JP5153404B2 - 積層体の製造方法 - Google Patents
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Description
シワや弛み、気泡の混入の問題は、幅方向が例えば1000mm以上の広幅なロールフィルムを用いて転写する場合に生じやすく、ロール幅が1200mm以上の広幅になると更に顕在化する。
<1> 仮支持体上に転写層を有する広幅状の転写材料を基板に圧着する圧着ローラの前記仮支持体に対する静止摩擦係数(60℃、55%RH)の平均値が0.25〜0.7の範囲であるときに、前記仮支持体と接する前記圧着ローラの軸芯方向における静止摩擦係数(60℃、55%RH)の相対標準偏差を0.25以下に維持して圧着し、圧着後に前記仮支持体を剥離することにより前記転写層を前記基板に転写して積層体を作製する積層体の製造方法である。
本発明の積層体の製造方法は、仮支持体上に転写層を有する広幅状の転写材料を基板に圧着する圧着ローラの前記仮支持体に対する60℃、55%RHでの静止摩擦係数の平均値が0.25〜0.7の範囲であるときに、前記仮支持体と接する前記圧着ローラの軸芯方向における60℃、55%RHでの静止摩擦係数の相対標準偏差を0.25以下に維持して転写材料と基板とを圧着し、圧着後に前記仮支持体を剥離することにより前記転写層を前記基板に転写して積層体を作製する構成としたものである。
この静止摩擦係数の平均値が前記範囲にあるとき、転写材料の仮支持体と接する側の圧着ローラの軸芯方向の静止摩擦係数(60℃、55%RH)の相対標準偏差を0.25以下とする。この相対標準偏差が0.25を超えると、ローラ表面の滑り性が不均一な状態であるので、蛇行した場合に転写材料に加わる歪みが緩和されず、シワ等が発生し、気泡の発生を防止することができない。相対標準偏差としては、気泡の発生防止の点で、0.15以下であるのが好ましい。
なお、相対標準偏差は、標準偏差を平均値で除算したものである。
具体的には、図4に示すように、圧着ローラを回転しない状態に保持し、この圧着ローラの中心角90゜の範囲の外周面に当接するように感光性フィルム12を掛け、この感光性フィルムの一端に錘Wを連結して140Nのテンションを与えると共に、感光性フィルム12の他端に箱体59を連結し、この箱体にペレット61を少しずつ投入し、錘Wが持ち上がった時点での箱体59及びペレット61の総重量と錘Wの重量とから算出される。
また、静止摩擦係数の平均値は、上記方法で圧着ローラの幅方向(軸心方向)に100mm間隔で合計11点測定を行なって得られた静止摩擦係数を平均した値である。
前記表面処理は、有機溶剤を圧着ローラの表面に塗布し、余分な有機溶剤を拭き取り乾燥させる等により行なうことができ、有機溶剤としてはアルコール類が好ましい。有機溶剤は、迅速に乾燥させる観点から、エタノール又はプロパノールが好ましい。有機溶剤は水等と混合して用いてもよく、有機溶剤の使用濃度には特に制限はなく、ローラ表面の状態に応じて適宜選択すればよい。
転写材料のテンションは、フォースゲージにより測定されるものである。
本発明における転写材料は、仮支持体と該仮支持体上に設けられた転写層とを設けて構成されたものであれば特に制限はなく、公知の転写材料を選択することができる。転写材料の例としては、仮支持体上に該仮支持体側から順に、熱可塑性樹脂層(クッション層)と中間層(酸素遮断層)と感光性樹脂層とが積層された転写材料であってもよい。
熱可塑性樹脂層、中間層、及び感光性樹脂層等の転写層は、各々に対応する組成物の塗液を公知の方法で塗布等して形成できる。塗布による場合、例えば、スピナー、ホワイラー、ローラーコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、ワイヤーバーコーター、エクストルーダー等の塗布装置を用いて形成することができる。
感光性樹脂層を転写層とする場合、感光性樹脂層の例として、ブラックマトリクス等の遮光性が求められるときには、特開2005−3861号公報に記載の感光性黒色樹脂層や特開2004−240039号公報に記載の着色組成物を用いて形成される層などが挙げられ、また、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)等の着色パターン(例えばカラーフィルタの着色画素など)を形成するときには、特開2006−23696号公報に記載の着色感光性樹脂組成物を用いて形成される層などが挙げられる。例えばRGB等の着色パターン形成用の感光性樹脂層は、仮支持体上にRGB等の所望の色相に対応する感光性樹脂層形成用の塗布液を塗布等することにより形成することができる。
具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレンと酢酸ビニルあるいはそのケン化物などのエチレン共重合体、エチレンとアクリル酸エステルあるいはそのケン化物、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニル及びそのケン化物などの塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン共重合体、ポリスチレン、スチレンと(メタ)アクリル酸エステルあるいはそのケン化物などのスチレン共重合体、ポリビニルトルエン、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステルあるいはそのケン化物などのビニルトルエン共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル共重合体ナイロン、共重合ナイロン、N−アルコキシメチル化ナイロン、N−ジメチルアミノ化ナイロンなどのポリアミド樹脂、等の有機高分子が挙げられる。
また、基板の厚みは、特に限定はないが、一般には700〜1200μmが好ましく、500〜1100μmがより好ましい。
前記含浸処理とは、ゴム層を膨潤化し、分子間に前記表面コーティング処理で使用可能な低摩擦性材料を含浸させる処理である。
前記チューブ掛けとは、滑り性のあるPTFE系や他の樹脂からなるチューブを圧着ローラ64a、64bのゴム層65a、65bに直接被覆させる処理であり、チューブを熱収縮させ、あるいは接着剤を用いることで圧着ローラ64a、64bに固定することができる。
なお、これらの処理は、少なくとも感光性フィルム12に接する圧着ローラ64aに施されていることが好ましく、必ずしも圧着ローラ64a、64bの両方に施される必要はない。
−感光性転写材料の準備−
仮支持体として、長さ400m×幅1290mm×厚み75μmのポリエチレンテレフタレート(PET;以下、PET仮支持体と称する。)を用意し、その一方の表面に下記のアクリル系下塗剤を用いて、導電層形成用塗布液1を塗布、乾燥し、さらに保護層形成用塗布液2を塗布し、乾燥させた。
〜アクリル系下塗剤〜
<導電層形成用塗布液1>
・カルボン酸基を複数有するアクリル樹脂 ・・・30.9部
(ジュリマーET−410、数平均分子量9700、重量平均分子量17000、固形分濃度30質量%、日本純薬社製)
・メラミン樹脂架橋剤 ・・・3.2部
(ベッカミンM−3、固形分濃度80質量%;大日本インキ化学工業(株)製)
・酸化スズ−酸化アンチモン導電性分散液TDL−1 ・・・154.1部
(TDL−1、固形分濃度17%、三菱マテリアル社製)
・界面活性剤 ・・・0.73部
(ナローアクティHN−100、三洋化成工業社製)
・界面活性剤 ・・・1.44部
(サンデットBL、固形分濃度43質量%、三洋化成工業社製)
・水 ・・・824.4部
・ポリエチレンラッテクス ・・・17.8部
(ケミパールS120、固形分濃度27質量%、三井化学社製)
・コロイダルシリカ ・・・11.8部
(スノーテックスC、固形分濃度20質量%、日産化学社製)
・エポキシ硬化剤 ・・・1.7部
(デナコールEX−614B、ナガセ化成社製)
・界面活性剤 ・・・0.52部
(ナローアクティHN−100、三洋化成工業社製)
・界面活性剤 ・・・0.59部
(サンデットBL、固形分濃度43質量%、三洋化成工業社製)
・メタノール ・・・11.1部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・6.36部
・メチルエチルケトン ・・・52.4部
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=55/11.7/4.5/28.8、分子量=10万、Tg≒70℃) ・・・6.80部
・スチレン/アクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=63/37、平均分子量=1万、Tg≒100℃) ・・・10.2部
・2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン(新中村化学工業(株)製) ・・・9.1部
・下記界面活性剤1の30質量%MEK溶液 ・・・0.54部
メガファックF−780−F(商品名;大日本インキ化学工業(株)製)
組成:C6F13CH2CH2OCOCH=CH2(40部)とH(OCH(CH3)CH2)7OCOCH=CH2(55部)とH(OCH2CH2)7OCOCH=CH2(5部)との共重合体(重量平均分子量3万)
・PVA205(ポリビニルアルコール、(株)クラレ製、鹸化度=88%、重合度550) ・・・32.2部
・ポリビニルピロリドン(アイエスピー・ジャパン社製、K−30)・・・14.9部
・蒸留水 ・・・524部
・メタノール ・・・429部
・カーボンブラック(カラーブラックFW2、デグッサ社製)・・・26.7部
・分散剤 ・・・3.3部
(ディスパロンDA7500(酸価26、アミン価40)、楠本化成(株)製)
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=72/28[モル比])共重合体(重量平均分子量=30,000、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの50質量%溶液)・・・10部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・60部
図1に示す構造と同様に構成された転写装置を準備した。転写装置を構成する圧着機構44を構成する圧着ローラ64a,64bとして、STKM 13A製の内部中空の芯ロールと、該芯ロールの曲面全体をシリコーンで被覆して形成されたシリコーンゴム層(ゴム層)65a,65bとで構成されたゴム被覆ローラを用いた。また、圧着ローラ64aを駆動ローラとし、圧着ローラ64a、64bはともに加熱されるように構成されている。
基板として、長さ1300mm×幅1200mm×厚み0.7mmのガラス基板を準備し、上記より得た感光性転写材料を転写装置に装填して、下記の圧着条件にて圧着、剥離転写することにより、積層体を作製した。このようにして圧着、剥離転写を25000m継続したところ、転写枚数の累積に伴なって蛇行が見られた。
<圧着条件>
・圧着ローラ64a,64bの軸芯方向における線圧:150[N/cm]
・圧着ローラ64a,64bの搬送速度:1.4[m/分]
・圧着ローラ64a,64bの加熱温度:130[℃]
・圧着ローラ64aの外周に掛けられた感光性フィルム12の当接角度:90[゜]
・ガラス基板の基板加熱部66による加熱温度:120[℃]
・ガラス基板のサイズ:幅1100×長さ1300×厚み0.7[mm]
・感光性フィルムのテンション:140[N/幅1090mm]
上記において、25000mの圧着、剥離転写の後、転写枚数の累積により蛇行が生じ始めた圧着ロール64aのゴム層65aの表面をエタノールを用いて洗浄しながら、静止摩擦係数を調整して圧着、剥離転写を10枚行なったときのラミ泡(気泡混入)及び濃淡ムラの発生の有無を下記の方法により評価した。評価結果は、下記表1に示す。
<ラミ泡の評価基準>
○:10枚ともラミ泡の発生はみられなかった。
△:10枚中、一部のガラス基板に密集したラミ泡の発生が確認され、実用上許容できない範囲であった。
×:10枚全てに密集したラミ泡の発生が確認され、品質に支障を来した。
<濃淡ムラの評価基準>
○:10枚とも筋状の濃淡ムラの発生はみられなかった。
△:10枚中、一部のガラス基板に筋状の濃淡ムラが確認され、実用上許容できない範囲であった。
×:10枚全てに筋状の濃淡ムラが確認され、品質上支障を来した。
上記において、25000mの圧着、剥離転写の後、転写枚数の累積により蛇行が生じ始めた圧着ロール64aのゴム層65aの表面をエタノールを用いて洗浄しながら静止摩擦係数を調整し、感光性シートフイルム12のテンションを変えて圧着、剥離転写を10枚行ない、仮支持体を剥離した後、光学顕微鏡にてラミネート状態を観察し、ラミ泡(気泡混入)の有無及びクッション層の剥離の有無を下記の評価基準にしたがって評価した。評価結果は、下記表2に示す。
<ラミ泡の評価基準>
○:10枚ともラミ泡の発生はみられなかった。
△:10枚中、一部のガラス基板に密集したラミ泡の発生が確認され、実用上許容できない範囲であった。
×:10枚全てに密集したラミ泡の発生が確認され、品質に支障を来した。
<クッション層剥離の評価基準>
○:10枚とも発生はみられなかった。
×:10枚中、一枚でも発生が確認された。
Claims (4)
- 仮支持体上に転写層を有する広幅状の転写材料を基板に圧着する圧着ローラの前記仮支持体に対する静止摩擦係数の平均値が0.25〜0.7の範囲であるときに、前記仮支持体と接する前記圧着ローラの軸芯方向における静止摩擦係数の相対標準偏差を0.25以下に維持して圧着し、圧着後に前記仮支持体を剥離することにより前記転写層を前記基板に転写して積層体を作製する積層体の製造方法。
- 前記仮支持体と接する前記圧着ローラの表面はゴム材であることを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
- 前記圧着は、前記圧着ローラを80〜150℃の範囲で加熱して行なうことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の積層体の製造方法。
- 前記転写層は、前記圧着ローラにより80〜150℃の範囲に加熱されたときに30〜30000Pa・sの範囲の粘度特性を示す熱可塑性の感光性樹脂層であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
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