図1は本発明の冷却装置を省略した状態の一実施例のプロジェクタを示す内部の概略斜視図、図2は本発明の冷却装置を備えた状態の一実施例の液晶プロジェクタの内部を示す概略斜視図、図3は本発明の冷却装置を備えた状態の一実施例の液晶プロジェクタの内部を示す概略平面図、図4は図3のA−A断面による冷気循環路の概略構成を示す図、図5は本発明の冷却装置に係る冷水循環路と冷気循環路の一実施例の構成図、図6は本発明のプロジェクタを設置する部屋ごとに冷水コネクタを配置した状態を示す配管図、図7はプロジェクタを設置する部屋の冷水用一次側コネクタとプロジェクタ側の二次側コネクタとの構成図である。
先ず図1乃至図7に基づき一つの実施形態を説明する。実施例のプロジェクタは、本体1の内部に、光源2と、均一照明光学系3と、色分離光学系(図示せず)と、光学素子4と、投写レンズ9と、光学素子4の冷却装置10とを設けた液晶プロジェクタPである。本体1は、放熱性に優れた素材(例えば、マグネシウム等)で構成れた扁平の箱体である。図1乃至図3は本体1の内部配置構成を説明する図である。光源2は、超高圧水銀ランプなどのランプ20と、ランプから発散される光(発散光)を前方に出射するためのリフレクタ21から構成されている(図3)。実施例の光源2は、複数(4つ)のランプ20・・にそれぞれリフレクタ21を取り付けて成るもので、本体1内に設けられたランプボックス22内に収容されている。
前記均一照明光学系3は、光源2からの出射光を均一な輝度分布の平行光束とするものであり、インテグレータレンズ、集光レンズ及び全反射ミラー等から構成されている。また、前記色分離光学系は、上記均一照明光学系3からの平行光束を各色R、G、Bの色光に分離するものであり、均一照明光学系3からの平行光速を各色に分離するための反射用ミラーと、分離された各色光束を光学素子4に導くためのプリズムなどにより構成されている。
光学素子4は、光が透過する3枚の液晶パネル(LCDパネル)5、6、7と、各液晶パネル5、6、7の入射側に間隔を存して設けられた偏光板8Aと、各液晶パネル5、6、7の出射側に間隔を存して設けられた偏光板8Bと、プリズム25等から構成されている。液晶パネル5、6、7は、上記色分離光学系により分離されて当該各液晶パネル5、6、7に導かれた光を映像情報に応じて加工(変調)するものである。また、プリズム25は、各色の光を合成して投写光像を形成するものである。このプリズム25は、X状の誘電体多層膜から成る反射面を備えており、当該反射面を介して、各液晶パネル5、6、7からの光が単一の光束とされる。尚、前記投写レンズ9は、プリズム25からの投写光像をスクリーンSKに拡大投写するものであり、本体1の壁面に形成された図示しない孔内に着脱可能に配設されている。尚、各図1乃至図3において、27は光源2からの出射光を各液晶パネル5、6、7及び偏光板8A、8B等に導くための光路を被覆する箱体である。即ち、光源2から各液晶パネル5、6、7の入射側の偏光板8Aに至るまでに光が通過する経路(光路)は当該箱体27内に形成されている。
以上の構成で動作を説明すると、図1に点線矢印で示すように光源2からの出射光は、均一照明光学系3を介して均一な輝度分布の平行光速とされ、色分離光学系において各色R、G、Bの各光に分離されて、それぞれ対応するライトバルブとして機能する液晶パネル5、6、7に入射側の偏光板8Aを介して導かれる。液晶パネル5、6、7に導かれた各光束はそこで映像情報に応じて変調され、出射側の偏光板8Bを経てプリズム25で単一の光束の投写映像とされた後、投写レンズ9によりスクリーンに拡大投写される。
ところで、従来の液晶プロジェクタでは、光源や各液晶パネルが発熱源となって本体内が加熱状態となるので、本体内に複数のファンを設置して各ファンにより本体外部の空気を液晶パネル及び光源に供給して、放熱させていた。具体的に一例を挙げて説明すると、外部からの空気を液晶パネルに供給して放熱させた後、液晶パネルを通過した空気を光源に供給して当該光源を放熱させる。その後、光源にて加熱された空気をファンにより本体外部に放出していた。
上記光源は+900℃程とかなり高温となるので、液晶パネル通過後の空気を供給することで十分に放熱することが可能である。一方、液晶パネルの使用温度の上限は+70℃乃至+80℃程度と比較的低温であり、液晶パネルを係る上限温度以下となるように冷却する必要がある。このため、液晶パネルの放熱量は外気温度(プロジェクタの周囲温度)に大きく影響されることとなる。即ち、外気温度が低い場合には、液晶パネルに供給される外気の温度が低いため、当該外気により十分に放熱させることが可能である。しかしながら、外気温度が高い場合には、ファンの風量を増加するなどして大量の外気を液晶パネルに供給しなければ、液晶パネルの温度が使用温度の上限以下となるように維持することができなくなってしまう。これにより、ファンの運転により騒音が増大すると共に、ファンの運転による消費電力が著しく高騰する問題が生じていた。
更に、当該本体内で熱を受け取った外気は外部に放出されるが、この放出された外気が再びファンにより吸い込まれる、所謂、放熱後の空気のショートサイクルが発生する問題があった。この場合、ファンにより吸い込まれる外気は光源と熱交換して加熱された高温であるため、係るショートサイクルが発生すると液晶パネルの温度が上昇してしまう恐れがあり、効果的な放熱効果を得ることができなかった。
一方、電子冷却で低温空気を作りだして液晶パネルを冷却するものも提案されていたが、係る電子冷却はエネルギー効率が悪く、且つ、電子冷却の発熱部が一体に構成されているため、冷却対象付近に外気への放熱手段(ヒートシンクやファン)が必要となり、空間的制約が生じて設計自由度が著しく低下すると云った問題が生じていた。
そこで、本発明の液晶プロジェクタPは、本体1内に冷却部10を備える。即ち、本発明の液晶プロジェクタPの本体1内には、冷却装置10(冷却部10)としてプロジェクタ側冷却用の熱交換器10Aと冷気循環用送風機10Bが設置されている。この熱交換器10Aには、プロジェクタPから離れた位置に設置された冷水装置70の冷水が循環され、この熱交換器10Aと熱交換して得られた冷気によって、液晶パネル5、6、7、偏光板8A、8B及びプリズム25等を冷却するためのものである。なお、ランプ20による本体1内の高温空気を排気するために、本体1内を左右側壁1A、1Bに渡る仕切り板30によって、本体1ランプ20側と光学素子4側とに仕切り、空気吸い込み口35から吸い込んだ外気を排出口37に設けた送風機40によって排気することができる。
液晶パネル5、6、7、偏光板8A、8B及びプリズム25の周囲にはダクト50が設けられており、熱交換器10Aと熱交換した冷気が、冷気循環用送風機10Bによってダクト50を介して、液晶パネル5、6、7、偏光板8A、8B及びプリズム25に供給されている。即ち、本実施例の液晶プロジェクタPは、ダクト50にて構成された冷却風路中に液晶パネル5、6、7、偏光板8A、8B及びプリズム25を配置し、ダクト50にて循環される冷気により局所的に冷却するものである。
本実施例のダクト50は、断熱材にて構成されている。当該断熱材としては硬質塩化ビニル、シリコン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリスチレン樹脂等の熱伝導率が0.1W/(m・K)乃至0.3W/(m・K)程度のゴム・プラスチック系材料、或いは、石英ガラス、ガラスセラミック等の熱伝導率が1W/(m・K)乃至4W/(m・K)程度のガラス系材料、若しくは、グラスウール、ロックウール、炭化コルク等の熱伝導率が0.0045W/(m・K)以下の繊維系断熱材、発泡スチロール、またこれらから構成される建築用断熱材や真空断熱材等を使用することができる。これ以外に、断熱材として熱伝導率が1W/(m・K)以下の素材を用いることも可能である。
ダクト50は、液晶パネル5、6、7及びプリズム25の周囲に形成され、略コ字状を呈する筒状の循環主経路50Aと、各液晶パネル5、6、7の上方に位置する循環主経路50Aの一端に形成された各冷気流入口52と、液晶パネル5、6、7の下方に位置する循環主経路50Aの他端に形成された各冷気吐出口53とをそれぞれ連通する分流ダクト50Bにより構成されている。上記循環主経路50A内には熱交換器10Aと冷気循環用送風機10Bが設置されている。図4には、液晶パネル5と7の部分が示されているが、液晶パネル6においても同様に、分流ダクト50Bが形成されている。
冷気循環用送風機10Bは、図4のように単一の送風機とすることもできるが、各液晶パネル5、6、7を所定温度に冷却するための冷気循環量を確保するために、冷気循環用送風機10Bに替えて、本発明では各液晶パネル5、6、7が配置された各分流ダクト50Bに、各冷気循環用送風機10B1、10B2、10B3をそれぞれ対応配置するように、各分流ダクト50Bの冷気流入口52または冷気吐出口53に、これら冷気循環用送風機10B1、10B2、10B3が設置されている。この冷気循環用送風機10B1、10B2、10B3は、風量確保のために例えば電動機で回転するシロッコファンが用いられている。図4には、液晶パネル5と7の部分が示されているが、液晶パネル6においても同様に、冷気循環用送風機10B2が分流ダクト50Bに対応配置されている。この冷気循環用送風機10B1、10B2、10B3の運転によって、熱交換器10Aで冷却された冷気によって、液晶パネル5、6、7と各偏光板8A、8Bとプリズム25が冷却される。
また、各分流ダクト50B内には、それぞれ液晶パネル5、6、7(1つの分流ダクト50B内に3つの液晶パネル5、6、7の内の何れか1つが設置される)と、偏光板8A、8Bが設置されている。液晶パネル5、6、7と各偏光板8A、8Bとはそれぞれ間隔を存して分流ダクト50B内に並設されている。また、偏光板8Aは分流ダクト50Bの一方の壁面との間に間隔を存して配置され、同様に偏光板8Bも分流ダクト50Bの他方の壁面との間に間隔を存して配置されている。更に、この分流ダクト50Bは液晶パネル5、6、7、偏光板8A、8B及び照射される光、及び、液晶パネル5、6、7にて変調後にプリズム25に送出される映像情報を阻害することのないよう配置され、且つ、熱交換器10Aと熱交換した冷気が各液晶パネル5、6、7、偏光板8A、8B及びプリズム25に供給されるよう構成されたものである。
即ち、分流ダクト50Bの偏光板8A側であって、この偏光板8Aに対応する位置(即ち、偏光板8Aに対応する分流ダクト50Bの一方の壁面)には図示しない孔が形成されており、この孔には内部に光路が形成された箱体27の開口が接続されている(図示せず)。また、分流ダクト50Bの偏光板8B側であって、偏光板8Bに対応する位置(即ち、偏光板8Bに対応する分流ダクト50Bの他方の壁面)には孔55が形成されている。この孔55はプリズム25の外径と略同一の形状を有しており、当該孔55内にはプリズム25の一面が当接し、或いは、嵌合されてこの孔55を閉塞している。また、当該プリズム25は、各偏光板8Bとの間に間隔を存して、孔55に取り付けられるものとする。
以上の如くダクト50を形成することで、液晶パネル5、6、7、偏光板8A、8Bに照射される光、及び、液晶パネル5、6、7にて変調後にプリズム25に送出される映像情報を阻害すること無く、ダクト50内を密閉構造、或いは、半密閉構造とし、且つ、蒸発器16と熱交換して冷却され、ダクト50を循環する空気を液晶パネル5、6、7、各偏光板8A、8B及びプリズム25の周囲へ供給することができる。
熱交換器10Aには、図5に示すように、プロジェクタPから分離された位置(離れた位置)に設置された冷水装置70で生成された冷水が循環される。冷水装置70は、冷凍装置71によって冷却された冷水タンク72内の冷水72Aをポンプ75によって循環主経路50A内に設置した熱交換器10Aへ循環させる。冷凍装置71は、種々の形態があるが、実施例では、冷媒を圧縮する圧縮機71A、放熱器71B、減圧器71Cとしてのキャピラリチューブ、及び蒸発器(冷却器)71Dが、冷媒配管で環状に接続された冷媒回路によって冷媒循環サイクルを構成する周知のものであり、蒸発器71Dによって冷水タンク72内の水を冷却する。放熱器71Bは、送風機71B1の通風と熱交換することによって冷媒凝縮を行う。熱交換器10Aの1つの形態として、多数のアルミニウム等の放熱フィンを冷水72Aが通る冷水パイプが貫通し、この放熱フィン間を空気が通過する形態である。
冷水装置70側の冷水供給通路73AとプロジェクタP側の冷水入口通路74A、及び冷水装置70側の冷水帰還通路73BとプロジェクタP側の冷水出口通路74Bが、冷水用コネクタ100で着脱自在に接続されている。コネクタ100は、プロジェクタPを設置する部屋Hに設けられて冷水装置70側の冷水供給通路73Aと冷水装置70側の冷水帰還通路73Bが接続された一次側コネクタCAと、プロジェクタP側に設けられてこの一次側コネクタCAに着脱自在に接続される二次側コネクタCBで構成されている。
一次側コネクタCAは、図7に示すように、冷水供給通路73Aに連通接続したコネクタ部CAAと、冷水帰還通路73Bに連通接続したコネクタ部CABを一体に備え、また二次側コネクタCBは、図7に示すように、冷水入口通路74Aに連通接続したコネクタ部CBAと、冷水出口通路74Bに連通接続したコネクタ部CBBを一体に備えた構成である。
図7に示すように、一次側コネクタCAのコネクタ部CAAとコネクタ部CABは、それぞれバネSP1で付勢された弁VB1を備え、二次側コネクタCBのコネクタ部CBAとコネクタ部CBBは、それぞれバネSP2で付勢された弁VB2を備える。一次側コネクタCAと二次側コネクタCBは、相互の接続が解除された状態では、一次側コネクタCAは、図7に示すように、弁VB1はバネSP1で付勢されて便座部VBZに密着して、冷水通路73A、73Bが自動的に閉じた状態であり、また、二次側コネクタCBは、図7に示すように、弁VB2はバネSP2で付勢されて便座部VBZに密着して、冷水通路74A、74Bが自動的に閉じた状態である。このため、それぞれ冷水装置70側の冷水通路とプロジェクタP側の冷水通路からの水漏れがない状態に保持できる。
また、一次側コネクタCAと二次側コネクタCBは、相互の接続状態では、二次側コネクタCBのコネクタ部CBAとコネクタ部CBBの各先端部の係合凸部HUが、一次側コネクタCAのコネクタ部CAAとコネクタ部CABの各先端部の係合凹部HOに、液密状態で嵌合することによって、各弁VB1の先端に形成した突出起TP1と、各弁VB2の先端に形成した突出起TP2が当接して、それぞれバネSP1、SP2に抗して後退し、各弁VB1とVB2が各便座部VBZから離れるため、閉じていた冷水通路73A、73Bと、冷水通路74A、74Bが自動的に開く。これによって、冷水供給通路73Aと冷水入口通路74Aが連通し、且つ冷水帰還通路73Bと冷水出口通路74Bが連通する。
このように、一次側コネクタCAと二次側コネクタCBが液密状態で嵌合した状態は、二次側コネクタCBの外面部に設けた弾性保持部DHの先端の係合爪DH1が、一次側コネクタCAの外面部に設けた係止突起部KTに弾性係合することによって保持される。この保持状態において、一次側コネクタCAと二次側コネクタCBの相互の接続を解除する場合は、弾性保持部DHの後端部DH2を押して係合爪DH1を係止突起部KTから外した状態で、一次側コネクタCAと二次側コネクタCBを引き離す方向へ引っ張ることによって達成される。
複数の部屋を持つビルディングの任意の各部屋HLで、プロジェクタPを設置して使用することができるようにするために、図6に示すように、プロジェクタPを設置使用するための部屋HLごとに、その部屋HLの壁にこの一次側コネクタCA(図6のCA1、CA2、CA3に相当)を配置することにより、その目的を達成でき、便利である。
このように、部屋HLごとに一次側コネクタCAを配置する場合、冷水供給通路73Aに連通した部屋HLごとのコネクタ部CAAへ冷水通路を分配する分流器77Aと、冷水帰還通路73Bの連通した部屋HLごとのコネクタ部CABへ冷水通路を分配する分流器77Bが設けられている。
今、或る一つの部屋HL、例えば図6に示す最上部の部屋HLにプロジェクタPを設置して使用する場合について説明する。この場合、部屋HLの壁に設けた一次側コネクタCA1に二次側コネクタCBを上記の方法によって接続する。この状態で冷凍装置71を運転し、またはその前に冷凍装置71を運転しておく。冷凍装置71の運転により、蒸発器(冷却器)71Dの蒸発作用によって、冷水タンク72内の冷水72Aは冷却される。冷水タンク72内の冷水72Aを所定温度に維持するために、後述のように圧縮機71Aの運転が制御される。冷水タンク72内の冷水72Aを所定温度に冷却された状態は、LEDの点灯や液晶・有機EL等の表示部に温度表示することによって認識できる。一次側コネクタCA1に二次側コネクタCBを接続することによって、後述の制御部によってプロジェクタP側と冷水装置70側の信号の授受や制御を行うための電気回路が接続されるように、一次側コネクタCA1と二次側コネクタCBに電気回路接続コネクタ部を一体に組み込んでおくことが便利である。なお、プロジェクタP側と冷水装置70側の電気回路接続用コネクタ部は、コネクタ100と別個に形成する場合でもよい。図6に示す最上部から2番目、3番目の各部屋HLにプロジェクタPを設置して使用可能とするために、これらの部屋HLの壁には、それぞれ一次側コネクタCA2、CA3が設けられ、これに二次側コネクタCBを上記の方法によって接続することができる。
電気回路接続用コネクタ部が接続され、冷水タンク72内の冷水72Aが所定温度に冷却された状態で、ポンプ75を運転して熱交換器10Aへ冷水を循環させる。即ち、冷水タンク72内の冷水72Aは、ポンプ75によって冷水供給通路73Aに配置した流量調整弁76、分流器77A、コネクタ100を順次通って、循環主経路50A内に設置した熱交換器10Aへ供給され、循環主経路50Aの空気と熱交換した後、熱交換器10Aから出た冷水は、冷水帰還通路73Bに配置したコネクタ100、分流器77B、逆流防止弁78、流量調整弁79(これは省略してもよい)を順次通って、冷水タンク72内の上部へ帰還する。この帰還水は、下方の貯水部に溜まり、再び蒸発器71Dによって冷却される。なお、逆流防止弁78の下流側の冷水帰還通路73Bには、開閉制御弁81を介してリザーブタンク80が連通し、リザーブタンク80が冷水タンク72内の冷水72Aのレベル調整用として作用する。
ポンプ73を運転した後、プロジェクタPを起動する。プロジェクタPの起動と共に、冷気循環用送風機10B1、10B2、10B3が運転され、熱交換器10Aで冷却された冷気によって、液晶パネル5、6、7と各偏光板8A、8Bとプリズム25の冷却が開始される。
冷水タンク72内の冷水温度を所定温度に維持して、熱交換器10Aを所定温度に冷却するために、冷水タンク72内の冷水温度または蒸発器(冷却器)71Dの温度センサ83が配置されている。この温度センサ83で検出した温度に基づき、制御部(図示せず)によって、圧縮機71Aの電動機の運転周波数を可変して回転数を制御し、蒸発器(冷却器)71Dの温度を高くまたは低くして、冷水タンク72内の冷水温度が所定温度になるように制御する。この制御において、前記制御部(図示せず)は、周囲温度を検出して、周囲温度補正を伴う制御によって圧縮機71AをON−OFF制御するか、または圧縮機71Aの電動機の運転周波数を可変して圧縮機71Aの能力制御を行い、冷水タンク72内の冷水温度を所定温度に制御する。なお、熱交換器10Aを所定温度に冷却するための他の方式として、冷水タンク72へ戻る冷水温度を温度センサで測定し、この戻り冷水温度が所定温度よりも高い場合は、冷水タンク72内の冷水温度を下げるように制御する方式を採用することもできる。
各分流ダクト50Bには、それぞれの対応する液晶パネル5、6、7等を冷却した空気の温度を検出する温度センサ82A、82B、82Cが配置されている。温度センサ82A、82B、82Cで検出した温度に基づき、制御部(図示せず)によって、対応する冷気循環用送風機10B1、10B2、10B3の回転数を制御して、液晶パネル5、6、7等を冷却した空気温度が設定温度になるように制御し、対応する液晶パネル5、6、7等を所定温度に冷却するようにしている。
液晶パネル5、6、7と各偏光板8A、8Bとプリズム25の発熱の程度によって、冷却熱交換器10Aを通過した冷気の温度が変化し、各分流ダクト50Bの冷気温度が変化する。特に液晶パネル5、6、7の温度が所定温度よりも高くなることは、性能低下を招くため好ましくない。このため、循環主経路50Aから熱交換器10Aへ帰還する冷気温度、または熱交換器10Aの冷水の出口温度を検出する温度センサ84を設け、この温度センサ84の検知温度に基づき、ポンプ75の吐出流量を可変して熱交換器10Aの温度または、熱交換器10Aへ帰還する冷気温度を所定温度に維持するように前記制御部(図示せず)によって制御する。これによって、熱交換器10で冷却される冷気温度を所定温度に維持できるため、そこから分流する冷気で冷却される各液晶パネル5、6、7の温度を所定温度に維持できるものとなる。
この場合、熱交換器10Aへ帰還する冷気温度、または熱交換器10Aの冷水の出口温度が所定温度よりも高くなれば、前記制御部(図示せず)によってポンプ75の回転数をアップして吐出流量を増加させ、所定温度よりも低くなれば前記制御部(図示せず)によってポンプ75の回転数をダウンして吐出流量を減少させて、熱交換器10Aへ帰還する冷気温度または熱交換器10Aの冷水の出口温度を所定温度に維持するようにする。この場合、温度センサ84の検知温度と所定温度との差の程度に応じて、ポンプ75に供給する電力周波数を増減する周波数制御によって、ポンプ75の回転数をアップするインバータ制御方式によって、冷水の温度を前記検知温度と所定温度との差の程度に応じて冷水循環量を増加する制御するが好ましい。
なお、ポンプ75の回転数は一定とし、温度センサ84の検知温度と所定温度との差の程度に応じて、圧縮機71Aの電動機に供給する電力周波数を増減する周波数制御によって、圧縮機71Aの回転数をアップするインバータ制御方式によって、冷水の温度を前記検知温度と所定温度との差の程度に応じた低温に制御する方式を採用することもできる。
また、光源2の冷却を冷水装置70で行なう場合は、図5に示すように、ポンプ75の下流側から分岐して冷水が循環する光源用冷水路90Aを設け、この光源用冷水路90Aの冷水が通るように熱交換器10Aと同様の熱交換器10A1を設ける。そして、熱交換器10A1と冷気循環用送風機10Cと光源2をダクト50B内に直列状に配置する。これによって、熱交換器10A1によって冷却した冷気が、冷気循環用送風機10Cによって循環して光源2を所定温度に冷却するようにすることができる。
なお、冷水タンク72内へのこの帰還水の温度を下げるために、冷水帰還通路73Bから冷水タンク72内へはいる帰還水を、冷水タンク72内上部に設けたエリミネータへ散水し、この散水に送風機の風を送って熱放散させた水が、下方の貯水部へ溜まるようにする、所謂クーリングタワー方式とすれば、冷凍装置71を小さい能力のものが使用できる。また、冷水装置70は、複数の部屋を持つビルディングの各部屋を冷水を用いて冷却する冷房装置の前記冷水を前記のようなコネクタを用いて分水して利用することもできる。
図8に示す実施例のプロジェクタは、所謂レーザプロジェクタと称するものであり、本発明のプロジェクタの光源2がレーザ光源で、液晶パネル5R、6G、7B、偏光板8R0、8B0、8G0、プリズム25等から構成された光学素子4の冷却装置とプロジェクタの冷気循環路の概略構成を図8に示している。実施例1と同様の機能部には同一符号を付している。光源2は、それぞれ光の3原色である赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の色光を出射する赤色(R)レーザ光源2R、緑色(G)レーザ光源2G、青色(B)レーザ光源2Bであり、これらレーザ光源がプリズム25の3面にそれぞれ対向配置される。光学素子4は、それぞれ赤色(R)レーザ光源2Rに対向配置した赤色(R)用液晶パネル5R、緑色(G)レーザ光源2Gに対向配置した緑色(G)用液晶パネル6G、青色(B)レーザ光源2Bに対向配置した青色(B)用液晶パネル7Bと、プリズム25と、プリズム25の面とそれぞれの赤色(R)用液晶パネル5R、緑色(G)用液晶パネル6G、青色(B)用液晶パネル7Bとの間に配置したそれぞれの偏光板8R0、8G0、8B0で構成されている。
赤色(R)レーザ光源2Rは、熱伝導板2R1の上にアレイ状に赤色(R)発光レーザ素子2R2が多数配列された構成であり、緑色(G)レーザ光源2Gは、熱伝導板2G1の上にアレイ状に赤色(R)発光レーザ素子2G2が多数配列された構成であり、青色(B)レーザ光源2Bは、熱伝導板2B1の上にアレイ状に赤色(R)発光レーザ素子2B2が多数配列された構成である。
ダクト50は、実施例1とは形状が異なるが機能構成としては実施例1と同様に、循環主経路50Aに熱交換器10Aが配置され、この熱交換器10Aには実施例1と同様に、冷水装置70の冷水タンク72内の冷水が循環される。またダクト50は、実施例1と同様に、熱交換器10Aで冷却された冷気を各液晶パネル5R、6G、7Bへ分流する分流ダクト50Bを備えた構成であり、各分流ダクト50Bには、それぞれプリズム25の面と対応配置した赤色(R)用液晶パネル5Rと偏光板8R0、緑色(G)用液晶パネル6Gと偏光板8G0と、青色(B)用液晶パネル7Bと偏光板8B0が配置され、各分流ダクト50Bには、それぞれ冷気循環用送風機10B1、10B2、10B3が配置された構成である。また、冷水タンク72内の冷水の温度制御や、熱交換器10Aへ帰還する冷気温度または熱交換器10Aの冷水の出口温度の制御、コネクタ100の構成などは、実施例1と同様である。
この構成によって、各分流ダクト50Bを流れる冷気によって、各液晶パネル5、6、7と各偏光板8A、8Bとプリズム25を所定温度に冷却する。
なお、各赤色(R)レーザ光源2R、緑色(G)レーザ光源2G、青色(B)レーザ光源2Bの冷却は、各分流ダクト50Bを流れる冷気によって冷却する配置でもよいが、別の冷却源を用いて別の分流ダクトによって冷却する方式にすることもできる。その1つとして、図8の右上方部に示すように、ポンプ75の下流側から分岐して冷水が循環する光源用冷水路90を設け、この光源用冷水路90の冷水が通るように熱交換器10Aと同様の熱交換器10A1を配置する。そして、ダクト50と同様に、循環主経路50Aと各分流ダクト50Bに相当する循環主経路50A1と各分流ダクト50B1の構成とし、この循環主経路内に熱交換器10Bを設置し、各分流ダクトにそれぞれ赤色(R)レーザ光源2R、緑色(G)レーザ光源2G、青色(B)レーザ光源2Bと、これに対応して冷気循環用送風機10B11、10B21、10B31がそれぞれ配置された構成とする。これによって、熱交換器10A1によって冷却した冷気が、各冷気循環用送風機によって各分流ダクトを流れ、これによって、それぞれ赤色(R)レーザ光源2R、緑色(G)レーザ光源2G、青色(B)レーザ光源2Bが所定温度に冷却されるようにすることができる。
以上詳述したように、本発明により、騒音の発生を極力低減しながら、実施例1では液晶パネル5、6、7、偏光板8A、8B、プリズム25を、また実施例2では液晶パネル5R、6G、7B、偏光板8R0、8B0、8G0、プリズム25を効率よく冷却することが可能となり、高性能の液晶プロジェクタを低コストにて提供することができるようになる。
また、それぞれ実施例1の液晶パネル5、6、7に照射される各色R、G、Bの光は、また実施例2の液晶パネル5R、6G、7Bは、B、G、Rの順で発熱量が多いので、各液晶パネル5、6、7または液晶パネル5R、6G、7Bに供給される冷気もこの順で多くなるように、それぞれの分流ダクトの冷気温度を検出する温度センサの検知と、前記制御部(図示せず)に設定した所定回転数との比較によって、この所定回転数になるように前記制御部(図示せず)によって、各冷気循環用送風機の回転数制御が可能となり、例えば、最も発熱量の多い色Bの光が照射される液晶パネルへ循環する冷気量を最も多くし、Gの光が照射される液晶パネルへ循環する冷気量をそれより小量とし、最も発熱量の少ないRの光が照射される液晶パネルへ循環する冷気量を最も小量とするなどの風量制御が可能となる。
また、本実施例のダクト50は、循環主経路50Aと各分流ダクト50Bを本体1に着脱可能に構成しても差し支えない。また、ダクト50を、本体1に着脱可能に設けられた更に複数の部材から構成するものとしても構わない。このように、ダクト50を本体1に着脱可能に設けられた複数の部材にて構成することで、生産時の組み立て作業を円滑に行うことが可能となる。また、修理時等においても、取り外し作業、或いは、修理後の組み立て作業を容易に行うことができる。
例えば、修理時において本体1内に取り付けられたダクト50を本体1から取り外すことで、本体1内の修理箇所を容易に修理、或いは故障箇所を容易に取り出すことができ、修理作業が行い易くなる。また、修理終了後には、ダクト50を本体1に簡単に取り付けることができる。特に、ダクト50内に設けられた実施例1の冷気循環用送風機や、液晶パネル5、6、7、偏光板8A、8B、プリズム25、または実施例2の冷気循環用送風機や、液晶パネル5R、6G、7B、偏光板8R0、8B0、8G0、プリズム25の取り外しや組み立てを容易に行うことが可能となり、修理作業性を著しく向上できるようになる。
図10は、所謂レーザプロジェクタと称するものであり、図8で示した光学素子4の冷却装置とプロジェクタの冷気循環路の概略構成に適用される光学素子4の更に具体的な構成の一例を示す。図10は本発明のプロジェクタの要部となる光学素子4の基本的構成を示す平面図であり、中央に配置された合成プリズム25の3側面に3原色のレーザ光の照射面25R、25G、25Bが形成されている。前記照射面25Rには赤色レーザ光が照射され、照射面25Gには緑色レーザ光が照射され、照射面25Bには青色レーザ光が照射される。
各照射面25R、25G、25Bには液晶パネル5R、6G、7Bとともに入射側偏光板8R1、8G1、8B1および出射側偏光板8R2、8G2、8B2が対面して平行に配設されている。前記液晶パネル5R、6G、7Bに特定の直線偏光成分を入射させるため、入射側偏光板8R1、8G1、8B1において各原色の光束を所定の偏光方向(P偏光)に揃え、そのP偏光が液晶パネル5R、6G、7Bで変調された後、変調光のS偏光成分のみが出射側偏光板8R2、8G2、8B2から透過される。
そして、均一な照度分布が得られるようにするコンデンサレンズCZR、CZG、CZBが入射側偏光板8R1、8G1、8B1に対面して平行に配設され、さらに、各レーザ光の輝度を均一化するためのインテグレータ(フライアイレンズ)FLR、FLG、FLBがコンデンサレンズCZR、CZG、CZBに対面して平行に配設されている。前記インテグレータFLRは赤色(R)レーザ光源2Rから赤色レーザ光を入射し、インテグレータFLGは緑色(G)レーザ光源2Gから緑色レーザ光を入射し、インテグレータFZBは青色(B)レーザ光源2Bから青色レーザ光を入射する。
前記各レーザ光源2R、2G、2Bは全て同一に構成されるもので、熱伝導性に優れた金属により形成された受熱板2R1、2G1、2B1の先端に、数10個以上の半導体レーザ素子を配列した半導体レーザ素子アレイ2R2、2G2、2B2を、例えば、熱伝導性接着剤により固定する。なお、例えば、半導体レーザ素子アレイ2R2からは赤色の波長帯域である650nm近辺、半導体レーザ素子アレイ2G2からは緑色の波長帯域である550nm近辺、半導体レーザ素子アレイ2B2からは青色の波長帯域である440nm近辺のレーザ光が出射される。
このように構成された半導体レーザ素子アレイ2R2、2G2、2B2から出射される各原色のレーザ光は、合成プリズム25へ所定の光量で入射するようにしなければならない。したがって、各原色毎の個々の半導体レーザ素子の発光量を配慮し、配列する素子数を定めたり、あるいは駆動電流を3原色毎に設定して供給することは設計上の課題として重要となる。
各レーザ光源2R、2G、2Bは以上のように構成されていることから、各半導体レーザ素子アレイ2R2、2G2、2B2の発熱は受熱板2R1、2G1、2B1に吸収される。
このように構成された光学素子4を駆動すると、レーザ光源2R、2G、2Bから3原色のレーザ光が合成プリズム25の照射面25R、25G、25Bに向けて出射される。そして、各色レーザ光の輝度はインテグレータFLR、FLG、FLBにおいて均一化され、さらに、コンデンサレンズCZR、CZG、CZBにおいて照度分布が均一となり、入射側偏光板8R1、8G1、8B1へ入射する。
このようにして均一化された3原色の各レーザ光は、液晶パネル5R、6G、7Bへ入射し、画像を形成するため階調(強度)変調され、出射側偏光板8R2、8G2、8B2を介して合成プリズム25へ入射する。階調変調された3原色のレーザ光は、この合成プリズム25において合成される。そして、この出射光は出射面25Sから出射し、投写レンズ9を介してスクリーンSKに投影される。
図10に示す光学素子4の冷却は、図8に示すようにそれぞれ冷気循環用送風機10B1、10B2、10B3が配置された各分流ダクト50B中に、レーザ光源2R、2G、2B以外の部分を収容し、各分流ダクト50Bを流れる冷気によって冷却する。即ち、図8において、液晶パネル5Rと偏光板8R0に替わって、インテグレータFLR、コンデンサレンズCZR、液晶パネル5Rとその両面に配置した入射側偏光板8R1と出射側偏光板8R2が、冷気循環用送風機10B1が配置された分流ダクト50B中に収容され、分流ダクト50Bを流れる冷気によって冷却される。また、液晶パネル6Gと偏光板8G0に替わって、インテグレータFLG、コンデンサレンズCZG、液晶パネル6Gとその両面に配置した入射側偏光板8G1と出射側偏光板8G2が、冷気循環用送風機10B2が配置された分流ダクト50B中に収容され、分流ダクト50Bを流れる冷気によって冷却される。更に、液晶パネル7Bと偏光板8B0に替わって、インテグレータFLB、コンデンサレンズCZB、液晶パネル7Bとその両面に配置した入射側偏光板8B1と出射側偏光板8B2が、冷気循環用送風機10B3が配置された分流ダクト50B中に収容され、分流ダクト50Bを流れる冷気によって冷却される。
また、各赤色(R)レーザ光源2R、緑色(G)レーザ光源2G、青色(B)レーザ光源2Bの冷却は、各分流ダクト50Bを流れる冷気によって冷却する配置でもよいが、安定したレーザ光を照射するためには、図8の右上方部に示すように、各分流ダクト50B1中にそれぞれ赤色(R)レーザ光源2R、緑色(G)レーザ光源2G、青色(B)レーザ光源2Bを収容して、各分流ダクト50B1を流れる冷気によって冷却するようにすればよい。