヤーロープ手段70が切欠き部34から取り出される以外は、踏み板組立体2を構成する部材が収納容器3の開口上端縁部3Aから上方外方へと、また、側方外方へと突出することはない。
更に、本実施例においても、実施例1と同様に、円筒状外周部材32の開口上端縁部3Aには、少なくとも、切欠き部34を形成した領域に対応する開口上端縁部を除いて、外方へと延在した鍔部材35が一体に形成される。本実施例では、実施例1と同様に、受け台60を形成した領域に対応する開口上端縁部にも鍔部材35は形成されていない。
また、切欠き部34に対応する開口上端縁部には、実施例1と同様に、切欠き部34を覆ってカバー部材37が回動自在に設けられる。
なお、受け台60を形成した領域開口上端部3Aは、鍔部材35が形成された他の領域の高さと同じとすることができるが、収納容器3の受け台60に載置された踏み板組立体2が、収納容器3の円筒状外周部材32を跨いで載置されることなく、完全に収納容器3内に収容されることが確保されることが重要であり、従って、実施例1と同様に、受け台60を形成した領域の円筒状外周部材32の高さは、ロープ掛けアーム5A、5Bの連結部52の規制板54の高さ以上に形成されればよい。
更に、収納容器3に設置された踏み板組立体2の踏み板基台部40の下面に近接配置して、シカ、イノシシなどの動物が踏み板基台部40を押し込んだ場合にのみ踏み板4を下方へと落下させる体重調整手段65を有する。体重調整手段65は、好ましくは、踏み板基台部40の左右対称配置にて設けられているフランジ42部分に位置して設けられる。
また、本実施例においても、収納容器3に設置された踏み板組立体2の踏み板基台部40の上面に、且つ、ロープ掛けアーム5A、5Bより下に近接配置して、踏み板基台部40のぐら付きを防止する踏み板ぐら付き防止手段66が設けられ、更に、収納容器3に設置された踏み板組立体2の両ロープ掛けアーム5A、5Bの外周囲に巻き付けられたワイヤーロープ先端わさ部72の下方に位置して、且つ、切欠き部34の径方向対向位置においてワイヤーロープ先端わさ部72の下方への移動を規制するための先端わさ部下方移動規制手段67が設けられる。これら手段66、67も又、上記体重調整手段65と同様に、好ましくは、踏み板基台部40の左右対称配置にて設けられているフランジ42部分に位置して設けられる。
図7には、体重調整手段65を構成するピン部材65a、貫通孔65bを、踏み板ぐら付き防止手段66を構成するピン様部材66a、貫通孔66bを、及び、先端わさ部下方移動規制手段67を構成する突起ピン部材67aを、図示しているが、これら各手段の構成及び機能は、実施例1の場合と同じとされるので、実施例1の説明を援用し、これ以上の詳しい説明は省略する。
上記構成の本実施例の動物捕獲用罠1は、実施例1にて図6を参照して説明したと同様の作動をなす。
つまり、実施例1と同様にして組立て仕掛けた本実施例の捕獲用罠1に、動物の脚部Fが踏み板4を踏むと、踏み板4が下方へと押し下げられ、収納容器3内へと落し込まれる。ワイヤーロープ先端わさ部72には、ワイヤーロープ張りばね73により常にその大きさが小さくなるように圧縮力が付勢されており、従って、ロープ掛けアーム5A、5Bには、ワイヤーロープ先端わさ部72からロープ掛けアーム5A、5Bが内方(矢印B方向)へと移動する力が加速度的に付加される。
これにより、ワイヤーロープ先端わさ部72は、踏み板組立体2の上方へと移動し、ロープ掛けアーム5A、5Bが矢印Bの方へと回動すると、踏み板組立体2から上方へと抜け出る。ワイヤーロープ先端わさ部72は、ワイヤーロープ張りばね73により絞り込まれ、踏み板4を踏んだ動物の脚部Lを瞬時に括り付ける。
本実施例の動物捕獲用罠1も、実施例1と同様の作用効果を奏し得る。