JP5148528B2 - 構造物の滑り支承構造 - Google Patents

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Description

本発明は、支持構造物と、この支持構造物の上方に所定間隔を設けて構築される被支持構造物との間に、滑り支承体を配設し、前記滑り支承体と前記支持構造物との間に、前記支持構造物に対して前記滑り支承体の水平方向への移動を許容する滑り部を形成してある構造物の滑り支承構造に関するものである。
一般に、地震時には支点に変動軸力が生じる。さらに、上下方向の地震動を考慮すると、長期鉛直荷重を上回る変動軸力によって、前記被支持構造物が前記支持構造物に対して浮き上がる現象が発生することがある。前記被支持構造物と前記支持構造物との間に介在させた滑り支承体が、前記支持構造物からごく微量であっても離間して再接触することは、滑り面の健全性や性能保障の観点からも好ましくない。
そこで、前記滑り支承体に作用する荷重がゼロ以下になっても、滑り面が離間しないように、従来の滑り支承体は、滑り部の上側に皿バネ積層部を設けて、前記被支持構造物の浮き上がり時に滑り部を下方に押付けるように構成し、その皿バネ積層部で前記被支持構造物の荷重を直接支持して前記支持構造物に伝達するように構成してあった(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−41281号公報
上述した従来の滑り支承体では、地震時に滑り部の離間は防止できるものの、皿バネ積層部として被支持構造物の大きな荷重を支持できるだけの強度のあるものを使用する必要がある。そのために、大型で高価な材料を必要とし、しかも、地震動以外の通常時に大きな荷重が作用し続けるために、バネ材の性能劣化が発生する虞もあった。
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、安価な構造で前記被支持構造物の大きな荷重を支持しながら、地震時に、前記被支持構造物が上下に浮いても、滑り面が離間するのを防止して、本来の滑り面の健全性と性能の保証を高く維持できる滑り支承構造を提供するところにある。
本発明の第1の特徴構成は、支持構造物と、この支持構造物の上方に所定間隔を設けて構築される被支持構造物との間に滑り支承体を配設し、前記滑り支承体と前記支持構造物との間に、前記支持構造物に対して前記滑り支承体の水平方向への移動を許容する滑り部を形成してある構造物の滑り支承構造であって、前記被支持構造物の下端部に取り付けた金属製上板を、前記滑り支承体の上端部に取り付けた金属製下板に面接触させて前記被支持構造物の荷重を受けさせると共に、前記上板と前記下板とを互いに上下に離間自在に形成し、それらの上板と下板とに対し双方に挿通したピンを設けて前記被支持構造物と前記滑り支承体とが横方向に相対移動しないように構成し、前記上板と前記下板とを離間付勢する付勢手段を設けてあるところにある。
本発明の第1の特徴構成によれば、前記被支持構造物の下端部に取り付けた金属製上板を、前記滑り支承体の上端部に取り付けた金属製下板に面接触させて前記被支持構造物の荷重を受けさせると共に、前記上板と前記下板とを互いに上下に離間自在に形成してあるので、上下板同士によって簡単で安価な構造で大きな被支持構造物の荷重を支持することができると共に、被支持構造物の浮き上がり時には、上板と下板間で付勢手段による付勢力が作用して確実に離間し、滑り部の離間は避けられる。
しかも上板と下板との間で離間する際に、相互に横方向に位置ずれする危険性があるのを、上板と下板との双方に挿通したピンにより防止できる。
従って、安価な構造で、滑り支承構造を高性能に維持できる。
本発明の第2の特徴構成は、前記付勢手段を皿バネで構成すると共にその皿バネに前記ピンを挿通させて保持させてあるところにある。
本発明の第2の特徴構成によれば、皿バネにより構成した付勢手段を、前記ピンに挿通させて保持させることにより、皿バネの設置位置は確保され、地震時の皿バネによる作用を確実に発揮できる。
本発明の第3の特徴構成は、前記上板と前記下板とを互いに面接触させた状態で、前記皿バネを圧縮状態で収容する凹部を、前記上板又は前記下板の少なくとも一方に形成してあることにある。
本発明の第3の特徴構成によれば、前記皿バネは、前記上板又は前記下板の少なくとも一方に形成してある凹部に収容されるために、前記被支持構造物の荷重が皿バネに作用するのを防止できると共に、前記上板と前記下板とが接触する通常時には凹部内で皿バネは保護されているので、地震時においては、皿バネの性能が確実に発揮できる。
本発明の第4の特徴構成は、前記ピンの上端部を前記上板に固定すると共に、下端部を前記下板に貫通した状態で、前記被支持構造物の浮き上がり時に前記ピンから前記下板が抜け出るのを阻止する抜け止め部を設けてあることにある。
本発明の第4の特徴構成によれば、前記上板に固定された前記ピンは、前記被支持構造物が浮上する際には、上板と共に上昇するのであるが、抜け止め部を設けることにより、前記下板がピンから抜けてピンによる横移動阻止機能が損なわれるのを確実に防止できる。
実施形態の縦断正面図 実施形態の通常時の要部拡大縦断面図 実施形態の浮上り時の要部拡大縦断面図 別実施形態の要部拡大縦断面図
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の構造物の滑り支承構造の実施形態としては、図1〜図3に示すように、ビル等の建築物の基礎となる支持構造物1と、この支持構造物1の上方に所定間隔を設けて構築される建築物である被支持構造物2との間に、地震による水平方向の相対移動を許容して建築物に対する水平方向の外力に対する影響を軽減すべく滑り支承体3を配設してある。
そして、前記滑り支承体3と支持構造物1との間には、支持構造物1に対して滑り支承体3の水平方向への移動を許容する滑り部4を形成してある。
前記被支持構造物2と滑り支承体3との間には、被支持構造物2の下端部に取り付けた金属製上板5を、滑り支承体3の上端部に取り付けた金属製下板6に面接触させて被支持構造物2の荷重を受けさせると共に、上板5と下板6とを互いに上下に離間自在に形成し、それらの上板5と下板6とに対し、双方に挿通したピン7を設けて被支持構造物2と滑り支承体3とが横方向に相対移動しないように構成してある。さらに、支持構造物1に対する被支持構造物2の浮き上がり時に上板5と下板6とを離間付勢する付勢手段8として皿バネ8を設けてある。
図2、図3に示すように、前記支持構造物1と滑り支承体3との間の滑り部4を構成するに、支持構造物1の下地層9の上面にステンレス板10を敷設し、そのステンレス板10の表面にフッ素コート層11を形成した滑り面12を設け、滑り面12の上に滑り支承体3を水平方向に相対移動自在に載置してある。
前記滑り支承体3は、下から順に滑り面12に対する摺動部13を下面に設けると共に、積層ゴム層14とフランジ状の金属製下板6を上部に設けて一体化してある。
金属製下板6は、通常の積層ゴム層14を下側に一体化した上ベースプレート15の上に、さらにフランジ保護プレート16をボルト17で一体連結して構成してある(図1)。
前記皿バネ8は、図2に示すように、上板5と下板6とを互いに面接触させた状態で、下板6の周方向で複数箇所に設けた凹部18に圧縮状態にして収容され、被支持構造物2の大きな荷重が皿バネ8に直接作用しないようにしてある。地震時の上下動に伴って被支持構造物2が上方に浮上がろうとする時には、図3に示すように、皿バネ8によって、被支持構造物2に対して滑り支承体3を下方に押し下げ付勢して、滑り部4が離間しないようにしてある。
前記凹部18には、二硫化モリブデングリース、シリコングリース等が封入され、皿バネ8の動きを滑らかにすると共に、長期間にわたって腐食を防止できるようにしてある。
尚、皿バネ8による付勢作用は、少なくとも被支持構造物2の浮上り現象の初期時に作用すればよいだけであるので、所定以上浮上った時には、皿バネ8と上板5との間は非接触状態に離間するように構成してある。
また、前記皿バネ8は、その中心に形成した貫通孔にピン7を挿通させて保持させ、皿バネ8が滑り支承体3に対して横方向に位置ずれしないようにしてある。
前記ピン7は、その上端部にオネジ部19を形成すると共に、そのオネジ部19を上板5に形成したメネジ部20に螺合させて固定するために、ピン7の下端部に径方向に形成した貫通孔21に、鋼棒22を挿通させる。
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
〈1〉 前記被支持構造物は、建築物に限らず、地震時の振動による破損を防止する必要のある機械設備や各種計測設備などであってもよい。
〈2〉 前記付勢手段としては、皿バネ以外に板バネやコイルスプリングなどであってもよい。
〈3〉 上板と下板とを互いに面接触させた状態で、皿バネに大きな負荷が作用しないように、凹部に収容する以外に、図4に示すように、下板6の外周部に形成した凹部23に配置するようにしてあってもよい。
〈4〉 前記ピンは、上板に取り付ける以外に、下板に取り付けてあってもよい。
〈5〉 前記付勢手段としては、上板と下板との間に設ける皿バネに代えて、ピンの下端部から下板を下方に引っ張り付勢するバネを、ピンの下端部と下板の下側部との間に設けてあっても良い。
〈6〉 前記滑り部は、面同士の摺接による相対移動を許容する構造以外に、転がり部材を設けて、相対移動する構造にしてあってもよい。
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
建築物やその他の設置物の免震に利用できる。
1 支持構造物
2 被支持構造物
3 滑り支承体
4 滑り部
5 上板
6 下板
7 ピン
8 付勢手段
18 凹部

Claims (4)

  1. 支持構造物と、この支持構造物の上方に所定間隔を設けて構築される被支持構造物との間に、滑り支承体を配設し、
    前記滑り支承体と前記支持構造物との間に、前記支持構造物に対して前記滑り支承体の水平方向への移動を許容する滑り部を形成してある構造物の滑り支承構造であって、
    前記被支持構造物の下端部に取り付けた金属製上板を、前記滑り支承体の上端部に取り付けた金属製下板に面接触させて前記被支持構造物の荷重を受けさせると共に、前記上板と前記下板とを互いに上下に離間自在に形成し、
    それらの上板と下板とに対し双方に挿通したピンを設けて前記被支持構造物と前記滑り支承体とが横方向に相対移動しないように構成し、
    前記上板と前記下板とを離間付勢する付勢手段を設けてある構造物の滑り支承構造。
  2. 前記付勢手段を皿バネで構成すると共に、その皿バネに前記ピンを挿通させて保持させてある請求項1に記載の構造物の滑り支承構造。
  3. 前記上板と前記下板とを互いに面接触させた状態で、前記皿バネを圧縮状態で収容する凹部を、前記上板又は前記下板の少なくとも一方に形成してある請求項2に記載の構造物の滑り支承構造。
  4. 前記ピンの上端部を前記上板に固定すると共に、下端部を前記下板に貫通した状態で、前記被支持構造物の浮き上がり時に前記ピンから前記下板が抜け出るのを阻止する抜け止め部を設けてある請求項1〜3のいずれか一項に記載の構造物の滑り支承構造。
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