以下、本発明を産業車両としてのフォークリフトに具体化した一実施形態を図1〜図7にしたがって説明する。以下の説明において「前」「後」「左」「右」「上」「下」は、フォークリフトの運転者Pがフォークリフトの前方(前進方向)を向いた状態を基準とした場合の「前」「後」「左」「右」「上」「下」を示すものとする。
図1に示すように、産業車両としてのフォークリフト10には、車体11の前部に荷役手段としての荷役装置12が設けられている。車体11の中央には、運転席13が設けられている。車体11の前下部には駆動輪(前輪)14が設けられているとともに、車体11の後下部には操舵輪(後輪)15が設けられている。駆動輪14には、車体11に収容されるとともに、駆動輪14に対して駆動力を付与する駆動源(例えば、エンジンや走行モータ)が連結されている。
荷役装置12について説明する。車体11の前部にはマスト16が立設されており、当該マスト16は、左右一対のアウタマスト17とインナマスト18からなる多段式(本実施形態では2段式)とされている。アウタマスト17には、油圧式のティルトシリンダ19が連結されており、該ティルトシリンダ19の作動により車体11に対して前後に傾動可能とされている。インナマスト18には、油圧式のリフトシリンダ20が連結されており、該リフトシリンダ20の作動によりアウタマスト17内をスライドし、昇降可能とされている。また、マスト16には、左右一対のフォーク(荷役具)21がリフトブラケット22を介して設けられている。リフトブラケット22は、インナマスト18に昇降可能に設けられている。荷役作業(荷取り作業及び荷置き作業)は、荷が積載されたパレット(図示しない)をフォーク21で掬い上げることによって行われる。そして、フォーク21は、リフトシリンダ20の駆動によってインナマスト18がアウタマスト17に沿って昇降動作することにより、リフトブラケット22とともに昇降される。また、フォーク21は、ティルトシリンダ19の駆動によってマスト16とともに傾動(前傾及び後傾)するようになっている。
運転席13には、運転者Pが着座可能な運転シート23が設けられている。また、運転席13において、運転シート23の前方には、ハンドルコラム24が設けられている。ハンドルコラム24には、操舵輪15の舵角を変更するための操舵ハンドル25が装着されている。図2に示すように、ハンドルコラム24の右方には、フォーク21(荷役装置12)を昇降動作させる際に運転者Pが操作する昇降操作手段としてのリフトレバー28と、荷役装置12(マスト16)を傾動動作させるときに運転者Pが操作するティルトレバー29が設けられている。リフトレバー28は、中立位置から上昇指示方向又は下降指示方向へ傾動操作可能に構成されており、リフトレバー28の操作時にはその操作方向に応じてリフトシリンダ20が作動(伸縮作動)する。そして、リフトシリンダ20は、上昇又は下降を指示するように傾動操作された状態からリフトレバー28が中立位置に戻されることにより作動が停止する。なお、リフトレバー28の中立位置は、フォーク21(荷役装置12)の上昇及び下降の何れも指示しない位置である。リフトレバー28を構成するグリップ部28dの左側方には、フォーク21(荷役装置12)を所定の揚高位置に自動的に停止させる制御を開始するか否かを選択する際に運転者Pが操作する指示手段としての自動揚高停止ボタン28aが設けられている。自動揚高停止ボタン28aは、押しボタン式とされている。
また、ハンドルコラム24には、フォークリフト10に関する各種情報(例えば、車速情報やエラー情報など)を画像表示する表示手段としての表示器26aを備えた表示装置26が設けられている。本実施形態の表示器26aでは、画像表示可能な画像領域HRが設定されており、該画像領域HRにそれぞれフォークリフト10に関する各種情報を示す複数の表示内容(表示パターン)を切り替えて表示可能となっている(図6に示す)。また、本実施形態の表示器26aは、タッチパネル式の液晶ディスプレイとされており、運転者Pが表示器26aの画像領域HRに触れることで画像領域HRに表示されたボタン画像や所定の情報を選択及び操作可能となっている。本実施形態では、タッチパネル式とされた表示器26aが、記憶操作手段を構成している。また、表示装置26には、フォークリフト10の動作に関連して各種情報をブザー音(音声)により出力する音声装置としてのブザー26bが設けられている。
また、運転席13の下方(フロア)には、アクセルペダル30が設けられている。アクセルペダル30は、フォークリフト10の加速(走行)を指示するとともに車速を調整するためのものである。フォークリフト10は、運転者Pによるアクセルペダル30の踏み込み操作量に応じて前記駆動源(エンジンや走行モータ)が駆動力を発生し、その駆動力が駆動輪14に伝達されて走行する。
また、車体11には、フォークリフト10の走行制御や荷役制御を含む各種制御を行う車両制御装置31が設けられている。また、車体11には、油圧タンク32(図3に図示する)に貯油されている作動油を汲み上げて、該作動油をティルトシリンダ19及びリフトシリンダ20に供給する油圧ポンプ33(図3に図示する)が設けられている。また、車体11には、ティルトシリンダ19及びリフトシリンダ20に対する作動油の流路を切り換える電磁比例弁34(図3に図示する)が設けられている。電磁比例弁34は、作動油の流路を形成する管路を介して、ティルトシリンダ19、リフトシリンダ20、油圧タンク32及び油圧ポンプ33に接続されている。本実施形態では、リフトシリンダ20、油圧ポンプ33及び電磁比例弁34が、動作機構を構成している。
次に、本実施形態のフォークリフト10の電気的構成を図3にしたがって説明する。
車両制御装置31には、制御動作を所定の手順で実行することができるCPU(中央処理装置)31aが設けられている。また、車両制御装置31には、ROM31b、RAM31c、及び読み書き可能で且つ不揮発性のEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )31dが備えられている。本実施形態では、ROM31b、RAM31c、及びEEPROM31dが、記憶手段を構成している。ROM31bには、フォークリフト10の走行や荷役を制御するための制御プログラム等が記憶されている。また、EEPROM31dには、フォーク21を自動的に停止させる揚高位置として運転者Pが選択可能なように、運転者Pが所望の位置に停止させたフォーク21(荷役装置12)の揚高位置(高さ位置)を予め記憶(格納)するための複数の記憶領域が設定されている。本実施形態のEEPROM31dでは、記憶領域としてメモリ領域A、メモリ領域B、及びメモリ領域Cの3つのメモリ領域が設定されている。EEPROM31dに記憶された揚高位置は、フォークリフト10がキーオフ操作により動作を終了しても記憶保持されるようになっている。また、RAM31cには、表示器26aにメモリ領域A〜Cに記憶された揚高位置の大小を示す画像(情報)を表示させるための大小関係データ(表示情報)を記憶するためのデータメモリ領域MA〜MCが設定されている(図6(b)及び図6(c)に示す)。また、RAM31cには、表示器26aにフォーク21の現在の揚高位置の大小を示す画像(情報)を表示させるための大小関係データを記憶するためのデータメモリ領域MKが設定されている(図6(b)及び図6(c)に示す)。本実施形態の大小関係データは、「1」〜「7」までの数値とされている。
また、ROM31bには、それぞれ異なる3種類の音声パターンとしてのブザー音パターンP1〜P3が記憶されている。ブザー音パターンP1〜P3は、フォーク21を自動的に停止させる揚高位置を運転者Pに報知するためのブザー音パターンとなっており、それぞれフォーク21の揚高位置の大小を示すブザー音パターンが設定されている。例えば、本実施形態のブザー音パターンP1には「ピッ、ピッ、ピッ」が、ブザー音パターンP2には「ピピッ、ピピッ、ピピッ」が、ブザー音パターンP3には「ピピピッ、ピピピッ、ピピピッ」が特定される。このため、ブザー音パターンP1<ブザー音パターンP2<ブザー音パターンP3の順に、大きい揚高位置を示すようになっている。また、車両制御装置31には、ブザー26bが接続されており、該ブザー26bからブザー音(音声)を出力可能となっている。
車両制御装置31には、揚高検出手段としての揚高センサ16a、ボタンスイッチ28c、及びリフトレバーセンサ28bが電気的に接続されている。
揚高センサ16aは、マスト16に配設されている。揚高センサ16aは、フォーク21の揚高位置(高さ位置)を検出し、検出したフォーク21の揚高位置に応じた電圧(例えば、0〜5[V])を揚高検出信号として連続的に出力可能に構成されている。揚高センサ16aは、例えばリールセンサからなる。そして、車両制御装置31のCPU31aは、揚高センサ16aからの揚高検出信号を入力することにより、フォーク21の現在の揚高位置を認識するようになっている。なお、以下の説明において、揚高センサ16aが検出する運転者Pが停止させたフォーク21(荷役装置12)の揚高位置を、「検出揚高位置」と示す。
ボタンスイッチ28cは、自動揚高停止ボタン28aに設けられており、自動揚高停止ボタン28aが押込み操作されたことを検出する。また、ボタンスイッチ28cは、押込み操作されると指示信号を車両制御装置31に出力する。そして、車両制御装置31のCPU31aは、ボタンスイッチ28cから指示信号を入力することにより自動揚高停止ボタン28aが押込み操作されたことを認識するようになっている。
リフトレバーセンサ28bは、リフトレバー28に配設されており、リフトレバー28のレバー角(操作量)を検出する。また、リフトレバーセンサ28bは、リフトレバー28のレバー角に応じた角度検出信号を車両制御装置31に出力する。そして、車両制御装置31のCPU31aは、リフトレバーセンサ28bからの角度検出信号を入力することによりリフトレバー28のレバー角を認識する。すなわち、車両制御装置31のCPU31aは、角度検出信号に基づき、リフトレバー28が上昇指示方向又は下降指示方向に指示されたことや、中立位置に位置していることを認識するようになっている。
そして、本実施形態の車両制御装置31には、フォーク21をメモリ領域A〜Cに記憶された揚高位置に対し自動的に停止させる自動揚高停止機能が搭載されている。自動揚高停止機能は、メモリ領域A〜Cに記憶された揚高位置のうち最寄りの揚高位置を目標揚高位置として、フォーク21を自動的に停止させる最寄り停止とされている。なお、本実施形態における「最寄り停止」とは、図4に示すように、停止されているフォーク21の検出揚高位置(揚高位置Gに示す)を基準として、メモリ領域A〜Cに記憶された揚高位置のうちフォーク21の上昇方向側(矢印Y1に示す)に位置し、且つ最も近い揚高位置にフォーク21を停止させることをいう。すなわち、本実施形態の「最寄り停止」では、例えば、揚高位置SY1と揚高位置SY2とがメモリ領域A〜Cのうち何れかに記憶されている場合、検出揚高位置(揚高位置G)からフォーク21の上昇方向側に位置する揚高位置SY1までの上昇距離T1よりも、検出揚高位置(揚高位置G)からフォーク21の下降方向側(矢印Y2に示す)の揚高位置SY2までの下降距離T2のほうが小さい場合であっても、上昇方向側に位置する揚高位置SY1にフォーク21を停止させるようになっている。
また、本実施形態の車両制御装置31には、運転者Pが所望の揚高位置に停止させたフォーク21の検出揚高位置をメモリ領域A〜Cに記憶させる設定モードが用意されている。なお、本実施形態において、車両制御装置31が設定モードとされていない状態と区別するため、フォークリフト10の走行やフォーク21を昇降動作させるためのモードを、通常モードと示す。
また、車両制御装置31には、表示器26aが電気的に接続されており、表示器26aの画像領域HRに表示させる表示内容を制御可能となっている。また、車両制御装置31は、画像領域HRのどの領域に運転者Pが触れたかを示す選択領域信号を入力可能に構成されている。そして、車両制御装置31は、選択領域信号に示された選択領域に基づき、運転者Pにより指示された操作内容を認識するようになっている。
次に、表示器26aに表示可能な画像及び表示パターン(表示内容)について図5及び図6に基づき説明する。
まず、表示器26aに表示される、フォーク21(荷役装置12)の揚高位置の大小(高低)を示す揚高シンボルH1〜H7について説明する。
図5に示すように、揚高シンボルH1〜H7は、フォーク21の揚高位置の大小を運転者Pが認識可能なように、7段階の揚高位置にそれぞれ停止されたフォーク21(荷役装置12)をシンボル化(模式化)して構成されている。具体的に説明すると、揚高シンボルH1〜H7は、最も小さい(低い)揚高位置のフォーク21を示す揚高シンボルH1から、最も大きい(高い)揚高位置のフォーク21を示す揚高シンボルH7まで順に大きな揚高位置のフォーク21を示している。そして、各揚高シンボルH1〜H7は、フォーク21の揚高位置が視覚的に大きい(高い)のか、小さい(低い)のかを識別できるようになっている。そして、揚高シンボルH1〜H7は、揚高シンボルH1から揚高シンボルH7まで順に、大小関係データ「1」〜「7」とそれぞれ1対1となるように対応付けられている。
次に、表示器26aに表示される表示パターンについて説明する。
図6(a)に示すように、表示器26aは、通常モードに対応する表示パターン(以下、「通常表示パターン」と示す)として、フォークリフト10の走行速度を示す速度情報J1及び、水温やバッテリ残量を示す車体情報J2を画像領域HRに表示可能となっている。
図6(b)及び図6(c)に示すように、表示器26aは、設定モードに対応する表示パターン(以下、「設定表示パターン」と示す)として、メモリ領域A〜Cに揚高位置を記憶させる際に選択及び操作されるボタン類や、揚高シンボルH1〜H7を表示可能となっている。具体的に説明すると、設定表示パターンにおいて画像領域HRの上端には、車両制御装置31が設定モードに移行していることを運転者Pに報知するための表題が表示されている。本実施形態では、「HEIGHT SET」からなる文字列とされている。
前記表題の下方であって画像領域HRの上下方向略中央には、メモリ領域A〜Cに対応させて揚高位置に関する情報として揚高シンボルH2,H4,H6の何れかを表示する表示領域としての情報表示領域RA〜RCが同一画面上に横並びで設定されている。また、画像領域HRにおける各情報表示領域RA〜RCの下方には、情報表示領域RA〜RCに表示される揚高シンボルH2,H4,H6と、各メモリ領域A〜Cとがそれぞれ対応付けされていることを運転者Pに認識させるため、「A」、「B」及び「C」の文字画像がそれぞれ配置されている。
また、画像領域HRにおいて情報表示領域RA〜RCの右側方には、検出揚高位置に関する情報として揚高シンボルH1〜H7の何れかを表示する追加表示領域としての情報表示領域RKが設定されている。なお、本実施形態では、情報表示領域RA〜RC,RKは、画像領域HRにおいて同一画面上に横並びに設定されており、各情報表示領域RA〜RC,RKに表示された揚高シンボルH1〜H7が示すフォーク21の揚高位置の大小を相互に比較可能となっている。
また、画像領域HRにおいて情報表示領域RA〜RC,RKの左下方には、運転者Pが「選択の確定」を意思表示するために操作するセットボタン画像B1が配置されている。セットボタン画像B1の右方であって画像領域HRの下方略中央には、選択されているメモリ領域を運転者Pに報知するためのカーソルCUを、他のメモリ領域が選択された状態に移動表示させる左移動ボタン画像B2及び右移動ボタン画像B3が配置されている。各移動ボタン画像B2,B3の右方であって画像領域HRの右下方には、設定モードを終了して通常モードに移行させるための終了ボタン画像B4が配置されている。
図6(d)に示すように、表示器26aは、通常モードにおいて最寄り停止が行われていることを示す表示パターン(以下、「最寄り停止表示パターン」と示す)として、メモリ領域A〜Cに記憶された揚高位置に関する情報を表示するようになっている。具体的に説明すると、画像領域HRの上下方向略中央には、メモリ領域A〜Cに記憶された揚高位置に関する情報として、揚高シンボルH2,H4,H6の何れかを表示する情報表示領域RA〜RCが同一画面上に横並びで設定されている。また、画像領域HRにおける各情報表示領域RA〜RCの下方には、情報表示領域RA〜RCに表示される揚高シンボルH2,H4,H6と、各メモリ領域A〜Cとがそれぞれ対応付けされていることを運転者Pに認識させるため、「A」、「B」及び「C」の文字画像がそれぞれ配置されている。
また、最寄り停止表示パターンにおいて、表示器26aは、メモリ領域A〜Cのうち最寄り停止の目標揚高位置とされた揚高位置が記憶されたメモリ領域に対応する情報表示領域に表示された揚高シンボルに矢印YMの画像を伴わせるとともに、揚高シンボルを点滅表示可能に構成されている。
次に、車両制御装置31のCPU31aが実行する制御について図6及び図7に基づき説明する。本実施形態では、以下の制御を実行する車両制御装置31のCPU31aが、制御手段、規制手段、及び音声制御手段として機能するようになっている。
まず、CPU31aが、メモリ領域A〜Cに記憶された揚高位置の大小関係を比較して判定し、大小関係データをメモリ領域A〜Cに割り当てる判定制御について説明する。なお、判定制御は、運転者Pのキーオン操作によりフォークリフト10(車両制御装置31)がプログラム起動した際、及びEEPROM31dのメモリ領域A〜Cに記憶された揚高位置のうち何れかが書き換えられたことを契機として実行されるようになっている。
車両制御装置31のCPU31aは、各メモリ領域A〜Cに記憶された揚高位置の記憶値を読み出す。そして、CPU31aは、読み出した各揚高位置の記憶値の大小関係を比較し、判定する。続けて、揚高位置の大小関係を判定したCPU31aは、該判定結果に基づきメモリ領域A〜Cにそれぞれ大小関係データを割り当て、該割り当てた結果をそれぞれデータメモリ領域MA〜MCに記憶させる。本実施形態では、メモリ領域Aに割り当てられた大小関係データは、データメモリ領域MAに、メモリ領域Bに割り当てられた大小関係データは、データメモリ領域MBに、メモリ領域Cに割り当てられた大小関係データは、データメモリ領域MCに記憶される。
具体的に説明すると、メモリ領域A〜Cの全てに揚高位置が記憶されている場合、CPU31aは、メモリ領域A〜Cに記憶された揚高位置の中で最も小さい(低い)揚高位置と判定した揚高位置(以下、「小揚高位置」と示す)が記憶されたメモリ領域に対し大小関係データとして「2」を割り当てるとともに、小揚高位置が記憶されたメモリ領域に対応するデータメモリ領域に記憶させる。また、CPU31aは、メモリ領域A〜Cに記憶された揚高位置の中で中間の揚高位置と判定した揚高位置(以下、「中揚高位置」と示す)が記憶されたメモリ領域に対し大小関係データとして「4」を割り当てるとともに、中揚高位置が記憶されたメモリ領域に対応するデータメモリ領域に記憶させる。また、CPU31aは、メモリ領域A〜Cに記憶された揚高位置の中で最も大きい(高い)揚高位置と判定した揚高位置(以下、「大揚高位置」と示す)が記憶されたメモリ領域に対し大小関係データとして「6」を割り当てるとともに、大揚高位置が記憶されたメモリ領域に対応するデータメモリ領域に記憶させる。
また、メモリ領域A〜Cのうち2つのメモリ領域にのみ揚高位置が記憶されている場合、CPU31aは、メモリ領域に記憶された揚高位置のうち大きい方の揚高位置が記憶されたメモリ領域に対し大小関係データとして「6」を割り当てるとともに、対応するデータメモリ領域に記憶させる一方、小さい方の揚高位置が記憶されたメモリ領域に対し大小関係データとして「2」を割り当てるとともに、対応するデータメモリ領域に記憶させる。
また、メモリ領域A〜Cのうち1つのメモリ領域にのみ揚高位置が記憶されている場合、CPU31aは、揚高位置が記憶されたメモリ領域に対し大小関係データとして「4」を割り当てるとともに、対応するデータメモリ領域に記憶させる。
次に、設定モード時において車両制御装置31のCPU31aが実行する制御について説明する。
CPU31aは、通常モードにおいて表示器26aから選択領域信号を入力すると、運転者Pが所望の揚高位置に停止させたフォーク21の検出揚高位置を揚高検出信号に基づき把握するとともに、各メモリ領域A〜Cに記憶された揚高位置の記憶値を読み出す。
CPU31aは、メモリ領域A〜Cの全てに揚高位置が記憶されている場合、検出揚高位置が、大揚高位置より大きい揚高位置のときには大小関係データとして「7」を、大揚高位置と中揚高位置の中間の揚高位置のときには大小関係データとして「5」を、中揚高位置と小揚高位置の中間の揚高位置のときには大小関係データとして「3」を、小揚高位置より小さい揚高位置のときには大小関係データとして「1」を割り当てるとともにデータメモリ領域MKに記憶させる。
また、メモリ領域A〜Cのうち2つのメモリ領域にのみ揚高位置が記憶されている場合、CPU31aは、検出揚高位置がメモリ領域に記憶された大きい方の揚高位置より大きいときには大小関係データとして「7」を、小さい方の揚高位置より小さいときには大小関係データとして「1」を、中間のときには大小関係データとして「4」を割り当てるとともにデータメモリ領域MKに記憶させる。
また、メモリ領域A〜Cのうち1つのメモリ領域にのみ揚高位置が記憶されている場合、CPU31aは、検出揚高位置がメモリ領域に記憶された揚高位置より大きいときには大小関係データとして「6」を、小さいときには大小関係データとして「2」を割り当てるとともに、データメモリ領域MKに記憶させる。
また、CPU31aは、検出揚高位置がメモリ領域A〜Cの何れかに記憶された揚高位置と等しい場合、検出揚高位置と等しい揚高位置が記憶されたメモリ領域に割り当てた大小関係データと同一値を割り当てるとともに、データメモリ領域MKに記憶させるようになっている。
そして、CPU31aは、データメモリ領域MA〜MCに記憶されている各大小関係データ、及びデータメモリ領域MKに記憶させた大小関係データを表示器26aに出力し、表示器26aの表示内容を通常表示パターンから設定表示パターンに変更させるとともに、大小関係データに対応する揚高シンボルH1〜H7が情報表示領域RA〜RC,RKに表示されるように表示器26aを制御する。なお、CPU31aは、大小関係データが割り当てられていないメモリ領域に対応する情報表示領域に、揚高シンボルが表示されないように表示器26aを制御する。また、CPU31aは、情報表示領域RKに表示される揚高シンボルが点滅表示されるように、表示器26aを制御する。
設定モードにおいてCPU31aは、各移動ボタン画像B2,B3に対応する領域に触れられたことを示す選択領域信号を入力すると、揚高位置を記憶させるメモリ領域として運転者Pが選択したメモリ領域が変更されたと認識する。また、CPU31aは、セットボタン画像B1に対応する領域に触れられたことを示す選択領域信号を所定時間(本実施形態では、2秒)継続して入力すると、選択されているメモリ領域に対して検出揚高位置を記憶させる意思表示が運転者Pによりなされたと判定するようになっている。そして、CPU31aは、検出揚高位置の値を選択されたメモリ領域に記憶させる。
また、CPU31aは、メモリ領域A〜Cの何れかに記憶された揚高位置が書き換えられたことを契機として前述の判定制御を実行し、メモリ領域A〜Cに記憶された揚高位置の大小関係を比較し、再判定する。そして、CPU31aは、再判定結果に基づきメモリ領域A〜Cに大小関係データを割り当てなおし、各データメモリ領域MA〜MCに記憶させる。また、CPU31aは、揚高位置を書き換えたメモリ領域に対応するデータメモリ領域に記憶された大小関係データと同一値を割り当て、データメモリ領域MKに記憶させる。そして、CPU31aは、データメモリ領域MA〜MC,MKに記憶させた各大小関係データを表示器26aに出力するとともに、表示器26aの表示内容を再表示させて情報表示領域RA〜RC、RKに表示される揚高シンボルH1〜H7を更新表示させる。なお、CPU31aは、メモリ領域A〜Cの何れかに記憶された揚高位置が書き換えられたことを運転者Pに報知するため、情報表示領域RA〜RCに表示された揚高シンボルH1〜H7にそれぞれ矢印YMを伴わせて表示させるように表示器26aを制御する。
また、CPU31aは、設定モードにおいて情報表示領域RA〜RCの何れかに対応する領域に触れられたことを示す選択領域信号を所定時間(例えば、2秒)継続して入力すると、選択領域信号に示された情報表示領域に対応するメモリ領域の記憶値を削除(クリア)する意思表示が運転者Pによりなされたと判断し、対応するメモリ領域の記憶値を削除するようになっている。また、CPU31aは、終了ボタン画像B4に対応する領域に触れられたことを示す選択領域信号を入力すると、設定モードを終了するとともに、表示内容が設定表示パターンから通常表示パターンに切り替えられるように表示器26aを制御する。
次に、車両制御装置31のCPU31aが、フォーク21(荷役装置12)を目標揚高位置に停止させる最寄り停止を行う際に実行する最寄停止制御について説明する。なお、以下に説明する最寄停止制御は、メモリ領域A〜Cのうち1つ以上のメモリ領域に揚高位置が記憶されている場合に実行する制御である。すなわち、メモリ領域A〜Cの何れにも揚高位置が記憶されていない場合、CPU31aは、最寄停止制御を実行しないようになっている。
車両制御装置31のCPU31aは、ボタンスイッチ28cから指示信号を入力するとともに、リフトレバー28が上昇指示方向へ傾動されたと認識すると最寄停止制御の開始が指示されたと判断し、最寄停止制御を開始する。CPU31aは、最寄停止制御の開始が指示された際に運転者Pにより停止されているフォーク21の検出揚高位置を揚高検出信号に基づき把握するとともに、各メモリ領域A〜Cに記憶された揚高位置の記憶値を読み出す。CPU31aは、検出揚高位置がメモリ領域A〜Cに記憶された揚高位置の中で最も大きい揚高位置より大きい場合には、最寄停止制御の開始を中止するとともに、表示器26aの表示内容を通常表示パターンから最寄り停止表示パターンに切り替えないように制御する。すなわち、CPU31aは、最寄停止制御の開始を中止した場合、表示器26aに揚高シンボルが表示されないように制御するようになっている。
一方、CPU31aは、検出揚高位置がメモリ領域A〜Cに記憶された揚高位置の中で最も大きい揚高位置よりも小さい場合、メモリ領域A〜Cに記憶された揚高位置のうち検出揚高位置よりフォーク21の上昇方向側に位置し、且つ最も近い揚高位置を目標揚高位置として決定しRAM31cの所定領域に記憶させる。
続けて、データメモリ領域MA〜MCに記憶されている各大小関係データを表示器26aに出力し、表示器26aの表示内容を通常表示パターンから最寄り停止表示パターンに変更させるとともに、大小関係データに対応する揚高シンボルが情報表示領域RA〜RCに表示されるように表示器26aを制御する。また、CPU31aは、目標揚高位置とした揚高位置が記憶されたメモリ領域に対応する情報表示領域に表示された揚高シンボルが、矢印YMを伴わせた状態で点滅表示されるように表示器26aを制御する。このため、運転者Pは、メモリ領域A〜Cのうち何れのメモリ領域に記憶された揚高位置を目標揚高位置として最寄停止制御が実行されているかを容易に認識することができる。なお、CPU31aは、大小関係データが割り当てられていないメモリ領域に対応する情報表示領域に、揚高シンボルが表示されないように表示器26aを制御する。
また、CPU31aは、最寄停止制御を実行中に、目標揚高位置とした揚高位置の大小関係データに基づきブザー音パターンP1〜P3からブザー音パターンを選択し、該選択したブザー音パターンによりブザー26bにブザー音を出力させる。具体的にいうと、CPU31aは、大小関係データとして「2」を割り当てたメモリ領域に記憶された揚高位置を目標揚高位置とした場合にはブザー音パターンP1を、大小関係データとして「4」を割り当てたメモリ領域に記憶された揚高位置を目標揚高位置とした場合にはブザー音パターンP2を、大小関係データとして「6」を割り当てたメモリ領域に記憶された揚高位置を目標揚高位置とした場合にはブザー音パターンP3を選択し、該選択したブザー音パターンによりブザー26bにブザー音を出力させる(図7に示す)。換言すると、CPU31aは、大揚高位置を目標揚高位置とした場合にはブザー音パターンP3を、中揚高位置を目標揚高位置とした場合にはブザー音パターンP2を、小揚高位置を目標揚高位置とした場合にはブザー音パターンP1を、選択してブザー26bにブザー音を出力させるようになっている。
次に、CPU31aは、自動揚高停止ボタン28a及びリフトレバー28の操作に基づき電磁比例弁34を開放させて油圧ポンプ33から供給される作動油をリフトシリンダ20に流入させ、フォーク21の上昇を開始させる。そして、CPU31aは、揚高センサ16aが検出するフォーク21の揚高位置と最寄停止制御の目標揚高位置とが一致するように、電磁比例弁34を閉じるように制御する。なお、CPU31aは、揚高センサ16aが検出するフォーク21の揚高位置と目標揚高位置とが一致する直前から電磁比例弁34の開度を徐々に減少させ、油圧ポンプ33から供給される作動油の量を調整してフォーク21の上昇速度を減少させながら停止させるようになっている。
CPU31aは、フォーク21を目標揚高位置に停止させると、最寄停止制御を終了するとともに、表示器26aの表示内容を、最寄り停止表示パターンから通常表示パターンに変更させるように制御する。運転者Pは、表示器26aの表示内容が、最寄り停止表示パターンから通常表示パターンに切替わることより、最寄停止制御が終了したこと、すなわちフォーク21が目標揚高位置に停止されたことを認識できるようになっている。なお、本実施形態のCPU31aは、フォーク21が目標揚高位置に停止されて最寄停止制御を終了すると、リフトレバー28が中間位置に戻されたことを示す角度検出信号を入力した後でなければ、再び最寄停止制御の開始が指示されても最寄停止制御を実行しないようになっている。換言すれば、CPU31aは、最寄停止制御の終了後に、リフトレバー28が中間位置に戻されたことを示す角度検出信号を入力すれば、新たに最寄停止制御の開始が指示されることで、最寄停止制御を実行するようになっている。
また、本実施形態のCPU31aは、自動揚高停止ボタン28aとリフトレバー28が同時に、且つ継続して操作されていることを条件として最寄停止制御を継続するようになっている。すなわち、CPU31aは、最寄停止制御を実行中において、ボタンスイッチ28cから指示信号を入力しなくなったり、リフトレバー28が中立位置に戻されたことを示す角度検出信号を入力したりすると、最寄停止制御を中止する。そして、CPU31aは、電磁比例弁34を閉じるように制御し、フォーク21が目標揚高位置に到達する前であっても、自動揚高停止ボタン28a及びリフトレバー28が同時に操作されていない状態となった際にフォーク21が位置している揚高位置に、フォーク21を停止させる。そして、CPU31aは、通常表示パターンを表示するように表示器26aを制御する。
次に、本実施形態のフォークリフト10の作用について、表示器26a(画像領域HR)の表示態様を中心に、図6及び図7に基づき説明する。なお、以下の説明において、一例として、メモリ領域Aには揚高位置SY2が、メモリ領域Bには揚高位置SY3が、メモリ領域Cには揚高位置SY1が既に記憶されているものとする。また、揚高位置SY1〜SY3及び検出揚高位置(揚高位置G3)は、揚高位置SY1>検出揚高位置(揚高位置G3)>揚高位置SY2>揚高位置SY3の順に大きい(高い)揚高であるものとする。
まず、設定モードにおける表示器26aの表示態様について説明する。
なお、運転者Pは、通常モードにおいてリフトレバー28を操作して、フォーク21を所望の揚高位置G3に停止させているものとする。
図6(b)に示すように、運転者Pが表示器26aの画像領域HRにふれることで、表示器26aでは、通常表示パターン(図6(a))から設定表示パターン(図6(b))に表示内容が切替わる。この状態において、表示器26aでは、情報表示領域RAには揚高シンボルH4が、情報表示領域RBには揚高シンボルH2が、情報表示領域RCには揚高シンボルH6が表示される。そして、情報表示領域RKには、揚高シンボルH5が点滅表示される。このため、運転者Pは、各情報表示領域RA〜RC,RKに表示された揚高シンボルを比較することで、メモリ領域C>メモリ領域A>メモリ領域Bの順に大きい揚高位置が記憶されていることを認識することができる。さらに、運転者Pは、検出揚高位置(揚高位置G3)がメモリ領域Aに記憶された揚高位置(揚高位置SY2)と、メモリ領域Cに記憶された揚高位置(揚高位置SY1)との間の揚高位置であることを容易に認識することができる。
この状態において、運転者Pがメモリ領域Bに対し検出揚高位置(揚高位置G3)を記憶させると、図6(c)に示すように、CPU31aにより「メモリ領域C>メモリ領域B>メモリ領域A」のように揚高位置の大小関係が再判定され、情報表示領域RAには揚高シンボルH2が、情報表示領域RBには揚高シンボルH4が、情報表示領域RCには揚高シンボルH6が矢印YMを伴った状態で表示される。また、画像領域HRの情報表示領域RKには、情報表示領域RBと同一の揚高シンボルH4が点滅表示される。
次に、最寄停止制御を実行中における表示器26aの表示態様について説明する。
図7に示すように、フォーク21が、メモリ領域Bに記憶された揚高位置SY3より小さい揚高位置(揚高位置G1に示す)に停止している場合、最寄停止制御の開始が運転者Pにより指示されると、表示器26aでは、通常表示パターン(図6(a))から最寄り停止表示パターン(図6(d))に表示内容が切替わるとともに、情報表示領域RAには揚高シンボルH4が、情報表示領域RBには揚高シンボルH2が、情報表示領域RCには揚高シンボルH6が表示される。また、情報表示領域RBに表示された揚高シンボルH2は、矢印YMを伴った状態で点滅表示される。また、ブザー26bでは、ブザー音パターンP1によるブザー音の出力がなされる。このため、運転者Pは、メモリ領域Bに記憶された揚高位置SY3を目標揚高位置として最寄停止制御が実行されていることを容易に把握することができる。そして、目標揚高位置とした揚高位置SY3にフォーク21が停止されると、表示器26aでは、最寄り停止表示パターンから通常表示パターンに表示内容が切替わるとともに、ブザー音の出力が終了される。
フォーク21が、メモリ領域Bに記憶された揚高位置SY3とメモリ領域Aに記憶された揚高位置SY2の間に位置している場合(揚高位置G2に示す)、最寄停止制御の開始が運転者Pにより指示されると、表示器26aでは、通常表示パターンから最寄り停止表示パターンに表示内容が切替わるとともに、情報表示領域RAには揚高シンボルH4が、情報表示領域RBには揚高シンボルH2が、情報表示領域RCには揚高シンボルH6が表示される。また、情報表示領域RAに表示された揚高シンボルH4は、矢印YMを伴った状態で点滅表示される。また、ブザー26bでは、ブザー音パターンP2によるブザー音の出力がなされる。このため、運転者Pは、メモリ領域Aに記憶された揚高位置SY2を目標揚高位置として最寄停止制御が実行されていることを把握することができる。そして、目標揚高位置とした揚高位置SY2にフォーク21が停止されると、表示器26aでは、最寄り停止表示パターンから通常表示パターンに表示内容が切替わるとともに、ブザー音の出力が終了される。
フォーク21が、メモリ領域Aに記憶された揚高位置SY2とメモリ領域Cに記憶された揚高位置SY1の間に位置している場合(揚高位置G3に示す)、最寄停止制御の開始が運転者Pにより指示されると、表示器26aでは、通常表示パターンから最寄り停止表示パターンに表示内容が切替わるとともに、情報表示領域RAには揚高シンボルH4が、情報表示領域RBには揚高シンボルH2が、情報表示領域RCには揚高シンボルH6が表示される。また、情報表示領域RCに表示された揚高シンボルH6は、矢印YMを伴った状態で点滅表示される。この際、ブザー26bでは、ブザー音パターンP3によるブザー音の出力がなされる。このため、運転者Pは、メモリ領域Cに記憶された揚高位置SY1を目標揚高位置として最寄停止制御が実行されていることを把握することができる。そして、目標揚高位置とした揚高位置SY1にフォーク21が停止されると、表示器26aでは、最寄り停止表示パターンから通常表示パターンに表示内容が切替わるとともに、ブザー音の出力が終了される。
また、フォーク21が、メモリ領域Cに記憶された揚高位置SY1より大きい揚高位置(揚高位置G4に示す)に位置している場合、最寄停止制御の開始が運転者Pにより指示されても、表示器26aでは、通常表示パターンから最寄り停止表示パターンに表示内容が切替わらない。すなわち、表示器26aでは、情報表示領域RA〜RCに揚高シンボルH1〜H7の何れも表示されない。このため、運転者Pは、最寄停止制御が実行されないことを認識することができる。
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)メモリ領域A〜Cに記憶された揚高位置の大小関係を比較し、判定するとともに、該判定結果に基づき大小関係データを割り当てて表示器26aの情報表示領域RA〜RCに揚高シンボルH2,H4,H6を表示するようにした。このため、運転者Pは、情報表示領域RA〜RCに表示された揚高シンボルを比較することで、メモリ領域A〜Cに記憶された揚高位置の大小関係を容易に把握することができる。そして、荷役手段の昇降作業においてより必要性の高い揚高位置の大小関係に関する情報を、運転者Pに対し与えることができる。
(2)設定モードにおいて、メモリ領域A〜Cの何れかに記憶された揚高位置が書き換えられたことを契機に大小関係の再判定(判定制御の再実行)を行い、情報表示領域RA〜RCに表示される揚高シンボルを更新表示して表示器26aに表示される情報が最新の状態に保たれるようにした。したがって、運転者Pは、メモリ領域A〜Cに記憶された新たな揚高位置の大小関係について速やかに把握することができる。
(3)設定モードにおいて、検出揚高位置、及びメモリ領域A〜Cに記憶された揚高位置の大小関係を判定し、情報表示領域RA〜RC,RKに対応する揚高シンボルが同一画面上に表示されるようにした。このため、運転者Pは、情報表示領域RA〜RC,RKに表示された揚高シンボルを比較することで、メモリ領域A〜Cに記憶させようとする検出揚高位置が、既に記憶されている揚高位置に対して大きいのか、小さいのか、あるいは等しいのかについて容易に把握することができる。つまり、運転者Pは、メモリ領域A〜Cに記憶された揚高位置の大小を確認しながら新たな揚高位置(検出揚高位置)をメモリ領域に記憶させることができる。
(4)設定モードにおいて、メモリ領域A〜Cの何れかに記憶された揚高位置が書き換えられたことを契機として、メモリ領域A〜Cに記憶された揚高位置の大小関係の再判定結果に基づき情報表示領域RA〜RCに表示された揚高シンボルが再表示(更新)されるのと同時に、情報表示領域RKには、揚高位置を書き換えたメモリ領域に対応する情報表示領域に表示される揚高シンボルと同一の揚高シンボルが表示される。したがって、運転者Pは、メモリ領域A〜Cに記憶された新たな揚高位置の大小関係について速やかに把握できる。
(5)設定モード、及び最寄停止制御を実行中において、揚高位置が記憶されていないメモリ領域については、対応する情報表示領域に揚高シンボルが表示されないようにした。このため、運転者Pに対し揚高位置が記憶されていないことを認識させることができる。
(6)最寄停止制御において、検出揚高位置がメモリ領域A〜Cに記憶された揚高位置の中で最も大きい揚高位置より大きい場合には、最寄停止制御を開始しないとともに、表示器26aに揚高シンボルH1〜H7の何れも表示されないようにした。このため、運転者Pに対し最寄停止制御が開始されないことを報知することができる。
(7)最寄停止制御が開始されると、表示器26aでは、目標揚高位置とされた揚高位置が記憶されたメモリ領域に対応する情報表示領域に表示された揚高シンボルが点滅表示される。また、目標揚高位置とされた揚高位置が、大揚高位置、中揚高位置、及び小揚高位置の何れであるかに対応したブザー音パターンによりブザー音(音声)が出力されるようにした。このため、運転者Pは、目標揚高位置とされた揚高位置を確実に把握することができる。
(8)ブザー音パターンP1〜P3は、フォーク21の揚高位置の大小を示すようにブザー音パターンが設定されている。このため、運転者Pに対し、最寄停止制御を実行中において、目標揚高位置とされた揚高位置(高さ位置)をより強く認識させることができる。
(9)自動揚高停止ボタン28a及びリフトレバー28が操作されていることを条件に最寄停止制御を継続するようにした。すなわち、自動揚高停止ボタン28a又はリフトレバー28の操作が終了されると、フォーク21が目標揚高位置に到達する前であっても停止される。このため、例えば、運転者Pは、誤って最寄停止制御を開始させてしまった場合などに、容易に最寄停止制御を中止させることができる。
(10)表示器26aは、通常表示パターン、設定表示パターン、及び選択表示パターンを切り替えて表示可能とした。このため、フォークリフト10に搭載された表示器26aを共用でき、設定表示パターンや最寄り停止表示パターンを表示するための専用表示器を別途設ける必要がない。したがって、部品点数の増加を抑え、製造コストを削減することができる。
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 本実施形態において、車両制御装置31のCPU31aは、フォーク21を目標揚高位置に停止させた後、リフトレバー28が中立位置に操作されたと認識する迄の間、表示器26aの表示内容を最寄り停止表示パターンに維持させるとともに、ブザー26bによるブザー音の出力を維持させるようにしてもよい。すなわち、フォーク21が目標揚高位置に停止(到達)した後であっても、運転者Pがリフトレバー28を上昇指示方向側に操作している間は、最寄り停止表示パターンによる表示及びブザー26bによるブザー音の出力を維持させてもよい。このように構成することで、運転者Pは、フォーク21が何れの揚高位置に停止されたのか、確実に認識することができる。
○ 本実施形態において、車両制御装置31のCPU31aは、最寄停止制御を実行中において、ボタンスイッチ28cから指示信号を入力しなくなっても、フォーク21を停止させなくてもよい。具体的に説明すると、CPU31aは、最寄停止制御を実行中において、ボタンスイッチ28cから指示信号を入力しなくなると、最寄停止制御を中止するとともに、表示器26aの表示内容を、最寄り停止表示パターンから通常表示パターンに切り替えさせる。その一方で、CPU31aは、フォーク21を停止させることなく、通常の上昇動作に移行させる。このように構成することで、運転者Pは、最寄停止制御を開始させた後であっても、フォーク21が目標揚高位置に停止される前に、自動揚高停止ボタン28aの操作を中止することで最寄停止制御をキャンセルすることができる。そして、例えば、図7に示すように、フォーク21がメモリ領域Bに記憶された揚高位置SY3より小さい揚高位置(揚高位置G1に示す)に停止している場合、最寄停止制御の開始が運転者Pにより指示されると、揚高位置SY3を目標揚高位置として最寄停止制御が実行され、フォーク21の上昇が開始される。この場合、運転者Pがリフトレバー28を上昇指示方向へ操作した状態を維持したまま、自動揚高停止ボタン28aの操作を中止しても、フォーク21は、リフトレバー28の上昇指示方向への操作に基づき上昇が継続される。そして、当初に目標揚高位置とした揚高位置SY3を通過した後に、再び自動揚高停止ボタン28aを操作することで、改めてメモリ領域Aに記憶された揚高位置SY2を目標揚高位置として、最寄停止制御が実行されることになる。すなわち、本別例によれば、フォーク21が目標揚高位置とした揚高位置を通過した後、再びボタンスイッチ28cを操作することで、次に高い揚高位置を目標揚高位置として最寄停止制御を実行し、フォーク21を自動的に停止させることができる。
○ 本実施形態において、車両制御装置31が揚高位置の記憶及び大小関係の判定を実行したが、表示器26aが行うようにしてもよい。すなわち、表示器26aに備えられたメモリ(EEPROMなど)にメモリ領域A〜Cを設定するとともに、表示器26aのCPUが揚高位置の大小関係を判定して、該判定結果に基づき大小関係データを各メモリ領域A〜Cに割り当てるようにしてもよい。
○ 本実施形態において、表示器26aは、車両制御装置31から、ボタンスイッチ28cの指示信号、揚高センサ16aの揚高検出信号、リフトレバーセンサ28bの角度検出信号を入力可能に構成するとともに、電磁比例弁34の開度を制御して最寄停止制御を実行可能に構成してもよい。このように構成することで、表示器26aの表示内容を制御するための信号の送受信量を減らすことができる。この場合、表示器26aは、フォーク21の停止の指示だけを車両制御装置31に対して行い、電磁比例弁34の制御によるフォーク21の停止は車両制御装置31が行うようにしてもよい。
○ 本実施形態において、メモリ領域A〜Cに記憶された揚高位置の大小関係の判定、及び大小関係データの割り当ては、フォークリフト10(車両制御装置31)の起動時、及びメモリ領域A〜Cの何れかに記憶された揚高位置が書き換えられたことを契機として行ったが、別のタイミングで行うようにしてもよい。例えば、通常モードから設定モードに移行する際、最寄停止制御の開始を指示された際、フォークリフト10のキーオフ操作時に行うようにしてもよい。
○ 本実施形態において、設定モードでは、情報表示領域RA〜RC,RKに揚高シンボルが表示されるようにしたが、表示器26aに情報表示領域RKを設定しないで検出揚高位置の大小を示す揚高シンボルを表示しないようにしてもよい。このように構成しても、運転者Pは、情報表示領域RA〜RCに表示された揚高シンボルを比較することで、メモリ領域A〜Cに記憶された揚高位置の大小関係を容易に把握することができる。この場合、車両制御装置31のCPU31aは、検出揚高位置を含めた大小関係を判定しないように構成してもよい。
○ 本実施形態において、検出揚高位置がメモリ領域A〜Cに記憶された揚高位置の中で最も大きい揚高位置より大きい場合には、表示器26aの表示内容を「目標揚高位置とする揚高位置がありません」など、運転者Pに目標揚高位置とする揚高位置がメモリ領域A〜Cの何れにも記憶されていないことを報知するようにしてもよい。このように構成することで、最寄停止制御(最寄り停止)が実行されない理由を運転者Pに対し認識させることができる。
○ 本実施形態において、最寄停止制御を実行中には、ブザー26bによりブザー音(音声)の出力がされないように構成してもよい。このように構成しても、表示器26aにおいて揚高シンボルが点滅表示されることから、運転者Pは、何れのメモリ領域に記憶された揚高位置を目標揚高位置として最寄停止制御が実行されているかを把握することができる。
○ 本実施形態において、揚高シンボルH1〜H7は、フォーク21(荷役装置12)の揚高位置の大小を表現できればその他の形態としてもよい。例えば、「*」や「●」の記号の数により表現したり、面積の大きさにより表現したりしてもよい。また、「1」〜「7」などの数字により表現してもよい。
○ 本実施形態において、通常表示パターン、設定表示パターン、及び最寄り停止表示パターンに対応する情報を表示するための表示装置を別体に設けてもよい。また、何れか1つの表示パターンに対応する情報を表示する第1の表示装置と、残る2つの表示パターンを切り替えて表示できる第2の表示装置とを備える構成としてもよい。
○ 本実施形態において、通常表示パターン、設定表示パターン、及び最寄り停止表示パターンに対応する情報を同一画面上に同時に表示させるようにしてもよい。
○ 本実施形態において、表示器26aの同一画面に情報表示領域が2つ以上設定されておればよい。すなわち、複数のメモリ領域に対応する揚高シンボルを相互に比較可能な態様で表示器26aに表示されておればよい。この場合、画面をスクロールさせるなどして、表示される情報表示領域を切り替えるようにする。このように構成しても、運転者Pは、表示された揚高シンボルを比較して大小関係を把握することができる。
○ 本実施形態において、表示器26aに表示される情報表示領域は、横並びに配置されていなくてもよい。このように構成しても、運転者Pは、表示された揚高シンボルを比較して大小関係を把握することができる。
○ 本実施形態において、ブザー26bは、表示装置26と別体に設けてもよい。
○ 本実施形態において、ブザー26bは、表示装置26が制御するようにしてもよい。具体的に説明すると、表示装置26は、CPU31aから入力した大小関係データに基づき、ブザー音パターンを選択し、該選択したブザー音パターンによりブザー26bにブザー音(音声)を出力させるようにする。また、表示装置26において揚高位置の記憶及び大小関係の判定を行い、判定した大小関係に基づきブザー音パターンを選択し、ブザー26bにブザー音(音声)を出力させるようにしてもよい。
○ 本実施形態において、設定モード、及び最寄停止制御を実行中の何れか一方においてのみ、表示器26aに揚高シンボルを表示させる制御を行うようにしてもよい。
○ 本実施形態において、表示器26aをタッチパネル式とすることに代えて、メモリ領域A〜Cに揚高位置を記憶させる際に操作する記憶操作手段として設定用ボタンを設けてもよい。
○ 本実施形態において、EEPROM31dに設定したメモリ領域の数は、2つとしたり、4つ以上としたりしてもよい。このように構成しても、CPU31aが大小関係を判定するとともに表示器26aに揚高シンボルを表示させることで、運転者Pは、メモリ領域A〜Cに記憶された揚高位置の大小関係を容易に把握することができる。
○ 本実施形態において、リフトレバー28が下降指示方向側に傾動操作されると共に自動揚高停止ボタン28aが操作されたことを契機として、メモリ領域A〜Cに記憶された揚高位置の中で検出揚高位置よりフォーク21の下降方向側に位置し、且つ検出揚高位置に最も近い揚高位置を目標揚高位置として最寄停止制御を実行するようにしてもよい。このように構成することで、検出揚高位置を基準として上昇、及び下降方向側の何れに位置する揚高位置に対しても自動的にフォーク21を停止させることができる。
10…フォークリフト、12…荷役装置、16a…揚高センサ、20…リフトシリンダ、26a…表示器、26b…ブザー、28…リフトレバー、28a…自動揚高停止ボタン、31a…CPU、31b…ROM、31c…RAM、31d…EEPROM、33…油圧ポンプ、34…電磁比例弁、H1〜H7…揚高シンボル、P…運転者、P1〜P3…ブザー音パターン、RA〜RC,RK…情報表示領域。