JP5153229B2 - システムキッチン - Google Patents

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Description

本発明は、タオル掛けが設けられたシステムキッチンに関する。
キッチンでは、調理等に水を多用するため、水で濡れた手を頻繁に拭う必要が生じる。そこで、ユーザは、このような水回りの近くにタオル等吸水性を有するものを配置して対処している。
そのとき、ユーザは、調理作業の効率化のため、タオル等を極力近くに配置したいと考えるが、シンクの前面にタオルを配置すると、自己の体がその濡れたタオルに接触し、自己の衣服が水気を帯びてしまう。また、タオルに覆われた収納部の開閉も困難になる問題も生じていた。
そこで、タオルの利用時にはシンクの手前に配置し、不要なときにはガイドレールに沿って端部方向にスライドさせてタオルを待避させることが可能な技術が提案されている(例えば、特許文献1)。かかる技術では、タオルを収納部前面から横方向に自由に動かすことができるので、そのタオルの待避により露出した収納部を容易に開閉することができる。
特開2007−000650号公報
しかし、かかる技術においても、タオルをスライドさせるといった行為は手間であり、頻繁にタオルを利用する場合、却って煩雑になる問題があった。結局、スライド処理が面倒になってくると、タオルは依然としてユーザとシンクとの間に留まることとなり、従来同様、自己の体がそのタオルに接触してしまう。
また、ユーザは、水回り作業時にキッチンに寄り掛かりつつ作業を行うことが多くなるので、その接触によりタオルが滑り落ちてしまう問題も生じていた。
本発明は、従来におけるタオル掛けの上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、タオル掛けへのユーザの接触を防止することで、タオル掛けの使い勝手を向上させると共に、美観や高級感を維持したままでシステムキッチンに収納機器を組み込む領域を確保した、新規かつ改良されたシステムキッチンを提供することを目的としている。
本発明は、タオル掛けの使い勝手を向上させると共にその美観や高級感をも向上させる引出を見出し、さらにそのような引出の横に組み込み式の収納機器を並置したとしても引出外観に備わる美観や高級感を維持することを特徴としている。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、隣接する引出の上下境界線と高さを等しくする下部部材と下部部材を上方に延長する第1上部部材とからなる前板を有する収納筐体、第1上部部材から離間して略水平に設けられた棒状の第1タオル掛け、および第1タオル掛けよりさらに離間して設けられ第1タオル掛けへの所定方向からの接触を防止しかつ当該引出の引き手として機能するように第1上部部材の上端を高さ方向に跨いで第1上部部材に固定される第1保護部材からなり、水平方向にスライド自在に設けられた引出と、第1上部部材の上方向で、当該システムキッチンに固定されシンクの手前を閉塞し、第1上部部材と略同一面を形成する第1幕板と、第1上部部材の横方向で第1上部部材と略同一面を形成する第2上部部材、第2上部部材の前面側において第1タオル掛けと略同一線上に形成される第2タオル掛け、および幕板の前面側において第1保護部材と水平方向に形状が連なる第2保護部材からなり、第1幕板に連結固定された第2幕板と、を備えることを特徴とする、システムキッチンが提供される。
上記引出において、保護部材をタオル掛けとユーザとの間に設ける構成により、ユーザがシンクに寄り掛かったとしても、身体がタオルに直接接触せず、吸水したタオルの水気を逆にユーザの衣服が吸ってしまうといった状況を回避できる。従って、ユーザがキッチンに寄り掛かりつつ水回りの作業を行ったとしても、タオルが滑り落ちてしまうこともない。
また、保護部材が、棒状のタオル掛けを覆うことができる程度の大きさで形成されているので、引き手としての好適に機能し、他の作業をしつつ、手探りで引き手を引くことが可能となり、作業性を向上することができる。また、このような保護部材の厚みによってタオル掛けの支持強度も高くなり、手についた水を拭うときのタオル掛けへの負荷による破損の事態を招くことがなくなる。
さらに、保護部材は、収納筐体の第1上部部材を高さ方向に跨いで形成されているので、引出を収納したときに、第1上部部材と、システムキッチン側に固定された第1幕板との境目が保護部材によって隠れ、美観を向上させることが可能となる。従って、従来における、境目を作らないため収納筐体前板を上端部いっぱいに高く形成して化粧板の機能をもたせるといった対応の必要もなくなる。このように、無駄に高く形成される前板を低く抑えることで内容物を容易に収容、取り出しすることが可能となり、作業性が向上する。
また、システムキッチンのシンク下の空間を有効利用するため、上記引出以外に組み込み式の収納機器(食器洗浄機や乾燥機)を並置したとしても、引出外観に備わる美観や高級感を維持することが可能である。これは、第1タオル掛けや第1保護部材と第2タオル掛けや第2保護部材との連続性により達成される。
引出を収納した状態において第1および第2保護部材は、シンクの幅による境界間の長さと等しくなり一体感が生じ、さらにシステムキッチン側に曲線を描きながら着地するのでシステムキッチンに外観上の連続性も生じ一体感が増す。また、引出をスライドした状態では、引出と共に第1保護部材もスライドし、一体化した第1保護部材と第2保護部材とが前後に分離して意外性が生じる。
第1幕板および第2上部部材は、それぞれ長尺な板で構成され、第1幕板と第2上部部材とをL字形状に組み合わせた状態で第1上部部材と嵌合してもよい。
可動すべき引出の前板は、第1および第2上部部材によるL字形状の幕板に嵌合する。かかる第1および第2上部部材を、全長に渡って断面形状が等しい長尺な板で構成することで、安価かつ処理の迅速化が図れる押し出し成形を用いることができる。ここで、2つの部材を連結するとその間に境界線が生じるが、かかる境界線は第2保護部材の背後に隠れるので、美観を損なわない。
また、当該収納筐体前板の上端は、隣接する他の引出の上端より高い位置に形成され、当該収納筐体前板の内面上方に設けられフックが嵌合可能となるように内部に幅広部を有する略水平方向のガイド溝を備えてもよい。
レードル等の調理器具は、棒状であったり、載置不安定なものが多く、その全長は比較的長い場合が多い。また、収納筐体前板の内面は、他の内面と比較して高く形成されている。従って、収納筐体前板の内面上方にガイド溝を設ける構成により、前板の内面の高さを有効利用することができ、長めの調理器具であっても底面に当接することなく、吊持することが可能となる。
以上説明したように本発明のシステムキッチンによれば、タオル掛けへのユーザの接触を防止することで、タオル掛けの使い勝手を向上させると共に、美観や高級感を維持したままでシステムキッチンに収納機器を組み込む領域を確保することができる。
以下に図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(システムキッチン)
本発明の実施形態によるシステムキッチンとして、ここでは、特別な敷居を設けることなく、リビングとダイニングが1つの部屋で共存する対面式のオープンキッチンを挙げる。かかるオープンキッチンでは、対面式カウンタータイプのキッチンにより、家族や友人とのコミュニケーションがとりやすく、また、キッチン周辺でくつろいだ時間を過ごすことができる。ここで、システムキッチンは、シンク等のキッチン設備を機能的に一体化したものを指す。以下、本実施形態による引出や第1幕板、第2幕板を説明する前に、理解を容易にするため、そのような構成要素を備え付けるシステムキッチンを説明する。
図1は、本実施形態によるシステムキッチン100の概略的な構成を説明するための外観斜視図である。かかるシステムキッチン100は、対面式カウンタ110と壁側戸棚120とに大別できる。なお、以下の実施例に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。
対面式カウンタ110には、シンク140と、シンク140に対して湯水を供給する水栓142と、加熱調理器144と、加熱調理器144からの湯気および熱を屋外に放出するレンジフード146と、煙および熱をレンジフード146に案内する半透明の案内板148と、ワークトップ150と、が設けられ、さらに、軽食やおやつ等を楽しめるカフェテーブル160と、複数の椅子162と、本を収納可能なマガジン収納部164と、を備えることができる。そして、カフェテーブル160はキッチン本体側からの照明に照らされる。
ここで、水回りを形成するシンク140は、樹脂やステンレス鋼板等の金属を材料として用い、プレス成形や注型成形、インジェクション成形等により水切り凹部や排水口と一体的に形成される。また、加熱調理器144は、ガスコンロや石油コンロを利用することができるが、図示したように上面に耐熱ガラス板やセラミック板を設けたIHヒータであってもよい。
また、壁側戸棚120には、戸棚170と、大容量の壁側収納部172とが設けられ、壁側収納部172の上面は、戸棚170底面で発光する照明に照らされる。また、戸棚170の内部にも照明が設けられ、戸棚170の上面および前の板に設けられた透明または半透明の板材を介して間接的に発光する。かかる光は、戸棚170が設置された壁面上方を柔らかく照らし、その壁面に広がる間接照明によって、高級感および美観を向上する。
図2は、本実施形態のシステムキッチンの調理側面を説明するための外観斜視図である。ここで、システムキッチン100は、加熱調理器144のグリル部180と、複数のカウンタ収納部182と、複数の足下収納庫184と、シンク140における水切りメッシュプレート186と、シンク140の下側に対応して位置する引出190と、引出の横で組み込まれた収納機器192と、を含んでいる。
本実施形態では、タオル掛けの使い勝手を向上させると共にその美観や高級感をも向上させる引出190を見出し、さらに、そのような引出190の横に組み込み式の収納機器192を並置したとしても、引出190外観に備わる美観や高級感を維持することができる。
図3は、引出190の詳細な構成を示した外観斜視図である。図3を参照すると、引出190は、引出190の底面に設けられたガイドレール(図示せず)に挟持されつつ、ガイドレールの長手方向に沿って前後にスライド自在であり、ガイドレールの端部に設けられたストッパ(図示せず)によって脱落が防止される。
また、引出190は、収納筐体200と、収納筐体200の前板202から離間して略水平に設けられた棒状の第1タオル掛け204と、第1タオル掛け204よりさらに離間して設けられ、第1タオル掛け204への所定方向からの接触を防止し、かつ引出190の引き手として機能するように収納筐体200の前板202の上端を高さ方向に跨いで前板202に固定される第1保護部材206と、から構成される。
ここで、収納筐体200の前板202は、2つの部材(第1保護部材206を固定する第1上部部材202aと収納筐体200の収容側面の一面を成す下部部材202b)を接合して形成されているが、本実施形態では収納筐体200の前面を形成する一体の板として説明する。
引出190の横には、例えば、食器洗浄機や乾燥機といった収納機器192を開閉可能に組み込むことができる領域が確保されている。本実施形態におけるシンク140下の領域にはシンク140の幅に対応した空間を確保することができるので、引出190の他にこのような収納機器192を備えることができる。また、かかる領域がシンク140の近隣にあるので、ここでは、洗浄前や後の食器の置き換えの利便性から、収納機器192として食器洗浄機、乾燥機を挙げているが、かかる場合に限られず、オーブンや他の電気料理器を設けることも可能である。
また、引出190および収納機器192の上方には、シンク140の手前を閉塞する第1幕板222aと第2幕板220が設けられる。第1幕板222aおよび第2幕板220の第2上部部材222bは、引出190を収納したときに収納筐体前板202の上方向および横方向(収納機器192の上方向)において収納筐体前板202と略同一面を形成する。また、第2幕板220は、上記第2上部部材222bの他、第2上部部材222bの前面側において、第1タオル掛け204と略同一線上に形成される第2タオル掛け224と、第2上部部材222bの前面側において、第1保護部材206と水平方向に形状が連なる第2保護部材226と、から構成される。
第1タオル掛け204および第2タオル掛け224は、第1保護部材206および第2保護部材226のシステムキッチン100前面への水平投影領域に含まれている。即ち、手前から見ると第1タオル掛け204および第2タオル掛け224が第1保護部材206および第2保護部材226に隠れて見えなくなる。従って、タオル掛け付近の複雑な構造を目視させずに済む。
ここでは、収納筐体前板202に対して、第1タオル掛け204および第2タオル掛け224あるいは第1保護部材206および第2保護部材226が略平行に形成され、かつ第1保護部材206および第2保護部材226の位置、特にその上端が第1タオル掛け204および第2タオル掛け224の位置より高くなるので、より確実にユーザのタオル掛けへの接触を回避することができる。従って、ユーザがシンク140に寄り掛かったとしても、身体がタオルに直接接触せず、吸水したタオルの水気を逆にユーザの衣服が吸ってしまうといった状況を回避でき、また、タオルが滑り落ちてしまうこともない。
また、第1保護部材206が、棒状の第1タオル掛け204を覆うことができる程度の大きさで形成されているので、引き手として好適に機能し、他の作業をしつつ、手探りで引き手を引くことが可能となり、作業性を向上することができる。また、このような第1保護部材206の厚みによって第1タオル掛け204の支持強度も高くなり、手についた水を拭うときのタオル掛けへの負荷による破損の事態を招くことがなくなる。
さらに、第1保護部材206は、収納筐体200の前面上端を高さ方向に跨いで形成されているので、引出190を収納したときに、前板202と、システムキッチン側に固定された第1幕板222aとの境目が第1保護部材206によって隠れ、美観を向上させることが可能となる。従って、従来における、境目を作らないため収納筐体前板を上端部いっぱいに高く形成して化粧板の機能をもたせるといった対応の必要もなくなる。このように、無駄に高く形成される前板を低く抑えることで内容物を容易に収容、取り出しすることが可能となり、作業性が向上する。ここで、第1保護部材206の高さ方向の厚みを2分する中央線が収納筐体前板202の上端と等しくなるように形成されてもよい。
図4は、引出190の開閉状態を示した外観斜視図である。特に図4(a)では、引出190が収納された状態を、図4(b)では引出190を開けたときの状態を示している。図4(a)を参照して理解できるように、本実施形態の第1保護部材206は、第2保護部材226と連続的に形成され、両者を合わせた幅Wは、シンク140の幅に応じて形成された境界の幅と等しくなる。このようにしてシステムキッチン100との一体感が生じ、さらにシステムキッチン側に曲線を描きながら着地するのでシステムキッチン100に外観上の連続性も生じるので、一体感が増し、引出190以外の収納機器192を並置したとしても、外観に備わる美観や高級感を維持することが可能である。
引出をスライドした状態では、図4(b)に示すように、引出190と共に第1保護部材206もスライドして、一体化していた第1保護部材206と第2保護部材226とが前後に分離して意外性を感じさせることができる。
また、図4(b)に示すように、第1幕板222aおよび第2上部部材222bは、それぞれ長尺な板で構成され、第1幕板222aと第2上部部材222bとをL字形状に組み合わせた状態で引出前板202の第1上部部材202aと嵌合する。
かかる第1幕板222aおよび第2上部部材222bを、全長に渡って断面形状が等しい長尺な板で構成することで、安価かつ処理の迅速化が図れる押し出し成形を用いることができる。ここで、2つの部材を連結するとその間に境界線が生じるが、かかる境界線は第2保護部材226の背後に隠れるので、美観を損なわない。
また、保護部材が設けられる2つの部材(第1上部部材202a、第2上部部材222b)は、一方の第1上部部材202aが収納筐体200と共に移動し、他方の第2上部部材222bが第1幕板222aに固定されるといったように機能が異なることとなる。
上述した実施形態においては、第2幕板220が第1幕板222aに固定されるので、第2タオル掛け224や第2保護部材226は、第1タオル掛け204および第1保護部材206との外観上の連続性維持が主たる役割となるが、収納機器192の代わりに引出や開き戸等の可動部を採用する場合、その可動部に第2幕板220を固定し、第2保護部材226を第1保護部材206同様に可動部の引き手として機能させることもできる。このように、第2幕板220と第1幕板222aとが別体に形成されているので、第2保護部材226を含む第2幕板220を固定させたり、可動させたり自由に構成することが可能である。
ところで、調理には多種の調理器具(台所用品)が用いられる。また、調理には加熱時間が決められている等、時間方向の制限も厳しく、その調理器具や時間加減によって料理の良し悪しが決まることさえある。ユーザは、手際よく調理を遂行するため、調理場の極力近くに調理器具を配置することを望んでいる。このような調理器具のうち、レードル等は、キッチンの引出内面または開閉扉内面のフックに吊持される。
本実施形態では、上述した作用・効果に加え、レードル等の調理器具の収納空間を適応的に設定または変更し、空間の利用効率、および使い勝手を向上させることが可能となる。
図5は、引出190の収容領域を示した外観斜視図である。本実施形態の引出190の前板202は、アルミニウム等の金属で形成される第1上部部材202aと、木材や樹脂等の材料で形成される下部部材202bとが第2幕板材300によって連結されている。そして、かかる第1上部部材202aに水平方向のガイド溝302を設け、そのガイド溝302にフック310を嵌着する。そして、かかるフック310にレードル等の調理器具320を吊持させる。ここで、フック310は、ガイド溝302に嵌合しつつ、ガイド溝302を移動自在にスライドでき、かつ、任意の位置で嵌着される。このようにガイド溝302は前板内面に設けるのが好ましいが、他の面を排除するものではなく、本実施形態を収納筐体200の側面や後面いずれの面にも適応することができる。
図2に示したように、通常、カウンタ収納部182は、上下の2段構成となり、システムキッチン100の外観の統一を図るため、当該引出の上端もこの境界線に合わせる必要がある。しかし、本実施形態では、第1保護部材206が収納筐体200の上端境目を隠すため、引き出しの前板の高さを、下部部材202bに加え第1上部部材202a分だけ延伸することができる。従って、第1上部部材202aに設けられるガイド溝302は、引出190底面からの距離を長くとることができ、レードル等の調理器具320が長い形状だったとしても引出190底面に支えることなく、フック310に適切に吊持させることができる。
また、上述したフック310とガイド溝302との構成により、調理器具320を吊持するフック310の位置を自由に設定することができ、吊持を要するレードル等の調理器具320を収納する空間を自由に調整することが可能となる。このように占有領域を適応的に変更することが可能な構成により、空間の利用効率を向上することができる。また、調理器具の形状や大きさに応じてもフック310の位置を変更可能なので、複数の調理器具320を所望する順、例えば、図5のように、おたま、フライ返しといった具合に、利用頻度や取り易さを踏まえて並べることができ、使い勝手を向上させることができる。
さらに、このようなフック310の嵌着またはスライドに用いられるガイド溝302は、全長に渡って一定の断面形状を有するので、収納筐体前板を第1上部部材202aと下部部材202bとに分離することで、アルミニウム等の金属からなる第1上部部材202aを押し出し成形により形成することができ、簡易かつ安価に当該引出を構成することが可能となる。
図6は、フック310の形状を説明した説明図である。かかるフック310は、鉛直下向きに凸になるように湾曲させ調理器具320を吊持する吊持部312と、吊持部312と連結され吊持部312を支持する本体部314と、L字形状に形成されガイド溝302と嵌合する嵌合部316とを含んで構成される。また、嵌合部316は、ガイド溝302の幅より細い軸322と、軸322の端部に設けられ横幅がガイド溝302の幅より細く縦幅がガイド溝302の幅より太い頭部324とを有している。ここで、フック310の吊持重力方向、即ち、調理器具320を吊持する湾曲凸方向は、嵌合部316のL字長手方向と等しくなる。フック310がL字形に形成されるとき、ガイド溝302は、断面L字形溝で構成される。
図7は、ガイド溝302へのフック310の位置決めのための嵌着動作を説明するための説明図である。まず図7(a)に示すように断面L字形に形成されたガイド溝302に対して、フック310の嵌合部316のL字先端を直接挿入する。次に、図7(b)に示すが如く、フック310を、ガイド溝長手方向を中心軸にして回動し、L字先端をガイド溝302に押入して嵌着が完了する。ここでは、フック310の掛止重力方向が嵌合部316であるL字端の長手方向と等しくなる。ここでガイド溝302のL字方向は、固定強度が有利な断面L字上方向としたが、かかる場合に限らず、断面L字下方向にガイド溝302を設けてもよい。
上述した本実施形態の嵌着処理には、ネジ等の締結部材を要さず、摩擦によって簡易になされるので、コスト低減を図ることが可能となる。また、スライドおよび嵌着を、治具を用いることなく、片手で容易に実行することができる。さらに、一度嵌着させるとその摩擦によって回動が抑制され、かつ、フック310の本体部314と嵌合部316との応力によってフックの掛止重力方向への高い機械強度を得ることができる。特に、本実施形態においては、ガイド溝302がアルミニウム等の金属上に形成されるため、フック310をさらに強固に固定することができる。
図8は、ガイド溝302へのフック310の位置決めのためのスライドおよび嵌着動作を説明するための説明図である。まず図8(a)に示すように断面L字形に形成されたガイド溝302に対して、フック310を水平方向に倒し、L字端をガイド溝に沿わして挿入する。次に、図8(b)に示すが如く、フック310を水平方向に倒した状態のままで、フック310を所望する取り付け位置にスライドさせ、最後に図8(c)のように、フック310を、軸322を中心に回転させ、垂直姿勢にして嵌着が完了する。ここでは、フック310の掛止重力方向が嵌合部316であるL字端の長手方向と等しくなる。
上述した本実施形態の嵌着処理も、摩擦によって簡易になされ、コスト低減を図ることが可能となる。また、スライドおよび嵌着を、治具を用いることなく、片手で容易に実行することができ、フックの掛止重力方向への高い機械強度を得ることができる。
また、フック310の露出部分である本体部314は、縦横比を均等とせず、フックの嵌着時に露出部分の長手方向が鉛直方向となるように形成される。
フック310の本体部314は、図6に示したような長方形の他、楕円形、菱形等の縦横比が不均等な形状で形成され、ユーザは、かかる本体部314の長手方向が鉛直方向になるように回転するだけで、視認不能な嵌合部を適切な嵌合位置に容易に回動できる。また、何らかの外力が働いて、フック310が嵌着位置から回転推移してしまい、外れかかったとしても、上記長手方向の傾斜によってその旨および回動方向を容易に察知することが可能となり、元の嵌着位置に戻すことができる。
また、フック310は、例えば、樹脂によって形成されるため、着色やマーキングによってその方向を指示することも可能である。こうして、上記同様、フック310を容易にガイド溝302に嵌着することができる。
上述した実施形態においては、フック310の嵌合部316をL字形状で形成したが、かかる場合に限らず、例えば、T字形状等、様々な掛止構造を採用することができる。
図9は、T字形状のフック410およびそれに対応する断面T字形のガイド溝402の形状を説明した説明図である。かかるフック410は、L字形状のフック310同様、吊持部312と、本体部314と、図9に示すような断面T字形状に形成されるガイド溝402に嵌合する嵌合部416とを含んで構成される。
さらに、フックの嵌合部は、弾性を利用したラッチ機構を有し、フックは、挿嵌によっても嵌着可能であってもよい。
図10は、T字形状のフックの他の例を示した説明図である。図10(a)のフック420は、フック410同様、T字形状を有しているが、嵌合部422に弾性部材424を有し、その弾性部材424を用いたラッチ機構によってフック420を回転せずに挿嵌することができる。このとき、嵌合部422の端部は、半球形状になっており、嵌入時には一旦端部が弾性部材424に反して縮まり、T字溝の終端(幅広部)にたどり着くことで再度元の形状に戻る。また、図10(b)のフック430は、図10(a)のフック420同様、T字形状を有しているが、嵌合部432が樹脂の弾性を利用したすりわり形状になっている。また、フック420と比較すると、嵌合部432の端部形状が異なり、フック430では、フック嵌入後は、嵌入時と等しい経路による離脱が不可能となり、回転によってのみ離脱が可能となる。
かかる構成により、フックを回転させなくても、鉛直方向の向きを維持したままでガイド溝に挿嵌することができる。従って、例えば、調理器具を吊持したままその吊持位置を決定することも可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、タオル掛けが設けられたシステムキッチンに利用することができる。
本実施形態によるシステムキッチンの概略的な構成を説明するための外観斜視図である。 本実施形態のシステムキッチンの調理側面を説明するための外観斜視図である。 引出の詳細な構成を示した外観斜視図である。 引出の開閉状態を示した外観斜視図である。 引出の収容領域を示した外観斜視図である。 フックの形状を説明した説明図である。 ガイド溝へのフックの嵌着動作を説明するための説明図である。 ガイド溝へのフックのスライドおよび嵌着動作を説明するための説明図である。 T字形状のフックおよびそれに対応する断面T字形のガイド溝の形状を説明した説明図である。 T字形状のフックの他の例を示した説明図である。である。
符号の説明
100 …システムキッチン
140 …シンク
182 …カウンタ収納部
190 …引出
192 …収納機器
200 …収納筐体
202 …前板
202a …第1上部部材
202b …下部部材
204 …第1タオル掛け
206 …第1保護部材
220 …第2幕板
222a …第1幕板
222b …第2上部部材
224 …第2タオル掛け
226 …第2保護部材
302 …ガイド溝
310 …フック

Claims (3)

  1. 隣接する引出の上下境界線と高さを等しくする下部部材と該下部部材を上方に延長する第1上部部材とからなる前板を有する収納筐体、該第1上部部材から離間して略水平に設けられた棒状の第1タオル掛け、および該第1タオル掛けよりさらに離間して設けられ該第1タオル掛けへの所定方向からの接触を防止しかつ当該引出の引き手として機能するように該第1上部部材の上端を高さ方向に跨いで該第1上部部材に固定される第1保護部材からなり、水平方向にスライド自在に設けられた引出と、
    前記第1上部部材の上方向で、シンクの手前を閉塞し、該第1上部部材と略同一面を形成する第1幕板と、
    前記第1上部部材の横方向で該第1上部部材と略同一面を形成する第2上部部材、該第2上部部材の前面側において前記第1タオル掛けと略同一線上に形成される第2タオル掛け、および前記第1幕板の前面側において前記第1保護部材と水平方向に形状が連なる第2保護部材からなり、前記第1幕板に連結固定された第2幕板と、
    を備えることを特徴とする、システムキッチン。
  2. 前記第1幕板および第2上部部材は、それぞれ長尺な板で構成され、前記第1幕板と第2上部部材とをL字形状に組み合わせた状態で前記第1上部部材と嵌合することを特徴とする、請求項1に記載のシステムキッチン。
  3. 当該収納筐体前板の上端は、隣接する他の引出の上端より高い位置に形成され、
    当該収納筐体前板の内面上方に設けられフックが嵌合可能となるように内部に幅広部を有する略水平方向のガイド溝を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載のシステムキッチン。
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